JP2007115587A - 荷電粒子ビーム加工方法及び荷電粒子ビーム装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】荷電粒子ビーム装置により試料の加工を行う際に、試料にマークを加工することなく、加工位置を補正する。
【解決手段】試料パターンの直線状の輪郭部を含む参照領域に一定の時間をおいてビームを照射して画像を構成し、その時間の前後における画像内の輪郭線の位置を比較してずれ量を算出する。試料の加工を行う場合は、このずれ量を補正して加工位置へビームを照射する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、荷電粒子ビーム加工方法及び荷電粒子ビーム装置に関する。
イオンビームや電子ビームなどの荷電粒子ビームにより絶縁体試料の観察や加工を行う場合、試料に照射する荷電粒子ビームによって、試料の帯電現象が起こることが知られている。帯電した試料に荷電粒子ビームを照射して試料の観察や加工を行うと、帯電による試料表面の不均一な電荷分布によって、荷電粒子ビームの照射位置がずれてしまい(ドリフト)、観察、加工が適切に行われないことがある。
この問題を解決する方法として、従来の技術では、半導体デバイスなどの試料のパターンに荷電粒子ビームを照射して1点の穴をあけ、加工の途中においてこの穴の位置を調べることにより照射位置のずれ量を計測し、加工位置を補正している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
特開平7−333120号公報 特公平5−4660号公報
ところが、近年、半導体デバイスなどの試料のパターンは微細化され、上記のように試料のパターンに荷電粒子ビームで1点の穴をあけると、半導体デバイスの性能に影響を与えてしまう問題が懸念される。例えば、フォトマスクでは、パターン膜の線幅はより細くなり、細いパターン上に荷電粒子ビームで穴をあけると、そのマスクを露光し転写すると転写したパターンに影響を及ぼしてしまう。
また、パターンの輪郭を参照画像とする方法では、横方向をX方向としそれに垂直な方向をY方向として、X方向およびY方向の両方の位置が確定できるようなパターンが観察範囲内にない場合、加工位置を補正出来ないという問題があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、試料にマークを加工することなく、加工位置を補正することができる荷電粒子ビーム加工方法及び荷電粒子ビーム装置を提供することにある。
この発明は、上記の課題を解決すべくなされたもので、荷電粒子ビームの照射により試料の観察及び加工を行う荷電粒子ビーム装置を用いた荷電粒子ビーム加工方法であって、荷電粒子ビームの照射により試料から放出された二次荷電粒子の検出強度を基に、試料パターンの画像を形成し、該形成された試料パターンの画像において、試料パターンの輪郭のうちで少なくとも2つの互いに異なる方向を向く直線状の部分からなる参照領域と、加工領域とを指定すると共に記憶し、加工の途中において随時参照領域に荷電粒子ビームを照射し、参照領域から放出された二次荷電粒子の検出強度を基に、前記参照領域の画像を形成し、前記記憶した参照領域の画像と加工の途中で形成された参照領域の画像の位置のずれ量を算出し、前記加工領域に、算出したずれ量の分を補正して荷電粒子ビームを照射して加工する、ことを特徴とする荷電粒子ビーム加工方法である。
また、本発明は、上述する荷電粒子ビーム加工方法であって、前記互いに異なる方向を向く直線は、横方向の直線状の部分、及び、縦方向の直線状の部分を含み、前記横方向の直線状の部分のずれから求まる縦方向のずれ量、及び、前記縦方向の直線状の部分から求まる横方向のずれ量を算出する、ことを特徴とする。
また、本発明は、上述する荷電粒子ビーム加工方法であって、前記記憶した参照領域の画像と前記加工の途中で形成された参照領域の画像から、それぞれ直線状部分の交点を求め、この交点のずれ量を算出し、前記加工領域に、算出した交点のずれ量の分を補正して荷電粒子ビームを照射する、ことを特徴とする。
また、本発明は、上述する荷電粒子ビーム加工方法であって、前記直線状の部分の複数の箇所を参照領域として用いることを特徴とする。
また、本発明は、上述する荷電粒子ビーム加工方法であって、前記参照領域は、1つの横方向の直線状の部分、及び、複数の縦方向の直線状の部分を、または、複数の横方向の直線状の部分、及び、1つの縦方向の直線状の部分を含み、前記1つの横方向の直線と前記複数の縦方向の直線との交点間の平均位置から横方向のずれ量を、または、前記1つの縦方向の直線と前記複数の横方向の直線との交点間の平均位置から縦方向のずれ量を算出する、ことを特徴とする。
また、本発明は、上述する荷電粒子ビーム加工方法であって、前記参照領域は、平行な横方向の直線状の部分、または、平行な縦方向の直線状の部分を含み、前記平行な横方向の直線の平均位置から縦方向のずれ量を、または、前記平行な縦方向の直線の平均位置から横方向のずれ量を算出する、ことを特徴とする。
また、本発明は、上述する荷電粒子ビーム加工方法であって、前記互いに異なる方向を向く直線は、2つの異なる斜め方向の直線状の部分を含み、前記記憶した参照領域の画像と前記加工の途中で形成された参照領域の画像から、それぞれの直線状部分の交点を求め、この交点のずれ量を算出し、前記加工領域に、算出した交点のずれ量の分を補正して荷電粒子ビームを照射して加工する、ことを特徴とする
また、本発明は、荷電粒子ビームの照射により試料の観察及び加工を行う荷電粒子ビーム装置において、荷電粒子ビームの照射により試料から放出された二次荷電粒子の検出強度を基に、試料パターンの画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成された試料パターンの画像において、試料パターンの輪郭のうちで少なくとも2つの互いに異なる方向を向く直線状の部分からなる参照領域と、加工領域とを指定する領域指定手段と、領域指定手段により指定された領域を記憶する記憶手段と、領域指定手段により指定された前記参照領域及び加工領域に荷電粒子ビームを照射するよう制御する走査制御手段と、前記記憶手段に記憶していた参照領域の画像と、前記加工領域の加工の途中において、前記画像形成手段により形成された参照画像との位置のずれ量を算出する算出手段と、前記加工領域に、前記算出手段の算出したずれ量の分を補正して荷電粒子ビームを照射するよう前記走査制御手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、以下のような効果がある。
(1)試料のパターンに荷電粒子ビームで1点の穴をあけると、露光転写した時に半導体デバイスの性能に影響を与えてしまうような微細なパターンを有する試料に対しても、試料パターンの輪郭を参照領域としていることにより、半導体デバイスの性能に影響を与えることなくドリフト補正ができる。
(2)直線状の輪郭を含む参照領域を複数組み合わせてずれ量を求めるという方式のため、1つの参照領域では1方向のみの位置を求めればよい。このように画像および求める結果を制限することで、1つの参照領域における画像処理は、輪郭線の方向に画素値を足しこむという非常に簡単かつSN比の悪い画像に対しても安定して位置を求められる画像処理が利用できる。SN比の悪い画像でもよいことから、参照領域へのビーム照射時間を短くすることができ、試料へのダメージを軽減することが出来る。
(3)XとYの両方が特定できるような特徴のあるパターンがない場合においては、パターンマッチングの方法では1点が決定できないため、ドリフト補正ができないが、本発明では少なくとも存在する直線パターンの輪郭線と直角の方向へのドリフト補正が可能になる。この方向は一般に、精度を高くしなければならない方向と一致する。
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による荷電粒子ビーム装置の全体構成図を示す。1はイオン源であってイオンビーム2を発する。3は走査電極であってX及びY電極からなり、イオンビーム2の試料であるマスク8上への照射スポットをXY平面内で所定範囲にわたり走査するものである。4は対物レンズであってイオンビーム2のスポットを被照射物であるマスク8の表面に結像させる。5はガス銃であってマスク8の白色欠陥部位に有機化合物蒸気6を吹き付け、同時にイオンビーム2を白色欠陥部位に限定的に走査しながら照射し、遮光性の膜をつけ白色欠陥を修正する。
また、黒色欠陥部位の修正においてはガス銃101からエッチング用ガスを不要付着部に吹き付け、同時にイオンビーム2を限定的に照射し、エッチング除去を行い修正する。9はXYステージであってマスク8を載置してXまたはY方向に移動する。10は検出器であってマスク8の表面からイオンビーム2の照射によりたたき出された二次電子7の強度を検出する。この二次電子強度の平面分布はマスク8の上に形成されているパターンに対応している。11は、A/D変換器であって二次電子強度というアナログ量をデジタルデータに変換する。このデジタルデータはコンピュータ13に取り込まれて、マスク8のパターン画像が拡大再生され、ディスプレイ14に表示される。12は走査回路であってコンピュータ13よりイオンビーム照射範囲を受け取り、走査電極3の制御をする。
図2は、図1に示すコンピュータ13の内部構成を示すブロック図である。
制御手段21は、CPU(central processing unit)及び各種メモリから構成され、各部の制御や、データの一時的な格納や、データの転送等を行う。画像形成手段22は、検出器10により検出された二次電子7の強度を基に、マスク8の試料パターンの画像を形成する。出力手段23は、ディスプレイ14に画像を表示させる。入力手段24は、キーボードやマウスなどであり、操作者が入力した情報を取得するための機能を有する。領域指定手段25は、直線状の輪郭を含む複数の参照領域と、欠陥を修正する加工領域を指定する。記憶手段26は、各種データを記憶する。算出手段27は、加工前に観察した参照領域の画像と、加工時に随時観察した参照領域の画像からずれ量を算出する。ずれ量は、ずれの方向及びその大きさを示す。参照領域とは、ドリフト補正を行うべきずれ量(「ドリフト量」ともいう)を算出するために参照する領域をいう。走査制御手段28は、走査回路12を制御する。
図3は、上述する荷電粒子ビーム装置におけるドリフト補正方法のフローチャートである。
加工対象のマスク8にイオンビーム2を照射すると、検出器10はマスク8から放出された二次電子7の強度を検出する。コンピュータ13の画像形成手段22は、検出器10が検出した二次電子7の強度をA/D変換器11から取得して試料パターンの画像を形成し、出力手段23は、この形成された画像を拡大してディスプレイ14に表示させる(ステップS110)。操作者は、マウスなどの入力手段24を用いて、ディスプレイ14が表示している試料パターン上で、加工領域となる欠陥領域、及び、直線上の輪郭が含まれる矩形の参照領域を入力する(ステップS120)。領域指定手段25は、操作者により指定された欠陥領域(加工領域)及び参照領域、これらの領域の画像を記憶手段26に書き込む。算出手段27は、参照領域内の直線状の輪郭から、ずれ量を算出するために用いる基準位置を求め、この求められた欠陥領域設定時の基準位置を記憶手段26に書き込む(ステップS130)。基準位置の具体的な決定方法については、後述する。
欠陥領域への修正を行う場合は、必要に応じて随時、コンピュータ13の走査制御手段28により走査回路12を制御して参照領域にイオンビーム2を照射する(ステップS140)。これにより、検出器10がマスク8から放出された二次電子7の強度を検出し、コンピュータ13の画像形成手段22が、この検出された二次電子7の強度をA/D変換器11から取得して参照領域の画像を形成する。算出手段27は、ステップS140において形成された参照領域の画像から、現時点での基準位置を求め、ステップS130において求められ、記憶手段26に記憶していた欠陥領域設定時の基準位置と比較して、ドリフト量、すなわち、ずれ量を算出する(ステップS150)。欠陥領域への修正加工時、走査制御手段28は、ステップS150において算出されたドリフト量を加味した位置にイオンビーム2を照射するよう走査回路12を制御する(ステップS160)。加工を完了するのに必要な走査回数に到達していない場合は(ステップS170:NO)、随時、ステップS140からの処理を繰り返す。そして、加工を完了するのに必要な走査回数に到達した場合には(ステップS170:YES)、処理を終了する。
なお、上記においては、操作者が加工領域を指定しているが、予め正しい試料パターンのデータをコンピュータ13の記憶手段26内に保持しておき、領域指定手段25は、記憶手段26から読み出した試料パターンと、ステップS110において構成した画像の試料パターンとの比較により、一致しない箇所を加工領域として決定してもよい。
続いて、ドリフト量の算出方法について説明する。なお、横方向の位置はX座標により、縦方向の位置はY座標により示されるものとする。ドリフト量を算出するには、横(X)方向のドリフト量を横(X)方向の位置補正用の基準位置のずれから、縦(Y)方向のドリフト量を縦(Y)方向の位置補正用の基準位置のずれからそれぞれ独立に求め、求められた横(X)方向及び縦(Y)方向のドリフト量から全体のドリフト量を求める。
まず、直線の位置の算出方法について説明する。
図4は、直線の位置の算出方法を説明するための図である。直線の位置を算出する場合、参照領域内の画像を構成する各ピクセルそれぞれについて、二次電子信号の信号量を計算して表す。例えば、信号量が最大では255、信号量が最小では0などの値を割り当てる。
小領域91がX軸に垂直な縦方向の直線状の輪郭を含んでいる場合、同じX座標(縦方向位置)の各ピクセルについて、直線方向(この場合はY方向)に上記信号量を加算する。そして、各X座標について加算した合計値を比較し、値が急激に変化しているX座標上の位置を直線の位置とする。参照領域が水平な横方向の直線上の輪郭を含んでいる場合は、同様に、同じY座標(横方向位置)の各ピクセルについて数値化した値を加算し、各Y座標について加算した値を比較して、値が急激に変化しているY座標上の位置を直線の位置とする。
図5は、垂直方向の直線と斜めの直線とから基準位置となる座標値を求める方法を説明するための図である。
斜め方向の直線上に参照領域を設定する場合、この直線の位置のずれのみからは、X方向にずれたか、Y方向にずれたか、あるいはX方向及びY方向にずれたかの判断はできない。そこで、垂直な直線からX座標を固定し、斜め方向の直線と垂直な直線との交点のY座標を基準位置として用いるか、水平な直線からY座標を固定し、斜め方向の直線と水平な直線との交点のX座標を基準位置として用いる。
斜め方向の直線の方程式は、y=ax+bと表すことができる。
最初に傾きaを求める。これはあらかじめドリフト補正前に取り込んだ画像で最初の1回のみ求めておく。角度は例えば以下のようにして求める。すなわち、斜め方向の直線が含まれる領域93を、この斜め方向の直線とは垂直方向にピクセル単位で試料パターンの輪郭の位置を順に求める。そして、求めた輪郭の位置の点列から最小二乗法により直線の角度(傾き)aを求める。
さらに、直線方向にピクセル単位で画素値信号量を足しこんで、値が急激に変化する位置を求めることにより、直線の位置を求めbの値を決める。
求められた式に、垂直方向の直線上のスキャン領域94に対し、上記段落番号[0021]に記載した方法で求めた垂直な直線の座標を代入することにより、交点の座標値を求める。
以下ドリフト補正時には、傾きは、上記最初に求めた傾きaを用い、bの値のみ求め斜めの直線の式を得て、上記交点の座標値を求める。
次に、加工領域及び参照領域の選択例とドリフト量の算出方法について説明する。
図6は、参照領域を、縦方向の直線状の輪郭を含む1つの領域、及び、横方向の直線状の輪郭を含む1つの領域とした場合の図である。
同図においては、試料上のパターン31において、黒欠陥の修正対象である加工領域32、垂直な縦方向の直線状の輪郭を含む参照領域33、水平な横方向の直線状の輪郭を含む参照領域34が指定されている。コンピュータ13へ参照領域を入力する際には、当該参照領域内の直線状の輪郭部分が、縦方向であるか、横方向であるかの情報も合わせて入力されるものとする。
参照領域33は、横(X)方向の位置補正用であり、参照領域33内の輪郭から得られる縦方向の直線のX座標位置が基準位置となる。この基準位置のずれにより、横(X)方向のドリフト量が算出される。また、参照領域34は、縦(Y)方向の位置補正用であり、参照領域34内の輪郭から得られる横方向の直線のY座標位置が基準位置となる。この基準位置のずれにより、縦(Y)方向のドリフト量が算出できる。参照領域33から得られた横(X)方向のドリフト量、及び、参照領域34から得られた縦(Y)方向のドリフト量から、全体のドリフト量が得られる。
図7は、複数の参照領域を引き継いで使用する場合の図である。
同図においては、試料上のパターン41において、黒欠陥の修正対象である加工領域42、垂直な縦方向の直線状の輪郭を含む参照領域43a及び43b、水平な横方向の直線状の輪郭を含む参照領域44a及び44bが指定されている。
図3のステップS140〜S170のループにおいては、最初のループ〜所定回数のループまでは、参照領域43a、44aを用いて、図6と同様の方法によりドリフト量を求める。そして、所定回数以降のループからは、参照領域43b、44bを用いて、図6と同様の方法によりドリフト量を求める。このように、参照領域を引き継ぐことにより、同じ参照領域に何度もイオンビームが照射されて、パターンにダメージが発生することを防ぐ。
図8は、縦位置及び横位置として、2つの直線の平均位置を用いる場合の図である。
同図においては、試料上のパターン51において、黒欠陥の修正対象である加工領域52、垂直な縦方向の直線状の輪郭を含む参照領域53a及び53b、水平な横方向の直線状の輪郭を含む参照領域54a及び54bが指定されている。
参照領域53a及び53bは、横(X)方向の位置補正用であり、参照領域53a及び53b内の輪郭から得られるそれぞれ縦方向の直線の平均位置となるX座標位置が基準位置となる。また、参照領域54a及び54bは、縦(Y)方向の位置補正用であり、参照領域54a及び54b内の輪郭から得られるそれぞれ横方向の直線の平均位置となるY座標位置が基準位置となる。
図9は、縦方向の位置補正のために横方向の直線の代わりに、斜め方向の直線を用いる場合の図である。
同図においては、試料上のパターン61において、黒欠陥の修正対象である加工領域62、垂直な縦方向の直線状の輪郭を含む参照領域63、斜め方向の直線状の輪郭を含む参照領域64が指定されている。参照領域64における斜め方向の直線状の部分として、加工領域62の輪郭が用いられている。
参照領域63は、横(X)方向の位置補正用であり、参照領域63内の輪郭から得られる縦方向の直線のX座標位置が基準位置となる。また、参照領域64は、縦(Y)方向の位置補正用であり、参照領域64内の輪郭から得られる斜め方向の直線と、参照領域63内の輪郭から得られる直線との交点65におけるY座標位置が基準位置となる。なお、同図のように、加工領域の輪郭の一部が基準点の算出に用いられている場合、その輪郭部分は最後に加工する。この参照領域の設定方法は、出力手段23に同時に表示可能な領域に垂直方向のパターンしかない場合に有効である。
図10は、横方向の位置補正のために斜め方向の直線を2つ用いる場合の図である。
同図においては、試料上のパターン71において、黒欠陥の修正対象である加工領域72、水平な横方向の直線状の輪郭を含む参照領域74、斜め方向の直線状の輪郭をそれぞれ含む参照領域73a及び73bが指定されている。参照領域73a、及び、73bにおける縦方向の直線状の部分として、加工領域72の輪郭が用いられている。
参照領域74は、縦(Y)方向の位置補正用であり、参照領域74内の輪郭から得られる横方向の直線のY座標位置が基準位置となる。また、参照領域73a及び73bは、横(X)方向の位置補正用である。参照領域73a内の輪郭から得られる斜め方向の直線と、参照領域74内の輪郭から得られる横方向の直線との交点75a、参照領域73b内の輪郭から得られる斜め方向の直線と、参照領域74内の輪郭から得られる横方向の直線との交点75bを求め、これらの交点75a及び75bの中間点76を求める。この中間点76におけるX座標位置が、横(X)方向の位置補正用の基準位置となる。
これは、出力手段23に同時に表示可能な領域に水平方向のパターンしかない場合に有効であり、基準点の算出に用いられている加工領域の輪郭部分は最後に加工する。
図11は、参照領域を、異なる斜め方向の直線状の輪郭をそれぞれ含む2つの領域とした場合の図である。
同図においては、試料上のパターン81において、黒欠陥の修正対象である加工領域82、斜め方向の直線状の輪郭を含む参照領域83、参照領域83内の直線状の輪郭とは垂直に近い斜め方向の直線状の輪郭を含む参照領域84が指定されている。
この場合、参照領域83内の輪郭から得られる直線と、参照領域84内の輪郭から得られる直線の交点85を基準位置とする。この基準位置のずれにより、横(X)方向及び縦(Y)方向のドリフト量が算出される。
なお、出力手段23により表示される領域に垂直方向のパターンしかない場合には、参照領域を垂直な直線状の輪郭を含むもののみとすることができる。これは、垂直方向のパターンしかない場合、水平方向のずれのみを補正することで、水平方向の加工ずれを防ぐことができる。同様に、出力手段23により表示される領域に水平方向のパターンしかない場合には、参照領域を水平方向の直線状の輪郭を含むもののみとし、垂直方向のずれだけを補正することもできる。
例えば、出っ張り欠陥の場合、加工領域の輪郭線は欠陥画像の輪郭線から作られた部分(これをWとします。)と参照画像の輪郭線から作られた部分(これをCとします。)がある。CとWを比較すると、加工の精度はWよりCの方が高い精度が必要である。出っ張り欠陥を修正する場合において、例えば垂直の輪郭しかない場合が想定され、ドリフト補正ができない方向があるが、Cの精度を上げる方向(Cと直角方向)とドリフト補正が出来る方向は一致する。
なお、上記実施の形態においては、荷電粒子ビーム装置は、イオンビームを照射する装置としているが、電子ビームを照射する装置であってもよい。
なお、上述のコンピュータ13は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した画像形成手段22、領域指定手段25、算出手段27、及び、走査制御手段28の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものである。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
荷電粒子ビーム装置の全体構成を示すブロック図。 図1におけるコンピュータの構成を示すブロック図。 ドリフト補正方法のフローチャートを示す図。 直線の位置の算出方法を説明するための図。 斜めの直線から基準点の座標値を求める方法を説明するための図。 加工領域の選択例を示す図。 加工領域の選択例を示す図。 加工領域の選択例を示す図。 加工領域の選択例を示す図。 加工領域の選択例を示す図。 加工領域の選択例を示す図。
符号の説明
1…イオン源、 2…イオンビーム、 3…走査電極、 4…対物レンズ、 5、101…ガス銃、 6…有機化合物蒸気、 7…二次電子、 8…マスク、 9…XYステージ、 10…検出器、 11…A/D変換器、 12…走査回路、 13…コンピュータ、 14…ディスプレイ、 21…制御手段、 22…画像形成手段、 23…出力手段、 24…入力手段、 25…領域指定手段、 26…記憶手段、 27…算出手段、 28…走査制御手段

Claims (8)

  1. 荷電粒子ビームの照射により試料の観察及び加工を行う荷電粒子ビーム装置を用いた荷電粒子ビーム加工方法であって、
    荷電粒子ビームの照射により試料から放出された二次荷電粒子の検出強度を基に、試料パターンの画像を形成し、
    該形成された試料パターンの画像において、試料パターンの輪郭のうちで少なくとも2つの互いに異なる方向を向く直線状の部分からなる参照領域と、加工領域とを指定すると共に記憶し、
    加工の途中において随時参照領域に荷電粒子ビームを照射し、参照領域から放出された二次荷電粒子の検出強度を基に、前記参照領域の画像を形成し、
    前記記憶した参照領域の画像と加工の途中で形成された参照領域の画像の位置のずれ量を算出し、
    前記加工領域に、算出したずれ量の分を補正して荷電粒子ビームを照射して加工する、
    ことを特徴とする荷電粒子ビーム加工方法。
  2. 前記互いに異なる方向を向く直線は、横方向の直線状の部分、及び、縦方向の直線状の部分を含み、
    前記横方向の直線状の部分のずれから求まる縦方向のずれ量、及び、前記縦方向の直線状の部分から求まる横方向のずれ量を算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム加工方法。
  3. 前記記憶した参照領域の画像と前記加工の途中で形成された参照領域の画像から、それぞれ直線状部分の交点を求め、この交点のずれ量を算出し、
    前記加工領域に、算出した交点のずれ量の分を補正して荷電粒子ビームを照射する、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の荷電粒子ビーム加工方法。
  4. 前記直線状の部分の複数の箇所を参照領域として用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム加工方法。
  5. 前記参照領域は、1つの横方向の直線状の部分、及び、複数の縦方向の直線状の部分を、または、複数の横方向の直線状の部分、及び、1つの縦方向の直線状の部分を含み、
    前記1つの横方向の直線と前記複数の縦方向の直線との交点間の平均位置から横方向のずれ量を、または、前記1つの縦方向の直線と前記複数の横方向の直線との交点間の平均位置から縦方向のずれ量を算出する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の荷電粒子ビーム加工方法。
  6. 前記参照領域は、平行な横方向の直線状の部分、または、平行な縦方向の直線状の部分を含み、
    前記平行な横方向の直線の平均位置から縦方向のずれ量を、または、前記平行な縦方向の直線の平均位置から横方向のずれ量を算出する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の荷電粒子ビーム加工方法。
  7. 前記互いに異なる方向を向く直線は、2つの異なる斜め方向の直線状の部分を含み、
    前記記憶した参照領域の画像と前記加工の途中で形成された参照領域の画像から、それぞれの直線状部分の交点を求め、この交点のずれ量を算出し、
    前記加工領域に、算出した交点のずれ量の分を補正して荷電粒子ビームを照射して加工する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム加工方法。
  8. 荷電粒子ビームの照射により試料の観察及び加工を行う荷電粒子ビーム装置において、
    荷電粒子ビームの照射により試料から放出された二次荷電粒子の検出強度を基に、試料パターンの画像を形成する画像形成手段と、
    前記画像形成手段により形成された試料パターンの画像において、試料パターンの輪郭のうちで少なくとも2つの互いに異なる方向を向く直線状の部分からなる参照領域と、加工領域とを指定する領域指定手段と、
    領域指定手段により指定された領域を記憶する記憶手段と、
    領域指定手段により指定された前記参照領域及び加工領域に荷電粒子ビームを照射するよう制御する走査制御手段と、
    前記記憶手段に記憶していた参照領域の画像と、前記加工領域の加工の途中において、前記画像形成手段により形成された参照画像との位置のずれ量を算出する算出手段と、
    前記加工領域に、前記算出手段の算出したずれ量の分を補正して荷電粒子ビームを照射するよう前記走査制御手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。

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