JP4246311B2 - ビーム加工方法及び集束イオンビーム装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光露光装置や集束イオンビーム(Focused Ion Beam)装置などに用いられるマーク検出方法及びそのマーク検出方法を取り入れたビーム加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マーク検出は、光露光装置、電子線描画装置、集束イオンビーム(以下、FIBという)装置等で広く用いられている。FIB装置の場合、加工すべき試料に予め基準マークを設けておく、あるいはFIB装置のイオンビームで試料に基準マークを形成する。そして、加工中に基準マークを検出して、その基準マークに対して加工位置が常に一定距離になるように、検出されたマーク位置のずれに応じて逐次加工位置を補正することで、加工位置がずれないようにする機能がある。このように基準マーク位置を検出しながら加工することで、試料を保持しているステージが移動しても予め設定してある条件に従って加工できるため、FIBビームの偏向範囲より広い領域の加工も無人で行うことができる。この際、重要になるのがマーク検出の精度である。
【0003】
従来のマーク検出法は、レベル法でマーク信号(波形)の最大と最小の間にある値のスライスレベルを決め、マーク信号波形とスライスレベルの交点をマークエッジとして、マークエッジからマーク中心を算出する方法である。この方法は、簡便でかつ検出処理が速く、波形が対称ならば検出精度が良い。このため、マーク検出の基本をなして、多くの装置で用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の方法は、マーク検出波形にノイズが多かったり非対称な場合、マークのエッジが不鮮明な場合、また、マークのエッジよりも強い信号がマーク近傍で検出される場合はマーク検出精度が低下し、特にマークが半導体デバイスのパターン上にある場合にはマーク検出ができない。
【0005】
例えばベアーウェーハ上に形成されているマークのように、マーク検出波形のマークエッジが鮮明な場合は、マーク検出波形とスライスレベルの交点をマークエッジとしてマーク中心を求める方法でも問題は生じない。しかし、半導体デバイス上に作られたマークの検出波形は、デバイスパターンの凹凸情報がマーク信号に重なり、つまり、パターンのエッジとマークエッジが重なり、マークエッジとパターンエッジを区別できない場合がある。また、絶縁物と金属が混在する場合、帯電の影響で信号強度(明るさ)が場所場所で大きく変る。このような場合、マーク信号はエッジ検出の条件(エッジ数)を満たさず検出できなかったり、誤検出することがある。
【0006】
更に、マーク信号が非対称(この原因はマークそのものにあったり、検出器の取付け位置にあったりする)であれば、マークエッジを決めるためのスライスレベルを設定することが難しい。これは、マーク信号の非対称の度合を重心として考えると、重心とスライスレベル法で検出されるマーク中心が略一致するため、非対称なマーク信号の場合、検出されるマーク中心が真のマーク中心からずれる。つまり、レベル法では、非対称なマーク検出波形から求めたマーク中心位置が対称なマーク検出波形から求めたマーク中心位置と異なり、マーク検出精度を低下させる。
【0007】
特に、イオンビームを用いてマークを検出するFIB装置の場合、マークがイオンビームのスパッタ作用によって損傷を受け、マーク検出を繰返す毎にマーク検出波形が変わる。このため、他の装置で行われているような方法、つまり、走査ビーム回数を増やして検出信号を加算したり、走査ビームの電流を増してマーク信号のS/Nを上げる等の方法をとることが出来ない。しかし、マーク信号のS/Nが悪いと、マーク検出が出来なかったり、検出位置精度が悪くなったり、また、マークの誤検出につながる。
【0008】
一方、FIB装置においてビーム電流を変えて加工することは、加工時間の短縮や加工精度の向上を図る上で不可欠である。しかし、FIB装置のビーム電流の変更は、対物レンズ絞りの大きさを変えたり、コンデンサーレンズの倍率を変えたりすることで行われるため、ビーム電流の変更に伴ってビーム光軸が多少ずれて加工位置ずれを招く。これを防ぐには、ビーム電流を変えても位置ずれが起きないように、加工前に予め装置の光軸調整を行っておく必要があった。更にまた、FIB装置の自動加工機能の信頼性を高め、加工位置ずれの補正をサブミクロンの精度で正確に行うには、マーク検出の精度と信頼性を高くすることが重要である。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、最小のビーム走査回数(1画取得)でマーク位置を検出することができ、かつ、マークエッジが不明瞭なマーク検出波形からもマーク位置を検出することができる方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明では、試料上のマークをビームで走査し、走査領域から発生する信号から信号波形を得て、1枚の画像データとする。この画像データが512×512ピクセルからなるとすると、各X(特定のXに対するYの0〜511で成す信号)・Y(特定のYに対するXの0〜511で成す信号)軸のデータ(この場合512本)を全て加算したものを信号波形とする。これにより、512本の信号波形が加算平均されるので信号波形に乗るランダムなノイズが消去できる。また、各加算方向に垂直なマークエッジは、全ての位置に同様に加算平均され信号が小さくなる。一方、加算方向に平行なマークエッジは、特定の位置に集中的に加算され強調される。この方法によるマークエッジの強調化は、1枚の画像データのみによって可能であり、複数枚の画像データを取込む必要がない。
【0011】
マーク信号波形は、一般に形状が既知であり、マーク中心に対し特定の対称性がある。本発明では、マーク信号波形のこの性質を用いて、マーク信号波形の持つ対称性と検出信号の対称性が良く一致する点からマーク中心を算出する方法(対称性解析)、マーク信号波形が他の信号と明確に区別できることを利用して、予め検出する基準マーク信号波形を記憶しておき、その基準マーク信号波形と検出マーク信号波形とが最も良く一致する位置をマーク中心として検出する方法(相関解析方法)、あるいはこれらの方法を組み合わせた方法でマーク中心を求める。
【0012】
また、マーク検出機能を用いることによって基準マークとFIB加工位置が一定の距離になるようにずれ量を補正できるため、予めFIB装置のビーム光軸を精密に調整しなくとも、ビーム電流を変えた時の軸ずれを補正しながらビーム電流を色々変えて加工することができる。つまり、マークによる加工位置補正機能によって、予め加工するビーム電流に必要な光軸調整の負担を軽減することができる。このことはまた、サブミクロン精度の加工を短時間で行うことを可能にする。つまり、サブミクロンの加工精度を得るには、小さなビーム電流で加工する必要があるが、加工時間はビーム電流に反比例するので加工精度を上げようとすると加工時間が長くなる。このため、粗加工を大きなビーム電流で、仕上げ加工を小さなビーム電流でと、一つの加工をビーム電流を変えながら行い、ビーム電流を変えた時の軸ずれをマーク検出による加工位置補正機能を用いて補正することで、予めビームの軸を高精度に調整することなくサブミクロンの精度の加工を行うことができる。
【0013】
すなわち、本発明のマーク検出方法は、試料に設けられたマークの特徴的位置を検出するマーク検出方法において、マークを荷電粒子ビームで走査するとき試料から発生する試料信号に基づいてマーク画像を形成し、前記マーク画像の画素データを一つの軸方向に総加算して得られる信号波形と、前記マーク画像のデータを前記軸方向に直交する方向に総加算して得られる信号波形とを用いてマークの特徴的位置を求めることを特徴とする。マークの特徴的位置とは、例えばマーク中心など、マークに対して一定の位置関係にある位置である。
【0014】
マークの特徴的位置は、前記マーク検出方法で得られた信号波形と既知の基準波形との相関解析によって求めることができる。相関解析は2つの波形の積又は差分を用いて行うことができる。
マークの特徴的位置は、また、前記マーク検出方法で得られた信号波形と該信号波形の既知の対称性とを用いて求めることができる。
【0015】
マークの特徴的位置は、また、前記マーク検出方法で得られた信号波形と該信号波形の既知の信号幅と対称性とを用いて求めることができる。
マークの特徴的位置は、また、前記マーク検出方法で得られた信号波形と既知の基準波形との相関解析によりマークの大まかな特徴的位置を求め、その大まかな特徴的位置を中心とした前記信号波形と該信号波形の既知の信号幅と対称性とを用いて求めることができる。
【0016】
マークの特徴的位置は、また、前記マーク検出方法で得られた信号波形と既知の基準波形との相関解析によりマークの大まかな特徴的位置を求め、その大まかな特徴的位置を中心とした既知の信号幅内で前記信号波形の対称性を解析することにより求めることができる
マークは十字形状のマークとすることができる。
【0017】
また、本発明のマーク検出方法は、試料に設けられたマークの特徴的位置を検出するマーク検出方法において、マークを荷電粒子ビームで走査するとき試料から発生する試料信号を検出して得られた信号波形と該信号波形の既知の信号幅と対称性とを用いてマークの特徴的位置を求めることを特徴とする。
本発明のビーム加工方法は、試料に荷電粒子ビームを照射して加工を行うビーム加工方法において、試料の加工領域以外の位置に荷電粒子ビームを照射してマークを形成し、そのマークを前述のマーク検出方法で検出して加工位置のずれを補正することを特徴とする。
【0018】
本発明のビーム加工方法は、また、荷電粒子ビームで試料を照射して加工を行うビーム加工方法において、加工精度に応じてビーム電流を変え、ビーム電流を変えた時に試料に形成されているマークを検出して加工位置のずれを補正することを特徴とする。
本発明の一態様では、十字マークを含む走査領域から得られたマークの画像データから、X・Y軸方向にそれぞれ加算平均した波形データを得る。マーク中心は、既知の基準波形と上記波形データとの積又は差分の相関解析した結果をもとに、解析領域を制限して対称性解析で再計算しマーク中心を求める。この検出法によれば、イオンビームによるマークの損傷を極力抑えながら高精度にマーク位置を検出することができる。また、半導体デバイス上にマークが有る場合や、マークエッジがデバイスパターンに重なった波形に対しても、検出可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明をFIB装置に適用した場合のシステム構成を示す図である。イオン源で発生したイオンビーム1は偏向器2で偏向され、ステージ3上に置かれた試料4上を走査する。イオンビーム1が衝突することによって試料4から発生した2次粒子5は、シンチレータ6で検出され、プリアンプ7で増幅される。一方、ビーム走査信号生成装置9は、制御コンピュータ8からビーム走査開始命令を受けると、ビーム走査信号を偏向器制御装置10に渡し、偏向器制御装置10では走査(偏向)信号に基づいて生成した電圧を偏向器2に印加し、偏向器2を駆動する。また、走査(偏向)信号と同期して検出した信号は、プリアンプ7で増幅され、モニター11と信号処理装置12に分割して供給される。この検出信号は、走査信号と同期してモニター11に表示されると同時に、信号処理装置12では、モニターに表示された像をデジタル化してメモリに蓄える。信号処理装置12のデータは、制御コンピュータ8に渡され、マーク中心を求めるために解析処理される。
【0020】
FIB装置は加工観察装置であり、加工の場合、加工位置がずれることなくサブミクロンの精度で正確に加工を行うことが重要である。このため、加工中に試料に設けられた基準マークを検出して加工位置補正を行う機能と、ステージの移動を伴った加工においても予め設定された条件に従い、加工位置補正を行いながら加工する自動加工機能を備える。FIB装置の場合、装置自体のビームを用いて試料にマークを加工することが出来る。そのため、たとえば十字マークを加工した場合、十字の方向がFIBのX、Y走査方向と自動的に一致する。このような十字マークを用いてマーク位置を検出する場合について述べる。
【0021】
図2は、試料上のマーク位置とFIB加工位置の関係を説明する図である。試料上にはFIB加工領域20が設定されている。また、試料上のFIB加工領域20から離れた場所に十字マーク21が加工されている。十字マークの中心座標は(X0,Y0)である。FIB加工領域20中の時々刻々の加工位置の座標は、FIB加工領域20の加工開始点の座標(X1,Y1)と関連付けられて制御コンピュータ8によって管理されている。制御コンピュータ8は、検出されたマーク21のマーク中心に対して、FIB加工領域20の加工開始点が予め定められた位置関係となるように加工位置を補正する。
【0022】
次に、本発明によるマーク検出方法について説明する。まず、イオンビーム1でマーク21を含む走査領域を一面走査し、発生する信号を検出してモニター11に像の表示を行い、信号処理装置12で1枚の画像データを得る。たとえば、図3に示すように、像が512×512ピクセルの画像データP(xi,yj)(i=0,1,…,511;j=0,1,…,511)からなる場合、X方向に対しては512本(特定のX値におけるYの0〜511からなる信号)のデータ、同様にY方向に関しても512本(特定のY値におけるXの0〜511からなる信号)のデータがある。その画像データの各X,Y軸のデータを全て加算平均し、次式に示す波形データfy(x),fx(y)に変える。
【0023】
【数1】
【0024】
X,Y方向に、それぞれの512本のデータを加算した波形データfy(x),fx(y)を図3に示す。この方法によると、512×512ピクセルからなる1枚の画像データP(xi,yj)からX,Y方向にそれぞれ512本加算平均されるので、1本1本の信号に乗るランダムなノイズを消去することができる。
【0025】
従来の一般的なエッジ検出法では、マークのエッジを検出するため、マークエッジを含む走査領域を集中的に走査して検出する。この方法は、FIB装置のようにビームで試料を加工する装置においては、検出の際に試料を加工してしまうので、検出を繰り返す毎にマークエッジがダレてしまい、マーク信号が変化してマーク検出できなくなる問題が生じる。その対策として走査回数を減らすと、ノイズが増えノイズを誤検出することになる。
【0026】
一方、上記の本発明による方法では、各加算方向に垂直なマークエッジの信号は加算平均されて小さくなり、逆に加算方向に平行なマークエッジの信号は加算平均によって強調される。従って、マーク検出のために必要なエッジ信号を他の誤検出につながるエッジ信号より大きくすることが出来る。この方法のためのデータは1枚のマーク画像に含まれているデータだけで十分であり、複数枚のマーク画像を取込む必要がない。したがって、FIB装置の場合においても、マーク検出の際に生じるマークの損傷を最小限に抑えることができる。
【0027】
マーク画像データのピクセルデータをY軸方向及びX軸方向に全て加算平均して波形データfy(x),fx(y)に変え、この波形データfy(x),fx(y)に基づいてマークエッジを検出し、それからマーク中心を求めることができる。しかし、この方法では鮮明なエッジ信号が得られない場合があり、レベル法ではマークの高精度な検出が困難な場合がある。そこで、マーク検出の精度向上を図るため、本発明では、マーク検出のために更に(1)対称性解析、(2)相関解析、又は(3)対称性解析と相関解析を組合せた解析、を併用する。以下、この解析処理方法について説明する。
【0028】
(1)対称性解析
図4(a)は、図3に示したX軸方向及びY軸方向の加算処理と対称性解析処理を併用する場合の処理手順を示すフローチャートである。まず、マークが形成されている領域をビームで走査して、マークの2次元画像を取得する(S11)。次に、図3に示すように、X,Y軸方向にそれぞれ平均加算されたマーク信号波形を得る(S12)。その後、以下に説明する対称性解析を行い(S13)、マークの中心を求める(S14)。
【0029】
一般に関数は、偶関数と奇関数で展開できる。このことを用いてマーク信号波形を偶関数と奇関数で展開する。ここでは、マーク信号波形fy(x)に関する処理について説明するが、マーク信号波形fx(y)の処理も全く同様に行われる。マーク信号波形fy(x)は、f(x)をマーク情報、n(x)をノイズとして次式のように表すことができる。
【0030】
【数2】
【0031】
対称性を評価するために次式Z(x)を定義する。ここで、Wはマーク幅であり、−W/2≦x′≦W/2である。
【0032】
【数3】
【0033】
この計算でノイズ成分n(x)は加算平均され消える。また、マーク情報f(x)は、偶関数ge(x)と奇関数go(x)で展開することができ、次の関係が成り立つ。
【0034】
【数4】
【0035】
【数5】
であるから、上記〔数3〕の積分Z(x)は、次式のようになる。
【0036】
【数6】
【0037】
ただし、Ee(x)は偶関数成分の関数、Eo(x)は奇関数成分の関数である。この結果は、求める関数f(x)が偶関数であればその中心は極大値に、奇関数であればその中心は極小値に対応することを示している。上記計算を離散的量として表すと、離散マーク信号波形をf[i]として、f[i+j]とf[i−j]の積をマーク幅にわたって加算した次式で表される。−k/2≦j≦k/2ただし、マーク幅Wをk個に離散化した。
【0038】
【数7】
【0039】
規格化が必要であれば、次式r[i]で定義される。
【0040】
【数8】
【0041】
この結果からf(x)と同様に、マーク信号波形が偶関数であればr[i]の極大値がマーク中心として、奇関数であれば極小値がマーク中心として求まる。
図5は、〔数7〕の演算を模式的に表したものである。図5の左側は、マーク信号波形f[i]が奇関数である場合の演算を表し、図5の右側はマーク信号波形f[i]が偶関数である場合の演算を表している。図5(a)の左側に示すようにマーク信号波形f[i]が奇関数である場合について説明すると、各点を中心とする幅Wa(−k/2≦j≦k/2)の波形と反転波形とを演算する。図5(b)はi=i1のときの2つの波形と演算結果Z[i1]を示している。同様に、図5(c)はi=i2のときの2つの波形と演算結果Z[i2]を、図5(d)はi=i3のときの2つの波形と演算結果Z[i3]を示している。その結果、Z[i]は図5(e)に示すようになり、対称の中心i2において極小値をとる。マーク信号波形が偶関数の場合には、図5の右側に示すようになる。Z[i]は図5(e)に示すように計算され、対称の中心i2において極大値をとる。
【0042】
上記解析では、マーク信号波形の偶奇性を指定してその波形の偶奇に対応する最大・最小値をマーク中心とする。
対称性解析の応用例として、画像を取込んで画像内のゴミなどをマークとしてみたてる場合がある。この場合、ゴミの縦横の大きさを信号幅として対称性解析を実施すると、極値が得られる。一般に波形は、信号幅の取り方で偶関数として扱うことも奇関数として扱うことも可能であるが、ゴミの大きさを信号幅としてみた場合、ゴミの信号波形の偶奇性が決まる。従って、前記極値は、ゴミの波形が偶関数なら最大値に、奇関数なら最小値としてゴミの位置を求めることができる。この極値点は、ゴミの中心になるとは限らないが、検出する毎に位置が変わることがないので基準点として用いることができる。つまり、上記方法によってゴミをマークとして用いることができる。
しかし、一般にマーク信号波形は偶奇性を合わせ持つため、上記方法では明確なピークが得られない場合がある。
【0043】
(2)相関解析
そのような場合でもマーク中心を検出できる方法として、予め検出するマーク信号波形を基準波形f0[j]として登録しておき指定したマーク信号と検出信号の重なりが最も良い点をマーク中心として解析する方法を取る。基準波形は、マーク信号波形の領域(−q0/2≦j≦q0/2)を指定して、指定領域における信号を基準波形とする。相関解析には、積による相関解析と差分による相関解析とがある。
【0044】
図4(b)は、図3に示したX軸方向及びY軸方向の加算処理と相関解析処理を併用する場合の処理手順を示すフローチャートである。まず、マークが形成されている領域をビームで走査して、マークの2次元画像を取得する(S21)。次に、図3に示すように、X,Y軸方向にそれぞれ平均加算されたマーク信号波形を得る(S22)。また、検出マーク信号波形と相関をとるべき基準マーク信号波形を指定する(S23)。その後、以下に説明する相関解析を行い(S24)、マークの中心を求める(S25)。なお、ステップ23の基準マーク信号波形の指定は、ステップ24の前であれば、どの段階で行っても構わない。
(a)積による相関解析
積関係で相関を求めるなら、上記〔数7〕のZ[i]を、次の〔数9〕のように変形し、計算領域をマーク信号波形の領域(−q0/2≦j≦q0/2)として計算すればよい。
【0045】
【数9】
【0046】
(b)差分による相関解析
また、差分関係によって相関を用いて求めるなら、次の〔数10〕で表されるZ[i]をマーク信号波形の領域(−q0/2≦j≦q0/2)に対して計算すればよい。
【0047】
【数10】
【0048】
いずれの方法もマーク中心が最大値として求まる。図6は、マーク信号波形に対して相関解析を適用した様子を模式的に示したものである。図6(a)は基準波形f[j]を示す。基準波形の領域すなわちマーク幅Wは(−q0/2≦j≦q0/2)である。図6(b),(c),(d)は、それぞれ位置i1,i2,i3における基準波形f[j]と信号波形f[i+j]のフィッティングと演算結果Z[i1],Z[i2],Z[i3]を示す。こうして、図6(e)に示すようにZ[i]が計算され、信号波形の中心はZ[i]の最大値の位置として求められる。
【0049】
また、図7は、同じ信号波形であっても、それを奇関数とみるか偶関数とみるかによって、検出されるマーク中心の位置が異なってくる例を示す。また、この例はマーク幅Wの設定の仕方によって検出されるマーク中心の位置が異なってくる例と云うこともできる。
図7(a)に示すような信号波形があったとき、いまこれを偶関数として取り扱うとする。具体的にはマーク幅を図示のようにW1に設定する。このとき、前述の対称性解析あるいは相関解析を行うと、マーク中心が位置C1として求められる。一方、図7(c)に示すように、同じ信号波形のマーク幅をW2に設定し、偶関数として取り扱うとする。この場合には、図7(d)に示すように、対称性解析によっても相関解析によってもマーク中心はマーク幅W2内の位置C2として求められる。
【0050】
しかし、積や差分による相関解析処理で全ての問題が解決すると云うこともできない。指定したマーク信号波形領域の中心が指定したマーク中心の位置と認識されるので、指定するマーク信号波形の領域と実際のマーク信号波形領域(マーク中心位置)にずれがあると、そのずれがそのまま加工位置のずれとなって現れてしまう。このマーク信号波形領域の指定に起因する人為的ずれを取り除くには、非人為的に(自動的に)マーク中心を求めるようにしなければならない。ただし、FIB加工においては、絶対マーク中心と加工位置の対応が取れている必要がない。再現される基準位置に対し加工位置を決めるだけで良い場合が多いので、対称性解析が有効である。対称性解析で求めたマーク中心は、マークの絶対中心(マーク設計中心)と一致しない場合があるが、検出されたマーク中心位置は、再現性良く同じ位置で検出できる。
【0051】
(3)対称性解析と相関解析の組合せ
非人為的に基準マーク位置を求めるには、相関解析と対称性解析を組み合せるのが有効である。つまり、相関解析で大まかなマーク中心を求めたうえ、そのマーク中心をもとに解析領域を(−q0/2≦j≦q0/2)に制限して対称性解析で再計算すると、非人為的にマーク中心を求めることができる。図4(c)は、この場合の処理手順を示すフローチャートである。まず、マークが形成されている領域をビームで走査して、マークの2次元画像を取得する(S31)。次に、図3に示すように、X,Y軸方向にそれぞれ平均加算されたマーク信号波形を得る(S32)。また、検出マーク信号波形と相関をとるべき基準マーク信号波形を指定する(S33)。次に、前述の相関解析を行って大まかなマーク中心を求める(S34)。更に、その大まかなマーク中心の付近に解析領域を制限し、マーク信号波形の対称性に関する既知の情報を用いて対称性解析を行い(S35)、マーク中心を求める(S36)。なお、ステップ33の基準マーク信号波形の指定は、ステップ34の前であれば、どの段階で行っても構わない。
【0052】
また、半導体デバイスのパターンの凹凸の影響を受けずに、鮮明なマーク信号の波形を得る方法として、半導体デバイスをタングステン・デポジション膜で覆い、その堆積膜上にマークを加工することで鮮明なマーク信号波形を得ることが出来る。また、半導体デバイスのパターンの凹凸を予めイオンスパッタで除去した上で、マーク加工することでもデバイスパターンの影響を受けないマークを得ることができる。
【0053】
図8は、本発明のマーク検出方法を用いたFIB加工方法の一例を説明するフローチャートである。まず、FIB加工を行う試料の加工領域とは異なる位置にFIBによりマークを加工する(S41)。このマークは、例えば図2に示すような十字マークとすることができる。その後、いままで説明した方法によってマーク検出を行い(S42)、加工位置を設定する(S43)。この加工位置設定では、図2に示すように、マーク検出で求められたマーク中心(X0,Y0)に対してFIB加工領域20の加工開始点(X1,Y1)を設定する。次に、タイマーtをゼロにリセットする。そして、FIB加工領域20に対してFIB加工を行い、ステップ46の判定で加工終了でなければステップ47に進み、ビーム電流を変更したかどうか判定する。ビーム電流を変更していなければステップ48に進み、タイマーの計時tが設定時間ΔTを超えていないかどうか判定し、超えていなければステップ45に戻って加工を行う。
【0054】
そして、粗加工から仕上げ加工に移行する際などにビーム電流を変更したときは、ステップ47の判定からステップ42に進み、マーク検出を行い(S42)、その結果に基づいて加工位置補正を行う(S43)。また、前回のマーク検出に基づく加工位置補正から、予め定められた時間ΔTが経過すると、ステップ48からステップ42に進み、同様にマーク検出を行い(S42)、その結果に基づいて加工位置補正を行う(S43)。
【0055】
【発明の効果】
本発明によると、1枚の画像データからランダムノイズを消去したマーク信号波形を得ることができるため、マークの損傷を最小限に抑えて高精度のマーク検出を行うことができる。また、マーク信号波形を解析演算することによって、半導体デバイス上にマークがあったり、エッジが不明瞭なマークも検出可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をFIB装置に適用した場合のシステム構成を示す図。
【図2】試料上のマーク位置とFIB加工位置の関係を説明する図。
【図3】マークの画像データと、それをX軸及びY軸方向に加算平均て得た波形データfy(x),fx(y)の例を示す図。
【図4】マーク検出のフローチャート。
【図5】奇関数と偶関数に対する対称性解析を説明する模式図。
【図6】マーク信号波形に対する相関解析を説明する模式図。
【図7】信号波形を奇関数とみた場合と、偶関数とみた場合の比較図。
【図8】本発明によるFIB加工方法の一例を説明するフローチャート。
【符号の説明】
1…イオンビーム、2…偏向器、3…ステージ、4…試料、5…2次粒子、6…シンチレータ、7…プリアンプ、8…制御コンピュータ、9…走査信号生成装置、10…偏向器制御装置、11…モニター、12…信号処理装置、20…FIB加工領域、21…マーク
Claims (4)
- 試料に集束イオンビームを照射して加工を行うビーム加工方法において、
試料の加工領域以外の位置に集束イオンビームを照射してマーク中心に対し特定の対称性を有しマークエッジを有する十字マークを形成し、前記十字マークを集束イオンビームで全面走査するとき試料から発生する試料信号に基づいてマーク画像を形成し、前記マーク画像の画素データを前記十字マークのマークエッジと平行な一つの軸方向に総加算して得られる信号波形と、前記マーク画像のデータを前記軸方向に直交する他の軸方向に総加算して得られる信号波形とを用いて、前記軸上の各点を中心とする既知のマーク幅の前記信号波形とその反転波形とを演算する対称性解析の極値によって前記十字マークの特徴的位置を検出して加工位置のずれを補正することを特徴とするビーム加工方法。 - 請求項1記載のビーム加工方法において、前記信号波形と既知の基準波形との相関解析によりマークの大まかな特徴的位置を求め、前記大まかな特徴的位置を中心とした前記信号波形に対して前記対称性解析を行うことを特徴とするビーム加工方法。
- 請求項1記載のビーム加工方法において、前記信号波形と既知の基準波形との相関解析によりマークの大まかな特徴的位置を求め、前記大まかな特徴的位置を中心とした既知の信号幅内で前記対称性解析を行うことを特徴とするビーム加工方法。
- 試料に集束イオンビームを照射して加工を行う集束イオンビーム装置において、
試料の加工領域以外の位置に集束イオンビームを照射してマーク中心に対し特定の対称性を有しマークエッジを有する十字マークを形成する手段と、
前記十字マークを集束イオンビームで全面走査するとき試料から発生する試料信号に基づいてマーク画像を形成する手段と、
前記マーク画像の画素データを前記十字マークのマークエッジと平行な一つの軸方向に総加算した信号波形を取得する手段と、
前記マーク画像のデータを前記軸方向に直交する他の軸方向に総加算した信号波形を取得する手段と、
前記2つの信号波形を用いて、前記軸上の各点を中心とする既知のマーク幅の前記信号波形とその反転波形とを演算する対称性解析の極値によって前記十字マークの特徴的位置を求める手段と、
前記求めた前記十字マークの特徴的位置を用いて加工位置のずれを補正する手段とを備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
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