JP2007133218A - トナー用樹脂、トナー及び二成分現像剤 - Google Patents

トナー用樹脂、トナー及び二成分現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた定着性を有するトナーであり、かつ帯電性能に優れ、初期から多数枚プリントアウト後にかけて安定した現像性・転写性を保持し、長期に渡って安定した画像を得ることのできるトナー及び現像剤を提供することである。
【解決手段】特定のスルホン酸エステル基及びスルホン酸基を有するユニットを規定の含有量/比率で含有することを特徴とするトナー用樹脂及びそれを含有するトナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真、静電印刷等の画像形成方法において静電荷像を現像するためのトナー、またはトナージェット方式の画像形成方法においてトナー像を形成するためのトナーに関する。特にトナーで形成されたトナー像を転写材のようなプリントシートに加熱加圧定着させる定着方式に供されるトナーに関する。
従来、電子写真、静電印刷等による画像形成方法においては、帯電したトナー粒子が、感光体ドラム上の電位差に応じた静電気力によってドラム上の静電潜像を現像するように構成されている。この際、トナーの帯電は、具体的には、トナーとトナーの間或いはトナーとキャリアとの間、さらには規制ブレード等との摩擦によって生じる。このため、トナーの粒径や粒度分布等に加え、帯電性の制御が必要不可欠である。
トナーの帯電性を制御するためには、結着樹脂自体の摩擦帯電特性を利用することもできるが、一般的にトナーに用いられる結着樹脂の摩擦帯電特性は低いものが多く、その組成による帯電性の制御は容易ではない。そこで、一般的には帯電性を付与する荷電制御剤なるものを添加することが行われている。
従来、負帯電性荷電制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の金属化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、塩素化パラフィン等がある。これらの染顔料を含む荷電制御剤は構造が複雑で性質が一定せず、安定性に乏しいものが多く、特に温度や湿度等の環境により帯電性が変化するものが殆どである。また、熱混練時に分解等により変質するものもある。
更に、これらのトナーに添加される荷電制御剤は、摩擦帯電能を付与するため、ある程度トナー表面に存在していなければならない。そのため、トナー同士の摩擦、キャリアとの衝突、搬送スリーブ又はローラー、規制ブレード、感光体ドラムとの摩擦などにより、トナー表面からこれらの添加剤が脱落し、キャリア等の汚染や、現像部材、感光体ドラムなどの汚染が生じることがある。その結果、耐久枚数が増すに従って、帯電性が悪くなると同時に汚染による劣化も進行し、画像濃度の変化や、画質の低下といった問題を引き起こす。
以上に述べたように、長期間安定してトナーに十分な帯電性を付与し得る荷電制御剤は非常に限られていることが分かる。また、フルカラートナーに適用するためには、トナーに添加されるものは無色であることが好ましく、さらに、重合トナーに使用するためには重合阻害性がないことが好ましい。従って、これらを考慮すれば実用化可能なものはごく僅かである。
トナー画像を定着する工程としては、熱ローラーによる圧着加熱法(以下、熱ローラー定着法と言う)や、定着フィルムを介して加熱体に被定着シートを密着させながら定着する加熱定着法(以下フィルム定着法と言う)などが開発されている。
熱ロールやフィルム定着法では、熱ローラー或いは定着フィルムの表面に被定着シート上のトナー画像を、当接する加圧部材により加圧下で接触しながら通過せしめることにより定着を行うものである。該定着法では熱ローラーや定着フィルムの表面と被定着シートのトナー画像とが加圧下で接触するため、該シート上にトナー画像を融着する際の熱効率が極めて高く、迅速で良好な定着を行うことができる。
近年の電子写真装置に対して高画質化、小型軽量化、高速高生産性化、省エネルギー化、高信頼性化、低価格化、メンテナンスフリー化など様々の要請を受ける中で、特に定着工程においては更に一層の高速化、省エネルギー化、高信頼性化等を達成できるシステムや材料の開発が重要な技術課題となっている。しかし、熱ローラーやフィルム定着法でこれらの課題を解決するためには、特に材料であるトナーの定着特性能を大幅に改善することが必須であり、より低い温度で充分に被定着シートに定着できる性能(以下、低温定着性能と言う)の向上と、加熱ローラーやフィルム表面上に付着したトナー汚れによって次の定着シートを汚す現象であるオフセットを防止できる性能(以下、耐オフセット性能と言う)の向上が必要である。
加熱加圧定着トナーにおいて、結着樹脂との親和性が大きいワックスを含有せしめたトナーは、特定の定着条件下では良好な耐オフセット性能と低温定着性能とを示す(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、これらのトナーはワックスが結着樹脂に相溶することに伴いトナーのガラス転移点やトナーの溶融粘度が低下するため、更なる低温定着性能の向上を目指した場合には、保存性や流動性に加えて帯電性が損なわれ易い。特に連続印字した場合に著しい濃度低下や画像欠陥を生じやすい。このため、優れた帯電性能によって現像安定性能を満足し、更なる低温定着性能を有するトナーが待望されている。
ところで、プリンター装置はLED、レーザビームプリンターが最近の市場の主流になっており、技術の方向としてより高解像度即ち、従来300、400dpiであったものが600、1200dpiとなって来ている。従って現像方式もこれにともなって、より高精細が要求されてきている。また、複写機においても高機能化が進んでおり、そのためデジタル化の方向に進みつつある。この方向は、静電潜像をレーザで形成する方法が主であるため、やはり高解像度の方向に進んでおり、ここでもプリンターと同様に高解像・高精細の現像方式が要求されてきている。この要求を満たす一つの手段としてトナーの小粒径化が進んでおり、特定の粒度分布の範囲で粒径の小さいトナーが提案されている(例えば、特許文献3〜8参照)。
しかし、トナー粒径が小さくなるほど、トナー粉体の安定な摩擦帯電は重要な技術となる。即ち、細かい個々のトナー粒子に均一な帯電量を持たせないと、前述したような画像安定性の低下がより顕著に現れやすい。これは、単純にトナーの粒径が小さくなるだけで、転写工程でトナー粒子にかかるクーロン力に比して、トナー粒子の感光体への付着力(鏡像力やファンデルワールス力など)が大きくなり、結果として転写残トナーが増加することに加えて、トナーの小径化には流動性の悪化が伴うため個々のトナー粒子の帯電量が不均一となりやすく、カブリや転写性の悪いトナー粒子が多くなるためである。
以上のような背景からトナーの帯電特性を改良するための検討が盛んに行われている。特に、環境への配慮や、より安定した帯電性の要求、製造コスト等の理由から、近年になって荷電制御機能を有する樹脂をトナー原材料として用いるという提案も行なわれている(例えば、特許文献9、10参照)。
これらの文献に従えば、帯電性の改良されたトナーを得ることができる。しかし、本発明者らがこれらのトナーについて検討を行ったところ、多数枚のプリントアウトを行った際に、逆極性に帯電したトナーが現像器内で次第に増加し、いわゆる反転カブリが急速に悪化していくという問題を有していることが判明した。また、これらの公報では、低温定着性に問題が生じる場合があった。
また、さらに改良されたスルホン酸基含有アクリルアミドとビニル系モノマーとの共重合体を含有するトナーが提案されている(例えば、特許文献11、12、13参照)。しかしながら、これらの文献においても、接触市成分現像システム等でプロセススピードを速めた場合等において、帯電性能(特に初期の立ち上がり性能)が不十分であった。
荷電制御機能を有する樹脂の帯電性改良に関しても、従来よりいくつかの提案がなされている(例えば、特許文献14、15参照)。これらの文献に従えば、帯電性の立ち上がりが比較的良好で、各種添加剤の結着樹脂中への分散が良好なトナーが得られる。しかし、耐久前後や高温高湿下での帯電量の安定性に改善の余地が見られる。さらに、これらの文献に記載されたトナーでは転写性が充分でなく、画質に問題が生じる場合がある。
特開平8−50367号公報 特開2001−318484号公報 特開平1−112253号公報 特開平1−191156号公報 特開平2−214156号公報 特開平2−284158号公報 特開平3−181952号公報 特開平4−162048号公報 特公平8−12467号公報 特許2663016号公報 特開平11−184165号公報 特開平11−288129号公報 特開平2000−56518号公報 特許第2807795号公報 特開平8−30017号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、良好な定着性を有するトナーにおいて、帯電特性に優れ、初期から多数枚プリントアウト後にかけて安定した帯電性を維持し、さらに現像性・転写性を保持し、長期に渡って安定した画像を得ることのできるトナーを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、アリール基を有する特定の構造を共重合体に含有させることによって、トナーの帯電性能を改良し、かつ定着性、現像・転写性を保持させることができるトナー用樹脂とできることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のトナー用樹脂及びトナー及び二成分現像剤に関するものである。
(1)少なくとも
1)下記一般式(1)で表される構造を有するユニットA、
2)下記一般式(2)で表される構造を有するユニットB、および
3)芳香族ビニルモノマー由来のユニットC
を含む共重合体であって、
該共重合体におけるユニットAとユニットBのユニット数基準の含有量が
ユニットAとユニットBの合計=0.2〜1.5mmol/g
であって、
ユニットA:ユニットB=50:50〜95:5
であることを特徴とするトナー用樹脂。
Figure 2007133218
(式中、B1は置換基を有していてもよい芳香族環を表し、置換基としては水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。R1は炭素数1〜12のアルキル基、アリール基を表し、A1はアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、エーテル結合を表す。)
Figure 2007133218
(式中、B2は置換基を有していてもよい芳香族環を表し、置換基としては水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。X1は水素原子、アルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオンを表し、A2はアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、エーテル結合を表す。)
(2)少なくとも結着樹脂、着色剤、及び、前記トナー用樹脂を含有するトナー粒子を有することを特徴とするトナー。
(3)少なくとも前記トナーとキャリアとを有することを特徴とする二成分現像剤。
以下に述べる本発明で特徴付けられるトナー用樹脂を含有するトナーを用いることにより、良好な低温定着性と安定した摩擦帯電性が得られ、結果的に現像性・転写性の良好な長期に渡って安定した画像を得ることが可能となる。
本発明者らは、トナーの定着性,帯電安定性,現像・転写性等について鋭意検討したところ、少なくとも下記一般式(1)で表される構造を有するユニットA、下記一般式(2)で表される構造を有するユニットB、および芳香族ビニルモノマー由来のユニットCを部分構造として含む共重合体(以下、単に「共重合体」と呼ぶこともある)を含有させることによって、定着性の優れたナーであっても帯電特性が安定し、現像性に優れたトナーを提供できることを見出したものである。
Figure 2007133218
(式中、B1は置換基を有していてもよい芳香族環を表し、置換基としては水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。R1は炭素数1〜12のアルキル基、アリール基を表し、A1はアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、エーテル結合を表す。)
Figure 2007133218
(式中、B2は置換基を有していてもよい芳香族環を表し、置換基としては水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。X1は水素原子、アルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオンを表し、A2はアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、エーテル結合を表す。)
上記トナー用樹脂の最も特徴的な点は、スルホン酸エステル基を置換基として有するユニットAにある。すなわち、従来から提案されているスルホン酸基を有する樹脂に対して、スルホン酸エステル基を用いることによって、その帯電発現効果を向上させることが可能となる。その結果、この樹脂を含有するトナーは初期からの摩擦帯電における立ち上がり特性に優れる。この理由は明確ではないが、スルホン酸エステル基はスルホン酸基に比べて疎水性が高く、空気中の水分子の影響を受けずに電子吸引特性が機能する点にあると推測している。また、スルホン酸塩のようなアニオン状態とは分子レベルでの摩擦機構に違いがあるものと考えられ、得られるトナー表面の電気抵抗値に対する影響も無視できない。
加えて、上記トナー用樹脂の特徴的な点は、スルホン酸基を置換基として有するユニットBも含有している点である。ユニットAのみを含有する共重合体では、摩擦帯電を繰り返すことによってチャージアップする傾向が見られ、特に低温低湿条件下での影響が大きいことが分かった。さらに、ユニットBを含有させることで、トナー中での分散/局在状態が任意に制御できることによって、結果的にトナー表面における存在量を制御できる。
加えて、ユニットA及びユニットBの摩擦帯電能に関する効果は、前記式(1)及び(2)で示されるようにスルホン酸エステル基又はスルホン酸(塩)基が芳香族環上に存在していることによってより顕著に発揮されることが分かった。この理由は、スルホン酸エステル基又はスルホン酸(塩)基を芳香族環を介して含有させることによって、スルホン酸部分の分子軌道の順位が芳香族環の共役系によって変化するためだと考えられる。したがって、芳香族環の構造や置換基の種類や場所が、スルホン酸エステル基及びスルホン酸(塩)基の帯電特性を大きく左右する因子であると考えている。最も好ましい構造は一概には決められないが、フェニル基およびナフチル基が好ましい構造として挙げられる。
さらに、前記式(1)及び(2)で示されるように、芳香族環がアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、エーテル結合によって結合される場合に優れた帯電特性を示すことが分かった。中でもアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合が特に優れている。この理由は明確ではないが、アミド部分の共鳴構造によって共役系が広がる上に、窒素原子上の水素原子によってスルホン酸部分との分子内水素結合を形成するためではないかと考えられる。
前記式(1)及び(2)で示されるように、芳香族環はその他の置換基を有していてもよく、具体的には、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、アルコキシ基であり、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。
ユニットA中のスルホン酸エステル鎖の構造としては、特に制限されないが、摩擦帯電特性に影響を及ぼし兼ねない程嵩張るのは好ましくない。よって、スルホン酸エステルのエステル鎖の構造としては、炭素数1〜12のアルキルエステル又はアリールエステルであることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルキルエステルである。
以上の説明に加えて、本発明のトナー用樹脂を工業的に製造する上での製造しやすさや、コストメリット等を考慮すれば、ユニットA及びユニットBは下記式(3)又は(4)で示される構造であることが好ましい。
Figure 2007133218
(式中、R2は水素原子又はメチル基を表し、R3〜6は独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよく、R7は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
Figure 2007133218
(式中、R8は水素原子又はメチル基を表し、R9〜12は独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよく、X2は水素原子、アルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオンを表す。)
加えて、上記トナー用樹脂の特徴的な点は、芳香族ビニルモノマー由来のユニットCを含有することである。ユニットCを有することによって、結着樹脂との相溶性の制御が容易となる。この相溶性の制御が意味するところは、トナー中での分散性/局在性を制御するという意味だけではなく、その結果、前記トナー用樹脂の分子レベルでの存在状態を制御する意味もある。別の言い方をすれば、トナー用樹脂と結着樹脂との相溶性によって、トナー用樹脂の分子鎖の伸縮性等が変わり、ユニットAやユニットBの配向性に影響を及ぼし、その結果、共重合体自体の帯電特性の安定性に非常に密接に関与していることが分かった。この効果は、ユニットA及びユニットBが有する芳香族環部分と芳香族ユニットCとの親和性に起因しているものと考えられる。
ユニットCを形成するための芳香族ビニルモノマーとして使用できるビニル系モノマー成分としては特に限定されない。具体的にはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレン及びその誘導体が挙げられる。
次に、本発明のトナー用樹脂におけるユニットA及びユニットBの含有割合について述べる。まず、樹脂中に含有されるユニットA及びユニットBの含有量は、その構造の違いや樹脂の主鎖構造の違いによって一概には決められないが、ユニットAとユニットBの合計で0.2〜1.5mmol/gの範囲にあることが必要である。0.2mmol/gより少ない場合には、帯電特性が不十分かつ不安定となる。逆に1.5mmol/gより多い場合には、トナー中での分散性/局在性に影響したり、現像・転写性が低下することが分かった。以上の理由より、0.3〜0.9mmol/gであることがより好ましい範囲である。
さらに、ユニットAとユニットBの比が、ユニット数基準で、
ユニットA:ユニットB=50:50〜95:5
であることが必要である。ユニットAの割合が50:50より少ない場合には、初期の帯電特性が不十分となり、逆に95:5より多い場合には、耐久後半や低温低湿下でのチャージアップが起きることが分かった。上記の理由により、ユニットAとユニットBの比が特定の割合で共存していることが必要であるが、より好ましい範囲としては、60:40〜85:15である。
本発明のトナー用樹脂の物性を調整する点で、下記式(5)で表される(メタ)アクリル酸エステルユニットを有することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルユニットを有することによって、結着樹脂やワックスとの相溶性を微調整することが可能であり、ガラス転移点の調整も容易となる。また、ランダム共重合性を高めることができ、ユニットA及びユニットBの分子中への均一分布が促進される。
Figure 2007133218
(式中、R13は水素原子又はメチル基を表し、R14は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、置換基としてはハロゲン、水酸基、アミノ基からなる群から選ばれる官能基である。)
上記の構造を有する化合物の具体例を挙げると、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、などのアクリル酸エステル類などを挙げることができる。
本発明のトナー用樹脂において、他のモノマーを構成成分として共重合してもよい。共重合してもよいモノマーは公知のものから任意に選択できるが、具体的に挙げると、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエスエル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸誘導体などを挙げることができる。
本発明のトナー用樹脂の合成方法としては特に限定されず、公知の手法により製造できるものであるが、大きく分けて二通り考えられる。
一つは、少なくとも芳香族ビニルモノマーと前記式(1)及び式(2)で示される構造を有するビニルモノマーを共重合させる方法である。もう一方は、少なくとも芳香族ビニルモノマー及び反応性モノマーを共重合させ、高分子反応により側鎖や官能基として前記式(1)及び(2)を結合させる方法である。これらの方法において、ユニットBだけを含有する共重合体を形成させておいて、スルホン酸をエステル化することによってユニットAを形成させる方法もとれる。
さらに具体的な合成方法として、前記式(3)及び(4)の構造を含有する共重合体の合成方法を例示すると
(A)芳香族ビニルモノマー及び下記式(7)で示されるモノマーとを共重合させ、その後に共重合体中のスルホン酸をエステル化する方法
Figure 2007133218
(式中、R19は水素原子又はメチル基を表し、R20〜23は独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよく、X4は水素原子、アルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオンを表す。)
(B)芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有モノマーとを共重合させ、さらに共重合体中のカルボン酸と下記一般式(6)のアミンを縮合させ、その後に共重合体中のスルホン酸をエステル化する方法
Figure 2007133218
(式中、R15〜18は独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよく、X3は水素原子、アルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオンを表す。)
を挙げることができる。他にも、ウレタン結合やウレア結合を利用した高分子架橋反応を利用した合成方法も利用できる。
前記(B)のような方法で、樹脂中のカルボキシル基とアミンを縮合させる方法としては公知の方法が利用できる。具体的には有機塩基中で亜リン酸トリフェニルを用いて反応させる方法が挙げられる。
前記(A)及び(B)の方法のように、樹脂中のスルホン酸をエステル化する方法としては公知の方法が利用できる。具体的には、スルホン酸のクロル化の後にアルコールと反応させる方法、ジメチル硫酸、トリメチルシリルジアゾメタン、リン酸トリメチル等のメチルエステル化剤を使用する方法、オルトギ酸エステルを使用する方法等が挙げられる。中でも本発明のエステル化の方法として最も優れているのはオルトギ酸エステルを使用する方法である。この方法によると、所望のアルキル基を有するオルトギ酸エステルとスルホン酸含有樹脂とを比較的温和な条件で反応させることにより、容易にスルホン酸のエステル化を行うことができ、反応温度、反応時間、オルトギ酸エステルの量、溶媒の量等により容易にエステル化の割合をコントロールできることが可能である。
本発明に用いられるオルトギ酸エステルは具体的には、トリメチルオルトホルメート、トリエチルオルトホルメート、トリ−n−プロピルオルトホルメート、トリ−iso−プロピルオルトホルメート、トリ−n−ブチルオルトホルメート、トリ−sec−ブチルオルトホルメート、トリ−tert−ブチルオルトホルメート、及びこれらの混合物等が挙げられる。
前記式(7)で表されるようなモノマーの合成方法としては、公知の方法が利用できる。例えば、前記式(6)で表されるアミンを反応性のアクリレート等(例えば、アクリル酸クロライドや無水メタクリル酸)でアミド化する方法である。
上記したようなモノマー成分を共重合するに際して用いることのできる重合開始剤としては、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤等様々なものが使用できる。
使用できる過酸化物系重合開始剤としては、有機系としては、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドが挙げられ、無機系としては、過硫酸塩、過酸化水素などが挙げられ、具体的には、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタンなどのパーオキシケタール;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;その他としてt−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等が挙げられる。また、使用できるアゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が例示される。
なお、必要に応じてこれら重合開始剤を2種以上同時に用いることもできる。
この際使用される重合開始剤の使用量は、モノマー100質量部に対し0.1〜20質量部であることが好ましい。
また、その重合法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合、沈殿重合、塊状重合等いずれの方法を用いることも可能であり、特に限定するものではない。
本発明においては、前記共重合体の分子量が小さすぎる場合には、スリーブやキャリアといった部材を汚染しやすいということに加え、ユニットA及びユニットBの帯電特性に悪影響を与える場合がある。逆に分子量が大きすぎる場合には、トナーの定着性を損なう恐れがあるだけでなく、前記共重合体のトナー中での存在状態が安定せず、均一な帯電特性が発現されない場合がある。以上の観点から、前記共重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより算出した重量平均分子量が2000〜200000であることが好ましい。より好ましい範囲としては、重量平均分子量が5000〜100000である。
また帯電特性や定着性の観点から、前記共重合体の分子量分布は狭いことが好ましい。好ましい分子量分布の範囲は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnにおいて、Mw/Mnが1.0〜6.0であり、より好ましくは、1.0〜4.0である。
前記共重合体の分子量及び分子量分布はゲルパーミテーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算で算出されるものであるが、本発明の共重合体のように、スルホン酸基を含有するものでは、カラム溶出速度がスルホン酸基の量にも依存してしまうため、正確な分子量及び分子量分布を測定したことにはならない。そのため、予めスルホン酸基をキャッピングした資料を用意する必要がある。キャッピングにはメチルエステル化が好ましく、市販のメチルエステル化剤が使用できる。具体的には、トリメチルシリルジアゾメタンで処理する方法が挙げられる。
尚、GPCによる分子量の測定は、以下の様にして行えばよい。
各樹脂サンプルをTHF(テトラヒドロフラン)に加え、室温で24時間静置した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル調製は、共重合体の濃度が0.4〜0.6質量%になるようにTHFの量を調整する。
装置 :高速GPC HLC8120 GPC(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、
805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流速 :1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10ml
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量校正曲線を使用する。
前記したように、トナーの定着性を損なわずに効果を発揮するために、前記トナー用樹脂のガラス転移点(Tg)を制御することが好ましく、示差走査熱量計(DSC)により測定されるTgが45℃〜110℃の範囲であることが好ましい。より好ましい範囲は50℃〜90℃である。
トナー製法への対応や結着樹脂との相溶性の改良、さらには水系媒体中でトナー粒子を製造する場合におけるトナー表面近傍への前記トナー用樹脂の局在化のために、前記トナー用樹脂が特定の酸価を有していてもよい。ただし、酸価が高すぎる場合には、前記アリール基の帯電特性を阻害することがあり、さらにトナーの帯電性が環境(温度・湿度)の変化によって左右される場合があるため好ましくない。前記トナー用樹脂の好ましい酸価の範囲は0.1〜40.0mgKOH/gであり、より好ましくは2.0〜30.0mgKOH/gである。
尚、本発明における酸価は以下の方法により求められる。
基本操作はJIS K−0070に基づく。
1)試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤する。このときの重量をW(g)とする。
2)300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150mlを加え溶解する。
3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用い、電位差滴定測定装置を用いて滴定を行う(たとえば、京都電子株式会社の電位差滴定測定装置AT−400(winworkstation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。)。
4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とする。同時にブランクを測定して、この時のKOHの使用量をB(ml)とする。
5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
本発明のトナーは、前記トナー用樹脂を含有することによって効果を発揮するが、その含有量は特に限定されない。好適な範囲としては結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.3〜10質量部である。
本発明において使用される結着樹脂としては特に制限はない。例えば、スチレン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等がトナー特性の上で望ましい。
本発明のトナーの結着樹脂の分子量分布は特に制限されないが、THFに可溶な樹脂成分のGPCにより算出したピーク分子量が、3000〜80000の範囲であることが好ましい。3000より小さいと帯電性に問題が生じる場合があり、80000よりも大きいと低温定着化が困難となる。尚、ピーク分子量の測定方法は前記した樹脂の分子量の測定方法と同様である。
本発明のトナーは、ワックスを含有することが好ましい。トナー中にワックスを含有させることにより、低温定着性と耐オフセット性にすぐれ、且つ表面平滑性が優れた定着画像を得ることができる定着性に優れたトナーを得ることができる。
トナー中にワックスを含有させた場合、定着時、溶融されたワックスは、その表面張力によって転写材と定着部材との間において離型剤として作用し、耐オフセット性能を著しく向上させるだけでなく、定着時のトナーの溶融化を加速させることによって低温定着性をも向上させることができる。このようなワックスの作用をトナー中で効果的に発現させるためには、ワックスの融点が非常に重要となる。すなわち、定着性の優れたトナーにおいては、示差走査熱量計により測定されるトナーのDSC曲線において、昇温時に見られるワックスの融解ピーク(吸熱ピーク)の温度が重要となる。この融解ピークの温度が高すぎる場合には、低温時での離型作用が発現せず、十分な耐オフセット性が得られないだけでなく、低温定着性能も望めない。逆に低すぎる場合には、トナーの溶融粘度が低くなりすぎてしまうために、高温側での離型作用が発現せず、十分な耐オフセット性が得られず、定着部材への巻きつきや張り付きといった現象まで引き起こされる。以上のような理由から、好ましいトナーのDSC曲線において、昇温時に見られる吸熱ピークの温度の範囲は、45℃〜130℃であり、より好ましくは50℃〜110℃、さらに好ましくは50℃〜90℃である。
本発明のトナーに用いられるワックスは、結着樹脂100質量部に対して0.5〜30質量部の範囲の含有量であることが好ましい。含有量が0.5質量部未満では前記した耐オフセット性に対する改善効果が充分でなく、30質量部を超えてしまうと長期間の保存性が低下すると共に、他のトナー材料の分散性が悪くなる上に、トナー表面近傍に存在するワックスの量が増加してしまい、本発明の特徴によって帯電特性を向上させていても、トナーの流動性が低下することによって画像特性の低下につながることがある。
本発明のトナーに使用可能なワックスとしては、前記のような範囲で融解ピークを有しているものから選ばれればよく、特に制限はないが、具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、またはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス等が挙げられる。
前述したように、定着性に優れたトナーとする場合、トナーのガラス転移点も制御することが好ましい。つまり、トナーのガラス転移点が高すぎる場合には、低温定着性能は得られない。しかしながら、トナーのガラス転移点の低温化によって、溶融温度は低くなるものの、低すぎる場合にはトナーの保存安定性が悪化してブロッキング現象を引き起こす恐れがあるだけでなく、特に、高温環境下において、現像器内への融着を起こしてしまい、トナー同士が融着し、流動性の低下を引き起こす。さらには、結果的に摩擦帯電効率が低下するため、本発明のトナー用樹脂を用いていても現像時のトナー飛散やカブリの発生を生じてしまう。以上のような理由から、トナーのDSC曲線より求められるガラス転移点は45〜70℃の範囲が好ましく、より好ましくは50〜70℃の範囲である。
本発明において、前述のワックスの融解ピーク及びトナーの軟化点温度及びガラス転移点は、例えば示差走査熱量測定(DSC)装置(M−DSC TAインストルメンツ社製)を用いて測定することができる。測定方法は、アルミパンに試料約6mg精秤し、リファレンスパンとして空のアルミパンを用い、窒素雰囲気下、モジュレーション振幅±0.6℃、周波数1/分で測定する。昇温時のリバーシングヒートフロー曲線からガラス転移点を中点法により求める。融解ピークは、上記測定で得られたヒートフロー曲線より求める。
本発明のトナーは、着色剤を含有している。黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
イエロー着色剤としては、顔料系としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3,7,10,12,13,14,15,17,23,24,60,62,74,75,83,93,94,95,99,100,101,104,108,109,110,111,117,123,128,129,138,139,147,148,150,166,168,169,177,179,180,181,183,185,191:1,191,192,193,199が好適に用いられる。染料系としては、例えば、C.l.solvent Yellow33,56,79,82,93,112,162,163、C.I.disperse Yellow42.64.201.211が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレッド19が特に好ましい。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部となる様に添加して用いられる。
さらに本発明のトナーは磁性体を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属、或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属との合金及びその混合物が挙げられる。
本発明に用いられる磁性体は、より好ましくは、表面改質された磁性体が好ましく、ポリマー溶解懸濁法や懸濁重合法の如き製法によって製造される重合法トナーに用いる場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。
これらの磁性体は平均粒子が2μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂100質量部に対し20〜200質量部、特に好ましくは40〜150質量部となる様に含有させるのが良い。
796kA/m(10kエルステッド)印加での磁気特性が保磁力(Hc)1.59〜23.9kA/m(20〜300エルステッド)、飽和磁化(σs)50〜200emu/g、残留磁化(σr)2〜20emu/gの磁性体が好ましい。
本発明のトナーにおいて、高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、トナーの重量平均粒径が3.0〜9.0μmであることが好ましく、4.0〜6.5μmであることがより好ましい。重量平均粒径が3.0μm未満のトナーにおいては、転写効率の低下から感光体上の転写残トナーが多くなり、感光体の削れやトナー融着の抑制が難しくなる。さらに、トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性及び撹拌性が低下することから、本発明のトナー用樹脂を使用していてもカブリや転写性が低下する傾向があり、削れや融着以外にも画像の不均一ムラ等が生じやすくなる。また、トナーの重量平均粒径が9.0μmを超える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくくなり、ドットの再現性が低下する傾向にある。
トナーの重量平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型またはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能である。本発明においては、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピュータ(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出し、それより重量平均粒径(D4)を測定する。
本発明のトナーの平均円形度は、0.955以上であることが好ましい。特に好ましくは平均円形度が0.970以上である。平均円形度が高いことにより、本発明のトナー用樹脂の効果と相乗し、均一帯電性が促進され、転写性に非常に優れる。これはトナー粒子と感光体との接触面積が小さく、鏡像力やファンデルワールス力等に起因するトナー粒子の感光体への付着力が低下する上に、本発明のトナー用樹脂の局所的な過剰帯電が抑制されるためであると考えられる。
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)を用いて測定を行い、測定された粒子の円形度を下式により求め、さらに下式で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
Figure 2007133218
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−3000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.400〜1.000の範囲を0.010間隔で、0.400以上0.410未満、0.410以上0.420未満、・・・、0.990以上1.000未満及び1.000の如くに61分割し、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度の値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度の値との誤差は、非常に少なく、実質的に無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこの様な算出法を用いても良い。
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像測定装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像測定装置に導入し、トータルカウントモードで3000個のトナー粒子を計測して、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定し、トナー粒子の平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像測定装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
本発明における「円形度」とは、トナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.000を示し、トナー形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
一般にトナー形状が不定形であるものは、トナー凸部、又は、凹部での帯電均一性が低く、さらに、不定形でもあるために静電潜像担持体とトナーとの接触面積が増加することにより、トナー付着力が高くなり、結果として転写残トナーの増加を招く。
本発明のトナーにおいて、摩擦帯電特性を補助するために、他の荷電制御剤を含有させることも可能であるが、好ましくは含有させない方がよい。含有させることが可能な荷電制御剤として具体的には、ネガ系制御剤としては、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の金属化合物;スルホン酸、カルボン酸を側鎖にもつ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;カリークスアレーン等が好ましい。ポジ系制御剤としては、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法としては特に限定されず公知の製法が用いられる。具体的には、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に記載されている懸濁重合法を用いて直接、トナー粒子を製造する方法;マイクロカプセル製法のような界面重合法でトナー粒子を製造する方法;コアセルベーション法によるトナー化;特開昭62−106473号公報や特開昭63−186253号公報に開示されている様な少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望の粒径のものを得る会合重合法によりトナー粒子を得る方法;単分散を特徴とする分散重合法によりトナー粒子を製造する方法;非水溶性有機溶媒に必要な樹脂類を溶解させた後、水中でトナー化するポリマー溶解(溶融)懸濁法;乳化分散法によりトナー粒子を得る方法;さらに加圧ニーダーやエクストルーダー、或いはメディア分散機等を用いてトナー成分を混練、均一に分散せしめた後、冷却し、混練物を機械的又はジェット気流下でターゲットに衝突させて所望のトナー粒径に微粉砕し、更に分級工程を経て粒度分布をシャープにせしめてトナー粒子を製造する粉砕法;さらに粉砕法で得られたトナーを溶媒中で加熱等により球形化処理しトナー粒子を得る方法が挙げられる。
しかしながら、本発明の効果がより顕著に表れるのはポリマー溶解(溶融)懸濁法または懸濁重合法である。その理由としては、水性媒体中で造粒させる工程(造粒工程)において、前記トナー用樹脂を効果的にトナー粒子表面近傍に局在させることが可能であるからである。以下に各懸濁法について説明する。
ポリマー溶解(溶融)懸濁法によるトナー粒子の製造方法においては、まず、有機媒体に結着樹脂、トナー用樹脂及び着色剤を溶解混合または分散させるか、又は熱により溶融状態となった樹脂にトナー用樹脂及び着色剤を溶解混合または分散させる。更にワックスや必要に応じた他の添加剤とともに、撹拌機等によって均一に溶解混合または分散させ、トナー形成用の液状混合物を作製する。その場合、予め着色剤、ワックス、他の添加剤を溶融混練したものを添加してもよい。こうして得られた液状混合物を、分散安定化剤を含有する分散媒体(好ましくは水系媒体)中に添加し、撹拌装置として高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用してトナー粒子径まで分散懸濁させる(造粒工程)。そして、結着を溶解するために有機溶媒を用いた場合には、加熱、または減圧により有機溶媒を除去し、さらにメタノール、エタノール、1−プロパノール、t−ブチルアルコール、アセトン等の溶媒を添加することによって有機溶媒を完全に除去させ、トナー粒子を得ることができる。
懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法においては、まず、結着樹脂を構成する重合性モノマー中に着色剤を撹拌機等によって均一に溶解混合または分散させる。特に着色剤が顔料である場合には、分散機により処理し顔料分散ペーストとすることが好ましい。これを重合性モノマー、トナー用樹脂及び重合開始剤、更にワックスや必要に応じた他の添加剤とともに、撹拌機等によって均一に溶解混合または分散させ、モノマー組成物を作製する。こうして得られたモノマー組成物を、分散安定化剤を含有する分散媒体(好ましくは水系媒体)中に添加し、撹拌装置として高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用してトナー粒子径まで微分散させる(造粒工程)。そして、重合工程において微分散されたモノマー組成物を光や熱により重合反応させ、トナー粒子を得ることができる。
ポリマー溶解(溶融)懸濁法に用いることのできる有機媒体は、トナー結着樹脂に応じて決められるものであり、特に限定されない。具体的には、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコール、モノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;トリクロロエチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルグリコール、トリオキサンテトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルスルホキシド等の硫黄・窒素含有有機化合物類等から選ばれる。
有機媒体に顔料組成物を分散させる方法としては公知の方法を用いることができる。例えば、有機媒体中に必要に応じて樹脂、顔料分散剤を溶かし込み、撹拌しながら顔料粉末を徐々に加え十分に溶媒になじませる。さらにボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加えることで顔料を安定に微分散、すなわち均一な微粒子状に分散することができる。
ポリマー溶解(溶融)懸濁法に使用される結着樹脂としての樹脂は特に制限はない。例えば、スチレン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等がトナー特性の上で望ましい。
懸濁重合法において好適に用いることができる重合性モノマーは、付加重合系モノマーあるいは縮合重合系モノマーであり、前記トナー用樹脂の製法に使用できるモノマーとして列挙したものが用いられる。
前記の製造方法において用いることのできる分散媒体としては、結着樹脂、有機媒体、モノマーおよびトナー用樹脂の分散媒体に対する溶解性から決められるものであるが、水系のものが好ましい。水系の分散媒体として使用できるものは、例えば水;メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類が挙げられ、その他にも水溶性のものとして、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;エチルエーテル、エチレングリコール等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の硫黄、窒素含有有機化合物類等から選ばれるが、水またはアルコール類であることが特に好ましい。またこれらの溶媒を2種類以上混合して用いることもできる。分散媒体に対する液状混合物又はモノマー組成物の濃度は、分散媒体に対して1〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜65質量%である。
水系の分散媒体を使用する場合に用いることのできる分散安定化剤としては、公知のものが使用可能である。具体例には、無機化合物として、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機化合物として、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン等を水相に分散させて使用できる。分散安定化剤の濃度は液状混合物又はモノマー組成物100質量部に対して0.2〜20質量部が好ましい。
懸濁重合法を用いた本発明のトナーに用いる重合開始剤としては公知の重合開始剤を挙げることができる。具体的には、前記トナー用樹脂の製法に使用できる開始材として列挙したものが用いられる。
また、懸濁重合法によりトナーを製造する場合に用いる連鎖移動剤としては、公知の連鎖移動剤を挙げることができる。
本発明のトナーは、トナー粒子の表面に無機微粉体を有することが好ましい。
無機微粉体は、トナーの流動性改良及び帯電均一化のためにトナー粒子に添加、混合され、添加された無機微粉体はトナー粒子の表面に均一に付着した状態で存在する。
本発明における無機微粉体は、個数平均1次粒径4〜80nmであることが好ましい。無機微粉体の個数平均1次粒径が80nmよりも大きい場合、或いは80nm以下の無機微粉体が添加されていない場合には、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題を避けられないことがある。無機微粉体の個数平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像、像担持体或いは現像担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには無機微粉体の個数平均1次粒径は6〜35nmであることがより好ましい。
本発明において、無機微粉体の個数平均1次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー粒子表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉体の1次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径を求めることで得られる。
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、アルミナ、チタニアから選ばれる無機微粉体またはその複酸化物などが使用できる。複酸化物としては、例えば、ケイ酸アルミニウム微粉体やチタン酸ストロンチウム微粉体等が挙げられる。また、ケイ酸微粉体として、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。表面及びケイ酸微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
個数平均1次粒径が4〜80nmの無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.1〜5.0質量部であることが好ましい。添加量が0.1質量部未満ではその効果が十分ではなく、5.0質量部超では定着性が悪くなることがある。
本発明における無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、トナー飛散が起こり易くなる。
無機微粉体を疎水化処理する疎水化処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
その中でも、上記シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉体を疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものを磁性トナー粒子に用いると、高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
また、本発明のトナーは、クリーニング性向上等の目的で、1次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは1次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の球形に近い無機微粒子又は有機微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。具体的には、例えば、球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
さらに、本発明に用いられるトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機および/または無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
また、本発明のトナーはキャリアと混合して二成分系現像剤として用いることもできるし、トナーのみからなる一成分系現像剤として用いることもできる。特に、帯電の立ち上がり特性が重要となる非磁性一成分系現像剤として用いる場合に、より顕著にその効果を発揮するものである。
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等を微粒子化したものが使用できるが、磁性微粒子を樹脂中に分散させた磁性微粒子分散型樹脂キャリアを用いることで、より好ましく本発明の帯電特性を達成することができる。
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解若しくは懸濁させて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着させる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
磁性キャリアコア粒子表面への被覆材料としては、例えばシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂等が挙げられる。これらは単独或いは複数で用いる。上記被覆材料の処理量は、キャリアコア粒子に対し0.1〜30質量%(好ましくは0.5〜20質量%)が好ましい。これらキャリアの平均粒径は10〜100μm、さらには20〜70μmであることが好ましい。
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は、現像剤中のトナー濃度として2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中で使用する部はすべて質量部を示す。
また、実施例中で用いた分析機器は以下のものである。
FT−IRスペクトル
Nicolet社製 AVATAR360FT−IR
1 H−NMR、 13 C−NMR
日本電子製FT−NMR JNM−EX400(使用溶媒 重クロロホルム)
元素分析
カルロエルバ社製元素分析装置EA−1108(C量、O量、S量及びN量を算出)
トナー用樹脂の製造例
以下に示す方法によりトナー用樹脂J1〜J6の合成を行った。
トナー用樹脂J1の製造
<原料共重合体の製造>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、メタノール50部、テトラヒドロフラン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
<モノマー組成、混合比>
・スチレン 90.0部
・アクリル酸 10.0部
このモノマー混合液に、さらに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3.0部混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、スチレンアクリル酸共重合体を得た。
<ユニットBの導入・・・縮合反応>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、得られたスチレンアクリル酸共重合体 100部、2−アミノベンゼンスルホン酸114部を入れ、ピリジン380部を加えて撹拌した後、亜リン酸トリフェニル410部を加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール500部に再沈殿して回収した。得られたポリマーを1N塩酸200部を用いて2回洗浄を行った後、水200部で2回洗浄を行い、減圧乾燥させた。IR測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm-1のピークが減少し、新たに、1658cm-1にアミド結合に由来するピークが確認された。加えて、1H−NMRの結果より、2−アミノベンゼンスルホン酸のフェニル基に由来するピークがシフトしていることが確認された。
<ユニットAの導入・・・スルホン酸のエステル化>
さらに、冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、トリメチルオルトホルメート400部を仕込み80℃に加熱した。これに、得られたポリマー100部を5分間で添加し、その後15時間撹拌した。その後、反応混合物をヘキサン9000部に撹拌しながら滴下した。しばらく放置し、樹脂を析出、沈殿させた。デカンテーションにて上澄みを除き、残渣にクロロホルム500部を加えて溶かした。これをヘキサン7500部に撹拌下で滴下し、析出、沈殿させ、デカンテーションにて上澄みを除き、残渣を減圧乾燥した。これをメタノール300部で洗浄し、さらに水300部で洗浄した。これを減圧乾燥し、トナー用樹脂J1を得た。
トナー用樹脂J2の製造
<原料共重合体の製造>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、メタノール67部、トルエン50部、メチルエチルケトン83部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
<モノマー組成、混合比>
・スチレン 72.0部
・n−ブチルアクリレート 20.0部
・アクリル酸 8.0部
このモノマー混合液に、さらに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1.5部混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、スチレンアクリル酸共重合体を得た。
<ユニットBの導入・・・縮合反応>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、得られたスチレンアクリル酸共重合体 100部、4−メトキシアニリン−2−スルホン酸114部を入れ、ピリジン380部を加えて撹拌した後、亜リン酸トリフェニル350部を加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール500部に再沈殿して回収した。得られたポリマーを1N塩酸200部を用いて2回洗浄を行った後、水200部で2回洗浄を行い、減圧乾燥させた。IR測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm-1のピークが減少し、新たに、1658cm-1にアミド結合に由来するピークが確認された。加えて、1H−NMRの結果より、4−メトキシアニリン−2−スルホン酸のメトキシ基に由来するピークがシフトしていることが確認された。
<ユニットAの導入・・・スルホン酸のエステル化>
さらに、冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、トリメチルオルトホルメート800部を仕込み80℃に加熱した。これに、得られたポリマー100部を5分間で添加し、その後15時間撹拌した。その後、反応混合物をヘキサン9000部に撹拌しながら滴下した。しばらく放置し、樹脂を析出、沈殿させた。デカンテーションにて上澄みを除き、残渣にクロロホルム500部を加えて溶かした。これをヘキサン7500部に撹拌下で滴下し、析出、沈殿させ、デカンテーションにて上澄みを除き、残渣を減圧乾燥した。これをメタノール300部で洗浄し、さらに水300部で洗浄した。これを減圧乾燥し、トナー用樹脂J2を得た。
トナー用樹脂J3の製造
<原料共重合体の製造>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、メタノール50部、テトラヒドロフラン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
<モノマー組成、混合比>
・スチレン 84.0部
・2−エチルヘキシルアクリレート 10.0部
・アクリル酸 6.0部
このモノマー混合液に、さらに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1.0部混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、スチレンアクリル酸共重合体を得た。
<ユニットBの導入・・・縮合反応>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、得られたスチレンアクリル酸共重合体 100部、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸94部を入れ、ピリジン380部を加えて撹拌した後、亜リン酸トリフェニル265部を加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール500部に再沈殿して回収した。得られたポリマーを1N塩酸200部を用いて2回洗浄を行った後、水200部で2回洗浄を行い、減圧乾燥させた。IR測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm-1のピークが減少し、新たに、1658cm-1にアミド結合に由来するピークが確認された。加えて、1H−NMRの結果より、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸のフェニル基に由来するピークがシフトしていることが確認された。
<ユニットAの導入・・・スルホン酸のエステル化>
さらに、冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、トリエチルオルトホルメート800部を仕込み80℃に加熱した。これに、得られたポリマー100部を5分間で添加し、その後15時間撹拌した。その後、反応混合物をヘキサン9000部に撹拌しながら滴下した。しばらく放置し、樹脂を析出、沈殿させた。デカンテーションにて上澄みを除き、残渣にクロロホルム500部を加えて溶かした。これをヘキサン7500部に撹拌下で滴下し、析出、沈殿させ、デカンテーションにて上澄みを除き、残渣を減圧乾燥した。これをメタノール300部で洗浄し、さらに水300部で洗浄した。これを減圧乾燥し、トナー用樹脂J3を得た。
<トナー用樹脂J4の製造>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、メタノール20部、テトラヒドロフラン100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
<モノマー組成、混合比>
・スチレン 72.3部
・n−ブチルアクリレート 20.0部
・2−アクリルアミド−ベンゼンスルホン酸メチルエステル 4.5部
・2−アクリルアミド−ベンゼンスルホン酸ナトリウム 3.2部
このモノマー混合液に、メタノール20部、テトラヒドロフラン60部を混合し、さらに重合開始剤としてパーブチルPV(日本油脂株式会社製)を3.0部混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、トナー用樹脂J4を得た。
トナー用樹脂J5の製造
<原料共重合体の製造>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、メタノール50部、テトラヒドロフラン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
<モノマー組成、混合比>
・スチレン 85.0部
・アクリル酸 15.0部
このモノマー混合液に、さらに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を3.0部混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、スチレンアクリル酸共重合体を得た。
<ユニットBの導入・・・縮合反応>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、得られたスチレンアクリル酸共重合体 100部、4−アミノベンゼンスルホン酸182部を入れ、ピリジン380部を加えて撹拌した後、亜リン酸トリフェニル600部を加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール500部に再沈殿して回収した。得られたポリマーを1N塩酸200部を用いて2回洗浄を行った後、水200部で2回洗浄を行い、減圧乾燥させた。IR測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm-1のピークが減少し、新たに、1658cm-1にアミド結合に由来するピークが確認された。加えて、1H−NMRの結果より、4−アミノベンゼンスルホン酸のフェニル基に由来するピークがシフトしていることが確認された。
<ユニットAの導入・・・スルホン酸のエステル化>
さらに、冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、トリ(イソプロピル)オルトホルメート1200部を仕込み80℃に加熱した。これに、得られたポリマー100部を5分間で添加し、その後15時間撹拌した。その後、反応混合物をヘキサン9000部に撹拌しながら滴下した。しばらく放置し、樹脂を析出、沈殿させた。デカンテーションにて上澄みを除き、残渣にクロロホルム500部を加えて溶かした。これをヘキサン7500部に撹拌下で滴下し、析出、沈殿させ、デカンテーションにて上澄みを除き、残渣を減圧乾燥した。これをメタノール300部で洗浄し、さらに水300部で洗浄した。これを減圧乾燥し、トナー用樹脂J5を得た。
<トナー用樹脂J6の製造>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、メタノール20部、テトラヒドロフラン100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
<モノマー組成、混合比>
・スチレン 65.0部
・n−ブチルアクリレート 10.0部
・下記一般式のモノマー 25.0部
Figure 2007133218
このモノマー混合液に、メタノール20部、テトラヒドロフラン60部を混合し、さらに重合開始剤としてパーブチルPV(日本油脂株式会社製)を3.0部混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下、50℃で乾燥した。
<ユニットAの導入・・・スルホン酸のエステル化>
さらに、冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、トリメチルオルトホルメート800部を仕込み40℃に加熱した。これに、得られたポリマー100部を5分間で添加し、その後2時間撹拌した。その後、反応混合物をヘキサン9000部に撹拌しながら滴下した。しばらく放置し、樹脂を析出、沈殿させた。デカンテーションにて上澄みを除き、残渣にクロロホルム500部を加えて溶かした。これをヘキサン7500部に撹拌下で滴下し、析出、沈殿させ、デカンテーションにて上澄みを除き、残渣を減圧乾燥した。これをメタノール300部で洗浄し、さらに水300部で洗浄した。これを減圧乾燥し、トナー用樹脂J6を得た。
以下に示す方法により比較例用樹脂H1〜H5の合成を行った。
トナー用樹脂J1の作製例において、ユニットAの導入(スルホン酸のエステル化)の工程を以下のように変更することにより比較例用樹脂H1を得た。
<ユニットAの導入工程>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、トリメチルオルトホルメート400部を仕込み40℃に加熱した。これに、スチレンアクリル酸共重合体100部を5分間で添加し、その後30分間撹拌した。その後、反応混合物をヘキサン9000部に撹拌しながら滴下した。しばらく放置し、樹脂を析出、沈殿させた。デカンテーションにて上澄みを除き、残渣にクロロホルム500部を加えて溶かした。これをヘキサン7500部に撹拌下で滴下し、析出、沈殿させ、デカンテーションにて上澄みを除き、残渣を減圧乾燥した。これをメタノール300部で洗浄し、さらに水300部で洗浄した。これを減圧乾燥し、比較例用樹脂H1を得た。
トナー用樹脂J1の作製例において、ユニットAの導入(スルホン酸のエステル化)の工程を以下のように変更することにより比較例用樹脂H2を得た。
<ユニットAの導入工程>
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、スチレンアクリル酸共重合体100部、クロロホルム3500部、メタノール800部を加えて溶解し、0℃まで冷却した。これに2mol/リットルのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液(Aldrich社製)75部を加えて、4時間撹拌した。その後、蒸留を行って溶剤を留去した。
さらに、トルエン2500部、メチルエチルケトン1000部を加えて、ポリマーを再溶解させ、蒸留により溶媒を留去した。この再溶解/蒸留の操作を3回繰り返し、減圧下50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、比較例用樹脂H2を得た。
トナー用樹脂J4の作製例において、モノマー組成(混合比)を以下のように変更することにより比較例用樹脂H3を得た。
<モノマー組成、混合比>
・スチレン 77.6部
・n−ブチルアクリレート 20.0部
・2−アクリルアミド−ベンゼンスルホン酸メチルエステル 1.4部
・2−アクリルアミド−ベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.0部
トナー用樹脂J4の作製例において、モノマー組成(混合比)を以下のように変更することにより比較例用樹脂H4を得た。
<モノマー組成、混合比>
・スチレン 40.0部
・n−ブチルアクリレート 20.0部
・2−アクリルアミド−ベンゼンスルホン酸メチルエステル 23.5部
・2−アクリルアミド−ベンゼンスルホン酸ナトリウム 16.5部
トナー用樹脂J4の作製例において、モノマー組成(混合比)を以下のように変更することにより比較例用樹脂H5を得た。
<モノマー組成、混合比>
・メチルメタクリレート 72.3部
・n−ブチルアクリレート 20.0部
・2−アクリルアミド−ベンゼンスルホン酸メチルエステル 4.5部
・2−アクリルアミド−ベンゼンスルホン酸ナトリウム 3.2部
以上作製した樹脂S1〜S6及び比較例用樹脂H1〜H5につき、1H−NMR及び13C−NMR及び元素分析の結果より計算されたユニットA及びユニットBの構造と含有量(mmol/g)及びユニットCの含有量(mol%)を表1に示し、前記した方法により酸価、分子量、Tgを測定した結果を表2に示す。
Figure 2007133218
Figure 2007133218
トナーの製造例
以下に示す方法により本発明のトナー1〜6を製造した。
<トナー1の製造>
顔料分散ペーストの作製:
・スチレンモノマー 80部
・Cuフタロシアニン(Pigment Blue 15:3) 13部
上記材料を容器中でよくプレミックスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストを作製した。
トナー粒子の作製:
イオン交換水1150部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液390部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて11,000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液58部を添加し、Ca3(PO42を含む分散媒体を得た。
・上記顔料分散ペースト 46.5部
・スチレンモノマー 42.0部
・n−ブチルアクリレート 18.0部
・エステルワックス 13.0部
(主成分C1939COOC2041、融点68.6℃)
・飽和ポリエステル樹脂 5.0部
(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA共重合体、酸価10mgKOH/g、Mw16000)
・トナー用樹脂J1 1.5部
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに60℃に保持しながら、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3.0部を加えて溶解し、単量体組成物を調製した。
上記分散媒体に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気とし、クレアミックスを用いて10000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で5時間反応させた後、80℃で5時間撹拌し、重合を終了させた。室温まで冷却させた後、塩酸を加えてCa3(PO42を溶解し、濾過・水洗・乾燥することによりトナー粒子を得た。さらに得られたトナー粒子を分級して、2〜10μmを選択し、トナー粒子を調製した。
トナーの作製:
得られたトナー粒子の100部に対して、ヘキサメチルジシラザンで表面を処理した後、シリコーンオイルで処理した個数平均1次粒径9nm、BET比表面積180m2/gの疎水性シリカ微粉体1部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合・外添してトナー1を得た。
<トナー2の製造>
顔料分散ペーストの作製:
・スチレンモノマー 80部
・カーボンブラック 13部
上記材料を容器中でよくプレミックスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストを作製した。
トナー粒子の作製:
イオン交換水1200部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液350部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて11,000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液52部を添加し、Ca3(PO42を含む分散媒体を得た。
・上記顔料分散ペースト 46.5部
・スチレンモノマー 38.0部
・n−ブチルアクリレート 22.0部
・脂肪族ワックス 10.0部
(Mw1850、Mw/Mn1.27、融点78.6℃)
・飽和ポリエステル樹脂 5.0部
(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA共重合体、酸価10mgKOH/g、Mw16000)
・トナー用樹脂J2 1.5部
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに60℃に保持しながら、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を加えて溶解し、単量体組成物を調製した。
上記分散媒体に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気とし、クレアミックスを用いて10000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で5時間反応させた後、80℃で5時間撹拌し、重合を終了させた。室温まで冷却させた後、塩酸を加えてCa3(PO42を溶解し、濾過・水洗・乾燥することによりトナー粒子を得た。さらに得られたトナー粒子を分級して、2〜10μmを選択し、トナー粒子を調製した。さらに、トナーの製造例1と同様にして、トナー粒子に疎水性シリカ微粉体を外添しトナー2を得た。
<トナー3の製造>
トナー1の製造例において、トナー用樹脂J1を1.5部用いるかわりにトナー用樹脂J3を3.0部用いた以外は同様にしてトナー3を得た。
<トナー4の製造>
トナー組成物混合液の作製:
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸誘導体の共重合ポリエステル樹脂
(Tg62℃、軟化点102℃、Mw21000) 100.0部
・Cuフタロシアニン(Pigment Blue 15:3) 5.0部
・脂肪族ワックス 8.0部
(Mw1850、Mw/Mn1.27、融点78.6℃)
・トナー用樹脂J1 5.0部
・酢酸エチル 100.0部
上記材料を容器中でよくプレミックスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、トナー組成物混合液を作製した。
トナー粒子の作製:
イオン交換水240部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液78部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて11,000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液12部を添加し、Ca3(PO42を含む分散媒体を得た。さらに、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲンBS−H、第一工業製薬(株)製)1.0部を添加し10分間撹拌した。
前記ホモミキサーの容器中で調製した上記分散媒体を30℃に調整し、撹拌している中に、30℃に調整したトナー組成物混合液180部を投入し、1分間撹拌した後停止してトナー組成物分散懸濁液を得た。得られたトナー組成物分散懸濁液を撹拌しながら40℃一定で、局排装置により懸濁液面上の気相を強制更新して、17時間そのままに保ち溶媒を除去した。室温まで冷却させた後、塩酸を加えてCa3(PO42を溶解し、濾過・水洗・乾燥することによりトナー粒子を得た。さらに得られたトナー粒子を分級して、2〜10μmを選択し、トナー粒子を調製した。さらに、トナーの製造例1と同様にして、トナー粒子に疎水性シリカ微粉体を外添しトナー4を得た。
<トナー5の製造>
トナー4の製造例において、トナー用樹脂J1を5.0部用いるかわりにトナー用樹脂J4を10.0部用いた以外は同様にしてトナー5を得た。
<トナー6の製造>
樹脂分散液の製造:
スチレン 370部
n−ブチルアクリレート 30部
アクリル酸 6部
ドデカンチオール 24部
4臭化炭素 4部
以上を混合溶解したものを非イオン性界面活性剤ノニポール400 6部、アニオン性界面活性剤ネオゲンSC10部をイオン交換水550部に溶解したものにフラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入し、窒素置換をおこなった。そののちフラスコを撹拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これにより、中心径155nm、ガラス転移点59℃、Mw12000の樹脂分散液を得た。
トナー用樹脂J5分散液の製造:
トナー用樹脂J5 40部をイオン交換水360部に加え、90℃に加熱後、5%のアンモニア水でpH=7に調整し、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.8部を加えながら、Ultra Turrax T−50(IKA製)を用いて、8000rpmで撹拌し、中心径200nmのトナー用樹脂J5の分散液を作製した。
青顔料分散液の調製:
下記組成を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)と超音波照射により分散し、中心粒径150nmの青顔料分散液を得た。
・シアン顔料 C.I.Pigment Blue 15:3 50部
(銅フタロシアニン 大日本インク製)
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC 5部
・イオン交換水 200部
離型剤分散液の調製:
下記組成を混合し、97℃に加熱した後、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散した。その後、ゴーリンホモジナイザー(盟和商事製)で分散処理し、105℃、550kg/cm2の条件で20回処理することで、中心径190nmの離型剤分散液を得た。
・脂肪族ワックス 100部
(Mw1850、Mw/Mn1.27、融点78.6℃)
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC 5部
・イオン交換水 300部
トナー粒子の製造:
樹脂分散液 200部
着色剤分散液 30部
離型剤分散液 30部
サニゾールB50 1.5部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックスT50で混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら48℃まで加熱した。48℃で30分保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、約5μmの凝集粒子が生成していることが確認された。ここにトナー用樹脂S3分散液を緩やかに60部添加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて50℃で1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると約5.6μmの凝集粒子が生成していることが確認された。その後、ここにネオゲンSC3部を追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら105℃まで加熱し、3時間保持した。冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥させトナー粒子とした。さらに得られたトナー粒子を分級して、2〜10μmを選択し、トナー粒子を調製した。さらに、トナーの製造例1と同様にして、トナー粒子に疎水性シリカ微粉体を外添し、トナー6を得た。
以下に示す方法により比較例用のトナー7〜11を製造した。
<トナー7の製造>
トナー1の製造方法において、トナー用樹脂J1のかわりに比較例用樹脂H1を用いた以外は同様にして、トナー7を得た。
<トナー8の製造>
トナー1の製造方法において、トナー用樹脂J1のかわりに比較例用樹脂H2を用いた以外は同様にして、トナー8を得た。
<トナー9の製造>
トナー5の製造方法において、トナー用樹脂J4のかわりに比較例用樹脂H3を用いた以外は同様にして、トナー9を得た。
<トナー10の製造>
トナー5の製造方法において、トナー用樹脂J4のかわりに比較例用樹脂H4を用いた以外は同様にして、トナー10を得た。
<トナー11の製造>
トナー1の製造方法において、トナー用樹脂J1のかわりに比較例用樹脂H5を用いた以外は同様にして、トナー11を得た。
以上のトナー1〜11に関し、前記した方法によって体積平均粒径及び円形度の測定を行い、さらにDSCの測定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2007133218
さらに、以上の実施例、比較例のトナー1〜11につき以下の通りに画出し評価を行った。その結果を表4に示す。
・画出し試験方法
市販のフルカラーレーザービームプリンター(LBP−5500,キヤノン製)を用いて、市販のカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃したカートリッジに各トナー200gを充填して画だし試験を行った。試験内容は、常温常湿環境(23.5℃、60%RH)下、8000枚連続プリント試験を行い、さらに、低温低湿環境(15℃,10%RH)下、2000枚連続プリント試験を行った。プリント試験中、1枚〜5枚目を初期、7996枚〜8000枚目を耐久後、低温低湿環境下1996〜2000枚目を過酷耐久後とし、それぞれのトナー担持体上のトナー帯電量、画像濃度を測定し、平均値を求めた。この試験においてプリント速度をA4横17枚/分(75g/m2のA4普通紙)とし、紙面積に対するプリント比率2%のオリジナルチャートを使用した。加えて、8000枚耐久後と低温低湿環境下2000枚耐久後において、それぞれ画像濃度0.7程度になるハーフトーン画像を出力し、そのきめ細かさ、均一性を目視評価した。
ハーフトーン画像の目視評価の基準は以下の通りである。
A:非常に良好 非常に均一できめ細かい
B:実用上問題なし 僅かな斑が感じられる
C:実用上問題となる可能性あり 画像にもやがかかっている
D:難あり 濃淡の目立ったがさつき不良画像が発生
Figure 2007133218
表4から示す結果から明らかなように、本発明に係わる実施例のトナー1〜6は、画出し試験において、初期から良好な帯電特性を有しており、8000枚プリントアウト後も維持できることが確認された。さらに、低温低湿下で2000枚プリントアウト後においても、高い帯電特性を維持していることが確認できた。その結果、耐久を通して画像濃度、ハーフトーン画質共に良好なレベルで安定していた。
一方、比較例のトナー7では、初期の帯電特性が比較的低い値を示し、画像濃度も低いものとなった。トナー8では、初期の帯電特性は良好であったものの、8000枚プリントアウト後に若干高くなり、低温低湿下2000枚プリントアウト後には、大幅に高くなっていることが確認された。帯電量の高上に伴ってハーフトーン画像にもやがかかり、画質の均一性が損なわれていた。また、トナー9においては、初期の帯電量が低く、帯電の立ち上がり特性が悪いことが分かる。耐久に伴って帯電量は増加するものの、低温低湿下では逆に高い帯電量を示した。その結果、初期は画像濃度が低く、低温低湿下ではハーフトーン画質に斑が確認された。トナー10においては、終始非常に高い帯電特性を示し、ハーフトーン画像に斑が確認された。さらに、画像濃度も終始低めであった。この理由は転写効率が低いことが原因であった。トナー11においては、終始画像濃度及びハーフトーン画像のレベルが低いものとなった。この理由は転写効率が低いことに加え、現像性の悪化が原因であった。さらに、低温低湿下でのチャージアップも確認された。
<二成分現像剤の評価>
上記で得られたトナー1〜6と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性微粒子分散型樹脂キャリア(平均粒径35μm)とを、それぞれトナー濃度が7.0質量%になるように混合し二成分現像剤を作製した。作製した二成分現像剤各450gを高温高湿下(30℃/80%)で7日間放置した後、常温常湿下(23℃/60%)でさらに3日間放置し初期混合による帯電をリセットした。それらをカラー複写機CLC−5100(キヤノン製)の現像器ユニットに仕込み、予備回転なしに画像面積比率25%のA4画像出力を行った。帯電立ち上がり特性の低いトナーでは初期(1〜10枚)の出力画像において白地部にかぶりが生じ、トナーの飛び散りによるライン画像の乱れが観察されるが、本発明のトナー1〜6を用いた場合にはかぶりもなく細線再現性に優れた画像が得られた。また、画像面積比率7%のA4画像を8千枚連続したのちに前記と同様のA4画像を観察したところ、画像濃度も初期と同様に安定しており、かぶりや細線の再現性は初期と同レベルを維持していた。さらに、低温低湿環境(15℃,10%RH)下で前記と同様に2千枚の耐久後、同様のA4画像を観察したところ、画像濃度も初期と同様に安定しており、かぶりや細線の再現性も実用上問題のないレベルであった。
<トナー12、13の製造>
下記の材料の混合物をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。
・スチレン−アクリル酸ブチル−ジビニルベンゼン共重合体 85.0部
(Tg58℃、Mn8000、Mw120000)
・トナー用樹脂J1 15.0部
・磁性酸化鉄(平均粒径0.18μm) 100.0部
・ポリメチンワックス 5.0部
(Mw:1850、Mw/Mn:1.27、融点:78.6℃)
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級して、トナー粒子を得た。さらに、トナー1の製造例と同様にして、トナー粒子に疎水性シリカ微粉体を外添しトナー12を得た。
得られたトナー12は、体積平均粒径6.85μm、平均円形度0.962、さらに、DSCにおいてTg57.6℃、融解メインピーク74.0℃であった。
トナー12の製造例において、トナー用樹脂J1を15部用いた代わりに、トナー用樹脂J6を30部用いた以外は同様にして、トナー13を得た。
得られたトナー13は、体積平均粒径6.88μm、平均円形度0.964、さらに、DSCにおいてTg57.4℃、融解メインピーク74.2℃であった。
・画出し試験方法
市販のフルカラーレーザービームプリンター(LBP−930,キヤノン製)を用いて、必要に応じて逐次トナーを補給しながら、常温常湿(23.5℃、60%RH)下、8000枚の画出しを行い、画像濃度と同時にトナー担持体上のトナー帯電量を測定した。
その結果、トナー12及び13は、共に初期から耐久後にわたって画像濃度は1.47〜1.50で安定しており、良好な画像が得られた。また、帯電量も共に初期から耐久後にかけて−28.0μC/g−30.0μC/gを維持しており、良好な安定性を示した。さらに、低温低湿環境(15℃,10%RH)下、2000枚の画だしを行い、画像濃度と同時にトナー担持体上のトナー帯電量を測定したところ、画像濃度は共に1.45以上を維持しており、帯電量も共に−35.0μC/g以下を維持していることが確認できた。以上の結果より本発明のトナー12及び13は実用上優れていることが確認された。

Claims (16)

  1. 少なくとも
    1)下記一般式(1)で表される構造を有するユニットA、
    2)下記一般式(2)で表される構造を有するユニットB、および
    3)芳香族ビニルモノマー由来のユニットC
    を含む共重合体であって、
    該共重合体におけるユニットAとユニットBのユニット数基準の含有量が
    ユニットAとユニットBの合計=0.2〜1.5mmol/g
    であって、
    ユニットA:ユニットB=50:50〜95:5
    であることを特徴とするトナー用樹脂。
    Figure 2007133218
    (式中、B1は置換基を有していてもよい芳香族環を表し、置換基としては水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。R1は炭素数1〜12のアルキル基、アリール基を表し、A1はアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、エーテル結合を表す。)
    Figure 2007133218
    (式中、B2は置換基を有していてもよい芳香族環を表し、置換基としては水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。X1は水素原子、アルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオンを表し、A2はアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、エーテル結合を表す。)
  2. 前記ユニットAが下記一般式(3)で表され、前記ユニットBが下記一般式(4)で表されることを特徴とする請求項1に記載のトナー用樹脂。
    Figure 2007133218
    (式中、R2は水素原子又はメチル基を表し、R3〜6は独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよく、R7は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
    Figure 2007133218
    (式中、R8は水素原子又はメチル基を表し、R9〜12は独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよく、X2は水素原子、アルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオンを表す。)
  3. 前記共重合体が、下記一般式(5)で表されるユニットを更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー用樹脂。
    Figure 2007133218
    (式中、R13は水素原子又はメチル基を表し、R14は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、置換基としてはハロゲン、水酸基、アミノ基からなる群から選ばれる官能基である。)
  4. 前記トナー用樹脂が、少なくともスチレンとカルボキシル基を有するビニルモノマーとを共重合して得られる共重合体のカルボキシル基の一部と、下記式(6)で表されるアミンとを縮合させて得られた共重合体のスルホン酸基又はスルホン酸塩基の一部をエステル化することにより得られた共重合体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー用樹脂。
    Figure 2007133218
    (式中、R15〜18は独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基を表し、また、隣接する同士が5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよく、X3は水素原子、アルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオンを表す。)
  5. 前記トナー用樹脂が、少なくともスチレンとカルボキシル基を有するビニルモノマーとを共重合して得られる共重合体のカルボキシル基の一部と、前記式(6)で表されるアミンとを縮合させて得られた共重合体のスルホン酸基又はスルホン酸塩基の一部を、オルトギ酸エステル類を用いてエステル化することにより得られた共重合体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー用樹脂。
  6. 前記共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより算出した重量平均分子量が2000〜200000の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー用樹脂。
  7. 前記共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより算出した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)において、Mw/Mnが1.0〜6.0の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー用樹脂。
  8. 前記共重合体が、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、45〜110℃の範囲にガラス転移点を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー用樹脂。
  9. 前記共重合体の酸価が、0.1〜40.0mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー用樹脂。
  10. 少なくとも結着樹脂、着色剤、及び、請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー用樹脂を含有するトナー粒子を有することを特徴とするトナー。
  11. 前記トナー用樹脂の含有量が、前記結着樹脂100.0質量部に対して0.1〜20.0質量部であることを特徴とする請求項10に記載のトナー。
  12. 前記トナーは、ワックスを含有しており、示差走査熱量計により測定されるトナーのDSC曲線において、昇温時に45〜130℃の範囲に吸熱ピークを有することを特徴とする請求項10又は11に記載のトナー。
  13. 前記トナーは、示差走査熱量計により測定されるトナーのDSC曲線において、45〜70℃の範囲にガラス転移点を有することを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載のトナー。
  14. 前記トナーは、重量平均粒子径D4が3.0〜9.0μmであることを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載のトナー。
  15. 前記トナーは、請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー用樹脂を有する組成物を水系媒体中で分散する工程を有する製造方法により形成させたトナー粒子を有することを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載のトナー。
  16. 少なくともトナーとキャリアとを有する二成分現像剤であって、該トナーが請求項10乃至15のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする二成分現像剤。
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