JP2007108448A - 顕微鏡および顕微鏡観測方法 - Google Patents

顕微鏡および顕微鏡観測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分散染色法は、浸液とアスベストの屈折率差で分散色がつくが、結晶によっては分散色が薄くアスベストかどうか判別ができない場合がある。大気中から採取した試料から作成した標本では透明化したろ紙とアスベストとを同じ視野内で位相差観察する。アスベストによるコントラストが少ない場合、ろ紙繊維の影響を排除する必要がある。
【解決手段】アスベストに偏光特性があるので、顕微鏡光路中に偏光板が配置されていれば、偏光板の回転により見ている結晶がアスベストであれば観察する色が変化する。顕微鏡において偏光板を回転可能に設けて、観察しながら、偏光板を回転すると、偏光特性を有するアスベストは色が変化して観察されることにより、アスベストと、他のロックウールやろ紙繊維と区別することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は試料が含有するアスベストを検査する顕微鏡に関する。本発明の顕微鏡で観測する試料は大気中の粉塵や建築材から採取したものであり、また、アスベストが原因とされる悪性中皮腫が疑われるヒトから採取した粘膜、組織である。
試料のアスベスト含有を検査する方法として、光学顕微鏡による分散染色法がある。分散染色法は、アスベストの光学屈折率と、アスベストをけん濁している浸液の屈折率との差によって、アスベストに種類に特有の分散色を呈することを利用して分析する方法である。
分散染色法における光学系を、図10と図11を用いて説明する。標本101に光を入射するコンデンサ光学系ではリング状の光束を形成する。このために、光源からの光をコリメートレンズで平行光束102とし、この平行光束の光軸を中心とするリングスリット103を平行光束上に置く。こうして得られたリング断面をもつ平行光束をレンズ104で集光し、標本101に入射する。アスベスト111と浸液114と屈折率の差により、伝搬方向の変化を受けない直進光と分散光とに別れる。直進光はレンズ105の後ろ側に配置された遮光部106で遮断される。リングスリット103と遮光部106は光学的に共訳な位置に配置されている。一方、分散光は遮光部106で遮断されず、観察光として肉眼観察、または、撮像装置により撮像される。
波長λ1の直進光と、波長λ2の分散光による分散色は浸液114の屈折率による。アスベストの種類と浸液の屈折率、分散色の対応関係を図12に示す。
建材から採取した試料から標本を作成する方法を説明する。容量50mlの共栓試験管に分析用試料10〜20mgと精製水40mlを入れ、攪拌した後、マグネチットスターラーで撹拌しながら、スライドガラス上に10〜20μl滴下し、風乾、即ち、放置乾燥する。次に、屈折率=1.550、1.680、1.700の3種類の浸液をそれぞれのスライドガラスに3〜4滴滴下し、ピンセットの尖端で浸液と混合・分散し、その上に清拭したカバーグラスを載せて標本とし、試料番号、浸液の屈折率を記載しておく。
大気中から採取した試料から標本を作成する方法を説明する。大気をポンプで送気して、ろ紙を透過させてアスベストを捕捉する。このろ紙を、フタル酸ジメチル及びシュウ酸ジエチル、または、アセトン及びトリアセチンで透明化する。
フタル酸ジメチル及びシュウ酸ジエチルを用いる場合、フタル酸ジメチル及びシュウ酸ジエチルを1対1の割合で混合した溶液の中に、未使用の捕集用ろ紙を0.05g/mlの割合で加えて溶解したものをスライドガラスのほぼ中央に滴下し、その上にアスベストを捕捉したろ紙を、採取面を上にして載せる。ろ紙が透明になったら、カバーガラスを載せて固定する。
試薬としてアセトン及びトリアセチンを用いる場合、スライドガラスの上にアスベストを捕捉したろ紙を、採取面を上にして載せ、アセトン蒸気発生装置により発生させたアセトン蒸気を当てる。ろ紙が透明になったら、ろ紙にトリアセチンを滴下し、その上にカバーガラスを載せて固定する。
大気中から採取する方法で得られた標本は位相差顕微鏡で観察する。分散染色法による顕微鏡観察と位相差観察とでは使用する光学素子は異なるものの操作は似ており、共通に使用することもできる。光学素子の切換えで容易に観察方法を相互に変えることができる。
生体から採取した試料を観測することもある。アスベストを吸い込み肺などに入ったかどうか、また、体内での残存を観測する検査が行われている。剖検肺およぴ悪性中皮腫組織等をホモジナイザーで純水を用いてホモジネートし、ろ過器でろ過して風乾したものを標本とする。この標本を位相差観察する。
特開2000−88838
分散染色法は、浸液とアスベストの屈折率差で分散色がつき、その色でアスベストかどうかを判別する。しかし、結晶によっては分散色が薄くアスベストかどうか判別ができない場合がある。このような状態の上にロックウールが標本に混在していると、更に判別が困難になる。
大気中から採取した試料の標本では透明化したろ紙とアスベストとを同じ視野内で観察する。このとき、ろ紙繊維による位相差コントラストの影響を拭えない。アスベストによるコントラストが少ない場合、ろ紙繊維の影響を排除する必要が出てくる。
アスベスト自体に偏光特性があるので、顕微鏡光路中に偏光板が配置されていれば、偏光板の回転により観察している結晶がアスベストであれば観察する色が変化する。一方、ロックウールやろ紙繊維は偏光特性を持たないので、偏光板を回転しても色に変化は起こらない。
顕微鏡において偏光板を回転可能に設けて、観察しながら、偏光板を回転すると、偏光特性を有するアスベストは色が変化して観察されることにより、アスベストと、他のロックウールやろ紙繊維と区別することができる。
この発明を利用すれば、試料が含有するアスベストの種類と量を検出感度よく、効率的に観測することができる。また、試料の採取からデータや試料と標本の保存を間違いなくできる。更に、効率的に再検査できる。
図1に本発明の顕微鏡1の一例を示す。この例の顕微鏡は正立型顕微鏡であるが、同様の光学素子や機能を有する倒立型顕微鏡でもよい。光源3から出た光はレンズ4でコリメートされて平行光にされる。これをミラー5で反射して上方に曲げ、窓レンズ6で集光し、レンズ7で再び平行光とする。この平行光はレンズ4で作られた平行光とはビームの径が異なる。つまり、ビーム径を変える機能を持っている。
レンズ7と透過した平行光は偏光板8によって偏光変調される。偏光板8は回転可能で、偏光方向を任意の方向に変えることができる。また、偏光板8は必ずしもレンズ7と標本10との間にある必要はない。窓レンズ6の光源側、または、試料側でもよいし、標本を透過した後の対物レンズとプリズム13との間でもよい。また、偏光板は1つである必要はなく、2つの偏光板を備えて、偏光方向の角度を相互に変化できるように、一方または両方を回転可能にしてもよい。偏光板8はコンデンサとしてのレンズ7と窓レンズ6との間に、偏光板を回転可能に配置してもよい。構成が簡単で、しかも、手が机の上から大きく離れずに操作性がよいので検査効率が上がる。
分散対物レンズと共に使用するリングスリット16は、レンズ7でコリメートされて平行光になっている位置に配置される。偏光板8の前でも後ろでもよい。リングスリット16は分散対物レンズの倍率などにより選択的に使用することがある。しかし、全ての倍率の対物レンズそれぞれに対応するリングスリット16を有する必要はなく、1つのリングスリットで幾つかの対物レンズに使用してもよい。リングスリット16は、位相差観察を行う際の位相差対物レンズ用リングスリットと共通に使用してもよい。ステージ9に載置された標本10を透過した光は対物レンズ11を透過する。ステージ9は、標本を回転する機構を有している。
対物レンズには倍率やコントラスト形成機能が異なるものがある。明視野観察用対物レンズ、暗視野観察対物レンズ、位相差対物レンズ、分散染色対物レンズなどである。これらの対物レンズの1つ又は複数をレボルバ18に取り付けて交換、切換え可能にしてもよい。
分散対物レンズ11は対物レンズの遮光部で十分に遮光する必要がある。リングスリットを形成している平行平面板の片方に遮光コートすると、コートの欠陥、例えば、ピンホールが残り、画像のバックグラウンドとなる。平行平面板の両面に遮光コート、例えばクロムコートをすれば、コートの欠陥を防いで十分に遮光することできる。また両面遮光すれば、それだけ透過率が低くなり、コントラストを得るために有効である。コートでは十分遮光することは難しい場合には、金属のリングを平行平面板に貼り付けて分散染色対物レンズを作成してもよい。
対物レンズ11内の遮光部はコンデンサ側のリングスリットと共役な位置に配置する。一方、遮光部は必ずしも対物レンズ内である必要はなく、対物レンズの瞳をリレー系で投影し、その投影した位置に配置してもよい。
対物レンズ11を透過した光は接眼レンズ14を介して観察される。また、撮像レンズを介して撮像装置15で撮像される。撮像装置は、例えば、顕微鏡用デジタルカメラである。撮像された画像は撮像装置15そのものや、保存媒体や通信手段を介してコンピュータや画像処理装置に記録、保存される。
このように構成された顕微鏡では、リングスリットを共用すれば、分散染色観察と位相差観察とをレボルバに取り付けられた対物レンズの切換で行うことができる。標本の同じ場所を両方の検鏡方法で観測できる。また、標本の光源側とその反対側に偏光板を配置して、一方または両方を回転して偏光観察を組み合わせることができる。標本10の光源側に配置した偏光板をポラライザと呼ぶ。標本10と鏡筒部17との間に配置した偏光板をアナライザと呼ぶ。偏光顕微鏡観察ではアナライザを回転してクロスニコルの状態とすることがある。また、ポラライザを回転して標本そのものの偏光方向と相対的な偏光方向の変化を得られるようにしてもよい。
プリズム13には偏光特性があり、このため、偏光板をそのまま顕微鏡に配置すると左右の像の明るさや色が同じでなくなることがある。特に偏光板を回転させてアスベストを観測する場合では、アナライザの後に偏光解消素子20を配置する。具体的には厚さ1mm以上の水晶板などを使用する。偏光解消素子20と窓レンズ6との間に波長板19、例えば、鋭敏色板や1/4λ板を配置すると偏光観察での観察色のコントラストを上げることができる。
分散染色顕微鏡にポラライザとアナライザを備えて、ポラライザまたはアナライザを回転し、アスベストとロックウールとの区別をした後で、偏光板を光路から外して分散染色観察や位相差観察を行えば、アスベストを抽出して分散色を測定できる。位相差観察でも同様にアスベストのみを抽出して観察できる。偏光板を光路から外さなくても、接眼レンズ14または撮像装置15に入る光の偏光を解消するように相互の角度を調整してから、分散染色観察や位相差観察してもよい。
光源3には白色光源を用いることが一般的であるが、分散色を得るために必要なスペクトル帯域の光を発光し、または、不要なスペクトル帯域の光を発光しない光源を用いることもできる。分散色に不要な光は、分散色の不要なバックグラウンドの原因となるので、これを取り除くことは有効である。白色光源からフィルタによって選択する。電子発光素子(以下、LEDと記す。)を光源とする場合では、発光色を選んでもよい。LEDでは、分散色の形成に寄与が少ない緑色を発光しない、例えば、赤と青の帯域を発光する素子を用いてもよい。
本発明の顕微鏡で観測する標本は、必ずしも本願明細書に記載された方法などによって作成された標本である必要はない。
次に、この観測システムに使用する標本作成に関する本発明の実施例を説明する。建材等から採取した試料から標本を作成する工程において、試料10〜20mgと精製水40mlとを混合して、試料をけん濁させた液を攪拌する際に超音波振動を用いる。図3に示すように、けん濁液34を収納したフラスコ容器33を超音波槽31内の水32に浸けて超音波振動をけん濁液に伝搬して攪拌する。アスベストのような細い針条のファイバでは相互に凝集しあっていることがある。このような場合には超音波振動を与えて個々のファイバ粒子に別れさせることができる。この後、再び凝集することを裂けるため、マグネットスターラーで攪拌を続ける。機械的な振とうによる攪拌をこれらの工程の中におり込んでもよい。
攪拌したけん濁液をスライドガラスに滴下した後に超音波振動を用いる。スライドガラス43に滴下したけん濁液44の反対側のスライドガラス面に振動子42を当てて、震動源41からの超音波振動をけん濁液に伝搬する。振動子はその先端形状によって、平面波超音波としたり、球面波として特定の領域に集中させることもできる。先端を細くした振動子を用いれば、振動子の先端を直接に滴下したけん濁液に浸けて超音波振動を発生してもよい。アスベストの濃度が低い場合は遠心して沈殿して、上澄みを除去することにより濃度を高くする。これにより顕微鏡視野内でアスベストを探しやすくなる。
一旦風乾して浸液を滴下するが、風乾の前にエタノールを滴下してから風乾すると、アスベストの最表面の露出を維持する効果がある。乾燥を早める効果もある。その後、浸液を滴下する。浸液の滴下後、再度ピンセットなどの先端で攪拌するが、この際に、スライドガラス側から、または、直接浸液に超音波振動を与える。そして、カバーガラスを載せる。図2(B)に示すようにカバーガラスの周囲を封剤25で封印する。封印によって、標本作成後長時間あるいは長期間経過した後でもそのまま再観測ができる。封印の後でも超音波による攪拌は可能である。
こうして作成された標本には、試料番号(以下、IDという。)、浸液の屈折率と共に、試料採取日、資料作成日、概略の採取場所などのいずれかを記載したラベル24を附する。これらの内、幾つかは試料の由来を推定するために有効で、再検査の際に、試料を同定するために役立つ。一方、先入観を避けるためにIDと浸液の屈折率のみ記してもよい。
次に、この観測システムにおける画像やデータの取得と計測に関する発明の実施例を説明する。図5にはアスベスト51の縦と横の長さの比(以下、アスペクト比という。)を求める方法を示す。図5に示す計測のための処理は取得した画像、または、画像を一旦保存してから再生した画像を用いて行う。
図5(A)中のa1とa2をカーソルで指定し、画像の総合倍率を元に得られた画面上の長さと実際の標本上の長さとの比を求めておく。これを用いてa1とa2との間の標本上の距離αを測定する。同様に、b1とb2とを指定してβを測定する。α/βがアスペクト比である。a1とa2、b1とb2の決定には、測定者が画像を見ながら決定する方法もある。画像空間上の各座標での明るさやコントラストに基づいて閾値を設定し、閾値と交差する座標としてもよい。
βは、多くは1μm以下であるので測定誤差が大きくなる傾向がある。そこで、図5(B)に示す方法が有効である。アスベストは直線のファイバ状の形状を持っている。画像上で、c1とc2を指定して、直線c1c2に垂直な線(以下、垂線という。)o1o2を得る。この垂線o1o2と直線c1c2の交点、つまり、図5(B)に示すd1とd2との間の距離を求める。
画像の総合倍率を元に得られた画面上の長さと実際の標本上の長さとの比を元に、画像上に基準長さ値と、その長さに相当するスケールバーを表示する。なお、a1、a2、b1、b2、c1、c2、d1、d2、o1、o2やスケールバーは画像関連データとして保存し、再生して使用する。
長さ5μm以上のアスベストが人体に有害とされている。また、アスペクト比が3以上のアスベストも問題視されている。1つまたは複数の画像から得られたアスベストの内、種類なども含めて、それぞれ分類して保存、記録する。その際に、どの種類に属するアスベストの画像であるか、を示すマーキングをする。図6にその例を示す。アスベスト61には矢印63でマーキングし、アスベストではない物質65にはマーキングしない。もちろん、物質65にもロックウールや他の物質を示す別のマーキングを附してもよい。別の種類のアスベストには図6(B)に示すように、別の形状の矢印64でマーキングする。
マーキングに付属するスペースにコメントなどを記し、そのアスベストに関する情報がその画像上で得ることができる。コメントのスペースは画像上に示さずに、表示画面の画像外の場所や別の画面に表示してもよい。
生体から採取した試料から作成した標本では、図5で示したアスベストのファイバ(naked fiber と呼ばれる。)の他に、図7に示す石綿小体(asbestos body と呼ばれる。)が観察される。アスベストは化学的、かつ、熱的に安定である。また、電気絶縁性に優れる。このため、アスベストは長く体内に残存する。石綿小体は、アスベストに、血液由来の鉄を含有するムコポリサッカライドを主成分とする物質に覆われている。長さは、数μmから数100μmに及ぶ。覆われ方によって、図7(A)、(B)、(C)に示す差が出る。図7(A)は間隔を置いた団子状である。図7(B)は連なった団子状である。図7(C)は亜鈴状である。
これらの画像は、図5や図6で示した計測やマーキングを行い、形状や測定値による分類データなどと共に保存、記録、再生が可能である。asbestos bodyの形状や平均径を測定することにより、アスベストが体内に入ってからの期間を推定するデータを提供できる。
Stantonらは、中皮腫はアスベストだけではなく生体内で安定な細くて長い繊維状物質であれば化学組成や結晶構造に関係なく発生するとしている。例えば、シリカ繊維が認められれば診断の情報として有用である。シリカ繊維は偏光顕微鏡や分散染色顕微鏡、それらの組み合わせた顕微鏡で観測ができる。
また、生体から採取した試料から作成した標本では、図7に示したasbestos bodyと共に、含鉄小体(ferruginous body と呼ばれる。)が観察されることがある。ferruginous bodyは鉄染色を施して、明視野顕微鏡観察が可能である。asbestos bodyやferruginous bodyは濃度が低いので、多くの標本を観測しなければならない。そこで、標本を顕微鏡に自動供給して、個々の標本の試料存在部分を撮像視野毎に分割して連続的に撮像する。
図8に、分散色を測定する際にアスベスト以外の物質、例えば、ロックウールが重なっている画像の例を示す。アスベスト81のみのスペクトルを測定するために、物質82が重なっていない領域83を画像上で指定し、この領域のスペクトルを測定すればアスベストのみのデータを得ることができ、正確な種類の同定や僅かな変化を測定できる。1つのアスベスト結晶と判断されれば、その範囲で、複数の領域を指定してもよい。
図9に示すように、同種のアスベストと判断される画像から取得したスペクトルを同じグラフに並べて比較すると、そのピーク波長やピーク値、波長領域での広がりを比較することができる。
次に、観測結果や試料、標本などの保存、報告の方法、集計システムを説明する。採取された試料に関する情報やデータ、および、保存する採取試料の一部は一括管理される。コンピュータで情報やデータを保存、管理し、採取試料の一部や標本はこのコンピュータと連動した収納管理システムで保存、出入庫される。すべての同定は試料番号で行われる。試料番号は1つである必要はなく、2つの番号を使用してもよい。
大気や建材から採取された試料に関する情報は公開される必要がある。このとき、公開先を同定できる情報が必要な場合と、何人にも公開する原則から公開先を同定しない場合とがある。どの機関から公開されたかについては、情報のトレーサビリティが確保されなければならない。その際には試料番号を用いる。また、試料番号が分からない場合には、採取場所や採取日時、アスベストの種類などの属性情報から検索して、試料番号を絞込み、特定することができる。
試料番号と共に保存、管理される試料属性情報には、採取住所、採取者、試料の使用場所、使用目的、使用空間サイズ、試料採取から観察する標本作成までの条件、光学条件、画像、領域とスペクトル、アスペクト測定条件、全粒子数・アスベスト粒子数、X線回折試験に関する情報と結果、測定機関、測定者、再検査の有無とその同定情報などがある。
研究の目的でなされた動物実験に関する情報は論文だけでなく、試験機関から発信される情報にも試料番号を附して、吸引させたアスベストやコントロールとして吸引させた物質、他の比較物質の種類や由来を知ることができる。大気や建材から採取した試料に関する情報と同様の情報も保存され、再生、検索することができる。
患者をはじめとするヒトから採取した試料に関する情報は厳格に管理されなければならない。公開が必要な場合には法を遵守した方法や手続を経てから行わなければならない。このような試料に関して管理すべき情報は、大気や建材から採取した試料に関する情報や動物実験に関する情報と同種のものの他、試料提供者の同定、経歴、病歴などがある。特に、経歴には、どの時期にどこの住所や職所でどのような職種に就いていたか、また、居住していたかが必要である。
これらの情報や試料、標本の管理方法は機関内で、または、全国的に、国際的に共通化することができる。全ての機関が共有化することもできるが、協力できる環境にある機関等の範囲で共有化してもよい。保存、管理している情報は機関によって必ずしも同一ではないことがあるので、共通化する項目を適宜決めてもよいし、できる限り多くの情報項目を設定して、ある程度空欄を認めてもよい。
本発明の実施形態による顕微鏡を示す図である。 本発明の実施形態による標本を示す図である。 本発明の実施形態による超音波振動を試料に与える状態を示す図である。 本発明の実施形態による超音波振動を試料に与える状態を示す図である。 本発明の実施形態によるアスベストのアスペクト比を測定するための表示を示す図である。 本発明の実施形態によるアスベストにマーキングを施す例を示す図である。 石綿小体の形状の例を示す図である。 アスベストの分散光のスペクトルを測定する領域を指定する例を示す図である。 アスベストの分散光のスペクトルの例を示す図である。 分散染色観察の原理を示す図である。 アスベストによる分散光の発生を示す図である。 アスベストの種類と浸液の屈折率と分散色の関係を示す図である。
符号の説明
1 顕微鏡
2 鏡基
3 光源
4 レンズ
5 ミラー
6 窓レンズ
7 レンズ
8 偏光板
9 ステージ
10 標本
11 対物レンズ
12 偏光板
13 プリズム
14 接眼レンズ
15 撮像装置
16 リングスリット
17 鏡筒部
18 レボルバ
19 波長板
20 偏光解消素子
21 スライドガラス
22 カバーガラス
23 アスベスト
24 ラベル
25 封剤
31 超音波槽
32 水
33 フラスコ容器
34 けん濁液
41 震動源
42 振動子
43 スライドガラス
44 けん濁液
51 アスベスト
61 アスベスト
62 アスベスト
63 矢印
64 矢印
65 物質
81 アスベスト
82 物質
83 領域
101 標本
102 平行光束
103 リングスリット
104 レンズ
105 レンズ
106 遮光部
107 分散光
111 アスベスト
112 スライドガラス
113 カバーガラス
114 浸液


Claims (21)

  1. 光源から順に、光源からの光線を集光させるコンデンサレンズと、コンデンサの前側焦点位置近傍に配置されたリングスリットと、対物レンズ内にリングスリットと共役な位置にリングスリットからの光線を遮光する遮光部を備えた対物レンズと、回転可能な偏光板を供えたことを特徴とする顕微鏡。
  2. 請求項1記載の顕微鏡において、位相差観察と分散染色観察を切り換える顕微鏡。
  3. 請求項1記載の顕微鏡において、リングスリットと共役な位置にリングスリットからの光線を遮光する遮光部を備えた対物レンズと、リングスリットと共役な位置に位相を変調させる変調素子が配置された位相差対物レンズを備え、両者のリングスリットが共通であることを特徴とする顕微鏡。
  4. 請求項1記載の顕微鏡において、対物レンズの遮光部が、平行平面板であり、平行平面板の両面に遮光膜がついていることを特徴とする顕微鏡。
  5. 請求項1記載の顕微鏡において、対物レンズの遮光部が、平行平面板上にリング状の金属部品が接合されて構成されていることを特徴とする顕微鏡。
  6. 請求項1記載の顕微鏡において、偏光板より像側に偏光解消素子が配置されていることを特徴とする顕微鏡。
  7. 請求項1記載の顕微鏡において、波長板を有することを特徴とする顕微鏡。
  8. 請求項1記載の顕微鏡において、ステージが回転可能であることを特徴とする顕微鏡。
  9. 請求項1記載の顕微鏡において、偏光板がコンデンサと光源の間に配置され、回転可能であることを特徴とする顕微鏡
  10. 光源から順に、光源からの光を集光するコンデンサレンズと、対物レンズと、標本からの光を直線偏光に変換する偏光素子を備えた顕微鏡において、コンデンサレンズの前側焦点位置にリングスリットと、対物レンズ内にコンデンサレンズのリングスリットと光学的に共役な位置にリングスリットからの光を遮光する遮光部とを有し、偏光素子は回転可能な顕微鏡。
  11. 光源から順に、光源からの光線を集光させるコンデンサレンズと、コンデンサの前側焦点位置近傍に配置されたリングスリットと、対物レンズと対物レンズの像をリレーするリレーレンズを備えた顕微鏡において、リレーレンズ内のリングスリットと共役な位置にリングスリットからの光線を遮光する遮光部と、回転可能な偏光板を有することを特徴とする顕微鏡。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の顕微鏡を用いるアスベストの検査方法。
  13. 容器内のアスベスト含有試料けん濁液に超音波振動を与えることを特徴とするアスベスト含有標本作成方法。
  14. スライドガラス上に滴下したアスベスト含有試料けん濁液に超音波振動を与えることを特徴とするアスベスト含有標本作成方法。
  15. スライドガラス上に滴下したアスベスト含有試料けん濁液にエタノールを追加することを特徴とするアスベスト含有標本作成方法。
  16. アスベストの光学的観測において、画像上で領域を指定し、指定された領域の光学スペクトルデータを得ることを特徴とするアスベスト観測方法。
  17. アスベストの光学的観測において、画像上でアスベストを示すマーキングを施すことを特徴とするアスベスト観測方法。
  18. アスベストの光学的観測において、試料番号に加えて、アスベスト試料採取情報として、使用住所・使用場所・使用目的、試料採取から観察するスライドグラス試料作成までの条件、光学条件、画像、領域とスペクトル、アスペクト測定条件、全粒子数・アスベスト粒子数、測定者、採取者のいずれかを観測結果と共に記載することを特徴とするアスベスト観測方法。
  19. アスベストの光学的観測において、試料番号に加えて、アスベスト試料採取情報として、使用住所・使用場所・使用目的、試料採取から観察するスライドグラス試料作成までの条件、光学条件、画像、領域とスペクトル、アスペクト測定条件、全粒子数・アスベスト粒子数、測定者、採取者のいずれかを観測結果と共に保存することを特徴とするアスベスト観測方法。
  20. アスベストの光学的観測において、観測結果と共にX線回折結果と共に記載することを特徴とするアスベスト観測方法。
  21. アスベストの光学的観測において、観測結果と共にX線回折結果と共に保存することを特徴とするアスベスト観測方法。

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