JP2007129827A - ハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】 ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、判断の直後から総制動力による車両減速を開始することで、ブレーキアシスト機能を最大限引き出して障害物への衝突を回避することができるハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムを提供すること。
【解決手段】 駆動源としてエンジン305とモータ303を有し、ドライバー操作によっても障害物への衝突が避けられないと判断されると自動的にブレーキをかけて減速するインテリジェントブレーキアシスト手段を備えたハイブリッド車両において、前記インテリジェントブレーキアシスト手段(図2)は、衝突可能性が判断されると、前記モータ303への駆動力配分比を、前記エンジン305への駆動力配分比より高めとする設定とし、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、前記モータ303により回生制動力を発生する手段とした。
【選択図】 図2
【解決手段】 駆動源としてエンジン305とモータ303を有し、ドライバー操作によっても障害物への衝突が避けられないと判断されると自動的にブレーキをかけて減速するインテリジェントブレーキアシスト手段を備えたハイブリッド車両において、前記インテリジェントブレーキアシスト手段(図2)は、衝突可能性が判断されると、前記モータ303への駆動力配分比を、前記エンジン305への駆動力配分比より高めとする設定とし、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、前記モータ303により回生制動力を発生する手段とした。
【選択図】 図2
Description
本発明は、駆動源としてエンジンとモータを有し、ドライバー操作によっても障害物への衝突が避けられないと判断されると自動的にブレーキをかけて減速するハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムの技術分野に属する。
従来、自車両が先行車両に対して衝突する可能性が高い状況にあると判断された場合、自動ブレーキを作動させると共に、スロットルバルブを全閉状態にするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−166099号公報
しかしながら、従来技術による車両のブレーキアシストシステムにあっては、自動ブレーキが機械ブレーキにより制動力を得る手段であるため、自動ブレーキの作動開始時点から制動力が発生するまでに応答遅れがあるし、さらに、スロットルバルブへの全閉指令からエンジン出力トルクが低下するまでにも応答遅れがある。このため、衝突する可能性が高い状況にあると判断されても、応答遅れによるエンジン出力トルクが残り、機械ブレーキによる制動力の発生も遅れてしまい、総制動力による車両減速の開始タイミングが遅れる、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、判断の直後から総制動力による車両減速を開始することで、ブレーキアシスト機能を最大限引き出して障害物への衝突を回避することができるハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、駆動源としてエンジンとモータを有し、ドライバー操作によっても障害物への衝突が避けられないと判断されると自動的にブレーキをかけて減速するインテリジェントブレーキアシスト手段を備えたハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、
前記障害物への衝突可能性を判断する衝突可能性判断手段と、
前記インテリジェントブレーキアシスト手段が作動する領域に入ったことを判断するブレーキアシスト領域判断手段と、を設け、
前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、前記モータへの駆動力配分比を、前記エンジンへの駆動力配分比より高めとする設定とし、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、前記モータにより回生制動力を発生することを特徴とする。
前記障害物への衝突可能性を判断する衝突可能性判断手段と、
前記インテリジェントブレーキアシスト手段が作動する領域に入ったことを判断するブレーキアシスト領域判断手段と、を設け、
前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、前記モータへの駆動力配分比を、前記エンジンへの駆動力配分比より高めとする設定とし、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、前記モータにより回生制動力を発生することを特徴とする。
よって、本発明のハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにあっては、インテリジェントブレーキアシスト手段において、衝突可能性が判断されると、モータへの駆動力配分比が、エンジンへの駆動力配分比より高めとする設定とされ、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、モータにより回生制動力が発生される。
すなわち、衝突可能性の判断時点からブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったとの判断時点に至るまでにおいて、エンジンへの駆動力配分比が低く抑えられることで、衝突可能性の判断時点から予めエンジン出力トルクの低減を開始し、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断時点では既にエンジン出力トルクが低く抑えられた状態となる。そして、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入り、ブレーキアシストが開始されると、機械ブレーキに比べ高応答であるモータによる回生制動力が発生する。つまり、応答遅れによりエンジン出力トルクが残るのを最小に抑え、かつ、モータ回生制動は、機械ブレーキに比べ制動力の発生応答が高いことから、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったとの判断直後から総制動力による車両減速が開始される。加えて、予めモータへの駆動力配分比が高めに設定されていることで、高い回生制動力を発生させることができる。
この結果、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、判断の直後から総制動力による車両減速を開始することで、ブレーキアシスト機能を最大限引き出して障害物への衝突を回避することができる。
すなわち、衝突可能性の判断時点からブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったとの判断時点に至るまでにおいて、エンジンへの駆動力配分比が低く抑えられることで、衝突可能性の判断時点から予めエンジン出力トルクの低減を開始し、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断時点では既にエンジン出力トルクが低く抑えられた状態となる。そして、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入り、ブレーキアシストが開始されると、機械ブレーキに比べ高応答であるモータによる回生制動力が発生する。つまり、応答遅れによりエンジン出力トルクが残るのを最小に抑え、かつ、モータ回生制動は、機械ブレーキに比べ制動力の発生応答が高いことから、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったとの判断直後から総制動力による車両減速が開始される。加えて、予めモータへの駆動力配分比が高めに設定されていることで、高い回生制動力を発生させることができる。
この結果、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、判断の直後から総制動力による車両減速を開始することで、ブレーキアシスト機能を最大限引き出して障害物への衝突を回避することができる。
以下、本発明のハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムを実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のインテリジェントブレーキアシストシステムが適用されたハイブリッド車両を示す全体システム図である。
図1は実施例1のインテリジェントブレーキアシストシステムが適用されたハイブリッド車両を示す全体システム図である。
実施例1のハイブリッド車両は、図1に示すように、CPU101と、補助バッテリ102と、ブレーキアクチュエータ201と、機械ブレーキ202と、強電バッテリ301と、インバータ302と、モータ303と、発電機304と、エンジン305と、動力分割機構306と、アクセルセンサ401と、ブレーキセンサ402と、DC/DCコンバータ403と、車間センサ404と、輪荷重センサ405と、を備えている。
前記CPU101は、強電バッテリ301をモニタし、SOCや温度や劣化状態に応じて入出力可能電力量を算出し、これを基にインバータ302を制御することにより、モータ303(フロント駆動用)と発電機304を動作させると共に、エンジン305を制御する(駆動力配分含む)。
また、CPU101は、モータ303による回生制動力を考慮し、機械ブレーキ202により発生する制動力演算指令値(前後制動力配分を含む)をブレーキアクチュエータ201へと送信する。
CPU101は、車間センサ404からの信号により、自車と前方車両(障害物)との距離、大きさを収集し、輪荷重センサ405からの検出値と合わせ、衝突可能性の程度を把握し、回避時の制御へと適用する。なお、自車速度は、モータ303の回転数により把握することを基本とする。
最後に、CPU101での路面μ推定方法は、モータ303とエンジン305へと指示する駆動トルクにより推定される車体速度と、車輪速センサ404からの検出値との差異より求めることととする(一般的な手段であり、特に条件を既定する必要はない:特殊な推定ロジックは不要)。
また、CPU101は、モータ303による回生制動力を考慮し、機械ブレーキ202により発生する制動力演算指令値(前後制動力配分を含む)をブレーキアクチュエータ201へと送信する。
CPU101は、車間センサ404からの信号により、自車と前方車両(障害物)との距離、大きさを収集し、輪荷重センサ405からの検出値と合わせ、衝突可能性の程度を把握し、回避時の制御へと適用する。なお、自車速度は、モータ303の回転数により把握することを基本とする。
最後に、CPU101での路面μ推定方法は、モータ303とエンジン305へと指示する駆動トルクにより推定される車体速度と、車輪速センサ404からの検出値との差異より求めることととする(一般的な手段であり、特に条件を既定する必要はない:特殊な推定ロジックは不要)。
前記補助バッテリ102は、CPU101の動作電源を提供する役目を有する。本システムでは、強電バッテリ301を電源としたDC/DCコンバータ403により電力を供給することとする。
前記ブレーキアクチュエータ201は、CPU101により演算された機械ブレーキ202で発生させるべき制動量演算指令値を受信し、それに応じ、機械ブレーキ202に対し必要な油圧をかける。
前記機械ブレーキ202は、ブレーキアクチュエータ201により発生された油圧に応じ、制動力を発生させる。
前記強電バッテリ301は、モータ303に対し、インバータ302を経由して電力を供給することで車両走行をアシストすると共に、発電機304が発電した電力をインバータ302を経由して回収する役目を有する。
前記インバータ302は、CPU101により直接制御されている。エンジン305の発生トルク及び回転数に応じて強電バッテリ301の電気エネルギーをモータ303へ供給すること、及び発電機304を動作させて発生した電気エネルギーを強電バッテリ301へと戻す役目を有する。なお、モータ303と発電機304とエンジン305は、遊星歯車機構(動力分割機構306に内蔵)に直結しているため、トルク及び回転数のバランスを保つように制御しないと車両を正常に作動させることができない。
前記モータ303は、車速が低い場合は単独で駆動トルクを発生させる。また、車速が高い場合は、エンジン305の駆動トルクをアシストしている。さらに、減速時は発電作用(回生制動)することにより電気エネルギーを発生させ、これをインバータ302を経由して強電バッテリ301へ戻す役目を有する。本提案において、衝突可能性がある場合、ブレーキセンサ402からの信号入力を待たず、CPU101から回生制動指令が出されることが特徴である。
前記発電機304は、ハイブリッド電気自動車は基本的にスタータを持たない。本システムを適用した車両始動時は、強電バッテリ301から電力を供給し、モータとして動作することでエンジン305の始動をサポートする。通常走行時は、モータ303とエンジン305とをバランスさせることで電気エネルギーを発生(発電)し、これを強電バッテリ301へ戻す。時には直接、モータ303へ供給することにより、急激な加速に対応することも可能である。
前記エンジン305は、CPU101により直接制御されている。具体的には、車速が高い場合、車両駆動のためにトルクを発生させている(車速が低い場合はモータ走行となるため、制御不要:強いて挙げれば起動させない制御を適用している)。
前記動力分割機構306は、遊星歯車機構を有し、キャリアにはエンジン305、リングギヤにはモータ303、サンギヤには発電機304が直接接続している。従来システムのトランスミッション相当も内部に構成されている。
前記アクセルセンサ401は、ドライバーが加速時に踏み込んだアクセルペダルストローク量をCPU101へ送信する。
前記ブレーキセンサ402は、ドライバーが減速時時に踏み込んだブレーキペダルストローク量をCPU101へ送信する。
前記DC/DCコンバータ403は、強電バッテリ301からのエネルギーを12Vへと変換し、補助バッテリ102へと供給する。すなわち、従来のエンジン車両におけるオルタネータと同様の機能を有する。
前記車間センサ404は、自車前方車両(または障害物)との距離を、レーダーなどを活用して収集し、それにより得た情報をCPU101へと入力する。
前記輪荷重センサ405は、各車輪への荷重を検出し、その情報をCPU101へと送信する。CPU101は、各車輪の輪荷重の総和により、自車重量を把握する。
図2は実施例1のCPU101にて実行されるインテリジェントブレーキアシスト制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する(インテリジェントブレーキアシスト手段)。
ステップS1では、モータ303の回転数(=自車速度)と、車間センサ404からの検出値による前方車両との車間距離と、の相関、及び、路面μ推定値と、輪荷重センサ405からの検出値による自車重量と、から自車が前方障害物に対して衝突する可能性の判定を実行し、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ステップS1での衝突可能性判定実行に続き、図3に示す「自車速度と車間距離による衝突可能性判断マップ」と、図4に示す「路面μと自車重量による衝突可能性判断マップ」とを用い、衝突可能性が第1規定値以上(自車が前方障害物に対して衝突する可能性有り)であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS3へ移行し、Noの場合はステップS1へ戻る(衝突可能性判断手段)。
ここで、「自車速度と車間距離による衝突可能性判断マップ」は、図3に示すように、自車速度が高くと前方車両との車間距離が短いほど衝突可能性大とするマップである。すなわち、自車速度が高いほど、制動距離が長くなるため、衝突可能性が高くなる。前方車両との車間距離が短いほど、衝突可能性が高くなる。自車速が低く、且つ、前方車両との車間距離が大きい場合は、衝突可能性ゼロと判断しても構わない。
「路面μと自車重量による衝突可能性判断マップ」は、図4に示すように、(推定)路面μが低く、自車重量の所定値からの増大分が大であるほど衝突可能性大とするマップである。すなわち、路面μが高いほど、制動距離が短くなるため、衝突可能性が低くなる。自車重量増加代が大きいほど、制動距離が長くなるため、衝突可能性が高くなる。自車重量は、当局届け出値(空荷)をベースとした例である。
また、「第1規定値」は、前方障害物に対する衝突可能性有の領域と衝突可能性無の領域との境界として設定される値であり、後述するインテリジェントブレーキアシストの作動を必要とする第2規定値よりも衝突可能性が低い値とされる。
「路面μと自車重量による衝突可能性判断マップ」は、図4に示すように、(推定)路面μが低く、自車重量の所定値からの増大分が大であるほど衝突可能性大とするマップである。すなわち、路面μが高いほど、制動距離が短くなるため、衝突可能性が低くなる。自車重量増加代が大きいほど、制動距離が長くなるため、衝突可能性が高くなる。自車重量は、当局届け出値(空荷)をベースとした例である。
また、「第1規定値」は、前方障害物に対する衝突可能性有の領域と衝突可能性無の領域との境界として設定される値であり、後述するインテリジェントブレーキアシストの作動を必要とする第2規定値よりも衝突可能性が低い値とされる。
ステップS3では、ステップS2での衝突可能性有りとの判断に続き、図5及び図6のトルク設定マップに基づき、アクセルセンサ401からの検出値に対するトルク上限値、及びエンジン−モータ間の駆動力配分をそれぞれ設定し、ステップS4へ移行する。
ここで、「アクセルセンサ指令値に対するトルク設定マップ(トルク上限値)」は、図5に示すように、衝突可能性が低い場合は、通常時のアクセルセンサ指令値に対するトルク上限値の設定とする。そして、衝突可能性が高くなるにつれ、また、アクセルセンサ指令値が高くなるにつれて、トルク上限値を絞ることを基本とする。
また、「アクセルセンサ指令値に対するトルク設定マップ(エンジン−モータ間の駆動力配分)」は、図6に示すように、衝突可能性が高くなるにつれてモータ303側へのトルク配分を高め、インテリジェントブレーキアシスト(IBA)の適用時に即刻回生制動できるように事前設定する。同様に、アクセル開度大の時も、応答性の低いエンジン305へのトルク配分を下げ、インテリジェントブレーキアシストの適用時にエンジン出力が残るのを最小限とするように設定する。尚、実施例1では、衝突可能性が判断されると、エンジン−モータ間の駆動力配分を、全てモータ側駆動力配分へと設定するようにしている。
また、「アクセルセンサ指令値に対するトルク設定マップ(エンジン−モータ間の駆動力配分)」は、図6に示すように、衝突可能性が高くなるにつれてモータ303側へのトルク配分を高め、インテリジェントブレーキアシスト(IBA)の適用時に即刻回生制動できるように事前設定する。同様に、アクセル開度大の時も、応答性の低いエンジン305へのトルク配分を下げ、インテリジェントブレーキアシストの適用時にエンジン出力が残るのを最小限とするように設定する。尚、実施例1では、衝突可能性が判断されると、エンジン−モータ間の駆動力配分を、全てモータ側駆動力配分へと設定するようにしている。
ステップS4では、ステップS3でのトルク配分設定マップ照合に続き、衝突可能性がインテリジェントブレーキアシストの作動を必要とする第2規定値以上であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS5へ移行し、Noの場合はステップS1へ戻る(ブレーキアシスト領域判断手段)。
ここで、「第2規定値」は、前方障害物との衝突を回避、または、衝突エネルギーを低減することを目的とし、インテリジェントブレーキアシスト(=IBA)の作動を要する衝突可能性判断しきい値として設定される。
ここで、「第2規定値」は、前方障害物との衝突を回避、または、衝突エネルギーを低減することを目的とし、インテリジェントブレーキアシスト(=IBA)の作動を要する衝突可能性判断しきい値として設定される。
ステップS5では、ステップS4でのIBA作動要との判断に続き、ドライバーがブレーキセンサ402をONする前に、モータ303を回生制動させ、制動力を確保し、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、ステップS5での回生制動ONに続き、ブレーキセンサ402からの信号に基づき、ドライバーによる制動指令有りか否かを判断し、Yesの場合はステップS7へ移行し、Noの場合はステップS6の判断を繰り返す。
ステップS7では、ステップS6でのドライバーによる制動指令有りとの判断に続き、前後輪の制動力配分を理想配分とするように、機械ブレーキ202による摩擦制動量とモータ303による回生制動量を制御し、リターンへ移行する(制動力配分制御手段)。
次に、作用を説明する。
[インテリジェントブレーキアシスト作用]
まず、インテリジェントブレーキアシストシステム(IBA)について説明する。
本出願人は、事故分析に基づいた安全技術の開発を進めており、その核となるのが(1)危険を予知する「インフォメーションセーフティ」、(2)危険を回避する「コントロールセーフティ」、(3)衝突の被害を最小化する「インパクトセーフティ」である。
これらの技術をさらに進化、インテリジェント化(=管理機能化)させた安全技術が「プリクラッシュセーフティシステム」である。
[インテリジェントブレーキアシスト作用]
まず、インテリジェントブレーキアシストシステム(IBA)について説明する。
本出願人は、事故分析に基づいた安全技術の開発を進めており、その核となるのが(1)危険を予知する「インフォメーションセーフティ」、(2)危険を回避する「コントロールセーフティ」、(3)衝突の被害を最小化する「インパクトセーフティ」である。
これらの技術をさらに進化、インテリジェント化(=管理機能化)させた安全技術が「プリクラッシュセーフティシステム」である。
この「プリクラッシュセーフティシステム」は、衝突の可能性を事前に検知しドライバーに知らせ、万一、衝突が避けられない場合でも、必要な装備を衝突に備えて作動させることで乗員の被害を軽減する先進安全技術である。この「プリクラッシュセーフティシステム」として採用されているのが、追突時の被害を軽減する「インテリジェントブレーキアシストシステム」や「前席緊急ブレーキ感応型プリクラッシュシート」等である。
「インテリジェントブレーキアシストシステム」は、追突事故の原因のほとんどがドライバーによる発見の遅れや判断ミスによることに着目し、レーダーセンサにより追従中の先行車との距離を測定し、ほぼ真後ろから先行車に追突するおそれがあるときであって、ドライバーによる緊急の回避操作が直ちに必要だと判断した場合は警報を鳴らし、ドライバーの操作により追突が避けられないと判断した場合は自動的にブレーキをかけて減速し、追突を回避する、あるいは、追突時の被害を軽減するようにしている。
この「インテリジェントブレーキアシストシステム」が搭載されたエンジン車に、自車両が先行車両に対して衝突する可能性が高い状況にあると判断された場合、自動ブレーキを作動させると共に、スロットルバルブを全閉状態にする従来技術を適用する。
この場合、自動ブレーキは、機械ブレーキにより制動力を得る手段となるため、図7の従来例タイムチャートに示すように、IBAの作動開始時刻t2から総制動力が発生を開始する時刻t3までに応答遅れがあるし、さらに、IBAの作動開始時刻t2にてスロットルバルブへの全閉指令が出されても、エンジン出力トルクが低下を開始する時刻t3までにも応答遅れがある。このため、衝突する可能性が高い状況にあると判断されても、応答遅れによるエンジン出力トルクが残り(時刻t3〜時刻t4)、機械ブレーキによる総制動力がt3の時刻から発生しても時刻t4までは残留しているエンジン出力トルクの影響で徐々に立ち上がる特性を示し、総制動力による実質的な車両減速の開始タイミングは、エンジン出力トルクの影響が無くなる時刻t4となり、追突を回避する上で最も重要な減速開始タイミングが遅れることになる。
これに対し、実施例1のインテリジェントブレーキアシストシステムでは、衝突可能性が判断されると、モータ303への駆動力配分比を、エンジン305への駆動力配分比より高めとする設定とし、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、モータ303により回生制動力を発生する手段を採用し、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったとの判断直後から総制動力による車両減速を開始することで、ブレーキアシスト機能を最大限引き出して障害物への衝突を回避することができるようにした。
すなわち、衝突可能性の判断時点からブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったとの判断時点に至るまでにおいて、エンジン305への駆動力配分比が低く抑えられることで、衝突可能性の判断時点から予めエンジン出力トルクの低減を開始し、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断時点では既にエンジン出力トルクが低く抑えられた状態となる。そして、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入り、ブレーキアシストが開始されると、機械ブレーキ202に比べ高応答であるモータ303による回生制動力が発生する。つまり、応答遅れによりエンジン出力トルクが残るのを最小に抑え、かつ、モータ回生制動は、機械ブレーキ202に比べ制動力の発生応答が高いことから、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったとの判断直後から総制動力による車両減速が開始される。加えて、予めモータ303への駆動力配分比が高めに設定されていることで、高い回生制動力を発生させることができる。
この結果、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、判断の直後から総制動力による車両減速を開始することで、ブレーキアシスト機能を最大限引き出して障害物への衝突を回避することができる。
[インテリジェントブレーキアシスト作動時]
例えば、自車と前方車両との車間距離が縮まるような走行状況で、衝突可能性有りと判断された場合、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む流れが繰り返される。ここで、ステップS2において、衝突可能性有りと判断されると、図5のトルク設定マップに基づき、アクセルセンサ401からの検出値に対するトルク上限値が設定されると共に、図6のトルク設定マップに基づき、アクセルセンサ401からの検出値に対するエンジン−モータ間の駆動力配分が設定される。
例えば、自車と前方車両との車間距離が縮まるような走行状況で、衝突可能性有りと判断された場合、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む流れが繰り返される。ここで、ステップS2において、衝突可能性有りと判断されると、図5のトルク設定マップに基づき、アクセルセンサ401からの検出値に対するトルク上限値が設定されると共に、図6のトルク設定マップに基づき、アクセルセンサ401からの検出値に対するエンジン−モータ間の駆動力配分が設定される。
そして、自車と前方車両との車間距離がさらに縮まり、IBA作動要(衝突可能性大)と判断されると、図2のフローチャートにおいて、ステップS4からステップS5へと進み、ステップS5において、モータ303による回生制動が実行される。
さらに、ドライバーがブレーキ操作を開始すると、図2のフローチャートにおいて、ステップS6からステップS7へと進み、ステップS7において、前後輪の制動力配分を理想配分とするように、機械ブレーキ202による摩擦制動量とモータ303による回生制動量とが制御される。
上記インテリジェントブレーキアシストシステムにおけるブレーキアシスト作動を図7に示すタイムチャートにより説明する。図7はブレーキアシスト作動時のアクセルセンサ指令値・モータ回転数・車間センサ検出値・ブレーキセンサ検出値・出力トルク上限値・モータ出力トルク・エンジン出力トルク・総制動力・機械ブレーキ制動配分の各特性を示す。
時刻t0から車間センサ検出値が徐々に低下し、時刻t1にて車間距離が第1規定値以下になると、衝突可能性有りと判断される。時刻t1にて衝突可能性有りと判断されると、出力トルク上限値は、衝突可能性が高くなるにつれて徐々に絞られ、また、エンジン−モータ間の駆動力配分が全てモータ側配分とされることで、モータ出力トルクは上昇し、逆に、エンジン出力トルクは低下する。
そして、車間距離がさらに縮まり、時刻t2にて車間距離が第2規定値以下になると、IBA作動要と判断される。時刻t2にてIBA作動要と判断されると、出力トルク上限値は、低い値の一定値が維持される。また、モータ出力トルクは、回生制動力を得るべく正の値から一気に負の値に転じ、エンジン出力トルクは、時刻t2での低いトルク値からゼロに収束するように低下する。これによって、総制動力は、時刻t2から応答良く発生するモータ303による回生制動力から、エンジン305からの出力トルク残留分を差し引いた制動力となる。
そして、時刻t3にてドライバーがアクセル操作を止めブレーキ操作を開始すると、モータ出力トルクは、機械ブレーキ202による制動力の分、回生制動力を低減する。このブレーキ操作を開始する時刻t3では、エンジン出力トルクがゼロであるため、総制動力は、モータ303による回生制動力と、機械ブレーキ202による摩擦制動力となり、しかも、この総制動力を、例えば、フロント側に回生制動力を、リア側に摩擦制動力を付与したり、摩擦制動力を調整分として、フロント側とリア側とに分配することで、前後輪の制動力配分を理想配分とする。
そして、時刻t3以降は、モータ回転数(=車速)特性に示すように、自車速が徐々に低下し、時刻t5にて前方障害物との車間距離を保った状態で自車両は停止し、前方障害物との衝突を回避する。すなわち、本提案システムでのハッチングAで示す総制動力と、従来例でのハッチングBで示す総制動力との差分が本提案による効果代であり、モータ回転数特性(自車速特性)でも、本提案による実線特性の場合、従来例による点線特性の場合に比べ、早期タイミングにて車両を停止させることができる。
上記のように、実施例1のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、前記エンジン−モータ間の駆動力配分を、全てモータ側駆動力配分へと設定する。
例えば、モータ駆動力配分をエンジン駆動力配分より高く設定しても、モータ駆動力配分が十分に高くないと回生制動力が制限されるし、エンジン駆動力配分が設定されているとインテリジェントブレーキアシスト作動時にエンジン出力トルクの残留分が総制動力の低下原因となる。
これに対し、エンジン−モータ間の駆動力配分を全てモータ側駆動力配分へと設定することで、モータ303による回生制動力をフルに発揮でき、車両としての制動力が最大となり、衝突可能性を著しく低下させることが可能となる。
例えば、モータ駆動力配分をエンジン駆動力配分より高く設定しても、モータ駆動力配分が十分に高くないと回生制動力が制限されるし、エンジン駆動力配分が設定されているとインテリジェントブレーキアシスト作動時にエンジン出力トルクの残留分が総制動力の低下原因となる。
これに対し、エンジン−モータ間の駆動力配分を全てモータ側駆動力配分へと設定することで、モータ303による回生制動力をフルに発揮でき、車両としての制動力が最大となり、衝突可能性を著しく低下させることが可能となる。
実施例1のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、出力総トルクの上限値を設定する。
例えば、衝突可能性が判断されても出力総トルクの上限値を設定しないと、ドライバーのアクセル操作量によっては、その後、インテリジェントブレーキアシストを作動させてもエンジン出力トルクの残留分を差し引いた総制動力の発生が遅れることになる。
これに対し、衝突可能性が判断されると、出力総トルクの上限値を設定することで、予備段階でエンジン出力トルクが低く抑えられ、インテリジェントブレーキアシスト作動時、総制動力の発生が遅れるのを防止することができる。
例えば、衝突可能性が判断されても出力総トルクの上限値を設定しないと、ドライバーのアクセル操作量によっては、その後、インテリジェントブレーキアシストを作動させてもエンジン出力トルクの残留分を差し引いた総制動力の発生が遅れることになる。
これに対し、衝突可能性が判断されると、出力総トルクの上限値を設定することで、予備段階でエンジン出力トルクが低く抑えられ、インテリジェントブレーキアシスト作動時、総制動力の発生が遅れるのを防止することができる。
実施例1のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、衝突可能性の程度が大きいほど、前記出力総トルクの上限値を小さな値に設定する。
例えば、衝突可能性の程度にかかわらず出力総トルクの上限値を同じ値の設定とすると、衝突可能性の程度が大きい場合、インテリジェントブレーキアシストの作動要求が直ちに出てしまい、エンジン出力トルクの残留分を低く抑えることができない。
これに対し、衝突可能性の程度が大きいほど出力総トルクの上限値を小さな値に設定することで、衝突可能性の程度にかかわらず、インテリジェントブレーキアシストの作動が要求される領域に入った時点でのエンジン出力トルクの残留分を低く抑えることができる。
例えば、衝突可能性の程度にかかわらず出力総トルクの上限値を同じ値の設定とすると、衝突可能性の程度が大きい場合、インテリジェントブレーキアシストの作動要求が直ちに出てしまい、エンジン出力トルクの残留分を低く抑えることができない。
これに対し、衝突可能性の程度が大きいほど出力総トルクの上限値を小さな値に設定することで、衝突可能性の程度にかかわらず、インテリジェントブレーキアシストの作動が要求される領域に入った時点でのエンジン出力トルクの残留分を低く抑えることができる。
実施例1のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、前記衝突可能性判断手段(ステップS2)は、前方障害物と自車との車間距離以外に、自車速度、自車重量、路面摩擦係数を用いて前記障害物への衝突可能性の程度を設定する。
例えば、車間距離のみにて障害物への衝突可能性の程度を設定すると、同じ車間距離でも自車速度が高い場合には制動距離が長くなる、また、自車重量の増加代が大きいほど制動距離が長くなる、また、路面摩擦係数が低いほど制動距離が長くなる、というように、自車が停止するまでに要する制動距離が異なり、衝突可能性の判断精度が劣る。
これに対し、前方障害物と自車との車間距離以外に、自車速度、自車重量、路面摩擦係数を用いて衝突可能性の程度を設定することで、自車速度の高低や、自車重量の増加分大小や、路面摩擦係数の高低にかかわらず、精度良く衝突可能性を判断することができる。
例えば、車間距離のみにて障害物への衝突可能性の程度を設定すると、同じ車間距離でも自車速度が高い場合には制動距離が長くなる、また、自車重量の増加代が大きいほど制動距離が長くなる、また、路面摩擦係数が低いほど制動距離が長くなる、というように、自車が停止するまでに要する制動距離が異なり、衝突可能性の判断精度が劣る。
これに対し、前方障害物と自車との車間距離以外に、自車速度、自車重量、路面摩擦係数を用いて衝突可能性の程度を設定することで、自車速度の高低や、自車重量の増加分大小や、路面摩擦係数の高低にかかわらず、精度良く衝突可能性を判断することができる。
実施例1のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、前記インテリジェントブレーキアシスト手段により回生制動力を発生し、かつ、ドライバーによる制動指令が出された場合、前後制動力配分が理想配分となるように、モータ回生制動量と機械制動量を制御する制動力配分制御手段(ステップS7)を設けた。
例えば、低μ路でのインテリジェントブレーキアシスト作動による制動時、ドライバーによりブレーキ操作がなされたにもかかわらず、前輪側での回生制動力のみで総制動力を賄おうとすると、横力が発生する旋回時には、前輪のタイヤ−路面間で許容する制動力レベルを超えてしまい(摩擦円の限界を超える状態)、前輪が制動ロック状態となり、旋回特性としてアンダーステア特性となってしまう。
これに対し、ドライバーによる制動指令が出された場合、前後制動力配分が理想配分となるように、モータ回生制動量と機械制動量を制御することで、低μ路旋回時においても前輪の制動ロックが防止され、制動距離の短縮を図ることができると共に、アンダーステアの発生を回避することができる。
例えば、低μ路でのインテリジェントブレーキアシスト作動による制動時、ドライバーによりブレーキ操作がなされたにもかかわらず、前輪側での回生制動力のみで総制動力を賄おうとすると、横力が発生する旋回時には、前輪のタイヤ−路面間で許容する制動力レベルを超えてしまい(摩擦円の限界を超える状態)、前輪が制動ロック状態となり、旋回特性としてアンダーステア特性となってしまう。
これに対し、ドライバーによる制動指令が出された場合、前後制動力配分が理想配分となるように、モータ回生制動量と機械制動量を制御することで、低μ路旋回時においても前輪の制動ロックが防止され、制動距離の短縮を図ることができると共に、アンダーステアの発生を回避することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
実施例1のハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 駆動源としてエンジン305とモータ303を有し、ドライバー操作によっても障害物への衝突が避けられないと判断されると自動的にブレーキをかけて減速するインテリジェントブレーキアシスト手段を備えたハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、前記障害物への衝突可能性を判断する衝突可能性判断手段(ステップS2)と、前記インテリジェントブレーキアシスト手段の作動を必要とする領域に入ったことを判断するブレーキアシスト領域判断手段(ステップS4)と、を設け、前記インテリジェントブレーキアシスト手段(図2)は、衝突可能性が判断されると、前記モータ303への駆動力配分比を、前記エンジン305への駆動力配分比より高めとする設定とし、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、前記モータ303により回生制動力を発生するため、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、判断の直後から総制動力による車両減速を開始することで、ブレーキアシスト機能を最大限引き出して障害物への衝突を回避することができる。
(2) 前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、前記エンジン−モータ間の駆動力配分を、全てモータ側駆動力配分へと設定するため、モータ303による回生制動力をフルに発揮でき、車両としての制動力が最大となり、衝突可能性を著しく低下させることが可能となる。
(3) 前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、出力総トルクの上限値を設定するため、予備段階でエンジン出力トルクが低く抑えられ、インテリジェントブレーキアシスト作動時、総制動力の発生が遅れるのを防止することができる。
(4) 前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、衝突可能性の程度が大きいほど、前記出力総トルクの上限値を小さな値に設定するため、衝突可能性の程度にかかわらず、インテリジェントブレーキアシストの作動が要求される領域に入った時点でのエンジン出力トルクの残留分を低く抑えることができる。
(5) 前記衝突可能性判断手段(ステップS2)は、前方障害物と自車との車間距離以外に、自車速度、自車重量、路面摩擦係数を用いて前記障害物への衝突可能性の程度を設定するため、精度良く衝突可能性を判断することができる。
(6) 前記インテリジェントブレーキアシスト手段により回生制動力を発生し、かつ、ドライバーによる制動指令が出された場合、前後制動力配分が理想配分となるように、モータ回生制動量と機械制動量を制御する制動力配分制御手段(ステップS7)を設けたため、低μ路旋回時においても前輪の制動ロックが防止され、制動距離の短縮を図ることができると共に、アンダーステアの発生を回避することができる。
以上、本発明のハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、インテリジェントブレーキアシスト手段として、衝突可能性が判断されると、エンジン−モータ間の駆動力配分の全てをモータ駆動力配分とする設定とし、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、モータにより回生制動力を発生する例を示したが、衝突可能性が判断されると、エンジン−モータ間の駆動力配分の大半をモータへの駆動力配分とするが一部をエンジンへの駆動力配分比として残す設定としても良い。要するに、インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、モータへの駆動力配分比を、エンジンへの駆動力配分比より高めとする設定とし、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、モータにより回生制動力を発生するものであれば実施例1には限られない。
実施例1では、衝突可能性判断手段として、前方障害物と自車との車間距離以外に、自車速度、自車重量、路面摩擦係数を用いて障害物への衝突可能性の程度を設定する例を示した。しかし、衝突可能性判断手段は、前方障害物と自車との車間距離以外に、自車速度、自車重量、路面摩擦係数のうち、少なくとも1つに基づいて障害物への衝突可能性の程度を設定するものであれば本発明に含まれる。さらに、自車速度、自車重量、路面摩擦係数に、走行路の勾配程度等、制動距離に影響を与える他の要素を加え、障害物への衝突可能性の程度を設定するようにしても良い。
実施例1では、前輪駆動ベースによるハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムを示したが、後輪駆動ベースによるハイブリッド車両やハイブリッド四輪駆動車にも適用することができる。要するに、駆動源としてエンジンとモータを有し、ドライバー操作によっても障害物への衝突が避けられないと判断されると自動的にブレーキをかけて減速するインテリジェントブレーキアシスト手段を備えたハイブリッド車両には適用することができる。
101 CPU
102 補助バッテリ
201 ブレーキアクチュエータ
202 機械ブレーキ
301 強電バッテリ
302 インバータ
303 モータ
304 発電機
305 エンジン
306 動力分割機構
401 アクセルセンサ
402 ブレーキセンサ
403 DC/DCコンバータ
404 車間センサ
405 輪荷重センサ
102 補助バッテリ
201 ブレーキアクチュエータ
202 機械ブレーキ
301 強電バッテリ
302 インバータ
303 モータ
304 発電機
305 エンジン
306 動力分割機構
401 アクセルセンサ
402 ブレーキセンサ
403 DC/DCコンバータ
404 車間センサ
405 輪荷重センサ
Claims (7)
- 駆動源としてエンジンとモータを有し、ドライバー操作によっても障害物への衝突が避けられないと判断されると自動的にブレーキをかけて減速するインテリジェントブレーキアシスト手段を備えたハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、
前記障害物への衝突可能性を判断する衝突可能性判断手段と、
前記インテリジェントブレーキアシスト手段の作動を必要とする領域に入ったことを判断するブレーキアシスト領域判断手段と、を設け、
前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、前記モータへの駆動力配分比を、前記エンジンへの駆動力配分比より高めとする設定とし、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、前記モータにより回生制動力を発生することを特徴とするハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステム。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、
前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、前記エンジン−モータ間の駆動力配分を、全てモータ側駆動力配分へと設定することを特徴とするハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステム。 - 請求項1または2に記載されたハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、
前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、出力総トルクの上限値を設定することを特徴とするハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステム。 - 請求項3に記載されたハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、
前記インテリジェントブレーキアシスト手段は、衝突可能性が判断されると、衝突可能性の程度が大きいほど、前記出力総トルクの上限値を小さな値に設定することを特徴とするハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステム。 - 請求項4に記載されたハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、
前記衝突可能性判断手段は、前方障害物と自車との車間距離以外に、自車速度、自車重量、路面摩擦係数のうち、少なくとも1つに基づいて前記障害物への衝突可能性の程度を設定することを特徴とするハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステム。 - 請求項1乃至5の何れか1項に記載されたハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、
前記インテリジェントブレーキアシスト手段により回生制動力を発生し、かつ、ドライバーによる制動指令が出された場合、前後制動力配分が理想配分となるように、モータ回生制動量と機械制動量を制御する制動力配分制御手段を設けたことを特徴とするハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステム。 - 駆動源としてエンジンとモータを有し、ドライバー操作によっても障害物への衝突が避けられないと判断されると自動的にブレーキをかけて減速するハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステムにおいて、
障害物への衝突可能性が判断されると、前記モータへの駆動力配分比を、前記エンジンへの駆動力配分比より高めとする設定とし、ブレーキアシスト作動を必要とする領域に入ったと判断されると、前記モータにより回生制動力を発生することを特徴とするハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステム。
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JP2005320244A JP2007129827A (ja) | 2005-11-04 | 2005-11-04 | ハイブリッド車両のインテリジェントブレーキアシストシステム |
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- 2005-11-04 JP JP2005320244A patent/JP2007129827A/ja active Pending
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