JP2007109919A - 樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】エッチングレジスト層およびめっきレジスト層を形成する際の位置合わせが原因となり発生していた、孔のランド幅が不均一である、ランドと孔の位置ずれが生じる等の問題を解決する手段に好適な材料を提供することである。
【解決手段】貫通孔または/および非貫通孔を有し、かつ少なくとも表面に導電層を有する絶縁性基板の表面に、第一樹脂層を形成する工程、表面導電層上の第一樹脂層上に、第一樹脂層用現像液に不溶性または難溶性の第二樹脂層を形成する工程、第一樹脂層用現像液によって孔上の第一樹脂層を除去する工程を含む回路基板の製造方法で使用する第一樹脂層形成用樹脂フィルムにおいて、下記数式を満たすことを特徴とする樹脂フィルム。
第一樹脂層形成用樹脂フィルムの厚み(t)/孔径(φ)≦0.5
【選択図】なし
【解決手段】貫通孔または/および非貫通孔を有し、かつ少なくとも表面に導電層を有する絶縁性基板の表面に、第一樹脂層を形成する工程、表面導電層上の第一樹脂層上に、第一樹脂層用現像液に不溶性または難溶性の第二樹脂層を形成する工程、第一樹脂層用現像液によって孔上の第一樹脂層を除去する工程を含む回路基板の製造方法で使用する第一樹脂層形成用樹脂フィルムにおいて、下記数式を満たすことを特徴とする樹脂フィルム。
第一樹脂層形成用樹脂フィルムの厚み(t)/孔径(φ)≦0.5
【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂フィルムに関する。
近年の電子機器の小型、多機能化に伴い、回路基板も高密度化や配線パターンの微細化が進められており、そのような条件を達成する手段としては、回路基板の多層化が挙げられる。図34で示したように、複数の配線層を積層して形成した回路基板は、一般にスルーホール7、バイアホール8、インタースティシャルバイアホール9と呼ばれる、内壁を導電層で被覆したあるいは充填した貫通孔、非貫通孔(以下、孔)といった細孔を通じて各層間の導通が行われている。
図35は、孔を上部から見た概略図である。孔12の周囲にランド13と呼ばれる導電層が形成されている。ランドは角形、円形、楕円形、異形等、種々の種類があるが、占有面積あるいは設計面の使いやすさから、円形を用いることが多い。また、高密度化に対応するためには、ランドレスもしくは狭小ランド幅の孔が必要とされている。
回路基板を製造する方法は、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法等がある。サブトラクティブ法は、表面に導電層を設けた絶縁性基板の回路部にエッチングレジスト層を設け、露出している非回路部の導電層をエッチング除去して回路を形成する方法である。アディティブ法は、絶縁性基板の表面の非回路部にめっきレジスト層を設け、回路部に相当する部分に無電解めっき処理等で導電層を形成する方法である。セミアディティブ法は、薄い導電層を表面に有する絶縁性基板の非回路部にめっきレジスト層を設け、回路部に相当する部分に電解めっき処理で導電層を形成し、非回路部のめっきレジスト層を除去した後、フラッシュエッチング処理によって、非回路部の薄い導電層を除去して回路を形成する方法である。
エッチングレジスト層およびめっきレジスト層は、スクリーン印刷法、感光性材料を用いた露光現像工程を有するフォトファブリケーション法、インクジェット法等によって形成される。ランドレスや狭小ランド幅の孔を製造しようとする場合、孔の穴開け加工やスクリーン印刷法、露光工程、インクジェット法等の工程における位置合わせが重要であり、特に、高密度回路基板で要求されるランドレスおよび狭小ランド幅の孔では、非常に高い位置合わせ精度が必要となる。ランドは、図35のように、孔の全方向に均一な幅を有する形、つまり孔とランドが同心円である場合が最も望ましいが、位置合わせが不正確であると、図36(a)(b)のそれぞれ右の図のように、孔とランドは同心円とならなくなるという問題があった。
図36は(a)狭小ランド幅、(b)広大ランド幅の孔において、距離Xの位置ずれが発生した場合の孔とランドの位置ずれを表した平面概略図である。図36(b)広大ランド幅の孔では、孔の周囲にランドが形成された状態となるが、図36(a)狭小ランド幅の孔では、ランドが孔部分から切れてしまい、全ての外周に渡って狭小ランドが存在する孔を形成することができないという問題が発生している。穴開け加工の精度、基板の伸縮、露光用フォトマスクの寸法変化等が原因となって、位置合わせ精度には限界があるのが実情である。また、高密度回路基板上に形成される孔の径は多種類で、孔数も極めて多いため、全ての孔に対して精確に位置合わせを行うことは非常に困難である。したがって、高密度回路基板ではランドレスや狭小ランド幅の孔が求められているにもかかわらず、ランド幅を大きく設計しなくてはならないという問題が発生している(例えば、特許文献1)。
このような位置合わせが原因となっていたランドと孔の位置ずれの問題を解決し、回路基板の高密度化のために要求されているランドレスや狭小ランド幅の孔を有する回路基板を製造する方法として、貫通孔または/および非貫通孔を有し、かつ少なくとも表面に導電層を有する絶縁性基板の表面に第一樹脂層を形成する工程、表面導電層上の第一樹脂層上に、第一樹脂層用現像液に不溶性または難溶性の第二樹脂層を形成する工程、第一樹脂層用現像液によって孔上の第一樹脂層を除去する工程を含む回路基板の製造方法がある(例えば、特許文献2)。第二樹脂層を形成する工程は、表面に導電層を有し、第一樹脂層を貼り付けた回路形成用基板に対向するように現像電極を設置し、回路形成用基板の導電層を接地して、適正なバイアス電圧を印加する工程、次に孔上の第一樹脂層上と表面導電層上の第一樹脂層上の静電容量の差を利用して表面導電層上の第一樹脂層上に、第一樹脂層用現像液に不溶性または難溶性の第二樹脂層を形成する工程から成り立っている。
この回路基板の製造方法では、図37(a)もしくは図37(b)の断面概略図で示される樹脂付開口基板が得られる。表面に導電層2を有する絶縁性基板1の孔3部分を除いた表面に、第一樹脂層5および第二樹脂層6が設けられた樹脂付開口基板となっている。該樹脂付開口基板に対して、穴埋めインク工程、導電性インク充填工程、電着工程、金属めっき工程、レジスト形成工程、エッチング工程を、適宜組み合わせた一連の工程を行うことで、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法等によって、回路基板を製造することができる。
上記の回路基板の製造方法に含まれる一連の工程は、位置合わせを必要としない。したがって、回路基板に存在する孔の大きさ、形状、数、位置がどのような場合であっても、精確かつ選択的に孔部分にのみ樹脂層が存在しない樹脂付開口基板を容易に製造することができる。
しかし、上記回路基板の製造方法において、樹脂付開口基板を作製しようとする場合、孔上の第一樹脂層上にも第二樹脂層が形成され、基板の一部で開口不良が発生することがあった。特に、孔径が小さい場合に、開口不良が顕著に発生するという問題があった。
特開平7−7265号公報
国際公開第2005/086552号パンフレット
本発明の課題は、エッチングレジスト層およびめっきレジスト層を形成する際に位置合わせを必要とせずに回路基板の高密度化のために要求されているランドレスや狭小ランドを製造する回路基板の製造方法に好適な樹脂フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、
貫通孔または/および非貫通孔を有し、かつ少なくとも表面に導電層を有する絶縁性基板の表面に、第一樹脂層を形成する工程、表面導電層上の第一樹脂層上に、第一樹脂層用現像液に不溶性または難溶性の第二樹脂層を形成する工程、第一樹脂層用現像液によって孔上の第一樹脂層を除去する工程を含む回路基板の製造方法で使用する第一樹脂層形成用樹脂フィルムにおいて、下記数式を満たすことを特徴とする樹脂フィルム
第一樹脂層形成用樹脂フィルムの厚み(t)/孔径(φ)≦0.5
を見出した。
貫通孔または/および非貫通孔を有し、かつ少なくとも表面に導電層を有する絶縁性基板の表面に、第一樹脂層を形成する工程、表面導電層上の第一樹脂層上に、第一樹脂層用現像液に不溶性または難溶性の第二樹脂層を形成する工程、第一樹脂層用現像液によって孔上の第一樹脂層を除去する工程を含む回路基板の製造方法で使用する第一樹脂層形成用樹脂フィルムにおいて、下記数式を満たすことを特徴とする樹脂フィルム
第一樹脂層形成用樹脂フィルムの厚み(t)/孔径(φ)≦0.5
を見出した。
本発明に係わる回路基板の製造方法において、第一樹脂層形成用樹脂フィルムとして本発明の樹脂フィルムを使用する。本発明の樹脂フィルムの膜厚/孔径は0.5以下である。第一樹脂層の厚み/孔径が上記数値より大きい場合、孔上の第一樹脂層上に第二樹脂層が形成されやすくなる。本発明の樹脂フィルムは、小径化においても孔上には第二樹脂層が形成されないという利点を有する。
以下、本発明の樹脂フィルムについて詳細に説明する。
本発明の樹脂フィルムは、キャリアーフィルム上に樹脂組成物からなる樹脂層を積層したものである。樹脂組成物は、回路形成用基板へ熱圧着し、孔部に対してテンティングするようにラミネート可能で、かつ第一樹脂層用現像液に対して溶解性を有し、さらに、本発明に係わる回路基板の製造方法に含まれる一連の工程の後工程で必要とされる特性を有しているものであれば、特に限定されるものではない。アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、スチレンとマレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル樹脂、安息香酸ビニル樹脂等からなるフィルムやそれら樹脂に酸性基を導入したアルカリ水溶液に溶解するフィルム、ポリエチレングリコールやポリビニルアルコール等の水溶性フィルム等の非感光性フィルムが挙げられる。また、回路基板製造用の光架橋性(ネガ型)ドライフィルムフォトレジスト、光導電層を利用した有機光半導体レジストを使用することもできる。また、本発明に係わる第一樹脂層は、キャリアーフィルム(ポリエチレンテレフタレート等)と保護フィルム(ポリエチレン等)の間にはさまれている3層の構成であれば、保存や貼り付けの際に好適である。ブロッキングが問題にならなければ保護フィルムを使用しない2層構造のものでもよい。
一般的に使用されている回路基板製造用の光架橋型(ネガ型)ドライフィルムフォトレジストについて以下に例を挙げるが、本発明の趣旨と異ならない限り何れの光架橋性樹脂であっても適用可能である。例えば、カルボン酸基を含むバインダーポリマー、光重合性の多官能モノマー、光重合開始剤、溶剤、その他添加剤からなるネガ型の感光性樹脂組成物が使用できる。それらの配合比率は、感度、解像度、硬度、テンティング性等の要求される性質によって決定される。これらの例は「フォトポリマーハンドブック」(フォトポリマー懇話会編、1989年刊行、(株)工業調査会刊)や「フォトポリマー・テクノロジー」(山岡亜夫、永松元太郎編、1988年刊行、日刊工業新聞社刊)等に記載されている。
有機半導体レジストについて光導電層としては、静電潜像を形成する方法によって、従来型とメモリー型に大別される。従来型は、まず、暗中もしくはセーフライト中で、光導電層表面を略均一に正または負に帯電した後、露光により、光導電層の導電能を発現させて、露光部の帯電量を減少させることで、回路パターンに対応する静電潜像を形成させる。次いで、第三樹脂層を形成する帯電した樹脂粒子を静電潜像に沿って、電着・定着させて、回路部に第三樹脂層を形成する。従来型において、光導電層としては、例えば、西独特許第1117391号明細書、同第2526720号明細書、同第3210577号明細書、特開昭52−2437号公報、同57−48736号公報、同59−168462号公報、特開昭63−129689号公報、特開2001−352148号公報、特許3281476号公報、同3281486号公報等に記載されているものを使用することができる。
メモリー型は、暗中もしくはセーフライト中で、回路パターンに対応した露光処理を行って、露光部に導電能を発現させた後、光導電層表面に対して、正または負の帯電処理を行って、露光部以外の光導電層表面を帯電させて、回路パターンに対応する静電潜像を形成させる。次いで、第三樹脂層を形成する帯電した樹脂粒子を静電潜像に沿って、電着・定着させて、回路部に第三樹脂層を形成する。メモリー型では、特開2002−158422号公報、特開2002−23470号公報等記載の光導電層を使用することができる。
本発明の樹脂フィルムの膜厚は、厳密には回路形成用基板上にラミネートした後、キャリアーフィルムを剥離した状態の厚みを指す。また、本発明に係わる孔径は、回路形成用基板上に様々な大きさの孔径がある場合は、その中で最小の孔径を指す。さらに、孔径は、孔の内壁に導電層がない場合には、穴開け加工時の孔径を、内壁に導電層がある場合には、穴開け加工時の孔径から導電層の厚みを差し引いた後の孔径を指す。
本発明に係わる回路基板の製造方法において、第二樹脂層に用いられる樹脂は粒子状態で、液体に分散させた液を使用する。図1に示したように、表面および孔3の内壁に導電層2を有し、第一樹脂層5を貼り付けた回路形成用基板4に対向するように現像電極14を設置し、回路形成用基板4の導電層2を接地して、適正なバイアス電圧を印加すると、電界Eに従って、帯電した荷電粒子15は回路形成用基板4方向に電気泳動する。図1では、樹脂粒子15が正に帯電し、かつ正のバイアス電圧をかけた場合を示しているが、樹脂粒子を負に帯電させ、かつ負のバイアス電圧をかけた場合でも、同様に樹脂粒子15は回路形成用基板4方向に電気泳動する。
ここで、電気泳動によって回路形成用基板方向に近づいてきた帯電した樹脂粒子の第一樹脂層への付着は、静電容量の影響を受ける。図2のように、表面およびスルーホール(貫通孔)20または/およびバイアホール(非貫通孔)21の内壁に導電層2を有し、第一樹脂層5を貼り付けた絶縁性基板1において、第一樹脂層5の静電容量は、その下の形状に影響を受ける。すなわち、導電層2上の第一樹脂層5と、スルーホール(貫通孔)20または/およびバイアホール(非貫通孔)21上の第一樹脂層5とでは、静電容量に差が生じる。
以下、第一樹脂層の静電容量の差と、それに基づく第二樹脂層付着量の差について説明する。導電層表面と第一樹脂層表面を電極としたコンデンサーと見立てた場合、次式(1)が成立する。
Q=CV (1)
[但し、Q;第一樹脂層上の電荷、C;静電容量、V;導電層表面を基準とした第一樹脂層表面の電位]
静電容量Cは、次式(2)で表される。
C=εS/d (2)
[但し、ε;誘電率、d;第一樹脂層表面と導電層表面との距離、S;面積]
Q=CV (1)
[但し、Q;第一樹脂層上の電荷、C;静電容量、V;導電層表面を基準とした第一樹脂層表面の電位]
静電容量Cは、次式(2)で表される。
C=εS/d (2)
[但し、ε;誘電率、d;第一樹脂層表面と導電層表面との距離、S;面積]
ここで、図3に示したように、孔上と表面導電層上において、一定面積(Sが一定)における静電容量Cを比較した場合、距離の違いにより、孔上の静電容量が表面導電層上の静電容量よりも小さくなる。樹脂粒子は、第一樹脂層全面が等電位となるように、第一樹脂層上に付着する。したがって、孔上の電荷は表面導電層上の電荷に比べて小さくなる。次式(3)のように、電荷Qの大きさは、第二樹脂層を形成する樹脂粒子数Nに比例する。
Q=Nq (3)
[但し、N;第二樹脂層を形成する樹脂粒子数、q;第二樹脂層を形成する樹脂粒子1個の電荷]
Q=Nq (3)
[但し、N;第二樹脂層を形成する樹脂粒子数、q;第二樹脂層を形成する樹脂粒子1個の電荷]
したがって、孔上の第一樹脂層に付着した第二樹脂層を形成する樹脂粒子数は、表面導電層上の第一樹脂層に付着した第二樹脂層を形成する樹脂粒子数よりも少なくなる。
以上のように、静電容量Cの違いにより、孔上の第一樹脂層上への第二樹脂層の付着量と、表面導電層上の第一樹脂層上への第二樹脂の付着量とに違いが生じる。表面導電層上の第一樹脂層上には第一樹脂層用現像液に対するレジスト性が生ずる厚みまで第二樹脂層を設け、孔上の第一樹脂層上には第一樹脂層用現像液に浸食される量の第二樹脂層を設ける。第二樹脂層をレジストとして孔上の第一樹脂層を除去することで、精確かつ選択的に孔内壁および孔周囲の導電層を露出させることができる。
しかし、上記の第一樹脂層の静電容量の差と第二樹脂層の付着量の説明は、導電層表面と第一樹脂層表面を電極としたコンデンサーと見立て、第一樹脂層全面が等電位とした付着量飽和状態を利用したモデルである。静電容量モデルでは、飽和状態において最も付着量の差が明確になり、樹脂付開口基板の製造が容易になる。飽和状態にするには、現像時間を非常に長く設定したり、荷電粒子に対する静電容量以外の影響が存在しない状態にしなければならない。しかし、実際には、現像時間は作業性の点から長くできず、現像装置や第二樹脂層形成用樹脂を分散させた液の物性が荷電粒子に様々な影響を及ぼす。つまり、飽和状態になる前の状態(過渡状態)で、現像処理が終了している場合が多く、そのために開口していない孔ができることが分かった。
以下、現像の過渡状態において、形成される電気力線の違いを利用したモデルによって、孔上の第一樹脂層上と導電層上の第一樹脂層上への第二樹脂層の付着量の違いについて説明する。
まず、第一樹脂層を設けていない回路形成用基板を例にして、図4を用いて回路形成用基板の近傍における電場について電気力線を使って説明する。図4では、回路形成用基板4に対向するように現像電極14が設置され、回路形成用基板4の導電層2を接地した状態で、現像電極14と導電層2との間に適正なバイアス電圧が印加されている。図中の矢印は、回路形成用基板の近傍における電気力線を示したものである。導電層上の点Aでは、垂直方向の電気力線18が存在する。孔上の電気力線の状態は、孔部分に導電層が存在しないために、導電層と孔の境界(以下、孔周囲という)上の点Bの方向へ曲がり、点Bの方向に電気力線19が集中する。この孔周囲上の点に向かって電気力線が集中する効果を、エッジ効果と呼ぶ。
次に、第一樹脂層を設けた回路形成用基板上への第二樹脂層の付着について説明する。図5〜図8は、第一樹脂層を設けた回路形成用基板への第二樹脂層を形成する荷電粒子の動きを表した模式図である。第二樹脂層を形成する工程に用いられる帯電した荷電粒子は、電気力線に沿って移動し、電気力線が集中する場所には多くの荷電粒子が付着する。図5は、回路形成用基板において孔径が大きい場合の荷電粒子の動きを表している。孔径が大きい場合、孔部分の導電層の存在しない領域が広くなるため、エッジ効果によって孔上の荷電粒子は第一樹脂層表面においても孔周囲の方向に向かって移動する。一方、孔径が小さい場合(図6)、エッジ効果の影響が弱くなるため、孔上の第一樹脂層表面に荷電粒子が付着してしまう現象が発生する。
続いて、同じ孔径を有する回路形成用基板において、第一樹脂層の厚みが異なる場合について説明する。図7は、回路形成用基板において第一樹脂層の厚みが小さい場合の荷電粒子の動きを表している。第一樹脂層の厚みが小さい場合、導電層と第一樹脂層表面の距離が小さいため、エッジ効果の影響が強く、孔上の荷電粒子は孔周囲に移動し、孔上の第一樹脂層表面には荷電粒子は付着しにくい。一方、第一樹脂層の厚みが大きい場合(図8)、エッジ効果の影響が弱くなるため、孔上の第一樹脂層表面に荷電粒子が付着しやすい。
上記のように、導電層上と孔上で電気力線に違いがあると、導電層上と孔上に付着する荷電粒子の数が異なる。孔上に付着する荷電粒子数が少なくなれば、孔上にテンティングされた第一樹脂層用樹脂フィルムの溶出除去が制御しやすく、所望のランド幅を実現しやすい。また、溶出除去に必要な溶出時間も少なくて済む。
以上、第一樹脂層の厚みは小さい方がよい。特に孔径が小さい場合、エッジ効果の影響が小さくなり、孔上と導電層上で荷電粒子の付着量のコントラストをつけるのが難しくなるので、第一樹脂層の厚みを小さくして、孔上の電気力線が孔周囲に集中する効果を強く引き出す必要がある。本発明の樹脂フィルムは、膜厚を孔径で除した値が0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましく、0.2以下であることがさらに好ましく、0.1以下であることが極めて好ましい。この値が0.5より大きいと、孔径の大小にかかわらず、孔上の第一樹脂層上に第二樹脂層が形成され、樹脂付開口基板を製造することが難しくなる。さらに、本発明の樹脂フィルムの膜厚/孔径は、孔径の違いによってそれぞれ好適に用いられる範囲がある。孔径150μmより大きい場合は0.5以下、孔径150μm以下では0.4未満、孔径100μm以下では0.25未満、孔径80μm以下では0.2未満、孔径50μm以下では0.1以下であるのが好ましい。
キャリアーフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性および耐溶剤性を有する重合体フィルムが好適に用いられる。キャリアーフィルムの厚みは、5〜25μmであることが好ましく、8〜20μmであることがより好ましく、10〜16μmであることが特に好ましい。キャリアーフィルムの厚みが5μm未満では、キャリアーフィルム剥離の際にキャリアーフィルム自体が破れることがある。また、キャリアーフィルムの厚みが25μmを超えると、解像度が低下する傾向がある。さらに、キャリアーフィルムのヘーズ(JIS K 7105準拠)は、0.001〜5.0であることが好ましく、0.001〜2.0であることがより好ましく、0.01〜1.8であることが特に好ましい。このヘーズが2.0を超えると、解像度が低下する傾向がある。
本発明の樹脂フィルムは、固形分30〜60質量%程度の樹脂組成物溶液をキャリアーフィルム上に塗布し、乾燥することにより樹脂フィルムの形状として得られる。上記塗布方法としては、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法を採用することができる。また、乾燥処理は、例えば70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。
また、本発明の樹脂フィルムは、樹脂組成物層上に保護フィルムを備えていてもよい。このような保護フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムが好適に用いられる。このような保護フィルムの厚みは、5〜30μmであることが好ましく、10〜28μmであることがより好ましく、15〜25μmであることが特に好ましい。この厚みが5μm未満ではラミネートの際、保護フィルムが破れやすくなる傾向があり、他方、この厚みが30μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。
また、保護フィルムおよびキャリアーフィルムは、後に樹脂組成物層から除去可能でなくてはならないため、除去が不可能となるような表面処理が施されたものでないほうが好ましい。しかしながら、必要に応じてコロナ放電処理等の表面処理を行ってもよい。また、キャリアーフィルムおよび保護フィルムは必要に応じて帯電防止処理が施されていてもよい。
続いて、本発明に係わる回路基板の製造方法について、図9〜12を用いて説明する。貫通孔を例にとって説明するが、非貫通孔でも以下に説明するのと同様の方法で、回路基板を製造することができる。また、スルーホールとバイアホールが共存しているようなビルドアップ基板であっても同様な方法で製造することができる。
まず、図9(a)もしくは図9(b)に示した少なくとも表面に導電層2を有する絶縁性基板1からなる回路形成用基板を準備する。以下の工程は、図9(a)に示した孔3内および表面に導電層2を有する絶縁性基板1からなる回路形成用基板4で説明するが、図9(b)に示した孔内に導電層が無い回路形成用基板でも同様の手順で、樹脂付開口基板を製造することができる。回路形成用基板の孔3を塞いで、テンティングとなるように、第一樹脂層5を貼り付ける(図10)。次に、電着法等の手段によって表面導電層上の第一樹脂層5上に第二樹脂層6を形成する(図11)。さらに、第一樹脂層用現像液によって、第二樹脂層付着量が少ない孔3上の第一樹脂層5のみを除去して、樹脂付開口基板11を製造する(図12)。
本発明に係わる回路基板の製造方法において、第二樹脂層形成条件および孔上の第一樹脂層除去条件を調節することで、図13のように、孔の内壁から距離Lに相当する部分の第一樹脂層を除去することができる。また、図35のごとく、均一なランド幅を形成することが可能である。
本発明に係わる回路基板の製造方法に係わる貫通孔または/および非貫通孔を有し、かつ少なくとも表面に導電層を有する絶縁性基板としては、絶縁性基板に導電層を張り合わせた積層板に孔を設けた形態、絶縁性基板に導電層を貼り合わせた積層板に孔を設けた後、めっき処理により孔内部を含む積層板表面に導電層を設けた形態、絶縁性基板に孔を設けた後、めっき処理により孔内部を含む表面に導電層を設けた形態、絶縁性基板に孔を設けた後、種々のコーティング手段によって孔内壁を含む表面に導電層を設けた形態等を使用することができる。絶縁性基板としては、紙基材フェノール樹脂やガラス基材エポキシ樹脂の基板、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、液晶高分子フィルム等を使用することができる。導電層としては、銅、銀、金、アルミニウム、ステンレス、42アロイ、ニクロム、タングステン、ITO、導電性高分子、各種金属錯体等を使用することができる。これらの例は「プリント回路技術便覧」(社団法人日本プリント回路工業会編、1987刊行、日刊工業新聞社刊)に記載されている。
第一樹脂層を表面導電層に貼り付ける方法は、第一樹脂層にムラや波打ちを生じさせることなく、貼り付け面に空気やゴミを混入することなく、第一樹脂層を設けることができれば、何れの方法であっても良い。例えば、プリント基板用の熱ゴムロールを圧力で押し当ててラミネートする装置を用いる。
第一樹脂層を貼り付けた後、キャリアーフィルムを剥離する。この際、剥離帯電が生じ、第一樹脂層表面が不均一に帯電する。この帯電むらが発生すると、第二樹脂が帯電むらに沿って電着塗布されるため、帯電の除去もしくは均一にする必要がある。例えば、イオンブロアーを吹き付ける方法、50℃以上で加熱処理(アニーリング)する方法、水蒸気または水を拭きつける方法等が挙げられる。
本発明に係わる第一樹脂層用現像液とは、第一樹脂層を溶解する溶液であり、使用する第一樹脂層の組成に見合った現像液を用いる。現像液によって、孔上の第一樹脂層を除去し、孔上のみを開口する。第一樹脂層用現像液は、第二樹脂層が不溶性であるか、または、多少第二樹脂層を溶解する条件であっても、第一樹脂層を膜厚分だけ溶解する条件(つまり、開口部を形成する工程において、第二樹脂層が膨潤および形状の変化が発生しない条件)のある液であればいずれであってもよい。第一樹脂層にアルカリ可溶性のアルカリ可溶性樹脂組成物を用いている場合、アルカリ水溶液が使用される。例えば、ケイ酸アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、リン酸および炭酸アルカリ金属塩、リン酸および炭酸アンモニウム塩等の無機塩基性化合物の水溶液、エタノールアミン類、エチレンジアミン、プロパンジアミン類、トリエチレンテトラミン、モルホリン等の有機塩基性化合物等を用いる。これら水溶液は、第二樹脂層の溶解性を制御するため、濃度、温度、スプレー圧等を調整する必要がある。現像液によって開口した後には、水洗や酸処理によって現像の進行を停止する。
本発明に係わる第二樹脂層は、第一樹脂層用現像液に対して不溶性または難溶性であり、電着法に使用可能な樹脂であればいずれであってもよい。第二樹脂層は、第二樹脂層に用いられる樹脂を粒子状態で、液体に分散させた液を使用する。粒子は、正または負に帯電している。液体としては、水や電気絶縁性液体を使用することができる。水を使用した場合、第二樹脂層は、適当な酸価を有する高分子を主成分とし、有機アミン等で中和されて、水中において帯電したコロイド粒子を形成する。電気絶縁性液体を使用した場合、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラールの様なビニルアセタール樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびその塩化物、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンイソフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル変性アルキッド樹脂、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエステル誘導体等の樹脂が粒子状態で、電気絶縁性液体中に分散されている。粒子には電荷制御剤を含有させることができ、その荷電は、第二樹脂層形成時のバイアス電圧の正負に応じて正、負を使い分ける必要がある。このような電気絶縁性液体中に第二樹脂層形成用樹脂を分散させた液としては、電子写真用湿式トナーを好適に用いることができる。
第二樹脂層は、第一樹脂層を貼り付けた回路形成用基板に対向するように現像電極を設置し、該回路形成用基板と現像電極との間に、液体中に帯電した樹脂粒子を分散させた液を充填し、回路形成用基板の導電層を接地して、適正なバイアス電圧を印加することで形成することができる。例えば、特開2004−163605号公報、特開2002−132049号公報等に記載の現像装置を用いることができる。第二樹脂層の膜厚は、樹脂粒子の電荷および印加電圧、搬送速度、樹脂粒子分散液供給量を制御することで決定することができる。電着法によって付着した樹脂粒子は、加熱、圧力、光、溶剤等によって、第一樹脂層上に定着されて、第二樹脂層となる。この第二樹脂層をレジスト層として、第一樹脂層用現像液で、孔上の第一樹脂層を除去する。
本発明に係わる回路基板の製造方法によって樹脂付開口基板を製造した後の工程について、サブトラクティブ法による回路基板の製造方法を、図14〜図20を用いて説明する。孔内壁および孔周辺部の導電層上に第三樹脂層23を形成し(図14)、第二樹脂層6および第一樹脂層5を除去すると、孔内壁および孔周辺部のみ第三樹脂層23で被覆された状態(図15)を得ることができる。第二樹脂層6および第一樹脂層5は、同時に除去しても良いし、第二樹脂層6を除去した後に第一樹脂層5を除去しても良い。また、孔内壁および孔周辺部の導電層上に第三樹脂層23を設けるに先立ち、第二樹脂層6を除去し、次いで第三樹脂層23を設けた後、第一樹脂層5を除去することもできる。
表面および貫通孔または/および非貫通孔の内壁に導電層を有し、かつ孔およびランド部に相当する導電層上に第三樹脂層が設けられた絶縁性基板(図15)に対し、光架橋性樹脂層24を設ける(図16)。次に、回路部を露光して光架橋性樹脂層を架橋させ(図17)、未反応の光架橋性樹脂層を除去した後(図18)、露出した非回路部に相当する導電層2をエッチング除去し(図19)、不要になったエッチングレジスト層を除去して、回路基板を製造する(図20)。
上記サブトラクティブ法による回路基板の製造において、第三樹脂層としては、樹脂を粒子状態で、液体に分散させた液を使用する。樹脂粒子は、正または負に帯電している。液体としては、水や電気絶縁性液体を使用することができる。水を使用した場合、第三樹脂層は、適当な酸価を有する高分子を主成分とし、有機アミン等で中和されて、水中において帯電したコロイド粒子を形成する。電気絶縁性液体を使用した場合、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラールの様なビニルアセタール樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびその塩化物、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンイソフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル変性アルキッド樹脂、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエステル誘導体等の樹脂が粒子状態で、電気絶縁性液体中に分散されている。樹脂粒子には電荷制御剤を含有させることができ、その荷電は、第三樹脂層形成時のバイアス電圧の正負に応じて正、負を使い分ける必要がある。このような電気絶縁性液体中に第三樹脂層形成用樹脂を分散させた液としては、電子写真用湿式トナーを好適に用いることができる。第三樹脂層の膜厚は、樹脂粒子の電荷および印加電圧、搬送速度、樹脂粒子分散液供給量を制御することで決定することができる。電着法によって付着した帯電した樹脂粒子は、加熱、圧力、光、溶剤等によって定着されて、第三樹脂層となる。
次に、本発明に係わる回路基板の製造方法によって樹脂付開口基板を製造した後の工程について、セミアディティブ法による回路基板の製造方法を、図21〜図31を用いて説明する。絶縁性基板1(図21)に孔3を形成する(図22)。次いで、絶縁性基板1表面に薄い第一導電層25を設ける(図23)。次に、第一導電層25上に第一樹脂層として光架橋性樹脂層23を孔にテンティングするように設ける(図24)。続いて、電着等の手段によって、第一導電層26上の光架橋性樹脂層23上に、第二樹脂層6を形成する(図25)。その後、第二樹脂層6で被覆されていない孔3上の光架橋性樹脂層25を光架橋性樹脂層除去液で取り除き、樹脂付開口基板10を製造する(図26)。光架橋性樹脂層の除去量を調整することで、所望のランド幅を有する孔を得ることができる。
次いで、露光工程を行い、非回路部に相当する部分の光架橋性樹脂層23を架橋する(図27)。続いて、第二樹脂層および未反応光架橋性樹脂層を除去し、架橋部24からなるめっきレジスト層を形成する(図28)。めっきレジスト層を形成した後、電解めっき処理により、第一導電層25が露出している部分の表面に第二導電層26を形成する(図29)。その後、架橋部24(めっきレジスト層)を除去し(図30)、該めっきレジスト層下の薄い第一導電層25をエッチング除去して回路基板を形成する(図31)。
次いで、露光工程を行い、非回路部に相当する部分の光架橋性樹脂層23を架橋する(図27)。続いて、第二樹脂層および未反応光架橋性樹脂層を除去し、架橋部24からなるめっきレジスト層を形成する(図28)。めっきレジスト層を形成した後、電解めっき処理により、第一導電層25が露出している部分の表面に第二導電層26を形成する(図29)。その後、架橋部24(めっきレジスト層)を除去し(図30)、該めっきレジスト層下の薄い第一導電層25をエッチング除去して回路基板を形成する(図31)。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
第一樹脂層形成
キャリアーフィルムである25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、R310)上に、表1の組成からなる塗布液を所望の膜厚になるように均一に塗布し、乾燥させて、アルカリ可溶性樹脂層を設け、その上に保護フィルム(タマポリ(株)製、GF106)を貼り合わせ、アルカリ可溶性樹脂からなる第一樹脂層用樹脂フィルムA(乾燥後膜厚;87.5μm)を得た。乾燥後膜厚は、小型高分解能分光装置Solid Lambda UV−NIR(スペクトラ・コープ製)を使って、非接触、非破壊により測定し、反射率分光法から算出した。
第一樹脂層形成
キャリアーフィルムである25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、R310)上に、表1の組成からなる塗布液を所望の膜厚になるように均一に塗布し、乾燥させて、アルカリ可溶性樹脂層を設け、その上に保護フィルム(タマポリ(株)製、GF106)を貼り合わせ、アルカリ可溶性樹脂からなる第一樹脂層用樹脂フィルムA(乾燥後膜厚;87.5μm)を得た。乾燥後膜厚は、小型高分解能分光装置Solid Lambda UV−NIR(スペクトラ・コープ製)を使って、非接触、非破壊により測定し、反射率分光法から算出した。
ラミネート
回路形成用基板として、200mm×200mm×0.1mm厚の銅箔12μm厚の銅張積層板を用い、ドリルで200μm径の貫通孔を複数形成し、無電解銅めっき−電解銅めっき処理(奥野製薬(株)、OPCプロセスM)を実施し、表面および貫通孔内壁に12.5μm厚の銅めっき層を形成した。次に、耐熱シリコンゴムライニング表面処理されたラミネートロールを備えたドライフィルム用ラミネーターを用いて、各孔径に対して第一樹脂層の厚み/孔径が0.5となる膜厚の第一樹脂層用樹脂フィルムAを回路形成用基板の両面にラミネートした。貫通孔を有する基板上に第一樹脂層用樹脂フィルムをラミネートした後、第一樹脂層の膜厚を超深度形状測定顕微鏡VK8500(KEYENCE製)を使って測定した。測定ピッチは、0.1μmまたは0.2μmで行った。また、測定スキャン距離は、測定ピッチに76.8μmを乗じた範囲で行われた。測定の結果、塗布乾燥後に反射率分光法より算出した膜厚値と誤差1%以内で合致していた。
回路形成用基板として、200mm×200mm×0.1mm厚の銅箔12μm厚の銅張積層板を用い、ドリルで200μm径の貫通孔を複数形成し、無電解銅めっき−電解銅めっき処理(奥野製薬(株)、OPCプロセスM)を実施し、表面および貫通孔内壁に12.5μm厚の銅めっき層を形成した。次に、耐熱シリコンゴムライニング表面処理されたラミネートロールを備えたドライフィルム用ラミネーターを用いて、各孔径に対して第一樹脂層の厚み/孔径が0.5となる膜厚の第一樹脂層用樹脂フィルムAを回路形成用基板の両面にラミネートした。貫通孔を有する基板上に第一樹脂層用樹脂フィルムをラミネートした後、第一樹脂層の膜厚を超深度形状測定顕微鏡VK8500(KEYENCE製)を使って測定した。測定ピッチは、0.1μmまたは0.2μmで行った。また、測定スキャン距離は、測定ピッチに76.8μmを乗じた範囲で行われた。測定の結果、塗布乾燥後に反射率分光法より算出した膜厚値と誤差1%以内で合致していた。
第二樹脂層形成
三菱OPCプリンティングシステム用正電荷トナー(三菱製紙(株)製、「ODP−TW」)を用いて、第一樹脂層用樹脂フィルムAをラミネートした基板の両面に一様にバイアス電圧を印加して反転現像を行い、トナーを孔部以外全面に電着させた。続いて70℃で2分間加熱してトナーを定着させ、良好な第二樹脂層を得た。
三菱OPCプリンティングシステム用正電荷トナー(三菱製紙(株)製、「ODP−TW」)を用いて、第一樹脂層用樹脂フィルムAをラミネートした基板の両面に一様にバイアス電圧を印加して反転現像を行い、トナーを孔部以外全面に電着させた。続いて70℃で2分間加熱してトナーを定着させ、良好な第二樹脂層を得た。
樹脂付開口基板の製造
第二樹脂層が設けられていない孔上の第一樹脂層用樹脂フィルムのみを、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて、溶出除去することにより、図32で示した樹脂付開口基板を形成した。該樹脂付開口基板の孔周囲において第一樹脂層および第二樹脂層が存在しない部分を顕微鏡で観察した。また、銅めっき層形成後の切り口を基点として、第一樹脂層の溶出距離Lが15ミクロンになる溶出時間を求めた。求めた溶出時間より、アルカリ可溶性樹脂層のランド幅制御が可能かどうかをテント除去性として、◎第一樹脂層の開口が可能で、溶出液が容易に侵入しランド幅制御が非常に容易、○第一樹脂層の開口が可能で、溶出液が侵入しやすくランド幅制御が容易、△第一樹脂層の開口は可能であるが、開口面積が小さく溶出液が侵入しにくい、×開口が不可能か可能であっても開口面積が極めて小さく溶出液がほとんど侵入しない、で評価した。また、上記顕微鏡観察より、第二樹脂層のエッジ形状を、◎非常にきれい、○きれい、△汚いが実質上問題なし、×非常に汚く実質上問題あり、または開口不可能、で評価した。評価結果を表2に示す。
第二樹脂層が設けられていない孔上の第一樹脂層用樹脂フィルムのみを、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて、溶出除去することにより、図32で示した樹脂付開口基板を形成した。該樹脂付開口基板の孔周囲において第一樹脂層および第二樹脂層が存在しない部分を顕微鏡で観察した。また、銅めっき層形成後の切り口を基点として、第一樹脂層の溶出距離Lが15ミクロンになる溶出時間を求めた。求めた溶出時間より、アルカリ可溶性樹脂層のランド幅制御が可能かどうかをテント除去性として、◎第一樹脂層の開口が可能で、溶出液が容易に侵入しランド幅制御が非常に容易、○第一樹脂層の開口が可能で、溶出液が侵入しやすくランド幅制御が容易、△第一樹脂層の開口は可能であるが、開口面積が小さく溶出液が侵入しにくい、×開口が不可能か可能であっても開口面積が極めて小さく溶出液がほとんど侵入しない、で評価した。また、上記顕微鏡観察より、第二樹脂層のエッジ形状を、◎非常にきれい、○きれい、△汚いが実質上問題なし、×非常に汚く実質上問題あり、または開口不可能、で評価した。評価結果を表2に示す。
(サブトラクティブ法による回路基板の製造)
第三樹脂層の形成
第一樹脂用樹脂フィルムAを用いて製造された樹脂付開口基板に対して、以下の処理を行った。まず、キシレンを用いて第二樹脂層を溶出除去する。その後、コロナ帯電機を用いてアルカリ可溶性樹脂層を一様に+200Vに帯電し、アクリル樹脂性エマルジョン(特開2002−296847の実施例1記載のトナー)を用いて、バイアス電圧を印加して反転現像を行い、トナーを露出している電解銅めっき層上に電着させ、70℃で2分間加熱してトナーを定着させて、良好な第三樹脂層を得た。
第三樹脂層の形成
第一樹脂用樹脂フィルムAを用いて製造された樹脂付開口基板に対して、以下の処理を行った。まず、キシレンを用いて第二樹脂層を溶出除去する。その後、コロナ帯電機を用いてアルカリ可溶性樹脂層を一様に+200Vに帯電し、アクリル樹脂性エマルジョン(特開2002−296847の実施例1記載のトナー)を用いて、バイアス電圧を印加して反転現像を行い、トナーを露出している電解銅めっき層上に電着させ、70℃で2分間加熱してトナーを定着させて、良好な第三樹脂層を得た。
回路パターンの形成
続いて、電解銅めっき層上の第一樹脂層を1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて溶出除去し、再度、耐熱シリコンゴムライニング表面処理されたラミネートロールを備えたドライフィルム用ラミネーターを用いて、旭化成エレクトロニクス株式会社製ドライフィルムフォトレジスト(サンフォートAQ1558(乾燥膜厚;15μm))を、回路形成用基板にラミネートした。電解銅めっき基板上に回路パターンを描画したフォトマスク(導体幅および間隙:50μm)を載せ、吸引密着機構を有する焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用い、30秒間紫外線露光を行った。さらに、基板を反転して、逆面のドライフィルム層に対しても同様に露光を行い、回路パターンの架橋部を形成した。
続いて、電解銅めっき層上の第一樹脂層を1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて溶出除去し、再度、耐熱シリコンゴムライニング表面処理されたラミネートロールを備えたドライフィルム用ラミネーターを用いて、旭化成エレクトロニクス株式会社製ドライフィルムフォトレジスト(サンフォートAQ1558(乾燥膜厚;15μm))を、回路形成用基板にラミネートした。電解銅めっき基板上に回路パターンを描画したフォトマスク(導体幅および間隙:50μm)を載せ、吸引密着機構を有する焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用い、30秒間紫外線露光を行った。さらに、基板を反転して、逆面のドライフィルム層に対しても同様に露光を行い、回路パターンの架橋部を形成した。
該露光処理が終了した基板に対し、未硬化のドライフィルム層を、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて溶出除去し、架橋部からなるレジスト回路を形成した。次いで、塩化第二鉄系のエッチング液(40℃、スプレー圧 3.0kg/cm2)で処理し、露出している電解銅めっき層とその下の無電解銅めっき層および銅張積層板の銅層を除去した。エッチングレジストとして使用したドライフィルム層の架橋部および第三樹脂層を3質量%水酸化ナトリウム水溶液(40℃)およびメチルエチルケトンで除去し、回路基板を得た。得られた回路基板を顕微鏡で観察し、図33で示した穴開け加工時のスルーホール径L1、銅めっき時のスルーホール径L2、ランド径L3を測定した。測定結果を表2に示す。表中の×印は、樹脂付開口基板を製造できず、事実上L3の測定が不可能であったことを表す。第一樹脂層用樹脂フィルムAをラミネートして製造した基板において、ランドレススルーホールが形成されていることを確認した。また、回路部およびスルーホール部に断線は確認されなかった。
(実施例2〜30)
実施例1に記載の第一樹脂層用樹脂フィルムAと孔径175μmを表3に記載のフィルムと孔径に換えた以外は実施例1に記載と同じ方法で回路パターンを形成した。ここで、それぞれの孔径について、貫通孔はドリル径だけを変えて作製し、銅めっき層の厚みは変えていない。評価結果を表2に示す。
実施例1に記載の第一樹脂層用樹脂フィルムAと孔径175μmを表3に記載のフィルムと孔径に換えた以外は実施例1に記載と同じ方法で回路パターンを形成した。ここで、それぞれの孔径について、貫通孔はドリル径だけを変えて作製し、銅めっき層の厚みは変えていない。評価結果を表2に示す。
(比較例1〜10)
実施例1に記載の第一樹脂層用樹脂フィルムAと孔径175μmを表3に記載のフィルムと孔径に換えた以外は実施例1に記載と同じ方法で回路パターンを形成した。ここで、それぞれの孔径について、貫通孔はドリル径だけを変えて作製し、銅めっき層の厚みは変えていない。評価結果を表2に示す。トナーがアルカリ可溶性樹脂層全面に電着しており、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて30秒間処理したが、スルーホール部のアルカリ可溶性樹脂層は除去できなかった。そこで、再度30秒間1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて同じ溶出処理を行ったところ、比較例1、6、7ではわずかにスルーホール部のアルカリ可溶性樹脂層が除去できたが、その他の比較例では全く除去できなかった。
実施例1に記載の第一樹脂層用樹脂フィルムAと孔径175μmを表3に記載のフィルムと孔径に換えた以外は実施例1に記載と同じ方法で回路パターンを形成した。ここで、それぞれの孔径について、貫通孔はドリル径だけを変えて作製し、銅めっき層の厚みは変えていない。評価結果を表2に示す。トナーがアルカリ可溶性樹脂層全面に電着しており、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて30秒間処理したが、スルーホール部のアルカリ可溶性樹脂層は除去できなかった。そこで、再度30秒間1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて同じ溶出処理を行ったところ、比較例1、6、7ではわずかにスルーホール部のアルカリ可溶性樹脂層が除去できたが、その他の比較例では全く除去できなかった。
本発明の樹脂フィルムを用いて得られた樹脂付開口基板に対して、プリント配線板、半導体装置等の回路基板の製造方法に利用することができる。本発明に係わる回路基板の製造方法に含まれる一連の工程で得られた樹脂付開口基板に対して、穴埋めインク工程、導電性インク充填工程、電着工程、金属めっき工程、レジスト形成工程、エッチング工程を、適宜組み合わせた一連の工程を行うことで、均一で任意の幅のランドを有する孔を持った回路基板を製造することができる。
1 絶縁性基板
2 導電層
3 孔
4 回路形成用基板
5 第一樹脂層
6 第二樹脂層
7 スルーホール
8 バイアホール
9 インタースティシャルバイアホール
10 樹脂付き開口基板
11 導電層
12 孔
13 ランド
14 現像電極
15 樹脂粒子
16 表面導電層上の第一樹脂層表面と導電層表面との距離
17 孔上の第一樹脂層表面と導電層表面との距離
18 表面導電層上における電気力線
19 孔上における電気力線
20 スルーホール(貫通孔)
21 バイアホール(非貫通孔)
22 第三樹脂層
23 光架橋性樹脂層
24 光架橋性樹脂層の架橋部
25 第一導電層
26 第二導電層
2 導電層
3 孔
4 回路形成用基板
5 第一樹脂層
6 第二樹脂層
7 スルーホール
8 バイアホール
9 インタースティシャルバイアホール
10 樹脂付き開口基板
11 導電層
12 孔
13 ランド
14 現像電極
15 樹脂粒子
16 表面導電層上の第一樹脂層表面と導電層表面との距離
17 孔上の第一樹脂層表面と導電層表面との距離
18 表面導電層上における電気力線
19 孔上における電気力線
20 スルーホール(貫通孔)
21 バイアホール(非貫通孔)
22 第三樹脂層
23 光架橋性樹脂層
24 光架橋性樹脂層の架橋部
25 第一導電層
26 第二導電層
Claims (1)
- 貫通孔または/および非貫通孔を有し、かつ少なくとも表面に導電層を有する絶縁性基板の表面に、第一樹脂層を形成する工程、表面導電層上の第一樹脂層上に、第一樹脂層用現像液に不溶性または難溶性の第二樹脂層を形成する工程、第一樹脂層用現像液によって孔上の第一樹脂層を除去する工程を含む回路基板の製造方法で使用する第一樹脂層形成用樹脂フィルムにおいて、下記数式を満たすことを特徴とする樹脂フィルム。
第一樹脂層形成用樹脂フィルムの厚み(t)/孔径(φ)≦0.5
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005299740A JP2007109919A (ja) | 2005-10-14 | 2005-10-14 | 樹脂フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
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Publications (1)
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JP2005299740A Pending JP2007109919A (ja) | 2005-10-14 | 2005-10-14 | 樹脂フィルム |
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