JP2007125833A - フィルム成形方法、及びフィルム成形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光学的フィルム・光学的シートで要求される表面欠陥の少ないフィルム・シート状物を連続的に成形できるフィルム・シート成形方法を提供することである。
【解決手段】 溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的にダイより下方に吐出させ、前記樹脂をガラス転移温度以下に冷却可能な回転する2つの冷却ロールに挟み込んで成形するフィルム成形方法であって、前記2つの冷却ロールの最近接点を含む水平線より下側において、前記最近接点の下方を強制換気することを特徴とするフィルム成形方法である。前記2個1対の冷却ロールの最近接点を含む水平線より下側(挟み込み位置から下側)、例えばロール周面において、雰囲気中に存在するオリゴマー成分等を含むガスが少なくなり、また、それらのガスが滞留しないので、冷却ロール表面の表面が汚染され難くなるので光学用途で要求される程度に、表面欠陥の少ない高品質なフィルム・シート状物を成形することができる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、フィルム・シートの成形方法、及びフィルム・シート成形装置に関し、特に、溶融状態の熱可塑性樹脂を挟み込み成形してフィルムあるいはシート状物に成形する方法、及び装置に関するものである。
熱可塑性樹脂からなるフィルム・シート状物は、写真フィルムの支持体、包装用フィルム、磁気記録テープ、光学用フィルム等様々な用途に広く用いられている。
フィルム・シート状物の製造方法として、一般的に溶液流延法と溶融押出法に分類されるが、近年、地球環境問題や生産性、設備トータルでのコスト削減等の観点から、溶融押出法が多く用いられるようになってきている。
溶融押出法には、溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的にダイより吐出させ、所定の方向に回転する冷却ロールにキャスティングして成形するキャスティング成形と、溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的にダイより吐出させ、2つの回転する冷却ロール(タッチロールとキャスティングロール)に挟み込んで成形する挟み込み成形が、一般的に採用されている。
このような目的で使用される熱可塑性樹脂として、例えばポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、マレイミド・オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、グルタルイミド系樹脂等がある。そしてこれらの樹脂を溶融押出する場合には、ダイから溶融樹脂を吐出する際に、樹脂に含有される、オリゴマー、安定剤、滑剤等の昇華物が周囲に放出され温度の低い部材等に析出することが知られている。
特に温度が高いダイから吐出されたばかりの熱可塑性樹脂からは、多量のオリゴマ−、安定剤、滑剤等の昇華物が周囲の雰囲気中に放出され、冷却ロール表面のみならずフィルム・シートや周辺の温度の低い部材の表面にこれらが析出する。フィルム・シートや周辺の温度の低い部材の表面に析出したものは、場合によっては冷却ロール表面に、フィルムなどからは転写し、部材からは落下する。このような析出物によって汚染された冷却ロールにより溶融状態の熱可塑性樹脂をキャスティング成形あるいは挟み込み成形すると、フィルム・シート状物の表面にこれらが転写して汚れや凹み状の欠陥が生じる等のフィルム等の品質低下につながる。特に、光学用フィルム・シートの場合には致命的な欠陥となってしまう。
そこで従来から、熱可塑性樹脂の溶融押出を行う際、オリゴマー等の除去する方法に関する種々の提案がされている。例えば、特許文献1には、ダイ近傍または、冷却ロール近傍に加熱機構を備えた排気装置を設置し、オリゴマー等の昇華物を除去する方法がまた、特許文献2には、ダイ、及びその近傍、さらには、上部排気フードに夫々加熱ヒーターを取り付けて、オリゴマー等の昇華物を誘導しながら除去する方法が記載されている。これらの方法は、キャスティング成形においては効果があるものと考えられる。
また、一方で、特許文献3には、紫外線を冷却ロールに照射することでオリゴマー等の有機物を分解しながら成形する方法が記載されているが、効果が十分とは言えない。
特開2002−127228号公報 特開2005−74689号公報 特開2003−89142号公報
上述した状況に鑑み、本発明者らは、キャスティング成型より表面平滑性に優れる挟み込み成形により汚れや凹み状の欠陥が少ない高品質のフィルム等を成形する方法、及びその方法が可能な装置につき鋭意検討した。
その結果、上述したキャスティング成形においては効果がある特許文献1や特許文献2の方法は、挟み込み成形では十分に機能せず、問題があることを見出し、さらに、この問題を解決する方法、及び装置を見出し、本発明を為すに到った。
これらの方法、キャスティング成形する際には有効であっても、挟み込み成形する場合には効果が期待できないのは、挟み込み成形においては、2つの冷却ロールで溶融樹脂を挟み込んだ後であっても、樹脂からはオリゴマー等の低沸点物が発生し続け、つまり、2個1対の冷却ロールの最近接点を含む水平線より下側(挟み込み位置から下側)、例えばロール周面においても、オリゴマー成分等を含むガスが雰囲気中に存在するからである。ここで、一部のガスは冷却ロールの回転気流によって回転方向の周面上を伝い上方へ逃げるが、大半のガスは2つの冷却ロールに邪魔されて、上方には逃げられず滞留し続ける為、従来の方法・装置で挟み込み成形を実施すると、冷却ロール表面若しくは、フィルム・シート状物の表面が汚染されてしまうのである。つまり、上述した従来の技術で、フィルム・シート状物を溶融押出法により成形する方法、つまり、溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的にダイより吐出させ、2つの回転する冷却ロールに挟み込んで成形する方法、を実施すると、フィルム・シート状物表面に、汚れや凹み状の欠陥が生じてしまうのである。
すなわち、本発明の目的は、挟み込み成形により、光学用途で要求される程度に、表面欠陥の少ない高品質なフィルム・シート状物を成形する方法、及びその成形装置を提供する事である。
上記課題を解決する為、本発明者等は鋭意検討を行った。その結果、以下の本発明の装置を用いて、本発明の方法により、熱可塑性樹脂からなるフィルム・シート状物を2つの回転する冷却ロールに挟み込んで成形する溶融押出法において、フィルム・シート状物の凹み状欠陥を減らせることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明のフィルム・シート状物の成形方法は、溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的にダイより下方に吐出させ、前記樹脂をガラス転移温度以下に冷却可能な回転する2つの冷却ロールに挟み込んで成形するフィルム成形方法であって、前記2つの冷却ロールの最近接点を含む水平線より下側において、前記最近接点の下方を強制換気することを特徴とするフィルム成形方法である。前記2個1対の冷却ロールの最近接点を含む水平線より下側(挟み込み位置から下側)、例えばロール周面において、雰囲気中に存在するオリゴマー成分等を含むガスが少なくり、また、それらのガスが滞留しないので、冷却ロール表面の表面が汚染され難くなるので光学用途で要求される程度に、表面欠陥の少ない高品質なフィルム・シート状物を成形する方法となる。
また、前記2つの冷却ロールをカバーで覆い、前記カバー内を前記強制換気すると、効果的に強制換気できより好ましい。
また、前記カバー内にある排気装置により、前記カバー内のエアーを外に排出すること、及び、前記カバー内にクリーンエアーを給気することで前記強制換気を行うことがより効果的である。
また、前記給気するクリーンエアーの量を、前記排出するエアー量以上の量とすることが特に好ましい。
また、前記冷却ロールにロールクリーナーを押圧しながら成形することで、長時間連続的に欠陥の少ないフィルムを成形可能となる。
また、少なくとも、前記2つの冷却ロールの最近接点を含む水平線より上方に位置する前記カバーを加熱しながら成形することで、前記冷却ロールへの異物の落下の可能性が少なくなり好ましい。
このような、本発明のフィルム成形方法は、連続的に、溶融状態の熱可塑性樹脂からフィルムを成形する成形装置であって、上方に前記溶融状態の熱可塑性樹脂を下方に吐出可能なダイを備え、かつ、その下方に、前記樹脂をガラス転移温度以下に冷却可能であって、かつ、前記樹脂を回転しながら挟み込むことでフィルム状に成形可能な2個1対の冷却ロールを備え、かつ、該ダイの吐出口、及び、該2個1対の冷却ロールの周囲にはそれらを覆うカバーを備え、かつ、前記カバー内のエアーを、前記カバー外に排出可能な排気装置を前記カバー内に備える装置により実施することが好ましい。
ここで、前記カバー内にクリーンエアーを給気可能な給気装置を備えることが好ましい。
また、冷却ロールに押圧可能なロールクリーナーを備えることが好ましい。また、少なくとも前記カバーの一部を加熱可能な加熱装置を備えることが好ましい。
さらに、前記カバー内の、前記クリーンエアーの取り入れ口、及び前記エアーの取り出し口の横幅が、前記ダイのリップ幅以上、かつ前記冷却ロールの幅以上であることが好ましい。
また、前記取り入れ口、及び前記取り出し口が前記2個1対の冷却ロールの下方に位置することが好ましい。
本発明によれば、揮発物の付着、蓄積を効果的に防止でき、フィルム表面に凹み欠陥の少ない高品位な光学的フィルム・光学的シートを提供できる。
本発明のフィルム・シート成形装置の一例を図1に示す。この図1は、本発明のフィルム・シート成型方法を実施するのに好適な一例としての本発明のフィルム・シート成形装置の一例の断面の概略図である。
この例では、まず、押出機(図示省略)で溶融した熱可塑性樹脂がTダイ1から薄膜状に吐出される。Tダイ1の下方には、2個1対の冷却ロール(タッチロール2とキャストロール3)を備えられている。この冷却ロール2、3は溶融した熱可塑性樹脂を挟み込んでフィルム状またはシート状に成形する。さらに下流側に、別な冷却ロールや剥離ロール(夫々図示省略)があっても構わない。
本発明においては、樹脂をフィルム状またはシート状に成形する際に、2個1対の冷却ロールに異物や揮発物の付着を防ぐ為、これらの冷却ロールを囲うように防塵カバー4が備えられている。より好ましくは、成形に必要な最小限の空隙を冷却ロールの周囲に確保した上で、ステンレス板等からなる防塵カバーで冷却ロール囲うことである。
また、本発明では、防塵カバー4底部に排気装置6を、タッチロール2とキャストロール3の挟み込み位置の中心点に排気口が向くように設置する。また、クリーンエアー給気装置(図示省略)の給気口8を、防塵カバーの上流と下流側に配置する。詳しくは、冷却ロール2、3より下部に給気口8を配置することで、防塵カバーの内部に向けてクリーンエアーを給気する。これら排気装置と給気装置を使用することで、防塵カバー内を効率的にプッシュ・プル換気することができる。
図1においてTダイ1から吐出された熱可塑性樹脂から生じた揮発物はタッチロール2とキャストロール3の2つのロールの中央点を基準にした垂線より下側(挟み込み位置から下側)に滞留しようとするが、本発明ではこうした揮発物を起源とするものは排気装置6により強制的に排気される。
図示中の排気装置6はファン7を内蔵しているが、このファン7は防塵カバー4の外部にあってダクト接続されていてもよく、また、冷却ロールからエアー排気口の高さ、排気口の形状、ファンの仕様、配置、数は、挟み込みロールの形状に応じて揮発物を排気しやすい位置に配備すればよく、特に制限されない。
排気装置の排気量は、気流検査器具等で発煙または、水蒸気等を発生させ、それらを吸引できる流速を測定しながら決めることができる。このような流速を測定する装置としては、光明理化学工業(株)の北川式気流検査器AS−2型、日本カノマックス社製のアネモマスター モデル6162等が例示される。
流速の測定位置については、排気装置の入口側又は、出口側のいずれかで測定点を決めることができる。またその管理方法としては、流速を測定し管理値として定める方法、または、排気装置の出口側の管内流速と管内部の断面積から排気量を算出し管理値として定める方法等がある。排気量は下記の計算式を用いて求めることができる。
Figure 2007125833
本発明においては、排気装置の吸引部の流速としては3m/sec.以上が好ましく、4m/sec.以上がより好ましい。
また、本発明においては、熱可塑性樹脂から出る揮発物の拡散を抑制しながら排気するために、防塵カバー内の冷却ロール下部の上流側と下流側の側面から内部に向け、ファン(図示中省略)より送風したエアーを給気することが好ましい。この際給気するエアーとしては、0.3μm以上の粒子径の異物を99.97%捕集できる高性能フィルター(HEPAフィルター)で処理したクリーンエアー8を給気することが好ましく、また、コンタミネーションを考慮すると0.1μm以上の粒子径の異物を99.999%捕集できる超高性能フィルター(ULPAフィルター)で処理したクリーンエアーを給気するとより好ましい。
ここで記載している、高性能フィルターや超高性能フィルターは、公知であり商業的に入手できるものであり、公知の性能を満たし、その目的に反しない限り、種々の形状や大きさのフィルターを採用することができる。更に、コンタミネーションの問題を考慮するならば、クリーンエアーの時間当たりの供給量は、時間当たりの排気量と同等以上にすることが好ましく、より好ましくは時間当たりの排気量に対して、時間当たりの給気量を2割増しにすることが好ましい。給気口はエアーチャンバー等を用いて整流すると防塵カバー内の温度格差を小さくできるので好ましい。
また、本発明においては揮発物が防塵カバー内に付着するのを防ぐため加熱装置を装着することが好ましい。図示例では、Tダイ1を境に両側の防塵カバー4の上部や側面に、加熱装置5が取り付けられている。これら加熱装置は、熱可塑性樹脂から出る揮発物を防塵カバー内の上層低温部に付着させずに外へ誘導させる目的で取り付けられている。これらの加熱装置は、その目的に反しない限り、種々の形状、大きさのものを採用することができる。また、加熱装置を取り付ける位置も防塵カバーの揮発物が付着しやすい位置に配置すればよいが、コンタミネーションの観点から、防塵カバーの外面に取り付けるのがより好ましい。加熱装置は、電熱線を利用する方法や熱媒体を流動させる方法等、公知の種々の方法が適用できるが、特に好ましいのは、電熱線を利用した金属鋳込み型、金属板密閉型または、電熱線をゴムで被覆したもの等のヒーターが経済的であり、形状も自由に選択でき小スペースでの設置が可能であり好ましい。このような加熱装置を取り付け、表面を80℃以上に保温することによって、殆どの揮発物は防塵カバー内の上層部に付着しなくなり、防塵カバー外に誘導される。従って、揮発物が付着、成長して発生した異物が落下してフィルム・シート状物へ付着することが防止できる。また、仮に本発明のTダイを含めたフィルム・シート状物の成形装置以外の上層部に別な装置があっても、この別の装置への揮発物の付着が防塵カバーによって防止できるので、前述したのと同様、揮発物が成長して発生した異物が落下することが無く、さらには、例えこうした落下があってもフィルム・シート状物の成形装置、及び作製したフィルムやシートへの影響はない。
更に本発明においては、図1に示すように、2個1対の冷却ロールの各々のロールに1個ずつロールクリーナー9を取り付けることが好ましい。この冷却ロールに揮発物等が付着すると、作製したフィルムやシートの表面にこの付着物とほぼ同形状の凹み痕(凹み欠陥)が転写されてしまう原因となる。ロールクリーナー9により冷却ロール2、3の付着物を除去することにより、作製したフィルムやシートの表面の凹み欠陥を減らすことができる。
このような本発明で言う凹み欠陥とは、異物欠陥とは異なり当該部分に異物が存在せず、肉眼で観察可能な大きさであって、例えば長さが10μm以上で、深さが1μm以上の大きさである。フィルム・シート状物1m当たりの個数としては、凹み欠陥が20個/mより多い場合、例えばフィルム液晶装置の偏光子保護フィルムとして用いた時、偏光子との接着の際に凹み欠陥に起因して接着ムラが発生することがあり好ましくない。従ってフィルム表面の凹み欠陥は20個/m以下であることが好ましく、より好ましくは10個/m以下である。
本発明のロールクリーナーは、冷却ロールに対して押圧手段によって押圧して使用される。押圧手段としては、油圧、空気圧、機械的押付け等が挙げられるが、その際に、幅方向の圧力が均一であることが好ましい。2つの冷却ロールの各々のロールに対するロールクリーナーの押付け圧力は1kg/cm以上、10kg/cm以下であることが好ましく、より好ましくは3kg/cm以上、7kg/cm以下であり、更に好ましくは、4kg/cm以上、5kg/cm以下である。2個1対の冷却ロールの各々のロールに対するクリーナーの押付け圧力が1kg/cmより小さい場合は、ロール付着物の除去が困難であり、好ましくない。一方、10kg/cmより大きい場合、例えばロールに金属片等の無機物が付着していると、ロール表面に傷をつける可能性があり、好ましくない。
尚、ロールクリーナーは、2つの冷却ロールに使用しても良いし、必要に応じて、どちらか1つの冷却ロールに使用しても良い。
本発明においては、このロールクリーナーが、ポリエステル超極細繊維布であることが好ましい。冷却ロールクリーナーの材質としては、例えばロール温度が100℃前後と高温の場合には耐熱性が要求されるのでポリエステル超極細繊維布、セルロース布等が好ましいが、冷却ロールに付着した異物の除去程度、ロールクリーナー自体からの発塵性の観点からポリエステル超極細繊維布が特に好ましい。また、ロールクリーナーの形態としては、必要に応じた大きさにカットされたワイパー、長尺の布が巻かれたロール状のもの等が好ましいが、フィルム・シート状物を連続的に成形する時には、ロールクリーナーの表面の布の更新の観点から、長尺の布が巻かれたロール状のものがより好ましい。上記ポリエステル繊維布は公知であり、商業的に入手できる。商業的に入手できるポリエステル超極細繊維布の具体例としては、例えば、東レ株式会社製の商品名「トレシー」シリーズ、カネボウ株式会社製の商品名「ザビーナ」シリーズ等が挙げられる。
本発明のフィルム・シート成形方法、及び装置で成形する熱可塑性樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、マレイミド・オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、グルタルイミド系樹脂等が挙げられる。一般に、このような熱可塑性樹脂からなるフィルムやシートでは、溶融押出成形する際の熱安定性や流動特性の改善の為に、また、フィルム・シート状物の物性改善(耐候性)のために、各種の添加剤(酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤等)が熱可塑性樹脂に添加され用いられている。熱可塑性樹脂自体やこれらの添加剤は、溶融押出成形時にその一部が揮発物となってTダイ等の金型から溶融樹脂とともに大気中に放出されるので、本発明はそのような熱可塑性樹脂、特に添加剤を含む熱可塑性樹脂をフィルム・シート状物に成形する際に特に有効である。
以下に実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。各実施例を具体的に説明する前に、まず各実施例、及び各比較例において実験結果として示される評価値、つまり凹み欠陥数の測定方法を以下に示す。
(凹み欠陥数)
暗室で面積が1mのフィルムを目視で観察し、株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープ(VH−Z75)で最大長さが10μm以上、深さ1μm以上の凹み欠陥の数をカウントした。尚、凹み欠陥深さに関しては、フィルム表面の平坦部と凹み欠陥最深部の距離を、デジタルマイクロスコープで各々の部位にピントを合わせ、これらの部位でのデジタルマイクロスコープのダイヤルの値を読み取り、さらに引き算することにより測定した。
(実施例1)
フィルム・シート状物の成形装置の条件は、2つの冷却ロールの周囲を挟み込み成形に影響しない最低限の空隙を持たせたステンレス製の防塵カバーで囲い、防塵カバーの上流及び下流側の上層部には、電熱線入りのステンレス板密閉型ヒーター(500W×2個)を取り付け、90℃まで昇温する。防塵カバー内の冷却ロール下部の上流と下流側の両側面より防塵カバー内に向けて、株式会社アピステ製のHEPAフィルター内蔵のファンユニット(PAU−03FFU)でフィルター処理した35℃のクリーンエアーを、片面側で時間当たり12m(両面合計24m/hr)のクリーンエアーを給気する。また、防塵カバー内には、冷却ロールの挟み込み位置の真下に排気口が向くように山洋電気株式会社製の小型ファン(プチエース109S033)を3基内蔵したアルミ製の排気装置を製作後配置し、防塵カバー内のエアーを流速4.3m/sec.(時間当たり20mのエアー排気)で吸引する。更に、2つの冷却ロールにはポリエステル超極細繊維布(東レ株式会社製のトレシー)を使用したロールクリーナーを4kg/cmの押付け圧で押し付ける。
これらの条件を満たした上で、ポリメタクリル酸メチル樹脂(住友化学工業株式会社製のスミペックスMG)を100℃で5時間以上乾燥したものを、40mm単軸押出機と400mm幅のTダイを用いて、240℃で連続的に押出し、溶融状態の樹脂を2つの冷却ロールで挟み込み成形した。この状態で製膜押出を4時間連続して実施した。4時間後に製造されたフィルムの中央から約300mm幅のフィルムを切り出した。
最後に、この切り出したフィルムにつき面積1m当たりの凹み欠陥数を上述した方法で測定した。このフィルムの凹み欠陥数は2個/mであった。
(実施例2)
2つのロールクリーナーを使用しないで、それ以外は実施例1と同様の方法でフィルムを製造した。製造されたフィルムの凹み欠陥数は4個/mであった。
(実施例3)
防塵カバーの加熱装置を使用しないで、それ以外は実施例1と同様の方法でフィルムを製造した。製造されたフィルムの凹み欠陥数は6個/mであった。
(実施例4)
防塵カバー内のエアーを流速2.5m/sec.(時間当たり11.6mのエアー排気に相当する。)で吸引しながら、それ以外は実施例1と同様の方法でフィルムを製造した。製造されたフィルムの凹み欠陥数は18個/mであった。
(実施例5)
防塵カバー内への給気量を片面側で時間当たり8m(両面合計16m/hr)とし、それ以外は実施例1と同様の方法でフィルムを製造した。製造されたフィルムの凹み欠陥数は12個/mであった。
(比較例1)
加熱装置及び給排気装置を使用しないで、また、ロールクリーナーを取り外した状態で、これら以外は実施例1と同様の方法でフィルムを製造した。製造されたフィルムの凹み欠陥数は50個/mであった。
(比較例2)
防塵カバー、加熱装置、給排気装置、及びロールクリーナーを全て外した状態で、これら以外は実施例1と同様の方法でフィルムを製造した。製造されたフィルムの凹み欠陥数は40個/mであった。
本発明のフィルム・シート状物の成形装置断面概略図
符号の説明
1 Tダイ
2 タッチロール
3 キャストロール
4 カバー
5 加熱装置
6 排気装置
7 ファン
8 給気装置
9 ロールクリーナー

Claims (7)

  1. 溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的にダイより下方に吐出させ、該樹脂をガラス転移温度以下に冷却可能な回転する2つの冷却ロールに挟み込んで成形するフィルム成形方法であって、該2つの冷却ロールの最近接点を含む水平線より下側において、該最近接点の下方を強制換気することを特徴とするフィルム成形方法。
  2. 前記2つの冷却ロールをカバーで覆い、該カバー内を前記強制換気することを特徴とする請求項1に記載のフィルム成形方法。
  3. 前記カバー内にある排気装置により、前記カバー内のエアーを外に排出すること、及び、前記カバー内にクリーンエアーを給気することで前記強制換気を行うことを特徴とする請求項2に記載のフィルム成形方法。
  4. 前記給気するクリーンエアーの量を、前記排出するエアー量以上の量とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルム成形方法。
  5. 前記冷却ロールにロールクリーナーを押圧しながら成形することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のフィルム成形方法。
  6. 少なくとも、前記2つの冷却ロールの最近接点を含む水平線より上方に位置する前記カバーを加熱しながら成形することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフィルム成形方法。
  7. 連続的に、溶融状態の熱可塑性樹脂からフィルムを成形する成形装置であって、上方に該溶融状態の熱可塑性樹脂を下方に吐出可能なダイを備え、また、その下方に、該樹脂をガラス転移温度以下に冷却可能であって、かつ、該樹脂を回転しながら挟み込むことでフィルム状に成形可能な2個1対の冷却ロールを備え、また、該ダイの吐出口、及び、該2個1対の冷却ロールの周囲にはそれらを覆うカバーを備え、また、該カバー内のエアーを、該カバー外に排出可能な排気装置を該カバー内に備え、また、該カバー内にクリーンエアーを給気可能な給気装置を備え、また、該冷却ロールに押圧可能なロールクリーナーを備え、また、少なくとも該カバーの一部を加熱可能な加熱装置を備え、さらに、該カバー内の、前記クリーンエアーの取り入れ口、及び前記エアーの取り出し口の横幅が、該ダイのリップ幅以上、かつ該冷却ロールの幅以上であり、また、該取り入れ口、及び該取り出し口が該2個1対の冷却ロールの下方に位置するフィルム成形装置。
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