JP2007117523A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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拓也 堂本
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Abstract

【課題】 超電動磁石を励磁するための外部の励磁電源装置を用いることなく前記超電導磁石の励磁及び減磁作業工数の低減を図ると共に前記外部の励磁電源装置の設置スペースを不要とする磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【解決手段】 傾斜磁場電源装置2から超電動磁石の超電動コイル4に励磁電流を供給する励磁電流供給手段を設ける。この励磁電流供給手段は、前記傾斜磁場電源装置2をX軸、Y軸及びZ軸の傾斜磁場コイル1x、1y、1zと前記超電導コイル4とのいずれか一方に接続替えするための切り替え器6と、前記励磁電流供給時に前記傾斜磁場電源装置2を前記超電導コイル4に接続する開閉器8と、前記励磁電流の指令値Ixm、Iym、Izmを設定し、この設定値になるように前記励磁電流を制御する制御回路2xc、2yc、2zcを備えて構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、静磁場発生に超電動磁石を用いた磁気共鳴イメージング装置に係り、特に前記超電導磁石の励磁のための励磁電源装置を医療現場に持ち込むことなく据付、メンテナンスを行うことが可能な磁気共鳴イメージング装置に関する。
静磁場中に被検体を配置し、この静磁場と直角方向に高周波磁場を加えて磁気共鳴現象を発生させると共に、傾斜磁場電源装置よりX軸、Y軸、Z軸用の傾斜磁場コイルにそれぞれ電流を供給して形成される傾斜磁場GX、GY、GZを静磁場に重畳させ、被検体から得られるMR信号をプローブで検出して画像化する磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置と呼ぶ)が多用されている。
前記静磁場は、超電導線材をコイル状に巻き(以下、超電導コイルと呼ぶ)、これを冷媒容器に収容されている超電導冷媒である液体ヘリウム中に浸漬された超電導磁石装置によって予め定められた空間に磁界を発生させるようにしたものである。
前記超電導磁石装置は、0.5から3.0T(テスラ:10,000ガウス)以上の強力な磁場の発生を超電導コイルに流れる永久電流により実現しており、高い空間均一度の磁場を発生する。
前記永久電流は、MRI装置の据付時、あるいはメンテナンス時に外部の励磁電源装置から前記超電導コイルに励磁電流をランプ関数的に徐々に増大させて所望の電流を流して励磁し、この励磁後に後述の永久電流スイッチを前記超電導コイルに並列に接続して永久電流モードで撮像に供する。
このような外部の励磁電源装置から励磁電流を流して超電導磁石を励磁する技術が特許文献1に開示されている。
この特許文献1による超電導磁石の励磁は、外部の励磁電源装置からの励磁電流をコネクタ部及び永久電流スイッチを経由して超電導コイルに供給されることにより成される。
前記永久電流スイッチは、上記のように静磁場発生源を永久電流モードで運転する際のスイッチで、主として超電導線材とヒータ線とを一緒にコイル状に巻き、エポキシ樹脂などで熱絶縁を施したもので構成される。
前記静磁場発生源は、前記永久電流スイッチを超電導コイルに並列に接続する永久電流ジョイントにおいて、前記超電導線材及び前記励磁電源装置と接続されており、該励磁電源装置側には前記励磁が完了した後に前記励磁電源装置を前記静磁場発生源から切り離すスイッチが設けられている。
また、前記ヒータ線には、コネクタ部を経由してヒータ電源が接続されており、ヒータ電源側にはスイッチが設けられている。
このような構成による前記静磁場発生源としての超電導コイルの励磁は、前記ヒータ線を加熱したときには、前記永久電流スイッチとしての前記超電導線材は臨界温度以上となって前記永久電流スイッチを非導通として前記超電導コイルを励磁電源装置に接続し、超電導コイルの励磁回路を構成して励磁を行い、前記ヒータ線を加熱しないときには前記超電導線材は超電導状態となって前記永久電流スイッチは導通状態となり、前記超電導コイルには永久電流が流れて空間に均一な静磁場を発生する。
特開平9-260129号公報
上記励磁電源装置は、出力電圧10V〜15V程度、出力電流600A〜800Aの直流電流を供給する能力が必要であり、前記静磁場発生源としての超電導コイルのインダクタンスは、20〜35Hと大きく、励磁された状態の超電導磁石の持つエネルギーは、5〜10MJにも達する。
このため、超電導磁石の急激な磁場変化によるクエンチ(超電導状態からの離脱)を防止する上でも前記励磁電流は0.5A/s程度のゆっくりとした立ち上げが必要であり、一般的に3〜6kWの電力を30分程度かけて励磁し、メンテナンスやMRI装置撤去時の減磁の際にも前記励磁と同程度の時間をかけて行う。
上記励磁電源装置は、出力電圧は低いが出力電流が大きいために、外形寸法が幅1000mm、奥行き600mm,高さ600mm程度と大型で、その重量も百数十kgと重い。
このような励磁電源装置は、MRI装置に常設されているものではなく、MRI装置の据付時、メンテナンス時及び撤去時に医療現場に持ち込み、前記外部励磁電源装置を超電導コイルに接続して上記の励磁及び減磁を行っている。
すなわち、MRI装置のガントリィの外装カバーを取り外し、前記外部励磁電源装置の電力線と前記励磁電流を制御する制御線をコネクタでMRI装置の励磁対象部に接続する。
そして、前記励磁電源装置および励磁電流制御用パーソナルコンピュータの電源を投入して、前記パーソナルコンピュータにより励磁又は減磁制御パラメータを設定して起動ボタンを押す。
エラーがなければ30分から1時間かけて励磁又は減磁を行い、該励磁又は減磁が完了すると、前記コネクタを外して前記励磁電源装置及び制御線をMRI装置と切り離し、前記外装カバーをガントリィに取り付ける。
このように、従来は、大型で重量の重い励磁電源装置を医療現場への持ち込み、上記の手順により励磁及び減磁を行っていたので、外部励磁電源装置の持ち込み及びMRI装置への接続作業に多くの時間を費やすと共に前記励磁電源装置を置くための特別のスペースを必要としていた。
本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであって、超電動磁石を励磁するための外部の励磁電源装置を用いることなく前記超電導磁石の励磁及び減磁作業工数の低減を図ると共に前記外部の励磁電源装置の設置スペースを不要とする磁気共鳴イメージング装置を提供することにある。
本発明は、傾斜磁場電源装置を用いて超電導磁石の励磁及び減磁を行うもので、具体的には以下の手段によって達成される。
(1)超電導コイルを有し、この超電動コイルを励磁した後に該超電導コイルに永久電流を流して得られる超電動磁石により静磁場を発生する静磁場発生手段と、この静磁場発生手段によって形成された空間に均一な静磁場中に被検体を配置し、撮像条件に応じてX軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイルに傾斜磁場電流を流して傾斜磁場を形成するための傾斜磁場電源装置と、前記形成された傾斜磁場を前記静磁場に重畳して前記被検体の磁気共鳴像を得る磁気共鳴イメージング装置であって、前記超電導磁石を励磁する励磁電流を前記傾斜磁場電源装置から供給する励磁電流供給手段を備えたものである。
(2)上記励磁電流供給手段は、上記傾斜磁場電源装置を上記傾斜磁場コイルに接続又は前記傾斜磁場電源装置を上記超電導コイルに接続替えするための切り替え手段と、上記励磁電流供給時に前記傾斜磁場電源装置を前記超電導コイルに接続する接続手段と、前記励磁電流指令値を設定し、この設定値になるように前記励磁電流を制御する手段とを備えて構成され、前記X軸、Y軸及びZ軸の傾斜磁場コイルに電流を供給する三つの電流アンプを有する前記傾斜磁場電源装置の少なくとも二つの電流アンプの出力電流を加算する手段によって加算した電流を前記超電動コイルに供給するか、又は前記三つの電流アンプのうちの一つの電流アンプの出力電流を前記超電動コイルに供給して前記超電導磁石を励磁する。
このように構成された磁気共鳴イメージング装置は、上記超電動磁石の励磁電力を傾斜磁場電源装置から供給するようにしたので、従来のように、大型で重い重量の外部の励磁電源装置を医療現場に持ち込む必要がなくなり、これによって超電動磁石の励磁作業工数の低減を図ると共に前記励磁電源装置を置くための特別の設置スペースを不要とすることができる。
(3)上記励磁電流供給手段は、さらに上記三つの電流アンプのうちの少なくとも二つの電流アンプと上記加算手段との間に流れる循環電流を抑制する電流制限手段を設けたもので、これによって前記電流アンプの並列接続回路間に流れる高周波成分の循環電流を抑制することができ、前記電流アンプの損失を低減することができる。
(4)上記切り替え手段と、接続手段と、励磁電流を制御する手段と、前記電流アンプの出力電流を加算する手段と、前記電流制限手段と、前記制御信号生成手段とを前記傾斜磁場電源装置に含めて構成する。
このように構成することにより、上記傾斜磁場電源装置と上記切り替え手段等とを外部で接続する必要がなくなるので、超電動磁石の励磁及び減磁の準備作業工数を低減することができる。
(5)また、上記傾斜磁場電源装置と上記超電導磁石を励磁する手段に前記傾斜磁場電源装置と前記超電導磁石の励磁手段とを接続する端子を設けた。
これによって、手作業でも簡単に前記傾斜磁場電源装置を前記超電導磁石の励磁手段に接続して超電動磁石を励磁することができる。
(6)さらに上記傾斜磁場電源装置に、上記傾斜磁場発生用と上記超電導磁石の励磁用に対応して前記傾斜磁場電源装置の直流電源電圧を可変する手段を設けた。
前記傾斜磁場電源装置の直流電源電圧を可変する手段は、三相交流電源からの交流電圧を任意の直流電圧に変換する手段と、この変換手段により変換された直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、前記傾斜磁場発生用電圧と前記超電導磁石の励磁用の電圧との電圧指令信号を設定する電圧指令信号設定手段と、この設定手段により設定された電圧指令信号を入力して前記傾斜磁場発生用と前記超電導磁石の励磁用の電圧を前記変換手段で制御する電圧制御手段とを備えたものである。
このように構成することにより、通常の撮像モードと超電動磁石の励磁モードでこれらのモードに対応した電圧を出力することができるので、超電動磁石の励磁モードにおける電流アンプの損失は低減されて、傾斜磁場電源装置を高効率なもにすることができる。
(7)さらに上記超電導磁石の減磁時に上記超電導コイルに蓄えられた電磁エネルギーを消費させる電磁エネルギー消費手段を設けた。
前記電磁エネルギーは、抵抗又は前記傾斜磁場コイルのX軸コイル、Y軸コイル、Z軸コイルのうちの任意のコイルに消費させるものである。
このように、超電導コイルに蓄えられた励磁エネルギーを抵抗に消費させることにより、簡単な手段を備えるだけで超電導磁石を減磁することができる。
また、前記電磁エネルギーを前記X軸傾斜磁場コイルに消費させる構成にすることにより、さらに超電導磁石の減磁回路は簡単なものとなる。
(8)上記超電導磁石の減磁時に上記超電導コイルの電磁エネルギーを上記傾斜磁場コイルに消費させる際に、さらに上記平滑コンデンサの電圧を一定に制御する手段を備えた。
このようにして超電導磁石の減磁を行うことにより、上記電流アンプの入力側の直流電源電圧を所定値以下に抑制できるので、前記平滑コンデンサの電圧が上昇することなく前記平滑コンデンサや電流アンプ等を構成する電気部品の耐電圧に余裕を持たせることが可能となる。
(9)さらに上記超電導磁石の減磁時に上記超電導コイルに蓄えられた電磁エネルギーを交流電源に回生する手段を設けた。
このように、前記超電動コイルの電磁エネルギーを交流電源側に回生することができるので、励磁した超電動磁石の励磁エネルギーを消費させることなく前記励磁エネルギーを有効に活用することができる。
(10)さらに、前記励磁電流指令値及び前記励磁電流回路を形成する信号を出力する励磁制御手段を設けた。
このように、励磁制御手段を設けて、この手段から励磁電流指令値及び励磁電流回路を形成する信号を出力して励磁することにより、磁気共鳴イメージング装置の据え付け時に、超電動コイルの励磁後の冷却に多くの時間を要するガントリィのみを先に据え付けておいて、MRIシーケンサ等は後から搬入する場合にも前記操作コンソールやMRIシーケンサを用いないで励磁することができるようになる。
本発明によれば、超電導磁石を用いて静磁場を発生する磁気共鳴イメージング装置の前記超電動磁石の励磁電力を傾斜磁場電源装置から供給するようにしたので、従来のように、大型で重い重量の外部の励磁電源装置を医療現場に持ち込む必要がなくなり、これによって超電動磁石の励磁作業工数の低減を図ると共に前記励磁電源装置を置くための特別の設置スペースを不要とすることができるという効果を奏する。
以下、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の好ましい実施の形態について添付図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による磁気共鳴イメージング装置の静磁場発生源の超電動磁石を励磁する回路構成図である。
この図1の超電動磁石の励磁回路は、傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場コイル1(X軸コイル1x、Y軸コイル1y、Z軸コイル1z)に傾斜磁場電流を供給する傾斜磁場電源装置2と、前記傾斜磁場コイル1に流す電流の傾斜磁場電流指令と前記超電動磁石を励磁する励磁電流指令とを発生するMRIシーケンサ3と、前記傾斜磁場電源装置2から前記超電動磁石の超電動コイル4に励磁電流を流して前記超電動磁石を励磁する励磁回路5と、前記傾斜磁場電源装置2の出力を前記傾斜磁場コイル1と前記超電導コイル4のいずれかに切り替え接続する切り替え器6と、前記傾斜磁場電源装置2を構成する後述の電流アンプの出力電流を加算する加算回路7と、前記超電動磁石の励磁時に前記加算回路7と前記超電動コイル4及び前記励磁回路5とを接続する開閉器8とにより構成される。
前記傾斜磁場電源装置2は、例えば特開平8-211139号公報に開示されているような電流アンプを用いたX軸傾斜磁場コイル用電流アンプ2xと、Y軸傾斜磁場コイル用電流アンプ2yと、Z軸傾斜磁場コイル用電流アンプ2zと、前記各電流アンプを制御する制御回路2xc、2yc、2zcとを備えて構成される。
このように構成された傾斜磁場電源装置2は、後述のMRIシーケンサ3からの傾斜磁場発生用の傾斜磁場電流指令(X軸電流指令Ixs、Y軸電流指令Iys、Z軸電流指令Izs、)及び超電動磁石励磁用の励磁電流指令Ixm、Iym、Izmになるように前記電流アンプを駆動制御する傾斜磁場電流制御信号及び励磁電流制御信号を前記制御回路2xc、2yc、2zcで生成し、この生成された制御信号を前記電流アンプ2x、2y、2zで増幅して、それぞれ傾斜磁場コイル1又は超電動コイル4に供給する。
前記傾斜磁場電源装置2の電流アンプ2x、2y、2zは、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの傾斜磁場コイル1x、1y、1zに最大600A程度の電流を供給することが可能であり、これらの電流アンプは300A程度の直流電流を流すことができる。
これに対して、前記超電導磁石の励磁には、上記したように出力電圧10V〜15V程度、出力電流600A〜800Aの直流電力を供給する必要があるが、前記X軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイルに電流を供給する三つの電流アンプを並列に接続して、これらの電流を加算することにより最大900Aの直流電流を供給することが可能であるので、前記傾斜磁場電源装置2は前記超電動磁石を励磁するためには十分な電流供給能力を備えている。
前記MRIシーケンサ3は、オペレータが操作コンソール9から入力して設定した通常の撮像モードか超電動磁石の励磁モードかの操作信号により、通常の撮像モードの場合は、前記切り替え器6により前記電流アンプ2x、2y、2zをそれぞれの対応する傾斜磁場コイル1x、1y、1zに接続して傾斜磁場発生系を構成し、前記MRIシーケンサ3から傾斜磁場発生用の傾斜磁場電流指令(X軸電流指令Ixs、Y軸電流指令Iys、Z軸電流指令Izs、)を出力してこれらを前記制御回路2xc、2yc、2zcに入力する。
一方、超電動磁石の励磁モードの場合は、前記切り替え器6により前記電流アンプ2x、2y、2zを前記加算回路7に接続すると共に前記開閉器8を閉じて超電動磁石を励磁する回路を構成し、前記MRIシーケンサ3から超電動磁石励磁用の励磁電流指令Ixm、Iym、Izmを出力してこれらを前記制御回路2xc、2yc、2zcに入力する。
前記励磁回路5は、永久電流スイッチ5aと、この永久電流スイッチ5aを導通、非導通に制御するヒータ電源5bと、このヒータ電源5bを前記永久電流スイッチ5aに接続するスイッチ5cとで構成される。
前記永久電流スイッチ5aは、静磁場発生源を永久電流モードで運転する際のスイッチで、主として超電導線材5a1とヒータ線5a2とを一緒にコイル状に巻き、エポキシ樹脂などで熱絶縁を施したもので構成され、これを超電動コイル4と共に冷媒容器に超電導冷媒である液体ヘリウム中に浸漬して収容する。
前記超電動コイル4に励磁電流を流して励磁される超電動磁石による前記静磁場発生源は、前記永久電流スイッチ5aを超電導コイル4に並列に接続する永久電流ジョイントP、Qにおいて、前記超電導線材5a1及び励磁電源装置としての前記傾斜磁場電源装置2に接続され、前記励磁が完了した後に前記開閉器8により前記傾斜磁場電源装置を前記静磁場発生源から切り離すように構成されている。
また、前記ヒータ線5a2には、前記スイッチ5cを経由してヒータ電源5bが接続され、前記スイッチ5cは前記操作コンソール9で設定した通常の撮像モードか超電動磁石の励磁モードかの操作信号により開閉し、通常の撮像モード時には開いて超電導コイル4に永久電流を流し、超電導磁石の励磁時には閉じて永久電流スイッチ5aを開いて前記傾斜磁場電源装置2から超電導磁石4に励磁電流を供給するように構成される。
このような構成による前記静磁場発生源としての超電導磁石の励磁は、前記ヒータ線5a2を加熱したときには、前記超電導線材5a1は臨界温度以上となって前記永久電流スイッチ5aを非導通として前記超電導コイル4を前記傾斜磁場電源装置2に接続して超電導コイル4の励磁回路を構成し、前記ヒータ線5a2を加熱しないときには、前記超電導線材5a1は超電導状態となって前記永久電流スイッチ5aは導通状態となり、前記超電導コイル4には永久電流が流れて空間に均一な静磁場を発生する。
次に、以上のように構成された本発明の第1の実施形態による磁気共鳴イメージング装置の動作について説明する。
(1)オペレータは、操作コンソール9に通常の撮像モードか超電動磁石の励磁モードかの操作信号を入力する。
(2)通常の撮像モード時は、以下のように動作する。
1)前記通常の撮像モード操作信号により、切り替え器6を傾斜磁場コイル1側に切り替え、開閉器8及びスイッチ5cを開いておき、傾斜磁場電源装置2と傾斜磁場コイル1とを接続して傾斜磁場発生系を構成する。
2)MRIシーケンサ3から傾斜磁場発生用電流指令(X軸電流指令Ixs、Y軸電流指令Iys、Z軸電流指令Izs、)を出力してこれらを前記制御回路2xc、2yc、2zcに入力する。
3)前記制御回路2xc、2yc、2zcは、前記傾斜磁場コイルに流す電流を前記傾斜磁場発生用電流指令Ixs、Iys、Izsと一致するように前記電流アンプを駆動制御する傾斜磁場電流制御信号を生成し、この生成した制御信号に基づいて傾斜磁場コイル1に流す電流を前記電流アンプ2x、2y、2zで増幅して、この増幅した電流を前記傾斜磁場コイル1(X軸コイル1x、Y軸コイル1y、Z軸コイル1z)に流し、傾斜磁場を発生させて、通常の撮像を行う。
(3)超電動磁石の励磁モード時は、以下のように動作する。
1)前記超電動磁石の励磁モード操作信号により、切り替え器6を励磁回路側に切り替えると共に前記開閉器8を閉路する。
2)前記励磁回路5のスイッチ5cを閉じてヒータ電源5bからヒータ線5a2に電力を供給して前記ヒータ線5a2を加熱することにより、前記永久電流スイッチとしての前記超電導線材5a1は臨界温度以上となって前記永久電流スイッチ5aを非導通にする。
そして、前記超電導コイル4を前記傾斜磁場電源装置2に接続し、超電導コイル4の励磁回路を構成する。
3)MRIシーケンサ3から超電動磁石励磁用の励磁電流指令Ixm、Iym、Izm出力してこれらを前記制御回路2xc、2yc、2zcに入力する。
4)前記制御回路2xc、2yc、2zcは、前記超電動コイル4に流す励磁電流を前記励磁電流指令Ixm、Iym、Izmと一致するように前記電流アンプを駆動制御する励磁電流制御信号を生成し、この生成した制御信号に基づいて前記超電動コイル4に流す励磁電流を前記電流アンプ2x、2y、2zで増幅して、これらの増幅した電流を加算回路7で加算して前記超電動コイル4に流し、超電動磁石を励磁する。
5)なお、前記超電導磁石を構成する超電導コイル4のインダクタンスは、20〜35Hと大きく、励磁された状態の超電導コイル4に蓄えられる電磁エネルギーは、5〜10MJにも達する。
このため、前記600A〜800Aの直流電流を短時間の間に急激に流すと過大な電圧が発生し、この電圧により周辺機器に危害を及ぼすことが懸念されるので、励磁は時間をかけて徐々に行う必要があり、3〜6kWで30分程度かけて励磁する。
また、超電導磁石の急激な磁場変化によるクエンチ(超電導状態からの離脱)を防止するために前記励磁電流は0.5A/s程度のランプ関数状にゆっくりと立ち上げ、その後、所要の電流を所定時間流して励磁を行う。
6)磁気共鳴イメージング装置のメンテナンスや撤去時における前記超電動磁石の減磁時は、励磁された状態の超電動磁石の持つエネルギーを処理する必要があるが、これについては後述の第4、第5、第6、第7及び第8の実施形態で詳細に説明する。
なお、上記第1の実施形態においては、切り替え器6により傾斜磁場電流電源装置2の3つの電流アンプ2x、2y、2zの出力電流を加算して超電動磁石の励磁電流としたが、前記それぞれの電流アンプの電流容量が大きい場合は、前記3つの電流アンプ2x、2y、2zのうちの1つ又は2つの電流アンプから励磁電流を供給するようにしても良い。
また、傾斜磁場コイル1と超電動コイル4との切り替えを切り替え器6を用いて切り替える構成にしたが、本発明はこれに限定するものではなく、前記傾斜磁場電源装置2の各電流アンプ2x、2y、2zの出力端と前記傾斜磁場コイル1の各コイル端及び前記加算回路7の入力側にそれぞれ端子を設け、これらの端子の接続替えにより傾斜磁場発生系及び超電導磁石の励磁系を構成するようにしても良い。
上記第1の実施形態による本発明の磁気共鳴イメージィング装置は、前記超電動磁石の励磁電力を傾斜磁場電源装置から供給するようにしたので、従来のように、大型で重い重量の外部の励磁電源装置を医療現場に持ち込む必要がなくなり、これによって超電動磁石の励磁作業工数の低減を図ると共に前記励磁電源装置を置くための特別の設置スペースを不要とすることができる。
図2は、本発明の第2の実施形態による磁気共鳴イメージング装置の静磁場発生源の超電動磁石を励磁する回路構成図である。
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の傾斜磁場電源装置2の電流アンプ2x、2y、2zと加算回路7との間に電流制限手段10を設けたものである。
上記図1の第1の実施形態では、前記超電動磁石の励磁時に前記傾斜磁場電源装置2の電流アンプ2x、2y、2zを並列接続して、これらの電流を加算回路7で加算するようにしたが、前記電流アンプのそれぞれの電流は励磁電流指令になるように制御されているので、前記電流アンプの並列接続回路間に基本的には直流成分の循環電流は流れないが、しかし、僅かな高周波成分の循環電流が流れることが懸念される。
この循環電流は、前記電流アンプの損失の要因となるので、この損失を低減するためには前記循環電流を抑制する必要がある。
このような循環電流は、前記電流アンプの出力側に設けられた図示省略のフィルタにより抑制されるが、その抑制効果が不十分な場合は、上記図2のように前記電流制限手段10を設け、これによって前記循環電流を抑制するものである。
前記電流制限手段10は、適当なインダクタンスを有するリアクトルが望ましいが、前記循環電流を抑制できるものであれば抵抗でも良い。
このように本発明の第2の実施形態は、上記第1の実施形態に循環電流を抑制するための電流制限手段10を設けた以外は前記第1の実施形態と同じ構成であり、その動作も同じであるので、これらについての説明は省略する。
図3は、本発明の第3の実施形態による磁気共鳴イメージング装置の静磁場発生源の超電動磁石を励磁する回路構成図である。
この図3の第3の実施形態は、前記傾斜磁場電源装置2と前記図1又は図2の切り替え器6、開閉器8、電流制限手段10(図1では不要)及び制御信号生成手段とを同一の筐体に収容し、これら全部を含めて傾斜磁場電源装置2aとしたものである。
このように構成することにより、前記傾斜磁場電源装置2と切り替え器6と開閉器8、電流制限手段10(図1では不要)及び制御信号生成手段とを外部で接続する必要がなくなるので、超電動磁石の励磁及び減磁の準備作業工数を低減することができる。
図4は、上記図1、図2又は図3の実施形態に傾斜磁場電源装置2、2aの出力電圧を可変する手段を設けた本発明による第4の実施形態の回路構成図である。
傾斜磁場コイルに電力を供給して撮像に必要な傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場電源装置は、出力電圧300〜2000V、直流出力電流300A程度の電力を供給可能な能力を備えている。
これに対して、上記したように超電動磁石の励磁には、出力電圧10〜15V程度、出力電流600A〜800Aの直流電力を供給する必要がある。
このように、傾斜磁場発生用と超電動磁石の励磁用とでは、出力電圧に大きな差があり、例えば傾斜磁場電源装置の出力電圧を300Vとして、超電導コイルに600A〜800Aの直流電流を流して超電動磁石を励磁すると、前記傾斜磁場電源装置の電流アンプ2x、2y、2zの損失が大きくなる。
そこで、前記電流アンプの損失を小さくして所要の励磁電流を超電導コイルに流すためには、前記電流アンプの直流電源電圧を低くする必要がある。
このような理由により、図4に示す本発明の第4の実施形態による傾斜磁場電源装置2bは、前記傾斜磁場電源装置2、2aに電流アンプ2x、2y、2zの直流電源電圧を可変する手段を設け、この手段により傾斜磁場発生時には300〜2000Vの出力電圧を、超電導コイルの励磁時には10〜15V程度の出力電圧を出力するものである。
図4において、前記傾斜磁場電源装置2bの電流アンプ2x、2y、2zの直流電源電圧を可変する手段11は、三相交流電源12の交流電圧を整流して直流電圧に変換する交流−直流変換器11aと、この変換された直流電圧を平滑する平滑コンデンサ11bと、前記直流電圧を傾斜磁場発生時と超電導コイルの励磁時に対応した出力電圧にするための電圧指令手段11cとで構成される。
前記交流−直流変換器11aは、制御整流素子であるサイリスタを用いた全波整流回路による変換手段や、ダイオードで全波整流し、この整流された直流電圧をチョッパ回路で可変する変換手段などで前記交流電源12の交流電圧を直流電圧に変換し、これを平滑コンデンサ11bで平滑する。
前記電圧指令手段11cは、オペレータが操作コンソール9で設定した通常の撮像モードか超電動磁石の励磁モードかの操作信号によりMRIシーケンサ3から該操作信号に対応した電圧指令を出力し、前記交流―直流変換器11aは前記電圧指令に対応した直流電圧に変換して、この変換された電圧を電流アンプ2x、2y、2zの直流電源電圧とする。
このように構成することにより、通常の撮像モードと超電動磁石の励磁モードでこれらのモードに対応した電圧を出力することができるので、超電動磁石の励磁モードにおける電流アンプの損失は低減されて、傾斜磁場電源装置2を高効率なもにすることができる。
次に、上記のようにして励磁された超電動磁石を減磁する実施形態について説明する。
前記超電動磁石の減磁は、磁気共鳴イメージング装置のメンテナンスや撤去時において行われるもので、励磁された状態の超伝導磁石の持つエネルギーは、3〜6kWの電力を30分程度の時間をかけて処理されるエネルギーである。
図5は、前記図4の傾斜磁場電源装置2bに超電動磁石の励磁エネルギーを消費する手段を備えた本発明による第5の実施形態の回路構成図である。
この図5の傾斜磁場電源装置2cの出力は、前記傾斜磁場コイル1と超電動コイル4に供給されるが、これらの回路については上記図1、図2及び図3と同様であるのでその説明は省略する。
図5において、励磁エネルギー消費手段13は、減磁時に閉じるスイッチ13aとこれと直列に接続された放電抵抗13bとから成る直列接続回路を前記平滑コンデンサ11bに並列に接続して構成され、この回路により前記電磁エネギーを前記放電抵抗13bに消費させるものである。
上記励磁エネルギー消費手段13を備えた回路により、超電導磁石の減磁は上記励磁時と同じ回路を構成して以下により行う。
(1)先ず、図示は省略したが前記図4の電圧指令手段11cにより、交流―直流変換器11aを制御して該変換器11aの出力電圧を非常に低くしておく。
(2)オペレータが設定した超電動磁石の減磁モード操作信号により、図1、図2又は図3の切り替え器6を超電動コイル4側に切り替えると共に開閉器8を閉路する。
(3)前記図1、図2又は図3の励磁回路5のスイッチ5cをオンにしてヒータ電源5bからヒータ線5a2に電力を供給して前記ヒータ線5a2を加熱することにより、前記永久電流スイッチとしての前記超電導線材5a1は臨界温度以上となって前記永久電流スイッチ5aは非導通になる。
そして、前記超電導コイル4を前記傾斜磁場電源装置2cに接続し、超電導コイル4の減磁回路を構成する。
(4)前記図1、図2又は図3のMRIシーケンサ3から超電動磁石減磁用の減磁電流指令を出力し、これを前記制御回路2xc、2yc、2zcに入力する。
(5)前記制御回路2xc、2yc、2zcは、前記超電動コイル4の減磁エネルギーに対応する減磁電流を前記減磁電流指令と一致するように前記電流アンプを駆動制御する減磁電流制御信号を生成し、この生成した制御信号に基づいて前記超電動コイル4の減磁電流を前記電流アンプ2x、2y、2zで制御して、該電流アンプを介して前記減磁エネルギーを前記放電抵抗に消費させる。
(6)なお、上記の減磁の前に、前記平滑コンデンサ11bの電圧が前記減磁エネルギーに対応する電圧以上の場合は、図示は省略するが、前記スイッチ13aを閉じて前記平滑コンデンサ11bの電圧を前記放電抵抗に放電して所定の電圧以下にしておく。
このように、超電導コイル4に蓄えられた励磁エネルギーを放電抵抗13bに放電して消費させることにより、簡単な手段を備えるだけで超電導磁石を減磁することができる。
図6は、超電動磁石の減磁エネルギーを傾斜磁場コイル1に消費させる本発明による第6の実施形態の回路構成図である。
この第6の実施形態は、傾斜磁場電源装置の三つの電流アンプ2x、2y、2zのうちの1つを傾斜磁場コイルに接続したままにしておき、残りの電流アンプを超電動コイル4に接続して、該超電導コイル4に蓄えられている励磁エネルギーを前記1つの傾斜磁場コイルに消費させるものである。
例えば、前記励磁エネルギーをX軸傾斜磁場コイル1xに消費するとした場合は、図6に示すように、切り替え器6’を超電導コイル4側に接続すると共に開閉器8を閉じ、電流アンプ2xをX軸傾斜磁場コイル1xに接続したままとしておき、残りの電流アンプ2y、2zを電流制限手段10’を介して加算回路7’に接続し、この加算回路7’と超電導コイル4とを接続して減磁回路を構成する。
このように構成された減磁回路により、超電導コイル4に蓄えられた電磁エネルギーは、超電動コイル4の減磁電流が前記X軸傾斜磁場コイル1xに流れるように前記電流アンプ2x、2y、2zを制御することによって、前記電磁エネルギーを前記X軸傾斜磁場コイル1xに消費させて、超電動磁石を減磁することができる。この例において、前記X軸傾斜磁場コイル1xで消費する電力は、前記X軸傾斜磁場コイル1xの抵抗値を0.1Ωとし、これに250Aの減磁電流を流すものとすると、その消費電力は6.25kWとなり、前記励磁エネルギーを十分に消費することができる。
なお、上記図6の実施形態では、消費させる励磁エネルギーをX軸傾斜磁場コイル1xに消費する例としたが、本発明はこれに限定するものではなく、前記励磁エネルギーを消費させる傾斜磁場コイルは、Y軸傾斜磁場コイル2yでもZ軸傾斜磁場コイル2zでも良く、また、超電動コイル4に接続する電流アンプが一つで、残りの2つを傾斜磁場コイルに接続して励磁エネルギーを消費させる構成でも良い。
図7は、上記図4の実施形態と図6の実施形態とを組み合わせて傾斜磁場電源装置に電流アンプの直流電源電圧を可変する手段を設け、この手段により傾斜磁場発生時と超電導コイルの励磁時にこれらの動作モードに対応した電圧を出力するように構成した本発明による第7の実施形態の回路構成図である。
前記図7において、図示省略の前記図4の電圧指令手段11cの電圧指令に対応して、傾斜磁場発生時は前記図4と同様に動作して300〜2000Vの電圧を出力し、超電動磁石の励磁時は図6と同様に動作して10〜15V程度の電圧を出力し、そして前記超電導磁石の減磁時は、前記図6と同様に超電導コイル4に蓄えられた電磁エネルギーを前記X軸傾斜磁場コイル1xに消費させるものである。
このような回路により、励磁状態にある超電動磁石を減磁しようとすると、超電動コイル4に蓄えられていた電磁エネルギーが傾斜磁場電源装置2dの平滑コンデンサ11bに充電されるために該平滑コンデンサ11bの電圧が上昇する。
この平滑コンデンサ11bの電圧が上昇すると、前記平滑コンデンサ11bや電流アンプ等を構成する電気部品の耐電圧に余裕がなくなるので、前記減磁時の電磁エネルギー放出による電圧を所定値以下に抑制する必要がある。
そこで、本発明の図7の実施形態においては、電圧検出手段14aと電圧監視手段14bによる電圧抑制手段14を設けて、前記電圧検出手段14aにより前記平滑コンデンサ11cの電圧を検出し、この検出した電圧を電圧監視手段14bに入力して、該電圧監視手段14bで前記平滑コンデンサ11bを所定以下の電圧にするための制御信号を生成し、これを制御回路2xcに入力して電流アンプ2xで前記平滑コンデンサ11bの電圧を所定値以下に制御し、超電導磁石の減磁を行うものである。
このようにして超電導磁石の減磁を行うことにより、電流アンプの入力側の直流電源電圧を所定値以下に抑制できるので、前記平滑コンデンサ11bの電圧が上昇することなく前記平滑コンデンサ11bや電流アンプ等を構成する電気部品の耐電圧に余裕を持たせることが可能となる。
なお、上記図7の実施形態では、消費させる減磁エネルギーをX軸傾斜磁場コイル1xに消費する例としたが、本発明はこれに限定するものではなく、前記電磁エネルギーを消費させる傾斜磁場コイルは、Y軸傾斜磁場コイル2yでもZ軸傾斜磁場コイル2zでも良く、また、超電動コイル4に接続する電流アンプが一つで、残りの2つが傾斜磁場コイルに接続して電磁エネルギーを消費させて減磁させる構成でも良い。
上記図5、図6、図7の実施形態による超電動磁石の減磁は、超電動コイル4に蓄積された電磁エネルギーを抵抗や傾斜磁場コイルに消費させるものであるが、このように前記電磁エネルギーを消費させないで、このエネルギーを商用交流電源側に回生して磁気共鳴イメーシング装置の電力利用効率を上げることも可能である。
すなわち、前記傾斜磁場電源装置の電流アンプ2x、2y、2zはそれぞれ双方向に用いることのできる電流―電圧変換機能を有し、かつ負荷電流(出力電流)を電圧に変換して、この変換した電圧を昇圧する機能も有しているので、図8の本発明による第8の実施形態の回路構成図に示すように、三相交流電源12の交流電圧を直流電圧に変換する交流―直流変換器15に特開平7-65987号公報に開示されている電力回生が可能な変換器を用いることにより前記超電導コイル4の電磁エネルギーを三相交流電源12に回生することができる。
このように構成された図8の本発明による第8の実施形態の回路を用いて、超電動磁石の励磁、傾斜磁場の発生及び超電動磁石の減磁は以下のようにして行う。
(1)超電導磁石の励磁時は、前記切り替え器6を励磁回路5側に切り替えると共に開閉器8及びスイッチ5cを閉じて傾斜磁場電源装置2を超電導コイル4に接続し、前記傾斜電源装置2から励磁電力を供給する回路を構成して前記超電導磁石を励磁する。
(2)傾斜磁場を発生する通常の撮像時は、前記切り替え器6を傾斜磁場コイル1側に切り替えると共に開閉器8を開路として前記超電導コイル4を傾斜磁場電源装置2と切り離し、前記スイッチ5cを開いて超電導コイルに永久電流を流して所要の静磁場を発生させ、前記傾斜磁場電源装置2の電流アンプ2x、2y、2zから撮像に必要な所要の電流を前記傾斜磁場コイルに供給して撮像する。
(3)超電導磁石の減磁時は、切り替え器6を励磁回路5側に接続し、開閉器8及びスイッチ5cを閉じて永久電流スイッチ5aを非導通として、超電導コイル4に蓄えられた電磁エネルギーを電圧に変換し、この電圧を電流アンプ2x、2y、2zで前記三相交流電源電圧よりも高い電圧に昇圧して、この電圧を回生可能な交流―直流変換器15により電源側に回生し、これにより超電導磁石の減磁を行う。
このように、本発明の第8の実施形態によれば、前記超電動コイル4の電磁エネルギーを交流電源側に回生することができるので、励磁した超電動磁石の励磁エネルギーを消費させることなく有効に利用することができる。
なお、磁気共鳴イメージング装置の据え付け時には、超電動コイルの励磁後の冷却に多くの時間を要するガントリィのみを先に据え付けておいて、MRIシーケンサ等は後から搬入するケースも多くある。
この場合は、操作コンソールやMRIシーケンサを用いないで励磁することが要求されるので、上記各実施形態のように操作コンソール及びMRIシーケンサから励磁に必要な操作信号を設定することができない。
そこで、図9に示すように(本発明の第9の実施形態)、励磁制御手段16を設けて、この励磁制御手段16から励磁に必要な各種の指令信号を出力して励磁を行う。
図9において、調整者は励磁を行う旨の励磁指令を励磁制御手段16に入力し、この励磁制御手段16から励磁回路を構成するための切り替え器6の切り替え信号、開閉器8の開閉信号、スイッチ5cの開閉信号及び励磁時に前記励磁制御手段から出力される励磁電流指令Ixm、Iym、Izmを制御回路2xc、2yc、2zcに入力するための開閉器17の開閉信号を出力して励磁回路を構成する。
そして、励磁時は、前記切り替え器6を超電動コイル4側に接続し、開閉器8、開閉器17及びスイッチ5cを閉じて傾斜磁場電源装置2から超電導コイルに励磁電流を供給する回路を構成し、前記励磁制御手段16からの励磁電流指令Ixm、Iym、Izmを制御回路2xc、2yc、2zcに入力して所要の励磁電流を超電導コイル4に供給して励磁する。
このように励磁制御手段16を設けことにより、操作コンソールやMRIシーケンサが無くても超電導磁石を励磁することができる。
以上、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定するものではなく、これらの実施形態を組み合わせ、傾斜磁場電源装置を用いて超電導磁石の励磁と減磁を行うことができる構成であれば、どのような組み合わせでも良い。
また、上記傾斜磁場電源装置に、傾斜磁場コイル又は超電動コイルに接続替えする切り替え器、傾斜磁場電源装置に超電動コイルを接続するための開閉器、循環電流を抑制するための電流制限手段、電流アンプの出力電流を加算する加算回路、励磁エネルギーを消費するための励磁エネルギー消費手段、電流アンプの出力電圧を可変するための直流電圧可変手段、前記電流アンプの直流電源電圧を所定以下に抑制する手段及び励磁エネルギー回生手段等の傾斜磁場コイル及び超電導磁石の励磁回路を除いた手段を収容して超電動磁石の励磁及び減磁を操作コンソールからのオペレータの操作指令で自動的に行うようにすることも、又は前記傾斜磁場電源装置に励磁及び減磁時に必要な最少の端子を設け、この端子の接続替えにより傾斜磁場発生系、超電動磁石の励磁及び減磁回路を構成するようにしても良い。
本発明の第1の実施形態による磁気共鳴イメージング装置の静磁場発生源の超電動磁石を励磁する回路構成図。 本発明の第2の実施形態による磁気共鳴イメージング装置の静磁場発生源の超電動磁石を励磁する回路構成図。 本発明の第3の実施形態による磁気共鳴イメージング装置の静磁場発生源の超電動磁石を励磁する回路構成図。 上記図1、図2又は図3の実施形態に傾斜磁場電源装置の出力電圧を可変する手段を設けた本発明による第4の実施形態の回路構成図。 上記図4の傾斜磁場電源装置に超電動磁石の励磁エネルギーを消費する手段を設けた本発明による第5の実施形態の回路構成図。 超電動磁石の励磁エネルギーを傾斜磁場コイルに消費させる本発明による第6の実施形態の回路構成図。 上記図4の実施形態と図6の実施形態とを組み合わせて動作モードに対応した電圧を出力する本発明による第7の実施形態の回路構成図。 超電動磁石の電磁エネルギーを三相交流電源に回生して減磁を行う本発明による第8の実施形態の回路構成図。 励磁制御手段から励磁に必要な各種の信号を出力して励磁を行う本発明による第9の実施形態の回路構成図。
符号の説明
1 傾斜磁場コイル、1x X軸コイル、1y Y軸コイル、1z Z軸コイル、2a、2b、2c、2d 傾斜磁場電源装置、2x、2y、2z 電流アンプ、2xc、2yc、2zc制御回路、3 MRIシーケンサ、4 超電動コイル、5 励磁回路、5a 永久電流スイッチ、6、6´ 切り替え器、7、7’ 加算回路、8 開閉器、9 操作コンソール、10 電流制限手段、11 直流電圧可変手段、12 三相交流電源、13 励磁エネルギー消費手段、14 電圧抑制手段、15 電力回生可能な交流―直流変換器、16 励磁制御手段、17 開閉器

Claims (14)

  1. 超電導コイルを有し、この超電動コイルを励磁した後に該超電導コイルに永久電流を流して得られる超電動磁石により静磁場を発生する静磁場発生手段と、この静磁場発生手段によって形成された空間に均一な静磁場中に被検体を配置し、撮像条件に応じてX軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイルに傾斜磁場電流を流して傾斜磁場を形成するための傾斜磁場電源装置と、前記形成された傾斜磁場を前記静磁場に重畳して前記被検体の磁気共鳴像を得る磁気共鳴イメージング装置であって、前記超電導磁石を励磁する励磁電流を前記傾斜磁場電源装置から供給する励磁電流供給手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 請求項1において、前記励磁電流供給手段は、前記傾斜磁場電源装置を前記傾斜磁場コイルに接続又は前記傾斜磁場電源装置を前記超電導コイルに接続替えするための切り替え手段と、前記励磁電流供給時に前記傾斜磁場電源装置を前記超電導コイルに接続する接続手段と、前記励磁電流の指令値を設定する励磁電流指令値設定手段と、この設定値に前記励磁電流を制御する励磁電流制御手段とを備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項2において、前記励磁電流制御手段は、前記X軸、Y軸及びZ軸の傾斜磁場コイルに電流を供給する三つの電流アンプを有する前記傾斜磁場電源装置の少なくとも二つの電流アンプの出力電流を加算する手段と、この加算手段で加算された励磁電流を前記励磁電流指令値になるように制御する信号を生成する制御信号生成手段とを備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  4. 請求項2において、前記励磁電流供給手段は、前記X軸、Y軸及びZ軸の傾斜磁場コイルに電流を供給する三つの電流アンプを有する前記傾斜磁場電源装置の前記三つの電流アンプのうちの一つの電流アンプの出力電流を供給す手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 請求項3において、さらに前記三つの電流アンプのうちの少なくとも二つの電流アンプと前記加算手段との間に流れる循環電流を抑制する電流制限手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  6. 請求項2、3、4又は5において、前記切り替え手段と、前記接続手段と、前記励磁電流制御手段と、前記電流アンプの出力電流を加算する手段と、前記電流制限手段と、前記制御信号生成手段とを前記傾斜磁場電源装置に含めて構成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  7. 請求項6において、前記傾斜磁場電源装置と前記超電導磁石を励磁する手段に前記傾斜磁場電源装置と前記超電導磁石の励磁手段とを接続する端子を設けたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  8. 請求項2乃至6のいずれか又は7において、さらに前記傾斜磁場電源装置に前記傾斜磁場発生用と前記超電導磁石の励磁用に対応して前記傾斜磁場電源装置の直流電源電圧を可変する手段を設けたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  9. 請求項8において、前記傾斜磁場電源装置の直流電源電圧を可変する手段は、三相交流電源からの交流電圧を任意の直流電圧に変換する手段と、この変換手段により変換された直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、前記傾斜磁場発生用電圧と前記超電導磁石の励磁用の電圧との電圧指令信号を設定する電圧指令信号設定手段と、この設定手段により設定された電圧指令信号を入力して前記傾斜磁場発生用と前記超電導磁石の励磁用の電圧を前記変換手段で制御する電圧制御手段とを備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  10. 請求項1乃至8のいずれか又は9において、さらに前記超電導磁石の減磁時に前記超電導コイルに蓄えられた電磁エネルギーを消費させる電磁エネルギー消費手段を設けたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  11. 請求項10において、前記電磁エネルギー消費手段は、抵抗又は前記傾斜磁場コイルのX軸コイル、Y軸コイル、Z軸コイルのうちの任意のコイルであることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  12. 請求項11において、前記超電導磁石の減磁時に前記超電導コイルの電磁エネルギーを前記傾斜磁場コイルに消費させる際に、さらに前記平滑コンデンサの電圧を一定に制御する手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  13. 請求項1乃至8のいずれか又は9において、さらに前記超電導磁石の減磁時に前記超電導コイルに蓄えられた電磁エネルギーを交流電源に回生する手段を設けたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  14. 請求項2乃至12のいずれか又は13において、少なくとも前記励磁電流指令値及び前記励磁電流回路を形成する信号を発生する励磁制御手段を設けたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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