JP2007111760A - 連続鋳造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、凝固した鋳塊をモールドの下部より引き抜く連続鋳造装置であって、合金溶湯が供給される前記モールドにはスラグ層が配置され、該スラグ層には所定の間隔で複数の加熱電極が設置されており、前記スラグの温度に応じて前記加熱電極のうち特定の加熱電極毎に制御可能な制御装置を具備する連続鋳造装置である。好ましくは、 スラグ層内に複数箇所設置された温度検出手段からの出力に連動して、特定の加熱電極を制御させる。また合金溶湯は、積層凝固速度にて、0.3m/分以下の注入速度で注入することが好ましい。
【選択図】 図1
Description
この積層凝固の形態は、凝固空間が小さいことに起因して、インゴット鋳造で発生する中心偏析や、逆V偏析といった偏析の発生を緩和することができる。また、水冷モールドの使用により、冷却速度を高めることができるため、組織が微細均一になるという利点もある。
この様な問題を解決しようとする方法として、スラグ反応により精錬効果が期待できるESR法を起源として、電極を使わず細滴化した溶湯を、加熱溶融したスラグ層中を通過させ、精錬槽底部から鋳塊を引き抜く技術が、特許文献1に示されている。
ところで、本発明者は、ESRに代えて、ESR電極を使用せず、溶湯をスラグを配置したモールドに供給して溶湯プールを形成させ、積層凝固した鋳塊をモールドの下部より引き抜く連続鋳造を試みたところ、引き抜かれた鋳塊の表面に不均一なスラグ層が形成されたり、場合によってはブレークアウトを起こしたりする場合が確認された。
また、本発明は合金溶湯を積層凝固速度にて、0.3m/分以下の注入速度で注入し、溶湯プールを形成させつつ凝固させる装置に好適である。
単純にスラグ層に加熱電極を配置すればスラグを通電加熱することはできる。しかし、スラグは、スラグ温度によって抵抗値が変動するため、抵抗値の低い部分に電流が集中して流れ、均一な加熱が困難である。スラグ温度と抵抗値の関係は反比例となっていてスラグ温度が高い部分ほど抵抗値が小さいため、スラグ温度が高い(抵抗値が小さい)部分に電流が集中して流れ、更に加熱される。特に、本発明では、スラグは供給される溶湯からの熱によっても加熱されるため、元々不均一な加熱状態に曝されており、スラグの状態を均一にすることは、平滑な鋼塊肌を得るための重要な課題となる。
上述したように、本発明においては、元々不均一な加熱状態に曝されること、またモールド中にスラグを配置するため凝固表面の平滑性に対するスラグの影響が極めて大きいことから、電極制御は極めて有効である。
なお、本発明においてスラグ温度に応じて行う制御は、温度を直接検出して制御する方法でも良いし、スラグ温度に依存する電気的因子、たとえばスラグの抵抗値の温度依存性に基づく変化を検出して加熱電極を制御しても良い。
加熱電極の制御手段としては、たとえば各電極のスラグの温度に応じ、過加熱部は投入電力を低下させ、加熱不足部は投入電力を増加させて各電極の加熱を制御することでスラグ温度を均一に制御することができる。特定の電極毎に電流をON/OFFさせることでも良い。もちろん、予め設定した加熱パターンで加熱を制御することもできる。
しかし、より正確に制御するにはやはり、スラグ状態を検知する為にスラグ層内に温度検出手段を設置することが好ましい。本発明では、複数の加熱電極を設置するため、電極毎に又は電極数以上の箇所に温度検出手段を設置してスラグ状態を検出することが好ましい。
そして、制御装置は、スラグ層内に複数箇所設置された温度検出手段によって検出された温度に連動して、特定の加熱電極を制御することが望ましい。
合金溶湯の注入速度が遅いと、溶湯からの熱供給が不足しかつ部位による熱供給のバランスが不均一になり易く、スラグを均一な状態で溶融して保持することが難しくなるため、本発明が特に有効となるためである。
これにより、水冷モールド2に内装した保温部材である黒鉛スリーブ3の下端より40mmにメニスカス上面位置を有する溶湯プール4を形成でき、水冷モールド(保温部材)側にシェルを形成することができる。
そして、合金溶湯11の注入量相当に合わせて、昇降装置20を降下して鋳塊5を引き抜くことで、積層凝固を進行させることができる。また、水冷モールドから抜け出た鋳塊は2次冷却帯30でミスト冷却されるようにしている。
タンディッシュに溶湯を保持し、表1に示す組成及び融点を有するスラグを80mmの厚さで配置して水冷モールドに鋳造を行った。溶湯は質量%JIS SKD11相当の鋼種を用いた。
溶湯温度を1500℃とし、注入速度は、積層凝固速度0.03m/分(30mm/分)相当としてスラグ加熱を行いつつ引抜鋳造を行った。溶湯鋼種の融点を考慮して目標スラグ温度範囲を1350〜1400℃とし、加熱電源40の電流を300Aに設定して電極15各々の電流検出器52の値が均等になるように加熱切替器41を制御しながらスラグ加熱を行った。このとき、電極15各々に近接配置した温度検出器51(TC1〜TC4)で検出された温度信号の一例を図5に示す。この時、スラグ加熱は21分で終了している。
また、比較のために図2の電極15を円筒一体型黒鉛電極に置き換えた図3の構成でのスラグ加熱を行った。このとき、図2と同様の位置に配置した温度検出器51(TC1〜TC4)で検出された温度信号の一例を図6に示す。この時、スラグ加熱は52分で終了している。なお、一体型電極のため加熱切替器は使用していない。この為、スラグの加熱制御は加熱電源40の電流調整のみで行うものである。
図4での実際の制御は、TC1のみ高いスラグ温度を示した場合に行った制御の実例である。図4に示すように時間t1以前のスラグ温度は電極1周囲の温度TC1のみが目標温度範囲より高く、電極1の電流も大きい。他の電極2〜3周囲の温度は目標温度範囲にあり、それらの値は等しく、電流値も等しい。このため、時間t1〜t2の期間で電極1の電流を遮断し、TC1の温度を下げた。この間、電極2〜4の電流値は、時間t1以前より大きくなり、全電流値の1/3の値となって、電極2〜3周囲の温度は上昇する。時間t2で電極1に通電すると、TC1の温度は有る程度下がったものの時間t1以前と同様にTC1のスラグ温度はTC2〜TC4よりも依然として高いため、時間t3で再度電極1の電流を遮断してTC1の温度をさらに下げる。時間t4でTC1の温度が目標温度に入り、TC1〜4の全ての温度が一致してスラグの状態が均一になったところで電極1の通電を再開する。この時、電極1〜4の電流が等しくなり、その値は全電流値の1/4の値となる。時間t4以降は、スラグ温度が目標温度内に入るように全電流値を調整してフラグ加熱を継続する。更に、時間t4以降でスラグの状態が不均一になり目標温度範囲から外れた場合は、時間t1〜t4と同様な制御を行ってスラグの状態を均一するように制御する。
一方、本発明においては、図5に示すように、鋳造初期の不均一なスラグの温度分布をスラグ加熱部位の制御によって是正し、スラグ温度を目標温度範囲内とすることができ、スラグの不均一凝固を防止できることが確認できた。
Claims (3)
- 凝固した鋳塊をモールドの下部より引き抜く連続鋳造装置であって、合金溶湯が供給される前記モールドにはスラグ層が配置され、該スラグ層には所定の間隔で複数の加熱電極が設置されており、前記スラグの温度に応じて特定の加熱電極毎に制御可能な制御装置を具備することを特徴とする連続鋳造装置。
- 制御装置は、スラグ層内に複数箇所設置された温度検出手段からの出力に連動して、特定の加熱電極を制御することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造装置。
- 合金溶湯を積層凝固速度にて、0.3m/分以下の注入速度で注入し、溶湯プールを形成させつつ凝固させるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造装置。
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