JP2007111084A - 車椅子用エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車椅子が転倒した場合のみならず、車椅子の衝突時にも使用者への衝撃を吸収することのできる車椅子用エアバッグ装置を提供する。
【解決手段】傾斜センサ11によって車椅子1の傾斜を検知した場合、または衝突センサ12によって車椅子1の衝突を検知した場合にエアバッグ13を膨張させるようにしたので、車椅子1が転倒した場合のみならず、車椅子1の衝突時にも使用者への衝撃を吸収することができ、転倒事故や衝突事故から車椅子1の使用者Aを保護するための手段として効果的である。
【選択図】図1
【解決手段】傾斜センサ11によって車椅子1の傾斜を検知した場合、または衝突センサ12によって車椅子1の衝突を検知した場合にエアバッグ13を膨張させるようにしたので、車椅子1が転倒した場合のみならず、車椅子1の衝突時にも使用者への衝撃を吸収することができ、転倒事故や衝突事故から車椅子1の使用者Aを保護するための手段として効果的である。
【選択図】図1
Description
本発明は、病人や障害者等によって使用される車椅子において、転倒事故や衝突事故から使用者を保護するための車椅子用エアバッグ装置に関するものである。
従来、歩行の不自由な人が使用する車椅子としては、使用者または補助者の人力によって走行するものや、使用者の運転操作によって自走可能な電動のものなどが知られている。即ち、歩行の不自由な人であっても、車椅子の使用により、車椅子の走行可能な範囲であれば自由に移動することができる。
また、車椅子が転倒した場合に衝撃を吸収するための装置として、車椅子の使用者の所定部位を覆うように膨張可能なエアバッグと、車椅子の傾斜を検知する傾斜センサとを備え、車椅子の転倒による傾斜を検知すると、エアバッグを膨張させて車椅子の使用者に対する転倒時の衝撃を吸収するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−17790号公報
ところで、近年の電動車椅子の普及により、車椅子使用者の行動範囲が広がりつつあるが、電動車椅子は介助者をつけずに単独で走行可能であるとともに、時速6km程度の速度で走行することができるため、不慮の転倒事故のみならず、衝突事故を起こすおそれもある。例えば、屋外の道路を走行する場合に側溝に脱輪するなど、車椅子が転倒した場合には前記エアバッグ装置により衝撃を吸収することができるが、電柱、外壁等の障害物に衝突した場合など、傾斜が検知されない衝突事故ではエアバッグ装置が作動しないため、車椅子の使用者の保護が十分でないという課題が残されていた。
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、車椅子が転倒した場合のみならず、車椅子の衝突時にも使用者への衝撃を吸収することのできる車椅子用エアバッグ装置を提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、車椅子の使用者の所定部位を覆うように膨張可能なエアバッグと、エアバッグを膨張させる膨張手段とを備えた車椅子用エアバッグ装置において、前記車椅子の傾斜を検知する傾斜検知手段と、車椅子の衝突を検知する衝突検知手段と、傾斜検知手段によって車椅子の傾斜を検知した場合または衝突検知手段によって車椅子の衝突を検知した場合にエアバッグを膨張させる制御手段とを備えている。
これにより、傾斜検知手段によって車椅子の傾斜が検知された場合、または衝突検知手段によって車椅子の衝突が検知された場合にエアバッグが膨張することから、車椅子が転倒した場合のみならず、車椅子の衝突時にも使用者への衝撃がエアバッグによって吸収される。
本発明の車椅子用エアバッグ装置によれば、車椅子が転倒した場合のみならず、車椅子の衝突時にも使用者への衝撃を吸収することができるので、転倒事故や衝突事故から車椅子の使用者を保護するための手段として効果的である。
図1乃至図9は本発明の一実施形態を示すもので、図1は本発明のエアバッグ装置を備えた電動車椅子の側面図、図2は制御系を示すブロック図、図3は車椅子における角速度の方向を示す概略側面図、図4は制御部の動作を示すフローチャート、図5は人体用装着具の着用状態を示す正面図、図6はエアバッグ膨張時の平面図、図7は人体用装着具の正面図、図8はその背面図、図9はその側面図である。
同図に示す車椅子1はモータによって自走可能な周知の電動車椅子であり、使用者Aが着座する座部2及び背もたれ部3を備えている。車椅子1は左右一対の前輪4及び後輪5を有し、各後輪5はモータ、バッテリ等からなる駆動ユニット6によって駆動されるようになっている。各前輪4はハンドル7によって左右に操舵可能になっており、ハンドル7の近傍には発進、停止及び速度調整用のアクセルレバー(図示せず)が設けられている。
前記車椅子1に備わるエアバッグ装置10は、車椅子1の傾斜を検知する傾斜センサ11と、車椅子1の衝突を検知する衝突センサ12と、使用者Aの頭部及び首部を覆うように膨張可能なエアバッグ13と、傾斜センサ11または衝突センサ12の検出信号に基づいてエアバッグ13を膨張させる制御部14とを備え、エアバッグ13は使用者Aが着用する人体装着具20に設けられている。
傾斜センサ11は、例えば周知の2軸角速度センサからなり、車椅子1の前後及び左右のほぼ中央に設けられている。2軸角速度センサとしては、例えば一つのセンサで二方向の角速度を検出可能なジャイロセンサや圧電型センサを用いることができる。即ち、傾斜センサ11は、図3に示すように車椅子1の前後方向の軸(X軸)を中心とする角速度及び左右方向の軸(Y軸)を中心とする角速度をそれぞれ検出するようになっている。
衝突センサ12は、例えば周知の2軸高加速度センサからなり、車椅子1の前部に設けられている。即ち、衝突センサ12は、車椅子1の前後方向及び左右方向に生ずる加速度をそれぞれ検出するようになっている。
エアバッグ13は、人体装着具20に充気装置13aと共に収縮状態で収納されており、充気装置13aによって空気が充填されると、人体の頭部の周囲を覆う部分13bが環状に膨出するとともに、人体の首部後方を覆う部分13cが上下方向に延びるように膨出する。
制御部14はマイクロコンピュータによって構成され、傾斜センサ11、衝突センサ12及び充気装置13aに接続されている。制御部14は、傾斜センサ11の検出信号に基づいて車椅子1の傾斜を検知した場合、または衝突センサ12の検出信号に基づいて車椅子1の衝突を検知した場合に、充気装置13aによってエアバッグ13を膨張させるようになっている。また、制御部14は車椅子1側または人体装着具20側に配置されており、図示しないリード線等によって各センサ11,12及び充気装置13aに電気的に接続されている。
人体装着具20は、車椅子1の背もたれ部3の背面側に配置される第1の背面フラップ部21と、背もたれ部3の前面側に配置される第2の背面フラップ部22と、人体の両肩から胸部に亘って延びる前面フラップ部23と、人体の両肩から前面に亘って延びる左右一対の第1のベルト24と、人体の胴周りに延びる第2のベルト25と、第2のベルト25から車椅子1の座部2の下方に延びる第3のベルト26とから構成され、ナイロン等の化学繊維からなる生地を縫製することによって形成されている。
第1の背面フラップ部21は背もたれ部3の背面とほぼ同等の大きさに形成され、その上端側は前面フラップ部23の一端側と連続するように一体に形成されている。背面フラップ部21の下端側には背もたれ部3の下方から前方に折り返し可能な左右一対の第1の固定ベルト21aが設けられ、各第1の固定ベルト21aの先端側には第2の背面フラップ部22に着脱自在なファスナ21bが設けられている。背面フラップ部21の幅方向両端には車椅子1の背もたれ部3に固定される左右一対の第2の固定ベルト21cが上下二箇所に設けられ、各第2の固定ベルト21cは互いに着脱自在なファスナ21d,21eによって連結されるようになっている。また、背面フラップ部21の背面には、任意の物品を収納可能な収納バッグ21fが設けられている。
第2の背面フラップ部22は背もたれ部3の前面とほぼ同等の大きさに形成され、その上端側は第1の背面フラップ部21の上端側に連結されている。即ち、第2の背面フラップ部22の下端側に第1の背面フラップ部21の各第1の固定ベルト21aをファスナ21bによって固定するとともに、第1の背面フラップ部21の各第2の固定ベルト21cを背もたれ部3の前面側で連結することにより、各背面フラップ部21,22が背もたれ部3に固定されるようになっている。
前面フラップ部23は人体の頭部を挿通可能な孔23aを有し、その一端側は第1の背面フラップ部21の上端側と連続するように一体に形成されている。前面フラップ部23はエアバッグ13を収納する収納カバー23bによって覆われており、収納カバー23b内には折り畳まれたエアバッグ13と充気装置13aが収納されている。即ち、エアバッグ13が膨張すると、収納カバー23bが開封されて図中一点鎖線で示すようにエアバッグ13が前面フラップ部23から膨出するようになっている。
各第1のベルト24は、一端を前面フラップ部23の他端に連結されるとともに、その他端を第2のベルト25に連結され、それぞれ着脱用バックル24a,24bによって上下に分離可能になっている。
第2のベルト25は両端を第1の背面フラップ部21の下端に連結され、着脱用バックル25a,25bによって左右に分離可能になっている。
第3のベルト26は両端を第2のベルト25の幅方向両側に連結され、着脱用バックル26a,26bによって左右に分離可能になっている。
以上の構成においては、人体装着具20の第1及び第2の背面フラップ部22を第1及び第2の固定ベルト21a,21cによって車椅子1の背もたれ部3に固定するとともに、第3のベルト26を車椅子1の座部2の下方に通してバックル26a,26bを連結することにより、人体装着具20が車椅子1に固定される。
次に、使用者Aが車椅子1に座り、前面フラップ部23の孔23aに頭部を挿通するとともに、各第1のベルト24のバックル24a,24bをそれぞれ胸部前方で連結し、更に第2のベルト25のバックル25a,25bを腰部前方で連結することにより、人体装着具20が使用者Aに装着される。
ここで、例えば屋外を走行中の車椅子1が脱輪等によって傾斜した場合、または車椅子1が障害物と衝突した場合には、エアバッグ13の充気装置13aが作動し、エアバッグ13が瞬時に膨張する。これにより、エアバッグ13が使用者Aの頭部の周囲と首部の後方に膨出し、転倒時または衝突時の使用者Aへの衝撃がエアバッグ13によって吸収される。
即ち、制御部14は、図4のフローチャートに示すように、図示しないメインスイッチがオンにされると(S1)、各角速度Ωx ,Ωy の検出を開始する(S2)。次に、左右方向の傾斜に対する角速度Ωx (X軸回りの角速度)の絶対値が所定の基準速度Vx よりも大きくなった場合(S3)、または前後方向の傾斜に対する角速度Ωy (Y軸回りの角速度)の絶対値が所定の基準速度Vy よりも大きくなった場合は(S4)、タイマの計時を開始する。ここで、所定時間tが経過する前に(S5)、角速度Ωx の絶対値が基準速度Vx 以下になった場合(S6)、または角速度Ωy の絶対値が基準速度Vy 以下になった場合には(S7)、ステップS3に戻る。また、前記ステップS6において角速度Ωx の絶対値が基準速度Vx 以下になる前、または前記ステップS7において角速度Ωy の絶対値が基準速度Vy 以下になる前に、前記ステップS5において時間tが経過したならば、各角速度Ωx ,Ωy の値をそれぞれ積分し(S8)、一方の角速度Ωx の積分値(左右方向の傾斜角度)の絶対値が所定の基準値θx 以上の場合(S9)、または他方の角速度Ωy の積分値(前後方向の傾斜角度)の絶対値が所定の基準値θy 以上の場合には(S10)、充気装置30を作動してエアバッグ13を膨張させる(S11)。また、ステップS9,10において各角速度Ωx ,Ωy の積分値の絶対値が何れもその基準値θx ,θy 以上でない場合には、ステップS3に戻る。
一方、前記ステップS3,S4において各角速度Ωx ,Ωy の何れも基準値Vx ,Vy 以下の場合に、前後方向の加速度Gx の絶対値が所定の基準速度Hx よりも大きくなった場合(S12)、または左右方向の加速度Gy の絶対値が所定の基準速度Hy よりも大きくなった場合には(S12)、充気装置30を作動してエアバッグ13を膨張させる(S11)。
このように、本実施形態によれば、傾斜センサ11によって車椅子1の傾斜を検知した場合、または衝突センサ12によって車椅子1の衝突を検知した場合にエアバッグ13を膨張させるようにしたので、車椅子1が転倒した場合のみならず、車椅子1の衝突時にも使用者への衝撃を吸収することができ、転倒事故や衝突事故から車椅子1の使用者Aを保護するための手段として効果的である。
この場合、傾斜センサ11を、車椅子1の前後方向の軸を中心とする角速度及び左右方向の軸を中心とする角速度をそれぞれ検出する角速度センサによって構成し、傾斜センサ11によって検出された角速度に基づいて車椅子1の傾斜を検知するようにしたので、車椅子1の前後方向及び左右方向の両方の傾斜を検知することができ、何れの方向への転倒においてもエアバッグ13を確実に膨張させることができる。
また、衝突センサ12を、車椅子1の前後方向及び左右方向の加速度をそれぞれ検出する加速度センサによって構成し、衝突センサ12によって検出された角速度に基づいて車椅子1の衝突を検知するようにしたので、車椅子1の前後方向及び左右方向の両方の衝突を検知することができ、何れの方向の衝突においてもエアバッグ13を確実に膨張させることができる。
更に、エアバッグ13を使用者Aの頭部の周囲と首部の後方に膨出させるようにしたので、車椅子1が衝突する物体と使用者Aとの間は勿論のこと、車椅子1が横転した際の路面との間にも第2のエアバッグ13を介在させることができ、使用者Aへの衝撃を効果的に吸収することができる。
この場合、エアバッグ13を使用者Aの着用する人体装着具20に設けたので、エアバッグ13を常に使用者Aに対する所定の位置に膨出させることができ、エアバッグ13による衝撃吸収効果を十分に発揮することができる。
また、人体装着具20を車椅子1の背もたれ部3及び座部2に固定可能に形成したので、人体装着具20によって使用者Aを車椅子1に確実に保持することができ、通常の使用時における使用者Aの位置ずれも防止することができる。
更に、各第1のベルト24のバックル24a,24b及び第2のベルト25のバックル25a,25bをそれぞれ着脱することにより、人体装着具20を車椅子1に固定した状態で人体と着脱可能に形成したので、人体装着具20を車椅子1に装着したまま使用者Aが車椅子1に乗り降りすることができ、人体装着具20の着脱作業を極めて容易に行うことができる。
尚、前記実施形態では、電動の車椅子1に本発明のエアバッグ装置を適用したものを示したが、人力で走行する車椅子であってもよい。また、前記実施形態では、角速度センサからなる傾斜センサ11によって車椅子1の傾斜角度を検知するようにしたものを示したが、例えば周知の3軸加速度センサと2軸角速度センサとを組み合わせて車椅子1の傾斜角度を検知するようにしてもよい。
1…車椅子、10…車椅子用エアバッグ装置、11…傾斜センサ、12…衝突センサ、13…エアバッグ、14…制御部、20…人体装着具、A…使用者。
Claims (6)
- 車椅子の使用者の所定部位を覆うように膨張可能なエアバッグと、エアバッグを膨張させる膨張手段とを備えた車椅子用エアバッグ装置において、
前記車椅子の傾斜を検知する傾斜検知手段と、
車椅子の衝突を検知する衝突検知手段と、
傾斜検知手段によって車椅子の傾斜を検知した場合または衝突検知手段によって車椅子の衝突を検知した場合にエアバッグを膨張させる制御手段とを備えた
ことを特徴とする車椅子用エアバッグ装置。 - 前記傾斜検知手段を、車椅子の前後方向の軸を中心とする角速度及び左右方向の軸を中心とする角速度をそれぞれ検出する角速度センサによって構成し、
前記制御手段を、傾斜検知手段によって検出された角速度に基づいて車椅子の傾斜を検知するように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の車椅子用エアバッグ装置。 - 前記衝突検知手段を、車椅子の前後方向及び左右方向の加速度をそれぞれ検出する加速度センサによって構成し、
前記制御手段を、衝突検知手段によって検出された角速度に基づいて車椅子の衝突を検知するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の車椅子用エアバッグ装置。 - 前記エアバッグを車椅子の使用者が着用する人体装着具に設けた
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の車椅子用エアバッグ装置。 - 前記人体装着具を車椅子の所定位置に固定可能に形成した
ことを特徴とする請求項4記載の車椅子用エアバッグ装置。 - 前記人体装着具を車椅子の所定位置に固定した状態で人体と着脱可能に形成した
ことを特徴とする請求項5記載の車椅子用エアバッグ装置。
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