JP2007123925A - ニオブ粉、ニオブ焼結体及びニオブ焼結体を用いたコンデンサ - Google Patents

ニオブ粉、ニオブ焼結体及びニオブ焼結体を用いたコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】単位質量当たりの容量が大きく、漏れ電流値が小さいコンデンサ及び耐湿性の高いコンデンサ、この電極材料となり高い容量出現率の得られる焼結体、この焼結体材料として好ましく、成形時の作業上流れ性が良好で、連続成形が容易であり、コンデンサの安定した生産が可能なニオブ粉、及びそれらの製造方法を提供する。
【解決のための手段】0.01μm〜500μmの範囲内に細孔直径ピークトップを有し、好ましくは、複数の細孔直径ピークトップを有する細孔分布を持つニオブ焼結体をコンデンサ電極に用いることによりコンデンサを構成する。好ましくはタッピング密度が0.5〜2.5g/ml、平均粒子径が10〜1000μm、安息角が10〜60度、BET比表面積が0.5〜40m2/gのニオブ粉を用いて、コンデンサ用陽極焼結体及びコンデンサを構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、単位質量当たりの容量が大きく、漏れ電流特性、耐湿性の良好なコンデンサを安定に製造することができるニオブ粉及び焼結体、これらを用いたコンデンサ、及びそれらの製造方法に関する。
携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器に使用されるコンデンサは、小型で大容量のものが望まれている。このようなコンデンサの中でもタンタルコンデンサは大きさの割には容量が大きく、しかも性能が良好なため、好んで使用されている。さらに、最近の電子デバイスは、低電圧での作動、高周波での作動、低ノイズ化が求められており、個体電解コンデンサにおいても、より低ESR(等価直列抵抗)が求められている。
タンタルコンデンサの陽極体として、一般的にタンタル粉の焼結体が使用されている。この粉体を成形後焼結することにより一体化され焼結体と言われる電極になる。この焼結体内部は、前記粉体が電気的・機械的に連結した三次元の複雑な形状をとる。この焼結体の内部空隙の表面も含めた表面に誘電体皮膜層を形成した後、対電極となる材料を含浸してコンデンサが構成される。作製されたコンデンサの容量は、誘電体皮膜層が焼結体内外部の表面に均一に付着している限り、ミクロ的には、対電極材料と誘電体皮膜層との接触状況に大きく依存する。
これらタンタルコンデンサの容量を上げるためには、焼結体質量を増大させるか、または、タンタル粉を微粉化して表面積を増加させた焼結体を用いる必要がある。焼結体質量を増加させる方法では、コンデンサの形状が必然的に増大して小型化の要求を満たさない。一方、タンタル粉を微粉化して比表面積を増加させる方法では、タンタル焼結体の細孔直径が小さくなり、また焼結段階で閉鎖孔が多くなり、後工程における陰極剤の含浸が困難になる。例えば、対電極材料として、燐酸水溶液を用いたとき、誘電体皮膜層層との接触状況が完全として、その時の容量出現率(陰極剤含浸率とも言う)を100%とすると、粘性の大きな電極材料、とくに固体の電極材料を使用した場合、該容量出現率を100%とすることは、困難であった。とりわけ、タンタル粉の平均粒径が小さい場合や、タンタル粉から作製した焼結体の形状が大きな場合、困難さが増加し、極端な場合には、容量出現率は、50%にも満たないこともあった。また、このような低容量出現率の場合、作製したコンデンサの耐湿性を十分得ることが出来なかった。また、タンタル焼結体を作成するためのタンタル粉が持つ細孔径が小さい場合、焼結体の持つ細孔径も必然的に小さくなり容量出現率が低くなる。その結果、ESRを低くできないという問題が生じる。
これらの欠点を解決する手段の一つとして、タンタルより大きい誘電率の誘電体の得られる電極材料を用い、高い容量出現率の得られる焼結体を作製し、これを電極としたコンデンサが考えられる。
工業的に供給可能なこのような電極材料としては、タンタルより誘電率が大きく埋蔵量も多いニオブが知られている。
特開昭55−157226号公報(特許文献1)には、凝集粉から粒径2.0μm、あるいはそれ以下のニオブ微粉末を加圧成形して焼結し、その成形焼結体を細かく裁断して、これにリード部を接合した後再び焼結するコンデンサ用焼結素子の製造方法が開示されている。しかしながら、該公報にはコンデンサの特性についての詳細は示されてない。
米国特許4,084,965号公報には、ニオブインゴットを水素化して粉砕し、平均粒子径5.1μmのニオブ粉末を得、これを焼結して用いたコンデンサが開示されている。しかしながら、開示されているコンデンサは、漏れ電流(以下LCと略記することがある)値が大きく実用性に乏しい。
特開平10−242004号公報(特許文献2)には、ニオブ粉の一部を窒化すること等により、LC値を改善することが開示されている。
コンデンサ用ニオブ粉のタッピング密度は、ニオブ粉を成形作業する上で重要な因子であり、これまでのものについては、タッピング密度が2.5g/mlより大きく、4g/ml程度であり、成形するためには十分ではなかった。
すなわち、このようなニオブ粉を成形、焼結して焼結体を作成する場合、ニオブ粉の成形機ホッパーから金型への流れが悪く、常に一定量のニオブ粉を計量し金型に入れることが困難であった。このため、成形体の形状が常に十分に安定化せず、成形体、焼結体の強度が不足し、結果としてLCが悪いコンデンサが高頻度で生産されてしまう欠点があった。また、流れ性の悪い粉体も扱える特別な成形装置を用いたのでは、成形コストが高くなりすぎ、実用的でない。
このようなことから、従来既知のコンデンサ用ニオブ粉は、連続成形に十分適応できるものではなく、コンデンサの生産性が低いという問題があった。
特開昭55−157226号公報 米国特許4,084,965号公報
本発明の目的は、単位質量当たりの容量が大きく、漏れ電流値が小さいコンデンサ及び耐湿性の高いコンデンサ、この電極材料となり高い容量出現率の得られる焼結体、この焼結体材料として好ましく、成形時の作業上流れ性が良好で、連続成形が容易であり、コンデンサの安定した生産が可能なニオブ粉、及びそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前述の課題を鋭意検討した。その結果、特定の細孔分布を持つニオブ焼結体、好ましくは、複数の細孔直径ピークトップを有する細孔分布を持つニオブ焼結体をコンデンサ電極に用いると、高い容量出現率が得られ、漏れ電流が低く、耐湿性の良好なコンデンサが生産できることを見出した。さらに、好ましくはタッピング密度が0.5〜2.5g/ml、さらに好ましくは平均粒子径が10〜1000μmのニオブ粉は、流れ性が良好で、連続成形が可能であり、前記焼結体材料として好ましく、このニオブ粉を用いると漏れ電流値が低いコンデンサを安定に生産できることを見出した。これらを見出し本発明を完成した。更に好ましくは、空孔分布が広く、細孔直径のピークトップが複数あり、その細孔直径ピークトップのすべてが0.5μm以上のニオブ粉を用いて作成したニオブ焼結体をコンデンサ電極に用いると高い容量出現率とともに低ESRが達成できることを見いだした。
すなわち、本発明は、以下のニオブ粉、ニオブ焼結体、それを用いたコンデンサ、及びそれらの製造方法に関する。
1.コンデンサ電極用ニオブ焼結体において、ニオブ焼結体の細孔分布が、複数の細孔直径ピークトップを有することを特徴とするニオブ焼結体。
2.細孔分布が、2つの細孔直径ピークトップよりなる前記1に記載のニオブ焼結体。
3.複数の細孔直径ピークトップの内、相対強度が最も大きい2つのピークのピークトップが、それぞれ0.2〜0.7μm及び0.7〜3μmの範囲にある前記1または2に記載のニオブ焼結体。
4.複数の細孔直径ピークトップの内、相対強度が最も大きいピークのピークトップが、相対強度が次に大きいピークのピークトップより大径側にある前記1乃至3のいずれか1項に記載のニオブ焼結体。
5.焼結体が、細孔空隙容積を含めて10mm3以上の体積を持つ前記1乃至4に記載のニオブ焼結体。
6.焼結体が、0.2〜7m2/gの比表面積を持つ前記1乃至5に記載のニオブ焼結体。
7.焼結体の一部が、窒化している前記1乃至6に記載のニオブ焼結体。
8.焼結体が、1300℃で焼結した場合40000〜200000μFV/gのCV値を持つ焼結体を与えるニオブ成形体より得られた焼結体である前記2乃至7のいずれか1項に記載のニオブ焼結体。
9.前記1乃至8のいずれか1項に記載のニオブ焼結体を一方の電極とし、対電極との間に介在した誘電体とから構成されたコンデンサ。
10.誘電体の主成分が酸化ニオブである前記9に記載のコンデンサ。
11.対電極が、電解液、有機半導体及び無機半導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料である前記9に記載のコンデンサ。
12.対電極が、有機半導体であって、該有機半導体が、ベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体及び導電性高分子からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料である前記11に記載のコンデンサ。
13.導電性高分子が、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン及びこれらの置換誘導体から選ばれる少なくとも1種である前記12に記載のコンデンサ。
14.導電性高分子が、下記一般式(1)又は一般式(2)
Figure 2007123925
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1乃至10の直鎖上もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、アルコキシ基あるいはアルキルエステル基、またはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わす。R1とR2及びR3とR4の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。前記環状結合鎖には、カルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意の位置に含んでもよい。Xは酸素、硫黄又は窒素原子を表し、R5はXが窒素原子の時のみ存在して、独立して水素又は炭素数1乃至10の直鎖上もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基を表す。)で示される繰り返し単位を含む重合体に、ドーパントをドープした導電性高分子である前記12に記載のコンデンサ。
15.導電性高分子が、下記一般式(3)
Figure 2007123925
(式中、R6及びR7は、各々独立して水素原子、炭素数1乃至6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または該アルキル基が互いに任意の位置で結合して、2つの酸素元素を含む少なくとも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置換基を表わす。また、前記環状構造には置換されていてもよいビニレン結合を有するもの、置換されていてもよいフェニレン構造のものが含まれる。)で示される繰り返し単位を含む導電性高分子である前記14に記載のコンデンサ。
16.導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)にドーパントをドープした導電性高分子である前記12に記載のコンデンサ。
17.対電極が、層状構造を少なくとも一部に有する材料からなる前記9に記載のコンデンサ。
18.対電極が、有機スルホン酸アニオンをドーパントとして含んだ材料である前記9に記載のコンデンサ。
19.ニオブ焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた対電極を含むコンデンサの製造方法であって、ニオブ焼結体が、前記1乃至8のいずれか1項に記載のニオブ焼結体であることを特徴とするコンデンサの製造方法。
20.前記9乃至18のいずれか1項に記載のコンデンサを使用した電子回路。
21.前記9乃至18のいずれか1項に記載のコンデンサを使用した電子機器。
タッピング密度が0.5〜2.5g/ml、平均粒子径が10〜1000μm、安息角が10〜60度、BET比表面積が0.5〜40m2/gである本発明のコンデンサ用ニオブ粉は、流れ性が良好で、連続成形が可能であり、そのニオブ粉を焼結して得られる0.01μm〜500μmの範囲内に細孔直径ピークトップを有し、好ましくは、複数の細孔直径ピークトップを有する細孔分布を持つ本発明のニオブ焼結体をコンデンサ電極に用いることにより、高い容量出現率が得られ、漏れ電流が低く、耐湿性の良好なコンデンサが生産できる。
以下、漏れ電流特性や耐湿性の良好なコンデンサ、その特性を引き出し高い容量出現率の得られるニオブ焼結体、この焼結体材料として好ましい流れ性が良好で連続成形が可能なニオブ粉、及びそれらの製造方法に関し説明する。
本発明では、前記コンデンサの特性を満足し、コンデンサ製造の生産性を向上させるニオブ粉として、タッピング密度が0.5〜2.5g/mlであるようなコンデンサ用ニオブ粉(単にニオブ粉と略記することもある)を使用する。ここで、コンデンサ用ニオブとは、ニオブを主成分とし、コンデンサを製造するための素材となりうるものをいう。これには、例えば、ニオブと合金となりうる成分、窒素、及び/または酸素等のニオブ以外の成分が含まれてもよい。
コンデンサ用にオブ粉を次のような方法により成形、焼結してコンデンサ用焼結体(単にニオブ焼結体と略記することもある)を得、これに誘電体層、対電極を形成し、コンデンサを得ることができる。
バインダー(後述する)をトルエンやメタノールなどの有機溶剤に溶解させた溶液に、コンデンサ用ニオブ粉を入れ、これを振とう混合機、V型混合機などを用いて十分に混合する。その後、コニカルドライヤーなどの乾燥機を用い、減圧下、有機溶媒を留去して、バインダーを含んだニオブ調合粉を作製する。この調合粉を自動成形機ホッパーに入れる。ニオブ調合粉を、ホッパーから成形機金型への導入管を流して自動的に金型に自然落下しながら計量し、リード線と共に成形する。この成形体を減圧下、バインダーを除去した後、500℃〜2000℃で焼結してニオブ焼結体を作製する。そして、例えばニオブ焼結体を温度30〜90℃、濃度0.1質量%程度のリン酸、アジピン酸等の電解溶液中で、20〜60Vまで昇圧して1〜30時間化成処理し、酸化ニオブを主体とする誘電層を作成する。この誘電層上に、二酸化マンガン、二酸化鉛、導電性高分子などの固体電解質層を形成し、ついでグラファイト層、銀ペースト層を形成する。ついで、その上に陰極端子をハンダ付けなどで接続した後、樹脂で封止し固体電解コンデンサを作成する。
このため、適度な流れ性や安息角を持たない調合粉では、ホッパーから金型に流れにくく安定に成形できない。特に振動などの方法を用いてホッパーから輸送するため、調合粉のタッピング密度や平均粒子径が大きすぎても小さすぎても、成形体の質量、焼結体強度や形状のバラツキが大きくなり、欠け、割れが発生することもあり、結果として漏れ電流値が悪くなる。この様に調合粉のタッピング密度、平粒子径、流れ性及び安息角は、良好な焼結体及びコンデンサを作製する上での重要な要素となる。
調合粉のこのような物性はバインダーとの調合前後でほとんど変化せず、調合粉の物性は使用したコンデンサ用ニオブ粉の物性で決定される。そのため使用するニオブ粉のタッピング密度、平均粒子径、流れ性、安息角などが重要となる。ニオブ粉の流れ性や安息角は、タッピング密度、や平均粒子径の影響を大きく受けるため、タッピング密度、や平均粒子径が重要な要素となる。
流れ性や安息角の改善に伴う生産性及び焼結体強度の向上、及びそれに伴う漏れ電流値の低減の効果を得るために、本発明においてはタッピング密度は、0.5〜2.5g/mlが好ましく、0.8〜1.9g/mlが特に好ましい。また、本発明のニオブ粉の平均粒子径は、10〜1000μmが好ましく、50〜200μmが特に好ましい。
成形機ホッパーから金型へニオブ粉を自然落下させるためには、本発明のニオブ粉の安息角は、10〜60度が好ましく、さらには10〜50度が特に好ましい。
上記の様な物性を持つニオブ粉は、ニオブ粉またはニオブ化合物粉(以下、これらを「原料ニオブ粉」と記載する)と、賦活剤(「細孔形成剤」とも言う。以下、「添加物」と記載することもある)とを含む混合物(以下、「原料混合物」と記載する)を原料とし、少なくとも焼結工程、解砕工程を順次経て製造することができる。賦活剤は、原料混合物から本発明のニオブ粉を製造する焼結工程または解砕工程のいずれかの工程で除去される。賦活剤の除去は、前記焼結工程や解砕工程とは独立して行なってもよい。
賦活剤を除去する方法は、賦活剤の化学的性質により、任意に種々の方法を採用することができ、賦活剤を除去しやすい方法をいずれか1つまたは複数を組み合わせて用いればよい。賦活剤を除去する方法としては、例えば、賦活剤を蒸発、昇華または熱分解し気体にすることにより除去する方法、溶媒で賦活剤を溶解することにより除去する方法が挙げられる。
賦活剤を気体にして除去する場合、焼結工程で行なうか、または焼結前に加熱及び/または減圧により賦活剤を除去する工程を設けてもよい。賦活剤を溶媒に溶解し除去する場合、原料混合物を焼結後、または解砕中、または解砕後に後述する溶媒と焼結物またはその解砕物とを接触させることにより賦活剤を溶解除去する。
また、原料混合物から本発明のニオブ粉を製造する工程中のいずれかにおいて、ニオブ粉の一部を窒化、ホウ化、炭化、または硫化する工程を設けてもよい。
以下、本発明のニオブ粉の製造方法について詳しく説明する。原料ニオブ粉としては、ニオブ、水素化ニオブ、ニオブ合金、及び水素化ニオブ合金より選ばれる少なくとも1種の粉体を用いることができる。また、これらの一部が、窒化、硫化、炭化、またはホウ化しているものであってもよい。なお、本発明で用いる合金とは、他方の合金成分との固溶体を含むものである。原料ニオブ粉の平均粒子径は0.01〜10μmが好ましく、0.02〜5μmが更に好ましく、0.05〜2μmが特に好ましくい。
原料ニオブ粉となるニオブを得る方法は、例えば、ニオブインゴット、ニオブペレット、ニオブ粉などを水素化し、粉砕し、脱水素する方法、フッ化ニオブ酸カリウムをナトリウムなどで還元物し粉砕する方法、酸化ニオブを、水素、炭素、マグネシウム、アルミニウム等の少なくとも1種を使用して還元し、該還元物を粉砕する方法、あるいはハロゲン化ニオブを水素還元する方法、等が挙げれられる。
原料ニオブ粉となる水素化ニオブを得る方法は、例えば、ニオブインゴット、ニオブペレット、ニオブ粉等を水素化し、粉砕する方法が挙げれられる。
また、原料ニオブ粉となる水素化ニオブ合金を得る方法は、例えば、ニオブ合金インゴット、ニオブ合金ペレット、またはニオブ合金粉など、これらの水素化物を粉砕する方法により得ることができる。原料ニオブ粉となるニオブ合金を得る方法は、この水素化ニオブ合金を脱水素する方法がある。
前記ニオブ合金、水素化ニオブ合金は、ニオブ以外の他の合金成分として、原子番号88以下の元素からなる群から、水素、窒素、酸素、フッ素、塩素、臭素、沃素、ニオブ、ヘリウム、ネオン、クリプトン、アルゴン、キセノン、及びラドンを除いた群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む。
賦活剤は、原料混合物から本発明のニオブ粉を製造するいずれかの工程中で除去可能な物質である。通常、本発明のニオブ粉中で、賦活剤が除去された部分は細孔を形成する。
賦活剤の粒径は、本発明のニオブ粉の細孔直径に影響し、ニオブ粉の細孔直径はニオブ焼結体の細孔直径に影響し、焼結体の細孔直径はコンデンサの容量及びコンデンサ製造工程における陰極剤の含浸性に影響する。
陰極剤の含浸性は、高い容量をもち、かつ低いESRのコンデンサの作成に大きく影響を与える。ニオブ焼結体は、ニオブ粉を加圧成形して作成するため、焼結体の持つ細孔直径は、必然的にニオブ粉の持つ細孔直径より小さくなる。小さな細孔直径ピークを持つ粉体から作成した焼結体に対する陰極剤の含浸性の困難さから考えると、ニオブ粉の持つ細孔直径は、平均径として0.5μm以上、とりわけ1μm以上であることが望ましい。
これら細孔直径は、平均径として、0.01〜500μmが好ましく、0.03〜300μmがさらに好ましく、0.1〜200μmが特に好ましい。そのため、賦活剤の平均粒子径は、0.01〜500μmが好ましく、0.03〜300μmがさらに好ましく、0.1〜200μmが特に好ましい。
最も好ましいニオブ粉の細孔直径は、平均径として0.5μm〜100μmであり、この細孔直径を作り出す最も好ましい賦活剤の平均粒子径は、0.5μm〜100μmである。これらの細孔直径を小さくするには、粒径の小さな賦活剤を用いればよく、大きくするには、粒径の大きな賦活剤を用いればよい。
また、賦活剤の粒度分布を調整することにより細孔直径分布を調整できる。陰極剤の含浸性の問題が無く、十分な容量を持つコンデンサを得るには、ニオブ焼結体中に、所望の容量が得られる程度に小さい細孔と、陰極剤が十分含浸する程度に大きい細孔とを、陰極剤の物性に合わせ適度に設けることが好ましい。
ニオブ粉またはニオブ焼結体の細孔直径分布を調整するには、例えば、ピークトップを2つ以上有する粒度分布を持つ賦活剤(粉体)を用い、ニオブ粉にピークトップが2つ以上ある細孔直径分布を持たせることができる。このニオブ粉を焼結することにより、同等な細孔直径のピークトップが2つ以上ある細孔径分布を持つニオブ焼結体を得ることができる。この場合、細孔直径ピークトップは、0.01〜500μmの範囲内にあることが好ましく、0.03〜300μmがより好ましく、0.1〜200μmがさらに好ましく、0.1〜30μmが特に好ましく、0.2〜3μmが最も好ましい。
このようなニオブ焼結体を与えるニオブ粉は、2つ以上の細孔直径ピークトップをもつ。このニオブ粉の2つ以上の細孔直径ピークトップは、いずれも0.5μm以上であることが望ましい。例えば、0.7μmと3μmに2つの細孔直径ピークトップを持つニオブ焼結体を作成する場合、ニオブ粉の持つ2つの細孔直径ピークトップを、例えば、約1.5μmと約25μmに調整してやればよい。
このような約1.5μmの小さいな細孔直径を与える賦活剤の平均粒径は約1.5μmであり、約25μmの大きな細孔直径を与える賦活剤の平均粒径は約25μmである。通常、小さな細孔直径と大きな細孔直径がニオブ粉に存在する場合、加圧成形時に大きな細孔直径はつぶされて小さくなる。したがって、大きな細孔直径ピークトップは、20μm以上にあることが望ましい。細孔直径ピークトップが3つの場合でも大きな細孔直径ピークトップは、20μm以上であることが望ましい。また、全空孔容積の30体積%以上が20μm以上の細孔直径を有することが望ましく、40体積%以上であることが特に好ましい。
さらに上記の例について、図を用いて詳しく説明する。図1は、本発明のニオブ粉の様子を模式的に示す断面図である。本発明のニオブ粉は、1次粉が賦活剤によって形成された特定の細孔を持った造粒粉である。細孔Aは平均粒径が約1.5μmの賦活剤によって形成された細孔であり、細孔Bは平均粒径が約25μmの賦活剤によって形成された細孔である。このように、1次粉同士を効率的に凝集させることが可能である。図2は、本発明のニオブ粉の細孔分布を水銀圧入法で測定した場合の概略図である。ピークAは、約1.5μmの賦活剤が形成した細孔Aのピークであり、ピークBは約25μmの賦活剤が形成した細孔Bのピークである。また、ピークBの高さはピークAより高く、全空孔容積44%が20μm以上の細孔直径である。
粒度分布のピークトップを2つ以上持つ賦活剤は、例えば、粒度分布のピークトップの異なる賦活剤を2種類以上混合することにより得ることができる。
賦活剤となる物質としては、例えば、焼結温度以下で気体となる物質、または少なくとも焼結後に溶媒に可溶である物質が挙げられる。
焼結温度以下で気体となる物質としては、例えば、蒸発、昇華または熱分解して気体となる物質等が挙げられ、低温においても残留物を残さず容易に気体になる安価な物質が好ましい。このような物質として、例えば、ナフタレン、アントラセン、キノンなどの芳香族化合物、樟脳、NH4Cl、ZnO、WO2、SnO2、MnO3、有機物ポリマーが挙げられる。
有機物ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリルアミド、ポリビニルアルコールが挙げられる。
少なくとも焼結後に可溶性である物質としては、賦活剤またはその熱分解物の残留物が溶媒に可溶である物質であり、焼結の後、解砕中、または解砕の後に、後述する溶媒に容易に溶解する物質が特に好ましいが、溶媒との組み合わせにより多くの物質から選ぶことができる。
このような物質としては、例えば、金属と炭酸、硫酸、亜硫酸、ハロゲン、過ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、酢酸、蓚酸、または硼酸との化合物、金属酸化物、金属水酸化物、及び金属が挙げられる。好ましくは、酸、アルカリ、アンモニウム塩溶液などの溶媒への溶解度が大きい化合物であり、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びフランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、スカンジウム、イットリウム、セリウム、ネオジム、エルビウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銀、金、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、ビスマス、セレン、テルル、ポロニウム、硼素、珪素、及び砒素よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む化合物が挙げられる。これらの中で好ましくは金属塩であり、さらに好ましくは、例えば、酸化バリウム、硝酸マンガン(II)、炭酸カルシウム等が挙げられる。これら前記賦活剤は、単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても何ら問題はない。
特定の細孔を効率よく形成することを考えると、焼結温度で固体として存在する物質が好ましい。このことは、焼結温度において、賦活剤が固体で存在することによりニオブ1次粉の必要以上な凝集をブロックして、ニオブ同士の接点でのみニオブ同士の融着を起こさせるためである。焼結温度において、液体または気体で存在する場合は、ブロックする効果が小さく、望む細孔より小さな細孔を形成する場合がある。したがって、低融点な物質、例えば、アルミニウム金属、マグネシウム金属、水素化マグネシウム、カルシウム金属などを賦活剤として用いた場合よりも、高い融点、例えば酸化バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、などを賦活剤として用いた方が細孔径は安定する。
賦活剤の添加量は、少なければ、タッピング密度及び安息角が大きくなり、多ければタッピング密度は小さくなり焼結段階での閉鎖孔が多くなる。焼結段階での閉鎖孔の問題が無く、安息角60度以下で、タッピング密度0.5〜2.5g/mlを得るには、賦活剤の平均粒子径によっても変わるが、一般的には、原料ニオブに対して1質量%以上40質量%以下(以下、特に断りの無い限り質量%を単に%と略記する)、好ましくは5%以上25%以下、さらに好ましくは10%以上20%以下である。
原料混合物は、前述の賦活剤と前述のニオブ原料とを、粉体同士で無溶媒で混合したものでもよいし、適当な溶媒を用いて両者を混合し乾燥したものでもよい。
使用できる溶媒としては、水、アルコール類、エーテル類、セルソルブ類、ケトン類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。混合には混合機を用いることも出来る。混合機としては、振とう混合機、V型混合機、ナウターミキサーなど、通常の装置が問題なく使用できる。混合における温度は、溶媒の沸点、凝固点により制限されるが、一般的には、−50℃〜120℃、好ましくは−50℃〜50℃、さらに好ましくは、−10℃〜30℃である。混合にかかる時間は、10分以上であれば特に制限はないが、通常1〜6時間であり、窒素、アルゴンなどの不活性ガスを用いて無酸素雰囲気下で行うことが望ましい。
溶媒を用いた場合、得られた混合物をコニカルドライヤー、棚段式乾燥機などを用いて、80℃未満、好ましくは50℃未満で乾燥する。80℃以上の温度で乾燥すると、ニオブまたは水素化ニオブ微粉の酸素量が増加するため好ましくない。
賦活剤が焼結温度以下でガスとなる場合、焼結時に賦活剤を除去することも可能だが、賦活剤の化学的性質に合わせ除去しやすい温度、圧力、時間等の条件下で、焼結前に賦活剤を気体にして除去する工程を独立に設けてもよい。この場合、例えば、100℃〜800℃、減圧下、数時間で賦活剤を留去する。
また、原料ニオブとして水素化ニオブまたは水素化ニオブ合金を用いた場合、賦活剤の種類にかかわらず、本工程を行うことで脱水素することができる。
焼結工程は、減圧下またはアルゴンなどの還元雰囲気下で、500℃〜2000℃、好ましくは800℃〜1500℃、さらに好ましくは1000℃〜1300℃、で行なう。好ましくは、焼結終了後、ニオブの温度(品温とも略する)が30℃以下になるまで冷却し、0.01体積%〜10体積%、好ましくは、0.1体積%〜1体積%の酸素を含む窒素やアルゴンなどの不活性ガスを品温が30℃を越えないように徐々に加え、8時間以上放置後取り出し、焼結塊を得る。解砕工程では、焼結塊をロールグラニュレーターなどの解砕機を用いて、適当な粒径に解砕する。
賦活剤が、少なくとも焼結工程後に溶媒に可溶である場合、焼結後で解砕前、解砕中、解砕後、またはこれら複数の工程で適当な溶媒を焼結塊または解砕粉に接触させ、賦活剤成分を溶解し除去する。除去し易さから、解砕後の解砕粉から溶解除去するのが好ましい。
ここで用いる溶媒としては、溶解すべき賦活剤の溶解度が十分に得られる溶媒であり、好ましくは、安価で残留しにくいものがよい。例えば、賦活剤が、水溶性ならば水を用い、有機溶剤可溶性ならば、メチルイソブチルケトン、エタノール、ジメチルスルホキルシド(DMSO)等の有機溶媒を用い、酸可溶性ならば、硝酸、硫酸、リン酸、硼酸、炭酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、有機酸等の酸溶液を用い、アルカリ可溶性ならば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア等のアルカリ溶液を用い、可溶性錯体を形成するならば、その配位子となるアンモニア、エチレンジアミン等のアミン類、グリシン等のアミノ酸類、トリポリ燐酸ナトリウム等のポリリン酸類、クラウンエーテル類、チオ硫酸ナトリウム等のチオ硫酸塩、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤等の溶液を用いればよい。
また、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩の溶液や陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂なども好適に使用できる。賦活剤の溶解除去する温度は、低いことが望ましい。ニオブは酸素との親和性が高いため、溶解除去する温度が高いとニオブ表面が酸化される。したがって、50℃以下が好ましい。−10℃〜40℃で溶解除去することが好ましく、0℃〜30℃で行うことが特に好ましい。また、前記理由により、溶解除去する際に発熱が少ない方法を選択することが好ましい。例えば、賦活剤に金属酸化物や金属を用いた場合、酸で溶解除去する方法は、中和熱などが発生する。したがって、たとえば、水や有機溶剤に溶解させる方法、硝酸アンモニウム塩水溶液やエチレンジアミン4酢酸などを用いて可溶性錯体を形成する方法、イオン交換樹脂を含む溶液に溶解する方法などの発熱しにくい方法を選択することもできる。
より具体的に賦活剤と溶媒との組み合わせは、例えば、酸化バリウムと水、蓚酸カルシウムと塩酸、酸化アルミニウムと水酸化ナトリウム水溶液、酸化ハフニウムとメチルイソブチルケトン、炭酸マグネシウムとエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩水溶液等が挙げられる。
賦活剤を溶解除去した後、十分洗浄し、乾燥する。例えば、酸化バリウムを水で除去した場合、イオン交換水を用いて洗浄水の電気伝導度が、5μS/cm以下になるまで充分に洗浄する。次に減圧下、品温50℃以下で乾燥する。ここで残留する賦活剤や溶媒成分の量は、洗浄の条件にもよるが、通常100ppm以下である。
このようにして得られたニオブ粉、前記焼結塊、またはニオブ原料粉に、LC値を更に改善するために、ニオブ粉の一部を窒化、ホウ化、炭化、硫化、または複数のこれらの処理をしてもよい。
得られたニオブの窒化物、ニオブのホウ化物、ニオブの炭化物、ニオブの硫化物、またはこれらの複数種を本発明のニオブ粉中に含有してもよい。その窒素、ホウ素、炭素、及び硫黄の各元素の含有量の総和は、ニオブ粉の形状にもよって変わるが、0ppm〜200,000ppm、好ましくは50ppm〜100,000ppm、さらに好ましくは、200ppm〜20,000ppmである。200,000ppmを越えると容量特性が悪化し、コンデンサとして適さない。
ニオブ粉の窒化方法は、液体窒化、イオン窒化、ガス窒化などのうち、何れかあるいは、それらの組み合わせた方法で実施することができる。窒素ガス雰囲気によるガス窒化は、装置が簡便で操作が容易なため好ましい。例えば、窒素ガス雰囲気によるガス窒化の方法は、前記ニオブ粉を窒素雰囲気中に放置することにより達成される。窒化する雰囲気の温度は、2000℃以下、放置時間は100時間以内で目的とする窒化量のニオブ粉が得られる。また、より高温で処理することにより処理時間を短縮できる。
ニオブ粉のホウ化方法は、ガスホウ化、固相ホウ化いずれであってもよい。例えば、ニオブ粉をホウ素ペレットやトリフルオロホウ素などのハロゲン化ホウ素のホウ素源とともに、減圧下、2000℃以下で1分〜100時間放置しておけばよい。
ニオブ粉の炭化は、ガス炭化、固相炭化、液体炭化いずれであってもよい。例えば、ニオブ粉を炭素材やメタンなどの炭素を有する有機物などの炭素源とともに、減圧下、2000℃以下で1分〜100時間放置しておけばよい。
ニオブ粉の硫化方法は、ガス硫化、イオン硫化、固相硫化いずれであってもよい。例えば、硫黄ガス雰囲気によるガス硫化の方法は、前記ニオブ粉を硫黄雰囲気中に放置することにより達成される。硫化する雰囲気の温度は、2000℃以下、放置時間は100時間以内で目的とする硫化量のニオブ粉が得られる。また、より高温で処理することにより処理時間を短縮できる。
以上の様にして得られる本発明のニオブ粉のBET比表面積は、通常、0.5〜40m2/g、好ましくは0.7〜10m2/g、さらに好ましくは0.9〜2m2/gである。
本発明のニオブ粉は、タッピング密度、粒径、安息角、BET比表面積、細孔径分布、窒化、ホウ化、炭化、硫化による処理のそれぞれ異なるニオブ粉同士を混合して使用してもよい。
コンデンサ用電極に用いることのできる本発明の焼結体は、例えば、前述した本発明のニオブ粉を焼結して製造することが好ましい。例えば、ニオブ粉を所定の形状に加圧成形した後に10-5〜102Paで1分〜10時間、500℃〜2000℃、好ましくは800℃〜1500℃、さらに好ましくは1000℃〜1300℃の範囲で加熱して焼結体を得ることができる。
本発明のニオブ粉より得られる焼結体の細孔径分布は、通常、細孔直径ピークトップを、0.01μm〜500μmの範囲内に持つ。
また、成形時の加圧を特定の加圧値に調節することにより、ニオブ粉の持つ細孔直径ピークトップの数より多くの細孔直径ピークトップを焼結体に持たせることが出来る。この加圧値は、ニオブ粉の物性、成形体の形状、あるいは成形機等の加圧成形条件により異なるが、加圧成形が可能な圧力以上、焼結体の細孔が閉鎖しない程度の圧力以下の範囲内にある。好ましい加圧値は、予備実験により、複数の細孔径ピークトップを持つように、成形するニオブ粉の物性等に合わせて決定できる。なお、加圧値は、例えば、成形機の成形体へかける加重を調節することで調整できる。
焼結体の細孔径分布は、所望の容量が得られる程度に小さい細孔と、陰極剤の物性に合わせて陰極剤が十分含浸する程度に大きい細孔とが含まれるように、少なくとも2つの細孔径ピークトップを有することが好ましい。このように、細孔直径分布が複数のピークトップを持つような焼結体からは、対電極の含浸性が良好で、容量出現率が高いコンデンサが得られる。
また、複数の細孔直径ピークトップの内、相対強度が最も大きい2つのピークのピークトップが、それぞれ各々0.2〜0.7μmと0.7〜3μmに、好ましくは各々0.2〜0.7μmと0.9〜3μmに存在する場合、この焼結体から作製したコンデンサの耐湿性は、好ましいものになる。さらに、複数の細孔直径ピークトップの内、相対強度が最も大きいピークのピークトップが、相対強度が次に大きいピークのピークトップより大径側にある場合、より耐湿性が良好なコンデンサとなるため、特に好ましい。
このように作製した焼結体の比表面積は、一般に、0.2m2/g〜7m2/gになる。通常、焼結体の形状は大きいほど対電極の含浸が困難になる。例えば、焼結体の大きさが10mm3以上である場合、本発明の複数のピークトップを有する細孔直径分布を持つ焼結体を特に有効に用いることができる。
本発明の焼結体は、一部窒化されていても良い。窒化方法として、前述したニオブ粉に適用した方法と反応条件が採用できる。焼結体を作製するニオブ粉の一部を窒化しておき、さらにこの粉体から作製した焼結体の一部を窒化することも可能である。
尚、このような焼結体には酸素が、通常、500〜70000質量ppm含まれる。これは、焼結前からニオブ粉に含まれている自然酸化酸素と、焼結後に自然酸化したことによって加わった酸素があるためである。また、本発明の焼結体中のニオブ、合金形成元素、酸素、窒素以外の元素の含有量は、通常、400質量ppm以下である。
本発明の焼結体は、一例として、1300℃で焼結した場合、CV値(0.1質量%燐酸水溶液中で、80℃120分化成した場合の化成電圧値と120Hzでの容量との積)が、40000〜200000μFV/gとなる。
次に、コンデンサ素子の製造について説明する。例えば、ニオブ又はタンタルなどの弁作用金属からなる、適当な形状及び長さを有するリードワイヤーを用意し、これを前述したニオブ粉の加圧成形時にリードワイヤーの一部が成形体の内部に挿入させるように一体成形して、リードワイヤーを前記焼結体の引き出しリードとなるように組み立て設計するか、あるいは、リードワイヤーなしで成形、焼結した後に別途用意したリードワイヤーを溶接などで接続するように設計する。
前述した焼結体を一方の電極とし、対電極との間に介在した誘電体とからコンデンサを製造することができる。例えば、ニオブ焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面(細孔内表面含む)上に誘電体を形成し、前記誘電体上に対電極を設け、コンデンサを構成する。
ここでコンデンサの誘電体として、酸化ニオブを主体とする誘電体が好ましく、さらに好ましくは五酸化ニオブを主体とする誘電体が挙げられる。五酸化ニオブを主体とする誘電体は、例えば、一方の電極であるニオブ焼結体を電解酸化することによって得られる。ニオブ電極を電解液中で電解酸化するには、通常プロトン酸水溶液、例えば、0.1%リン酸水溶液、硫酸水溶液又は1%の酢酸水溶液、アジピン酸水溶液等を用いて行われる。このように、ニオブ電極を電解液中で化成して酸化ニオブ誘電体を得る場合、本発明のコンデンサは、電解コンデンサとなりニオブ電極が陽極となる。
本発明のコンデンサにおいて、ニオブ焼結体の対電極(対極)は格別限定されるものではなく、例えば、アルミ電解コンデンサ業界で公知である電解液、有機半導体及び無機半導体から選ばれた少なくとも1種の材料(化合物)が使用できる。
電解液の具体例としては、イソブチルトリプロピルアンモニウムボロテトラフルオライド電解質を5質量%溶解したジメチルホルムアミドとエチレングリコールの混合溶液、テトラエチルアンモニウムボロテトラフルオライドを7質量%溶解したプロピレンカーボネートとエチレングリコールの混合溶液などが挙げられる。
有機半導体の具体例としては、ベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、あるいは下記一般式(1)又は一般式(2)で表される繰り返し単位を含む導電性高分子が挙げられる。
Figure 2007123925
式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1乃至10の直鎖上もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、アルコキシ基あるいはアルキルエステル基、またはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わす。R1とR2及びR3とR4の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。前記環状結合鎖には、カルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意の位置に含んでもよい。Xは酸素、硫黄又は窒素原子を表し、R5はXが窒素原子の時のみ存在して、独立して水素又は炭素数1乃至10の直鎖上もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基を表す。
さらに、本発明においては前記一般式(1)又は一般式(2)のR1〜R4は、好ましくは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1乃至6の直鎖上もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基又はアルコキシ基を表し、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。
さらに、本発明においては、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む導電性高分子は、好ましくは下記一般式(3)で示される構造単位を繰り返し単位として含む導電性高分子が挙げられる。
Figure 2007123925
式中、R6及びR7は、各々独立して水素原子、炭素数1乃至6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または該アルキル基が互いに任意の位置で結合して、2つの酸素元素を含む少なくとも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置換基を表わす。また、前記環状構造には置換されていてもよいビニレン結合を有するもの、置換されていてもよいフェニレン構造のものが含まれる。
このような化学構造を含む導電性高分子には、ドーパントがドープされる。ドーパントには公知のドーパントが制限なく使用できる。
無機半導体の具体例としては、二酸化鉛又は二酸化マンガンを主成分とする無機半導体、四三酸化鉄からなる無機半導体などが挙げられる。このような半導体は単独でも、又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
一般式(1)又は一般式(2)で表される繰り返し単位を含む重合体としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、及びこれらの置換誘導体や共重合体などが挙げられる。中でもポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体(例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等)が好ましい。
上記有機半導体及び無機半導体として、電導度10-2S/cm〜103S/cmの範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのインピーダンス値がより小さくなり高周波での容量を更に一層大きくすることができる。
前記導電性高分子層を製造する方法としては、例えばアニリン、チオフェン、フラン、ピロール、メチルピロール又はこれらの置換誘導体の重合性化合物を、脱水素的2電子酸化の酸化反応を充分行わせ得る酸化剤の作用で重合する方法が採用される。重合性化合物(モノマー)からの重合反応は、例えばモノマーの気相重合、溶液重合等があり、誘電体を有するニオブ焼結体の表面に形成される。導電性高分子が溶液塗布可能な有機溶媒可溶性のポリマーの場合には、表面に塗布して形成する方法が採用される。
溶液重合による好ましい製造方法の1つとして、誘電体層を形成したニオブ焼結体を、酸化剤を含む溶液(溶液1)に浸漬し、次いでモノマー及びドーパントを含む溶液(溶液2)に浸漬して重合し、該表面に導電性高分子層を形成得する方法が例示される。また、前記焼結体を、溶液2に浸漬した後で溶液1に浸漬してもよい。また、前記溶液2においては、ドーパントを含まないモノマー溶液として前記方法に使用してもい。また、ドーパントを使用する場合、酸化剤を含む溶液に共存させて使用してもよい。
このような重合工程操作を、誘電体を有する前記ニオブ焼結体に対して1回以上、好ましくは3〜20回繰り返すことによって緻密で層状の導電性高分子層を容易に形成することができる。
本発明のコンデンサの製造方法においては、酸化剤はコンデンサ性能に悪影響を及ぼすことなく、その酸化剤の還元体がドーパントになって導電性高分子の電動度を向上させ得る酸化剤であれば良く、工業的に安価で製造上取り扱いの容易な化合物が好まれる。
このような酸化剤としては、具体的には、例えばFeCl3やFeClO4、Fe(有機酸アニオン)塩等のFe(III)系化合物類、または無水塩化アルミニウム/塩化第一銅、アルカリ金属過硫酸塩類、過硫酸アンモニウム塩類、過酸化物類、過マンガン酸カリウム等のマンガン類、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、テトラシアノ−1,4−ベンゾキノン等のキノン類、よう素、臭素等のハロゲン類、過酸、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸等のスルホン酸、オゾン等及びこれら複数の酸化剤の組み合わせが挙げられる。
これらの中で、前記Fe(有機酸アニオン)塩を形成する有機酸アニオンの基本化合物としては、有機スルホン酸または有機カルボン酸、有機リン酸、有機ホウ酸等が挙げられる。有機スルホン酸の具体例としては、ベンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、α−スルホ−ナフタレン、β−スルホ−ナフタレン、ナフタレンジスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸(アルキル基としてはブチル、トリイソプロピル、ジ−t−ブチル等)等が使用される。
一方、有機カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、シュウ酸等が挙げられる。さらに本発明においては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸ポリ−α−メチルスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電解質アニオンも使用される。なお、これら有機スルホン酸または有機カルボン酸の例は単なる例示であり、これらに限定されるものではないない。また、前記アニオンの対カチオンは、H+、Na+、K+等のアルカリ金属イオン、または水素原子やテトラメチル基、テトラエチル基、テトラブチル基、テトラフェニル基等で置換されたアンモニウムイオン等が例示されるが、これらに限定されるものではない。前記の酸化剤のうち、特に好ましいのは、3価のFe系化合物類、または塩化第一銅系、過硫酸アルカリ塩類、過硫酸アンモニウム塩類酸類、キノン類を含む酸化剤である。
導電性高分子の重合体組成物の製造方法において必要に応じて共存させるドーパント能を有するアニオン(酸化剤の還元体アニオン以外のアニオン)は、前述の酸化剤から産生される酸化剤アニオン(酸化剤の還元体)を対イオンに持つ電解質アニオンまたは他の電解質アニオンを使用することができる。具体的には例えば、PF6 -、SbF6 -、AsF6 -の如き5B族元素のハロゲン化物アニオン、BF4 -の如き3B族元素のハロゲン化物アニオン、I-(I3 -)、Br-、Cl-の如きハロゲンアニオン、ClO4 -の如き過ハロゲン酸アニオン、AlCl4 -、FeCl4 -、SnCl5 -等の如きルイス酸アニオン、あるいはNO3 -、SO4 2-の如き無機酸アニオン、またはp−トルエンスルホン酸やナフタレンスルホン酸、炭素数1乃至5(C1〜5と略する)のアルキル置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸アニオン、CF3SO3 -,CH3SO3 -の如き有機スルホン酸アニオン、またはCH3COO-、C65COO-のごときカルボン酸アニオン等のプロトン酸アニオンを挙げることができる。
また、同じく、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリ−α−メチルスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電解質のアニオン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。しかしながら、好ましくは、高分子系及び低分子系の有機スルホン酸化合物あるいはポリリン酸化合物のアニオンが挙げられ、望ましくは芳香族系のスルホン酸化合物(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム等)がアニオン供出化合物として用いられる。
また、有機スルホン酸アニオンのうち、さらに有効なドーパントとしては、分子内に一つ以上のスルホアニオン基(−SO3 -)とキノン構造を有するスルホキノン化合物や、アントラセンスルホン酸アニオンが挙げられる。
前記スルホキノン化合物のスルホキノンアニオンの基本骨格として、p−ベンゾキノン、o−ベンゾキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン、2,6−ナフトキノン、9,10−アントラキノン、1,4−アントラキノン、1,2−アントラキノン、1,4−クリセンキノン、5,6−クリセンキノン、6,12−クリセンキノン、アセナフトキノン、アセナフテンキノン、カンホルキノン、2,3−ボルナンジオン、9,10−フェナントレンキノン、2,7−ピレンキノンが挙げられる。
対電極(対極)が固体の場合には、所望により用いられる外部引き出しリード(例えば、リードフレームなど)との電気的接触をよくするため、その上に導電体層を設けてもよい。
導電体層としては、例えば、導電ペーストの固化、メッキ、金属蒸着、耐熱性の導電樹脂フィルムなどにより形成することができる。導電ペーストとしては、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンペースト、ニッケルペーストなどが好ましいが、これらは、1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、混合してもよく、又は別々の層として重ねてもよい。導電ペースト適用した後、空気中に放置するか、又は加熱して固化せしめる。メッキとしては、ニッケルメッキ、銅メッキ、銀メッキ、アルミメッキなどがあげられる。また、蒸着金属としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀などがあげられる。
具体的には、例えば第二の電極上にカーボンペースト、銀ペーストを順次積層し、エポキシ樹脂のような材料で封止してコンデンサが構成される。このコンデンサは、ニオブ焼結体と一体に焼結成形された、または、後で溶接されたニオブ又は、タンタルリードを有していてもよい。
以上のような構成の本発明のコンデンサは、例えば、樹脂モールド、樹脂ケース、金属性の外装ケース、樹脂のディッピング、ラミネートフィルムによる外装により各種用途のコンデンサ製品とすることができる。
また、対電極が液体の場合には、前記両極と誘電体から構成されたコンデンサを、例えば、対電極と電気的に接続した缶に収納してコンデンサが形成される。この場合、ニオブ焼結体の電極側は、前記したニオブ又はタンタルリードを介して外部に導出すると同時に、絶縁性ゴムなどにより、缶との絶縁がはかられるように設計される。
以上、説明した本発明の実施態様にしたがって製造したニオブ粉を用いてコンデンサ用焼結体を作製し、該焼結体からコンデンサを製造することにより、漏れ電流値の小さい信頼性の良好なコンデンサを得ることができる。
また、本発明のコンデンサは、従来のタンタルコンデンサよりも容積の割に静電容量が大きく、より小型のコンデンサ製品を得ることができる。
このような特性を持つ本発明のコンデンサは、例えば、アナログ回路及びデジタル回路中で多用されるバイパスコンデンサ、カップリングコンデンサとしての用途や、従来のタンタルコンデンサの用途にも適用できる。
一般に、このようなコンデンサは電子回路中で多用されるので、本発明のコンデンサを用いれば、電子部品の配置や排熱の制約が緩和され、信頼性の高い電子回路を従来より狭い空間に収めることができる。
さらに、本発明のコンデンサを用いれば、従来より小型で信頼性の高い電子機器、例えば、コンピュータ、PCカード等のコンピュータ周辺機器、携帯電話などのモバイル機器、家電製品、車載機器、人工衛星、通信機器等を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、各例におけるニオブ粉のタッピング密度、安息角、粒子径及び細孔直径、並びにコンデンサの容量、漏れ電流値、容量出現率、耐湿値及びESR値は以下の方法により測定した。
(1)タッピング密度測定タッピング密度は、JIS(日本工業規格2000年版)K1201−1に規定される工業用炭酸ナトリウムの見掛比重測定法のうちタッピング装置による方法、及び測定機器に準じて測定した。
(2)安息角測定安息角は、JIS(日本工業規格2000年版)Z2504に規定される流れ性の測定機器と試料量を用い、水平面に対するホッパー下部の高さ6cmから、水平面にニオブ粉を落下させ、生じた円錐の頂点から水平面に対する斜面の水平面に対する角度を安息角とした。
(3)粒子径測定マイクロトラック社製(HRA 9320−X100)の装置を用い粒度分布をレーザー回折散乱法で測定した。その累積体積%が、50体積%に相当する粒径値(D50;μm)を平均粒子径とした。
(4)細孔直径測定Micro Meritics社製 Poresier 9320を用い細孔分布を水銀圧入法で測定した。なお、本発明では、圧入量の変化率から極大値を求め、極大値が示す細孔直径をピークトップとし、極大値をこのピークトップの属するピークの相対強度の大きさとした。
(5)コンデンサの容量測定室温において、作製したチップの端子間にヒューレットパッカード社製LCR測定器を接続し、120Hzでの容量測定値をチップ加工したコンデンサの容量とした。
(6)コンデンサの漏れ電流測定室温において、作製したチップの端子間に直流電圧6.3Vを1分間印加し続けた後に測定された電流値をチップに加工したコンデンサの漏れ電流値とした。
(7)コンデンサの容量出現率0.1%燐酸水溶液中で、80℃,20Vの条件で1000分間化成したときの焼結体を、30%硫酸中で測定した容量を100%として、コンデンサ形成後の容量との比で表現した。
(8)コンデンサの耐湿値作製したコンデンサを、60℃95%RHで500時間放置したときの容量が、初期値の110%未満および120%未満の個数で表現した。110%未満の個数が多いほど、耐湿値は良好と判断した。
(9)コンデンサのESR測定室温において、作製したチップの端子間にヒューレットパッカード社製LCR測定器を接続し、100kHz、1.5VDC、0.5Vrms.でのESR測定値をチップ加工したコンデンサのESRとした。
実施例1:ニッケル製坩堝中、80℃で充分に真空乾燥したフッ化ニオブ酸カリウム5000gに、フッ化ニオブ酸カリウムの10倍モル量のナトリウムを投入し、アルゴン雰囲気下1000℃で20時間還元反応を行った。反応後冷却させ、還元物を水洗した後に、95%硫酸、水で順次洗浄した後に真空乾燥した。さらにシリカアルミナボール入りのアルミナポットのボールミルを用いて40時間粉砕した後、粉砕物を50%硝酸と10%過酸化水素水の3:2(質量比)混合液中に浸漬撹拌した。その後、pHが7になるまで充分水洗して不純物を除去し、真空乾燥した。原料ニオブ粉の平均粒子径は1.2μmであった。
この原料ニオブ粉500gをニオブ製のポットに入れ、平均粒子径が1μmのポリメチルメタクリル酸ブチルエステル50g、およびトルエン1リットルを添加した。更にジルコニアボールを加えて、振とう混合機で1時間混合した。ジルコニアボールを除去した混合物をコニカルドライヤーに入れ、1×102Pa、80℃の条件で真空乾燥した。
続いて、このニオブ粉を1×10-2Pa、250〜400℃で12時間加熱し、ポリメチルメタクリル酸ブチルエステルを分解除去し、さらに、4×10-3Paの減圧下、1150℃で2時間焼結した。品温が30℃以下になるまで冷却した後、ニオブ焼結塊をロールグラニュレーターで解砕し、平均粒子径100μmのニオブ解砕粉を得た。
このニオブ解砕粉を、加圧下、窒素を流通させ、300℃で2時間、窒化処理を行い、約450gニオブ粉を得た。窒素含有量は、0.22%であった。
このニオブ粉のタッピング密度、平均粒子径、安息角、BET比表面積、細孔直径ピークトップなどの物理物性を表1に示す。
このようにして得られた、ニオブ粉(約0.1g)をタンタル素子自動成形機(株式会社 精研製 TAP−2R)ホッパーに入れ、0.3mmφのニオブ線と共に自動成形し、大きさがおよそ0.3cm×0.18cm×0.45cmとなるように成形体を作製した。この成形体の外観、質量のばらつきを表1に示す。
次にこれらの成形体を4×10-3Paの真空下、1250℃で30分間放置することにより焼結体を得た。この焼結体100個を用意し、20Vの電圧で、0.1%リン酸水溶液を用い、200分間電解化成して、表面に誘電体酸化皮膜を形成した。
続いて、60%硝酸マンガン水溶液に浸漬後220℃で30分間加熱することを繰り返して、誘電体酸化皮膜上に対電極層として二酸化マンガン層を形成した。引き続き、その上に、カーボン層、銀ペースト層を順次積層した。次にリードフレームを載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。このコンデンサの容量出現率、およびこのチップ型コンデンサの容量と漏れ電流値(以下「LC」と略す)の平均(n=100個)を表1に示す。尚、LC値は室温で6.3V、1分間印加した時の値である。
実施例2:ニオブインゴット1000gをSUS304製の反応容器に入れ、400℃で10時間水素を導入し続けた。冷却後、水素化されたニオブ塊を、ジルコニアボールを入れたSUS製のポットに入れ10時間粉砕した。次に、スパイクミルに、この水素化物を水で20体積%のスラリーにしたもの及びジルコニアボールを入れ、40℃以下で7時間湿式粉砕して水素化ニオブの粉砕スラリーを取得した。この原料水素化ニオブ粉の平均粒子径は、0.9μmであった。
このスラリー(スラリー濃度98%)をSUS製のポットに入れ、平均粒子径が1μmの酸化バリウム200gを添加した。更にジルコニアボールを加えて、振とう混合機で1時間混合した。ジルコニアボールを除去した混合物をニオブ製のバットに入れ、1×102Pa、50℃の条件で乾燥した。
続いて、得られた混合物を1×10-2Pa、400℃で4時間加熱し水素化ニオブを脱水素し、さらに、この混合物を4×10-3Paの減圧下、1100℃で2時間焼結した。品温が30℃以下になるまで冷却した後、酸化バリウム混合のニオブ焼結塊をロールグラニュレーターで解砕し、平均粒子径95μmの酸化バリウム混合のニオブ解砕粉を得た。
この酸化バリウム混合のニオブ解砕粉500gとイオン交換水1000gをポリテトラフルオロエチレン製の容器に入れ、15℃以下になるように冷却した。これとは別に、15℃以下に冷却した、60%硝酸600g、30%過酸化水素150g、イオン交換水750gを混合した水溶液を用意し、この水溶液500gを攪拌しながら、水温が20℃を越えないように酸化バリウム混合のニオブ解砕粉懸濁水溶液に滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌を継続し、30分静置した後、デカンテーションした。イオン交換水2000gを加え、30分攪拌の後、30分静置した後、デカンテーションした。この作業を5回繰り返し、さらに、ニオブ解砕粉をポリテトラフルオロエチレン製のカラム入れ、イオン交換水を流しながら4時間水洗浄を行った。この時の洗浄水の電気伝導度は、0.9μS/cmであった。
水洗浄を終了したニオブ解砕粉を、減圧下、50℃で乾燥し、更に加圧下、窒素を流通させ、300℃で3時間、窒化処理を行い、約350gのニオブ粉を得た。 窒素含有量は、0.28%であった。
このニオブ粉のタッピング密度、平均粒子径、安息角、BET比表面積、平均細孔直径などの物理物性を表1に示す。
このようにして得られた、ニオブ粉(約0.1g)をタンタル素子自動成形機(株式会社 精研製 TAP−2R)ホッパーに入れ、0.3mmφのニオブ線と共に自動成形し、大きさがおよそ0.3cm×0.18cm×0.45cmとなるように成形体を作製した。この成形体の外観、質量のばらつきを表1に示す。
次にこれらの成形体を4×10-3Paの減圧下、1250℃で30分間放置することにより焼結体を得た。この焼結体100個を用意し、20Vの電圧で、0.1%リン酸水溶液を用い、200分間電解化成して、表面に誘電体酸化皮膜を形成した。
続いて、誘電体酸化被膜の上に、過硫酸アンモニウム10%水溶液とアントラキノンスルホン酸0.5%水溶液の等量混合液を接触させた後、ピロール蒸気を触れさせる操作を少なくとも5回行うことによりポリピロールからなる対電極(対極)を形成した。
引き続き、その上に、カーボン層、銀ペースト層を順次積層した。次にリードフレームを載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。このコンデンサの容量出現率、およびこのチップ型コンデンサの容量とLC値の平均(n=100個)を表1に示す。尚、LC値は室温で6.3V、1分間印加した時の値である。
実施例3〜10:実施例1と同様な方法を用いポリメチルメタクリル酸ブチルエステルの平均粒子径、添加量を、また実施例2と同様な方法を用い酸化バリウムの平均粒子径、添加量を、それぞれ変化させ、ニオブ粉、その成形体、焼結体およびコンデンサを作製した。これらのニオブ粉の物理物性、成形体の外観、質量バラツキおよびコンデンサの容量、LCを表1に示す。
実施例11〜22:実施例11〜14及び16〜18は実施例1と同様な方法を用い、実施例15及び19〜22は実施例2と同様な方法を用い、それぞれポリメチルメタクリル酸ブチルエステルまたは酸化バリウムの替わりに表1に示した賦活剤を用い、ニオブ粉、成形体および焼結体を作製した。ニオブ粉の物理物性、成形体の外観、質量バラツキを表1に示す。
次にこれらの成形体を4×10-3Paの減圧下、1250℃で30分間放置することにより焼結体を得た。この焼結体100個を用意し、20Vの電圧で、0.1%リン酸水溶液を用い、200分間電解化成して、表面に誘電体酸化皮膜を形成した。
続いて、過硫酸アンモニウム25質量%を含む水溶液(溶液1)に浸漬した後引き上げ、80℃で30分間乾燥させ、次いで誘電体を形成した焼結体を、3,4−エチレンジオキシチオフェン18質量%を含むイソプロパノール溶液(溶液2)に浸漬した後引き上げ、60℃の雰囲気に10分放置することで酸化重合を行った。これを再び溶液1に浸漬し、さらに前記と同様に処理した。溶液1に浸漬してから酸化重合を行うまでの操作を8回繰り返した後、50℃の温水で10分洗浄を行い、100℃で30分乾燥を行うことにより、導電性のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)からなる対電極(対極)を形成した。
引き続き、その上に、カーボン層、銀ペースト層を順次積層した。次にリードフレームを載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。このコンデンサの容量出現率、およびこのチップ型コンデンサの容量とLC値の平均(n=100個)を表1に示す。尚、LC値は室温で6.3V、1分間印加した時の値である。
実施例23〜25:実施例2と同様な方法を用い、出発原料に、実施例23ではニオブースズ合金粉、実施例24では水素化ニオブ−レニウム合金粉、実施例25では水素化ニオブ−イットリウム−硼素合金粉をそれぞれ用いて、ニオブ粉、焼結体およびコンデンサを作製した。その物理物性および容量、LCを表1に示す。
比較例1〜3:ニッケル製坩堝中、80℃で充分に真空乾燥したフッ化ニオブ酸カリウム2000gにナトリウムをフッ化ニオブ酸カリウムの10倍モル量を投入し、アルゴン雰囲気下1000℃で20時間還元反応を行った。反応後冷却させ、還元物を水洗した後に、95%硫酸、水で順次洗浄した後に真空乾燥した。さらにシリカアルミナボール入りのアルミナポットのボールミルを用いて粉砕時間を変化させ粉砕した後、粉砕物を50%硝酸と10%過酸化水素水の3:2(質量比)混合液中に浸漬撹拌した。その後、pHが7になるまで充分水洗して不純物を除去し、真空乾燥した。作製したニオブ粉の平均粒子径は1.3〜10μmであった。
この様にして得られた、それぞれのニオブ粉50gをSUS304製の反応容器に入れ、300℃で2〜4時間窒素を導入し続けて、ニオブ窒化物を得た。
このニオブ粉のタッピング密度、平均粒子径、安息角、BET比表面積、平均細孔直径などの物理物性を表1に示す。
このようにして得られた、ニオブ粉(約0.1g)をタンタル素子自動成形機(株式会社 精研製 TAP−2R)ホッパーに入れ、0.3mmφのニオブ線と共に自動成形を試みた。結果を表1に示す。
比較例4〜9:平均粒子径が1μmの酸化バリウムの添加量を変化させて、実施例2と同様な方法で、タッピング密度が0.2〜0.4g/mlおよび2.6〜3.3g/mlのニオブ粉を得た。このものの物理物性を表1に示す。
このようにして得られた、ニオブ粉(約0.1g)をタンタル素子自動成形機(株式会社 精研製 TAP−2R)ホッパーに入れ、0.3mmφのニオブ線と共に自動成形し、大きさがおよそ0.3cm×0.18cm×0.45cmとなるように成形体を作製した。この成形体の外観、質量のばらつきを表1に示す。
次にこれらの成形体を4×10-3Paの真空下、1250℃で30分間放置することにより焼結体を得た。この焼結体100個を用意し、20Vの電圧で、0.1%リン酸水溶液を用い、200分間電解化成して、表面に誘電体酸化皮膜を形成した。
続いて、誘電体酸化被膜の上に、過硫酸アンモニウム10%水溶液とアントラキノンスルホン酸0.5%水溶液の等量混合液を接触させた後、ピロール蒸気を触れさせる操作を少なくとも5回行うことによりポリピロールからなる対電極(対極)を形成した。
引き続き、その上に、カーボン層、銀ペースト層を順次積層した。次にリードフレームを載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。このコンデンサの容量出現率、およびこのチップ型コンデンサの容量とLC値の平均(n=100個)を表1に示す。尚、LC値は室温で6.3V、1分間印加した時の値である。
実施例26〜31:ニオブインゴットの水素化物を粉砕し脱水素することにより平均粒径0.8μmの一次粒子を得た。この一次粒子を焼成、粉砕し、ニオブの造粒粉を得た。この造粒粉0.1gを、別途用意した、長さ10mm、太さ0.3mmのニオブ線と共に、金型(4.0mm×3.5mm×1.8mm)に入れ、タンタル素子自動成形機(株式会社 精研製 TAP−2R)で表2に示したように加重し、成形体を作製した。ついで1300℃で30分間焼結して目的とする焼結体を得た。成形機の加重を調整することによって、表2のように細孔直径分布を持つ焼結体を作成した。実施例26の焼結体の大きさ、比表面積、CV値は各々順に、24.7mm3、1.1m2/g、85000μFV/gであり、他の例の各数値も実施例26の±2%以内であった。
実施例32〜34:一次粒子を分級することにより、一次粒子の平均粒径を0.5μmとした以外は、実施例26〜28と同様にして焼結体を得た。実施例32の焼結体の大きさ、比表面積、CV値は各々順に、24.9mm3、1.5m2/g、125000μFV/gであり、他の例の各数値も実施例32の±1%以内であった。作製した焼結体の細孔直径分布を表2に記載した。
実施例35:造粒粉の代りに実施例4と同様にして得たニオブ粉を用い、実施例31と同様にして焼結体を得た。実施例35の焼結体の大きさ、比表面積、CV値は各々順に、24.8mm3、1.2m2/g、78000μFV/gであった。作製した焼結体の細孔直径分布を表2に記載した。
比較例10〜12:実施例26〜28で使用したニオブ造粒粉の代わりに、塩化ニオブをマグネシウムで還元して得たニオブ粉を1100℃で熱処理して得たニオブ粉とした以外は実施例26〜28と同様にして焼結体を作製した。作製した比較例10の焼結体の大きさ、比表面積,CV値は各々順に、24.3mm3、0.8m2/g、84000μFV/gであり、他の実施例の諸数値も比較例10の±2%以内であった。作製した焼結体の細孔直径分布を表2に記載した。
実施例36:実施例21及び実施例26〜35で焼結体を作製した方法で、同様の焼結体を各々で60個作製し、各焼結体を0.1%燐酸水溶液中で80℃,1000分,20Vで化成し、焼結体表面に誘電体酸化皮膜層を形成した。次にこの化成済み焼結体を各々30個づつに分け、各30個組の焼結体に表3に示したA,Bの2種類の陰極剤を含浸させた後、カーボンペースト、銀ペーストを順に積層し、エポキシ樹脂で封口してチップ型コンデンサを作製した。作製したコンデンサの容量出現率および耐湿値を表4に示した。
比較例13:比較例9〜12で焼結体を作製した方法で、同様の焼結体を各々で60個作製し、各焼結体を0.1%燐酸水溶液中で80℃,1000分,20Vで化成し、焼結体表面に誘電体酸化皮膜層を形成した。次にこの化成済み焼結体を各々30個づつに分け、各30個組の焼結体に表3に示したAの陰極剤を含浸させた後、カーボンペースト、銀ペーストを順に積層し、エポキシ樹脂で封口してチップ型コンデンサを作製した。作製したコンデンサの容量出現率および耐湿値を表4に示した。
実施例37:実施例2と同様な方法で、原料水素化ニオブ粉の粉砕スラリーを得た。この水素化ニオブ粉の平均粒径は、0.6μmであった。このスラリーを遠心沈降させた後、デカンテーションして上澄みを除去した。無水アセトンをスラリー濃度40質量%になるように添加し良く懸濁させたのち、遠心沈降させ、上澄みを除去した。この操作を3回繰り返した。無水アセトンをスラリー濃度が60質量%になるように添加し良く懸濁した。このスラリーをSUS製のポットに入れ、平均粒径が1.4μmと23μmの酸化バリウムをニオブに対してそれぞれ15質量%および10質量%添加した。更にジルコニアボールを加えて、振とう混合機で1時間混合した。ジルコニアボールを除去した混合物をニオブ製のバットに入れ、1×102Pa、50℃の条件で乾燥した。実施例2と同様な操作で酸化バリウム混合のニオブ焼結塊、およびニオブ解砕粉を得た。
15℃以下に冷却したイオン交換水1000gに、この酸化バリウム混合のニオブ解砕粉500gを撹拌しながら、水温が20℃を超えないように添加した。添加終了後、更に1時間撹拌を継続し、30分静置した後デカンテーションした。イオン交換水2000gを加え、30分撹拌の後、30分静置し、デカンテーションした。この作業を5回繰り返し、さらに、ニオブ解砕粉をポリテトラフルオロエチレン製のカラムに入れイオン交換水を流しながら4時間水洗浄をおこなった。この時の洗浄水の電気伝導度は、0.5μS/cmであった。
水洗浄を終了したニオブ解砕粉を、減圧下、50℃で乾燥し、更に加圧下、窒素を流通させ、300℃で3時間、窒化処理を行い、約350gのニオブ粉を得た。 窒素含有量は、0.30%であった。このニオブ粉のタッピング密度、平均粒子径、安息角、BET比表面積、平均細孔直径などの物理物性を表5に示す。実施例2と同様な操作で成形体を作成した。この成形体の外観、質量のばらつきを表5に示す。
更に、実施例2と同様な操作で誘電皮膜を形成させた後、つい電極を形成し、カーボン層、銀ペースト層を積層させた。次にリードフレームを載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。このコンデンサの容量出現率、およびこのチップ型コンデンサの容量とLC値の平均(n=100個)を表5に示す。
実施例38〜44:実施例37と同様な方法で、添加する賦活剤の種類、混合する2種類の平均粒径、および添加量を変化させて賦活剤混合のニオブ解砕粉を得た。賦活剤を溶出する溶媒を、水、酸、アルカリ、イオン交換樹脂を含む溶液、硝酸アンモニウム溶液、エチレンジアミン4酢酸を含む溶液の中から選び、実施例37と同様な方法で賦活剤を溶出して、ニオブ粉を得た。その物理物性を表5に示す。更に実施例37と同様な方法で、成形体、焼結体を作成して、チップ型コンデンサを作成した。成形体の外観、質量のばらつき、コンデンサの容量とLCの平均を表5に示す。
実施例45〜47:実施例37と同様な方法を用い、出発原料に実施例45はニオブ−ネオジム合金粉、実施例46はニオブ−タングステン合金粉、実施例47はニオブ−タンタル合金粉を用い、それぞれニオブ合金粉を得た。その物理物性を表5に示す。更に実施例37と同様な方法で、成形体、焼結体を作成して、チップ型コンデンサを作成した。成形体の外観、質量のばらつき、コンデンサの容量とLCの平均を表5に示す。
実施例48〜58:実施例37〜47で作成したニオブ粉を用いて実施例2と同様な方法でニオブ焼結体を作成した。その焼結体の細孔直径分布を表6に示す。
実施例59〜69:実施例48〜58で作作製したニオブ焼結体を各々100個作製し、各焼結体を0.1%燐酸水溶液中で80℃,1000分,20Vで化成し、焼結体表面に誘電体酸化皮膜層を形成した。次にこの化成済み焼結体を表3に示したAの陰極剤を含浸させた後、カーボンペースト、銀ペーストを順に積層し、エポキシ樹脂で封口してチップ型コンデンサを作製した。作製したコンデンサの容量出現率およびESRを表7に示す。
比較例14〜17:比較例9〜12で作製したニオブ焼結体を各々100個作製し、各焼結体を0.1%燐酸水溶液中で80℃,1000分,20Vで化成し、焼結体表面に誘電体酸化皮膜層を形成した。次にこの化成済み焼結体を表3に示したAの陰極剤を含浸させた後、カーボンペースト、銀ペーストを順に積層し、エポキシ樹脂で封口してチップ型コンデンサを作製した。作製したコンデンサの容量出現率およびESRを表7に示す。
Figure 2007123925
Figure 2007123925
Figure 2007123925
Figure 2007123925
Figure 2007123925
Figure 2007123925
Figure 2007123925
本発明のニオブ粉の様子を模式的に示す断面図である。 本発明のニオブ粉の細孔分布を水銀圧入法で測定した場合の概略図である。
符号の説明
1 細孔A
2 細孔B

Claims (21)

  1. コンデンサ電極用ニオブ焼結体において、ニオブ焼結体の細孔分布が、複数の細孔直径ピークトップを有することを特徴とするニオブ焼結体。
  2. 細孔分布が、2つの細孔直径ピークトップよりなる請求項1に記載のニオブ焼結体。
  3. 複数の細孔直径ピークトップの内、相対強度が最も大きい2つのピークのピークトップが、それぞれ0.2〜0.7μm及び0.7〜3μmの範囲にある請求項1または2に記載のニオブ焼結体。
  4. 複数の細孔直径ピークトップの内、相対強度が最も大きいピークのピークトップが、相対強度が次に大きいピークのピークトップより大径側にある請求項1乃至3のいずれか1項に記載のニオブ焼結体。
  5. 焼結体が、細孔空隙容積を含めて10mm3以上の体積を持つ請求項1乃至4に記載のニオブ焼結体。
  6. 焼結体が、0.2〜7m2/gの比表面積を持つ請求項1乃至5に記載のニオブ焼結体。
  7. 焼結体の一部が、窒化している請求項1乃至6に記載のニオブ焼結体。
  8. 焼結体が、1300℃で焼結した場合40000〜200000μFV/gのCV値を持つ焼結体を与えるニオブ成形体より得られた焼結体である請求項2乃至7のいずれか1項に記載のニオブ焼結体。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のニオブ焼結体を一方の電極とし、対電極との間に介在した誘電体とから構成されたコンデンサ。
  10. 誘電体の主成分が酸化ニオブである請求項9に記載のコンデンサ。
  11. 対電極が、電解液、有機半導体及び無機半導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料である請求項9に記載のコンデンサ。
  12. 対電極が、有機半導体であって、該有機半導体が、ベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体及び導電性高分子からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料である請求項11に記載のコンデンサ。
  13. 導電性高分子が、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン及びこれらの置換誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項12に記載のコンデンサ。
  14. 導電性高分子が、下記一般式(1)又は一般式(2)
    Figure 2007123925
    (式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1乃至10の直鎖上もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、アルコキシ基あるいはアルキルエステル基、またはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わす。R1とR2及びR3とR4の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。前記環状結合鎖には、カルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意の位置に含んでもよい。Xは酸素、硫黄又は窒素原子を表し、R5はXが窒素原子の時のみ存在して、独立して水素又は炭素数1乃至10の直鎖上もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基を表す。)で示される繰り返し単位を含む重合体に、ドーパントをドープした導電性高分子である請求項12に記載のコンデンサ。
  15. 導電性高分子が、下記一般式(3)
    Figure 2007123925
    (式中、R6及びR7は、各々独立して水素原子、炭素数1乃至6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または該アルキル基が互いに任意の位置で結合して、2つの酸素元素を含む少なくとも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置換基を表わす。また、前記環状構造には置換されていてもよいビニレン結合を有するもの、置換されていてもよいフェニレン構造のものが含まれる。)で示される繰り返し単位を含む導電性高分子である請求項14に記載のコンデンサ。
  16. 導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)にドーパントをドープした導電性高分子である請求項12に記載のコンデンサ。
  17. 対電極が、層状構造を少なくとも一部に有する材料からなる請求項9に記載のコンデンサ。
  18. 対電極が、有機スルホン酸アニオンをドーパントとして含んだ材料である請求項9に記載のコンデンサ。
  19. ニオブ焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた対電極を含むコンデンサの製造方法であって、ニオブ焼結体が、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のニオブ焼結体であることを特徴とするコンデンサの製造方法。
  20. 請求項9乃至18のいずれか1項に記載のコンデンサを使用した電子回路。
  21. 請求項9乃至18のいずれか1項に記載のコンデンサを使用した電子機器。
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