JP2007135425A - 実汚染土壌を効率よく浄化する微生物および浄化方法 - Google Patents

実汚染土壌を効率よく浄化する微生物および浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実汚染土壌の浄化に好適なバイオレメディエーション技術を提供すること。
【解決手段】ロドコッカス(Rhodococcus)属又はゴルドニア(Gordonia)属に属する微生物であって、土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量に基づき求められる土壌バクテリア数を一定値以上とする能力を有する、土壌浄化微生物。土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数を指標として微生物の評価を行う土壌浄化微生物のスクリーニング方法。並びに、土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数を指標として、土壌浄化処理を行う土壌浄化方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、微生物を用いた土壌浄化技術に主に関する。より詳細には、実汚染土壌を効率よく浄化する微生物および浄化方法に関する。
汚染土壌の浄化技術として、微生物の汚染物質分解能を利用したバイオレメディエーションが注目されている。バイオレメディエーションは、原位置での処理が可能であり、従来の物理的・化学的浄化技術と比較すると、10分の1のコストで処理を行うことが可能である。このような理由から、バイオレメディエーションは、今後の主要な土壌浄化技術の一つとして特に重視されている。
バイオレメディエーションで利用される土壌バクテリアは、汚染源を分解する働きをするが、それと同時に汚染源の毒性の影響も受ける。そのため、バイオレメディエーションを効率よく行うためには、土壌の汚染状況の把握と並び、土壌バクテリアの働きを把握することが重要である。
土壌バクテリアの検出方法としては、プレート法やDAPI(4',6diamino-2-phenylindole dihydrochloride)染色法等が知られている。しかしながら、プレート法によるバクテリアの検出は、操作が煩雑で時間がかかる上、実際に存在する微生物の0.1〜1%程度しか検出できず、特定の微生物の状況が把握できるに過ぎない。また、DAPI染色法によるバクテリアの検出は、操作が煩雑で時間がかかる。これに対し、最近、土壌等の環境から採取した試料からDNAを抽出し、該DNA量を定量して得られる環境DNA量を指標として、簡潔かつ迅速に、環境特性を診断する方法が報告されている(特許文献1参照)。
一方、模擬汚染土壌において、炭化水素や油分に対する分解能が確認された微生物がこれまで報告されている(特許文献2〜4参照)。
しかし、模擬汚染土壌と比較し、実際の汚染土壌のバイオレメディエーションでは、汚染物質の組成の変化や土壌中の微生物叢、ラージスケールでのバイオレメディエーションの浄化作用など、ラボスケールの模擬汚染土壌とは大きく異なる点を含む。
そのため、ラージスケールの実汚染土壌の浄化等の実用化により適したバイオレメディエーション技術の開発が望まれている。
特開2004−337027号公報 特開2003−102469号公報 特開2004−113197号公報 特開2004−121068号公報
本発明は、実汚染土壌に好適な土壌浄化能力を有する微生物、該微生物のスクリーニング方法、並びに実汚染土壌の浄化に適した土壌浄化方法を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、試料単位重量当りのDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数を指標とすることで、実汚染土壌に適した微生物の土壌浄化能力を適切に評価し得ること、更に、土壌バクテリア数を指標とすることで、実汚染土壌の浄化を効率よく実施できることを見出し、更に検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明には、下記微生物、微生物のスクリーニング方法及び土壌浄化方法に関する技術が含まれる。
項1A:ロドコッカス属に属する微生物であって、
油分濃度約10,000ppmの土壌50gに、当該微生物を1×108個/g−soil植菌する場合、14日後における土壌の残存油分濃度を4,500ppm以下、好ましく4,000ppm以下、更に好ましくは3,800ppm以下とし、かつ、該土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量に基づき求められる土壌バクテリア数を3.5×10cells/g−soil以上、好ましくは4.0×10cells/g−soil以上、更に好ましくは5.0×10cells/g−soil以上、とする土壌浄化能力を有する、土壌浄化微生物。
項1B:100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)にシクロアルカンを1%(w/w)添加した土壌に、当該微生物を1%(v/w )植菌する場合、28日後のシクロアルカン分解率が23%以上、特に23.3%以上である分解能力を有する項1Aに記載の微生物。
好ましい態様は、100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)にシクロアルカンを1%(w/w)添加した土壌に、当該微生物を1%(v/w )植菌する場合、14日後のシクロアルカン分解率が18%以上、特に20%以上、更に21%以上であり、28日後のシクロアルカン分解率が23%以上、特に23.3%以上である分解能力を有する項1Aに記載の微生物。
項1C:下記(a)又は(a1)のDNAを含むalk遺伝子を有する、項1A又は1Bに記載の微生物:
(a)配列番号1に示す塩基配列からなるDNA
(a1)配列番号1に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズし、かつシクロアルカン分解活性を有するタンパク質をコードするDNA。
項1D:配列番号2に示される塩基配列を含む16SrDNAを有する、項1A〜Cのいずれかに記載の微生物。
項2:土壌浄化能力を有するロドコッカスsp. RN1 (Rhodococcus sp. RN1)株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受領番号FERM AP-20708)。
項2の態様には、項1A〜1Dのいずれかに記載の微生物である、ロドコッカスsp. RN1 (Rhodococcus sp. RN1)株が含まれる。
項3A:ゴルドニア属に属する微生物であって、
油分濃度約10,000ppmの土壌50gに、当該微生物を1×108個/g-soil植菌する場合、14日後における該土壌の残存油分濃度を4,000ppm以下、好ましくは3,800ppm以下、更に好ましくは3,500ppm以下とし、かつ、該土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量に基づき求められる土壌バクテリア数を3.5×10cells/g−soil以上、好ましくは3.6×10cells/g−soil以上、更に好ましくは3.8×10cells/g−soil以上とする土壌浄化能力を有する土壌浄化微生物。
項3B:100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)にシクロアルカンを1%(w/w)添加した土壌に、当該微生物を1%(v/w )植菌する場合、28日後のシクロアルカン分解率が15%以上、特に17%以上である分解能力を有する項3Aに記載の微生物。
好ましい態様は、100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)にシクロアルカンを1%(w/w)添加した土壌に、当該微生物を1%(v/w )植菌する場合、14日後のシクロアルカン分解率が2.7%以上、特に3%以上、更に4%以上、28日後のシクロアルカン分解率が15%以上、特に17%以上である分解能力を有する項3Aに記載の微生物。
項3C:下記(b)又は(b1)のDNAを含むalk1遺伝子:
(b)配列番号3に示す塩基配列からなるDNA、
(b1)配列番号3に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ炭化水素分解活性を有するタンパク質をコードするDNA
及び、下記(c)又は(c1)のDNAを含むalk2遺伝子:
(c)配列番号4に示す塩基配列からなるDNA
(c1)配列番号4に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ炭化水素分解活性を有するタンパク質をコードするDNA
を有する、項3A又は3Bに記載の微生物。
項3D:配列番号5に示される塩基配列を含む16SrDNAを有する項3A〜3Cのいずれかに記載の微生物。
項4:土壌浄化能力を有するゴルドニアsp. RN2(Gordonia sp. RN2)株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受領番号FERM AP-20709)。
項4の態様には、項3A〜3Dのいずれかに記載の微生物であるゴルドニアsp. RN2(Gordonia sp. RN2)株が含まれる。
項5:項1A〜1D、項2、項3A〜3D又は項4のいずれかに記載の微生物を対象土壌に投入することを特徴とする土壌浄化方法。
項5A:項1A〜1D、項2、項3A〜3D又は項4のいずれかに記載の微生物を含有する土壌浄化剤。
項6A:土壌に被検微生物を投入し、
該微生物を投入した土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数を指標として、被検微生物を評価することを特徴とする土壌浄化微生物のスクリーニング方法。
項6B:土壌バクテリア数に加えて、土壌中の汚染物質の分解率を指標として、被検微生物を評価する、項6Aに記載のスクリーニング方法。
項7:項6A又は6Bに記載の方法によりスクリーニングされた微生物を、対象土壌に投入することを特徴とする土壌の浄化方法。
項8A:対象土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数を指標として、前記対象土壌に(i)土着微生物活性化成分の投入、及び(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入から選ばれる少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする、土壌浄化方法。
項8B:土壌バクテリア数が予め設定された基準値を下回る場合に、対象土壌に(i)土着微生物活性化成分の投入、及び(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入から選ばれる少なくとも1つの処理を行う項8Aに記載の土壌浄化方法。
項8C:対象土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数及び土壌中の汚染物質濃度を指標として、前記対象土壌に(i)土着微生物活性化成分の投入、及び(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入から選ばれる少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする、項8A又は8Bに記載の浄化方法。
項8D:汚染物質が油分である項8A〜8Cのいずれかに記載の浄化方法。
項8E:汚染物質分解能を有する微生物が、項1A〜1D、項2、項3A〜3D又は項4のいずれかに記載の土壌浄化微生物である項8A〜8Dのいずれかに記載の浄化方法。
項8F:前記土壌バクテリア数の経時変化をモニタリングする工程を有し、
該モニタリングされる土壌バクテリア数を指標として、対象土壌に(i)土着微生物活性化成分の投入及び(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入から選ばれる少なくとも1つの処理を行う処理を行うことを特徴とする、項8A〜8Eのいずれかに記載の土壌の浄化方法。
換言すると、(1)対象土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数土壌バクテリア数の経時変化をモニタリングする工程、及び
該モニタリングされる土壌バクテリア数を指標として、対象土壌に(i)土着微生物活性化成分の投入、及び(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入から選ばれる少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする、項8A〜8Eのいずれかに記載の土壌浄化方法。
項8G:土壌バクテリア数を指標として土壌の浄化状況を診断する工程を更に有する、項8A〜8Fのいずれかに記載の浄化方法。
以下、本発明について、更に、詳細に説明する。
土壌バクテリア数
本発明において、土壌バクテリア数とは、対象土壌から採取した試料単位重量当たりに存在するDNA量(以下、「環境DNA量」又は「eDNA量」ともいう。)に基づいて求められる土壌中のバクテリアの数を表す。なお、本明細書では、土壌バクテリア数を、土壌微生物数と称する場合もある。
単位重量が1gである場合、その数は、対象土壌(又は試試料)単位重量あたりの数(cells/g-soil又はcells/g-sample)の単位で表すことができる。
なお、ここでいうDNA量とは、対象土壌から採取した試料単位重量当たりに存在するDNAの量を示す。より詳細には、DNAの由来に関わらず、該試料単位重量当たりに存在するDNAの総量を示す。
土壌バクテリア数は、対象土壌から採取した試料単位重量当たりに存在するDNA量を、適当な手法で換算することにより求めることができる。
例えば、顕微鏡等の測定手段を用いて、予め土壌中の土壌バクテリアの数とDNA量との相関関係を求めておき、採取した試料から測定されたDNA量を該相関関係に照合することによって、求めることができる。
好ましい態様の一例において、土壌バクテリア数は、対象土壌から採取した試料の単位重量あたりのDNA量を、下記(式1)により換算することによって求められる。
Figure 2007135425
試料中に存在する全てのバクテリアに由来するDNAの総量は、対象土壌の総合的な特性や状況が反映している。従って、対象土壌から採取した試料単位重量当たりに存在するDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数は、土壌の特性や土壌中のバクテリアの働きの状況を把握する指標となる。
例えば、畑の土などに存在する土壌バクテリア数は1.0×1010 cells/g-soil程度であるのに対し、汚染土壌中の土壌バクテリア数は1.0×107cells/g-soil程度である。
水田や畑などの農地等の土壌では、土壌バクテリア数が多い程、農作物生育が良好であり、収穫量が多くなるという傾向がみられる。また汚染土壌では、汚染の程度が高い程、土壌バクテリア数が少ない傾向にある。
このように、土壌バクテリア数は、土壌の状況や土壌中のバクテリアの働きの状況を示す好適な指標となる。
実際の土壌は、汚染物質の組成の変化や土壌中の微生物叢、ラージスケールでのバイオレメディエーションの浄化作用などにより、複雑な環境下にある。このため、従来は、土壌の特性やバクテリアの状況を数値化して把握したり、比較したりすることは困難とされていた。しかし、土壌バクテリア数を用いることによって、実際の現場の土壌の状況や土壌中のバクテリアの働きの状況を数値化して把握したり評価したりすることが可能となる。
対象土壌から採取した試料
対象土壌の種類は、特に限定されず、浄化が必要とされる土壌や汚染土壌から適宜選択して設定される。特に、本発明は、実際の汚染現場における土壌である実汚染土壌、例えば実石油汚染土壌に対して有効に用いることができる。実汚染土壌には、例えば、工場跡地、工場敷地、ガソリンスタンド跡地、焼却場等における土壌等が含まれる。
対象土壌に含まれる汚染物質の種類は、特に限定されないが、具体的な物質には、例えば、石油や油分が含まれる。油分には、n−ヘキサンや四塩化炭素等で抽出される炭化水素、炭化水素誘導体が含まれる。さらに、油分には、原油、重油、軽油、灯油、ガソリン等の燃料油、エンジンオイル、潤滑油等の鉱物油、ラード、サラダ油等の食品の動植物油等に由来する脂肪族炭化水素や脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、多環式芳香族炭化水素(PAHs)等の炭化水素及び炭化水素誘導体等も含まれる。脂環式炭化水素には、シクロアルカンやシクロアルケンが含まれる。
対象土壌から採取された試料とは、上記対象土壌から採取(サンプリング)される土壌のことである。採取方法は特に限定されず、適宜公知の方法に従って行うことができる。
採取条件も適宜設定し得るが、対象土壌における微生物の状況を適正に判断するという観点から、試料の採取は、雨等によって対象土壌が通常の状態でない時期を避けて行うことが好ましい。
試料単位重量あたりのDNA量
対象土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量は、診断対象の土壌から採取した試料に存在するDNAを溶出し、該DNAの量を定量することにより測定することができる。
対象土壌から採取した試料におけるDNA量の測定は、試料を取得した後、直ちに行うことが望ましいが、取得された試料を、低温(例えば−4〜−80度程度、好ましくは−20〜−80度程度)で1日〜3週間程度保存しておくこともできる。
該試料に含まれる全微生物からDNAを溶出する方法としては、DNAが顕著に分解或いはせん断され、その定量に悪影響が及ぼされるものでない限り、特に制限されない。
例えば、当該DNAの溶出方法の一態様として、該試料をDNA溶出溶液で処理する方法を挙げることができる。
ここで使用されるDNA溶出溶液としては、バクテリアからDNAを溶出するために一般的に使用されている溶液を挙げることができる。
具体的には、当該DNA抽出用溶液としては、EDTA、EGTA等のDNA分解酵素の阻害剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン性界面活性剤を含む溶液及び/又はそれらを含む緩衝液等を用いることができる。また、緩衝液には、プロテイナーゼK、サーモライシン、サチライシン等のタンパク質分解酵素を含有させることもできる。各成分の配合割合は、DNAの抽出を著しく阻害しない範囲で適宜設定することができる。
上記DNA溶出溶液を用いたDNAの溶出処理において、DNAの溶出条件については、特に制限されない。例えば、溶出処理に供される土壌1gに対して、上記DNA抽出溶液を2〜20ml、好ましくは5〜15ml、更に好ましくは8〜12mlを添加混合することにより、DNAの溶出を行うことができる。
また、溶出温度については、使用するDNA溶出溶液や溶出処理に供される土壌の種類等に応じて、適宜設定することができる。
溶出時間については、使用するDNA抽出用溶液の種類、溶出処理に供される土壌の種類、溶出温度等によって異なり、一律に規定することはできないが、一例として、0.1〜4時間、好ましくは0.2〜2時間、更に好ましくは0.3〜1時間を挙げることができる。
かくして溶出されたDNAを定量することによって、対象土壌に存在するDNA量を求めることができる。
DNAの定量方法は、特に制限されず、例えば、溶出されたDNAを、必要に応じて精製し、回収して、公知又は慣用のDNA定量方法により定量することができる。
具体的に、DNAの定量方法としては、精製することにより回収したDNAをアガロースゲル電気泳動に供した後に、臭化エチジウムで該DNAを染色して、ゲル上のDNAのバンドの蛍光強度を測定する方法を挙げることができる。
また例えば、精製することにより回収したDNAを緩衝液に溶解して、該溶液の260nmの吸光度を測定する方法を挙げることもできる。
DNAを精製する方法も、特に制限されず、常法に従って行うことができる。例えば、DNAを精製する方法としては、上記のようにしてDNA溶出処理した後の溶液を遠心分離して、その上清を回収する工程;前記工程で得られた上清に、クロロホルム、クロロホルム−イソアミルアルコール又はフェノール等の上記上清と層分離する不純物除去用溶液を添加して、混合する工程;前記工程で得られた混合液からDNAを含有する層を取り出すことにより、不純物を除去する工程、及び前記工程で得られたDNAを含有する層にイソプロピルアルコール、エタノール又はポリエチレングリコール等のDNA沈殿剤を添加してDNAを沈殿させ、これを回収する工程を含有する方法を挙げることができる。
なお、DNAの抽出効率は、対象土壌の種類によって異なることがあるため、予め各試料におけるDNAの抽出効率を測定しておき、当該抽出効率に基づいて各対象試料毎に補正を行った上で、そのDNA量を求めることが望ましい。
ここでいうDNA抽出効率とは、該対象土壌から採取した試料中に含まれるDNA量に対して、該試料から実際に溶出・定量されるDNA量の割合を意味する。
上記のように測定されたDNA量から、上述の方法に従って、土壌バクテリア数を求める
ことができる。
土壌浄化微生物
本発明によれば、実汚染土壌、特に実石油汚染土壌の浄化に好適な微生物が提供される。
実汚染土壌の浄化が好適に行われるためには、浄化に利用される微生物が、汚染物質の分解能を有するだけでなく、実汚染の現場で該能力を有効に発揮することが求められる。当該能力は、上記対象土壌から採取した試料単位重量当たりに存在するDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数を指標とすることで、適切に特徴付けることができる。
(i)ロドコッカス属に属する土壌浄化微生物
本発明における土壌浄化微生物には、
ロドコッカス属に属する微生物であって、
油分濃度約10,000ppmの土壌50gに、当該微生物を1×108個/g−soil植菌する場合、14日後における土壌の残存油分濃度が4,500ppm以下、好ましく4,000ppm以下、更に好ましくは3,800ppm以下とし、かつ、該土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量に基づき求められる土壌バクテリア数を3.5×10cells/g−soil以上、好ましくは4.0×10cells/g−soil以上、更に好ましくは5.0×10cells/g−soil以上、とする土壌浄化能力を有する、土壌浄化微生物が含まれる。
ここで、油分濃度とは、土壌(サンプル)をガスクロマトグラフィー(GC)分析し、ピーク面積を測定して、下記(式2)にあてはめて得られる値を示す。ガスクロマトグラフフィー分析条件は表1に示すとおりである。模擬汚染土壌は、予め珪砂(EX NANIWA、大阪)に10,000 ppmになるようにA重油を添加して作製されるものである。油分濃度は、サンプルの含水率を測定し補正して算出される。
Figure 2007135425
Figure 2007135425
なお、本明細書において、土壌浄化能力とは、汚染物質分解能力に限らず、実際の土壌における生存能力や汚染物質に対する耐性などを、総合的に評価した能力である。
上記微生物は、特に、難分解性炭化水素であるシクロアルカンの分解能力に優れたものであることが好ましい。
具体的に、上記土壌浄化微生物の好ましい態様には、100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)にシクロアルカンを1%(w/w)添加した土壌に、当該微生物を1%(v/w )植菌する場合、28日後にシクロアルカン分解率を23%以上、特に23.3%以上
とする分解能力を有するものが含まれる。
中でも、100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)にシクロアルカンを1%(w/w)添加した土壌に、当該微生物を1%(v/w )植菌する場合、14日後のシクロアルカン分解率が18%以上、特に20%以上、更に21%以上であり、28日後のシクロアルカン分解率が23%以上、特に23.3%以上である分解能力を有するものが好ましい。
なお、本明細書において、シクロアルカン分解率とは、クロロホルム・メタノール抽出
方法により、以下の方法で、算出されるものである。
クロロホルム:メタノール=3:1の割合で混合液を作り、計測するサンプルにクロロホルム−メタノール混合液を30ml加え、よく攪拌する。次いで、300mlのクロロホルム−メタノール抽出用遠心チューブに入れる。4,000×gで30分間、温度20℃で遠心分離する。上層の水層部分を除去し、中間層と下層を50mlの遠心チューブに移し、10,000×gで10分間遠心分離する。上層と中間層を取り除き、下層のクロロホルム層をあらかじめ重量測定したシャーレに5ml入れ、室温で24時間乾燥させる。クロロホルムを乾燥させ除去し終わったシャーレの重量を測定する。比較のために、菌株を植菌していないサンプルを用いこれをコントロールとする。
測定した数値を下記式に入れることにより、分解率が求められる。
Figure 2007135425
また、上記ロドコッカス属に属する土壌浄化微生物の好ましい態様には、alk遺伝子を有する微生物が含まれる。
ここで、alk遺伝子とは、下記(a)又は(a1)のDNA:
(a)配列番号1に示す塩基配列からなるDNA
(a1)配列番号1に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズし、かつシクロアルカン分解活性を有するタンパク質をコードするDNA
を含む遺伝子である。
ロドコッカス属に属する微生物の中でも、上記alk遺伝子を有するものは、シクロアルカン分解能力に特に優れている。
なお、本明細書において、「ストリンジェントな条件」とは、特異的なハイブリダイゼーションのみが起き、非特異的なハイブリダイゼーションが起きないような条件をいう。このような条件とは、通常、「1xSSC,0.1%SDS,37℃」程度であり、好ましくは「0.5xSSC,0.1%SDS,42℃」程度であり、更に好ましくは、「0.2xSSC,0.1%SDS,65℃」程度である。
配列番号1に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAは、配列番号1に示す塩基配列からなるDNAと通常高い相同性を有する。
本明細書において、高い相同性とは、90%以上の相同性、好ましくは95%以上の相同性、更に好ましくは97%以上の相同性を指す。
また、上記土壌浄化微生物の好ましい態様には、配列番号2に示される塩基配列を含む16SrDNAを有するものが含まれる
特に、上記alk遺伝子を有し、配列番号2に示す塩基配列を含む16SrDNAを有する微生物は、実石油汚染土壌におけるシクロアルカン分解能力が高く、好ましい。
また、本発明の土壌浄化微生物の好ましい例には、ロドコッカスRN1株が含まれる。
ロドコッカスRN1株は、上記alk遺伝子及び配列番号2に示す塩基配列を含む16SrDNAを有しており、公知のロドコッカス属に属する微生物と比べて、実石油汚染土壌における浄化能力に優れており、シクロアルカン分解能にも優れている。
より詳細に、ロドコッカスRN1株は、実汚染土壌において優れた土壌浄化能力を示し、上述の油分濃度約10,000ppmの土壌50gに、当該微生物を1×108個/g植菌する場合、14日後における該土壌の残存油分濃度を3,800ppm以下とし、及び、該土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量に基づき求められる土壌バクテリア数を5.0×10cells/g−soil以上とする能力を有する。
また、ロドコッカスRN1株は、100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)にシクロアルカンを1%(v/w)添加した土壌に、当該微生物を1%(w/w )植菌する場合、14日後のシクロアルカン分解率を21%以上、28日後のシクロアルカン分解率を23%以上とする分解能力を有する。
なお、本菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにRhodococcus sp. RN1株(受領番号FERM AP-20708)として寄託されている(寄託日:平成17年11月10日)。
(ii)ゴルドニア属に属する微生物
本発明における土壌浄化微生物には、
ゴルドニア属に属する微生物であって、
油分濃度約10,000ppmの土壌50gに、当該微生物を1×108個/g-soil植菌する場合、14日後における該土壌の残存油分濃度を4,000ppm以下、好ましくは3,800ppm以下、更に好ましくは3,500ppm以下とし、かつ、該土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量に基づき求められる土壌バクテリア数を3.5×10cells/g−soil以上、好ましくは3.6×10cells/g−soil以上、更に好ましくは3.8×10cells/g−soil以上とする能力を有する、土壌浄化微生物が含まれる。
ここで、油分濃度とは、上記と同様に、土壌(サンプル)をガスクロマトグラフィー(GC)により表1の条件で分析してピーク面積を測定し、上記(式2)にあてはめて得られる値を意味する。
特に、上記微生物は、難分解性炭化水素であるシクロアルカンの分解能に優れたものであることが好ましい。
好ましい態様には、100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)にシクロアルカンを1%(w/w)添加した土壌に、当該微生物を1%(v/w )植菌する場合、28日後のシクロアルカン分解率が15%以上、特に17%以上である分解能力を有する微生物が含まれる。
中でも、100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)にシクロアルカンを1%(w/w)添加した土壌に、当該微生物を1%(v/w )植菌する場合、14日後のシクロアルカン分解率が2.7%以上、特に3%以上、更に4%以上であり、28日後のシクロアルカン分解率が15%以上、特に17%以上である分解能力を有するものが好ましい。
また、上記ゴルドニア属に属する土壌浄化微生物の好ましい態様には、alk1遺伝子及びalk2遺伝子を有するものが含まれる。
ここでalk1遺伝子は、下記(b)又は(b1)のDNAを含む遺伝子である。
(b)配列番号3に示す塩基配列からなるDNA
(b1)配列番号3に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズし、かつシクロアルカン分解活性を有するタンパク質をコードするDNA
また、alk2遺伝子は下記(c)又は(c1)のDNAを含む遺伝子である。
(c)配列番号4に示す塩基配列からなるDNA
(c1)配列番号4に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズし、かつシクロアルカン分解活性を有するタンパク質をコードするDNA。
配列番号3に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAは、配列番号3に示す塩基配列からなるDNAと通常高い相同性を有する。
配列番号4に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAは、配列番号4に示す塩基配列からなるDNAと通常高い相同性を有する。
ゴルドニア属に属する微生物の中でも、上記alk1遺伝子及びalk2遺伝子を共に有するものは、シクロアルカンの分解能力に優れている。
また、上記ゴルドニア属に属する本発明の土壌浄化微生物は、配列番号5に示す塩基配列を含む16SrDNAを有するものであることが好ましい。
特に、上記alk1遺伝子及びalk2遺伝子を有し、配列番号5に示す塩基配列を含む16SrDNAを有する微生物が、実汚染土壌におけるシクロアルカンの分解能力が高く、好ましい。
本発明における土壌浄化微生物の好適な例には、ゴルドニアRN2株が含まれる。
ゴルドニアRN2株は、alk1遺伝子及びalk2遺伝子を有し、並びに配列番号5に示す16SrDNAを有しており、公知のゴルドニア属に属する微生物と比べて、実石油汚染土壌における浄化能力に優れており、シクロアルカン分解能力にも優れている。
より詳細に、ゴルドニアRN2株は、実汚染土壌において優れた土壌浄化能力を示し、上記した油分濃度約10,000ppmの土壌50gに、当該微生物を1×108個/g植菌する場合、14日後における土壌の残存油分濃度を3,500ppm以下、及び、該土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量に基づき求められる土壌バクテリア数を3.8×10cells/g−soil以上、とする能力を有する。
また、ゴルドニアRN2株は、100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)にシクロアルカンを1%(w/w)添加した土壌に、当該微生物を1%(v/w )植菌する場合、14日後のシクロアルカン分解率が4%以上であり、28日後のシクロアルカン分解率が15%以上である分解能力を有する。
なお、本菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、Gordonia sp. RN2(受領番号FERM AP-20709)として寄託されている(寄託日:平成17年11月10日)。
土壌浄化剤
本発明の土壌浄化微生物を、公知の方法に従って、適宜製剤化することにより、土壌浄化剤とすることができる。
本発明の土壌浄化剤は、上記土壌浄化微生物を有効成分として含んでおり、実汚染土壌の浄化に好適に用いられる。
土壌浄化剤は、土壌浄化微生物そのものからなるものであってもよく、製剤学的に許容される担体や添加剤などの他の成分を含むものであっても良い。また、浄化微生物1種のみを含むものでもよく、他の土壌浄化能力を有する微生物や汚染物質分解能を有する微生物を更に含むものであってもよい。
他の成分としては、例えば、適当な培地や、有機化合物、無機化合物、及び/又は肥沃土壌等が挙げられる。
これら他の成分の配合割合は、本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定することができる。
土壌浄化剤の形態も、特に制限されず、例えば、固形製剤、液状製剤等の形態として使用することができる。
土壌浄化微生物のスクリーニング方法
本発明によれば、土壌バクテリア数を指標とすることにより、実汚染土壌の浄化に好適な微生物を効率よくスクリーニングする方法が提供される。
本発明におけるスクリーニング方法は、土壌に被検微生物を投入し、該微生物を投入した土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数を指標として、被検微生物の土壌浄化能力を評価することを特徴とする。
本発明におけるスクリーニング方法の具体的態様には、
対象土壌に被検微生物を投入し;
前記対象土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量を測定し、該DNA量に基づいて、土壌バクテリア数を求め;
前記土壌バクテリア数の経時変化をモニタリングして、その挙動から被検微生物の土壌浄化能力を評価する工程;
を有する方法が含まれる。
土壌浄化能力の評価は、例えば、以下のように行うことができる。
(1)モニタリングにおいて、土壌バクテリア数が増加した場合は、土壌浄化能力が高いと評価し、土壌バクテリア数が減少した場合には、土壌浄化能力が低いと評価する。
(2)モニタリングにおいて、土壌バクテリア数が予め設定された基準値を超えた場合は、土壌浄化能力が高いと評価し、土壌バクテリア数が予め設定された基準値を満たさない場合には、土壌浄化能力が十分でないと評価する。
このような評価を行って、土壌浄化能力が高いと評価される微生物を選択することにより、土壌浄化に好適な微生物を効率良くスクリーニングすることができる。
土壌バクテリア数は、対象土壌の総合的な特性や状況を反映しているため、土壌浄化能力を適切に評価することができる。
例えば、汚染物質の分解能が高い微生物であっても、実汚染の現場において十分に生育できない微生物は、土壌バクテリア数を十分に増加させることが困難である。一方、土壌バクテリア数を増加させる能力を有する微生物は、実汚染の現場において、十分な働きを示し、土壌をより良好な状態とすることができる。
従って、土壌バクテリア数を指標に用いる本発明のスクリーニング方法は、実汚染土壌の浄化に適した微生物を効率よく選択することを可能にする。
本発明のスクリーニング方法においては、更に、土壌バクテリア数以外の適当な指標を加えて、微生物の評価を行ってもよい。
例えば、土壌バクテリア数と共に土壌中の汚染物質濃度の経時変化をモニタリングし、土壌バクテリア数に加えて、汚染物質の分解率を指標として、微生物の土壌浄化能力を評価することもできる。
この際、汚染物質毎の濃度をモニタリングすることにより、微生物がどの物質を選択的に分解する能力を有するかの評価を行うこともできる。
上記のような方法で、スクリーニングされる微生物としては、例えば、ゴルドニアsp.RN2株やロドコッカスsp.RN1株を挙げることができる。
更に、このようなスクリーニングで得られた微生物を土壌に投入することを含む、土壌浄化方法は、特に実汚染土壌の浄化方法として好適に用いることができる。
土壌浄化方法
本発明によれば、対象土壌から採取した試料の単位重量当たりに存在するDNA量を測定し、該DNA量に基づいて求められた土壌バクテリア数を指標として、土壌浄化のための処理を行うことを特徴とする土壌浄化方法が提供される。
上述のように、土壌バクテリア数は土壌の状況を反映している。このため、土壌バクテリア数を指標として、土壌浄化のための処理を行うことにより、土壌の浄化を効率よく行うことができる。
土壌浄化のための処理の手順や内容は、予め所定のパターンを設定しておいてもよく、またモニタリングの状況を見ながら適宜設定することもできる。
(1)処理内容
土壌浄化の処理の好ましい態様には、(i)土着微生物活性化成分の投入、及び(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入から選ばれる少なくとも1つの処理を行うことが含まれる。
換言すると、(i)又は(ii)のいずれかの一方の処理を行ってもよく、(i)及び(ii)の処理を同時に行ってもよい。
(i)土着微生物活性化成分の投入
土着微生物活性化成分は、土壌中に生息する微生物を活性化して、汚染物質の分解又は土壌の浄化を促進するものであれば、特に限定されない。
具体的に、土着微生物活性化成分には、有機化合物、無機化合物などが含まれる。また水分や酸素等も含まれる。
このうち、特に、有機化合物、或いは、有機化合物と無機化合物との混合物が、土着微生物の生育がより効果的に進むため、好ましく用いられる。
投入方法も特に限定されず、公知の方法に従って、適宜設定することができる。例えば、活性化成分を適当な土壌に予め混入させ、肥沃土壌の形態として投入してもよい。また、適当な溶媒等に溶解して投入してもよい。
また複数の活性化成分を予め混合した形態として土壌に一斉に投入してもよく、或いは複数回に分けて土壌に投入してもよい。
また、投入量も、本発明の効果を奏する範囲内で、適宜設定することができる。
(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入
汚染物質分解能を有する微生物は、対象土壌に含まれる汚染物質を分解し、土壌の浄化を促進するものであれば、特に限定されず、公知の微生物から適宜選択し得る。また、投入量も本発明の効果を奏する範囲で適宜設定し得る。
但し、投入する微生物の種類及び量は、外的環境への影響が限定され、安全性が確認される範囲で設定されることが好ましい。
汚染物質分解能を有する微生物には、油分分解能を有する微生物や炭化水素分解能を有する微生物が含まれる。
また、本発明の土壌浄化方法では、汚染物質分解能を有する微生物として、上記本発明の土壌浄化微生物や、本発明のスクリーニング方法によって得られる土壌浄化微生物も、好適に用いることができる。
より具体的に、本発明の土壌浄化方法で用いられる汚染物質分解能を有する微生物には、ロドコッカス属に属する微生物であれば、上記alk遺伝子を有する微生物、配列番号2で示される塩基配列を含む16SrDNAを有する微生物及びロドコッカスRN1が含まれる。
また、本発明の土壌浄化方法で用いられる汚染物質分解能を有する微生物には、ゴルドニア属に属する微生物であれば、上記alk1遺伝子及びalk2遺伝子を有する微生物、配列番号5で示される塩基配列を含む16SrDNAを有する微生物及びゴルドニアRN2が含まれる。
微生物の投入方法も特に限定されず、公知の方法に従って、適宜設定することができる。例えば、微生物を、適当な培地又は肥料液或いはそれらを溶解した液と混合し、該微生物含有溶液を土壌に播種する方法が挙げられる。或いは、該微生物含有溶液を土壌中に埋設挿入したパイプから注入・圧入する方法が挙げられる。また、微生物を適当なバインダー、または担体とともに、使用しやすい固形形態に加工し、これを土壌に散布して、混合する方法が挙げられる。土壌に水を加えてスラリー状として、攪拌しながら、上記の菌液または固形形態に加工した菌体または、培養した菌体培養液を添加する方法が採用される。固形形態としては、例えば、ペレット状、粉末状、繊維状等が挙げられる。
(2)基準値
土壌浄化処理を行うに際し、目安となる基準値を土壌バクテリア数を用いて予め設定しておくことにより、土壌浄化処理を行う的確なタイミングを、容易に把握することが可能になる。
基準値は、土壌の特性や状況等を考慮して、適宜設定することができる。例えば、既に土壌浄化処理を行っている土壌であれば高めの基準値を設定し、汚染の深刻な土壌であれば低めの基準値を設定することができる。
一般に、畑の土などに存在する微生物数は1.0×1010 cells/g-soil程度であり、汚染土壌中の微生物数は1.0×107cells/g-soil程度である。従って、通常は、1.0×107〜1.0×1010 cells/g-soil程度、特に、1.0×108〜1.0×109cells/g-soil程度の範囲内で、基準値を設定することが好ましい。基準値の一例としては、1.0×108 cells/g-soilを挙げることができる。
基準値は、対象土壌の特性を考慮して、予め設定しておくこともできるし、モニタリングを行って、土壌バクテリア数の変動を考慮しながら、適宜設定することもできる。
また、基準値は、1又は複数設定することができる。例えば、土壌の浄化状況に応じて数段階の基準値を設定しておくことができる。この場合、土壌バクテリア数が第1段階の基準値を下回る場合には第1追加処理、第2段階の基準値を下回る場合には第2追加処理を行うなど、基準値毎に異なる処理内容を設定しておくこともできる。
(3)モニタリング
本発明の土壌浄化方法は、土壌バクテリア数を経時的に測定して、その挙動をモニタリングしながら、実施することもできる。土壌バクテリアは汚染物質を分解する働きをする一方で、汚染物質の毒性の影響も受ける。したがって、モニタリングを行って、土壌中に存在する微生物の働きや浄化の進行状況を把握し、微生物の働きが有効に機能する方向で処理を行うことにより、効率の良いバイオレメディエーションを行うことができる。
モニタリングを行う土壌浄化方法の態様の例には、以下の工程を含む方法が挙げられる;
対象土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量を測定し、該DNA量に基づいて、土壌バクテリア数を求める工程、
前記土壌バクテリア数の経時変化をモニタリングする工程、及び、
前記モニタリングされた土壌バクテリア数が予め設定された基準値を下回る場合に、対象土壌に(i)土着微生物活性化成分の投入及び(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入から選ばれる少なくとも1つの処理を行う処理工程、
を有する、土壌の浄化方法。
モニタリングの方法は、特に限定されず、適宜公知の方法に従って行うことができる。例えば、土壌バクテリア数を、更に換算させた値を用いてモニタリングしてもよい。また、適当なグラフ又は図等の表示手段を用いてモニタリングすることもできる。
また、モニタリングは、土壌バクテリア数に加えて、更に1又は複数の指標を用いて行うこともできる。例えば、土壌バクテリア数に加えて、土壌中の汚染物質濃度の経時変化を、モニタリングしてもよい。汚染物質濃度としては、油分濃度が挙げられる。
(4)初期処理
本発明の土壌浄化方法においては、土壌バクテリア数を求めるためのDNA量の測定を行う前に、予め適当な処理を対象土壌に施しておいてもよい。
例えば、対象土壌には、初期処理として、上述のような(i)土着微生物活性化成分の投入、及び(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入から選ばれる少なくとも1つの処理を行っておくこともできる。
初期処理を行った後、土壌バクテリア数をモニタリングすることにより、初期処理が対象土壌の浄化のために好適であったか否かを把握することが可能となる。また、初期処理に対して、土壌がどのように状況を変化させているかを考慮して、追加処理の内容を設定することもできる。
(5)追加処理
初期処理を行った後、土壌バクテリア数の経時変化をモニタリングし、土壌バクテリア数が予め設定された基準値以下となった場合、或いは更なる処理が必要と判断した場合に、追加処理を行うことができる。
具体的に、追加処理として、(i)土着微生物活性化成分の投入、及び(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入から選ばれる少なくとも1つの処理を行うことができる。
追加処理の内容は、初期処理の内容と同じでもよく、異なる内容であってもよい。また、追加処理は、1回でもよく、複数回行ってもよい。
例えば、初期処理において、汚染物質分解能を有するゴルドニア属に属する微生物を投入し、追加処理において、汚染物質分解能を有するロドコッカス属に属する微生物を投入することもできる。
また、初期処理において、肥沃土壌を投入し、第1回目の追加処理において、汚染物質分解能を有するゴルドニア属に属する微生物を投入し、第2回目の追加処理において、汚染物質分解能を有するロドコッカス属に属する微生物を投入することもできる。
また、以下のような態様を挙げることもできる。
対象土壌に、(1−i)土着微生物活性化成分の投入、及び、(1−ii)汚染物質分解能を有するゴルドニア属に属する微生物の投入を行う初期処理を行い;
前記初期処理を行った土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量を測定し、該DNA量に基づいて、土壌バクテリア数を求め;
前記土壌バクテリア数の経時変化をモニタリングし;
前記土壌バクテリア数が予め設定された基準値以下となる場合、(2−i)土着微生物活性化成分の投入及び(2−ii)汚染物質分解能を有するゴルドニア属に属する微生物の投入を行う第1追加処理を行い;
前記第1追加処理を行った土壌から採取した試料の汚染物質濃度を測定して、その経時変化をモニタリングし;、
汚染物質濃度が変動しなくなった場合、(3−i)土着微生物活性化成分の投入及び(3−ii)汚染物質分解能を有するロドコッカス属に属する微生物の投入を行う第2追加処理を行い;
前記第2追加処理を行った土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量を測定し、該DNA量に基づいて、土壌バクテリア数を求め;
前記土壌バクテリア数の経時変化をモニタリングし;
前記土壌バクテリア数が予め設定された基準値以下となる場合、(4−i)土着微生物活性化成分の投入及び(4−ii)汚染物質分解能を有するロドコッカス属に属する微生物の投入を行う第3追加処理を行うことを有する土壌の浄化方法。
なお、上記態様はあくまで例示であり、何ら本発明を制限するものではない。
(6)診断
また、本発明の方法においては、土壌バクテリア数を指標とすることにより、土壌の浄化状況の診断を行うこともできる。例えば、上記のような土壌浄化処理を行った後、土壌バクテリア数が一定の基準値を超えれば、土壌が十分に回復したものと診断することができる。また、土壌バクテリア数が一定の基準値を満たしていなければ、土壌の回復が十分でないと診断することもできる。このように土壌バクテリア数を指標とすることで、従来では難しかった土壌の浄化状況の把握や比較を、数値化された基準で、評価し、診断することが可能となる。
上述したように、本発明は、土壌バクテリア数を指標とすることにより、実汚染土壌に適したバイオレメディエーション技術を提供するものである。なお、本発明には、土壌浄化に関する公知の技術を、本発明の効果を奏する範囲内で必要に応じて付加することができる。
本発明によれば、実汚染土壌、特に実石油汚染土壌に対して好適な土壌浄化能力を奏する微生物が提供される。更に、優れたシクロアルカン分解能を有する微生物が提供される。該微生物を土壌に投与することにより、実汚染の現場での土壌浄化を効率よく実施することが可能となる。
また、本発明によれば、実汚染土壌に好適な微生物を効率よくスクリーニングする方法が提供される。該スクリーニングされた微生物を用いることで、実汚染の現場での土壌浄化を効率的に実施することが可能となる。
また、本発明によれば、土壌バクテリア数を指標とする実汚染土壌の浄化に好適な土壌浄化方法が提供される。土壌バクテリア数を指標とすることにより、土壌浄化のための処理のタイミングや処理内容を適切に容易に図ることができ、土壌浄化を簡便に、効率良く実施することが可能となる。
このように、本発明は、特に実汚染土壌の浄化を有効かつ容易とする技術を提供するものであり、バイオレメディエーションの実用化と普及に大きく寄与するものである。
以下、実施例を用いて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
実施例1:微生物の分類学的性質の確認
1−1.ロドコッカスRN1株
1−1−1.表現形質
RN1株の生化学的同定を行った。各種試験は、Holt,G.,Krieg,N.R.,Sneath,P.H.A.,Staley,J.T.,and Williams,S.T.(ed.):Bergey’s manual of determinative bacteriology(9版)Williams and Wilkins Co.,Baltimore(1994)に従って実施した。
同定結果を下記表2に示す。
Figure 2007135425
なお、上記テストにおいて「+」は陽性、「−」は陰性を示す。
1−1−2.16SrDNAの塩基配列に基づく分子系統解析
本菌株を、25℃において、1%ペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaClからなるLB培地(pH7.0)を用いて1日間培養した後、ゲノム抽出を行い、サーマルサイクラー(Temp・Tronic,G Thermoline社製)でユニバーサルプライマー(20F、1510R)を用いて16SrDNAをコードする塩基配列をPCR(Polymerase Chain Reaction)法により増幅した。得られたPCR産物をQ I Aquic TM PCR Purification Kit(GIAGEN社製)で精製することでテンプレートDNAとした。テンプレートDNAを、Thermo Sequenasepre−mixed cycled sequencing Kit(日立計測器サービス社製)を用いて、サイクルシークエンス PCR法により、再度増幅した。
サイクルシークエンス法の反応液組成は、
ATGC各regent 2μm
プライマー(Primer) 2μm
テンプレート(Template) 400〜600mg
滅菌蒸留水 最終25μl
とした。また、反応条件は、94 度で5分加熱、次いで94度で30秒加熱及び60度で30秒加熱を25サイクル、次いで4度で放置とした。
サイクルシークエンス法により得られたサンプルを、エタノール沈殿により精製した。精製物の塩基配列を、DNAシークエンサー(SQ 5000E 日立計測器サービス社製)により解析し、塩基配列の決定をした。
DNAシークエンサーによって解析した結果、本菌株の16SrDNAをコードする遺伝子は、配列表の配列番号2に示す塩基配列を含むことが確認された。
本菌株と他のRhodococcus属炭化水素分解菌の16SrDNAにおける塩基配列を比較検討した。
Rhodococcus sp.NDKK48株(特開2003-102469号公報に記載のC2株)、及び、Rhodococcus sp. ODNM2B株(特開2004-113197号公報に記載のRhodococcus sp.GR-002株)と本菌株の16SrDNA配列の相同性の結果を下記表3に示す。なお、相同性は、Blastにより求めたものである。
Figure 2007135425
他のRhodococcus属炭化水素分解菌との16SrDNA配列の比較検討から、RN1株は、Rhodococcus sp.菌株と高い相同性を有していることがわかり、上記生化学的性質と併せて、本菌株をRhodococcus sp.菌と同定した。かつ、100%の相同性を有する菌株がないことから、RN1株は新規な菌株であると判断して、本菌株をロドコッカスRhodococcus sp.RN1株とした。
1−2.ゴルドニアRN2株
1−2−1.表現形質
RN2株の生化学的同定を行った。各種試験は、Holt,G.,Krieg,N.R.,Sneath,P.H.A.,Staley,J.T.,and Williams,S.T.(ed.):Bergey’s manual of determinative bacteriology(9版)Williams and Wilkins Co.,Baltimore(1994)に従って実施した。
同定結果を下記表4に示す。
Figure 2007135425
なお、上記テストにおいて「+」は陽性、「−」は陰性を示す。
1−2−2.16SrDNAの塩基配列に基づく分子系統解析
上記1−1−2と同様の方法で、本菌株のゲノム抽出を行い、16SrDNAをコード
する塩基配列をPCR(Polymerase Chain Reaction)法により増幅して、PCR産物を精製し、精製物の塩基配列を、DNAシークエンサーにより解析して、塩基配列の決定をした。
解析した結果、本菌株の16SrDNAをコードする遺伝子は、配列番号5に示す塩基配列を含むことが確認された。
本菌株と他のGordonia属炭化水素分解菌の16SrDNAにおける塩基配列を比較検討した。
Gordonia sp.NDKK46株(特開2004-121068号公報に記載のGordonia sp.GR-004株)と本菌株の16SrDNA配列の相同性の結果を下記表5に示す。なお、相同性は、Blastにより求めたものである。
Figure 2007135425
他のGordonia属炭化水素分解菌の16SrDNA配列との比較検討から、RN2株は、Gordonia sp.菌株と高い相同性を有していることがわかり、上記生化学的性質と併せて、本菌株をGordonia sp.菌と同定した。かつ、本菌株と100%の相同性を有する菌株がないことから、新規な菌株であると判断して、本菌株をGordonia sp.RN2株とした。
実施例2:微生物の土壌浄化能力の評価
Rhodococcus sp.RN1及び Gordonia sp.RN2について、下記の方法及び材料を用いて、汚染土壌における微生物の土壌浄化能力について比較検討を行った。
2−1.材料及び分析方法
2−1−1.実汚染土壌
汚染土壌としては、工場跡地から搬入された、A重油で汚染された土壌を用いた。
2−1−2:ガスクロマトグラフィー(GC)による油分濃度の測定
土壌の油分濃度は、サンプルをガスクロマトグラフィー分析し、ピーク面積を測定して行った。ガスクロマトグラフフィー分析条件は下記表6に示す条件で行った。模擬汚染土壌は、予め珪砂(EX NANIWA、大阪)に10,000 ppmになるようにA重油を添加して作製した。そして、サンプル及び模擬汚染土壌の油分ピーク面積を測定し、下記(式2)を用いて油分濃度を算出した。各2連で行った。また、油分濃度を算出する際は、試料の含水率を測定し、補正を行った。
Figure 2007135425
Figure 2007135425
2−1−3.環境DNA(eDNA)解析法による土壌バクテリア数の測定
下記の環境DNA抽出法を用いて土壌1.0 g中の微生物のDNAの抽出を行ってDNA量を測定し、土壌バクテリア数を求めた。
土壌サンプルは、1試料につき3箇所からサンプリングし混合したものを用いた。
土壌サンプル1.0 gをテフロン(登録商標)チューブに取り、20 %(w/v) SDS 1 ml、DNA抽出緩衝液(表7参照)8.0 mlを添加し、攪拌(室温、1,500 rpm、 20 min)した。攪拌した溶液から、1.5 mlを1.5 ml容エッペンドルフチューブに採取し、遠心分離(20℃、8,000 rpm、10 min)した。上層を700 μl取り、等量(700 μl)のクロロホルム・イソアミルアルコール(24:1;v/v)を加え、遠心分離(20℃、14,000 rpm、10 min)した。上層500 μlを取り、0.6倍量(300 μl)のイソプロパノールを加え、遠心分離(20℃、14,000 rpm、20 min)を行い、DNAを沈殿させた。上清を除去し、70%(v/v)エタノール1.0 mlを加え遠心分離(20℃、14,000 rpm、5 min)し、リンスした。上清を除去し、30 min乾燥を行ってエタノールを除去し、TE 10:1 緩衝液(トリスヒドロキシメチルアミノメタン1.20g/l、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.37g/l、pH8.0)を10 μl加え、DNA抽出サンプルとした。
Figure 2007135425
イオン交換水にアガロースHT 1 %(w/v)、50×TAE緩衝液 2 %(v/v)(トリスヒドロキシメチルアミノメタン108.00g/l、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウム塩18.60g/l、CH3COOH54.32g/l、pH8.0)、臭化エチジウム 3 mMを加え加熱して溶解させ1 %アガロースゲルを作製した。DNA抽出サンプル5.0 μlにゲルローディング緩衝液 1.0 μl(ブロモフェーノールブルー2.50g/l、キシレンシアノールFF2.50g/l、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩3.70g/l、フィコール4001.50g/l)を混合しゲルにアプライした。泳動緩衝液として1×TAE緩衝液を用い100 Vで30分間電気泳動を行った後、トランスイルミネーターUVP(FUNAKOSHI Co. Ltd、東京)でDNAバンドを確認した。マーカーとDNAバンドを比較し、DNAの蛍光強度を定量した。マーカーはsmart ladder(NIPPON GENE、富山)を用いた。
電気泳動後のゲルをUV照射して、KODAK 1D Image Analysis software(EASTMAN KODAK、東京)によって臭化エチジウムを標識としたDNAバンドの蛍光強度測定を行った。解析は、まずsmart ladderによってバンドの蛍光強度に対するDNA量の検量線を作成し、これを元に各DNAサンプルのバンドの蛍光強度からバンドに含まれるDNA量を求めた。この結果から、土壌1.0 gあたりのDNA量を算出した。該DNA量に基づき、下記(式1)により土壌バクテリア数を求めた。各サンプルに対して2連行った。
Figure 2007135425
2−2.実験方法
汚染土壌の濃度を、GCで測定したところ、油分濃度は15,900ppm(飽和炭化水素濃度3,900ppm、芳香族炭化水素濃度10,500ppm)であった。
該汚染土壌と山砂を約2:1の割合で混合して、油分濃度が10,000ppm程度である土壌を調製した。
200ml用サンプル瓶に該調製した土壌を50グラム入れ、各菌株を1×108個/グラム-soilになるように添加した。そこに、4倍濃縮した改変SW培地を10ml添加し室温で静置した。サンプルは、2日ごとにガラス棒で攪拌した。
14日目に、残存油分濃度をGCで解析し、また、土壌バクテリア数を解析した。
2−3.結果
結果を下記表8に示す。
Figure 2007135425
この結果、実汚染土壌において、Rhodococcus sp. RN1株とGordonia sp. RN2株が優れた土壌浄化能力を示すことがわかった。
実施例3:シクロアルカン分解能力の解析
以下の方法で、Gordonia sp. RN2株と、Rhodococcus sp. RN1株のシクロアルカン分解能力について、検討を行った。
3−1.解析方法
100グラムの滅菌土壌(121℃、15分オートクレーブ滅菌)した土壌にシクロアルカンを1%(w/w)添加した。その後、各菌株を1%(v/w)植菌し、14日後と28日後のシクロアルカン分解率を求めて評価した。
シクロアルカン分解率は、以下のクロロホルム・メタノール抽出法により算出した。
クロロホルムとメタノールを3:1の割合で混合液を作り、計測するサンプルにクロロホルム−メタノール混合液を30ml加え、よく攪拌した。次いで、300mlのクロロホルム−メタノール抽出用遠心チューブに入れた。4,000×gで30分間、温度20℃で遠心分離した。上層の水層部分を除去し、中間層と下層を50mlの遠心チューブに移し、10,000×gで10分間遠心分離した。上層と中間層を取り除き、下層のクロロホルム層をあらかじめ重量測定したシャーレに5ml入れ、室温で24時間乾燥させた。クロロホルムを乾燥させ除去し終わったシャーレの重量を測定した。比較のために、菌株を植菌していないサンプルを用い、これをコントロールとした。
測定した数値を下記式に入れ、分解率を求めた。
Figure 2007135425
この操作を1菌株につき2度行い、分解率の平均値をその菌株のシクロアルカン分解率
とした。
3−2.結果
結果を下記表9に示す。
Figure 2007135425
この結果、Rhodococcus sp. RN1株及びGordonia sp. RN2株が優れたシクロアルカン分解能力を有することがわかった。
上記のように、実汚染土壌における優れた土壌浄化能力と優れたシクロアルカン分解能力が確認されたGordonia sp. RN2株と、Rhodococcussp. RN1株を用いて、以下の方法で、大規模実汚染土壌の浄化の検討を行った。
実施例4:ラージスケールの実汚染土壌(480kg)におけるバイオレメディエーションの比較検討
実汚染土壌480 kgに対し、以下の方法で実験を行い、土壌浄化能力の比較検討を行った。
4−1.実験材料および方法
4−1−1.使用菌株および培地
菌株として、Rhodococcus sp. RN1株及びGordonia sp. RN2株を使用した。また、シクロアルカン分解能力を有するAlcaligenessp. ODMI79株も使用して比較検討を行った。
菌株の培養は初めに菌株を5 mlのLB培地(ポリペプトン10g/l、乾燥酵母エキス5.0g/l、NaCl5.0g/l)を用いて30℃、180 rpm培養した。濁度O.D.660が1.0になったことを確認し、200 mlのLB培地に培養液を1 %(v/v)植菌し、30℃、120 rpmで培養し、これを前培養液とした。
また下記バイオレメディエーションの処理においては、同様に必要量のLB培地に濁度O.D.660が1.0の培養液を1 %植菌し、30℃、120 rpmで培養した菌液を使用した。
コンソーシアムIとは、今回の汚染土壌に対しB培地によるスティミュレーションを行い、2日間培養し活性化させた炭化水素分解菌群を指す。
培地は、改変SW培地とB培地を用いた。改変SW培地の組成は表10に、B培地の組成は表11に示す。
培地に用いた試薬は和光純薬工業(株)およびナカライテスク(株)より購入した。
Figure 2007135425
Figure 2007135425
4−1−2.使用した実汚染土壌
実汚染土壌は、日工株式会社より提供された土壌で、工場跡地より搬入された、重油タンクからの油の漏洩により汚染された土壌を用いた。
4−1−3.S316抽出-赤外定量法による油分濃度の測定
土壌の油分濃度の測定は、以下のS316抽出-赤外定量法により行った。
(1)S316抽出法
土壌サンプルは1試料につき3箇所からサンプリングし混合したものを用いた。土壌サンプルを撹拌した後、土壌7.0 gを採取し、脱水のために硫酸ナトリウム 1.0 g、シリカゲル2.0 gを加えた。この土壌に油抽出液S316(クロロトリフルオロエチレン)25 mlを添加し、約1時間撹拌した。1時間後、土壌と油抽出液を分離するため、ろ過を行った。ろ液は、油分濃度計の測定範囲に入るように、適度に希釈した。
(2)赤外定量法
ろ液約6.5 mlを吸収セルに入れ油分濃度計(OCMA-350、堀場製作所、東京)を用いて測定を行った。測定条件を表12に示す。得られた測定値を下記(式3)により測定値を油分濃度に換算した。
Figure 2007135425
Figure 2007135425
4−1−4.環境DNA解析法による土壌バクテリア数の測定
実施例2における2−1−3と同様の方法で、環境DNA解析法により土壌バクテリア数を求めた。
4−1−5.実汚染土壌のバイオレメディエーション(480 kgスケール)の処理条件
本実験では、各バイオレメディエーション技術の比較を行うため、A−Gの7つの処理条件を用意した。各処理条件を下記表13に示す。実汚染土壌480 kgに対し、B培地の場合は20 l、改変SW培地の場合は4倍濃縮したものを20 l加えた。
バイオスティミュレーションの系(B及びC)においては水分を5 l、バイオオーギュメンテーションの系(D〜Gの系)には各菌液を1 %(v/w)植菌した。隔週で約15 lの水分を添加し土壌中の水分量を一定に保ち、土の切り返しを行い、エアレーション効率を高めた。そして、6週間のバイオレメディエーションを行った。
Figure 2007135425
4−1−6.実汚染土壌のバイオレメディエーション(480 kgスケール)の追加処理条件
6週間の処理期間において微生物数の減少が予測された。そのため、6週目において追加処理を施した。各追加処理条件を下記表14に示す。
B培地を用いた系(B)、(D)についてB培地15 lの補填を行った。
一方、改変SW培地を用いた系(C)、(E)、(F)及び(G)では、改変SW培地に含まれるFeSO4、ZnSO4成分を10 lの水に溶かして添加した。その際、土壌へ添加時のFeSO4の終濃度:2.78×10-3g/l、ZnSO4の終濃度:2.01×10-3g/lとなるように調製した。また、Rhodococcus sp. RN1株の系(F)にGordonia sp. RN2株を、Gordoniasp. RN2株の系(G)にRhodococcus sp. RN1株を、菌を組み合わせるように各前培養液1 %(v/w)を植菌した。
Figure 2007135425
4−2.結果
4−2−1.土壌バクテリア数の変化
バイオレメディエーション(480 kgスケール)における土壌浄化の状況をみるために、土壌バクテリア数を指標として、その変化をモニタリングした。
B培地を用いて処理した系の土壌バクテリア数の変化についてまとめたものを図1のIに示す。また改変SW培地を用いて処理した系の土壌バクテリア数の変化についてまとめたものを図1のIIに示す。
処理前の土壌バクテリア数は検出限界値(3.0×107 cells/g-sample)を下回り、汚染土壌中の微生物数がとても少ないことが確認できた。
初期処理により、バクテリア数は全ての系において2、3週目にかけて109cells/g-sampleに達し、その後107cells/g-sampleまで減少する傾向が見られた。
追加処理により全ての系で土壌バクテリア数の増加が起こり、追加処理の効果が確認された。特に(C)(E)(F)(G)の系において土壌バクテリア数の増加が見られた。このことから、微量金属が不足していたと考えられた。また、追加処理から3週間後となる10週目付近では土壌バクテリア数が減少し、これは初期6週間と同様、栄養素の不足が原因と考えられた。
初期6週間の土壌バクテリア数の経時変化、追加処理後の5週間の土壌バクテリア数の経時変化を見ると、一度土壌バクテリア数が増加した後、大きく減少する傾向がみられた。
ブランクの系(A)と比較して他の系は土壌バクテリア数の減少が大きいことから、理由として、添加した栄養素や酵素成分となる無機金属の不足が考えられた。また、炭化水素の減少や中間代謝産物の蓄積により土壌環境が変化し、それに伴い微生物叢が変化した可能性も考えられた。
また、バイオスティミュレーションの系と比較してバイオオーギュメンテーションの系における土壌バクテリア数は大きく減少したことから、投与した分解菌が土壌に定着していないことも、モニタリングの結果から考えられた。
4−2−2.油分濃度の変化
バイオレメディエーション(480kgスケール)における油分分解の進行を把握するために、S316抽出−赤外定量法を用いて土壌の油分濃度を測定した。
0週目と9週目の油分濃度の値を下記表15に示す。また、0週目と9週目の値から全油分残存率を算出し、その結果を図2に示す。
Figure 2007135425
バイオレメディエーション処理を施した系は、ブランクの系(A)よりも、油分濃度が300 ppm程度減少し、明らかな差が確認できた。また、バイオスティミュレーションの系(B)と比較し、バイオオーギュメンテーションの系では、さらに200 ppm以上低い油分濃度を示し、この油分濃度の減少は、微生物によるこれらの成分の分解に起因すると考えられた。
特に、初期処理にGordonia sp. RN2株を添加、追加処理でRhodococcus sp. RN1株を添加する処理が、最も油分除去能力に優れていることが確認できた。
また、上記結果から、土壌バクテリア数のモニタリングを行い、土壌バクテリア数が1.0×107cells/g-sample程度になった時点で追加処理することによる、油分分解の効果が確認できた。更に、追加処理のタイミングを計るために土壌バクテリア数をモニタリングすることが有効であることが確認できた。
実施例5:ラージスケールの実汚染土壌(750kg)におけるバイオレメディエーションの比較検討
実施例4において土壌浄化能力に優れていたRhodococcus sp. RN1株及びGordonia sp. RN2株を組み合わせ、実汚染土壌750 kgのバイオレメディエーションを9週間行った。
更に、この処理において油分分解が最も優れていたRhodococcus sp. RN1株、およびGordonia sp. RN2株の系の土壌に着目し、これら2種の処理土壌を回収した。そして、この2種の土壌に対し、Rhodococcussp. RN1株とGordonia sp. RN2株をそれぞれ組み合わせるように植菌し、汚染土壌500 gスケールにおいて菌の組み合わせ実験を行った。さらに、植菌量、および微生物の補填のタイミングについても検討実験を行った。
5−1.実験材料および方法
5−1−1.使用菌株および培地
微生物は、Rhodococcussp. RN1株、及びGordonia sp. RN2株を使用した。培養条件は、実施例4と同様とした。また、予め汚染土壌に対しB培地によるスティミュレーションを行い、2日間培養後、活性化させた炭化水素分解菌群をコンソーシアムIIと名付け使用した。培地は改変SW培地、B培地、有機成分培地を用いた。改変SW培地の組成、LB培地の組成、及びB培地の組成は、実施例4で示したとおりである。有機成分培地の組成を下記表16に示す。
Figure 2007135425
5−1−2.使用した実汚染土壌
汚染土壌は日工株式会社から提供されたもので、ガソリンスタンド跡地より搬入された
実汚染土壌を用いた。ガソリンスタンド跡地であることから考えられる汚染物質として、ガソリン、灯油、エンジンオイル等の潤滑油が挙げられる。
5−1−3.バイオレメディエーション(750 kg)における処理条件
処理条件を下記表17に示す。初期処理では実汚染土壌750 kgに対しB培地を15 l、菌液を5 l添加した。追加処理の際はB培地の場合15 l、改変SW培地の場合は4倍濃縮改変SW培地を30 l添加し、各菌液は1 %(v/w)添加した。追加処理は5週目に行った。
Figure 2007135425
5−1−4.環境DNA解析法による土壌バクテリア数の測定
土壌バクテリア数は、実施例4と同じく、実施例2における2−1−3と同様に、環境DNA解析法を用いて求めた。
5−1−5.S316抽出−赤外定量法による油分濃度の測定
土壌の油分濃度は、実施例4と同様に、S316抽出−赤外定量法により、測定した。
5−2.結果
5−2−1.土壌バクテリア数の変化
バイオレメディエーション(750 kgスケール)に伴う土壌バクテリアへの影響を解析するために、その指標として土壌バクテリア数を測定した。その結果を図3に示す。
図3に示されるように、土壌バクテリア数の大幅な増加は見られず、全ての系で同様の傾向を示した。
土壌バクテリア数は、1、2週目に増加のピークを迎え、その後5週目まで減少する傾向を示し、実施例4と同様の変化を示した。但し、B培地によるバイオスティミュレーションの系(I)は、その他のバイオオーギュメンテーションの系よりも土壌バクテリア数の増加が少なかった。その理由として、土壌中に分解が容易な炭化水素や芳香族炭化水素がほとんど含まれていないことが考えられた。
5−2−2.油分濃度の変化
バイオレメディエーション(750 kgスケール)における油分除去の進行を把握するために、S316抽出−赤外定量法を用いて0週目、5週目、9週目の土壌の油分濃度を測定した。バイオレメディエーション(750 kg)における油分濃度を下記表18に示す。
Figure 2007135425
ブランクの系(H)では、油分濃度が300 ppm程度減少した。これは、バイオレメディエーション(480 kg)と同様、エアレーションと水分添加を行ったために、揮発による減少、或いは汚染土壌中の微生物による分解が起こったと考えられた。しかし、バイオレメディエーションを施した系では、油分濃度が500 ppm以上減少したことから、今回の実験においてもバイオレメディエーションの効果が確認できた。特にRhodococcus sp. RN1株の系(K)、Gordoniasp. RN2株の系(L)では、油分濃度が700 ppm以上減少した。これらの結果から、シクロアルカンや高分子の炭化水素の分解により、油分濃度が減少したと考えられた。また、5週目におけるRhodococcussp. RN1株の系(K)、Gordonia sp. RN2株の系(L)の油分濃度はともに、1,300 ppmであった。これらの系には、初期処理ではB培地を用いたが、大きな油分の減少は確認できなかったため、B培地との組み合わせは有効でないと考えられた。そのため、5週目では改変SW培地を用いた。
9週目における全油分残存率を図4に示す。
図4に示されるように、特にGordoniasp. RN2株によるバイオオーギュメンテーションが最も油分除去に優れており、全油分残存率は44 %であった。このことから、高分子の炭化水素汚染に対してGordoniasp. RN2株を用いたバイオオーギュメンテーションが油分除去に優れていることが分かった。
実施例6.追加処理の比較検討
実汚染土壌750 kgを用いた9週間のバイオレメディエーション実験終了後、最も油分の分解が進んでいたRhodococcus sp. RN1の系(K)、およびGordonia sp. RN2の系(L)について、オーギュメンテーションにおける追加処理条件の検討を目的としたバイオレメディエーション実験を行った。
6−1.実験方法
6−1−1.追加処理条件
Rhodococcus sp. RN1株を植菌した系(K)の土壌を土壌KK6、Gordonia sp. RN2株を植菌した系(L)を土壌76Aとした。
土壌KK6のバイオレメディエーションにおける処理条件、及び、土壌76Aのバイオレメディエーションにおける処理条件を下記表19に示す。各追加処理を施し5週間の処理期間を設け、バイオレメディエーションを行った。
実験は1/5,000aポット(アズワン株式会社、大阪)を用いて行った。汚染土壌500 gに対し、各菌株を5,000 g、30 minで集菌して4倍濃縮改変SW培地20 %(v/w)で懸濁し、土壌に散布した。植菌量は下記表19に示すとおりである。
菌液、および培地を加えない系では水分を添加した。K-6、L-6の系では、農家の畑の土を汚染土壌に10 %(w/w)加えた。ポットは研究室内に置き室温で静置し、アルミで蓋をして水分の揮発を軽減させた。追加処理における植菌は、微生物数が約1×109cells/mlになるまで培養した菌液500 mlを5,000 g、30 minで集菌し、有機成分培地25mlに懸濁したものを散布した。
(K-4)(L-4)は土壌バクテリア数に関係なく、毎週1.0×109(cells/g-soil)を植菌する処理を4週間行った。(K-5)(L-5)は土壌バクテリア数が1.0×108 cells/g-sampleを下回った場合のみ1.0×109cells/g-soil植菌する処理を4週間行った。
Figure 2007135425
6−1−2.環境DNA解析法による土壌バクテリア数の測定
土壌バクテリア数は、実施例4と同じく、実施例2における2−1−3と同様に、環境DNA解析法を用いて求めた。
6−1−3.S316抽出−赤外定量法による油分濃度の測定
土壌の油分濃度は、実施例4と同様に、S316抽出−赤外定量法により、測定した。
6−2.結果
6−2−1.土壌バクテリア数の変化
追加処理条件の土壌浄化状況を調べるため、土壌バクテリア数の変化を調べた。土壌KK6の系の土壌バクテリア数の経時変化を図5に示す。また、土壌76Aの系の土壌バクテリア数の経時変化を図6に示す。
ブランクの系(K-1)(L-1)と比較して(K-2)(K-3)(L-2)(L-3)の土壌バクテリア数は大きな差が見られなかった。一方、ブランクの系(K-1)(L-1)と比較して(K-4)(K-5)(L-4)(L-5)の土壌バクテリア数は大きく増加した。特に、1週目の追加処理により土壌バクテリア数が10倍増加し、その後もその数を維持した。
また、(K-4)(L-4)は、毎週微生物の追加を行ったが、1週目のみ追加処理を施した系(K-5)(L-5)の土壌バクテリア数とほとんど差がなく、2度以上の追加処理は効果がないことがわかった。
今回の実験においても、土壌バクテリア数のモニタリングを行い追加処理のタイミングを計ることがとても有効であることが確認できた。
畑の土壌は初期土壌バクテリア数が高く、処理期間中にさらに増加した。しかし、油分濃度の減少では、(K-4)(K-5)(L-4)(L-5)とほとんど差がなかったことから、1×108cells/g-sample以上の土壌バクテリア数を維持すること、或いは1週間後の追加処理が油分除去に有効であると考えられた。(K-6)、(L-6)の系の土壌バクテリア数は減少傾向を示さず維持された。このことから、汚染土壌中に難分解性炭化水素は残存しているが、微生物の生育に影響を与えない量まで減少したと考えられる。汚染土壌の毒性が低下したこととブランクの系でも微生物数が増加したことを踏まえると、処理後の土壌では、適当な水分添加とエアレーションによって土壌中に生育している炭化水素分解菌が増加可能であると考えられた。
6−2−2.油分濃度の変化
各追加処理条件における油分分解能を評価するため、S316抽出−赤外定量法を用いて油分濃度を測定した。土壌KK6を用いた5週間のバイオレメディエーション終了後における油分濃度について表20及び図7に示す。
また、土壌76Aを用いた5週間のバイオレメディエーション終了後における油分濃度について表21及び図8に示す。
Figure 2007135425
Figure 2007135425
初期油分濃度とブランクの系の値を比較すると、差がなく油分の分解は進行していなかった。このことから、高分子の難分解性炭化水素が土壌中に残留していることが考えられた。
初期に1×107 cells/g-soil植菌した系(K-2)(L-2)、1×109cells/g-soil植菌した系(K-3)(L-3)はブランクの系と比較し、差が生じなかった。
毎週1×109 cells/g-soil植菌した系(K-4)、微生物数が1×108cells/g-sample以下になった場合に1×109 cells/g-soil植菌した系(K-5)(L-5)は300から500 ppmの油分濃度の減少が見られた。このことから、追加処理を施し高い土壌バクテリア数を維持することが油分分解の促進に関係することが分かった。また、ブランクの系(K-1)(L-1)と比較して(K-4)(K-5)(L-4)(L-5)の土壌バクテリア数は大きく増加し、特に、1週目の追加処理により土壌バクテリア数が10倍増加しており、土壌バクテリア数と油分分解に相関性が見られた。
Rhodococcus sp. RN1株とGordonia sp. RN2株の組み合わせる順番により、油分濃度は100 ppm程度の差が生じた。バイオレメディエーション(480 kgスケール)の結果同様、初期にGordonia sp. RN2株、追加処理でRhodococcus sp. RN1株を添加する処理の方が油分除去に優れていた。畑の土を混合した系(K-6)(L-6)も300から500 ppmの油分濃度の減少が見られた。畑の土の中には様々な基質を分解できる菌がいると考えられ、炭化水素分解菌をはじめ、炭化水素分解で生成する様々な中間代謝産物を分解可能な菌の働きにより、油分分解が促されたことが考えられた。
また、毎週微生物を添加した系(K-4)(L-4)と、1×108cells/g-sample以下に減少した場合に微生物を添加した系(K-5)(L-5)では、土壌バクテリア数、油分分解とも差が生じなかった。このことから(K-4)(L-4)における微生物の過剰な添加は、土壌バクテリア数の増加、油分の分解に対し効果がなく、(K-5)(L-5)の系の追加処理が有効であることが示唆された。(K-4)(L-4)の系において、土壌バクテリア数が増加しなかった理由として、微生物の過剰な添加により菌密度が高くなり過ぎ、生育阻害が生じたと考えられた。
また、(K-4)(K-5)(L-4)(L-5)の系は微生物の追加の際に有機成分培地に懸濁し添加した。このため、土壌バクテリア数の増加は培地中の栄養分による可能性が考えられた。しかし、(K-4)(K-5)(L-5)の系は油分の減少を伴っており、土壌バクテリアの増加と供に炭化水素分解菌も増加、或いは活性化したと考えられた。
畑の土を混ぜた系(K-6)(L-6)は土壌バクテリア数が高く最も油分分解が進行した。畑の土の中には様々な基質を分解できる菌がいると考えられ、炭化水素分解菌をはじめ、炭化水素分解で生成する様々な中間代謝産物を分解可能な菌の働きにより、油分分解が促されたことが考えられた。また、土壌に既に存在していたRhodococcussp. RN1株やGordonia sp. RN2株、土着の炭化水素分解菌が有機物を栄養源として増加し、油分分解を促進したことも考えられた。
また、油分濃度の減少が見られた(K-4)(K-5)(L-5)の系は、微生物の追加の際に有機成分培地を用いた。畑の土と同様に、有機成分培地中の有機物も土壌の窒素サイクルを安定化させることにより、土壌バクテリア数が増加し、油分分解が進行したと考えられた。よって、バイオレメディエーションでは、有機物の添加が微生物の生育に有効である可能性が示唆された。
実施例4及び実施例5における追加処理条件と、実施例6における追加処理検討実験では、追加処理を行うタイミングの基準が異なった。
バイオレメディエーション(480 kgスケール)やバイオレメディエーション(750 kgスケール)の追加処理は土壌バクテリア数が検出限界値(3.0×107cells/g-sample)を下回った時点で追加処理を施したが、追加処理条件の検討実験では1.0×108 cells/g-sampleを追加処理のタイミングの基準とした。その結果、土壌バクテリア数が1.0×108cells/g-sampleを下回った時点で追加処理を施すと、土壌バクテリア数が増加し続け、油分分解も進行することがわかった。この追加処理のタイミングは当初予想していたタイミングよりも早いものであった。このことから、土壌バクテリア数をモニタリングして、追加処理のタイミングを図ることにより、土壌浄化処理を効果的に行えることが確認できた。
実施例4のバイオレメディエーション(480 kgスケール)における土壌バクテリア数の変化を測定した結果を示した図面である。図1のIは、B培地を用いて処理した系の土壌バクテリア数の変化、図1のIIは、改変SW培地を用いて処理した系の土壌バクテリア数の変化を示した図面である。 実施例4のバイオレメディエーション(480 kgスケール)における9週間の処理における全油分残存率を示す図面である。 実施例5のバイオレメディエーション(750 kgスケール)における土壌バクテリア数の変化を測定した結果を示した図面である。 実施例5のバイオレメディエーション(750 kgスケール)における9週目の油分残存率を示した図面である。 実施例6における土壌KK6の系の土壌バクテリア数の経時変化を示した図面である。 実施例6における土壌76Aの系の土壌バクテリア数の経時変化を示した図面である。 実施例6における土壌KK6系のバイオレメディエーション終了後の全油分濃度を示した図面である。 実施例6における土壌76A6系のバイオレメディエーション終了後の全油分濃度を示した図面である。

Claims (8)

  1. ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物であって、
    油分濃度約10,000ppmの土壌50gに、当該微生物を1×108個/g−soil植菌する場合、14日後における土壌の残存油分濃度を4,500ppm以下とし、かつ、該土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量に基づき求められる土壌バクテリア数を3.5×10cells/g−soil以上とする土壌浄化能力を有する、土壌浄化微生物。
  2. 土壌浄化能力を有するロドコッカスsp. RN1 (Rhodococcus sp. RN1)株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受領番号FERM AP-20708)。
  3. ゴルドニア(Gordonia)属に属する微生物であって、
    油分濃度約10,000ppmの土壌50gに、当該微生物を1×108個/g−soil植菌する場合、14日後における土壌の残存油分濃度を4,000ppm以下とし、かつ、該土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量に基づき求められる土壌バクテリア数を3.5×10cells/g−soil以上とする土壌浄化能力を有する、土壌浄化微生物。
  4. 土壌浄化能力を有するゴルドニアsp. RN2(Gordonia sp. RN2)株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受領番号FERM AP-20709)。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の微生物を対象土壌に投入することを特徴とする土壌浄化方法。
  6. 土壌に被検微生物を投入し、
    該微生物を投入した土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数を指標として、被検微生物を評価することを特徴とする土壌浄化微生物のスクリーニング方法。
  7. 請求項6に記載の方法によりスクリーニングされた微生物を、対象土壌に投入することを特徴とする土壌の浄化方法。
  8. 対象土壌から採取した試料単位重量当りのDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数を指標として、前記対象土壌に(i)土着微生物活性化成分の投入、及び(ii)汚染物質分解能を有する微生物の投入から選ばれる少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする、土壌浄化方法。
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