JP2007106842A - 耐汚れ付着性に優れた乳酸系樹脂組成物よりなる成形体 - Google Patents

耐汚れ付着性に優れた乳酸系樹脂組成物よりなる成形体 Download PDF

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裕一 三宅
Tomoko Oda
智子 小田
Hiroshige Yonehara
浩茂 米原
Takashi Arai
隆 荒井
Takayuki Onoki
隆行 小野木
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Abstract

【課題】乳酸系樹脂を含む樹脂組成物からなり、耐汚れ付着性に優れた成形体を提供すること。
【解決手段】本発明の成形体は、乳酸系樹脂(A)30〜70重量部と、ポリプロピレン系樹脂(B)70〜30重量部と、該成分(A)および(B)の合計100重量部に対して無機フィラー(C)3〜30重量部とを含む樹脂組成物(D)から形成される成形体であって、汚れ促進試験前後の色相変化ΔEが15以下であり、かつ、汚れ促進試験後における輝度の平均粗さRaが10以下および最大高さRtが70以下であることを特徴とする。前記無機フィラー(C)は、マイカ、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機フィラーが好ましく、その平均粒子径が2〜10μmであることがより好ましい。本発明の成形体は自動車部品などに適している。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳酸系樹脂、ポリプロピレン系樹脂および無機フィラーを構成成分として含む熱可塑性樹脂組成物からなり、耐汚れ付着性に優れた成形品に関する。
近年、地球環境問題への意識が高まっており、化石原料、石油資源の枯渇、二酸化炭素の増大が問題視されている。そのため、従来の汎用プラスチックに代わる環境に優しい樹脂として、脂肪族ポリエステルなどの生分解性樹脂や植物を原料として合成する樹脂の研究開発が活発に行われている。脂肪族ポリエステルの中でも、優れた成形性を有するポリ乳酸は、とうもろこし等の穀物資源から発酵により得られる乳酸を原料とする植物由来の樹脂として、特に注目されている。
しかしながら、ポリ乳酸は、ポリプロピレンなどの汎用樹脂と比較して耐熱性や耐衝撃性などに劣るという欠点を有している。そのため、ポリ乳酸の特性を改善するための様々な試みがなされている(たとえば、特許文献1〜3参照)。このような改良技術を基に、乳酸系樹脂が各種用途に展開されつつある。
たとえば、自動車部品などにおいて、従来用いられてきたポリプロピレン系樹脂などの代替として乳酸系樹脂を用いることが検討されている。しかしながら、乳酸系樹脂や従来のポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性樹脂を単独で用いると、継続的な使用により汚れが付着しやすく、外観を損ねるという問題がある。そのため、耐汚れ付着性に優れた成形体が求められている。
特開平11−116786号公報 特開平10−251498号公報 特開平9−169897号公報
本発明の課題は、乳酸系樹脂を含む樹脂組成物からなり、耐汚れ付着性に優れた成形体を提供することにある。
本発明者らは、乳酸系樹脂、ポリプロピレン系樹脂および無機フィラーを特定の配合割合で含む樹脂組成物を成形することにより、耐汚れ付着性に優れた成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る成形体は、乳酸系樹脂(A)30〜70重量部と、ポリプロピレン系樹脂(B)70〜30重量部と、該成分(A)および(B)の合計100重量部に対して無機フィラー(C)3〜30重量部とを含む樹脂組成物(D)から形成される成形体であって、下記工程(1)〜(4)からなる汚れ促進試験前後の色相変化ΔEが15以下であり、かつ、該汚れ促進試験後における輝度の平均粗さRaが10以下および最大高さRtが70以下であることを特徴とする。
(1)粒径が0.02μm以下のカーボンブラック(a)と、JIS Z 8901に規定の試験用粉体1第12種のカーボンブラック(b)と、JIS Z 8901に規定の試験用粉体1第8種の粘土物質(c)とを、各成分の重量比[(a):(b):(c)]が1:4:5となるように混合した汚れ物質を、硫酸でpH2.8に調整された蒸留水に0
.25重量%となるように分散させた汚れ物質分散水を、該成形体表面に、均一に汚れ物質分散水が存在するように20cm3程度噴霧し、
(2)室温にて17時間放置後、キセノンランプ式促進耐候性試験機を用いて、ブラックパネル温度89℃、放射照度0.55W/m2、相対湿度50%および試験槽内温度6
0℃の条件で6時間光照射し、
(3)該工程(1)および(2)を1サイクルとして4サイクル実施し、
(4)表面上に残存する汚れを水洗する。
前記無機フィラー(C)は、マイカ、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機フィラーであり、その平均粒子径が2〜10μmであることが好ましい。
本発明の成形体は、射出成形により成形することができ、自動車用部品に好適に用いることができる。
本発明によれば、乳酸系樹脂を含む樹脂組成物を用いて、耐汚れ付着性に優れた成形体を得ることができる。このような本発明の成形体は、継続的な使用によっても美しい外観を維持することが求められている各種部材に適しており、しかも環境にも優しいという効果を奏する。
以下、本発明に係る成形体について詳細に説明する。
本発明に係る成形体は、乳酸系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)および無機フィラー(C)を含む樹脂組成物(D)から形成される。
〔乳酸系樹脂(A)〕
本発明において、「乳酸系樹脂」とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体および該重合体を主成分とする重合体組成物を意味する。
本発明で用いられる乳酸系樹脂(A)は、乳酸単位を少なくとも50モル%以上、好ましくは75モル%以上含有する重合体を主成分とする重合体組成物である。このような乳酸系樹脂(A)は、乳酸の重縮合や乳酸の環状二量体であるラクチドの開環重合によって合成することができ、また、該重合体の性質を著しく損なわない範囲で、乳酸と共重合可能な他のモノマーを共重合させたものや、他の樹脂および添加剤などが混合された組成物でもよい。
このような乳酸系樹脂(A)の中ではポリ乳酸が好ましい。ポリ乳酸として、L体もしくはD体の構成成分が高くなると耐熱性等が向上することから、L体もしくはD体の量が、90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、最も好ましくは98モル%以上であることが望ましい。
乳酸と共重合可能なモノマーとしては、ヒドロキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、カプロン酸等)、脂肪族多価アルコール(例えば、ブタンジオール、エチレングリコール等)および脂肪族多価カルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸等)が挙げられる。
乳酸系樹脂(A)がコポリマーの場合、コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれの様式でもよい。また、前記コポリマーは、少なくとも一部が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
レングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の二官能以上の多価アルコール;キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート等の多価イソシアネート;セルロース、アセチルセルロース、エチルセルロース等の多糖類などが共重合されたものでもよい。さらに、少なくとも一部が、線状、環状、分岐状、星形、三次元網目構造などのいずれの構造をとってもよい。
乳酸系樹脂(A)は、上記原料を直接脱水重縮合する方法、あるいは、上記乳酸類やヒドロキシカルボン酸類の環状二量体、たとえばラクタイドやグリコライド、またはε−カプロラクトンのような環状エステル中間体を開環重合させる方法により得られる。
上記原料を直接脱水重縮合して製造する場合、原料である乳酸類を、または、乳酸類とヒドロキシカルボン酸類とを、あるいは、脂肪族ジカルボン酸類と脂肪族ジオール類とを有機溶媒、好ましくはフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除いて実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合する。乳酸系樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは5万〜100万、より好ましくは10万〜50万である。分子量が前記範囲であることにより、耐熱性、耐衝撃強度、強度、成形性および加工性が良好となる。
〔ポリプロピレン系樹脂(B)〕
本発明において、「ポリプロピレン系樹脂」とは、構成単位としてプロピレン単位を少なくとも1モル%以上含有するポリオレフィンを意味する。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(B)は、公知の方法、例えば高立体規則性触媒を用いてスラリー重合、気相重合または液相塊状重合により製造されたものを用いることができる。また、重合方式としてはバッチ重合および連続重合のどちらの方式も採用することができる。
上記ポリプロピレン系樹脂(B)は、構成単位としてプロピレン単位を少なくとも1%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは75%以上含む。また、他の構成成分としては、エチレンまたは炭素数4〜20のα−オレフィン、具体的には1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。このようなポリプロピレン系樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記ポリプロピレン系樹脂(B)は、分岐状オレフィン類、たとえば、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ビニルノルボルナン、アリルノルボルナン、スチレン、ジメチルスチレン、アリルベンゼン、アリルトルエン、アリルナフタレン、ビニルナフタレンなどの単独重合体または共重合体を、予備重合体として0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下含有していても
よい。これらの中では、特に3−メチル−1−ブテンが好ましい。このような分岐状オレフィン類から導かれる予備重合体は、ポリプリピレンの核剤として作用するので、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)を高くすることができるほか、成形性を向上させることができる。
上記予備重合体以外の核剤としては、従来知られている種々の核剤、たとえばフォスフェート系核剤、ソルビトール系核剤、芳香族カルボン酸の金属塩、脂肪族カルボン酸の金属塩、ロジン系化合物等の有機系の核剤および/または無機化合物等の無機系の核剤などを特に制限なく用いることができる。具体的には、有機リン酸金属塩である旭電化工業(株)製「NA−11UY」(商標)、ロジン系核剤である荒川化学(株)製「パインクリスタルKM160」(商標)などが挙げられる。核剤は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記核剤は、ポリプロピレン系樹脂(B)中に、通常0〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の量で配合される。
上記ポリプロピレン系樹脂(B)は、耐熱劣化を防ぎ、加工安定性および耐久性の向上のために、酸化防止剤および/または脂肪酸の非アルカリ金属塩成分を含有させてもよい。含有方法は特に制限されないが、通常、重合パウダーに混合後、押出機にて溶融混練して含有させることができる。
上記酸化防止剤としては、公知のものを特に制限なく用いることができるが、好ましくはヒンダードフェノール系酸化防止剤、さらに好ましくは105℃以上の融点を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤である。105℃以上の融点を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、(2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−t−ブチルフェノール])、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。上記酸化防止剤は、ポリプロピレン系樹脂(B)100重量部に対して0.01〜0.5重量部、好ましくは0.03〜0.2重量部の範囲の量で用いることができる。
上記脂肪酸の非アルカリ金属塩としては、110℃以上の融点を有する分子量600以上の脂肪酸の非アルカリ金属塩が好ましい。110℃以上の融点を有する脂肪酸の非アルカリ金属塩としては、たとえば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸アルミニウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸亜鉛、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸亜鉛などが挙げられる。上記脂肪酸の非アルカリ金属塩は、ポリプロピレン系樹脂(B)100重量部に対して0.01〜3重量部、好ましくは0.04〜0.5重量部の範囲の量で用いることができる。
上記ポリプロピレン系樹脂(B)のDSCで測定した融点(Tm)は、70〜180℃、好ましくは100〜170℃であることが望ましい。
〔無機フィラー(C)〕
本発明で用いられる無機フィラー(C)としては、一般的に公知なものを使用できる。具体的には、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、亜硫酸カルシウム、ホワイトカーボン、クレー、モンモリロナイト、
硫酸カルシウムなどが挙げられる。これらの中では、マイカ、タルクおよび炭酸カルシウムが好ましく、得られる成形品の耐熱性および耐衝撃強度が高くなることから、タルクが特に好ましく用いられる。
上記無機フィラー(C)の平均粒子径は2〜10μm、好ましくは2.5〜8μmである。このような平均粒子径の無機フィラー、特にタルクを用いることにより、得られる成形体の耐熱性および耐衝撃強度を向上させる効果が大きい。
〔樹脂組成物(D)〕
本発明の成形体の製造に用いられる樹脂組成物(D)は、上記乳酸系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)および無機フィラー(C)を含有する。各成分の含有量としては、乳酸系樹脂(A)およびポリプロピレン系樹脂(B)の合計を100重量部とした場合、乳酸系樹脂(A)の含有量は30〜70重量部、好ましくは40〜60重量部、特に好ましくは45〜55重量部であり、プロピレン系樹脂(B)の含有量は70〜30重量部、好ましくは60〜40重量部、特に好ましくは55〜45重量部である。また、無機フィラー(C)については、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて適宜添加量を決定することができるが、乳酸系樹脂(A)およびポリプロピレン系樹脂(B)の合計100重量部に対し、好ましくは3〜30重量部、より好ましくは5〜30重量部、特に好ましくは8〜30重量部の範囲の量で用いることが望ましい。各成分の含有量が上記範囲内にあることにより、耐汚れ付着性に優れた成形体を得ることができる。
上記樹脂組成物(D)は、本発明の目的を損なわない範囲内で、たとえば、成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、耐候性、難燃性、スリップ性、耐磨耗性、柔軟性などを向上させるために、各種添加剤を含有してもよい。このような各種添加剤としては、たとえば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、外部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、顔料、染料、核化剤、滑剤、天然物などが挙げられる。
上記樹脂組成物(D)は、公知の手法、たとえばミキサーや押出機などを用いて、上記各成分を均一に混合することにより製造することができる。樹脂組成物(D)の製造は、成形体の形成前に行っても、成形と同時に行ってもよい。成形前に樹脂組成物(D)を製造する場合、樹脂組成物(D)の形状は、ペレット、棒状、粉末などが好ましく、必要に応じて除湿乾燥しておくことが望ましい。
〔成形体〕
本発明に係る成形体は、上記樹脂組成物(D)を、公知の方法および装置を用いて成形することにより得られる。
たとえば、一般的な射出成形機を用いた射出成形により、120mm×130mm×2mm厚の角板を製造する場合、成形条件としては、シリンダー設定温度が180〜220℃、金型温度が20〜40℃、射出および保圧の合計時間が10秒、冷却時間が10〜20秒である。
このようにして得られる成形体は、後述する汚れ促進試験前後の色相変化ΔEが15以下である。また、この汚れ促進試験後における輝度を測定した場合、平均粗さRaが10以下、好ましくは8以下であり、最大高さRtが70以下、好ましくは65以下である。すなわち、このような特性を有する本発明の成形体は、耐汚れ付着性に優れている。また、乳酸系樹脂を用いていることから、環境にも優しい。
なお、上記樹脂組成物(D)の性状、成形方法、成形体の形状・大きさなどに応じて、
上記成形条件を適宜調整することにより、上記のような耐汚れ付着性に優れた成形体を得ることができる。
本発明の成形体は、特に限定されることなく様々な用途に用いることができる。たとえば、自動車部品、家電材料部品、電気・電子部品、建材部材、土木部材、農業資材、日用品、一般産業用途、レクリエーション用途、医療もしくは衛生用品などが挙げられる。これらの中でも、継続使用によっても汚れが付着しにくく、美しい外観を維持することが求められている自動車部品などに好適に用いることができる。
〔汚れ促進試験〕
上記汚れ促進試験は、特開平7−35680号公報に記載の方法に従って行われる。具体的には、下記工程(1)〜(4)を行う。
まず、工程(1)として、上記のようにして得られた成形体(120mm×130mm)を試験板として用いる。この試験板を水平に置き、試験板表面に、後述する汚れ物質分散水を、霧吹きにて該表面より約20cm離れた距離から、均一に汚れ物質分散水が存在するように20cm3程度噴霧する。このとき、汚れ物質分散水が試験板から流出しても
かまわない。
次に、工程(2)として、上記試験板を室温にて17時間放置した後、キセノン式促進耐候性試験機を用いて、ブラックパネル温度89℃、放射照度0.55W/m2、相対湿
度50%、試験槽内温度60℃の条件で6時間光照射する。
工程(3)として、上記工程(1)および(2)を1サイクルとして4サイクル実施する。
工程(4)として、上記4サイクル終了後、試験板表面に残存する汚れをスポンジを用いて10回程度水洗する。
上記汚れ促進試験で用いる汚れ物質分散水は、以下のようにして調製する。まず、粒径が0.02μm以下のカーボンブラック(a)と、JIS Z 8901に規定の試験用粉体1第12種に適合するカーボンブラック(b)と、JIS Z 8901に規定の試験用粉体1第8種に適合する粘土物質(c)とを、各成分の重量比[(a):(b):(c)]が1:4:5となるように混合して汚れ物質を用意する。次に、脱イオン水(蒸留水)中に硫酸(JIS試薬特級)を数滴滴下してpH2.8に調整する。そして、このpH調整した水をスターラーで攪拌し、pHを再確認した後、上記汚れ物質を0.25重量%となるように静かに加える。
このようにして調製された汚れ物質分散水を用いて、上記汚れ促進試験を実施し、試験終了後の試験板と初期品(新品)との著しい目視感差異の有無を調べ、色相変化ΔEおよび輝度を測定することにより、対汚れ付着性を評価することができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、色相変化および輝度は以下のようにして測定した。
(色相変化の測定)
汚れ促進試験前後の角板を、ミノルタ製分光測色計「CM−3700d」を用いて、光源:C、観察条件:2°視野、測定範囲:φ25.4mm、表色モード:L・a・b系の条件で測定し、色差(ΔE)を求めた。
(輝度の測定)
汚れ促進試験後の角板をデジタルカメラで撮影しその画像を、デジタル・ビーイング・キッズ製「PopImaging(Ver.3.20)」を用い、YIQ系の輝度(Y値)にて8bitグレースケール(黒=0、白=255)に変換し、得られた8bitグレースケール画像の8箇所の任意断面データを計算し、この断面データから平均粗さRaおよび最大高さRtを算出した。
<実施例1>
乳酸系樹脂(A)としてポリ乳酸(A−1)[重量平均分子量:16万、比重:1.25、L体/D体=98.7/1.3]50重量部と、ポリプロピレン系樹脂(B)としてポリプロピレン(B−1)[230℃測定MFR:25g/10分、比重:0.91、ノルマルデカンに可溶な成分量:8%]50重量部と、無機フィラー(C)としてタルク(C−1)[富士タルク工業株式会社製;平均粒子径:4.2μm、見掛け密度:0.13g/ml、白色度:98.5%]10重量部とを、ヘンシェルミキサーで均一にブレンドし、二軸押出機(東芝機械株式会社製「TEM35BS」)を用いて、シリンダー温度200℃で溶融混練した後、ペレット化して樹脂組成物(D)を得た。得られたペレットを除湿乾燥機を用いて80℃で8時間乾燥した。次に、得られたペレットを、射出成形機(東洋機械金属株式会社製「Ti−80G2」)を用いて、シリンダー設定温度200℃、金型温度30℃、射出および保圧の合計時間10秒、冷却時間15秒の条件にて射出成形し、2mm厚の角板(120mm×130mm)を得た。得られた角板の汚れ促進試験前後の色相変化ΔEは14であり、汚れ促進試験後において、汚れ物質であるカーボンブラックの汚れによる輝度の平均粗さRaは7であり、最大高さRtは59であった。結果を表1に示す。また、汚れ促進試験後の試験板表面の状態を図1に示す。なお、汚れ促進試験は以下のようにして行った。
まず、得られた角板(120mm×130mm)を試験板とし、これを水平に置き、表面に汚れ物質分散水を、霧吹きにて表面より約20cm離して均一に20cm3程度噴霧
した。次に、室温にて17時間放置後、キセノンランプ式促進耐候性試験機(アトラス社製「Ci4000」)を用いて、ブラックパネル温度89℃、放射照度0.55W/m2
、相対湿度50%、試験槽内温度60℃の条件で6時間光照射した。このサイクルを4サイクル実施した後、表面上に残存する汚れをスポンジ(東和産業株式会社製「New KS バ
ブクリーナー」)を用いて10回程度水洗した。なお、汚れ物質分散水は以下のようにして調製した。
まず、カーボンブラック(a)としてドイツデグサ社製「FW200」(粒径:0.02μm以下)を用い、カーボンブラック(b)としてJIS Z 8901に規定の試験用粉体1第12種に適合するカーボンブラック(粒径:0.03〜0.20μm、DBP吸収量:25〜34%、ヨウ素吸着量:22〜30%)を用い、粘土物質(c)としてJIS Z 8901に規定の試験用粉体1第8種に適合する関東ローム微粒を用い、各成分の重量比[(a):(b):(c)]が1:4:5となるように混合して汚れ物質を調製した。次に、純水製造装置(ヤマト科学(株)製「オートスチルWG222」)より採取した蒸留水中に硫酸(JIS試薬特級)を数滴滴下しpH2.8に調製し、スターラーで攪拌してpHを再確認した後、上記汚れ物質を0.25重量%となるように静かに加えて汚れ物質分散水を得た。
<比較例1>
一般的に自動車内装材と使用されているタルク含有ポリプロピレン(三井化学製「LA604」、230℃測定MFR:30g/10min、比重:1.04)を、実施例1と同様の方法で射出成形して2mm厚の角板(120mm×130mm)を得た。得られた角板の汚れ促進試験前後の色相変化ΔEは19であり、汚れ促進試験後における輝度の平
均粗さRaは20であり、最大高さRtは91であった。結果を表1に示す。また、汚れ促進試験後の試験板の表面の状態を図1に示す。
実施例1および比較例1で作製した成形体を汚れ促進試験した後の成形体表面の写真である。

Claims (4)

  1. 乳酸系樹脂(A)30〜70重量部と、ポリプロピレン系樹脂(B)70〜30重量部と、該成分(A)および(B)の合計100重量部に対して無機フィラー(C)3〜30重量部とを含む樹脂組成物(D)から形成される成形体であって、
    下記工程(1)〜(4)からなる汚れ促進試験前後の色相変化ΔEが15以下であり、かつ、該汚れ促進試験後における輝度の平均粗さRaが10以下および最大高さRtが70以下であることを特徴とする成形体;
    (1)粒径が0.02μm以下のカーボンブラック(a)と、JIS Z 8901に規定の試験用粉体1第12種のカーボンブラック(b)と、JIS Z 8901に規定の試験用粉体1第8種の粘土物質(c)とを、各成分の重量比[(a):(b):(c)]が1:4:5となるように混合した汚れ物質を、硫酸でpH2.8に調整された蒸留水に0.25重量%となるように分散させた汚れ物質分散水を、該成形体表面に、均一に汚れ物質分散水が存在するように20cm3程度噴霧し、
    (2)室温にて17時間放置後、キセノンランプ式促進耐候性試験機を用いて、ブラックパネル温度89℃、放射照度0.55W/m2、相対湿度50%および試験槽内温度60
    ℃の条件で6時間光照射し、
    (3)該工程(1)および(2)を1サイクルとして4サイクル実施し、
    (4)表面上に残存する汚れを水洗する。
  2. 前記無機フィラー(C)が、マイカ、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機フィラーであり、その平均粒子径が2〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 射出成形により成形されたことを特徴とする請求項1または2に記載の成形体。
  4. 自動車用部品であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10251498A (ja) * 1997-03-17 1998-09-22 Kanebo Ltd 自然分解性樹脂組成物及びその成形物
JP2000327847A (ja) * 1999-05-17 2000-11-28 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 樹脂組成物

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