JP2007137690A - 炭素フォイルのビルドアップ抑制方法、炭素フォイル及び炭素フォイルのビルドアップ抑制装置 - Google Patents

炭素フォイルのビルドアップ抑制方法、炭素フォイル及び炭素フォイルのビルドアップ抑制装置 Download PDF

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勲 菅井
Mitsuhiro Koyaizu
充広 小柳津
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泰弘 武田
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Abstract

【課題】イオンビームのエネルギーの高低に依存することなく、加速器などで使用する荷電変換の炭素フォイルの長寿命化を図る。
【解決手段】炭素フォイルの、少なくともイオンビームが透過する部分に加熱処理を施し、前記炭素フォイルの前記イオンビームが透過する前記部分の炭素ビルドアップを抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭素フォイルのビルドアップ抑制方法、及び炭素フォイルのビルドアップ抑制装置に関し、さらには、これら方法及び装置によって得、ビルドアップが抑制された炭素フォイルに関する。
近年の加速器におけるイオン源の発達に伴い、高エネルギー及び高強度の重イオンビームなどに対しては、炭素フォイルが重要な役割を果たしている。しかしながら、前記炭素フォイルは、このようなイオンボンバードメントに対しては十分な寿命を有していない。したがって、効率的な加速器の運転に際しては、前記炭素フォイルの長寿命化が望まれている。
かかる観点より、長寿命化を目的として、種々の炭素フォイルが開発されており(非特許文献1〜5参照)、特にAC放電及びDC放電を制御して得た炭素フォイルにおいては、ある程度の長寿命化が達成されている(非特許文献6参照)。しかしながら、このようにして得た炭素フォイルは低エネルギーのイオンビームのみならず、800MeV程度の高エネルギーのイオンビームに対しても十分に使用することができなかった。
I. Sugai, T. Hattori, K. Yamazaki, Nucl. Instr. And Meth. A265 (1988)376 I. Sugai, T. Hattori, H. Muto, Y. Takahashi, H. Kato, and K. Yamazaki, Nucl. Instr. And Meth. A282 (1989)164 I. Sugai, M. Oyaizu, Y. Hattori, K. Kawasaki and T. Yano, Nucl. Instr. And Meth. A303 (1991)59 I. Sugai, T. Hattori, M. Oyaizu, K. Kawasaki and H. Muto, Nucl. Instr. And Meth. A320 (1992)15 H. Muto, M. Oyaizu, I. Sugai and H. Hattori, Nucl. Instr. And Meth. 83 (1993)29 I. Sugai, M. Oyaizu, H. Kawasaki, C Ohmori, T. Hattori, K. Kawasaki M.J.Bor den and R.J.Macek, Nucl. Instr. And Meth. A362 (1995)70
本発明は、イオンビームのエネルギーの高低に依存することなく、加速器などで使用する炭素フォイルの長寿命化を図ることを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
炭素フォイルの、少なくともイオンビームが透過する部分に加熱処理を施し、前記炭素フォイルの前記イオンビームが透過する前記部分の炭素ビルドアップを抑制することを特徴とする、炭素フォイルのビルドアップ抑制方法に関する。
また、本発明は、
炭素フォイルを保持するための手段と、
前記炭素フォイルを加熱するための加熱手段とを具え、
前記炭素フォイルの、少なくともイオンビームが透過する部分を加熱し、前記炭素フォイルの前記イオンビームが透過する前記部分の炭素ビルドアップを抑制するようにしたことを特徴とする、炭素フォイルのビルドアップ抑制装置に関する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、従来の炭素フォイルにおいては、イオンビームがある程度長時間に亘って照射されると、前記炭素フォイルの前記イオンビームが照射された箇所において、いわゆる炭素ビルドアップという現象が生じ、かかる箇所の厚さが増大する。したがって、この炭素ビルドアップに起因したストレスの発生などにより、前記炭素フォイルの長寿命化が阻害されていることを見出すに至った。
そこで、本発明者らは、上記炭素フォイルの長寿命化を阻害する要因となる前記炭素ビルドアップを抑制する方法を見出すべく鋭意検討を実施した。その結果、前記炭素フォイルの、少なくともイオンビームが透過する部分に対して適当な加熱処理を施すことにより、その理論的な根拠は明確ではないものの、前記炭素フォイルにおけるビルドアップを抑制できることを見出した。そして、所定の温度範囲内においては、前記炭素フォイルに対する加熱処理の加熱温度を向上させることにより、上述したビルドアップ抑制の効果が向上することを見出した。
具体的には、前記加熱温度は、350℃以上であることが好ましく、さらには400℃以上であることが好ましく、特には650℃以上であることが好ましい。なお、加熱温度を650℃以上とすることにより、炭素フォイルの種類(製造方法)などに依存することなく、炭素フォイルに対する炭素ビルドアップをほぼゼロにすることができる。
なお、加熱温度の上限は特に限定されるものではないが、約800−880℃である。この温度より加熱処理温度を高くしても、最早炭素ビルドアップ抑制の効果を増大させることができず、エネルギー的に不利となる。
また、前記加熱処理は、例えば4×10−2Pa程度の高真空度下で行うことが好ましい。この場合、炭素ビルドアップの原因と考えられている、前記炭素フォイル中に含まれる不純物や、その雰囲気中に含まれる炭化水素系ガスの残留度合いを大幅に減少させることができ、前記炭素フォイルの炭素ビルドアップをより効果的に抑制することが出来るようになる。
したがって、本発明によれば、加熱処理における加熱温度などの種々の条件を制御することによって、炭素フォイルに対するビルドアップ抑制の効果を適宜に制御することができ、前記炭素フォイルの寿命を適宜に制御できて長寿命化を図ることができるようになる。
なお、本発明の方法及び装置は、炭素フォイルの種類に限定されることなく、如何なる種類のものに対しても用いることができる。例えば、市販のECフォイル(evaporation condensation-foil)や、グロー放電を用いることにより作製したGDフォイル(Glow-discharge foil)並びにレーザプラズマを用いて作製したLpフォイル(laser plasma foil)などに対して用いることができる。
しかしながら、好ましくはACアーク放電及びDCアーク放電を用いて作製したADフォイルにおいて、前記ACアーク放電及び前記DCアーク放電の割合を適宜制御して得た、クラスターフォイルにおいて最も良く長寿命化を図ることができる。これは、このようなクラスターフォイルが本来的にイオンビームの照射に対して耐性が高いことによる。
また、本発明の好ましい態様においては、前記炭素フォイルに対してプラスチックフィルムを張り合わせる。これによって、前記炭素フォイルのビルドアップ抑制の効果に加えて、前記プラスチックフィルム貼付の効果によって、前記炭素フィルムのイオンビーム照射に対する寿命をより長寿命化することができるようになる。なお、前記プラスチックフィルムは、長寿命化を目的として貼付するものであるので、イオンビームの照射に対してある程度の耐性を有することが必要である。
さらに、本発明の他の好ましい態様においては、前記炭素フォイルに対してスラクッド処理を施す。これによって、前記炭素フォイルの寿命をさらに長寿命化することができる。なお、スラクッド処理とは、前記炭素フォイルを所定のターゲット枠に貼り付け、前記枠を縮めることにより前記炭素フォイルにたわみを形成し、表面積を増大させる処理を言う。
また、本発明のその他の好ましい態様においては、前記炭素フォイルに対してフラッシュ加熱を施す。これによって、前記炭素フォイルの寿命をさらに長寿命化することができる。なお、フラッシュ加熱処理とは、前記炭素フォイルに関してカメラのフラッシュによる発熱を照射し、凹凸の微細な面を形成し表面積を大きくするような処理を言う。
以上説明したように、本発明によれば、イオンビームのエネルギーの高低に依存することなく、加速器などで使用する炭素フォイルの長寿命化を図ることができる。
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の炭素ビルドアップ抑制装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す装置10は、加熱処理及び炭素ビルドアップの測定に供される炭素フォイルSが内部に配置された真空チャンバー11と、炭素フォイルSに対して近赤外線を照射して加熱するための第1の近赤外線ヒータ(1kW)12及び第2の近赤外線ヒータ(2kW)13とを有している。第1の近赤外線ヒータ12及び第2の近赤外線ヒータ13は、炭素フォイルSに対して45度の角度で互いに対向するようにして配置されている。なお、第1の近赤外線ヒータ12及び第2の近赤外線ヒータ13の先端には、これらのヒータから照射される近赤外線を直接炭素フォイルS上に導くための石英パイプ121及び131が設けられている。
また、真空チャンバー11には、炭素フォイルSに対してイオンビームを照射して、炭素フォイルSの炭素ビルドアップの度合いを調べるためのイオンビーム導入管14が設けられているとともに、イオンビーム導入管14と対向するようにして設けられた、前記イオンビームを計測するためのファラデーカップ15が設けられている。また、真空チャンバー11の下方には炭素フォイルSの厚さ(変化)を計測するためのSi−SSD(半導体検出器)16が設けられているとともに、同じく真空チャンバー11の下方には炭素フォイルSの温度を計測するための熱電対温度計17が設けられている。
さらに、真空チャンバー11の右斜め上方には、炭素フォイルSの加熱状態及びイオンビーム照射の状態を観察するための観察装置(例えば、放射温度計、ビデオやカメラなど)18が配置され、真空チャンバー11の略中心を貫通するようにして、炭素フォイルSを保持するとともに横方向に駆動させるための保持駆動手段19が設けられている。
なお、真空チャンバー11には、図示しない排気装置に接続され、真空チャンバー11内を適用な圧力(真空度)まで排気するための排気口11Aが形成されている。
本発明の方法及び装置は、如何なる種類(製造方法によって得た)の炭素フォイルに対しても用いることができるので、図1に示す装置10内は、如何なる種類の炭素フォイルをも備え付けることができる。具体的には、市販のECフォイル(evaporation condensation-foil)や、グロー放電を用いることにより作製したGDフォイル(Glow-discharge foil)並びにレーザプラズマを用いて作製したLpフォイル(laser plasma foil)などに対して用いることができる。
しかしながら、好ましくはACアーク放電及びDCアーク放電を用いて作製したADフォイルにおいて、前記ACアーク放電及び前記DCアーク放電の割合を適宜制御して得た、クラスターフォイルにおいて、長寿命化を図ることができる。これは、このようなクラスターフォイルが、イオンビーム照射に対して本来的に高い耐性を有することに起因する。
前記クラスターフォイルを用いる場合、特にその粒径が0.02μm〜0.5μmであることが好ましい。この場合、前記イオンビーム照射に対してより高い耐性を有するようになる。
また、炭素フォイルSの表面及び裏面の少なくとも一方にプラスチックフィルムを貼付することができる。これによって、炭素フォイルSの耐性を向上させることができ、炭素フォイルSの長寿命化をより効果的に図ることができるようになる。
なお、上記プラスチックフィルムは、その目的から当然にイオンビーム照射に対して直ちに蒸発し、炭素膜のみが残存することが必要である。このようなプラスチックフィルムとしては、ポリビニル系、コロジオン、及びニトロセルロースなどのプラスチックを例示することができる。
このようなプラスチックフィルムを炭素フォイルSに対して貼付するに対しては、前記プラスチックを有機溶媒などで溶解して得た溶液中に炭素フォイルSを所定の時間浸漬塗付し、その後乾燥することによって実施することができる。なお、炭素フォイルSが薄く自己保持できない場合については、炭素フォイルSを所定のガラス基板などに形成した後、このガラス基板ごと前記溶液中に浸漬し、炭素フォイルSに対して前記プラスチックが塗布された後、炭素フォイルSをガラス基板から引き剥がすことによって得ることができる。
また、炭素フォイルSの単位面積当たりの重量を1μg/cm以上とすることにより、炭素フォイルSは自立保持可能となるので、上述のようなガラス基板などの支持基板を必要とすることなく、上述したプラスチックフィルムの貼付操作に供することができるようになる。
なお、このような自己保持可能な炭素フォイルSは、上述のようなプラスチックフィルム貼付操作のみではなく、実際の加速器などの荷電変換膜などとして用いた場合に、その保持構造を極めて簡易化することができるようになる。
次いで、このようにして得た炭素フォイルSを保持駆動手段19に取り付け、真空チャンバー11内を所定の真空度となるまで排気する。このときの真空度は特に限定されるものではないが、好ましくは4×10−2Pa程度の圧力まで排気する。この場合、炭素ビルドアップの原因と考えられている、炭素フォイルS中に含まれる不純物や、雰囲気中に含まれる炭化水素系ガスの残留度合いを大幅に減少させることができ、炭素フォイルSの炭素ビルドアップをより効果的に抑制することが出来るようになる。
但し、真空チャンバー11内の真空度は適宜設定することができ、上述のような真空度よりも大きい場合においても、本発明の作用効果、すなわち炭素フォイルSの炭素ビルドアップを抑制して炭素フォイルSの、イオン照射に対する寿命を長寿命化することができるようになる。なお、真空チャンバー11内を排気することなく、大気圧とした場合は、炭素フォイルSが酸化されて短寿命化してしまう場合がある。
次に、第1の近赤外線ヒータ12及び/又は第2の近赤外線ヒータ13から適宜近赤外線を炭素フォイルSに対して照射し、加熱処理を行う。この加熱処理の温度は本発明の作用効果を達成することが出来れば特に限定されるものではないが、好ましくは350℃以上、さらに好ましくは400℃以上、特に好ましくは650℃以上とする。これによって、炭素フォイルSの炭素ビルドアップ抑制の効果が増大し、イオン照射に対する長寿命化を図ることができるようになる。なお、加熱温度を650℃以上とすることにより、炭素フォイルの種類(製造方法)などに依存することなく、炭素フォイルに対する炭素ビルドアップをほぼゼロにすることができる。
また、加熱温度の上限は特に限定されるものではないが、約800−880℃である。この温度より加熱処理温度を高くしても、最早炭素ビルドアップ抑制の効果を増大させることができず、エネルギー的に不利となる。
なお、前記加熱処理時間は特に限定されるものではないが、上記同様の理由から3時間〜5時間とすることが好ましい。
また、図1に示す装置11では、第1の近赤外線ヒータ12及び第2の近赤外線ヒータ13の先端に石英パイプ121及び131が設けられているので、これらヒータからの近赤外線は炭素フォイルSに対して直接的に、効率良く導くことができる。
なお、第1の近赤外線ヒータ12及び/又は第2の近赤外線ヒータ13からの近赤外線
照射による炭素フォイルSの加熱温度は、適宜熱電対温度計17で計測する。
次いで、上述のようにして加熱処理を施した炭素フォイルSに対して、イオンビーム導入管14から、適当なイオン種、エネルギー及び電流値のイオンビームを真空チャンバー11内に導入し、炭素フォイルSに対してイオン照射を行う。また、このときの炭素フォイルSの厚さ(の増加)、すなわち炭素ビルドアップの程度はSi−SSD(半導体検出器)16で計測し、その破壊の様子は、真空チャンバー11の右上方に設けた観察装置(例えば、ビデオやカメラなど)18で観察する。
なお、図1には示していないが、炭素フォイルSのさらなる長寿命化を目的として、炭素フォイルSに対してフラッシュ加熱を施したり、スクラッド処理を施したりすることができる。
フラッシュ加熱は、上述したように、炭素フォイルSに関してカメラのフラッシュによる発熱を照射し、凹凸の微細な面を形成し表面積を大きくするような処理を言う。
また、スクラッド処理は、上述したように、炭素フォイルSを所定のターゲット枠に貼り付け、前記枠を縮めることにより前記炭素フォイルにたわみを形成し、表面積を増大させる処理を言う。
図1に示す装置を用い、本実施例においては、炭素フォイルSとして、ADフォイル及びLpフォイルに加えて、ポリビニルフィルムを貼付したクラスターフォイルを用いた。なお、ADフォイルは、ACアーク放電及びDCアーク放電の割合をそれぞれ50%とすることにより作製した。また、ポリビニルフィルムを貼付したクラスターフォイルは、DCアーク放電を通じてクラスターフォイルをガラス基板上に堆積させて形成した後、ポリビニルプラスチック溶液をジクロロエタンで希釈した溶液中に、前記ガラス基板ごと約2秒間浸漬させ、乾燥させることによって得た。なお、加熱処理は、真空チャンバー11内を4×10−4Paまで排気した後に実施した。
また、各炭素フォイルの炭素ビルドアップは、イオンビームスポット径が3.5mmであり、イオン電流値が2.0±0.5μAであり、エネルギーが3.2MeVであるNeイオンビームを照射することにより調べた。
図2に示すように、ポリビニルフィルムを貼付したクラスターフォイルにおいては、加熱処理における温度上昇に伴って炭素ビルドアップが減少していることが分かる。特に、加熱処理温度が350℃程度になると炭素ビルドアップが減少し始め、400℃程度で炭素ビルドアップ減少の度合いが増大していることが分かる。さらに、加熱処理温度が650℃程度になると、ほぼ炭素ビルドアップが消失することが分かる。
一方、図3に示すように、炭素ビルドアップの増大とともに炭素フォイルの寿命が減少していることが分かる。したがって、上述した加熱処理によって炭素ビルドアップの増大を抑制することにより、炭素フォイルのイオン照射に対する寿命を長寿命化できることが分かる。
また、図4〜図6には、炭素フォイルの相違に基づく加熱処理後の寿命変化を示すグラフである。図4は、図2及び図3と同様に、ポリビニルフィルムを貼付したクラスターフォイルに関するものであり、図5はADフォイルに関するものであり、図6はLpフォイルに関するものである。これらの図から明らかなように、いずれの炭素フォイルにおいても、加熱処理によってイオン照射に対する長寿命化を達成することができるが、特に図4に示すように、ポリビニルフィルムを貼付したクラスターフォイルにおいて、長寿命化の効果が顕著であることが分かる。但し、前記ポリビニルフィルムは、イオン照射とともに直ちに蒸発し、クラスターフォイルのみが残存するようになる。
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
例えば、図1に示す装置11においては、炭素フォイルSに対して加熱処理を施すための熱源として近赤外線ヒータを用いているが、その他の熱源、例えばレーザ光源やスパイラル状のタングステンフィラメントによる加熱源なども好ましく用いることができる。この場合、前記レーザ光源からのレーザ光を炭素フォイルに照射して加熱処理を行う。
なお、上記においては、炭素フォイルを中心に話を展開したが、本発明の方法及び装置の概念は、炭素フォイルのみならず、Al膜などの酸化物膜やBe、B、Al及びSiなどの金属膜に対しても用いることができる。また、加速器における荷電変換膜の他、高精度S/Nの物理実験用ターゲット膜、バッキングホイル、ウインドーフォイル、及びフィルターフォイルなどに好適に用いることができる。
本発明の炭素ビルドアップ抑制装置の一例を示す概略構成図である。 ポリビニルフィルムを貼付したクラスターフォイルにおける、加熱処理温度と炭素ビルドアップとの関係を示すグラフである。 ポリビニルフィルムを貼付したクラスターフォイルにおける、カーボンビルドアップ量と、イオン照射に対する寿命との関係を示すグラフである。 ポリビニルフィルムを貼付したクラスターフォイルにおける、加熱処理後の、イオン照射に対する寿命変化を示すグラフである。 ADフォイルにおける、加熱処理後の、イオン照射に対する寿命変化を示すグラフである。 Lpフォイルにおける、加熱処理後の、イオン照射に対する寿命変化を示すグラフである。
符号の説明
10 炭素ビルドアップ抑制装置
11 真空チャンバー
12 第1の近赤外線ヒータ
13 第2の近赤外線ヒータ
14 イオンビーム導入管14
15 ファラデーカップ
16 Si−SSD
17 熱電対温度計
18 観察装置
19 保持駆動手段

Claims (40)

  1. 炭素フォイルの、少なくともイオンビームが透過する部分に加熱処理を施し、前記炭素フォイルの前記イオンビームが透過する前記部分の炭素ビルドアップを抑制することを特徴とする、炭素フォイルのビルドアップ抑制方法。
  2. 前記加熱処理は、350℃以上の温度で行うことを特徴とする、請求項1に記載の炭素フォイルのビルドアップ抑制方法。
  3. 前記加熱処理は、400℃以上の温度で行うことを特徴とする、請求項2に記載の炭素フォイルのビルドアップの抑制方法。
  4. 前記加熱処理は、650℃以上の温度で行うことを特徴とする、請求項3に記載の炭素フォイルのビルドアップの抑制方法。
  5. 前記加熱処理は、真空下で行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  6. 前記加熱処理は、4×10−4Pa以下の真空下で行うことを特徴とする、請求項5に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  7. 前記加熱処理は、近赤外線を照射して行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  8. 前記加熱処理を、レーザ光線を照射して行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  9. 前記炭素フォイルは、プラスチックフィルムを張り合わせることにより補強することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  10. 前記プラスチックフィルムは、ポリビニル系のプラスチックであることを特徴とする、請求項9に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  11. 前記ポリビニル系プラスチックは、前記炭素フォイルを所定の有機溶媒で希釈した前記ポリビニル系プラスチック溶液中に浸漬し、前記炭素フォイルに対して前記ポリビニル系プラスチックを塗布して形成することを特徴とする、請求項10に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  12. 前記炭素フォイルは、クラスターフォイルであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  13. 前記クラスターフォイルの粒径が0.02μm〜0.5μmであることを特徴とする、請求項12に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  14. 前記炭素フォイルは、スクラッド処理することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  15. 前記炭素フォイルは、フラッシュ加熱処理することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  16. 前記炭素フォイルは、単位面積当たりの重量が1μg/cm以上であり、自己保持可能であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制方法。
  17. 請求項1〜16のいずれ一に記載の方法で炭素ビルドアップが抑制されたことを特徴とする、炭素フォイル。
  18. 炭素ビルドアップが生じないことを特徴とする、炭素フォイル。
  19. プラスチックフィルムを張り合わせることにより補強したことを特徴とする、請求項18に記載の炭素フォイル。
  20. 前記プラスチックフィルムは、ポリビニル系のプラスチックであることを特徴とする、請求項19に記載の炭素フォイル。
  21. 前記ポリビニル系プラスチックは、前記炭素フォイルを所定の有機溶媒で希釈した前記ポリビニル系プラスチック溶液中に浸漬し、前記炭素フォイルに対して前記ポリビニル系プラスチックを塗布して形成することを特徴とする、請求項20に記載の炭素フォイル。
  22. 前記炭素フォイルは、クラスターフォイルであることを特徴とする、請求項18〜21のいずれか一に記載の炭素フォイル。
  23. 前記クラスターフォイルの粒径が0.02μm〜0.5μmであることを特徴とする、請求項22に記載の炭素フォイル。
  24. 前記炭素フォイルは、単位面積当たりの重量が1μg/cm以上であり、自己保持可能であることを特徴とする、請求項18〜23のいずれか一に記載の炭素フォイル。
  25. 炭素フォイルを保持するための手段と、
    前記炭素フォイルを加熱するための加熱手段とを具え、
    前記炭素フォイルの、少なくともイオンビームが透過する部分を加熱し、前記炭素フォイルの前記イオンビームが透過する前記部分の炭素ビルドアップを抑制するようにしたことを特徴とする、炭素フォイルのビルドアップ抑制装置。
  26. 前記加熱は、350℃以上の温度で行うようにしたことを特徴とする、請求項25に記載の炭素フォイルのビルドアップ抑制装置。
  27. 前記加熱は、400℃以上の温度で行うようにしたことを特徴とする、請求項26に記載の炭素フォイルのビルドアップの抑制装置。
  28. 前記加熱は、650℃以上の温度で行うようにしたことを特徴とする、請求項27に記載の炭素フォイルのビルドアップの抑制装置。
  29. 前記炭素フォイルは所定の真空装置内に配置され、前記加熱手段による加熱は、前記真空装置内を排気することにより所定の真空下で行うことを特徴とする、請求項25〜28のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  30. 前記加熱は、前記真空装置内で4×10−2Pa以下の圧力下で行うようにしたことを特徴とする、請求項29に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  31. 前記加熱手段は近赤外線ヒータであり、前記炭素フォイルの加熱は近赤外線を照射して行うことを特徴とする、請求項25〜30のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  32. 前記加熱手段はレーザ光源であり、前記炭素フォイルの加熱はレーザ光線を照射して行うことを特徴とする、請求項25〜31のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  33. 前記炭素フォイルは、プラスチックフィルムを張り合わせることにより補強したことを特徴とする、請求項25〜32のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  34. 前記プラスチックフィルムは、ポリビニル系のプラスチックであることを特徴とする、請求項33に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  35. 前記ポリビニル系プラスチックは、前記炭素フォイルを所定の有機溶媒で希釈した前記ポリビニル系プラスチック溶液中に浸漬し、前記炭素フォイルに対して前記ポリビニル系プラスチックを塗布して形成したことを特徴とする、請求項34に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  36. 前記炭素フォイルは、クラスターフォイルであることを特徴とする、請求項25〜35のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  37. 前記クラスターフォイルの粒径を0.02μm〜0.5μmとしたことを特徴とする、請求項36に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  38. 前記炭素フォイルに対してスクラッド処理するためのスクラッド処理手段を具えることを特徴とする、請求項25〜37のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  39. 前記炭素フォイルに対してフラッシュ加熱処理するためのフラッシュ加熱手段を具えることを特徴とする、請求項25〜38のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
  40. 前記炭素フォイルは、単位面積当たりの重量が1μg/cm以上であり、自己保持可能としたことを特徴とする、請求項25〜39のいずれか一に記載の炭素ビルドアップの抑制装置。
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