JP2007137937A - 活性エネルギー線硬化性組成物及び該組成物の硬化被膜が表面に形成された成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、プラスチックフイルム、プラスチックシート、ガラス等の表面に親水性被膜を形成し、防曇性を付与する為の組成物、また、エアコン、ラジエター等の熱交換機に付属するフィン表面を親水性化する為の組成物、また、病理診断検査チップにおいて、タンパク質、油脂、バクテリア等の吸着が少ない親水性管壁を形成する為の組成物、及び該組成物により形成された防曇性又は親水性に優れた表面を有する成形体に関する。
成形体の表面を親水性にする方法としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの物理的表面処理、スルホン化などの化学的表面処理、界面活性剤や親水性物質の練り込み法、成形材料として親水基を有するポリマーの使用、親水性ポリマーによるコーティングなどが通常行われている。また、ポリマー成形体表面への親水性モノマーのグラフト重合法も知られている。
しかしながら、物理的表面処理法では、親水化の程度、耐久性共に劣り、化学的表面処理法では、素材の限定や、施工法の限定など制約が多かった。また、練り込み法では、耐久性に劣る上、高い親水性を付与するために多量の親水性物質を練り込むと物性の低下を招いていた。成形材料やコーティング材料として親水性のポリマーを使用する方法では、高い親水性を付与するために親水基を多く導入すると、吸湿による寸法変化、湿潤状態での強度低下、湿潤状態での基材との剥離といった問題が生じていた。表面グラフト法では、優れた親水性を付与できるが、耐久性にやや劣る上、素材や形状に制約があった。
この様な状況の中で、紫外線硬化性組成物を成形体の表面に被覆する方法は、短時間の紫外線照射により硬化塗膜が得られる為に、生産性の点で非常に優れていることが知られ、これまで種々の親水性の皮膜が形成可能な紫外線硬化性組成物の提案がされてきた。例えば、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート及びアルキレンオキシド結合を分子内に持つ反応性界面活性剤を含有してなる紫外線硬化性組成物(特許文献1)、分子内に2個以上の水酸基を持つ多官能(メタ)アクリレート及びアルキレンオキシド結合を分子内に持つ反応性界面活性剤を含有してなる紫外線硬化性組成物(特許文献2)、繰り返し数が6から20のポリエチレングリコール鎖を有する両親媒性の重合性化合物を含有してなるエネルギー線硬化性組成物(特許文献3)、ポリウレタン(メタ)アクリレート環構造を有するジアクリレート及びポリアルキレングリコールアクリレートを含有してなる光硬化型組成物(特許文献4)等がある。
しかし、上記特許文献1から3の組成物は、いずれも重合性官能基を1つ持つポリアルキレングリコール鎖を有する重合性化合物を親水性付与成分として含有することにより、親水性或いは防曇性は極めて優れているものの、得られる塗膜の硬度は充分なものではなく、基板硬度よりも劣るものであった。一方、特許文献4の組成物は、重合性官能基を2つ持つポリアルキレングリコールアクリレートを親水性・防曇性付与成分として含有し、塗膜硬度の改善が見られるものの、必ずしも親水性・防曇性が充分ではないという問題があった。
したがって、本発明の目的は、高い親水性又は防曇性を有し、かつ優れた塗膜硬度を有する親水性・防曇性硬化皮膜を形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物を提供することである。また、本発明の他の目的は、高い親水性又は防曇性を有する前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜が表面に形成されたポリカーボネート成形体を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、高い親水性又は防曇性を有し、かつ硬化被膜が高い硬度を有する化合物の構造を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は上記課題を解決するために、同一分子内に、式(1)
また、本発明は、上記の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜を表面に有するポリカーボネート成形物を提供する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物によれば、高い親水性又は防曇性を有し、硬度の高い硬化皮膜を得ることができる。また、高い親水性又は防曇性を有する前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜が表面に形成されたポリカーボネート成形体を得ることができる。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化被膜及びその硬化皮膜を表面に有する成形体を具体的に説明する。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は上記の化合物(A)と必要に応じて添加する化合物(A)以外の活性エネルギー線硬化性の化合物(B)、光重合開始剤(C)、及びその他の成分(D)を含有するものである。
化合物(A)は、高い親水性又は防曇性と硬度の高い皮膜を付与する成分であり、上記の如く、同一分子内に、式(1)で表される構造を1以上と、(メタ)アクリロイル基を2以上有する化合物である。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、化合物(A)を30〜90質量%含有することが好ましく、40〜80質量%含有することがより好ましい。
ここで、式(1)におけるnは15〜20であることが好ましい。Rは、分岐鎖を有しても良い炭素数6から20のアルキル基を表す。Rは、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等であっても良いが、ノニル基又は、ドデシル基であることが好ましい。式(1)の構造としては、中でも、式(7)で表される構造であることが好ましく、更にn=17のものが特に好ましい。
化合物(A)の合成方法は特に限定されるものではないが、例えば、ポリイソシアネート化合物(a1)と、分子中に式(1)で表される構造の基を有し、イソシアネート基と反応可能な活性水素を2個以上有する化合物(Aa)とを、イソシアネート基と反応可能な活性水素の総モル数よりもイソシアネート基の総モル数が過剰となる条件にて反応させ、その反応により得られた末端にイソシアネート基を有する化合物(aAa)に、水酸基と(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物(a3)を、化合物(aAa)の末端イソシアネート基に対して等モル反応することにより得ることができる。なお、末端にイソシアネート基を有する化合物(aAa)のイソシアネート基と等モルの(a3)を反応させるが、反応時間短縮などの理由で何れかを若干過剰にする事が出来る。
本発明で使用するポリウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネートとしてジイソシアネート化合物を使用した場合、重合性官能基である(メタ)アクリレートによる架橋密度の点から、ジイソシアネート化合物(a1)のモル数と化合物(Aa)のモル数の比が、1.2〜2が好ましく、更に1.3〜2がより好ましい。このモル数の比が、1〜1.2の範囲の場合は、(メタ)アクリレートによる架橋密度が下がり、塗膜硬度の点から好ましくない。
本発明で使用するポリウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネートとしてジイソシアネート化合物を使用した場合、重合性官能基である(メタ)アクリレートによる架橋密度の点から、ジイソシアネート化合物(a1)のモル数と化合物(Aa)のモル数の比が、1.2〜2が好ましく、更に1.3〜2がより好ましい。このモル数の比が、1〜1.2の範囲の場合は、(メタ)アクリレートによる架橋密度が下がり、塗膜硬度の点から好ましくない。
分子中に式(1)で表される構造の基を有し、イソシアネート基と反応可能な活性水素を2個以上有する化合物(Aa)としては、種々の構造の化合物を使用することができるが、例えば、式(4)で表される化合物とモノアルカノールアミンとをほぼ1:1のモル比でマイケル付加反応させて得られる化合物(Aa1)(式(2))であることが好ましい。又は、式(5)で表される化合物と式(6)で表される化合物とをほぼ1:1のモル比でマイケル付加反応させて得られる化合物(Aa2)(式(3))であることが好ましい。マイケル付加を行う場合のモル比は、0.9:1.1〜1.1:0.9であることが好ましく、0.95:1.05〜1.05:0.95であることがより好ましい。
なお、式(2)で表される化合物(Aa1)を製造する場合に使用する式(4)で表される化合物としては、下記式(7)で表される化合物を使用することが好ましい。市販品としては例えば、第一工業製薬社製ニューフロンテアN−177Eがある。
化合物(Aa1)を合成するのに使用されるモノアルカノールアミンとしては、例えば、2−アミノエタノール(モノエタノールアミン)、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール等が好ましく挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(a1)としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、水添4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4−ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、これらジイソシアネートの三量体、低分子トリオールと前記ジイソシアネートのアダクト体からなる3官能以上のポリイソシアネート、或いは、カルボジライトV−05(日清紡(株)製:ポリカルボジイミド基を有する末端脂肪属イソシアネート化合物)等のカルボジイミド基を有するイソシアネート化合物類、などが挙げられ、これらの二種類以上のイソシアネート化合物を用いることが出来る。
特に、式(1)で表わされる構造を少なくとも一分子中に2以上有する化合物を合成する為には、化合物(Aa)が有する一級水酸基、二級のアミノ基と反応させなければならないが、特にイソシアネート基との反応性が高い二級のアミノ基との反応を制御するためには、低い温度で反応させ、反応性のマイルドなポリイソシアネート化合物を初段の反応で使用することが好ましく、この場合に使用するポリイソシアネートとしては反応性の高い芳香族ジイソシアネートより、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートが好ましい。特に、低い温度、マイルドな反応性のジイソシアネートを選択することで2級アミノ基とイソシアネート基の反応が優先的に反応するので水酸基末端の化合物を得ることが出来る。マイルドな反応性のジイソシアネート即ち、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートの代表として具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましく用いられる。
つまり、本発明で使用する化合物(A)としては、前記化合物(Aa1)中の二級アミノ基と、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートとを、前記化合物(Aa1)のモル数が、該脂肪族ジイソシアネート又は該脂環族ジイソシアネートのモル数よりも過剰となる条件にて反応させ、更に前記化合物(Aa1)中の水酸基と、芳香族ジイソシアネートとを、該水酸基の総モル数よりも、該芳香族ジイソシアネートのイソシアネート基の総モル数が過剰となる条件にて反応させ、次いで、余剰のイソシアネート基を前記化合物(a3)の水酸基と反応させた構造のポリウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
また、前記化合物(Aa2)中の二級アミノ基と、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートとを、前記化合物(Aa2)のモル数が、該脂肪族ジイソシアネート又は該脂環族ジイソシアネートのモル数よりも過剰となる条件にて反応させ、更に前記化合物(Aa2)中の水酸基と、芳香族ジイソシアネートとを、該水酸基の総モル数よりも、該芳香族ジイソシアネートのイソシアネート基の総モル数が過剰となる条件にて反応させ、次いで、余剰のイソシアネート基を前記化合物(a3)の水酸基と反応させた構造のポリウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートと化合物(Aa1)のモル比(脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートのモル数/化合物(Aa1)のモル数)は1.2〜2が好ましく、更に1.3〜2が好ましい。脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基の総モル数と化合物(Aa1)中の水酸基の総モル数のモル比(脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基の総モル数/化合物(Aa1)中の水酸基の総モル数)は1.2〜2が好ましく、更に1.3〜2が好ましい。更に、余剰のイソシアネート基と化合物(a3)の水酸基のモル比は、9:1.1〜1.1〜0.9であることが好ましく、0.95:1.05〜1.05〜0.95であることがより好ましい。
また、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートと化合物(Aa2)のモル比(脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートのモル数/化合物(Aa1)のモル数)は1.2〜2が好ましく、更に1.3〜2が好ましい。脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基の総モル数と化合物(Aa2)中の水酸基の総モル数のモル比(脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基の総モル数/化合物(Aa2)中の水酸基の総モル数)は1.2〜2が好ましく、更に1.3〜2が好ましい。更に、余剰のイソシアネート基のモル数と化合物(a3)の水酸基のモル数のモル比は、0.9:1.1〜1.1〜0.9であることが好ましく、0.95:1.05〜1.05〜0.95であることがより好ましい。
水酸基と(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物(a3)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート、或いは、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロピルメタクリレートの如きモノヒドロキシアクリルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のモノヒドロキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のモノヒドロキシペンタアクリレート類や、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のジヒドロキシモノ(メタ)アクリレート、及びこれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン或いはεカプロラクトンを付加重合した化合物等が挙げられる。
化合物(A)以外の活性エネルギー線硬化性の化合物(B)としては、活性エネルギー線硬化性化合物として使用できる(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドの如き2官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレートの如き3官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの如き4官能モノマー、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの如き6官能モノマー等が挙げられる。
また、化合物(B)として、重合性オリゴマー(プレポリマーとも呼ばれる)も用いることもでき、例えば、重量平均分子量が500〜50000のものが挙げられる。そのような重合性オリゴマーしては、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール或いはポリエステルジオールを中心構造とするウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの重合性化合物は、単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して用いることもできる。また、接着性を増すなどの目的で、単官能(メタ)アクリレートモノマーを混合することも可能である。
例えば、メチルメタクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、燐酸エステル基を有する(メタ)アクリレート、スルホン酸エステル基を有する(メタ)アクリレート、((ジ)アルキル)アミノ基を有する(メタ)アクリレート、4級((ジ)アルキル)アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート、(N−アルキル)アクリルアミド、(N、N−ジアルキル)アクリルアミド、アクリロイルモリホリン、などが挙げられる。
化合物(B)は、化合物(A)と共重合可能な重合性官能基を有するものである。化合物(A)は、硬化塗膜に親水性又は防曇性を付与する重合性成分であり、化合物(B)は硬化塗膜に更に高度の架橋構造をもたらす重合性成分である。化合物(A)の質量比率は、(A)+(B)の合計質量に対し、40〜90質量%であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性化合物(A)の質量比率が40質量%より少ないと、硬化膜の親水性又は防曇性が不充分となり、一方活性エネルギー線硬化性化合物(A)の質量比率が90質量%より多くなると組成物の粘度が高くなり、操作性に障害がでるので好ましくない。
活性エネルギー線硬化性組成物には、必要に応じて、その他の成分を混合して使用することもできる。その他の成分としては、例えば、活性エネルギー線として、紫外線を使用するには、光重合開始剤(C)成分を添加する。それ以外の成分(D)としては、溶剤、界面活性剤、着色剤、などが挙げられる。
光重合開始剤(C)としては、例えば、4−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1の如きアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールの如きベンゾインエーテル類;メチルフェニルグリオキシレート等が挙げられる。一方、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル等のベンゾフェノン類;2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンの如きチオキサンソン類の如く、水素引き抜き作用を持つ光重合開始剤の使用は、ポリエチレングリコール鎖を切断する作用があり、好ましくない。
活性エネルギー線硬化性組成物に添加する光重合開始剤(C)の使用量は、(A)+(B)に対して、1〜20質量%の範囲が好ましく、2〜10質量%の範囲が特に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、スプレー塗装の様に、低粘度化・低固形分化することが必要な場合に溶剤を添加することが必要となる。用いる溶剤としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤が挙げられる。これらの中では、ポリカーボネート基板等のプラスチック基板を侵すことの少ないアルコール系溶剤、エーテルアルコール系溶剤、及びこれらの混合溶剤が好適に用いられる。
用いられる溶剤量は、使用するコーティング方式により異なる。コーティング方式で推奨される固形分、粘度で添加すべき溶剤量を決定する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に添加することができる界面活性剤としては、硬化膜の初期の親水性及び防曇性を阻害しない範囲で使用され、例えば、非イオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノールなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレングリコールモノステアレートなどのポリオキシエチレンアシルエステル類、ポリエーテル変性シリコーンオイル等の非イオン系界面活性剤; ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンサルフェート塩等の陰イオン系界面活性剤が挙げられる。いずれも、ポリエチレンオキシド鎖を持つ界面活性剤であり、フッ素系界面活性剤の場合は、表面を低エネルギー化するので好ましくない。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に添加することができる着色剤としては、任意の染料や顔料、蛍光色素が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を成形体に被覆する方法としては、ロールコート法、スプレーコート法、浸漬コート法、スピンコート法、フローコート法、刷毛塗り法等の通常の塗布手段が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の皮膜を硬化する方法に用いる活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線の如き光線;エックス線、ガンマ線の如き電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線の如き粒子線が挙げられるが、取り扱い性や硬化速度の面から、紫外線、可視光、電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物からなる硬化被膜を表面に有する成形体の親水性は水との接触角により判断されるが、水との接触角が30度以下であることが好ましく、20度以下であることがより好ましい。更に、10度以下であることが特に好ましい。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
(ウレタンアクリレートUA−Aの合成例)
還流冷却管、及び窒素導入管、空気導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応器に、ニューフロンテアN−177E(第一工業製薬社製 数平均分子量:978)を1956質量部(2モル)、及びモノエタノールアミン122質量部(2モル)を窒素吹き込み、攪拌しながら加え、40〜45℃にて1.5時間反応する。その後、40〜45℃に保ちながら、ヘキサメチレンジイソシアネート168質量部(1モル)を加え、同温度で1時間反応する。オクチル酸第一錫0.1質量部を加えて、65℃にて3時間反応後、2,4−トリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製TDI−100)357質量部(2.05モル)を加えて、65℃で1時間反応する。窒素導入管を空気導入管に替え、乾燥空気を吹き込みながら、ライトエステルG−201P(共栄社化学社製)500質量部 2,5−ターシャリーブチルハイドロキノン0.8質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて75℃迄昇温し、75℃にて反応し、残留NCO%が0.1%以下まで反応を続けて、一分子中にノニルフェノキシポリエチレングリコール構造をペンダント状に2つ持ち、且つ重合性官能基として、アクリロイル基2つとメタクリロイル基2つを同時に併せ持つウレタンアクリレートを含有するウレタンアクリレート「UA−A」得た。
還流冷却管、及び窒素導入管、空気導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応器に、ニューフロンテアN−177E(第一工業製薬社製 数平均分子量:978)を1956質量部(2モル)、及びモノエタノールアミン122質量部(2モル)を窒素吹き込み、攪拌しながら加え、40〜45℃にて1.5時間反応する。その後、40〜45℃に保ちながら、ヘキサメチレンジイソシアネート168質量部(1モル)を加え、同温度で1時間反応する。オクチル酸第一錫0.1質量部を加えて、65℃にて3時間反応後、2,4−トリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製TDI−100)357質量部(2.05モル)を加えて、65℃で1時間反応する。窒素導入管を空気導入管に替え、乾燥空気を吹き込みながら、ライトエステルG−201P(共栄社化学社製)500質量部 2,5−ターシャリーブチルハイドロキノン0.8質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて75℃迄昇温し、75℃にて反応し、残留NCO%が0.1%以下まで反応を続けて、一分子中にノニルフェノキシポリエチレングリコール構造をペンダント状に2つ持ち、且つ重合性官能基として、アクリロイル基2つとメタクリロイル基2つを同時に併せ持つウレタンアクリレートを含有するウレタンアクリレート「UA−A」得た。
(ウレタンアクリレートUA−Bの合成例)
還流冷却管、及び窒素導入管、空気導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応器に、ニューフロンテアN−177E(第一工業製薬社製 数平均分子量:978)を2934質量部(3モル)、及びモノエタノールアミン183質量部(3モル)を窒素吹き込み、攪拌しながら加え、40〜45℃にて1.5時間反応する。その後、40〜45℃に保ちながら、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを420質量部(2モル)加え、同温度で1時間反応する。オクチル酸第一錫0.15質量部を加えて65℃にて3時間反応後、2,4−トリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製TDI−100)357質量部(2.05モル)を加えて、65℃で1時間反応する。窒素導入管を空気導入管に替え、乾燥空気を吹き込みながら、β−ヒドロキシエチルアクリレート244質量部(2.1モル) 2,5−ターシャリーブチルハイドロキノン1.2質量部、オクチル酸第一錫0.6質量部を加えて75℃迄昇温し、75℃にて反応し、残留NCO%が0.1%以下まで反応を続けて、一分子中にノニルフェノキシポリエチレングリコール構造をペンダント状に3つ持ち、且つ重合性官能基として、アクリロイル基2つを同時に併せ持つウレタンアクリレートを含有するウレタンアクリレート「UA−B」を得た。
還流冷却管、及び窒素導入管、空気導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応器に、ニューフロンテアN−177E(第一工業製薬社製 数平均分子量:978)を2934質量部(3モル)、及びモノエタノールアミン183質量部(3モル)を窒素吹き込み、攪拌しながら加え、40〜45℃にて1.5時間反応する。その後、40〜45℃に保ちながら、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを420質量部(2モル)加え、同温度で1時間反応する。オクチル酸第一錫0.15質量部を加えて65℃にて3時間反応後、2,4−トリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製TDI−100)357質量部(2.05モル)を加えて、65℃で1時間反応する。窒素導入管を空気導入管に替え、乾燥空気を吹き込みながら、β−ヒドロキシエチルアクリレート244質量部(2.1モル) 2,5−ターシャリーブチルハイドロキノン1.2質量部、オクチル酸第一錫0.6質量部を加えて75℃迄昇温し、75℃にて反応し、残留NCO%が0.1%以下まで反応を続けて、一分子中にノニルフェノキシポリエチレングリコール構造をペンダント状に3つ持ち、且つ重合性官能基として、アクリロイル基2つを同時に併せ持つウレタンアクリレートを含有するウレタンアクリレート「UA−B」を得た。
(ウレタンアクリレートUA−Cの合成例)
還流冷却管、及び窒素導入管、空気導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応器に、メトキシポリオキシエチレンエーテルグリコールモノアクリレート(数平均分子量:1010)を2020質量部(2モル)、及びモノエタノールアミン122質量部(2モル)を窒素吹き込み、攪拌しながら加え、40〜45℃にて1.5時間反応する。その後、40〜45℃に保ちながら、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを210質量部(1モル)加え、同温度で1時間反応する。オクチル酸第一錫0.05質量部を加えて65℃にて3時間反応後、2,4−トリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製TDI−100)357質量部(2.05部)を加えて、65℃で1時間反応する。窒素導入管を空気導入管に替え、乾燥空気を吹き込みながら、β−ヒドロキシエチルアクリレート質量244部(2.1モル) 2,5−ターシャリーブチルハイドロキノン0.8質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて75℃迄昇温し、75℃にて反応し、残留NCO%が0.1%以下まで反応を続けて、一分子中に末端メトキシポリエチレングリコール構造をペンダント状に2つ持ち、且つ重合性官能基として、アクリロイル基2つを同時に併せ持つウレタンアクリレートを含有するウレタンアクリレート「UA−C」を得た。
還流冷却管、及び窒素導入管、空気導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応器に、メトキシポリオキシエチレンエーテルグリコールモノアクリレート(数平均分子量:1010)を2020質量部(2モル)、及びモノエタノールアミン122質量部(2モル)を窒素吹き込み、攪拌しながら加え、40〜45℃にて1.5時間反応する。その後、40〜45℃に保ちながら、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを210質量部(1モル)加え、同温度で1時間反応する。オクチル酸第一錫0.05質量部を加えて65℃にて3時間反応後、2,4−トリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製TDI−100)357質量部(2.05部)を加えて、65℃で1時間反応する。窒素導入管を空気導入管に替え、乾燥空気を吹き込みながら、β−ヒドロキシエチルアクリレート質量244部(2.1モル) 2,5−ターシャリーブチルハイドロキノン0.8質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて75℃迄昇温し、75℃にて反応し、残留NCO%が0.1%以下まで反応を続けて、一分子中に末端メトキシポリエチレングリコール構造をペンダント状に2つ持ち、且つ重合性官能基として、アクリロイル基2つを同時に併せ持つウレタンアクリレートを含有するウレタンアクリレート「UA−C」を得た。
(硬化皮膜の調製)
下記表1の組成物を500mlのステンレスビーカーに配合し、加熱溶解して均一な組成物を得た。次いで、これらの組成物をポリカーボネート基板(筒中プラスチック社製EC−100)上に滴下し、スピンコート法により回転塗布した。その後、60℃オーブン中で溶剤を加熱除去し、紫外線にて約6μm厚の硬化塗膜を形成した。
なお紫外線硬化は、空気中にて、120W/cm入力電力の高圧水銀灯(アイグラフィックッス社製H03−31)下、500mJ/cm2(アイグラフィックス社製光量計UVPF−36にて)を3パス照射した。
下記表1の組成物を500mlのステンレスビーカーに配合し、加熱溶解して均一な組成物を得た。次いで、これらの組成物をポリカーボネート基板(筒中プラスチック社製EC−100)上に滴下し、スピンコート法により回転塗布した。その後、60℃オーブン中で溶剤を加熱除去し、紫外線にて約6μm厚の硬化塗膜を形成した。
なお紫外線硬化は、空気中にて、120W/cm入力電力の高圧水銀灯(アイグラフィックッス社製H03−31)下、500mJ/cm2(アイグラフィックス社製光量計UVPF−36にて)を3パス照射した。
〔試験評価方法〕実施例比較例中の試験評価は次の方法により行った。
<水接触角の測定>
硬化塗膜を作製した試料を24℃、湿度50%に15時間静置した後、協和界面科学製接触角度計CA−X型を使用し、室温(24±2℃)にて、純水接液後時間3分で測定した。
<水接触角の測定>
硬化塗膜を作製した試料を24℃、湿度50%に15時間静置した後、協和界面科学製接触角度計CA−X型を使用し、室温(24±2℃)にて、純水接液後時間3分で測定した。
<呼気試験>
硬化塗膜を作製した試料を24℃、湿度50%に15時間静置した後、その環境下で硬化塗膜面に呼気を吹き付けた。その時、曇りが全く見られない場合及び一瞬曇りが見られるがすぐに曇りの消失が見られる場合をOKとし、曇りが持続した場合をNGとした。
硬化塗膜を作製した試料を24℃、湿度50%に15時間静置した後、その環境下で硬化塗膜面に呼気を吹き付けた。その時、曇りが全く見られない場合及び一瞬曇りが見られるがすぐに曇りの消失が見られる場合をOKとし、曇りが持続した場合をNGとした。
<硬化膜硬度>
上記で作製した硬化皮膜付きポリカーボネート基板について、硬化後24℃、湿度50%に15時間静置した後、JIS K6902−1963に従い、テーバー摩耗試験器で硬化塗膜表面を、摩耗輪CF−10F/荷重250g/10回転の条件で摩耗させた。その後、積分球を持った分光光度計で波長550nmにて、摩耗部分のヘーズ値を以下の式で算出した。
(ヘーズ値)=(T2−T1*T3/100)/T1*100
ここで、T1:摩耗部全光線透過率(%)
T2:摩耗部散乱透過率(%)
T3:測定器散乱透過率(%)
を表す。ヘーズ値の値が小さいほど、硬化膜硬度は高く、逆に、ヘーズ値の値が大きいほど、硬化膜硬度が低いことを表す。
上記で作製した硬化皮膜付きポリカーボネート基板について、硬化後24℃、湿度50%に15時間静置した後、JIS K6902−1963に従い、テーバー摩耗試験器で硬化塗膜表面を、摩耗輪CF−10F/荷重250g/10回転の条件で摩耗させた。その後、積分球を持った分光光度計で波長550nmにて、摩耗部分のヘーズ値を以下の式で算出した。
(ヘーズ値)=(T2−T1*T3/100)/T1*100
ここで、T1:摩耗部全光線透過率(%)
T2:摩耗部散乱透過率(%)
T3:測定器散乱透過率(%)
を表す。ヘーズ値の値が小さいほど、硬化膜硬度は高く、逆に、ヘーズ値の値が大きいほど、硬化膜硬度が低いことを表す。
組成物の配合及び評価試験結果を一覧として、表1に示す。
N−177E:ノニルフェノキシポリエチレングリコール(17モル)アクリレート(第一工業製薬社製)
D−330:アルキノイル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製)
DCA−200:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(大日本インキ化学工業社製)
Irg.184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(チバガイギー社製)
MFG:プロピレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤社製)
D−330:アルキノイル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製)
DCA−200:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(大日本インキ化学工業社製)
Irg.184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(チバガイギー社製)
MFG:プロピレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤社製)
表1に見られる様に、式(1)で表される化学構造を一分子中に2つ持ち、且つ重合性官能基として、アクリロイル基を2つとメタクリロイル基を2つ持つウレタンアクリレートUA−Aを含有する実施例1の組成物による硬化塗膜は、水接触角が10°以下、呼気試験がOKであり、親水性及び防曇性に優れていることが確認された。また硬化膜硬度も6.8とポリカーボネート基板単独(塗膜の無い状態)の硬度10.0と比較し、基板硬度よりも表面硬度が向上した皮膜を形成できた。また、同様に、式(1)で表される化学構造を一分子中に3つ持ち、且つ重合性官能基として、アクリロイル基を2つ持つウレタンアクリレートUA−Bを含有する実施例2及び実施例3の組成物による硬化塗膜もまた、水接触角が10°以下、呼気試験がOKであり、親水性及び防曇性に優れていることが確認された。また硬化膜硬度もポリカーボネート基板単独(塗膜の無い状態)の硬度10.0と比較し、強度が向上した皮膜が表面に形成された。
一方、親水性・防曇性付与成分を含有しない比較例1は、水接触角も大きく、呼気試験もNGとなり、硬化膜硬度が5.4と良好であるものの、皮膜表面は親水性及び防曇性を示さない。また、親水性・防曇性付与成分として、一分子中に重合性官能基が1つであるN−177Eを含有する比較例2の組成物による硬化塗膜は、水接触角が10°以下、呼気試験がOKであり、親水性及び防曇性に優れていることが確認されが、硬化膜硬度が24.7とポリカーボネート基板単独(塗膜の無い状態)の硬度10.0と比較し、大幅に硬度の劣る皮膜が表面に形成された。また、親水性・防曇性付与成分として、末端メトキシポリエチレングリコール構造をペンダント状に2つ持ち、且つ重合性官能基として、アクリロイル基2つを同時に併せ持つウレタンアクリレートUA−Cを含有する比較例3の組成物の硬化塗膜は、塗膜硬度は7.5と比較的良好であるものの、水接触角は40°と劣り、呼気試験もNGとなり、親水性・防曇性に劣る皮膜であることが確認された。
以上より、本発明の組成物による硬化皮膜は、硬度に優れ、また高い親水性・防曇性を示すことが示された。
表面に塗膜硬度に優れた親水性・防曇皮膜を形成した成形体として、プラスチック容器、ショーケース等に、また光学レンズ、自動車用ヘッドランプカバーの曇り止めとして、またエアコン、ラジエター等の熱交換機に付属するフィン表面を親水性化する組成物として、また、病理診断検査チップにおいて、タンパク質、油脂、バクテリア等の吸着が少ない親水性管壁を形成する為の組成物として好適に用いることが出来る。
Claims (7)
- 前記化合物(A)が、
(i)式(2)
(ii)同一分子内に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(a1)と、
(iii)同一分子内に1個の水酸基と1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a3)とを反応させたポリウレタン(メタ)アクリレートである請求項1の活性エネルギー線硬化性組成物。 - 前記ポリウレタン(メタ)アクリレートが、
前記化合物(Aa1)中の二級アミノ基と、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートとを、前記化合物(Aa1)のモル数が、該脂肪族ジイソシアネート又は該脂環族ジイソシアネートのモル数よりも過剰となる条件にて反応させ、
更に前記化合物(Aa1)中の水酸基と、芳香族ジイソシアネートとを、該水酸基の総モル数よりも、該芳香族ジイソシアネートのイソシアネート基の総モル数が過剰となる条件にて反応させ、
次いで、余剰のイソシアネート基を前記化合物(a3)の水酸基と反応させた構造である請求項2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。 - 前記ポリウレタン(メタ)アクリレートが、
前記化合物(Aa2)中の二級アミノ基と、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートとを、前記化合物(Aa2)のモル数が、該脂肪族ジイソシアネート又は該脂環族ジイソシアネートのモル数よりも過剰となる条件にて反応させ、
更に前記化合物(Aa2)中の水酸基と、芳香族ジイソシアネートとを、該水酸基の総モル数よりも、該芳香族ジイソシアネートのイソシアネート基の総モル数が過剰となる条件にて反応させ、
次いで、余剰のイソシアネート基を前記化合物(a3)の水酸基と反応させた構造である請求項4記載の活性エネルギー線硬化性組成物。 - 前記脂肪族ジイソシアネート又は前記脂環族ジイソシアネートが、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又は水添4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートである請求項3又は5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜を表面に有するポリカーボネート成形物。
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---|---|---|---|
JP2005330038A JP2007137937A (ja) | 2005-11-15 | 2005-11-15 | 活性エネルギー線硬化性組成物及び該組成物の硬化被膜が表面に形成された成形体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012503057A (ja) * | 2008-09-23 | 2012-02-02 | サイテック サーフェース スペシャリティーズ、エス.エイ. | 輻射線硬化性接着剤 |
-
2005
- 2005-11-15 JP JP2005330038A patent/JP2007137937A/ja active Pending
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JP2012503057A (ja) * | 2008-09-23 | 2012-02-02 | サイテック サーフェース スペシャリティーズ、エス.エイ. | 輻射線硬化性接着剤 |
US8669301B2 (en) | 2008-09-23 | 2014-03-11 | Allnex Belgium S.A. | Radiation curable adhesive |
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