JP2007116995A - 核酸及びその構成要素の濃度測定方法、並びに濃度測定装置及びそれを有する合成装置 - Google Patents

核酸及びその構成要素の濃度測定方法、並びに濃度測定装置及びそれを有する合成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】測定対象溶液の紫外吸収スペクトルから測定対象溶液中のデオキシヌクレオチド等の濃度を直接算出する。
【解決手段】各デオキシヌクレオチドの水溶液について、デオキシヌクレオチドの濃度と、220nm〜300nmにおけるサンプリング幅1nm単位での紫外吸光度との関係をPLS回帰分析することで、測定対象溶液の紫外吸収スペクトルから測定対象溶液中の各々のデオキシヌクレオチドの濃度を直接算出できることを見出した。これはオリゴマーやDNA1本鎖、DNA2本鎖であっても適用でき、それらの各濃度が算出できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、DNA、RNAその他のヌクレオチド、オリゴヌクレオチド等の溶液或いは混合溶液について、各溶質の濃度を直接測定する方法に関する。本発明は、測定すべき全ての溶質について標準濃度サンプルの紫外吸収スペクトルをPLS回帰分析することにより決定した回帰係数に基づき、測定対象溶液の紫外吸収スペクトルから、各溶質の濃度を決定するものである。
紫外吸収スペクトルから核酸溶液の濃度を測定する方法は、例えば非特許文献1を始め、種々提案されている。これは、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの塩基配列又は塩基数が既知である場合に、波長260nmにおける吸光度と、各塩基のモル吸光係数からランバート・ベールの式を用いて濃度を求めるものである。
一方、近赤外吸収スペクトルから、PLS回帰分析を用いて成分分析する方法が非特許文献2及び3のように広く用いられている。PLS(部分最小二乗法)回帰分析は、主成分回帰を拡張したものであり、統計数学における正準相関分析と同様の概念である。説明変数Xと目的変数Yとから、各々ローディングによってX側スコア(主成分)とY側スコア(主成分)とを直交分解により求め、それらX側スコア(主成分)とY側スコア(主成分)の回帰係数を導くものである。
G. H. Beaven, E. R. Holiday, and E. A. Johnson, "Optical Properties of Nucleic Acids and Their Components," Nucleic Acids, 1955, vol. 1, pp.492-553 Hongyan Zhang and Liqiang Song, "Study on the Noninvasive Blood Glucose Measurement by Diffusion Reflectance NIR Spectroscopy," Optics in Health Care and Biomedical Optics, January 2005, pp. 460-467 Jie Yu Chen, Ryuji Matsunaga, and Kyoko Ishikawa, "Main Inorrganic Component Measurement of Seawater Using Near-Infrared Spectroscopy," Applied Spectroscopy, November 2003, vol. 57, Issue 11, pp. 1399-1406
非特許文献1にある通り、紫外吸収スペクトルから核酸溶液の濃度を測定する従来の方法においては、測定対象の塩基配列又は塩基数が既知であることが前提である。また、各塩基に基づくモノマーの濃度からポリ又はオリゴヌクレオチドの濃度を算出する手法であるので、複数種類のポリ又はオリゴヌクレオチドの混合溶液において、各溶質の濃度を算出できるものではない。
本発明者らは各デオキシヌクレオチドの水溶液について、デオキシヌクレオチドの濃度と、220nm〜300nmにおけるサンプリング幅1nm単位での紫外吸光度との関係をPLS回帰分析することで、測定対象溶液の紫外吸収スペクトルから測定対象溶液中の各々のデオキシヌクレオチドの濃度を直接算出できることを見出した。これはオリゴマーやDNA1本鎖、DNA2本鎖であっても適用でき、それらの各濃度が算出できる。このようにして、本願発明を完成させた。
請求項1に係る発明は、測定対象である核酸塩基を1種類有する測定対象溶液についてのものである。即ち、二本鎖DNA、一本鎖DNA、DNA断片、デオキシヌクレオチド又はそのオリゴマー、デオキシヌクレオシド、RNA、RNA断片、ヌクレオチド又はそのオリゴマー、ヌクレオシド、及び核酸塩基のうちの何れかを有する溶液の、各溶質の濃度を測定する方法であって、濃度を算定すべき溶質の全てについて、各々濃度既知の複数個の標準溶液の紫外吸収スペクトルを所定の波長帯域において測定し、各波長における吸光度を説明変数、各溶質の濃度を目的変数として、PLS回帰分析により回帰係数を算出し、測定対象溶液の紫外吸収スペクトルを前記波長帯域において測定し、前記算出した回帰係数に基づき、各溶質の濃度を算出することを特徴とする核酸及びその構成要素の濃度測定方法である。
請求項2に係る発明は、複数のpHにおける標準サンプルデータから総合的にPLS回帰分析を行い、当該複数のpHにおける測定対象の紫外吸収から、総合的に各溶質の濃度を測定するものである。即ち、各標準溶液の紫外吸収スペクトルを複数個のpH下において測定し、それら全体をPLS回帰分析により算出した回帰係数に基づいて、測定対象溶液のpH毎の紫外吸収スペクトルから、測定対象溶液の各溶質の濃度を算出する。
請求項3に係る発明は、複数の電界下における標準サンプルデータから総合的にPLS回帰分析を行い、当該複数の電界下における測定対象の紫外吸収スペクトルから、総合的に各溶質の濃度を測定するものである。即ち、各標準溶液の紫外吸収スペクトルを所定の電界を印加した場合及びしない場合において測定し、それら全体をPLS回帰分析により算出した回帰係数に基づいて、測定対象溶液の所定の電界を印加した場合及びしない場合の紫外吸収スペクトルから、測定対象溶液の各溶質の濃度を算出する。
請求項4に係る発明は、複数の温度における標準サンプルデータから総合的にPLS回帰分析を行い、当該複数の温度における測定対象の紫外吸収スペクトルから、総合的に各溶質の濃度を測定するものである。即ち、各標準溶液の紫外吸収スペクトルを所定の複数の温度において測定し、それら全体をPLS回帰分析により算出した回帰係数に基づいて、測定対象溶液の当該複数の温度での紫外吸収スペクトルから、測定対象溶液の各溶質の濃度を算出する。
上記測定方法は、核酸及びその構成要素の濃度測定装置として容易に実現でき(請求項5乃至7)、当該濃度測定装置を内部構成に含んだ合成装置、特にPCR(Polyimerase Chain Reaction)装置或いはリアルタイムPCR装置として容易に実現できる(請求項8乃至10)。
以下に示す通り、各デオキシヌクレオチドの水溶液について、デオキシヌクレオチドの濃度と、例えば220nm〜300nmにおけるサンプリング幅1nm単位での紫外吸光度との関係をPLS回帰分析することで、測定対象溶液中の各々のデオキシヌクレオチドの濃度を直接算出できることを見出したものである。一般に用いられる1点又は複数点の吸収波長のみに基づくものでなく、例えば81点の波長に対する紫外吸光度を総合的に判断するものである。これにより、混合溶液について、各構成単位の吸収スペクトルにオーバーラップがあったとしても、その影響を排除して各構成単位の濃度を算出することが可能となる。これを4種のモノマーのみでなく、測定対象溶液中に検出可能な濃度であると予想される全てのオリゴマー、DNA1本鎖、DNA2本鎖について、各々濃度既知の標準溶液を用意し、PLS回帰分析により予め回帰係数を求めておけば、混合溶液中の各化学種の濃度が検出可能である。これはPCR等の反応の追跡にも適用できる。標準溶液について、複数のpHや電界下でPLS回帰分析を行い、測定対象溶液を対応した複数のpH、電界下、温度下で紫外吸収スペクトルを測定すれば、各構成要素間の分子間干渉を抑制できるので、より精度良く各溶質の濃度を測定できる。
また、本発明によれば、合成装置において、目的化合物であるDNA鎖等を所定濃度以上に合成した段階で当該合成を終了させたり、リアルタイムPCR装置において、各サイクル毎に全溶質の濃度を測定、追跡して、例えば目的化合物であるDNA鎖等の初期段階(PCR開始前)の濃度を決定することが可能である。また、蛍光化合物や放射性同位体を含んだ化合物による修飾無しに対象核酸試料の各溶質の濃度を測定できるので、合成、増幅した対象核酸試料を更に利用することが可能である。
以下、デオキシヌクレオチドとそのオリゴマー、DNA及びDNA断片について説明する。ヌクレオチドとそのオリゴマー、RNA及びRNA断片についても、各核酸構成単位をリボース誘導体に置き換え、チミン若しくはその誘導体に替えてウラシル若しくはその誘導体の標準濃度サンプルに基づきPLS回帰分析を行って、所定の波長領域における回帰係数を決定することで、全く同様に実施できる。
PLS回帰分析において、説明変数は各波長における吸光度、目的変数は各デオキシヌクレオチドの濃度である。各デオキシヌクレオチドは、慣例に従い、dAMP(デオキシアデノシン一リン酸)、dTMP(チミジン一リン酸)、dGMP(デオキシグアノシン一リン酸)、dCMP(デオキシシチジン一リン酸)の表記を用いる。また、特に断らない限り、各測定においてはpHは6.8とした。この場合の緩衝液の組成は以下の通りである。NaCl:137mmol/L,Na2HPO4:8.1mmol/L,KCl:2.7mmol/L,KH2PO4:1.5mmol/L。また、紫外吸収スペクトルは、島津自記分光光度計UV−3100PCを用い、PLS回帰分析には、CAMO社の「The Unscrambler Ver.9.2」を用いた。
まず、本発明が有効であることを実証するため、dAMPのみについて、PLS回帰分析を行った。dAMPの標準濃度サンプルとして濃度は1.44×10-7〜1.31×10-4mol/Lの範囲の14の異なる濃度のものを用意した。
図1はdAMPの紫外吸収スペクトルである。波長範囲は220nm〜300nmである。一方図2は上記14の異なる濃度のdAMPの標準濃度サンプルについて、各波長(1nm単位の81点)における吸光度を説明変数、dAMPの濃度を目的変数として、各波長に対する回帰係数を算出してプロットしたものである。即ち、濃度未知の試料に対し、各波長(1nm単位の81点)における吸光度を測定し、図2の縦軸に相当する回帰係数(単位は10-6mol/L)を乗じて総和を取れば濃度が算出できる。
図2の回帰係数の算定に用いた15の異なる濃度のdAMPの標準濃度サンプルの紫外吸収スペクトルから濃度を逆に算出すると、図3のようになる。尚、この際フルクロス検定を行い、14の異なる濃度のdAMPの標準濃度サンプルの1について紫外吸収スペクトルから濃度を予測する場合には、他の13の濃度のdAMPの標準濃度サンプルから回帰係数を求めることとした。このように、14の異なる濃度のdAMPの標準濃度サンプルの濃度は、紫外吸収スペクトルからPLS回帰分析により算定された回帰係数に基づき非常に精度良く予測できることがわかる。
全く同様に、dTMPのみ、dGMPのみ、dCMPのみについて、各々異なる濃度の標準濃度サンプルを用意して紫外吸収スペクトルを測定し、PLS回帰分析により回帰係数を算出して、逆に標準濃度サンプルの紫外吸収スペクトルから濃度を算出した。ここで、フルクロス検定を行い、1について紫外吸収スペクトルから濃度を算出する場合には、そのデオキシヌクレオチドの異なる他の濃度の標準濃度サンプルから回帰係数を求めることとした。フルクロス検定による標準偏差と実測値(各サンプルの実濃度)と予測値の相関係数を表1に示す。また、各デオキシヌクレオチドの1の濃度サンプルについて、予測値、実濃度との誤差、標準偏差を表2に示す。フルクロス検定の結果から、本実施例によるモデルが極めて精度が高いことがわかる。尚、表2における標準偏差は、RMSEP(Root Mean Square Error of Prediction)であり、回帰係数算定段階での予測応答値と測定応答値の平均的な差を示すものである。また、表2以下の表においては、単に「M」で単位「mol/L」を示すことが有る。
Figure 2007116995
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各標準サンプルは次の通りの濃度のものを用意した。
dTMPについて、6.45×10-8〜8.77×10-5mol/Lの範囲の11個。
dGMPについて、6.24×10-6〜7.35×10-5mol/Lの範囲の6個。
dCMPについて、1.49×10-6〜1.58×10-5mol/Lの範囲の5個。
本実施例においては、次のようにしてPLS回帰分析を行った。即ち、実施例1では、例えばdAMPのPLS回帰分析においては濃度をdAMPの1種類とし、他のデオキシヌクレオチドの濃度についてはそもそも考慮せずに、且つ独立に分析を行った。本実施例においては、上記の標準サンプル36種類を全て一括して処理し、その際、含まれていないデオキシヌクレオチドの濃度を0として入力した。即ち、実施例1においては、各デオキシヌクレオチドごとに、目的変数は当該デオキシヌクレオチドの濃度のみであったが、本実施例においては、目的変数は4つのデオキシヌクレオチドの濃度である。PLS回帰分析においては説明変数、目的変数とも直交分解されるが、本実施例において4つのデオキシヌクレオチドの濃度はそもそも「独立変数」であるので、分解されない。一方、81点の各波長ごとの吸光度は、直交分解され、4つの目的変数である4つのデオキシヌクレオチドの濃度と、線形関係にある主成分(スコア)にローディングされる。PLS回帰分析は、当該主成分(スコア)がいくつ有るかをも分析した上、その個数の主成分(スコア)に説明変数をローディング、即ち直交分解する分析手法である。直交分解された説明変数側の主成分(スコア)は、説明変数の線形結合で表される。また、目的変数も、説明変数側の主成分(スコア)の線形結合で表される。結局、本実施例においては、目的変数は説明変数の線形結合で表される。この係数が回帰係数である。
このような条件により、図4のような回帰係数を得た。いずれのデオキシヌクレオチドにおいても、回帰係数が負となる部分が有り、例えばdAMPにおいては図1又は図2の曲線とは全く異なる形状となる。即ち、本実施例においては、各デオキシヌクレオチドの波長220nm〜300nmにおける吸収スペクトルが、他のデオキシヌクレオチドの吸収スペクトルと独立となるように、各波長における回帰係数を算定することとなる。尚、フルクロス検定の結果を表3に、また、10-4mol/LのdAMP、dTMP、dGMP、dCMPの標準サンプルについて紫外吸収スペクトルから図4の回帰係数に基づき「4つのデオキシヌクレオチド濃度」を予測した結果を表4に示す。
Figure 2007116995
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表3から、各標準サンプルに対して、精度良く濃度が予測できることが理解できる。実際、表4のように、10-4mol/LのdAMP、dTMP、dGMP、dCMPの標準サンプルについて、含まれていないはずのデオキシヌクレオチドの濃度は、負又は誤差範囲として無視でき得る極めて小さい値として予測されている。
次に、dAMP、dTMP、dGMP、dCMPをいずれも10-5mol/L程度有する混合溶液を作成し、紫外吸収スペクトルを測定して図4の回帰係数により濃度を予測した。この結果を表5に示す。若干の誤差が生じるが、良好な結果が得られた。
Figure 2007116995
実施例2の結果は若干の誤差を生じているので、この誤差を抑制すべく、次のような重みの付加操作を行った。即ち、図4において各デオキシヌクレオチドの回帰係数の曲線の山(極大値付近)及び谷(極小値付近)となる波長を8箇所選択して、その8箇所について、各回帰係数を2倍とした。この際、負の回帰係数となるものはその絶対値が2倍となった。これを図5に示す。図4と図5の回帰係数によるフルクロス検定の標準偏差を各々「付加前」「付加後」として表6に、dAMP、dTMP、dGMP、dCMPをいずれも10-5mol/L程度有する混合溶液の紫外吸収スペクトルから図4と図5の回帰係数による予測の結果を表7に示す。
Figure 2007116995
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表6のように、重み付加により、フルクロス検定における予測誤差の標準偏差は若干小さくなった。また、表7のように、4種混合溶液の各デオキシヌクレオチドの濃度予測値は、重み付加によりさほど影響されなかったが、誤差の標準偏差は小さくなった。
DNA1本鎖を4種類用意し、濃度既知の標準溶液を用いて本発明を適用した例を表8乃至10に示す。表8は、CG50−A、CG50−G、CG70−A、CG70−Gの紫外吸収スペクトルと濃度をPLS回帰分析した場合のフルクロス検定による標準偏差と実測値(各サンプルの実濃度)と予測値の相関係数を示したものである。いずれもデオキシヌクレオチドが20単位(20mer)であり、CG50はdCMP及びdGMPがその50%を占めることを意味し、末尾の−Aは5’末端がdAMPであることを示している。表9及び表10は、表8を算出した回帰係数に基づき、CG50−AとCG50−Gの混合溶液、CG70−AとCG70−Gの混合溶液について濃度を算定した結果である。いずれの表においても各オリゴマーを10-5mol/Lにて混合した溶液については十分良好な結果が得られた。
Figure 2007116995
Figure 2007116995
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良く知られているように、デオキシヌクレオチド等は温度やpHによって紫外吸収スペクトルが大きく変化する。例えばdCMPの吸光度のpH依存性は図6のようである。そこで、PLS回帰分析においても、異なるpH条件でデータを用意し、それらを総合的にPLS回帰分析すると良い。pH6、7及び8の3条件で各々220nm〜300nmの81点、合計243点の吸光度を説明変数とし、標準サンプルのpH及び波長に対する吸光度から、回帰係数を求めた場合を表11に「pH三条件」として示す。尚、図4の回帰係数を用いた場合である表5のデータを「pH一条件」として合わせて掲載する。「pH三条件」によるPLS回帰分析により、予測値は良好なものとなった。全く同様に、各溶質の濃度既知の標準溶液に電界を印加した場合と印加しない場合の吸収スペクトルをPLS回帰分析し、測定対象溶液に電界を印加した場合と印加しない場合の吸収スペクトルから、各溶質の濃度をより精度良く測定することも可能である。
Figure 2007116995
図7は、本発明に係る、拡散及びその構成要素の濃度測定装置付きリアルタイムPCR装置1000の構成を示すブロック図である。リアルタイムPCR装置1000は、PCR部100と、各セルの溶質の濃度測定部200とから成る。濃度測定部200は、デジタル信号処理部20とそれにより制御される紫外線発光部21及び光強度検出部22、並びにPLS回帰分析部30とから成る。PCR部100は、4種のデオキシヌクレオチドモノマーを大過剰に含む試料Sを封入したセル10と、セル10の移動装置110と、湯煎120と、移動装置110及び湯煎120を制御する制御装置150とから成る。制御装置150により、湯煎120の湯浴12の温度が調整され、例えば熱変成の96℃15秒、プライマーアニーリングの55℃30秒、DNAの鎖延長の72℃90秒のサイクルを所望回、繰り返し行うことができる。また、移動装置110により、試料Sを封入したセル10は順次、濃度測定部200の紫外線発光部21と光強度検出部22の間に移動されて、紫外吸収スペクトルが測定される。濃度測定部200は紫外線発光部21と光強度検出部22とにより、セル10内の試料Sについて、所定波長範囲の紫外吸収スペクトルを測定し、デジタル信号処理部20によりデジタルデータとして記憶される。また、制御装置150はデジタル信号処理部20とPLS回帰分析部30とを制御し、且つそれらから情報を得ることができる。
このようなリアルタイムPCR装置1000に、まずセル10の試料Sとして、所望のデオキシヌクレオチド、DNA鎖その他の核酸又はその構成要素の、濃度既知の標準溶液を充填する。そして、順に濃度測定部200において紫外吸収スペクトルを測定し、且つその各波長における吸光度を説明変数、当該溶質の濃度を目的変数としてPLS回帰分析部30において分析し、回帰係数を求める。この際、のちに測定すべき系である、PCRを適用する試料の、PCRにおいて合成されうる全ての化学種について、各々の標準溶液を用意することが必要である。例えば、4つのデオキシヌクレオチド、通常は2種類用意されるプライマー(5’末端オリゴマー)、目的化合物であるDNA2本鎖の7種類である。
このようにして、PCRにおいて合成されうる核酸の全ての化学種について、回帰係数が用意されたので、PCR部100において、PCRを実行し、各サイクル毎に、各セル10の紫外吸収スペクトルを測定することで、当該セル10内の試料S中の目的化合物であるDNA鎖等の濃度を逐次算定することができる。これにより、PCR部100において、各々のセル10内の目的化合物が所定濃度に達するまでPCRサイクルを実行することが可能となる。或いは、各々のセル10内の目的化合物の濃度が検出可能となるまでPCRサイクルを実行して、PCRサイクル数と増幅率との周知の関係から、PCR実行前のセル10内の試料Sの目的化合物(又はそれを誘導するための元の長鎖DNA)の初期濃度を算定することが可能となる。
上記実施例において、更に紫外線発光部21と光強度検出部22の間に配置されたセル10に対して、所望の方向に所望電界をかけて紫外吸収スペクトル測定及びPLS回帰分析を行っても良く、また、各試料Sについて、所定の複数のpHに設定しても良い。移動装置110により測定されたセル10は再び湯煎120に戻されても良く、また戻さないこととしても良く、それらを取り混ぜて実行しても良い。紫外線発光部21と光強度検出部22の間に配置されたセル10は湯煎120内にて実行されても良く、また湯煎120に替えて、温風浴を用いても良い。PLS回帰分析30における手法は、実施例1乃至5のいずれの手法を用いても良く、制御装置150及びデジタル信号処理部20はそれに応じてセル10の移動装置110の制御、紫外吸収スペクトル測定、及び回帰分析を行う。。
本発明は核酸を用いる任意の作業工程において適用可能である。特に、リアルタイムPCR装置において、各増幅段毎に生成するDNAの濃度を追跡するのに適しており、且つ最終生成物に蛍光化合物等が含まれていないので、増幅したDNAを有効活用することができる。
デオキシヌクレオチドの紫外吸収スペクトルを示したグラフ図。 dAMPに実施例1を適用した場合の回帰係数を示したグラフ図。 dAMPに実施例1を適用した場合の予測値と実濃度の相関関係を示したグラフ図。 4つのデオキシヌクレオチドに実施例2を適用した場合の回帰係数を示したグラフ図。 4つのデオキシヌクレオチドに実施例3を適用した場合の回帰係数を示したグラフ図。 dCMPの3つのpHにおける紫外吸収スペクトルを示したグラフ図。 本発明に係るリアルタイムPCR装置1000の構成を示すブロック図。
符号の説明
dAMP:デオキシアデノシン一リン酸

Claims (10)

  1. 二本鎖DNA、一本鎖DNA、DNA断片、デオキシヌクレオチド又はそのオリゴマー、デオキシヌクレオシド、RNA、RNA断片、ヌクレオチド又はそのオリゴマー、ヌクレオシド、及び核酸塩基のうちの何れかを有する溶液の、各溶質の濃度を測定する方法であって、
    濃度を算定すべき溶質の全てについて、各々濃度既知の複数個の標準溶液の紫外吸収スペクトルを所定の波長帯域において測定し、
    各波長における吸光度を説明変数、各溶質の濃度を目的変数として、PLS回帰分析により回帰係数を算出し、
    測定対象溶液の紫外吸収スペクトルを前記波長帯域において測定し、前記算出した回帰係数に基づき、各溶質の濃度を算出することを特徴とする核酸及びその構成要素の濃度測定方法。
  2. 前記各標準溶液の紫外吸収スペクトルを複数個のpH下において測定し、それら全体をPLS回帰分析により算出した回帰係数に基づいて、前記測定対象溶液の前記pH毎の紫外吸収スペクトルから、前記測定対象溶液の各溶質の濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載の核酸及びその構成要素の濃度測定方法。
  3. 前記各標準溶液の紫外吸収スペクトルを所定の電界を印加した場合及びしない場合において測定し、それら全体をPLS回帰分析により算出した回帰係数に基づいて、前記測定対象溶液の前記所定の電界を印加した場合及びしない場合の紫外吸収スペクトルから、前記測定対象溶液の各溶質の濃度を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の核酸及びその構成要素の濃度測定方法。
  4. 前記各標準溶液の紫外吸収スペクトルを所定の複数の温度において測定し、それら全体をPLS回帰分析により算出した回帰係数に基づいて、前記測定対象溶液の前記複数の温度での紫外吸収スペクトルから、前記測定対象溶液の各溶質の濃度を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の核酸及びその構成要素の濃度測定方法。
  5. 二本鎖DNA、一本鎖DNA、DNA断片、デオキシヌクレオチド又はそのオリゴマー、デオキシヌクレオシド、RNA、RNA断片、ヌクレオチド又はそのオリゴマー、ヌクレオシド、及び核酸塩基のうちの何れかを有する溶液の、各溶質の濃度を測定する装置であって、
    所定範囲の紫外吸収スペクトルを測定する手段と、
    濃度既知の複数個の標準溶液の、当該紫外吸収スペクトルの各波長における吸光度を説明変数、各溶質の濃度を目的変数としてPLS回帰分析を実行する手段と、
    測定対象溶液の紫外吸収スペクトルと、前記PLS回帰分析により得られた回帰係数とから測定対象溶液中の各溶質の濃度を算出する手段とを有すること
    を特徴とする核酸及びその構成要素の濃度測定装置。
  6. 所定範囲の紫外吸収スペクトルを測定する手段と組み合わせて、対象試料に所定の電界を印加する手段を有し、
    前記PLS回帰分析を実行する手段においては、印加した電界ごとに、濃度既知の複数個の標準溶液の、当該紫外吸収スペクトルの各波長における吸光度を説明変数、各溶質の濃度を目的変数としてPLS回帰分析を実行することを特徴とする請求項5に記載の核酸及びその構成要素の濃度測定装置。
  7. 所定範囲の紫外吸収スペクトルを測定する手段と組み合わせて、対象試料を所定の複数の温度に保つ手段を有し、
    前記PLS回帰分析を実行する手段においては、各温度ごとに、濃度既知の複数個の標準溶液の、当該紫外吸収スペクトルの各波長における吸光度を説明変数、各溶質の濃度を目的変数としてPLS回帰分析を実行することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の核酸及びその構成要素の濃度測定装置。
  8. 請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の核酸及びその構成要素の濃度測定装置をその内部構成に含んだ、核酸及びその誘導体の合成装置。
  9. 核酸及びその誘導体の合成方法として、PCRを用いる請求項8に記載の核酸及びその誘導体の合成装置。
  10. 請求項9に記載の核酸及びその誘導体の合成装置であって、
    所望の増幅段において、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の核酸及びその構成要素の濃度測定方法を実施可能として、各増幅段ごとの反応系中の複数の化学種の各濃度を測定可能としたことを特徴とするリアルタイムPCR装置。
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