JP2007124938A - ローズヒップエキスの製造方法及びそれを含む飲食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】ローズヒップの心地よい芳香を充分に得ながら渋味、苦味の抽出を抑制することの出来るローズヒップエキスの製造方法を提供すること。
【解決手段】水溶性有機溶剤を20〜90容積%含む水溶性有機溶剤−水系抽出溶媒に、前記抽出溶媒に対して1〜10質量%のローズヒップを、抽出可能な温度にて3〜8日の浸漬期間浸漬して抽出液を得ることを含む、飲食品用ローズヒップエキスの製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ローズヒップエキスの製造方法に関する。より特定すれば、本発明は、苦味が少なく香り高いローズヒップエキスの製造方法及び該エキスを含有する飲料に関する。
ローズヒップは、バラ科の植物、特に野生のバラの根元に生じる果実の総称であり、より一般的にはヨーロッパ原産の野バラであるRosa caninaの果実を指す。ローズヒップは、心地よい芳香を有し、レモンの10〜20倍に相当する豊富なビタミンCを筆頭に、ビタミンA、B1、B2、D、E、P等、リコピン、カルシウム、鉄、マンガン等様々な成分を含む。さらに、肝臓や胆のうの活性化、生理不順、アレルギー等にも有効と言われ、健康や美容に効果的なハーブとして、果実自体はハーブティやジャム等に、そのオイルは食用や化粧用に用いられる。
ローズヒップの抽出物やその用途に関して、例えば、特許文献1は、ローズヒップを含む薬草類を45%の蒸留酒に約30℃で少なくとも2週間浸漬することを含む薬草酒の製造方法について記載する。特許文献2は、ローズヒップをエタノールで3時間還流して得た抽出物のビフィズス菌増殖促進作用について記載する。特許文献3は、口臭発生抑制剤としてのローズヒップ50%エタノール抽出物配合ドリンク剤について記載する(抽出物の抽出方法の詳細は明らかでない)。これらの文献はいずれも抽出物の味については言及しておらず、飲料の原料として用いるために適した抽出物を得ることについての記載もない。
ここで、ローズヒップをはじめとするハーブは全般に心地よい芳香と同時に独特の渋味、苦味があり、飲料とする際にはいささか馴染みづらい。この為、ハーブ飲料を提供する際にその渋味や苦味などを抑制して嗜好性を改良する試みがなされているが(特許文献4)、これまでの試みは他の物質と混ぜ合わせてハーブエキスの渋味や苦味を隠すというものであり、エキス自体の渋味や苦味を抑えることは出来なかった。
特開平11-113554号公報 特開2000-83654号公報 特開2005-170906号公報 特開平11-215973号公報
従って、本発明の課題は、ローズヒップの心地よい芳香を充分に有しながら渋味や苦味が抑制され、飲食品、特に飲料への配合に適したローズヒップエキスを提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、本発明者らは、ローズヒップを水のみで抽出すると充分な芳香を得るまでの抽出時間が長くなり、かつ得られるエキスは苦味や渋味が強く飲料への配合に向かないことを見出した。さらに、エタノール濃度が20〜90容積%のエタノール−水系溶媒を用い、且つ浸漬期間を3〜8日間とし、更に好ましくは抽出温度を10〜40℃とする抽出方法によって、渋味、苦味を抑制しながら良好な芳香成分を充分に有するローズヒップエキスが短時間で得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、水溶性有機溶剤を20〜90容積%(好ましくは40〜70容積%)含む水溶性有機溶剤−水系抽出溶媒に、前記抽出溶媒に対して1〜10質量%(好ましくは2〜5質量%)のローズヒップを、抽出可能な温度にて3〜8日(好ましくは4〜7日)の浸漬期間浸漬して抽出液を得ることを含む、飲食品用ローズヒップエキスの製造方法を提供する。本発明はまた、水溶性有機溶剤がエタノールである、前記の製造方法を提供する。本発明はまた、抽出可能な温度が10〜40℃である、前記の製造方法を提供する。本発明はまた、水溶性有機溶剤を20〜90容積%含む水溶性有機溶剤−水系抽出溶媒に、前記抽出溶媒に対して1〜10質量%のローズヒップを、抽出可能な温度にて3〜8日浸漬することを含む、ローズヒップの抽出方法を提供する。
本明細書中において、ローズヒップとは、バラ科、特にバラ亜科のRosa canina (英名: Dog rose、和名:イヌバラ)の果実を指す。この果実を生のまま又は乾燥させて用いることができ、適当な大きさに切断されたものや粉砕されたものを用いることができる。加工品及び乾燥品が市場に一般的に流通しているため、加工品、より特定すれば乾燥品を用いることが簡便であり好ましい。
さらに他のハーブとの相加・相乗効果等を期待するという観点から、ローズヒップ以外のハーブ、例えば、ペパーミント、スペアミント、レモングラス、オレンジピール、シナモン、ジンジャー、サフラン、エキナセア、ザクロ、セージ、アイブライト、スイートフェンネル、タイム、マテ、ユーカリ、ラズベリーリーフ、ルイボス、ローズマリー、ラベンダー、洋種オオバコ、オレガノ、カルダモン、クローブ、スターアニス、リンデン、アグリモニー、ワイルドチェリー、ラズベリー及びアニスシード等、飲食品に使用されるハーブから任意に選択した1種もしくは2種以上を任意にローズヒップと組み合わせて用いてもよい。上記ローズヒップ以外のハーブは、葉及び茎、樹皮、根、果実、種子などを用いることができ、生のまま、乾燥品のいずれでもよく、適当な大きさに切断されたものや粉砕されたものを用いることができる。
上記ローズヒップの抽出溶媒に対する配合量は、抽出溶媒に対し1〜10質量%、特に2〜5質量%とすることが、適度なハーブ感を有する抽出液を簡便に得ることができるため好ましい。例えば、抽出溶媒に対し4質量%のローズヒップとは、抽出溶媒の質量とローズヒップの質量との和を100%としたときに、4質量%のローズヒップが含まれることを言う。このローズヒップの配合量が1%以下では抽出速度が遅くなり、10%以上では抽出溶液を回収する際にハーブ等を取り除く作業に手間がかかるが、これらの配合量でも抽出溶媒及び抽出時間を適宜選択することにより、抽出液としては望ましいものを得ることが出来るであろう。
抽出溶媒としては、水溶性有機溶剤を20〜90容積%(好ましくは40〜70容積%)含む水溶性有機溶剤−水系抽出溶媒を用いることが出来る。例えば、水溶性有機溶剤を60容積%含む水溶性有機溶剤−水系抽出溶媒とは、水溶性有機溶剤60容積部と水40容積部からなる溶媒である。水溶性有機溶剤としては、水と互いに溶解する溶剤、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸、酢酸エチル、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等を用いることができ、これらを単独で又は2種以上を混合して、水と共に用いることが出来る。抽出物を飲食品に配合するという観点から、上記溶剤のうち経口摂取に適した溶剤を用いることが好ましい。
さらに特定すれば、抽出溶媒として、エタノール−水系の溶媒であって、エタノール濃度が10容積%より多く95容積%未満の溶媒、好ましくは20〜90容積%、より好ましくは40〜70容積%である溶媒を用いることができる。例えば、エタノール濃度が60容積%のエタノール−水系の溶媒とは、エタノール60容積部と水40容積部からなる溶媒であり、換言すれば、アルコール度数60%の溶媒である。エキスや香りの厚さに関与する成分(例えばプロパノール、ブタノール、アミルアルコール、アセトアルデヒド、エチルアセテート、カプリン酸等)を充分に抽出するという観点からは、10容積%より多いエタノール濃度、好ましくは20容積%以上、より好ましくは40容積%以上、さらに好ましくは50容積%以上のエタノール濃度の溶媒を用いることが好ましい。一方、95容積%以上の溶媒では、アルコール不溶/難溶成分(例えばポリフェノール、アミノ酸やコラーゲン等の多糖類等)の抽出が不充分となるため好ましくない。香りの強さに関与する成分であると考えられるフェネチルアルコールを充分に抽出するという観点からは、95容積%未満、好ましくは90容積%以下、より好ましくは70容積%以下、さらに好ましくは60容積%以下のエタノール濃度の溶媒を用いることが好ましい。味の厚みに関与する成分であると考えられるポリフェノールを充分に抽出するという観点からは、95容積%未満、好ましくは90容積%以下、より好ましくは80容積%以下、さらに好ましくは60容積%以下のエタノール濃度の溶媒を用いることが好ましい。
本発明において、エタノール-水系溶媒の形態は特に限定されない。例えば原料用アルコールに水を添加したものを用いることができる。あるいは、スピリッツ類、リキュール類、ウイスキー類、焼酎等など、エタノールと水を含む酒類を用いても良い。これらを単独又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明における浸漬期間は、所望の抽出液を得られる期間であればよく、例えば3〜8日であり、好ましくは4〜7日であり、さらに好ましくは4日である。浸漬期間が短すぎると香り成分の抽出が不充分となり、長すぎると抽出成分中に渋味、苦味が移行してしまうため好ましくない。
本発明における抽出温度は、より特定すれば、抽出溶媒の温度を指す。この温度は、用いる抽出溶媒の種類によって異なるが、抽出可能な温度であればよい。例えば抽出温度を20℃とする場合、外気温度20℃の恒温槽に長時間抽出溶媒を入れておけば、溶媒温度もほぼ20℃となり、20℃における抽出が可能である。苦味や渋味を抑えた抽出物を得るために穏やかな抽出を特別の温度管理なしに行うという観点からは、抽出温度は室温程度が好ましく、10〜40℃、特に20〜35℃が好ましい。
例えばエタノール-水系溶媒を用いる場合、40℃を超えるとアルコールの揮発速度が高くなり、且つローズヒップエキスの生理活性機能に影響を及ぼす可能性がある。また、10℃以下であると抽出効率が悪くなるため好ましくない。
本明細書中において、浸漬とは、ローズヒップを抽出溶媒に漬けた状態で放置することをいう。溶媒全体が均一になるよう穏やかに攪拌することは差し支えないが、激しい攪拌はローズヒップエキスの苦味や渋味を増強させる恐れがあるため好ましくない。
所望の時間ローズヒップを浸漬させた抽出溶媒からローズヒップを除去して、抽出液を得る。
本明細書中において、ローズヒップエキスとは、上記の抽出液そのもの、該抽出物を当業者に公知の手法により適宜加工を加えたもの(例えば、不純物を取り除いて精製したもの、保存に適するよう防腐剤等を配合したもの、又は該抽出液を蒸発、凍結乾燥等の手法を用いて得た乾燥品、該乾燥品を飲食品に適した溶媒に再溶解させたもの等)をさす。
本発明はまた、水溶性有機溶剤−水系抽出溶媒に、ローズヒップを、抽出可能な温度にて浸漬して抽出液を得ることを含む、飲食品用ローズヒップエキスの製造方法であって、前記抽出液の、530nmにおける吸光度が0.26〜0.38(好ましくは0.3〜0.37)であり、及びフェネチルアルコール濃度が0.1〜5ppm(好ましくは0.1〜3ppm)又はプロパノール濃度が4.0〜10.0ppm(好ましくは4.0〜8.0ppm)である、前記の製造方法を提供する。本発明はまた、水溶性有機溶剤がエタノールである、前記の製造方法を提供する。本発明はまた、前記の抽出可能な温度が10〜40℃である、前記の製造方法を提供する。さらに本発明は、530nmにおける吸光度が0.26〜0.38(好ましくは0.3〜0.37)であり、及びフェネチルアルコール濃度が0.1〜5ppm(好ましくは0.1〜3ppm)又はプロパノール濃度が4.0〜10.0ppm(好ましくは4.0〜8.0ppm)である、飲食品用ローズヒップエキスを提供する。
本発明における吸光度とは特定の波長の光に対して物質の吸収強度を示す尺度であり、分光光度計を用いて測定することができる。ハーブの抽出成分の一つにその色素も含まれるため、吸光度を測定することによって抽出の進行具合を知ることが出来る。抽出が足りないとローズヒップの香りが感じられず、抽出が進み過ぎると渋味、苦味が目立つため、抽出液の530nmにおける吸光度は0.26〜0.38が好ましく、0.3〜0.37がより好ましい。
吸光度の測定は汎用的な手法を用いて行うことが出来る。例えばHITACHI社製U-2800形分光光度計を用いて測定することが出来る。光路長や測定温度などの測定条件は適宜設定することができる。なお、試料中の固形物の除去を目的として、抽出溶液を0.45μm孔のろ紙にてろ過を行う必要がある。本明細書中における吸光度は、抽出溶液を0.45μm孔のろ紙にてろ過した試料の吸光度を指す。
本発明において、フェネチルアルコール濃度及びプロパノール濃度は、ガスクロマトグラフィー等当業者に公知の手法を用いて測定することが出来る。例えば本明細書中実施例1に記載したような手法を用いて測定することができる。
本発明の製造方法で得られる抽出物について、その味の厚みを評価する指標として、ポリフェノール成分の濃度を当業者に公知の手法を用いて測定することが出来る。例えば本明細書中実施例1のフォリン−チオカルト法を用いて測定することができる。本明細書中において、ポリフェノールとは分子内に数個以上のフェノール性水酸基を持つ植物成分の総称である。特定すれば、以下の実施例1のフォリン−チオカルト法を用いて測定される成分であり、より特定すれば、ローズヒップに含まれる成分である。
本発明はまた、植物エキス中のフェネチルアルコール、プロパノール及びポリフェノールの濃度を測定することを特徴とする、食品用植物エキスの判定方法を提供する。植物エキスとは、特定すればハーブエキスであり、より特定すればローズヒップエキスを指す。香りの強さについてはフェネチルアルコール濃度を、香りの厚みについてはプロパノール濃度を、そして味の厚みについてはポリフェノールを測定すれば、香り高く、香り及び味の厚みのある、飲食品用に適したエキスであるか否かを判定することが出来ることを、本発明者らは見出した。
本発明はまた、飲食品が飲料である、上記の製造方法を提供する。本発明はまた、上記の製造方法により得られたローズヒップエキス又は上記のローズヒップエキスを含む、飲食品を提供する。
本発明において、飲食品とは、ハーブが配合され得るものであれば特に限定されないが、好ましくは飲料であり、更に好ましくはアルコール飲料である。本発明の製造方法で得られるローズヒップエキスは、苦味、渋味が抑制され、かつ、ローズヒップの心地よい芳香を充分に有するため、飲食品用に適する。
ローズヒップエキスを飲食品に配合する場合、その配合量は特に限定されないが、例えば、飲料に配合する場合、ローズヒップ固形分量に換算して0.01〜10質量%、好ましくは1〜5質量%の範囲で配合することができる。
本発明の飲食品の例としては、飴、トローチ、ガム、ヨーグルト、アイスクリーム、プディング、ゼリー、水ようかん、各種飲料(例えば、アルコール飲料、コーヒー飲料、ジュース、果汁飲料、炭酸飲料、清涼飲料水、牛乳、乳清飲料、乳酸菌飲料等)等を挙げることができる。
本発明におけるアルコール飲料とは、エタノールが含まれる飲料をいう。従って、アルコール濃度が1%未満のものをも含むが、好ましくはアルコール濃度が1%以上のものである。これは日本の酒税法で定められるアルコール飲料と同様である。スピリッツ類やウイスキー類など特に限定はされないが、ハーブの香味特徴を表現するという観点からはリキュール類が好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
アルコール度数0〜100%の原料用アルコール96質量部に、ローズヒップ(イワキ(株)、ローズヒップファインカット)を4質量部加えた後(ローズヒップ濃度4%)、室温(25℃)にて4日間浸漬し、得られた水−アルコール浸漬液を、純水を用いてアルコール度数が20%になるように調整し(アルコール度数0〜20%のものに関してはそのまま)、ワイングラスに適量を注いでその香味の評価を、バラ様の香り、味わい、香りの厚みのそれぞれについて行った。
判定の指標: 全く感じられない:0点、ほとんど感じられない:1点、わずかに感じられる:2点、感じられる:3点としてパネラー5名が判定し、平均点が0〜1点を×、1〜2点を△、2〜3点を○で示した。
結果を以下の表1に示す。
Figure 2007124938
アルコール度数が0%と10%に浸漬したものでは、バラ様の香りはあるものの全体的な香りの厚みは感じられず、良質な抽出液は得られなかった。また、95%と100%に浸漬したものではバラ様の香り、味の厚みが感じられなくなり、やはり良質な抽出液を得ることは出来なかった。それに対し、アルコール度数が20%を超えると香りの厚みが感じられはじめ、90%まではバラの香りがあり、味、香り共に厚みのある抽出液を得ることが出来た。さらに40%〜70%の範囲では香り、味、香りの厚みともにバランスの取れた、香味的に好ましい抽出液を得ることが出来た。
上記評価をローズヒップ濃度3%、5%でそれぞれ実施したところ、上に示す4%の時と同様の結果が得られた。
また、本発明者らは、ローズヒップエキスに関して、バラ様の香りと相関性があるものとしてフェネチルアルコールを、香りの厚みに寄与する成分としてプロパノールを、それぞれ見出した。そして、ローズヒップ濃度4%のものに関し、これらをガスクロマトグラフを用いた内部標準法で以下の条件にて測定した。本測定方法によってフェネチルアルコールおよびプロパノールを同時に定量で可能である。
測定装置としてAgilent6890 Series GC(Agilent Technologies社製)を用い、内部標準液にペンタノールを使用し、開始温度70℃ → 毎分4℃昇温 → 154℃で10分間、の温度条件で測定を行った。結果を以下の表2に示す。
更に、味の厚みに寄与する成分としてポリフェノールを見出し、これをフォリンチオカルト法で分析した。
Figure 2007124938
アルコール度数が低い溶媒に浸漬したものは香りの厚み成分と考えられるプロパノール含有量が少なく、逆にアルコール度数が高い溶媒に浸漬したものはそれぞれバラ様の香り及び味わいの成分と考えられるフェネチルアルコール及びポリフェノール含有量が少なくなった。また、95%と100%に浸漬したものからフェネチルアルコールは検出することが出来なかった。表1の官能評価とほぼ同様の結果が得られたといえる。
実施例2
アルコール度数60%の原料用アルコール96質量部に、ローズヒップを4質量部加え室温(25℃)にて浸漬し(ローズヒップ濃度4%)、一定時間毎に5名のパネラーを用いてその香味の評価を行った。香味の評価はワイングラスに原液とアルコール度数20%になるように調整したものを適量注いで行った。
(判定の指標)
<香り、渋味・苦味評価> 全く感じられない:1点、ほとんど感じられない:2点、わずかに感じられる:3点、感じられる:4点、しっかりと感じられる:5点、でパネラー5名が判定し、平均値を示した。
<美味しさ評価> 美味しくない:1点、あまり美味しくない:2点、普通:3点、美味しい:4点、すごく美味しい:5点、でパネラー5名が判定し、平均値を示した。
また、抽出の進行度合を知るため、一定時間ごとに吸光度測定した。測定は、抽出溶液を0.45μm孔のろ紙にてろ過した後、HITACHI社製U-2800形分光光度計を用いて光路長10mm、測定温度室温(25℃)で測定した。
結果を以下の表3に示す。
Figure 2007124938
浸漬期間が長くなるにつれてローズヒップの香りは強くなり、3日目から充分感じられる香りとなった。しかしながら、8日目よりローズヒップの持つ渋味・苦味が感じられ始め、11日目になるとしっかりと感じられるようになった。結果、美味しいと認められたのは3〜8日目の範囲であり、特に4〜7日目には最も好ましい評価を得ることが出来た。
上記評価をローズヒップ濃度3%、5%でもそれぞれ実施したところ、濃度が高いほどローズヒップの香りは早く感じられる様になったが、苦味、渋みは4%の時と同様に5日目から感じられ始め、美味しさとしては3〜8日目に好ましい評価を、特に4〜7日目で最も好ましい評価が得られた。
吸光度は、抽出期間の経過と共に値が大きくなった。
実施例3
アルコール度数40%の麦焼酎90質量部に、ローズヒップを10質量部加え20℃にて3日間浸漬したところ(ローズヒップ濃度10%)、香味の良い抽出液を得ることが出来た。また、これを用いて表4に示す配合でリキュールを試作したところ、香味の好ましいアルコール飲料を得ることが出来た。
実施例4
アルコール度数60%の原料用アルコール95質量部に、ローズヒップを5質量部加え35℃にて7日間浸漬したところ(ローズヒップ濃度5%)、香味の良い抽出液を得ることが出来た。また、これを用いて表4に示す配合でリキュールを試作したところ、香味の好ましいアルコール飲料を得ることが出来た。
Figure 2007124938
以下、本発明の製造方法により得られたローズヒップエキスを含む、飲食品の製造例を記載する。なお、製造例1〜4中のローズヒップエキスは、アルコール度数20%の原料用アルコール95質量部に、ローズヒップを5質量部加え25℃にて4日間浸漬して得た。
表5から表8に示す組成により各食品を調製した。調製方法は常法に従った。
製造例1:ゼリー
Figure 2007124938
製造例2:アイスクリーム
Figure 2007124938
製造例3:果汁飲料
Figure 2007124938
製造例4:炭酸飲料
Figure 2007124938
以上に述べたように、本発明に基づきローズヒップエキスを抽出することで、ローズヒップの渋味、苦味を抑制しながら香り成分を充分にもつローズヒップエキスと、それを含む香味が良好な飲食品を得ることが出来た。

Claims (11)

  1. 水溶性有機溶剤を20〜90容積%含む水溶性有機溶剤−水系抽出溶媒に、
    前記抽出溶媒に対して1〜10質量%のローズヒップを、
    抽出可能な温度にて3〜8日の浸漬期間浸漬して抽出液を得ることを含む、
    飲食品用ローズヒップエキスの製造方法。
  2. 水溶性有機溶剤−水系抽出溶媒に、ローズヒップを、抽出可能な温度にて浸漬して抽出液を得ることを含む、飲食品用ローズヒップエキスの製造方法であって、前記抽出液の、530nmにおける吸光度が0.26〜0.38であり、及びフェネチルアルコール濃度が0.1〜5ppm又はプロパノール濃度が4.0〜10.0 ppmである、前記の製造方法。
  3. 水溶性有機溶剤がエタノールである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記の抽出可能な温度が10〜40℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記水溶性有機溶剤−水系抽出溶媒が、水溶性有機溶剤を40〜70容積%含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記浸漬期間が4〜7日である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 飲食品が飲料である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 530nmにおける吸光度が0.26〜0.38であり、及びフェネチルアルコール濃度が0.1〜5ppm又はプロパノール濃度が4.0〜10.0 ppmである、飲食品用ローズヒップエキス。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られたローズヒップエキス又は請求項8のローズヒップエキスを含む、飲食品。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られたローズヒップエキス又は請求項8のローズヒップエキスを含む、アルコール飲料。
  11. 植物エキス中のフェネチルアルコール、プロパノール及びポリフェノールの濃度を測定することを特徴とする、食品用植物エキスの判定方法。
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