JP2007120659A - 回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法 - Google Patents

回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大きな推力を効率良く発生でき、加工コストを低減する回転直動変換機構の噛合い要素を製作すること。
【解決手段】外周面にねじ部を有するロッド1と、ロッドの外周側に設けられ、ロッドに対して相対回転可能かつ相対軸移動可能に設けられたホルダ部材と、ホルダ部材に回転可能に支持され、外周面にねじ部と噛合う環状溝山部を有しかつロッドの中心軸に対してねじ部のリード角以上の軸角でねじり配置されたローラ2とを備える回転直動変換機構におけるロッドとローラからなる噛合い要素の製作方法において、ロッド軸1dおよびローラ軸2dの共通垂線とロッド軸とに平行であって、かつ環状溝側面上の一つの噛合い箇所を通る噛合い面が全ての噛合い箇所を通る噛合い設定平面101,102を形成するように、環状溝山部およびねじ部を削り加工、塑性加工、鋳造、粉末冶金成形、または射出成形により製作する。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転運動と直線運動の間で運動方向を変換することにより回転トルクと推力を変換する回転直動変換機構を構成する要素のうち、最も重要な噛合い要素であるねじ部を設けるロッドと、環状溝山部を設けるローラの製作方法に関する。
回転運動と直線運動の間で運動方向を変換する回転直動変換機構として、ボールねじ方式の回転直動変換機構が従来から提案されている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に示す構成は、ロッドにねじを切り、このねじにナットを噛み合わせたもので、ナットに回転を与えてロッドを直動させるようにしたものである。このとき、ロッドのねじとナットのねじの間に大きな荷重が働くので、ここに多数のボールを配しこれらを循環させて転がり接触とし、摩擦の低減を図っている。
特開平7−165089号公報
しかし、上記特許文献1に示すような従来技術は、多数のボールを循環させる手段が不可欠であり、このボール循環が滑らかでないと、ボール部とナット間及びボールとロッド間ですべり摩擦が発生し、ボール部の摩擦係数が増大して伝達効率が低下する。また、一旦すべりが発生し出すと、ボール転動面が荒れはじめ、それが一層のすべりを誘発し、破局的なボール摩擦係数の急上昇を招き、短時間で機構の破綻にまで到る恐れがある。このため、この機構では、ボールの循環状態を常に良好に保つことが至上命題であり、ボール戻り経路の最適設計と共に、ボールとナットねじ、ロッドねじの形状寸法の高精度化が最重要項目となる。特に、ナット側は、めねじであるため、内面の切削や研削等が必要となり、製作コストが高くなる。さらに、ナット側の上記ボール戻り経路の設置には、一品毎の微調整が必要となるため、製作コストはさらに上昇する。
このような製作コストの高いボールねじ機構を、ラックタイプの電動パワーステアリング装置のようにがたが許されない用途に採用する場合、その加工には加工技術の上で限界に近い高精度が要求され、量産的には選択嵌合等を採用せざるを得なくなるため、製作コストの極端な上昇を招く。このように、従来の回転直動変換機構であるボールねじ機構は、噛合い要素の製作に多大の困難が伴うため、製作コストの上昇という課題があった。
本発明の目的は、ボールねじ機構に替わる回転直動変換機構において、ボールねじ機構以上の高効率を実現した上で製作コストを低減する噛合い要素の形状とその製作方法を提案することにある。
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
外周面にねじ山とねじ溝からなるねじ部を有するロッドと、前記ロッドの外周側に設けられ、前記ロッドに対して相対回転可能かつ相対軸移動可能に設けられたホルダ部材と、前記ホルダ部材に回転可能に支持され、外周面に前記ねじ部と噛合う環状溝と環状山からなる環状溝山部を有しかつロッド軸に対して前記ねじ部のリード角以上の軸角でねじり配置されたローラと、を備える回転直動変換機構における前記ロッドと前記ローラからなる噛合い要素の製作方法において、前記ロッド軸および前記ローラ軸の共通垂線と前記ロッド軸とに平行であって、かつ前記環状溝側面上の一つの噛合い箇所を通る噛合い面が全ての噛合い箇所を通る噛合い設定平面を形成するように、前記環状溝山部および前記ねじ部を削り加工、塑性加工、鋳造、粉末冶金成形、または射出成形により製作すること。
また、外周面にねじ山とねじ溝からなるねじ部を有するロッドと、前記ロッドの外周側に設けられ、前記ロッドに対して相対回転可能かつ相対軸移動可能に設けられたホルダ部材と、前記ホルダ部材に回転可能に支持され、外周面に前記ねじ部と噛合う環状溝と環状山からなる環状溝山部を有しかつロッド軸に対して前記ねじ部のリード角以上の軸角でねじり配置されたローラと、を備える回転直動変換機構における前記ロッドと前記ローラからなる噛合い要素の製作方法において、前記ロッド軸および前記ローラ軸の共通垂線と前記ロッド軸とに平行であって、かつ前記環状溝側面とねじ山側面とが噛合う噛合い設定平面を想定し、前記想定した噛合い設定平面上のロッド溝断面線のいずれか一箇所に削り工具を配置し、ロッド素材を回転させるとともに前記削り工具を前記ロッド素材の軸方向に送って前記ねじ部を製作すること。
また、外周面にねじ山とねじ溝からなるねじ部を有するロッドと、前記ロッドの外周側に設けられ、前記ロッドに対して相対回転可能かつ相対軸移動可能に設けられたホルダ部材と、前記ホルダ部材に回転可能に支持され、外周面に前記ねじ部と噛合う環状溝と環状山からなる環状溝山部を有しかつロッド軸に対して前記ねじ部のリード角以上の軸角でねじり配置されたローラと、を備える回転直動変換機構における前記ロッドと前記ローラからなる噛合い要素の製作方法において、前記ロッド軸および前記ローラ軸の共通垂線と前記ロッド軸とに平行であって、かつ前記環状溝側面とねじ山側面とが噛合う噛合い設定平面を想定し、前記想定した噛合い設定平面上のローラ溝断面線の全ての箇所に削り工具を配置し、ローラ素材を回転させて前記環状溝を製作すること。
また、回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法において、前記削り工具は、同一の加工刃形状を有し、前記ローラ素材の軸と前記軸角だけ相違する方向に等間隔に配置し、前記ローラ素材の軸を含む面からの高さを同一にして配置すること。
本発明によれば、大きな推力が発生可能で機構効率も高い回転直動変換機構の最重要要素であるローラとロッドの噛合い要素を低コストで量産することができる。
本発明の実施形態に係る回転直動変換機構の製作方法について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。まず最初に、本実施形態に係る回転直動変換機構の構造並びに組立について、図35〜図40用いて説明する。ここで、図35は本実施形態に係る回転直動変換機構において噛合い要素であるローラを一本とした場合の断面図である。図36は本実施形態に関する噛合い要素であるローラの側面図である。図37は本実施形態に関する噛合い要素であるロッドの側面図である。図38〜図40は実施形態に関する噛合い要素であるローラを複数本とした複数の構成例を示す図である。
噛合い要素のローラ2は、図36に示すとおり、環状溝山部(以下、ローラ溝山部2xと称する。また、その溝である環状溝をローラ溝2b、その山である環状山をローラ山2tと称する)と、その右側の右ローラ端部2c1と、反対側の左ローラ端部2c2と、からなる。一方、他方の噛合い要素であるロッド1は、図37からわかるように、ねじ部(以下、ロッドねじ部1xと称する。さらに、そのねじ山をロッド山1a、そのねじ溝をロッド溝1pと称する)からなる。右ローラ端部2c1には、ラジアル荷重とともに両方向のスラスト荷重を受けるローラアンギュラ軸受2eをアンギュラロックナット2jで装着する。
そして、ローラアンギュラ軸受2eを、その中央軌道盤外周に設けたねじ(以下、ローラ取り付けねじ2mと称する)で右ホルダ端板3cに配置し、ローラロック部材2nで固定する。一方、左ローラ端部2c2は、左ホルダ端板3bのローラ挿入穴へ通された後、左ローララジアル軸受2f2を嵌合し、ラジアルロックナット2kでローラに固定される。このようにして、ローラ2の両端を軸支したホルダ端板3b、3cを、ホルダ連結部3dで連結し、ホルダ部材3を形成する。ここで、右ホルダ端板3cの右側には、パイプ部3xが延在し、そこにモータ5の構成要素であるロータ5aが、圧入又は焼き嵌めによりあらかじめ固定されている。
本実施形態のホルダ連結部3dは、左ホルダ端板3bと一体化しており、剛性が高いという効果がある。また、ホルダ連結部3dと右ホルダ端板3cはホルダ連結ねじ3gで締結する。これにより、ローラの中心軸(以下、ローラ軸と称する)2dが、ロッドの中心軸(以下、ロッド軸と称する)1dに対してロッド山1aのリード角程度の軸角をもってねじり配置される。ここで、ローラの軸角の詳細値は、ロッド山1aの面とそれに噛合うローラ溝2bの面の設定に依存する。また、このサブアセンブリは、ロッド軸1dを中心に回転するため、その軸に対してバランスをとった方がよい。基本的には、ホルダ連結部材3dで二面バランスを取るが、取りきれない場合は、両ホルダ端板3b、3cでバランス取りを行う。
以上のようにして、ローラ2とホルダ部材3のサブアセンブリを製作する。ここで、ホルダ端板に対するローラ2の角度設定は基本的にホルダ連結部材をホルダ端板に締結する時点で行うが、ローラ2をホルダ端板に装着する時点である程度の角度設定を行うことが好ましい。本実施形態では、その時点でのローラ角度設定は、取り付けねじ2mとそれに噛合うホルダ側のねじの軸方向精度に主として依存するため、その角度設定精度が低い。よって、その精度低下を解決するため、取り付けねじ2mの外径部またはそれと同軸となる別の箇所に、隙間ばめとなるはめあい部を設置すると良い。
また、一般に噛合い要素であるローラは、運転時に噛合い箇所でのすべりによって発熱するために温度上昇し、組立て時よりも伸びる。一方、ホルダ連結部材3dはモータ5の発熱が熱伝導によって伝わる以外、主たる温度上昇要因は無い。よって、運転時にローラだけ伸びる傾向が生じるが、そのローラの伸びは、ローララジアル軸受2f2を左ホルダ端板3bに固定しない構成としたため、ローララジアル軸受の外輪が軸方向にずれることにより吸収され、信頼性を保持できるという効果がある。これは、ローラを温度膨張係数が大きい樹脂とし、ホルダ連結部材3dを金属とした場合、特に有用である。
次に、このサブアセンブリにロッド1をねじ込む。このとき、ロッド山1aとローラ溝2bが噛合う。そして、左ホルダ端板3bに左ホルダラジアル軸受3f2と左ホルダスラスト軸受3e2を装着した上で、それらを、左ケーシング6へ挿入する。このとき、左板ばね3pで左ホルダラジアル軸受3f2に予圧をかける。その後、予圧をかけるための右板ばね3qを装着した上で右ホルダラジアル軸受3f1を右ホルダ端板3cと左ケーシング6間に挿入する。さらに、右ホルダスラスト軸受3e1を軸受押さえ4のかしめにより左ケーシング6に装着する。このとき、ロッド1の回転を止めた状態で、ホルダ部材3が最もスムーズに回転する位置で軸受押さえ4を固定する。これにより、ローラとホルダ部材のサブアセンブリは、左側ケーシング6に対して、回転可能な状態で固定される。
ここで、ホルダ部材を回転支持する軸受は、ラジアル軸受とスラスト軸受の役割を有するアンギュラー玉軸受またはテーパローラ軸受としてもよい。また、両ホルダ軸受は各々複列アンギュラー玉軸受でも勿論良い。また、多少すべりによる損失が生じるが、傾斜しない普通のニードル軸受でもよい。さらに、調芯性を持った軸受にしてもよく、この場合、軸受取り付け精度を低減できるという効果が生じる。また、高さと直径が概略同一のころを転動体とし、転動面を回転軸に対し45度の角度として、ころの向きを交互に変えて配置する、スライダーころ軸受としてもよい。この軸受を用いると、二方向のスラスト荷重とラジアル荷重を一列の転動体で受けることが可能となるため極めて単純な形状となり、さらに線接触であるために小型化が可能になる。
次に、ステータ5bが圧入又は焼き嵌めされている右ケーシング7をこれまでのアセンブリに右側から被せてステータ5bをロータ5aに対向させてモータ5を形成し、両ケーシング6、7をねじ止め等により接続して、回転直動変換機構を組立てる。
この回転直動変換機構のホルダ3をモータ5で回転させることにより、噛合い要素であるローラ2がロッド1の周囲を回転フリーに支持された状態で旋回することにより、噛合い箇所のすべりを最小にするようなローラ自転とともに、ロッド1の軸方向への移動が生じる。つまり、回転をホルダ3に与えることにより、ロッド1から直動を取り出すことが可能な、回転直動変換機構となる。ここで、ロッド1の軸振れを回避するために、ケーシング6,7の端部の内径はロッド1の外径よりもわずかに大きい寸法とし、その面仕上げはロッド1がこすれても損傷しない程度のレベルに加工するとよい。また、同一の箇所に、ロッド1の回転を防止して直動のみ許すスプライン継ぎ手のような直動対偶を設けてローラ拘束すれば、直動を要求する対象に回転トルクを与えることが無く、使い勝手が向上するという効果がある。
また、図38は、ローラを、ロッドの周囲に複数本配する実施形態のローラ配置図である。一般的に、ローラを長くすると噛合い箇所で発生する平均すべり率が増大するため、摺動損失が増大し、効率低下の主要因となる。これに対し、このように各ローラを長くすることなく本数を増大すると、噛合い箇所でのすべり率を増大させることなく、大容量化が可能となるため、効率を高く維持したままで大容量化が可能になるという効果がある。この際、基本的に、ロッド周囲に等角度間隔に複数のローラを配置する場合、各ローラのローラ環状溝は軸方向設置位置が異なるため、設置本数の種類のローラを製作する必要がある。ところが、ロッドねじの条数の倍数にあたる本数を設置した場合には、そのときはその倍数だけの種類数で済むため、製作コストが低減するという効果がある。
図39は、図38の例と比較して、高効率化のために各ローラを半分の長さとしたが、扱いうる荷重を同程度とするために軸方向に2列並べてローラ本数を倍とした実施形態である。さらにローラ本数の増大が可能となり、大容量化が可能になるという効果がある。
図40は、回転入力をロッド側に与え、直動出力をホルダ側とした実施形態であり、その他で直動対偶をロッドではなくホルダに設けてローラ拘束する以外は、前記した実施形態と同様である。モータが市販のものを用いることが可能となり、コスト低減の効果がある。また、回転部が細いロッドとなるため、ロッドが極端に長くならない限り慣性モーメントが小さくなり、制御性が向上する。さらに、大径のホルダが回転しないため、装置の外形状を円筒形にする必要がなく、小型化を図ることができる。
次に、本発明の実施形態に係る回転直動変換機構における噛合い要素であるロッドとラックの噛み合い態様について、図41〜図43を参照しながら以下説明する。図41はロッドの右側ネジフランク(ネジ山の側面)上のねじ螺旋を投影面に投影した平面曲線(サインカーブ)を示す図である。本実施形態では、ローラがロッド軸に対してねじ部のリード角以上の軸角でねじり配置された回転直動変換機構を対象とするものである。そして、本実施形態との比較対象として、ローラの軸角をねじリード角と同一とする場合は、噛み合い設定箇所での接触は実現できるがその周囲で干渉(ローラの環状面がロッドねじ山に食い込む)が発生してしまうのに対して、ローラの軸角をねじリード角よりも大きくした本実施形態の場合では、噛み合い設定箇所での接触の実現とともにその周囲での干渉を回避できるのである。
すなわち、本実施形態では、ロッドねじフランクとローラ溝側面の環状面が接するように設定した噛み合い箇所付近において、両者の干渉を回避できる。この結果、局部的に過大な応力を発生することがないので、広い範囲で材料の限界に近い大きな応力を受けることが可能となり、高い信頼性を確保しながら大きな推力を発生できるという効果がある。
さらに説明すると、ローラの軸角をねじリード角とする従来の構成例とローラの軸角をねじリード角より大とする本実施形態とを対比すると、噛み合い設定箇所が、従来例ではロッド軸1dの投影線とロッドねじ螺旋投影線(サインカーブ)との交点(図41に示すa,b,…)であり、本実施形態ではロッド軸1dから隔たった点(図41に示す黒丸)である。このようになる理由であるが、ロッドの真上からローラを設置した場合、従来例では、ローラの軸角がねじのリード角と等しいのであるから、ローラの環状溝(ローラ軸線と直交する溝の側面部)を投影した直線とねじフランクを投影したサインカーブとの噛み合い箇所は、ロッド軸の投影線上となる。これに対して、本実施形態では、ローラの軸角をリード角より大きくしてロッドの真上からローラを設置するのであるから、ローラの環状溝側面部の投影直線がロッドねじの投影サインカーブと接する接点(噛み合い箇所)は基準となる1d(ねじ軸の投影線)からずれるのは当然であり、その接点が基準線1dよりも上方となるのである(ローラの軸角をねじリード角より大としているので)。
また、ローラは、ロッドねじ山の両側面である両フランクと各々噛み合う環状面二面を両側面とする環状溝を設けているので、噛み合いがロッドねじの左側フランクで生じる場合も同様に動作する。噛み合い箇所がロッドねじの左側フランクで起こる場合と右側フランクで起こる場合でずれることとなる。このような噛み合い状況を纏めたものを図42に示す。図42から明らかなように、ローラの軸角をロッドねじのリード角より大きくすると、噛み合い箇所の分布が右側フランク時と左側フランジ時で各々直線にのっていることが分かる。図42では噛み合い線と称している。
また、図43は本実施形態に係る回転直動変換機構の噛合い要素であるロッドの上面拡大図である。本実施形態では、ローラのロッド軸に対するねじり配置をロッドのリード角に等しくするのではなくて、リード角よりも大きい角度をもってローラをねじり配置しようとするものであり、この結果、噛合い設定平面が左右の噛合いで異なる面A1,A2となる。図43において、黒丸で示したローラとの噛み合い位置は、ロッドのねじ山の右側と左側とでロッド中心軸1dからずれた位置である。換言すると、右フランク面1a1が見え始める位置が中心軸1dから右側にずれており、同様に、左フランク面1a2が見え始める位置が1dから左側にずれている。結論的に云えば、ロッドのフランク(側面)をロッド中心軸1dを出発点として加工すれば、図43に示すβ1とβ2との差異を形成することができないものであり、したがって、ローラをロッドのリード角以上で配置するためには、ロッドのフランク(側面)の左右を異なる面(図示のA1とA2)加工しなければならないと云うことになる。
以上説明したように、上記の回転直動変換機構におけるローラとロッドの噛合い要素は、回転と直動の運動変換を担う最も主要な要素であり、その噛合い状態によって、回転直動変換機構の性能が大きく左右される。この噛合い状態は、それら要素同士の組付け精度とともに各要素の形状精度により決定される。このため、これらの噛合い要素を精度良く、低コストで製作することが回転直動変換機構の高性能化にとって非常に重要となる。
本発明の実施形態は、この噛合い要素(ローラとロッド)の製作方法に関するものであり、以下、本実施形態に係る回転直動機構における噛合い要素の製作方法を記載する。今後、特に断らない限り、噛合い要素のうちの各噛合い部分であるローラ溝山部2x、とロッドねじ部1xの加工方法に限定して説明を行う。
噛合い要素の製作方法は、噛合い箇所を含むその近傍の形状に依存するため、まず、その形状を、図1乃至図5に基づいて説明する。図1は噛合い状態にあるローラとロッドの斜視図であり、図2は図1を左噛合い設定平面で切断した断面斜視図、図3はその断面に垂直な方向から見た矢視図である。また、図4はもう一つの噛合い設定平面である右側噛み合い設定平面による図1の断面斜視図であり、図5はその断面に垂直な方向から見た矢視図である。
噛合いに関する説明をし易くするため、今後、ローラ2にはローラ溝2bが設けられ、ロッド1にはロッド山1aが設けられた構成とし、両者の噛合いは、ローラ溝とロッド山の噛合いとする。図1中の左噛合い設定平面101の左とは、図1の前面側から見た場合、ローラ溝2bの左側面2b1とロッド山1aの左側面1a1が噛合う全ての箇所を通る平面であることから付けられた名称であり、もう一方の右噛合い設定平面102の名称も同様の見方で付けることとする。これらの噛合い設定平面101,102は、両者とも、ロッド軸1dとローラ軸2dの共通垂線103とロッド軸1dに平行な平面となり、互いに平行となっている。さらに、両面から等間隔にある中央平面100は丁度ロッド軸1dを含む位置に配置される。
そして、噛合い設定平面はローラ2に対しては斜めに横切ることになる。これらの噛合い設定平面で切断した断面が図2と図4で、これらの断面をその垂直方向からみたものが図3と図5である。全ての噛合い箇所が図2と図4に示す断面上に位置することから、ローラ溝とロッド山は、それらの断面で各々の断面線がローラ溝の断面線毎に接触する関係となっている。これにより、ローラ溝とロッド山の形状を、この噛合い設定平面上の互いに接触する二次元形状で定義することが可能となる。これらの断面線から実際の三次元の噛合い面(ローラの場合はローラ溝側面である環状溝側面で、ロッドの場合はロッド山側面であるねじ山側面)は、ローラの場合にはローラ軸2dを中心軸とする断面線の回転で創生(製作)し、ロッドの場合にはロッド軸1dを中心軸とした螺旋に沿う断面線のスイープにより創生(製作)する。以上のようにして、噛合い箇所を含むその近傍の形状を定義する。
次に、噛合い要素(ロッドとローラ)の製作方法について説明する。製作方法には、上記した噛合い箇所付近の形状の定義に沿った切削や研削の削り加工と、その最終形状の型を用いる塑性加工や密閉性の高い型を用いる型充填などの方法が考えられる。このうちで上記定義に沿った一般的な削り加工法を以下に説明する。
まず、ローラの場合の製作方法の概略を述べる。回転体状のローラ素材を、その素材軸中心に回転させながら、その素材軸をローラ軸とみなした時の噛合い設定平面上のローラ溝断面線(左噛合い設定平面101上のローラ溝断面線を左ローラ溝断面線101b、右噛合い設定平面102上のローラ溝断面線を右ローラ溝断面線102bとする)の位置付近に削り工具を配置して加工する方法である(図1において、ローラ溝断面線101b,102bの近傍に図示された太線形状が削り工具を表す)。噛合い設定平面(101,102)上に削り工具による加工部を配置すれば、加工部が噛合い設定平面に近づくほど、削り工具の形状はローラ溝断面線に近づくため、工具の形状とその配置位置で噛合い箇所の形状と位置を管理することが可能となり、噛合い箇所の形状及び設置位置の精度が向上するという効果がある。
次に、ロッドの場合の製作方法の概要を述べる。回転体状のロッド素材を、その素材軸をロッド軸とみなした時の噛合い設定平面上のロッド溝断面線(左噛合い設定平面101上のロッド溝断面線を左ロッド溝断面線101p、右噛合い設定平面102上のロッド溝断面線を右ロッド溝断面線102pとする)のどれか一箇所に削り工具を配置し、素材軸を中心にこの素材を回転させながら、それに同期させて削り工具を素材軸方向に送って加工する方法である。ローラの製作方法と同様に、噛合い設定平面上に削り工具による加工部を配置すれば、加工部が噛合い設定平面に近づくほど、噛合い箇所の形状及び設置位置の精度が向上するという効果がある。
上述した噛合い要素の概略的な製作方法のより具体的な方法について、以下詳細に説明する。ここで、三次元的な形状を図示するために、説明図として基本的に斜視図を用いる。さらに、形状の理解を助けるために、ローラ溝やロッド溝が要素長手方向の端面を始点とするような図を適宜用いる。また、設定した噛合い箇所以外での干渉を抑制または回避するために、ローラ溝側面及びロッド山側面とも張出した形状(例えば、図33に示す三角形形状)とし、具体的には角状の張出し形状とする。本来ならば、角(かど)が落ちて有限な曲率をもった張出し形状のほうが、大容量化や信頼性の面で有利であり、実際の製作では採用の可能性は高いが、ここでは、本発明の実施形態の説明を容易にする狙いから、あえて張出し形状を角状に特定している。このため、以下に記載する実施形態において、角状の張出し形状を正曲率の凸曲面形状と読み替えたものも本実施形態とする。また、ローラとロッドのいずれか一方に張り出し形状を設けるものも本実施形態とする。
まず、ロッド1の噛合い箇所の形状の定義に沿った一般的な製作方法に関する第1の実施形態を、図6乃至図8に基づいて説明する。図6は粗加工後のロッド素材の斜視図、図7はロッド山右側面加工後のロッド素材の側面図、図8はロッド山左側面加工後の加工完了したロッドの側面図である。まず、ロッド溝加工を容易にするために、ロッド粗加工溝11pを切削により加工する。これは、円筒形のロッド素材11をロッド素材軸11d中心に回転させ、中央平面100上の中央ロッド溝断面線100ppに切削工具を配置して、回転と同期した送りによりロッド粗加工溝11pをねじ加工する。ロッドの粗加工溝の製作においては、図1に示す噛合い中央平面100に切削工具を配置して切削加工する。この切削工具は、具体的には、中央ロッド溝断面線100ppの上辺以外を切れ刃としてこの閉じた図形をすくい面の形状としたバイト等が考えられる。
次に、ロッド山1aの右側面1a2を右ロッド溝断面線102pに配した切削工具により加工し、それに引き続いて、もう一方のロッド山左側面1a1を同様に加工して、ロッド1の切削加工を完了する。具体的な切削工具は、ロッド粗加工溝時のバイトと同様なものとすればよい。ここで、中央平面上に設けた切削工具によってロッド粗加工溝11pを加工したため、粗加工が一工程で済み、製作コストが低減するという効果がある。また、素材の回転軸に向かってバイトを当てるため、切削時の切れ味が向上し、切削速度を高速化でき、製作コストが低減するという効果もある。また、本実施形態のロッド溝の粗加工は切削で行ったが、素材製作時に型等で形成してももちろん良い。
ここで、本実施形態として重要なことは、ロッドの製作方法において、ロッド粗加工では噛合い中央平面100の中央ロッド粗加工溝断面線100ppに粗加工用の切削工具を配置するが、ロッド山右側面1a2の製作においては、右噛合い設定平面102の断面線102pに1つの切削工具を配置してロッド山右側面1a2を螺旋形状に製作することである。次いで、ロッド山左側面1a1の製作においては、左噛合い設定平面101の断面線101pに1つの切削工具を配置してロッド山左側面1a1を螺旋形状に製作する(ロッド山側面1a1と1a2の製作順序は任意に選択すればよい)。以上のようにしてロッドを製作すれば、図43に示すように、ロッドを真上から見たときに、ロッド山側面1a1と1a2が見え始める位置がロッド中心軸1dから左右にずれた位置となり、ローラとロッドの干渉が軽減される形状となるのである。
次に、ローラ2の噛合い箇所の形状の定義に沿った一般的な製作方法に関する第2の実施形態を、図9乃至図11に基づいて説明する。図9は粗加工後のローラ素材の斜視図、図10はローラ溝右側面加工後のローラ素材の斜視図、図11はローラ溝左側面加工後の加工完了したローラの側面図である。
まず、ローラ溝加工を容易にするために、ローラ粗加工溝22bを切削により加工する。これは、円筒形のローラ素材22をローラ素材軸22d中心に回転させ、その軸を通るローラ中央平面104上の中央ローラ溝断面線104bbに切削工具を配置して環状の複数のローラ粗加工溝22bを切削加工する。この切削工具としては、中央ローラ溝断面線104bbの上辺以外を切れ刃としてこの閉じた図形をすくい面の形状としたバイト等が考えられる。通常、一個のローラ溝を粗加工するバイトをローラ素材軸22d方向へ等間隔に送って複数の溝を加工するが、生産性を挙げるために、等間隔に切れ刃が配置されたバイトやホブ(切削工具の一種であり、図18を参照)を用いた加工としてもよい。すなわち、図9に示すように、ローラ溝(環状溝)を粗加工するバイトをローラ中央平面(左又は右の噛合い設定平面ではなくて)で、同一形状の加工工具を等間隔で高さ一定にして配置し、同時に切削加工する製作方法である。
次に、ローラ溝2bの右側面2b2を右ローラ溝断面線102bに配した削り工具により加工し、それに引き続いて、もう一方のローラ溝左側面2b1を同様に加工して、ローラ2の削り加工を完了する。図10と図11で示すように、各溝毎にローラ溝断面線を切れ刃とする削り工具を配置し、全ローラ溝を同時に加工する製作方法と、削り工具を一本だけのローラ溝を加工する形態とし、その工具を噛合い設定平面102に沿って等間隔に送る(順送り)ことにより全ローラ溝を加工する製作方法(順送りの場合、図19と図20は、各ローラ溝を仕上げ加工するときの工具の位置を示す)の二通りが考えられる。前者(同時加工)は加工時間の短縮、後者(順送り加工)はバイト製作の容易さによるコスト低減効果とともに、後者には、ローラ溝側面形状の均一化で良好な噛合いが実現できるという効果がある。
換言すると、環状溝を有するローラの溝の製作方法において、同時加工の場合、図10を参照すると(右側面加工)、右噛合い設定平面102(噛合い中央平面ではなくて)で右ローラ溝断面線102bに合致した形状のバイトを等間隔で高さ一定とし同一形状バイト(溝側面の張り出しに対応してバイトも「く」の字形状となっている)で同時に加工するのである。このような加工によって、ローラの張り出し部(ロッドとの噛合い箇所である)の山頂部又は溝底部からの高さが異なっていることが分かる。以上のように加工したローラは、図42に示すように、ロッドとの噛合い箇所が黒丸の右側フランク噛合い箇所となり、さらに、両軸交差箇所より遠ざかるほど噛合いの張り出し部がローラ軸から離れていき、互いの噛み合いの干渉を軽減することができるのである。このことが本実施形態の主要な特徴である。
次に、ロッド1の噛合い箇所の形状の定義に沿った具体的な製作方法に関する第3の実施形態を、図12及び図13に基づいて説明する。図12はロッド山右側面加工後のロッド素材の斜視図、図13はロッド山左側面加工後のロッドの斜視図である。ロッド山の両側面加工を、バイトによる旋盤加工とする以外は第1の実施形態と同様であるので、ここでバイト形状等に関する説明のみ行い、その他の説明は省略する。
ロッド山右側面(ロッド溝左側面)を加工するバイト(ロッド山右側面バイト102cと称する)は、右噛合い設定平面102上の右ロッド溝断面線102pの上辺以外を切れ刃とし、この閉じた図形をすくい面とする形状及び設置位置とする。もう一つのロッド山左側面(ロッド溝右側面)を加工するバイト(ロッド山左側面バイト101cと称する)は、左噛合い設定平面101上の左ロッド溝断面線101pの上辺以外を切れ刃とし、この閉じた図形をすくい面とする形状及び配置位置とする。ここで、事前に設定するロッド粗加工溝11pの幅を広く設定することにより、各バイトでロッド山側面を加工する切れ刃の対辺を切れ刃とする必要が無くなるため、バイトが廉価になるとともに、切削抵抗が低減して加工速度を増大することが可能となり、製作コストが低減するという効果がある。更に、ロッド粗加工溝11pを深く設定することにより、各バイトでロッド山側面を加工する切れ刃付近以外の底辺部を切れ刃とする必要が無くなるため、バイトが更に廉価になるとともに、切削抵抗が更に低減して加工速度を一層増大することが可能となり、製作コストが一層低減するという効果がある。また、図12や図13に示す噛合い面の仕上げ加工工程は、各一回ではなく複数回の切削で工程を組むことが面粗さの向上のために望ましい。
次に、ロッド1の噛合い箇所の形状の定義に沿った具体的な製作方法に関する第4の実施形態を、図14及び図15に基づいて説明する。図14はロッド山右側面加工後のロッド素材の斜視図、図15はその上面図である。ロッド山の両側面の削り工具として、回転体状のエンドミルを用いる以外は第3の実施形態と同様である。また、バイトを工具とする第3の実施形態の場合と異なり、ロッド山右側面加工工程とロッド山左側面加工工程は、同一の工具(エンドミル)を使用できることから、工具設定位置を変える(ロッド山右側面を加工するときにはエンドミル軸を図14で左方向に移動させる)以外の相違点は無い。このため、エンドミルによるロッド山右側面加工工程のみ説明を行い、その他の説明は省略する。
エンドミルによる加工は、エンドミルと加工対象物の相対速度方向と直角となる箇所で生じる。このため、図15で示すように、エンドミル(ロッド片側面エンドミル100eと称する)による加工箇所を右噛合い設定平面102上に定めるために、その工具軸(ロッド片側面エンドミル軸100edと称する)は、右噛合い設定平面102からわずかに外れた位置に設ける。このずれ量が、主に、ロッドねじのリード角とエンドミルの径に依存することは、図15から明らかである。図15で、エンドミルの窪んだ加工刃(ロッド側面の張り出し部を加工する部分)の加工接線が噛合い設定箇所の線方向と一致するように、エンドミル加工箇所とエンドミル中心軸を結ぶ線と、噛合い設定箇所の線とが90°を形成している。なお、旋盤加工のバイトの場合には、右噛合い設定平面102上に沿って配置されることは上述したとおりである。
また、右噛合い設定平面102が噛合い設定中央平面100からずれた位置にあるため(図1参照)、エンドミル加工箇所付近の噛合い設定箇所であるロッド山右側面1a2上の峰部は、図15の紙面に対して傾斜する(この傾斜角をαとおく)。このため、仮にエンドミルを単純に円錐台を重ねた形状にすると、くびれた箇所で本来加工されるべき噛合い設定箇所が、円錐台の円錐部で加工されるため、その加工箇所の移動を考慮した複雑なエンドミルの送りが要求され、加工精度の低下が生じる。よって、この加工精度の低下を回避するため、エンドミルの形状を、表面が凹状となる形状とし、噛合い設定箇所がエンドミルの最もくびれた部分で加工できるようにする。それに該当する面は、例えば、噛合い設定箇所であるロッド山右側面1a2上の峰部の傾斜角αかそれ以上の角度だけ傾斜した直線を線素にもつ線織面(すなわち、一葉双曲面)が挙げられる。
ロッド片側面エンドミル100eは、ロッド片側面エンドミル軸100edを中心に回転させられるため、回転駆動源が設置されている。そして、エンドミル加工に要するエネルギーの大部分はその回転駆動源が供給するため、回転駆動源は一般に大型となる。よって、前記した第3の実施形態と異なって、エンドミルの位置を固定し、ロッド素材11の回転およびそれに同期した軸方向直動をロッド素材11の固定台で行う加工様式としてもよい。この場合、ロッドねじの形状精度は、主としてロッド素材の固定台の動きの精度で決まるが、この動きに要するエネルギーは小さく、精度の高い動きを実現することが容易となる。この結果、高精度のねじ形状を実現できるという効果がある。
また、上述したが、バイトによる加工では、ロッド山左側面1a1とロッド山右側面1a2を加工するバイトは異なる(図6と図7において、「く」の字型バイトの形状を参照)のに対し、エンドミルによる加工は一本のエンドミルで加工が可能であるため、両面の相対的な位置精度(すなわちロッド溝の幅精度)が向上するという効果がある。また、ロッド山側面の形状特性の把握が単純となって選択嵌合を行うときのクラス分けが容易となる効果がある。また、本実施形態のように噛合い箇所が張出した形状となっている場合、一般的には、エンドミルの径は、その張出しを考慮して細くしなければならない。しかし、エンドミルを正規の深さまで沈めるための特別な場所をねじ部から外れた端部に設けることにより、エンドミルを太くして剛性を高めることが可能となる。このため、加工時のエンドミルの変形による形状精度の悪化を低減できるという効果がある。
次に、ロッド1の噛合い箇所の形状の定義を発展させた製作方法に関する第5の実施形態を、図16に基づいて説明する。図16はロッド溝の両側面を同時に加工する方法の説明図である。これまでの実施形態は、全て、ロッド溝の両側面を別加工するものであり、その削り工具の設定姿勢から、噛合い箇所における共通垂線103方向の接線がその共通垂線方向となって(実施形態の噛合い箇所に丸みを持たせた場合に当てはまり、説明のし易さから実際に記載した角状の噛合い箇所をもつ実施形態には噛合い箇所に接線が定義できないために当てはまらない)、実際に噛合った時の噛み合いの干渉(ローラにおける軸方向端部の環状溝側面がロッドの山側面(フランク)に食い込む現象)を低減する面形状を実現できた。
しかし一方で、片側面ずつ加工するため、加工時間が長くなり、生産性が低下するという不都合さも見られた。図16は、それを改善するために、両側面を同時に加工できる断面線を示す。それは、ロッド溝の両断面線101p、102pがのっている各噛合い設定平面(101と102)の中央平面(噛合い中央平面100)上に設けた断面線(ロッド溝中央断面線100pと称する)で、これをすくい面とし上辺以外を切れ刃としたバイトで加工可能となる。これにより、狙い通り加工時間は短くなって生産性は向上するが、噛合い箇所における面の傾斜が理想からはずれるため、噛合い時に多少の干渉が発生し、機構効率の若干の低下という弊害が生じる。また、この方法では、ロッド溝一杯に工具が入るため、ねじ部から外れた端部に工具を正規の深さまで沈めるための場所(例えば、段差部)を設けることが必須となる。また、工具を太くできることから、その剛性を高めることが可能となり、加工時のエンドミルの変形による形状精度の悪化を低減できるという効果がある。本実施形態では噛み合いの干渉を多少犠牲にして加工の容易さを優先させたものである。
次に、ロッド1の噛合い箇所の形状の定義を発展させた製作方法に関する第6の実施形態を、図17に基づいて説明する。図17は第5の実施形態をエンドミルで実現したときの説明図である。エンドミル(ロッド両側面エンドミル100fと称する)の軸(ロッド両側面エンドミル軸100fdと称する)を噛合い中央平面100上に設けることにより加工が可能となる。ただ、第4の実施形態の説明から容易に推定できるが、本実施形態の加工部は、噛合い設定箇所が噛合い中央平面上からわずかに外れる(ずれ量≒エンドミル半径×sin(ロッドねじリード角))。第四及び第5の実施形態と同様の効果を有するとともに、工具の剛性が一層増大するため、加工時のエンドミルの変形による形状精度の悪化を一層低減できるという効果がある。
次に、ロッド1の噛合い箇所の形状の定義を発展させた製作方法に関する第7の実施形態を、図18のロッドを加工するための切削工具であるロッド加工ホブ105の斜視図に基づいて説明する。本実施形態のホブ105は、ロッドと噛合うローラの環状山に近い形状の環状山部105aを間欠的に切り取って刃(ロッドホブ単位刃105cと称する)を形成した形態となっている。このロッドホブ単位刃105cはバイトの刃と同様であり、このロッド加工ホブ105は、バイトの刃が複数並んだ形態とみなされる。このロッド加工ホブ105を、ロッドホブ端部105dの回転支持と回転駆動源への接続により、ロッドホブ軸105b中心に回転させる。
そして、ロッド加工ホブ105を、ロッド素材に対し、ロッド・ローラ間と同一の軸角でねじり配置し、切削加工しながら、その間隔を徐々に狭める。最終的に、ロッド・ローラ間と同一の距離になるまで、ロッド加工ホブ105をロッド素材へ近づける。そして、ロッド素材を、回転させながらそれに同期した直線運動をさせ、ロッドねじ部を加工する。
環状山部105aの基本形状は、内周側が広がった形状となっており、これにより、ロッド山の噛合い箇所を含む歯先形状を加工する。一方のロッド山の内周側部形状は、このホブ加工では実現できないため、前述の実施形態であるバイトやエンドミルによる切削加工により内周側形状を実現する。この後加工に精度は要求されないため、それに伴うコスト上昇を限定できるという効果がある。また軸方向に並んでいる環状山部105aの形状を、粗加工から仕上げ加工用の形状に段階的に変化させることが考えられる。これにより、粗加工から仕上げ加工(上記した後加工は除く)まで一工程で行えるため、大幅なコスト低減を実現できる効果がある。さらに、環状山部毎の加工量が平均化して、このホブの寿命が延びるため、これによってもコスト低減効果がある。
また、ロッド山の側面毎に加工する2本のホブを用いても良い。この場合には、片側面ずつの加工なので、ホブを回転させるためのトルクが小さくてすみ、その回転駆動源を小容量化できるため、加工ラインの製作コストを低減できる効果がある。また、ロッド山を側面毎に加工するがそれを1本のホブで実現する加工法としても良い。具体的には、環状山部の幅を小さくして、ロッド山の両側面が同時に加工できないようにする。これにより、ホブを変更する必要がなく、加工工程の簡素化によるコスト低減と共に、工具のチャッキングし直しを行うことなく両側面を加工できるため、両側面のの間隔精度を高めることができるという効果もある。また、この方法で、粗加工から仕上げ加工のための一連の刃並びの向きを両側面で互いに逆としてもよい。その結果、例えば、環状山部の右側面の刃が仕上用ならば、左側面刃は、粗加工用となる。これにより、ロッド素材を軸方向に往復させる間にホブによる加工を完了できるため、ロッド素材をチャッキングする部分の戻し工程を設定する必要がなくなり、加工工程が単純化してコストが低減するという効果がある。
次に、ローラ2の噛合い箇所の形状の定義に沿った具体的な製作方法に関する第8の実施形態を、図19及び図20に基づいて説明する。図19はローラ溝右側面加工後のローラ素材の斜視図、図20はローラ溝左側面加工後の加工完了したローラの斜視図である。ローラ溝の両側面加工を、バイトによる旋盤加工とする以外は第2の実施形態と同様であるので、ここでバイト形状等に関する説明のみ行い、その他の説明は省略する。ローラ溝右側面を加工するバイト(ローラ溝右側面バイト102eと称する)は、右噛合い設定平面102上の右ローラ溝断面線102bの上辺以外を切れ刃とし、この閉じた図形をすくい面とする形状及び設置位置とした。もう一つのローラ溝左側面を加工するバイト(ローラ溝左側面バイト101eと称する)は、左噛合い設定平面101上の左ローラ溝断面線101bの上辺以外を切れ刃とし、この閉じた図形をすくい面とする形状及び配置位置とした。
次に、ローラ2の噛合い箇所の形状の定義に沿った具体的な製作方法に関する第9の実施形態を、図21及び図22に基づいて説明する。図21はローラ溝右側面加工後のローラ素材の斜視図、図22はその上面図である。ローラ溝の両側面の削り工具として、回転体状のエンドミルを用いる以外は第8の実施形態と同様である。また、バイトを工具とする第8の実施形態の場合と異なり、ローラ溝右側面加工工程とローラ溝左側面加工工程は、同一の工具(エンドミル)を使用できることから、工具設定位置を変える以外の相違点は無い。このため、エンドミルによるローラ溝右側面加工工程のみ説明を行い、その他の説明は省略する。
エンドミルによる加工は、エンドミルと加工対象物の相対速度方向と直角となる箇所で生じる。このため、図22で示すように、エンドミル(ローラ片側面エンドミル100gと称する)による加工箇所を右噛合い設定平面上に定めるために、その工具軸(ローラ片側面エンドミル軸100gdと称する)は、右噛合い設定平面102からわずかに外れた位置に設ける。このずれ量が、主に、ロッドねじのリード角とエンドミルの径に依存することは、図22から明らかである。また、右噛合い設定平面102がローラ中央平面104からずれた位置にあるため(図21参照)、エンドミル加工箇所付近の噛合い設定箇所であるローラ溝右側面2b2上の峰部は、図22の紙面に対して傾斜する(この傾斜角をβとおく)。このため、仮にエンドミルを単純に円錐台を重ねた形状にすると、くびれた箇所で本来加工されるべき噛合い設定箇所が、円錐台の円錐部で加工されるため、その加工箇所の移動を考慮したエンドミルの送り量の補正が要求される。さらに、このβはローラ溝毎に異なるため、エンドミルの送り補正量が溝毎に異なってしまい、加工精度の大幅な低下が生じる。よって、この加工精度の低下を起こさないようにするため、エンドミルの形状を、表面が凹状となる形状とし、噛合い設定箇所がエンドミルの最もくびれた部分で加工できるようにする。それに該当する面は、例えば、噛合い設定箇所であるローラ溝右側面2b2上の峰部の傾斜角βの最大値以上の角度だけ傾斜した直線を線素にもつ線織面(すなわち、一様双曲面)が上げられる。
ローラ片側面エンドミル100gは、ローラ片側面エンドミル軸100gdを中心に回転させられるため、回転駆動源が設置されている。そして、エンドミル加工に要するエネルギーの大部分はその回転駆動源が供給するため、回転駆動源は一般に大型となる。よって、エンドミルの位置を固定し、ローラ素材22の回転およびそれに同期した軸方向直動をローラ素材22の固定台で行う加工様式としてもよい。この場合、ローラ環状溝の形状精度は、主としてローラ素材の固定台の動きの精度で決まるが、この動きに要するエネルギーは小さく、精度の高い動きを実現することが容易となる。この結果、高精度の環状溝山形状を実現できるという効果がある。また、上述したが、バイトによる加工では、ローラ溝左側面2b1とローラ溝右側面2b2を加工するバイトは異なるのに対し、エンドミルによる加工は一本のエンドミルで加工が可能であるため、両面の相対的な位置精度(すなわちローラ溝の幅精度)が向上するという効果がある。また、ローラ溝側面の形状特性の把握が単純となって選択嵌合を行うときのクラス分けが容易となる効果がある。
次に、ローラ2の噛合い箇所の形状の定義を発展させた製作方法に関する第10の実施形態を、図23のローラを加工するための切削工具であるローラ加工ホブ106の斜視図に基づいて説明する。本実施形態のホブ106は、ローラと噛合うロッドのねじ山に近い形状のねじ山部106aを間欠的に切り取って刃(ローラホブ単位刃106cと称する)を形成した形態となっている。このローラホブ単位刃106cはバイトの刃と同様であり、このローラ加工ホブ106は、バイトの刃が複数並んだ形態とみなされる。このローラ加工ホブ106を、ローラホブ端部106dで回転支持と回転及びそれに同期する直動駆動源へ接続させる。
一方、ローラ素材は、ローラ軸周りに回転させる。そして、ローラ加工ホブ106の回転を止めた状態で、ローラ加工ホブ106を、ローラ素材に対し、ロッド・ローラ間と同一の軸角でねじり配置し、切削加工しながら、その間隔を徐々に狭める。最終的に、ロッド・ローラ間と同一の距離になるまで、ローラ加工ホブ106をローラ素材へ近づける。ローラがローラ加工ホブよりも短い場合は、これで加工終了となるが、長い場合は、ローラ加工ホブに、そのねじ山部106aのリードに合わせて、回転とそれに同期した直動を行わせればよい。
ねじ山部106aの基本形状は、内周側が広がった形状となっており、これにより、ローラ山の噛合い箇所を含む歯先形状を加工する。一方、ローラ山の内周側部形状は、このホブ加工では実現できないため、前述の実施形態であるバイトやエンドミルや砥石による削り後加工により内周側形状を実現する。この後加工に精度は要求されないため、それに伴うコスト上昇を抑制できるという効果がある。また、軸方向に並んでいるねじ山部106aの形状を、粗加工から仕上げ加工用の形状に段階的に変化させることが考えられる。この場合、ローラ加工ホブ106は、回転させるとともにその回転に同期した直動をさせる。そして、この時の直動方向は、粗加工側から仕上げ加工側にローラ素材が送られるように、向きを与える。これにより、粗加工から仕上げ加工(上記した後加工は除く)まで一工程で行えるため、大幅なコスト低減を実現できる効果がある。
また、ローラ溝の側面毎に加工する2本のホブを用いても良い。この場合には、片側面ずつの加工なので、ローラ素材を回転させるためのトルクが小さくてすみ、その回転駆動源を小容量化できるため、加工ラインの製作コストを低減できる効果がある。また、ローラ溝を側面毎に加工するがそれを1本のホブで実現する加工法としても良い。具体的には、ねじ溝部の幅を大きくして、ローラ溝の両側面が同時に加工できないようにする。これにより、ホブを変更する必要がなく、加工工程の簡素化によるコスト低減と共に、工具のチャッキングし直しを行うことなく両側面を加工できるため、両側面のの間隔精度を高めることができるという効果もある。また、この方法で、粗加工から仕上げ加工のための一連の刃並びの向きを両側面で互いに逆としてもよい。その結果、例えば、環状山部の右側面の刃が仕上用ならば、左側面刃は、粗加工用となる。これにより、ロッド素材を軸方向に往復させる間にホブによる加工を完了できるため、ロッド素材をチャッキングする部分の戻し工程を設定する必要がなくなり、加工工程が単純化してコストが低減するという効果がある。
次に、噛合い時の不慮の干渉を回避するために有効な手段であるロッドねじ山角部の面取り製作方法に関する第11の実施形態を、図24に基づいて説明する。図24はねじ山角部を面取りしたロッドの斜視図である。ロッドのおける通常の面取りは、ロッド溝1pを形成した(例えば、前記第三乃至七の実施形態)後で、旋盤等で面取りを後加工することも考えられるが、本実施形態は、ロッド溝加工時に、左面取り付ロッド溝断面線101pcや右面取り付ロッド溝断面線102pcに対応したバイトやエンドミルまたは砥石によって、同時にロッド山左面取り1a1cやロッド山右面取り1a2cを加工するものである。本実施形態では、その加工工程が簡素化されることにより、加工コストが低減するという効果がある。
次に、前記第11の実施形態と同様に噛合い時の不慮の干渉を回避するために有効な手段であるローラ環状山角部の面取り製作方法に関する第12の実施形態を、図25に基づいて説明する。図25はローラ山角部を面取りしたローラの斜視図である。ロッドの場合の前記第十一実施形態の如く、溝加工と同時に面取り加工を行うことも可能ではあるが、面取りの大きさが、共通垂線103(図1参照)に近づく程大きくなる。一方、噛合い時の干渉の危険性は、共通垂線103から離れる程高くなることから、干渉の危険性を確実に回避するような設定にした場合には、共通垂線103付近の面取りが巨大になり、最悪の場合には環状山の強度が損なわれる可能性が生じる。
本実施形態は、ローラ溝の加工(例えば、第8乃至第10の実施形態)の後加工として、面取り加工を行うものである。ローラ中央平面104上に設けた断面線である、中央ローラ面取り断面線104cに対応したバイトやエンドミルまたは砥石によって、ローラ山面取り2b1c、2b2cを加工する。本実施形態では、面取りの大きさを自由に設定できることから、各ローラ溝毎の面取り量の適正化を図ることができるという効果がある。また、ローラ山の両面取りを同時に行うことができたり、ローラ溝加工と異なって工具の移動方向がローラ軸と同一となって加工が容易となるため、加工工程が簡素化されて加工コストが低減するという効果がある。
次に、ローラの密閉的な型を用いた製作方法である第13の実施形態を、図26と図27に基づいて説明する。図26は製作後の上型を取った状態の斜視図であり、図27はその取った上型の斜視図である。金属粉末を用いた焼結や、鋳物や、樹脂の型成型の場合が考えられる。いずれの場合も、使用する型は、ローラ軸2dを含む面(上部割型分割面107ac、下部割型分割面107bc)で分割された型とする。さらに、成型する歯形は、張出し形状でなく、内周側が広がった形状(図28参照)とする。これにより、製作物を取り出すことが可能となる。噛合い箇所を張出形状とするために、後加工で内周側を切削等で除去(図29参照)してもよい。もちろん、これと同様な方法でロッドを製作することができる。
次に、ローラ2またはロッド1を前記第13の実施形態の如く密閉的な型を用いたり転造や鍛造等の非密閉的な型を用いて製作した時の、後加工法の実施形態を、図28乃至図32を基に説明する。図28は型製作後のローラまたはロッドの断面の説明図、図29は内周側の除去による噛合い箇所の張出し形状製作方法の説明図、図30は噛合い箇所の位置調整法の説明図、図31は外径の調整法の説明図、図32はローラ山またはロッド山の外周縁の面取り法の説明図である。
型成型による加工では、噛合い箇所を張出し形状にすると、通常の場合、型を抜くことができなくなるため、図28のような、内周側が広がった形状とする。このため、図29で示すような、噛合い箇所は削らずに内周側を削除する加工を行う。この内周側削除には精度が要求されないため、旋盤などの通常の加工機械で加工可能となる。この結果、加工コストの上昇を抑制できるという効果がある。
型成型の場合、極めて高い寸法精度は実現できないため、回転直動変換機構の用途によっては噛合い箇所の位置精度が不足する場合がある。この場合、図30の如く、噛合い箇所を含むその付近だけをエンドミル等で追加工し、所望の精度を確保する。この方法である程度の数を製作すると、製作コストが低減するという効果がある。この方法の場合、削り代を確保するために、ローラ山またはロッド山を厚めに型成型する。転造等の非密閉の型を用いる型成型の場合、余分な材料は外周側に絞り出るため、外径は増大する。このため、図31のように、後加工として外径を削る工程を入れる。これにより、ロッド山とローラ溝底の干渉、またはロッド溝底とローラ山の干渉が回避でき、回転直動変換動作が確実に行えるという効果がある。また、型成型の場合、外周縁の成型が不確実になりやすい。このため、図32のように、後加工として外周縁の面取りを行なうことにより、欠片が生じる可能性を低下でき、回転直動変換動作が確実に行えるという効果がある。
次に、上述した削り加工や型成型により製作した噛合い要素の後処理として、噛合い箇所を含むその近傍になじみ皮膜を設けた実施形態を噛合い箇所近傍の断面拡大模式図である図33に基づいて説明する。なじみとは、実動時に形状誤差の大きい箇所が集中的に荷重を受けて磨耗することにより、形状誤差が補正される作用をいい、なじみ皮膜とは、なじみ作用を促進するための表面に形成した磨耗容易層である。
本実施形態のなじみ皮膜108は、母材となる削り加工や型成型により製作した噛合い要素の表面を化学処理したものである。これにより、なじみ皮膜と母材は同一の元素を基本とし、両者の境界は原子レベルで連続的に繋がっているため、密着性が高く、高負荷時になじみ皮膜の母材からの剥離が起こりにくいという効果がある。また、化学処理によるなじみ皮膜は、母材から滲み出た元素が化学変化して母材表面に析出したなじみ皮膜析出部108bと滲み出た後の母材が化学変化を起こしたなじみ皮膜侵食部108aに大別されるが、本実施形態は、なじみ皮膜析出部108bがなじみ皮膜侵食部108aよりもなじみ易い性質を持たせている。この結果、皮膜を形成することによって、目標形状よりも凹部であった箇所はなじみ皮膜析出部108bで埋まり、逆に目標形状よりも凸部の箇所はなじみ皮膜侵食部108aとなって皮膜形成前よりもなじみ性が向上する。
これにより、なじみ後は、主としてなじみ皮膜侵食部108aが荷重を受け持つことになる。なじみ皮膜形成前と比較して、局部的な強度は低下しているが、噛合い箇所全域で噛合うことから、全体としての強度は向上する。これにより、運転初期から局部的な集中荷重箇所を極めて早い段階で除去でき、最終的にも噛合い強度を高く維持できることになる。当然、機械的な効率も向上する。このようになじんだ結果実現する形状を型成型や削り加工で実現を目指すと選択勘合等を行わねばならず加工コストは極めて高くなる。よって、本実施形態は、高性能で高信頼性の回転直動変換機構を極めて低コストで実現できるという効果がある。このようななじみ皮膜の具体例としては、母材が鉄系材料の場合、リン酸マンガン皮膜がある。
次に、材質を樹脂とし、射出成型によってローラを製作する実施形態を、図34に基づいて説明する。図34は、射出成型用上部割型(図示せず)を装着する前の射出成型用下部割型109aに金属のローラ軸部2mを設置した時点の斜視図である。この後、射出成型用上部割型を被せて、型とローラ軸部の空隙(樹脂充填空隙109cと称する)に樹脂を圧入して成型する。
本実施形態は、噛合い箇所を張出し形状としている点が大きな特徴である。型成型の実施形態で説明をしたとおり、型成型で噛合い箇所を張出し形状とすると、通常は成型物を型から取り出すことができなくなる。本実施形態は、材料が金属等と比較して変形が極めて容易な樹脂であるために、その変形により成型物を型から取り出すことが可能となる。また、この変形の容易さにより、噛合い箇所の形状が多少理想からずれていても、全体で荷重を受けるようになる。これにより、型成型のうちでも樹脂は成型が容易であるために製作コストが安価である上に、図29乃至図32で示すような後加工が不要となり、製作コストが一層低減するという効果がある。
また、本実施形態のように、強度を必要とする軸部を金属にできるため、高信頼性を低コストで実現できるという効果もある。また、成形後に成形物を取り出すとき、この金属部を押せば、変形を抑制できるという効果もある。また、軸部を金属にすることによって剛性を高めることができ、ローラのたわみを低減して、噛合い状態を良好に保つことができるという効果もある。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る回転直動変換機構の噛み合い要素の製作は、次のような構成と方法によって達成することができる。すなわち、外周面にねじ山とねじ溝からなるねじ部を有するロッドと、前記ロッドの外周側に設けられ、前記ロッドに対して相対回転可能かつ相対軸移動可能に設けられたホルダ部材と、前記ホルダ部材に回転可能に支持され、外周面に前記ねじ部と噛合う環状溝と環状山からなる環状溝山部を有しかつロッド軸に対して前記ねじ部のリード角以上の軸角でねじり配置されたローラと、を備える回転直動変換機構の前記ロッドと前記ローラの噛合い要素製作方法において、前記環状溝山部および前記ねじ部を、前記ロッド軸とローラ軸の共通垂線と前記ロッド軸に平行で前記環状溝側面上の一噛合い箇所を通る噛合い設定平面が、その環状溝側面と同じ向きの全環状溝側面上の噛合い箇所近傍を通る形状としたり、さらに、前記噛合い設定平面で切断した断面形状のうちの少なくとも一つを張出させて、その張出した頂点付近で両者が接触する形状とする構成とする。
このような形状は、一般に切削や研削の削り加工または塑性加工または鋳造または粉末冶金成形または射出成形により加工するが、その低コスト化は、張出した噛合い要素の張出しよりも内周側を別加工としたり、ロッドのねじ山やローラの環状山の外周縁を面取りすることにより達成される。また、なじみ皮膜を設け、実働時のなじみにより形状補正を起こすことによっても達成される。
切削や研削の削り加工では、円筒状またはそれに仕上げ溝のベースとなる溝を設けた回転体状素材を、その素材軸中心に回転させながら、その素材軸を噛合い要素の中心軸とみなした時の噛合い設定平面近傍に設けた削り工具で加工することにより達成される。この時の加工法には、溝の両側面の片側ずつ加工する方法と、両側面同時に加工する二方法に大別される。また、噛合い箇所を一箇所ずつ加工するか、複数の噛合い箇所を一挙に加工するかといった別の観点で分けた二方法がある。さらに、バイト刃のような工具を用いる場合と、エンドミル刃や円筒状砥石等のように回転体状としてその中心軸で回転する自己駆動型工具を用いる場合のように、加工に用いる削り工具の種類でも大別される。
また、転造や鍛造のような塑性加工では、型をワークから分離するために張出し箇所よりも外周側を塑性加工により仕上げ、張出し箇所よりも内周側を削り加工することにより達成される。一方、鋳造または粉末冶金成形のような密閉的な型に充填する型充填製作方法では、充填型をワークから分離するためにワークの中心軸を含む面で分離される割型を用いるとともに張出し箇所よりも外周側をその製作方法で仕上げ、張出し箇所よりも内周側を削り加工することにより達成される。また、外径を整えたり、噛合い箇所に仕上げ加工を施してもよい。また、樹脂を材料として、射出成型によっても達成される。この場合には、オーバハング形状となっている張出し箇所の内周側も型成型し、樹脂材料の弾性変形を利用して、成型物を型から離す。また、強度が要求される軸部のみを金属等の機械強度の高い材料としてもよい。
噛合い状態にあるローラとロッドの斜視図である。 図1を左噛合い設定平面で切断した断面斜視図である。 図2の断面をそれに垂直な方向から見た矢視図である。 図1を左噛合い設定平面で切断した断面斜視図である。 図4の断面をそれに垂直な方向から見た矢視図である。 第1の実施形態におけるロッド粗加工説明図である。 第1の実施形態におけるロッド山右側面加工説明図である。 第1の実施形態におけるロッド山左側面加工説明図である。 第2の実施形態におけるローラ粗加工説明図である。 第2の実施形態におけるローラ溝右側面説明図である。 第2の実施形態におけるローラ溝左側面説明図である。 第3の実施形態におけるロッド山右側面加工説明図である。 第3の実施形態におけるロッド山左側面加工説明図である。 第4の実施形態におけるロッド山右側面加工説明図である。 第4の実施形態におけるロッド山右側面加工説明のための上面図である。 第5の実施形態におけるロッド溝の両側面同時加工の説明図である。 第6の実施形態におけるエンドミルによるロッド溝の両側面同時加工の説明図である。 第7の実施形態におけるロッド加工ホブの斜視図である。 第8の実施形態におけるローラ溝右側面加工説明図である。 第8の実施形態におけるローラ溝左側面加工説明図である。 第9の実施形態におけるローラ溝右側面加工説明図である。 第9の実施形態におけるローラ溝右側面加工説明のための上面図である。 第10の実施形態におけるローラ加工ホブの斜視図である。 第11の実施形態におけるロッド面取り加工説明図である。 第12の実施形態におけるローラ面取り加工説明図である。 第13の実施形態における下部割型の斜視図である。 第13の実施形態における上部割型の斜視図である。 削り加工や型成型による噛合い要素形状の説明図である。 内周側の除去による噛合い箇所の張出し形状製作方法の説明図である。 噛合い箇所の位置調整法の説明図である。 噛合い要素の外径の調整法の説明図である。 噛合い要素の外縁の面取り法の説明図である。 なじみ皮膜を形成する実施形態における噛合い箇所付近なじみ皮膜処理説明図である。 樹脂を材料とする射出成型の説明図である。 ローラを一本する回転直動変換機構の一実施形態の縦断面図である。 ローラの側面図である。 ロッドの側面図である。 ローラをロッド周りに複数本配した場合の噛合い要素設置説明図である。 ローラを組み込んだホルダをロッド軸方向に複数配した場合の噛合い要素設置説明図である。 ホルダを直動側とした場合の噛合い要素設置説明図である。 ロッドの右側ネジフランク(ネジ山の側面)上のねじ螺旋を投影面に投影した平面曲線(サインカーブ)を示す図である。 ロッドの右側ネジフランク及び左側ネジフランクにおけるローラとの噛み合い箇所を説明する図である。 回転直動変換機構の噛合い要素であるロッドの上面拡大図である。
符号の説明
1:ロッド
1a:ロッド山
1a1:ロッド山左側面
1a2:ロッド山右側面
1d:ロッド軸
1p:ロッド溝
11:ロッド素材
11d:ロッド素材軸
11p:ロッド粗加工溝
2:ローラ
2b:ローラ溝(環状溝)
2b1:ローラ溝左側面
2b2:ローラ溝右側面
2d:ローラ軸
22:ローラ素材
22b:ローラ粗加工溝
22d:ローラ素材軸
3:ホルダ
5:モータ
100:噛合い中央平面
101:左噛合い設定平面
102:右噛合い設定平面
101b:左ローラ溝断面線
102b:右ローラ溝断面線
101p:左ロッド溝断面線
102p:右ロッド溝断面線
101pc:左面取り付ロッド溝断面線
102pc:右面取り付ロッド溝断面線
101c:ロッド山左側面バイト
102c:ロッド山右側面バイト
101e:ローラ溝左側面バイト
102e:ローラ溝右側面バイト
100e:ロッド片側面エンドミル
100f:ロッド両側面エンドミル
100g:ローラ片側面エンドミル
100p:ロッド溝時中央断面線
104c:中央ローラ面取り断面線
105:ロッド加工ホブ
106:ローラ加工ホブ
107a:下部割型
107b:上部割型
108:なじみ皮膜
109c:樹脂充填空隙

Claims (26)

  1. 外周面にねじ山とねじ溝からなるねじ部を有するロッドと、前記ロッドの外周側に設けられ、前記ロッドに対して相対回転可能かつ相対軸移動可能に設けられたホルダ部材と、前記ホルダ部材に回転可能に支持され、外周面に前記ねじ部と噛合う環状溝と環状山からなる環状溝山部を有しかつロッド軸に対して前記ねじ部のリード角以上の軸角でねじり配置されたローラと、を備える回転直動変換機構における前記ロッドと前記ローラからなる噛合い要素の製作方法において、
    前記ロッド軸および前記ローラ軸の共通垂線と前記ロッド軸とに平行であって、かつ前記環状溝側面上の一つの噛合い箇所を通る噛合い面が全ての噛合い箇所を通る噛合い設定平面を形成するように、前記環状溝山部および前記ねじ部を削り加工、塑性加工、鋳造、粉末冶金成形、または射出成形により製作する
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  2. 外周面にねじ山とねじ溝からなるねじ部を有するロッドと、前記ロッドの外周側に設けられ、前記ロッドに対して相対回転可能かつ相対軸移動可能に設けられたホルダ部材と、前記ホルダ部材に回転可能に支持され、外周面に前記ねじ部と噛合う環状溝と環状山からなる環状溝山部を有しかつロッド軸に対して前記ねじ部のリード角以上の軸角でねじり配置されたローラと、を備える回転直動変換機構における前記ロッドと前記ローラからなる噛合い要素の製作方法において、
    前記ロッド軸および前記ローラ軸の共通垂線と前記ロッド軸とに平行であって、かつ前記環状溝側面とねじ山側面とが噛合う噛合い設定平面を想定し、
    前記想定した噛合い設定平面上のロッド溝断面線のいずれか一箇所に削り工具を配置し、ロッド素材を回転させるとともに前記削り工具を前記ロッド素材の軸方向に送って前記ねじ部を製作する
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  3. 外周面にねじ山とねじ溝からなるねじ部を有するロッドと、前記ロッドの外周側に設けられ、前記ロッドに対して相対回転可能かつ相対軸移動可能に設けられたホルダ部材と、前記ホルダ部材に回転可能に支持され、外周面に前記ねじ部と噛合う環状溝と環状山からなる環状溝山部を有しかつロッド軸に対して前記ねじ部のリード角以上の軸角でねじり配置されたローラと、を備える回転直動変換機構における前記ロッドと前記ローラからなる噛合い要素の製作方法において、
    前記ロッド軸および前記ローラ軸の共通垂線と前記ロッド軸とに平行であって、かつ前記環状溝側面とねじ山側面とが噛合う噛合い設定平面を想定し、
    前記想定した噛合い設定平面上のローラ溝断面線の全ての箇所に削り工具を配置し、ローラ素材を回転させて前記環状溝を製作する
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  4. 請求項3において、
    前記削り工具は、同一の加工刃形状を有し、前記ローラ素材の軸と前記軸角だけ相違する方向に等間隔に配置し、前記ローラ素材の軸を含む面からの高さを同一にして配置する
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つの請求項において、
    前記噛合い設定平面は、前記相対回転の方向にしたがって右噛合い設定平面と左噛合い設定平面とが形成され、
    各々の噛合い設定平面は、前記ロッド軸を通る噛合い中央平面の両側に形成される
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  6. 請求項5において、
    前記ねじ部の製作または前記環状溝の製作に先立って、ロッド用円筒形素材またはローラ用円筒形素材に対して前記噛合い中央平面上のロッド溝断面線またはローラ溝断面線の箇所に粗加工用工具を配置し、
    前記ロッド用円筒形素材または前記ローラ用円筒形素材を回転させて前記ねじ部または前記環状溝の粗加工を行う
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  7. 請求項2ないし5のいずれか1つの請求項において、
    前記削り工具は、バイトまたはエンドミルであることを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  8. 請求項1において、
    前記噛合い設定平面で切断した両噛合い要素の噛合い箇所における少なくとも一つの断面形状は張り出し形状であり、
    前記張り出し形状の頂点またはその近傍で両噛合い要素が接触する
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  9. 請求項8において、
    前記張り出し形状の頂点よりも内周側の断面形状は別加工とすることを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  10. 請求項8または9において、
    前記噛合い箇所とその近傍を仕上げ加工するために、前記噛合い要素の回転体状素材を、素材軸を中心に回転させつつ、前記素材軸を中心軸とみなしたときの噛合い箇所付近に削り工具を配して削り加工することを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  11. 請求項8または9において、
    前記環状溝または前記ねじ溝における両側面上の噛合い箇所を同時に仕上げ加工するために、前記噛合い要素の回転体状素材を、素材軸を中心に回転させつつ、前記素材軸を中心軸とみなした場合の両噛合い箇所の中央付近に削り工具の中心を配して削り加工する
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  12. 請求項10において、
    前記噛合い要素としての前記ローラを製作する際に、前記削り工具は、一つの噛合い箇所とその近傍を加工する形態とし、
    前記噛合い箇所を含む噛合い設定平面上の全ての噛合い箇所を仕上げ加工するために、前記ローラと噛合わせたときに配置される前記ロッドの中心軸に沿って、前記削り工具を所望の位置へ移動させる
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  13. 請求項11において、
    前記削り工具を一つの環状溝における両側面上の噛合い箇所を同時に加工する形態とし、
    全ての環状溝両側面の噛合い箇所を仕上げ加工するために、前記ローラと噛合わせたときに配置されるロッドの中心軸に沿って、前記削り工具の中心を所望の位置へ移動させる
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  14. 請求項10において、
    前記噛合い要素としての前記ロッドを製作する際に、前記削り工具を一つの噛合い箇所とその近傍を加工する形態とし、
    前記噛合い箇所を含む噛合い設定平面上の全ての噛合い箇所を仕上げ加工するために、前記削り工具を前記回転体状素材の回転に同期して前記ロッド軸方向に送る
    ことをを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  15. 請求項11において、
    前記噛合い要素としての前記ロッドを製作する際に、前記削り工具を一つのねじ溝における両側面上の噛合い箇所を同時に加工する形態とし、
    前記ねじ溝全域の噛合い箇所を仕上げ加工するために、前記削り工具の中心を前記回転体状素材の回転に同期して前記ロッド軸方向に送る
    ことをを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  16. 請求項12ないし15のいずれか1つの請求項において、
    前記削り工具は回転体状工具であり、前記工具の軸中心である工具軸で回転させるものとすることを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  17. 請求項16において、
    前記素材軸を各要素の中心軸とみなしたときに、前記工具軸を前記共通垂線の方向とすることを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  18. 請求項9において、
    前記張り出し形状頂点よりも外周側を転造または鍛造の塑性加工により仕上げ、
    前記張り出し形状頂点よりも内周側を塑性加工前または後に削り加工する
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  19. 請求項9において、
    前記ロッド軸または前記ローラ軸を含む面で分離する割型を用い、
    前記張り出し形状よりも外周側を鋳造または粉末冶金成形により仕上げ、
    前記張り出し形状よりも内周側を鋳造または焼結後に削り加工する
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  20. 請求項18または19において、
    前記張り出し形状の箇所に削り加工または塑性加工による仕上げ加工を追加することを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  21. 請求項18、19または20において、
    前記ロッドまたは前記ローラの直径を規定するように、前記ロッドまたは前記ローラの外周を削り加工することを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  22. 請求項1ないし22のいずれか1つの請求項において、
    前記環状山または前記ねじ山の外周縁を面取りすることを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  23. 請求項1ないし23のいずれか1つの請求項において、
    前記加工製作後に、前記噛合い箇所自体を含む噛合い箇所近傍に、母材表面を化学変化させて形成するなじみ皮膜を設け、
    前記なじみ皮膜は、母材を侵食するとともに母材の表層に析出するものであり、かつ、そのなじみ性は侵食部よりも析出部の方が高い特性を有する
    ことを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  24. 請求項1または8において、
    前記ロッドまたは前記ローラの材質を樹脂とし、前記ロッド軸または前記ローラ軸を含む面で分離する割型を用いた射出成形により製作することを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  25. 請求項24において、
    前記噛合い箇所における断面形状は張り出し形状であり、
    前記張り出し形状の頂点より内周側をも射出成型により製作することを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
  26. 請求項24または25において、
    前記割型の中心に機械強度の高い軸部をインサートすることを特徴とする回転直動変換機構の噛合い要素の製作方法。
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