JP2007110901A - 血中中性脂肪低減用組成物 - Google Patents

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Mitsutaka Kono
光登 河野
Motohiko Hirotsuka
元彦 廣塚
Toshiaki Aoyama
敏明 青山
Yukio Hashimoto
征雄 橋本
Makoto Kito
誠 鬼頭
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Fuji Oil Co Ltd
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Abstract

【課題】安全かつ効率的に血中の中性脂肪濃度を低減させる中性脂肪低減用組成物を提供すること。
【解決手段】大豆蛋白質から分画された7Sグロブリンからなる中性脂肪低減用組成物。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は大豆蛋白質から分画された生理活性のひとつである血中の中性脂肪低減用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
大豆蛋白質は植物性蛋白質の中で栄養性が優れているだけでなく、近年では様々な生理活性効果が見い出され、生理機能剤としても注目される食品素材である。
【0003】
大豆蛋白質の持つ血中の中性脂肪低減能については、未だその効果の有無自体が議論の対象ではあるが、大豆蛋白質が体脂肪率を下げる効果は既に確認されており、そのメカニズムは肝臓での脂肪酸合成酵素の活性を抑えるためであることを、入谷ら(J. Nutr., 126, 380, 1996)が明らかにしている。
【0004】
従って、大豆蛋白質の持つ血中の中性脂肪低減能の有無を確認し、さらにその低減能が大豆蛋白質のどの成分に存在するかを確認し、効率よく精製することは安全性のきわめて高い医薬品素材としてだけでなく、食品用素材として利用する上で重要な因子である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、大豆蛋白質が血中の中性脂肪低減能を有していることを確認し、その画分を特定して、そのものを分画して食品あるいは医薬品として提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、大豆蛋白質の主要構成成分である7Sグロブリンを分画し、蛋白質純度として60%以上好ましくは70%以上で分画された7Sグロブリンを有効成分とする血中中性脂肪低減用組成物とする。あるいは、育種技術により7Sグロブリンを豆種子中の全蛋白質量の50%以上好ましくは60%以上含有する大豆より作製した分離大豆蛋白質を有効成分とする血中中性脂肪低減用組成物を得る。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明での大豆蛋白質の主要構成成分である7Sグロブリンの分画方法であるが、まずは同じく主要構成成分である11Sグロブリンを除去することを行わなければならない。その除去方法であるが、現在11Sグロブリンの分画方法として広く用いられいるタン・シバサキの方法(Thahn,V.H.and Shibasaki,K., J.Agric.Food Chem. ,24, 117,1976)はもちろんであるが、その他いわゆるクリオプレシピテーション(Briggs,D.R.and Mann,R.L., Cereal Chem, 27, 243,1950) による冷却不溶区分(Cold-insoluble fraction/CIF と呼ばれる) や、ウルフらによる(Wolf,W.J., and Sly,D.A., Cereal Chem, 44, 653,1967) 0.1N塩化カルシウム添加による分画法、また、大豆蛋白にフィチン酸分解活性を有する酵素又は酵素剤を作用させる分画法等のいずれの分画法によっても良い。上述いずれかの方法により11Sグロブリンを除去した後、7Sグロブリンを通常の分離大豆蛋白質の作製方法によって分画する。ただし、この際還元剤は用いないのが好ましく、十分使用に耐えうる純度の11Sグロブリンが分画でき、さらにコレステロール低減剤として使用する場合も還元剤を含まない方がより広い範囲の用途が期待できる。
【0008】
あるいは、育種技術により7Sグロブリンを種子中の全蛋白質量の50%以上好ましくは60%以上含む大豆から脱脂大豆を作製し、そこから還元剤を使用しないこと以外は通常の分離大豆蛋白質の作製方法によって作製された、純度60%以上の7Sグロブリンを指す。この場合も上述同様還元剤は用いずとも十分使用に耐えうる純度の7Sグロブリンが取得でき、さらに中性脂肪低減剤として使用する場合も還元剤を含まない方がより広い範囲の用途が期待できる。
【0009】
本発明において、7Sグロブリンとは、一般に可溶性の球状蛋白質の総称であるグロブリンの中、分子量の超遠心沈降係数が7Sに相当するものを言う。グロブリンの分子量分布で2S、7S、11S、15Sが存在し、その内、7Sと11Sが大豆の様な豆科植物の貯蔵蛋白質には多量に含まれていることが知られている。なお、大豆の7Sグロブリンはβ−コングリシニンとも言われている。
【0010】
本発明者らは鋭意検討の結果、次のことが判った。
1)脱脂大豆より、大豆蛋白質成分の一般的な分画法であるタン・シバサキらによる方法によって11Sグロブリンを除去した後、そこから7Sグロブリンを分画する場合、還元剤を使用せずとも60%以上の純度にまで分画出来る。
2)上記7Sグロブリンと同時に精製した11Sグロブリンを、カゼインを比較対照とした、ラットを用いた3週間の動物実験により、7Sグロブリンにのみ血中の中性脂肪低減能を有していた。
【0011】
血中の中性脂肪低減能が7Sグロブリンにのみ存在し、11Sグロブリンに存在しないことから、その成分の蛋白質画分、つまり大豆蛋白質から7Sグロブリンへの精製度が向上している分、対蛋白質当たりの血中中性脂肪低減効果が、向上していることは容易に考えられ、その分投与量は少量で済むことが期待できる。
【0012】
また、この7Sグロブリンを中性脂肪低減剤として経口投与する場合も、その形態は例えば、低減剤の形態(粉末状、糖衣錠、顆粒状等)、賦形剤の種類と量、また食餌療法として食品に添加しても、その効果を保持できる。
【0013】
【実施例】
以下に、本発明の有効性を実施例と共に示すが、これらの例示によって本発明の技術思想が限定されるものではない。
【0014】
製造例1(7Sグロブリンの調製)
脱脂大豆に1:10の重量割合で水を加え、随時pHを7.0 に調整しながら1時間撹拌し、この混合物を遠心分離(4,000 r.p.m.,20℃で10分間) し、得られた上澄液をpH6.4 に調整して、4℃にて一晩放置して、遠心分離(4,000 r.p.m.,4℃にて10分間) して得られた上澄液を、pH4.5 に調整して、遠心分離(4,000 r.p.m.,4℃にて10分間) して得られた沈殿物を回収・加水後、pH7.0 に中和して殺菌し、噴霧乾燥したものを7Sグロブリンとした。
このようにして得られた7SグロブリンをSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、その後染色された蛋白質のバンドの染色度の測定から、純度として72.4%あり、以下の検討に十分耐えうる純度であることを確認した。
【0015】
製造例2(7Sグロブリンを多く含む大豆からの分離大豆蛋白質の調製)
育種技術により、7Sグロブリンを種子中の全蛋白質量の61.4%含む大豆の脱脂大豆に1:10の重量割合で水を加え、随時pHを7.0 に調整しながら1時間撹拌し、この混合物を遠心分離(4,000 r.p.m.,20℃で10分間) し、得られた上澄液をpH4.5 に調整して、遠心分離(4,000 r.p.m.,4℃にて10分間) して得られた沈殿物を回収・加水後、pH7.0 に中和して殺菌し、噴霧乾燥したものを分離大豆蛋白とした。
このようにして得られた分離大豆蛋白をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、その後染色された蛋白質のバンドの染色度の測定から、純度として72.8%あり、以下の検討に十分耐えうる純度であることを確認した。
【0016】
製造例3(11Sグロブリンの調製)
上記製造例1での4℃にて一晩放置して、遠心分離(4,000 r.p.m.,4℃にて10分間) して得られた沈殿物側を回収・加水後、pH7.0 に中和して殺菌し、噴霧乾燥したものを11Sグロブリンとした。
このようにして得られた11SグロブリンはSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果、純度として85.4%あり、以下の検討に十分耐えうる純度であることを確認した。
【0017】
実施例1(ラットによる血中コレステロール低減効果確認試験)
ラットによる血中コレステロール低減効果確認試験であるが、その試験飼料の配合は、上記製造例1および3にてそれぞれ得られた各大豆蛋白質成分と比較対照としてカゼイン(ビタミンフリーカゼイン、オリエンタル酵母(株)製)をそれぞれ食餌蛋白質として20%含み、コレステロール 0.5% とコール酸ナトリウム 0.125% が添加され、さらにシュクロースとコーンスターチの混合比率を1:2としたものを用いた。具体的配合を下記表1に記す。
【0018】
【表1】
Figure 2007110901
【0019】
実験動物は5週齢のウィスター系雄ラット(体重90g から110g程度のラット)を日本SLCより購入し、市販固形飼料(オリエンタル「CRF−1」)で1週間予備飼育した後、各試験資料群の体重が揃うように1群6匹で計3群に分け、試験飼料で3週間飼育した。飼育はラットを個別ケージに1匹ずつ入れ、温度23±1℃、湿度55±5%で12時間明暗サイクル(7:00から19:00 まで照明)の下で行った。飼育期間中は水および飼料を自由摂取させた。
【0020】
試験期間は21日間とし、その期間の体重の増加を測定し、下記表2の結果を得た。なお、各試験間の体重の増加量に有意差は認められなかった。
【0021】
【表2】
Figure 2007110901
【0022】
21日間の試験食終了後、22日目の朝(AM8:00)より6時間絶食し、ネンブタール麻酔下で開腹後、ヘパリン処理した注射器で腹部大動脈より採血した。血液から遠心分離(3,000 r.p.m.,5℃にて10分間) にて血漿を分離し、中性脂肪を測定した。測定値については群毎に平均値と標準偏差を算出し、有意差の検定はDuncan's multiple range testによって行った。
その結果を以下の表3に示す。
【0023】
【表3】
Figure 2007110901
【0024】
【発明の効果】 本発明により、血中中性脂肪濃度を効率的に低減せしめることができ、しかも安全性がきわめて高いので、血中中性脂肪の濃度低減のための予防ないし、治療剤として有用であるだけでなく、そのための飲食品として提供することが出来る。

Claims (3)

  1. 大豆蛋白質から蛋白質純度として60%以上で分画された7Sグロブリンを有効成分とする血中中性脂肪低減用組成物。
  2. 7Sグロブリンを種子中の全蛋白質量の50%以上含む大豆より作製した分離大豆蛋白質を有効成分とする血中中性脂肪低減用組成物。
  3. その製造工程において還元剤を添加しないで作製された請求項1ないし2の血中中性脂肪低減用組成物。
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