JP2007137119A - 航空機用ラジアルタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルト耐久性の改善された航空機用ラジアルタイヤを提案する。
【解決手段】一対のビードコアと、この一対のビードコアの一方から他方に向けてトロイド状に延びる少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカス層1と、このカーカス層1のタイヤ半径方向外側のクラウン域外周面にゴム被覆した非伸張性高剛性コードを螺旋巻きした少なくとも1層の主ベルト層2と、この主ベルト層2のタイヤ半径方向外側にナイロンコードのゴム被覆からなるリボン状トリートを幅端部でそれぞれ反対方向に傾斜するように同一面内で屈曲させてジグザグ状にタイヤ周方向に延びる複数層の副ベルト層3を有する航空機用ラジアルタイヤにおいて、前記主ベルト層2と前記副ベルト層3の幅端部の層間に、コードのゴム被覆からなるトリート5を配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は航空機用ラジアルタイヤに関するものであり、該ラジアルタイヤのベルト耐久性の向上を図ろうとするものである。
従来の航空機用ラジアルタイヤは、非伸張性高剛性コードを螺旋巻きしたスパイラルベルトにて主ベルト層を構成し、その外側(タイヤ半径方向外側)に副ベルトとしてナイロンコードのゴム被覆からなるリボン状トリートを幅端部でそれぞれ反対方向に傾斜するように同一面内で屈曲させてジグザグ状にタイヤ周方向へ延びるエンドレスベルトを配置することにより、とくに、異物に対する耐久性を向上させるとともに、軽量化も達成するようにしているが、この種のラジアルタイヤは高内圧、高荷重下で使用されるため、ベルト故障を引き起こしやすい不具合があった。
ベルト故障の形態は、スパイラルベルトとエンドレスベルトの幅方向端部における層間でのセパレーションと、スパイラルベルトの幅方向端部付近でのコード相互間のセパレーションがあり、前者のセパレーションは、従来、層間にベルトと同種のゴムシートを配置して層間ゲージを確保することにより、また、後者のセパレーションについては、加硫成型に際のエンドレスベルトの収縮に追随させてスパイラルベルト内におけるコード相互間の間隔が狭くならないようにすることでその解決を図るようにしていた。
ところで、スパイラルベルトとエンドレスベルトの層間にゴムシートを配置して層間ゲージを確保する改善策を採用した場合に、加硫、成型後のゴムゲージを確保するためにシートを厚くする必要があり、これがタイヤの質量を増加させる原因になっていた。
また、この改善策では、加硫成型時の熱収縮の違いによりエンドレスベルト(ナイロン製)はタイヤの幅方向内側へ収縮するとともに層間に配置したゴムシートが圧縮され(図2参照)、さらにはスパイラルベルトを部分的に圧縮される現象が生じることから、その部位では、該スパイラルベルトのコード相互間のゲージが薄くなるだけでなく歪を増加させることとなり、これがベルトの耐久性の向上を阻害する原因になっていた。
本発明の課題は、とくに、スパイラルベルトとエンドレスベルトの層間にゴムシートを配置し層間ゲージを確保してベルトの耐久性を図る場合において生じていた上記の問題を解消するのに有利な新規な航空機用ラジアルタイヤを提案するところにある。
本発明は、一対のビードコアと、この一対のビードコアの一方から他方に向けてトロイド状に延びる少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカス層と、このカーカス層のタイヤ半径方向外側のクラウン域外周面にゴム被覆した非伸張性高剛性コードを螺旋巻きした少なくとも1層の主ベルト層と、この主ベルト層のタイヤ半径方向外側にナイロンコードのゴム被覆からなるリボン状トリートを幅端部でそれぞれ反対方向に傾斜するように同一面内で屈曲させてジグザグ状にタイヤ周方向に延びる複数層の副ベルト層を有する航空機用ラジアルタイヤにおいて、
前記主ベルト層と前記副ベルト層の幅端部の層間に、コードのゴム被覆からなるトリートを配置したことを特徴とする航空機用ラジアルタイヤである。
本発明の請求項2に係る発明においては、上記請求項1の構成になる航空機用ラジアルタイヤにおいて、前記トリートを構成するコードの角度は、タイヤ周方向に対して45〜90°とするのが望ましい。
また、本発明の請求項3に係る発明においては、前記トリートを構成するコードの直径を0.3〜1.0mmとするのが好ましい。
また、本発明の請求項4に係る発明においては、前記トリートが、前記副ベルト層に対するタイヤ幅方向に沿う重なり代が10〜30mmとなるように配置されたものとするが望ましく、本発明の請求項5に係る発明では、前記トリートは、前記主ベルト層の幅端部を包み込んで配置されたものとするのが望ましく、さらに、本発明の請求項6に係る発明においては、前記トリートが、前記主ベルト層のタイヤ半径方向内側にも配置するのが好ましい。
主ベルト層と副ベルト層の幅端部の層間に、コードのゴム被覆からなるトリートを配置すると、該主ベルト層と副ベルト層の層間ゲージを確保することができるだけでなく、加硫成型の際の副ベルト層の熱収縮に伴う主ベルト層のゲージ変化を抑制することが可能となり、ベルトの耐久性が大幅に改善される。
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明に従う航空機用ラジアルタイヤの実施の形態をタイヤの右側断面で示したものであり、図における1は一対のビードコア(図示せず)の一方から他方に向けてトロイド状に延びる1枚の例で示したカーカスプライからなるカーカス層、2はカーカス層1のタイヤ半径方向外側のクラウン域外周辺にゴム被覆した非伸張性高剛性コードを螺旋巻きした1層の例で示した主ベルト層(スパイラルベルト)、3は主ベルト層2のタイヤ半径方向外側にナイロンコードのゴム被覆からなるリボン状トリートを幅端部でそれぞれ反対方向に傾斜するように同一面内で屈曲させてジグザグ状にタイヤ周方向に延びる副ベルト層(エンドレス又は無端ベルト)である。この副ベルト3はタイヤ赤道面に対して5〜15°の角度で交差するとともに、両側プライ端において折れ曲がることによりジグザグ状にタイヤ周方向に延びるコードが全領域においてほぼ均一に埋設されたベルト構造よりなり、無端ベルト(エンドレスベルト)ともいう。
また、4は主ベルト層2と副ベルト層3の層間に配置されるゴムシート、5はコードのゴム被覆からなるトリート(コード部材)である。このトリート5は主ベルト層2と副ベルト層3の層間に配置されるもので、そのコードとしては直径が0.3〜1.0mm程度になる例えば840dtexのナイロンコードを用いることができ、タイヤ周方向に対して45〜90°の角度で、副ベルト層3に対するタイヤ幅方向に沿う重なり代tを10〜30mmの範囲に設定して配置される。
上記の構成になる航空機用ラジアルタイヤにおいては、図2に示すような従来のラジアルタイヤに比較して副ベルト層の熱収縮に伴う主ベルト層のケージ変化が抑制されるためベルトの耐久性に与える影響が極めて小さい。
本発明では、トリート5のコード角度をタイヤ周方向に対して45〜90°とするのが望ましとしたが、トリート5のコード角度が45°を下回ると、加硫成型時に副ベルト層3が幅方向に収縮する影響を主ベルト層2が受け易くなるからであり、これにより該主ベルト層2内のコードとコードとの間隔を一定の値に確保するのが困難となるからである。
コードの径は0.3〜1.0mmとするのが好ましいのは、コード径が1.0mmを超えるとトリート5による段差が大きくなり、ベルト性状を乱してベルトの幅端部でのセパレーション性能の改善効果を小さくしてしまうからであり、0.3mmに満たないと加硫成型時に副ベルト層3が幅方向に収縮する影響を主ベルト層2が受け易くなり主ベルト層2内のコードとコードの間隔を一定に保つ効果が小さくなるからである。
トリート5の副ベルト層3に対するタイヤ幅方向に沿う重なり代tについては10〜30mmとするのがよいが、その理由は、重なり代tが10mm未満では、層間のせん断力が集中する部分のゲージを確保することができないからであり、一方、30mmを越えた場合には、ベルトの幅端部におけるセパレーション改善効果が増大せずタイヤの重量を増加させてしまうだけになるからである。
主ベルト層2の枚数が少なく、副ベルト層3の枚数が多くなるタイヤにおいては、加硫成型時の副ベルト層3の幅方向における変化が大きくなるが、このような変化の影響を軽減するため、トリート5は図3に示すように、前記主ベルト層2の幅端部を包み込むように配置するか、あるいは図4に示すように主ベルト層2のタイヤ半径方向内側に配置する。
サイズが1270×455R22 32PRで、表1に示す如き構造になる航空機用ラジアルタイヤを製作し、下記の試験条件のもとで、ベルト故障(主ベルト層と副ベルト層の幅端部層間のセパレーション及び主ベルト層内のコード〜コード間のセパレーション)に至るまでの走行距離(従来例を100とする指数表示)について調査した。その結果を表1に合わせて示す。
試験条件
・試験内圧:正規内圧の90%
・試験荷重:正規荷重の95%
・試験速度:17.9m/s
・走行時間:4分
・試験間隔:60分
表1より明らかな如く、本発明に従うラジアルタイヤは、従来例のタイヤと比較した場合にベルト耐久性が格段に改善されたことが確認された。
Figure 2007137119
ベルト耐久性の高い航空機用ラジアルタイヤが提供できる。
本発明に従う航空機用ラジアルタイヤの実施の形態をタイヤの右側断面について示した図である。 従来の航空機用ラジアルタイヤの右側断面を示した図である。 トリートの配置例を示した図である。 トリートの別の配置例を示した図である。
符号の説明
1 カーカス層
2 主ベルト層
3 副ベルト層
4 ゴムシート
5 トリート

Claims (6)

  1. 一対のビードコアと、この一対のビードコアの一方から他方に向けてトロイド状に延びる少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカス層と、このカーカス層のタイヤ半径方向外側のクラウン域外周面にゴム被覆した非伸張性高剛性コードを螺旋巻きした少なくとも1層の主ベルト層と、この主ベルト層のタイヤ半径方向外側にナイロンコードのゴム被覆からなるリボン状トリートを幅端部でそれぞれ反対方向に傾斜するように同一面内で屈曲させてジグザグ状にタイヤ周方向に延びる複数層の副ベルト層を有する航空機用ラジアルタイヤにおいて、
    前記主ベルト層と前記副ベルト層の幅端部の層間に、コードのゴム被覆からなるトリートを配置したことを特徴とする航空機用ラジアルタイヤ。
  2. 前記トリートを構成するコードの角度がタイヤ周方向に対して45〜90°であることを特徴とする請求項1記載の航空機用ラジアルタイヤ。
  3. 前記トリートを構成するコードの直径が0.3〜1.0mmであることを特徴とする請求項1または2記載の航空横用ラジアルタイヤ。
  4. 前記トリートは、前記副ベルト層に対するタイヤ幅方向に沿う重なり代が10〜30mmになるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の航空機用ラジアルタイヤ。
  5. 前記トリートは、前記主ベルト層の幅端部を包み込んで配置されたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の航空機用ラジアルタイヤ。
  6. 前記トリートは、前記主ベルト層のタイヤ半径方向内側に配置したことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の航空機用ラジアルタイヤ。
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