JP2007119581A - ポリアミド樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械物性および摩擦特性や磨耗特性などの摺動性に優れたポリアミド樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品を提供する。
【解決手段】 ポリアミド樹脂70〜99質量部と、重量平均粒子径が1〜500nmであるゴムまたはエラストマー樹脂30〜1質量部とからなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、タルク、リン酸塩粉末および潤滑油の中から選ばれた少なくとも1種類の添加剤が5質量部以下の割合で配合されていることを特徴とする上記ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、機械物性および摩擦特性や磨耗特性などの摺動性に優れたポリアミド樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品に関するものである。
ポリアミド樹脂は、摩擦、摩耗特性に優れ、ギア、ベアリング、カムの軸受などの摺動部材用途に好適な材料とされている。しかし、苛酷な条件下で使用する場合には、より摺動特性を向上させた樹脂の開発が望まれている。
このため、ポリアミド樹脂に、摺動性改良剤として、例えば、フッ素系共重合体、高密度ポリエチレンなどの添加物をブレンドした樹脂組成物が提案されている。しかし、このような樹脂組成物は、前記添加物を多量に配合すると、摺動性を向上させられるが、その反面樹脂組成物の機械的特性や耐熱性が低下するという問題があった。また、フッ素系共重合体は摺動性改良剤としてよく知られているが、一般に高価であるため、これを使用すると経済的とは言えないものであった。
一方、ナイロン6やナイロン66に、低分子量のシリコンオイルやワックスなどの潤滑剤をブレンドした樹脂組成物も提案されている。しかし、このような潤滑剤を配合した樹脂組成物は、短期間の使用では十分な摺動性が得られるが、長期間使用すると低分子量の潤滑剤が樹脂組成物の表面にしみだしてしまい、性能が持続しないという問題点があった。
また、別の例として、二硫化モリブデン、黒鉛、リン酸塩粉末をポリアミド樹脂にブレンドした樹脂組成物が提案されている。しかし、この樹脂組成物は、前述のフッ素系共重合体、高密度ポリエチレンなどの添加物を配合した樹脂組成物と同様に、十分な摺動性を得るためには二硫化モリブデン、黒鉛、リン酸塩粉末などを多量に添加する必要があり、やはり機械的特性や成形性が低下するという問題があった。
具体的な例としては、特許文献1には、ポリアミド樹脂にワラストナイトと酸変性スチレン系共重合体と酸変性高密度ポリエチレンとをブレンドした樹脂組成物が提案され、さらに、特許文献2には、ポリアミド樹脂と重量平均分子量5万〜40万の酸変性高密度ポリエチレンとからなる樹脂組成物が提案されている。しかしながら、このような樹脂組成物は、磨耗量が多く磨耗特性に劣るものであった。
さらに、特許文献3、4には、ポリアミド樹脂にエラストマーおよび無機フィラーをブレンドした樹脂組成物が提案されている。しかし、このような樹脂組成物はポリアミド樹脂の割合が非常に少なくなってしまい、機械的特性や成形性が低下するという問題があった。
特開平6−345961号公報 特開平8−157714号公報 特開2001−106904号公報 特開2004−107440号公報
本発明は前記問題点を解決し、機械物性および摩擦特性や磨耗特性などの摺動性に優れたポリアミド樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品を提供することにある。
本発明者は前記の課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)ポリアミド樹脂70〜99質量部と、重量平均粒子径が1〜500nmであるゴムまたはエラストマー樹脂30〜1質量部とからなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ポリアミド樹脂組成物100重量部に対して、タルク、リン酸塩粉末および潤滑油の中から選ばれた少なくとも1種類の添加剤が5質量部以下の割合で配合されていることを特徴とする上記(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)上記(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物を用いてなる成形品。
本発明によれば、機械的特性にも、また摺動性にも優れた樹脂組成物が得られる。従って、本樹脂組成物からなる成形品は、例えば、自動車のドアチェック用レバーのような機械的特性と摺動性との双方に優れた摺動部材として好適に使用でき、産業上の利用価値は極めて高い。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物の主成分となるポリアミド樹脂としては、ラクタムあるいはアミノカルボン酸の重合またはジアミンとカルボン酸の重縮合によって得られるホモポリアミドおよびコポリアミド、そしてこれらの混合物が挙げられる。ポリアミド樹脂の好ましい例として、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプラミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプラミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)およびこれらの混合物ないし共重合体等が挙げられる。中でもナイロン6、ナイロン66が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ゴムまたはエラストマー樹脂を含有していることが必要である。本発明の樹脂組成物におけるポリアミド樹脂とゴムまたはエラストマー樹脂との比率は、ポリアミド樹脂/ゴムまたはエラストマー樹脂=99〜70質量%/1〜30質量%であることが必要であり、98〜75質量%/2〜25質量%であることが好ましく、97〜80質量%/3〜20質量%であることがさらに好ましい。ゴムまたはエラストマー樹脂の比率が1質量%未満であると、実質的に摺動性の向上が認められない。一方、ゴムまたはエラストマー樹脂の比率が30質量%を超えると、樹脂組成物の機械的特性が低下する。
本発明において、ゴムまたはエラストマー樹脂は、ゴムの性質を有していれば特に制限されないが、例えばポリエチレン、ポリプロプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体などのオレフィン系エラストマーや、各種アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(たとえば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、ジエンゴム(たとえばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(たとえばスチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合せしめたものなどのスチレン系エラストマー、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体など)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエンまたはイソプレンとの共重合体、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタン系エラストマー、フッ素系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、およびポリアミド系エラストマーなどが挙げられる。これらは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれであってもよい。前記各種エラストマー樹脂などから、少なくとも1種のものを用いることができる。
本発明において、前記ゴムまたはエラストマー樹脂は、その重量平均粒子径が1〜500nmであることが必要であり、1〜400nmであることが好ましく、1〜300nmであることがさらに好ましい。ゴムまたはエラストマー樹脂の重量平均粒子径が1nm未満になると分散性の確保が実質的に困難となり、500nmを超えると摺動性の向上が認められない。
本発明において、得られる樹脂組成物の摺動性を一層向上させるために、前記ゴムまたはエラストマー樹脂は、不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物で変性されていることが好ましい。不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クイトン酸、オレイン酸等の不飽和カルボン酸や、マレイン酸、イタコン酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、ブテニルコハク酸、テトラヒドロコハク酸、およびこれらの無水物などが挙げられ、これらのうち1種以上を用いることができる。なかでも、経済的理由から無水マレイン酸が特に好ましい。なお、ゴムまたはエラストマー樹脂を不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸またはその無水物で変性する方法としては、過酸化物の存在下にゴム、エラストマー樹脂と前記不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸またはその無水物とを混合し、例えば押出機、ミキサーなどを用いて100〜250℃、1〜10分混練することによっておこなうことができる。不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物の量は、ゴムまたはエラストマー樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましい。また、過酸化物量は、ゴムまたはエラストマー樹脂100重量部に対して0.05〜1重量部が好ましい。
本発明において、樹脂組成物の摺動性をさらに向上させるために、前記樹脂組成物100質量部に対して、リン酸塩粉末、タルクおよび潤滑油の中から選ばれた少なくとも1種類の添加剤を5質量部以下、好ましくは0.5〜5質量部の割合で配合してもよい。これらの添加剤は樹脂組成物の流動性を高め、添加剤を配合することで、樹脂組成物の摩擦係数や磨耗量が小さくなり摺動性が向上する。しかし、添加剤の配合割合が5質量部を超えると、流動性が高くなりすぎて成形性に劣り、また、摺動性にも劣るものとなることがある。
リン酸塩としては、水に不溶またはほとんど不溶の第2、第3リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、リン酸カルシウム、リン酸−水素カルシウム、リン酸バリウム、リン酸リチウム、メタリン酸カルシウム、ピロリン酸亜鉛などが挙げられるが、とりわけ水に不溶またはほとんど不溶の第2、第3リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩が好ましい。なお、リン酸塩は、粉末状態で150メッシュを通過する程度の粉体とすることが好ましい。
タルクとしては、市販されているものが使用できる。
また、潤滑油としては、スピンドル油、タービン油、マシン油、ダイナモ油などの芳香族系潤滑油、ナフテン系潤滑油、パラフィン系潤滑油または炭化水素、エステル、ポリグリコール、シリコンオイルのように合成油など一般に使用されている潤滑油が使用できる。
本発明の樹脂組成物には、成形品とした場合の摩擦特性や磨耗特性などの摺動性をより一層向上させるために、炭素繊維、フッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン、ガラスビーズなどの添加剤を添加してもよい。また、必要に応じて炭素カルシウムや硫酸バリウムなどの充填材、チタン酸カリウムなどのウイスカー、カーボンブラック、金属粉末などの導電性改良充填材を樹脂組成物の摺動性を損なわない範囲で添加してもよい。さらに、劣化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、離型剤なども適宜添加することができる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂成分を混合してもよい。
例えば、生分解性樹脂として、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ3−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシカプロン酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート/ブチレンテレフタレート共重合体、ポリエチレンアジペート/エチレンテレフタレート共重合体およびこれらの共重合体、またはこれらの混合物などが挙げられる。
また、その他の合成樹脂としては、熱可塑性樹脂として、ポリエチレングリコールまたはその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ナイロンその他のポリアミド、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを含むポリエチレン、他のポリオレフィンを含むポリエチレンコポリマー、ポリ塩化ビニル(可塑性の有無に関わらず)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ化炭素樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルローズアセテートブチレート等のセルロース樹脂、ポリアクリレートおよびポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンまたはアクリロニトリル−スチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリオキシメチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂またはグラフト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテル・エーテル・ケトン等のポリエステル、またはレゾール及びノボラック等のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂およびこれらの共重合体、またはこれらの混合物などが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン、シリコーン、フルオロシリコーン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ウレア・ホルムアルデヒド樹脂およびこれらの共重合体、またはこれらの混合物などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、例えば、工業的に最も簡便である溶融混練法によって、ポリアミド樹脂と、ゴムまたはエラストマー樹脂とを溶融混練することで製造することができる。溶融混練には一般的な押出機を用いることができ、例えば単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、二軸ロールなどの装置を用いることができる。混練状態の向上のため、二軸押出機を使用することが好ましい。ポリアミド樹脂と、ゴムまたはエラストマー樹脂との押出機への供給は、予め全ての原料をドライブレンドしたものを一つのホッパーに供給してもよいし、二つのホッパーにそれぞれの樹脂を仕込み、ホッパー下部のフィーダ等で定量しながら供給してもよい。また、前記樹脂組成物にリン酸塩粉末、タルクおよび潤滑油の中から選ばれた少なくとも1種類のものを添加する場合も同様である。なお、用いられる混練機の種類や混練条件について制限はない。
本発明の樹脂組成物を成形して成形品を製造する方法としては、一般に用いられる方法を採用することができ、例えば射出成形方法、押出成形方法、ブロー成形方法などを採用できる。このような成形方法によって、具体的には、ギア、カム、軸受、ローラー、車輪、チェーン、シールリング、ネジ、スイッチ部品、靴底、ファスナー、人工関節などの成形品を製造することができる。
次に実施例に基づき本発明を具体的に説明する。なお、実施例における各種物性値の測定は、以下の方法により測定した。
(1)引張強度(MPa):ASTM−D−638に記載の方法に準じて測定した。50MPa以上が好ましい。
(2)引張伸度(%):ASTM−D−638に記載の方法に準じて測定した。10%以上が好ましい。
(3)曲げ強度(MPa):ASTM−D−790に記載の方法に準じて測定した。80MPa以上が好ましい。
(4)曲げ弾性率(GPa):ASTM−D−790に記載の方法に準じて測定した。1.8GPa以上が好ましい。
(5)磨耗量(mg・mm/kg/km):樹脂組成物を用いて、外径25.6mm、内径20mm、厚み15mmの円筒形の試験片を作製した。次いで、鈴木式摩擦磨耗試験機(東洋測器社製 C−M型)を用いて、相手材としてS45C鋼を用い、試験荷重80kgf(面圧40kgf/cm)、周速10cm/秒の条件で回転を行った。2時間後に試料の重量を測定し、試験前の重量との差から磨耗量を求めた。5mg・mm/kg/km以下が好ましい。
(6)摩擦係数:樹脂組成物を用いて、外径25.6mm、内径20mm、厚み15mmの円筒形の試験片を作製した。次いで、鈴木式摩擦磨耗試験機(東洋測器社製 C−M型)の摩擦力検出器を用いて、荷重40kgf/cmの条件で1時間後の摩擦係数と2時間後の摩擦係数とを測定した。0.4以下が好ましい。
実施例及び比較例に用いた樹脂原料は次のとおりである。
1.ポリアミド樹脂
(1)ナイロン6:ユニチカ社製A1030BRL
(2)ナイロン66:ユニチカ社製A125
2.ゴムまたはエラストマー樹脂
(1)アクリロニトリル−ブタジエンラバー:三洋貿易社 Narpow VP−401(粒子径100nm)
(2)スチレン−ブタジエンラバー:三洋貿易社 Narpow VP−101(粒子径100nm)
(3)アクリロニトリル−ブタジエンラバー(カルボン酸変性):三洋貿易社 Narpow VP−501(粒子径50−100nm)
(4)シリコーンゴム:信越化学工業社 KMP−598(粒子径2000−30000nm)
3.添加剤
(1)タルク:日本タルク社製N(F)
(2)潤滑油:東芝シリコーン社製 シリコンオイルTSF451−1M
(3)リン酸塩粉末:太平化学産業社製 第三リン酸カルシウム
(4)超高分子ポリオレフィン:三井石油化学社製 ミペロンXM−220
実施例1
ナイロン6(90質量部)と、アクリロニトリル−ブタジエンラバー(10質量部)とをドライブレンドし、二軸混練押出機(池貝製PCM−30、ダイス直径4mm×3孔、シリンダ温度260℃)に、ホッパーより供給し、押出し、ペレット状に加工し、乾燥して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物ペレットを、東芝機械製射出成形機IS−80G型を用いて、シリンダ温度260℃、金型温度80℃、射出時間10秒、冷却時間10秒で射出成形し成形品を得た。得られた成形品を用いて各種評価をおこなった。
実施例2
ナイロン66(90質量部)と、アクリロニトリル−ブタジエンラバー(10質量部)とをドライブレンドし、二軸混練押出機(池貝製PCM−30、ダイス直径4mm×3孔、シリンダ温度280℃)に、ホッパーより供給し、押出し、ペレット状に加工し、乾燥して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物ペレットを、東芝機械性射出成形機IS−80G型を用いて、シリンダ温度280℃、金型温度100℃、射出時間10秒、冷却時間10秒で射出成形し成形品を得た。得られた成形品を用いて各種評価をおこなった。
実施例3〜9、比較例1〜6
ゴムまたはエラストマー樹脂、添加剤の種類と量を表1に示すように変えた以外は、使用するポリアミド樹脂がナイロン6の場合は実施例1と同様に、またナイロン66の場合は実施例2と同様にして樹脂組成物を得て、評価を行った。
実施例1〜9、比較例1〜6の結果を表1にまとめて示した。
実施例1〜9では、いずれもポリアミド樹脂とゴムまたはエラストマー樹脂とが本発明で規定した範囲でブレンドされているため、いずれも良好な摩擦係数や磨耗量が低く摺動性に優れたものであった。
また、実施例2〜4では、エラストマー樹脂の配合量が増えると、ポリアミド樹脂の配合割合が減るため機械的特性はやや低下するものの、摩擦係数や磨耗量は小さくなり摺動性が向上した。
さらに、実施例6では、ゴムまたはエラストマー樹脂としてカルボン酸変性されたアクリロニトリル−ブタジエンラバーを用いたため、さらに摩擦係数や磨耗量が低く摺動性に優れたものであった。
実施例7〜9は、いずれも実施例2の樹脂組成物にタルク、潤滑油、リン酸塩粉末を配合したものであり、実施例2に比べ、機械的強度は同等あるいはやや低下したものの、摩擦係数は低くなり摺動性が向上した。
比較例1および2では、それぞれナイロン6およびナイロン66のみを用いたため、機械的特性には優れているものの、摩擦係数や磨耗量が大きく摺動性に劣るものであった。
比較例3では、ナイロン66の配合割合が本発明で規定した下限より少ないため、機械的特性に劣るものであった。
比較例4では、ゴムまたはエラストマー樹脂の配合割合が本発明で規定した下限より少ないため、摩擦係数や磨耗量が大きく摺動性に劣るものであった。
比較例5では、ゴムまたはエラストマー樹脂の重量平均粒子径が本発明で規定した上限を超えるため、摩擦係数や磨耗量が大きく摺動性に劣るものであった。
比較例6では、ゴムまたはエラストマー樹脂ではない超高分子ポリオレフィンを用いたため、摩擦係数や磨耗量が大きく摺動性に劣るものであった。

Claims (3)

  1. ポリアミド樹脂70〜99質量部と、重量平均粒子径が1〜500nmであるゴムまたはエラストマー樹脂30〜1質量部とからなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、タルク、リン酸塩粉末および潤滑油の中から選ばれた少なくとも1種類の添加剤が5質量部以下の割合で配合されていることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物を用いてなる成形品。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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