以下、本発明が適用されたディスクカートリッジについて、図面を参照して説明する。本発明を適用したディスクカートリッジは、上述した特許文献1に示した標準的大きさのディスクカートリッジの記録及び/又は再生装置にも装着可能なディスクカートリッジである。特許文献1のディスクカートリッジは、直径略12cmの光ディスクを記録媒体に用いるのに対して、本発明を適用したディスクカートリッジは、上述した特許文献2に相当し、標準的大きさのディスクカートリッジの光ディスクより小径、例えば8cmの光ディスクを記録媒体に用いる。本発明を適用したディスクカートリッジは、特許文献1のディスクカートリッジに比べて小径の光ディスクを用い小型であるから、記録容量は標準的大きさのディスクカートリッジに比べ小さいものの、携帯性に優れている。
図1乃至図3に示すように、本発明を適用したディスクカートリッジ1は、カートリッジ本体2の内部に、光ディスク3が収納されるローテーションホイール4と、シャッタ機構となる一対のシャッタ板5a,5bとを収納してなる。このカートリッジ本体2は、互いに組み合わされる一組の上シェル6と下シェル7とを付き合わせて構成されている。
このディスクカートリッジ1に用いられる光ディスク3は、中心部に、記録及び/又は再生装置側のディスク回転駆動機構が係合されるセンタ孔3aが形成されている。なお、光ディスク3としては、記録する情報信号に対応したピットパターンがディスク基板に形成された再生専用の光ディスクであっても良く、また、記録層に相変化材料を用いる書換型光ディスクであっても良く、更に、記録層に有機色素材料等を用いる追記型の光ディスクであっても良い。更に、使用される記録媒体としては、光ディスクの他、光磁気ディスク、磁気ディスク等であっても良い。また、記録媒体に代わってクリーニングディスクであっても良い。
カートリッジ本体2を構成する上シェル6は、図4に示すように、樹脂材料を射出成形することにより形成されている。この上シェル6は、全体略矩形状の主面の内、記録及び/又は再生装置への挿入端側となる前面が略円弧形状とされている。また、この上シェル6には、カートリッジ本体2の側面をなす外周壁8が主面の外周縁部に沿って立設されている。
外周壁8及び外周壁8に内接する内周壁11には、前面側の中央部に位置して、記録及び/又は再生装置側の光ピックアップを進入させるためのピックアップ進入用凹部9が形成されている。また、外周壁8には、下シェル7と結合するためのねじ穴を形成した複数のボス10が例えば各コーナ部近傍に形成されている。
内周壁11は、内側にローテーションホイール4が回転可能に収納され、ローテーションホイール4が回転するときのガイド壁として機能する。また、上シェル6の主面部は、ローテーションホイール4が収納されたとき、ローテーションホイール4とでディスク収納部を構成する。
上シェル6の内面略中央部には、記録及び/又は再生装置側のディスク回転駆動部を構成するディスクテーブルと共に光ディスク3を挟持するクランピングプレート13が取り付けられている。このクランピングプレート13は、取付リング13aによって取り付けられる。具体的に、クランピングプレート13は、取付リング13aと上シェル6の内面略中央部とで挟み込むようにし、取付リング13aを上シェル6の内面略中央部に溶着等により固定することによって取り付けられる。光ディスク3は、センタ孔3aにディスクテーブルが係合し、更にディスクテーブルとクランピングプレート13で挟持されることにより、ディスク収納部内で回転可能な状態となる。
なお、上シェル6の内面には、更に、後述する下シェル7のロケーションホール26aを構成する立ち上がり壁16aやアライメントホール26bを構成する立ち上がり壁16bが形成されている。
以上のように構成される上シェル6に結合される下シェル7は、図2、図3及び図5に示すように、上述した上シェル6と同様に、樹脂材料を射出成形することにより形成されている。この下シェル7は、全体略矩形状の主面の内、記録及び/又は再生装置に挿入される前面側が略円弧形状とされている。この下シェル7には、カートリッジ本体2の側面をなす外周壁21が主面の外周縁に沿って立設され、更に、外周壁21に内接するように、内周壁28が形成されている。
この下シェル7には、外周壁21の前面側の中央部が光ピックアップやディスクテーブルが進入できるように開放された第1の開口部24が形成されている。この第1の開口部24は、前面側の開放端から光ディスク3の信号記録面の一部を内外周に亘って外方へ臨ませる略矩形状の光ピックアップ用開口部24aと、光ピックアップ用開口部24aと連続した光ディスク3のセンタ孔3aを外部に臨ませる回転駆動用開口部24bとから構成されている。すなわち、記録再生用開口部24aは、記録及び/又は再生装置の光ピックアップをカートリッジ本体2の内部に進入させるのに足る大きさに形成されており、回転駆動用開口部24bは、記録及び/又は再生装置のディスク回転駆動機構を構成するディスクテーブルをカートリッジ本体2の内部へと進入させるのに足る大きさに形成されている。更に、光ピックアップ用開口部24bの一方の開口端側は、開口端が拡幅する方向に傾斜するテーパ部24cが形成されている。このテーパ部24cは、後述するローテーションホイール4の被操作部45がシャッタ板5a,5bが第1の開口部24を開放した状態に位置したとき、被操作部45が収容される部分となる。
第1の開口部24を構成する記録再生用開口部24aの一方の側縁部及び駆動用開口部24bの一方の側縁には、一対のシャッタ板5a,5bが第1の開口部24を閉塞しているとき、カートリッジ本体2内に塵埃等が侵入することを防止する凸部27が複数形成されている。
外周壁21の背面側には、上述した上シェル6側のねじ穴が形成されたボス10に付き合わされる貫通孔が形成されたボス22が形成されている。図2に示すように、上シェル6と下シェル7とは、下シェル7のボス22の貫通孔よりねじ23を挿通し、上シェル6のボス10のねじ穴に螺合することによって結合される。
更に、下シェル7の前面には、両脇に、ディスクカートリッジ1を記録及び/又は再生装置に挿入される際に記録及び/又は再生装置側の挿入ガイド部材となる挿入ガイドピン100が係合する挿入ガイド溝25a,25bが形成されている。具体的に、挿入ガイド溝25a,25bは、図6に示すように、記録及び/又は再生装置への挿入端となる前面と下シェル7で構成されたカートリッジ本体2の底面を開口し、カートリッジ本体2の前面から背面側に向かってカートリッジ本体2の底面に形成された溝部である。また、挿入ガイド溝25a,25bは、前面開口端側が最も幅広に形成され、挿入ガイドピン100が進入し易く形成されている。
更に、少なくとも挿入ガイド溝25aは、最奥部が挿入ガイドピン100の太さと略同じになるように形成し、装着面内の互いに直交するX方向及びY方向の移動を規制する。また、他方の挿入ガイド溝25bは、挿入ガイドピン100よりやや幅広に形成される。挿入ガイドピン100よりやや幅広の挿入ガイド溝25bは、最奥部に挿入ガイドピン100が突き当たると、挿入ガイド溝25aと共同して装着面内における回転方向の規制をする。なお、挿入ガイド溝25bも少なくとも最奥部が挿入ガイドピン100太さと略同じになるように形成し、より確実に記録及び/又は再生装置の装着部において確実な位置決めを行うことができるようにしても良い。このような挿入ガイド溝25a,25bは、後述のロケーションホール26aやアライメントホール26bを用いることなく、記録及び/又は再生装置の装着部に位置決めして装着することができるようにしている。
挿入ガイド溝25aは、記録フォーマット等を異にする略同形状のディスクカートリッジとの識別部としても機能する。例えば、ディスクカートリッジ1を放送局等で使用する業務用とし、このディスクカートリッジ1と記録フォーマット等を異にするが外形係形状を略同じにするディスクカートリッジを民生用としたとき、業務用のディスクカートリッジ1にのみ挿入ガイド溝25aを設けるようにし、民生用のディスクカートリッジには設けないようにする。これにより、業務用のディスクカートリッジ1の記録及び/又は再生装置では、挿入ガイド溝25aの有無によってディスクカートリッジの種類を識別することができると共に、誤って民生用のディスクカートリッジが挿入されたときには、挿入ガイド溝25a用の挿入ガイドピン100によって誤挿入を防止することができる。
すなわち、以上のような挿入ガイド溝25a,25bは、記録及び/又は再生装置への挿入時における挿入ガイド機能、外形形状や大きさを同じくしながら記録フォーマットを異にするディスクカートリッジとの識別機能、更には、記録及び/又は再生装置の装着部での位置決め機能等を有した多機能の溝部となっている。
更に、下シェル7の背面側の一方のコーナ部近傍には、図2及び図5に示すように、ディスクカートリッジ1を記録及び/又は再生装置に位置決めして装着するための基準穴となるロケーションホール26aが形成されている。また、他方のコーナ部近傍には、調整用のアライメントホール26bが形成されている。
なお、上シェル6と下シェル7とが付き合わされて構成されたカートリッジ本体2の記録及び/又は再生装置への挿入方向と平行な両側面部には、図1及び図2に示すように、前面側から背面側に亘って、記録及び/又は再生装置へ挿入する際のガイド溝15a,15bが形成されている。
上シェル6と下シェル7とが付き合わされると、内周壁11の内側にローテーションホイール4を収納する収納部が構成される。この収納部に収納されるローテーションホイール4は、図7及び図8に示すように、樹脂材料を射出成形することにより形成されている。このローテーションホイール4の主面部は、略皿状をなし、凹部側がカートリッジ本体2内に配設されたとき、上シェル6とシャッタ板5a,5bの一方の主面とでディスク収納部を構成する。このローテーションホイール4は、略円形に形成されており、その外周縁部には、リング部43が立設されている。ローテーションホイール4の主面部には、下シェル7に設けられた第1の開口部24と略同じ大きさの第2の開口部44が形成されている。
この第2の開口部44は、下シェル7の第1の開口部24と一致したとき、収納した光ディスク3を外部に臨ませる。すなわち、この第2の開口部44は、第1の開口部24の光ピックアップ用開口部24aに対応した開口部と回転駆動用開口部24bに対応した開口部で構成されている。
また、リング部43の基端部は、図7に示すように、主面部側へ傾斜するテーパ部42が形成されている。テーパ部42は、光ディスク3の外周縁を線接触で支持し、光ディスク3の信号記録面がローテーションホイール4の主面部と面接触し、傷が付かないようにしている。
ローテーションホイール4の第2の開口部44近傍には、図7及び図8に示すように、外側に突出して、記録及び/又は再生装置側のシャッタ開放機構のシャッタ開放部材を構成するシャッタ開放ピン41が係合する被操作部45が形成されている。被操作部45は、第1の被操作片45aと第2の被操作片45bとにより記録及び/又は再生装置側を開放した凹部を構成しており、ここに、記録及び/又は再生装置側のシャッタ開放ピン41が係合される。被操作部45は、ローテーションホイール4の回転に伴って、第1の開口部24が形成された下シェル7の前面より外部に露出し、第1の開口部24の幅方向に移動する。被操作部34は、シャッタ板5a,5bが第1の開口部24を開放しているとき、テーパ部24cにより拡幅された部分に位置する。
また、ローテーションホイール4と下シェル7との間には、一対のシャッタ板5a,5bが配設される。そこで、ローテーションホイール4のシャッタ板5a,5bが配設される面には、図8に示すように、シャッタ板5a,5bとの接触面積を減らし、摺動抵抗を減らすための突部46が複数形成されている。突部46は、例えば20μm程度突出して形成されている。
以上のようなローテーションホイール4は、図8に示すように、コイルバネ等で構成された付勢部材48によって、シャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞する方向に回動付勢されている。この付勢部材48は、一端がローテーションホイール4のリング部43に形成された係止片48aに係止され、他端が図4に示す上シェル6の内面に形成された係止突起48bに係止されている。そして、付勢部材48は、ローテーションホイール4の回転に伴って伸縮するが、上シェル6の内面であって内周壁11の外側に形成された立ち上がり壁と外周壁8とで形成されたガイド溝49でガイドされ、伸縮時にカートリッジ本体2内で暴れないようにしている。また、ローテーションホイール4の外周縁にも、図7及び図8に示すように、このガイド溝49をほぼ閉塞するフランジ部47が形成されている。
以上のように構成されたローテーションホイール4は、付勢部材48によりシャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞する方向に付勢されており、被操作部45が記録及び/又は再生装置側のシャッタ開放ピン41によって、シャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を開放する方向に回転される。このとき、内周壁11は、ローテーションホイール4が回転するときのガイド壁として機能する。
下シェル7に形成された第1の開口部24やローテーションホイール4に形成された第2の開口部44を開閉するシャッタ機構を構成する一対のシャッタ板5a,5bは、図9に示すように、5aが大きく、5bが5aに対して小さく形成されている。
図9に示すように、大きい方の第1のシャッタ板5aは、第1及び第2の開口部24,44を閉塞する第1のシャッタ部51と、上シェル6の内面であって外周壁8と内周壁11との間に形成された第1の支軸52に回動支持される第1の回動支持部53と、小さい方の第2のシャッタ板5bが取り付けられる第2の軸孔54とを備える。
第1のシャッタ部51は、第2の開口部44の閉塞時にローテーションホイール4の第2の開口部44の一側縁に位置する第1の側縁部51aと、第1の側縁部51aに連続した第2の側縁部51bと、第2の側縁部51bに連続した第3の側縁部51cとを有する。第2の側縁部51bは、第1の側縁部51aより内方に折曲し、第3の側縁部51cは、第2の側縁部51bに対して外側に折曲するように形成されている。更に、第1乃至第3の側縁部51a〜51cと対向する第4の側縁部51dには、上シェル6や下シェル7の一方のコーナ部に形成されたボス10,22、ローテーションホール26a、誤記録防止部材等を逃げるための波線状の逃げ部51eが形成されている。
更に、第1のシャッタ部51には、下シェル7側の面に、下シェル7の第1の開口部24の周縁部に形成された凸部27と係合する溝部51fが形成されている。溝部51fは、シャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞しているとき、第1の開口部24の周縁部に形成された凸部27と係合することで、カートリッジ本体2内に塵埃等が侵入することを防止する。
更に、第1のシャッタ部51の光ディスク3側の面には、ローテーションホイール4の主面部に形成されたガイド溝55に係合するガイド突起51gが形成されている。ガイド突起51gは、ローテーションホイール4のガイド溝55に係合することで、第1のシャッタ板5aの回動を規制する。更に、第1のシャッタ部51には、光ディスク3側の面に、シャッタ板5aの変位を規制する規制突起51hが形成されている。規制突起51hは、シャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞しているとき、光ディスク3のセンタ孔3aの周囲の内周側非信号記録領域に対応する位置に設けられ、仮に第1のシャッタ板5aが押されて内側に変位したときであっても、光ディスク3の信号記録領域を傷つけないようにしている。この規制突起51hは、シャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を開放しているとき、ローテーションホイール4の中央よりに形成された逃げ溝56に進入し、シャッタ板5aの回動を阻害しないようにする。
シャッタ板5aの第1の回動支持部53は、上シェル6に形成された第1の支軸52が挿通される第1の軸孔53aが形成されている。
以上のような第1のシャッタ板5aに係合する第2のシャッタ板5bは、図9に示すように、第1のシャッタ部51と共に、第1及び第2の開口部24,44を閉塞する第2のシャッタ部61と、第1のシャッタ板5aに形成された第2の軸孔54に取り付けられる第2の回動支持部62とを有する。
第2のシャッタ部61は、第1のシャッタ部51の第2の側縁部51bと係合する第1の側縁部61aと、第1の側縁部61aと連続し第1のシャッタ部51の第3の側縁部51cと係合する第2の側縁部61bと、第2の側縁部61bの反対側に第1の側縁部61aと連続した第3の側縁部61cとを有する。シャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞したとき、第1のシャッタ部51の第2の側縁部51bと第2のシャッタ部61の第1の側縁部61aとが噛み合い、更に、第1のシャッタ部51の第3の側縁部51cと第2のシャッタ部61の第2の側縁部61bとが噛み合う。したがって、一対のシャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞しているとき、シャッタ板5a,5bは、互いに噛み合うことで、結合部より内部に塵埃等が侵入することを防止すると共に、シャッタ板5a,5bが押されたとき、撓みにくくしている。
また、第2のシャッタ部61には、ローテーションホイール4に形成された第1の制御突起63が係合される溝で構成された第1のカム部64が形成されている。この第1のカム部64は、第1の制御突起63が係合することで、第2のシャッタ板5bの回動を制御する。第1のカム部64は、ローテーションホイール4の外周側の幅狭な幅狭部64aと、ローテーションホイール4の中央よりの幅狭部64aより拡幅した拡幅部64bとからなる。幅狭部64aは、第2のシャッタ板5bが第1及び第2の開口部24,44を開放する際の前半部分で第2のシャッタ板5bを回動させる第1の作用部であり、拡幅部64bは、第1の制御突起63が移動したとき、すなわち第2のシャッタ板5bが第1及び第2の開口部24,44を開放する際の後半部分で何も作用しない第1の非作用部となる。したがって、幅狭部64aは、第2のシャッタ板5bが第1及び第2の開口部24,44を開放する際の前半部分で第2のシャッタ板5bを回動し、第1の制御突起63が拡幅部64bに移動すると、第2のシャッタ板5bに対しては何も作用しない。なお、第1の作用部及び第1の非作用部は、直線的な溝の幅で形成する他、第2のカム部のように湾曲した溝で形成するようにしても良い。
また、第2のシャッタ部61には、ローテーションホイール4の主面部に形成された溝で構成された第2のカム部65に係合する第2の制御突起66が形成されている。第2のカム部65は、ローテーションホイール4の中央側で第1の方向に湾曲した第1の湾曲部65aと、ローテーションホイール4の外周側で第1の湾曲部65aとは反対側の第2の方向に湾曲した第2の湾曲部65bとからなる。第1の湾曲部65aは、第2のシャッタ板5bが第1及び第2の開口部24,44を開放する際の前半部分で何も作用しない第2の非作用部であり、第2の湾曲部65bは、第2のシャッタ板5bが第1及び第2の開口部24,44を開放する際の後半部分で作用する第2の作用部となる。したがって、第1の湾曲部65aは、第2のシャッタ板5bが第1及び第2の開口部24,44を開放する際の前半部分で何も作用せず、第2の制御突起66が第2の湾曲部65bに移動すると、すなわち第2のシャッタ板5bの回動の後半部分で、第2の湾曲部65bは、上述の第1のカム部64の幅狭部64aに代わって、第2のシャッタ板5bを回動する。このように、ディスクカートリッジ1は、第2のシャッタ板5bが第1及び第2の開口部24,44を開放時において、前半部分と後半部分とで作用部を分けることによって、摩耗によって塵埃等が発生することを防止するようにしている。
なお、上述した第1及び第2の作用部や第1及び第2の非作用部は、拡幅部や幅狭部、更に湾曲部の如何なる組み合わせで構成しても良い。
第2の回動支持部62には、第2の支軸62aが形成され、この第2の支軸62aは、第1のシャッタ板5aの第1の回動支持部53に形成された第2の軸孔54に挿通される。したがって、第2のシャッタ板5bは、ローテーションホイール4に対して回動するのではなく、第1のシャッタ板5に対して回動する。
次に、ローテーションホイール4の回転と一対のシャッタ板5a,5bの動作について図10及び図11を参照して説明する。図10は、一対のシャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞した状態を示している。一対のシャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞しているとき、ローテーションホイール4は、付勢部材48の付勢力により図10中矢印A方向に回動付勢された状態にあり、被操作部45は、第1の開口部24の一側縁に位置している。そして、第1のシャッタ部51の第2の側縁部51bと第2のシャッタ部61の第1の側縁部61aとが噛み合い、更に、第1のシャッタ部51の第3の側縁部51cと第2のシャッタ部61の第2の側縁部61bとが噛み合い、結合部より内部に塵埃等が侵入することを防止すると共に、シャッタ板5a,5bが押されたとき、撓みにくくしている。
このとき、第1のシャッタ板5aのガイド突起51gは、ローテーションホイール4のガイド溝55のローテーションホイール4の中央よりの一端に位置している。また、第2のシャッタ板5bの第1のカム部64には、第1の制御突起63が第1の作用部となる幅狭部64aに係合している。更に、第2のシャッタ板5bの第2の制御突起66は、第2の非作用部となるローテーションホイール4の第2のカム部65の第1の湾曲部65aに係合している。
そして、ローテーションホイール4は、被操作部45で付勢部材48の付勢力に抗して図10中反矢印A方向に回動されると、ローテーションホイール4のガイド溝55にガイド突起51gが係合された第1のシャッタ板5aは、上シェル6の第1の支軸52を中心にして、図10中矢印B方向に回動する。第1のシャッタ板5aの回動に伴って、第2のシャッタ板5bは、第1のシャッタ板5aの第2の支軸62aを中心に、第1のシャッタ板5aに対して矢印C方向に回動する。第2のシャッタ板5bの回動開始時は、ローテーションホイール4の第1の制御突起63が係合した第1の作用部となっている第1のカム部64の幅狭部64aによって回動される。なお、第2のシャッタ板5bの回動開始時において、第2のシャッタ板5bの第2の制御突起66が係合したローテーションホイール4の第2のカム部65の第1の湾曲部65aは、第2の非作用部であり、何も作用しない。
更に、ローテーションホイール4が反矢印A方向に回動すると、図11に示すように、ローテーションホイール4のガイド溝55に係合したガイド突起51gは、ガイド溝55のローテーションホイール4の外周側の他端に移動する。第1のシャッタ板5aの回動に伴って、第2のシャッタ板5bは、第1のシャッタ板5aの第2の支軸62aを中心に、第1のシャッタ板5aに対して図10中矢印C方向に回動する。すると、ローテーションホイール4の第1の制御突起63は、第1の非作用部となっている第1のカム部64の拡幅部64bに移動し、第2のシャッタ板5bに対して何も作用しなくなる。これに代わって、第2のシャッタ板5bの第2の制御突起66は、第2の非作用部である第1の湾曲部65aから第2の作用部である第2の湾曲部65bに移動し、第2のシャッタ板5bを矢印C方向に回動する。これにより、図11に示すように、第1及び第2の開口部24,44は、開放され、ローテーションホイール4内に収納されている光ディスク3を内外周に亘って外部に臨ませることができる。
ところで、カートリッジ本体2内には、図10及び図11に示すように、ローテーションホイール4の回転を規制することで、シャッタ板5a,5bが第2の開口部24,44を閉塞した状態に保持するロック機構71が設けられている。具体的に、図12に示すように、このロック機構71は、ローテーションホイール4をロックするロック部材72を有する。ロック部材72は、基体部73を有し、全体が摺動性に優れた弾性材料、例えばポリアセタール樹脂で形成されている。この基体部73には、下シェル7の内面に形成された支軸74が挿通される軸孔75が形成されている。また、基体部73は、ローテーションホイール4の回動をロックするロック部76と、記録及び/又は再生装置側のロック解除ピンとしても機能する挿入ガイドピン100により押圧される第1のロック解除片77と、記録及び/又は再生装置側のカートリッジ保持片101によって押圧される第2のロック解除片78と、付勢部材の一端が係止される係止片79とが形成されている。このロック部材72は、下シェル7の背面側に形成されたアライメントホール26b側の挿入ガイド溝25b近傍に配設される。ロック部材72は、下シェル7の支軸74に軸孔75が挿通されることにより下シェル7に取り付けられる。
図12に示すように、ロック部材72は、下シェル7の支軸74を軸孔75に挿通することにより回動可能に取り付けられる。このとき、ロック部76は、内側、すなわちローテーションホイール4の外周部を向き、第1のロック解除片77は、挿入ガイド溝25b内に、挿入ガイド溝25bを構成する立ち上がり壁に形成された逃げ孔80より臨まされ、第2のロック解除片78は、カートリッジ本体2のガイド溝15bに形成された切欠部81より外部に臨まされる。
ロック部材72が取り付けられる支軸74の近傍には、更に、ロック部材72を一方向に付勢する捻りコイルバネ等の付勢部材82が取り付けられる取付ピン83が形成されている。この付勢部材82は、コイル部82aの両側に第1のアーム部82bと第2のアーム部82cが形成されてなる。第1及び第2のアーム部82b,82cは、先端部が互いに逆向きとなるように略90度に折曲され、第1の係止部82d及び第2の係止部82eとなっている。このような付勢部材82は、第1のアーム部82bと第2のアーム部82cとを、互いに離間する開方向に付勢している。この取付ピン83には、付勢部材82のコイル部82aが巻挿される。取付ピン83に取り付けられた付勢部材82は、一方の第1のアーム部82bの第1の係止部82dがロック部材72の係止片79に係止され、他方の第2のアーム部82cの第2の係止部82eが下シェル7のボス22の近傍に係止されることにより、ロック部材72を、第1のロック解除片77が挿入ガイド溝25bの開口端側に位置し、第2のロック解除片78がガイド溝15bの切欠部81に臨むように、ロック状態となる図10中矢印D方向に付勢する。なお、係止片79は、下シェル7の内面との間に付勢部材82の第1のアーム部82bが延在するように薄肉部79aとなっている。
基体部73のロック部76は、ローテーションホイール4の外周部より僅かに内方に位置する。ローテーションホイール4には、外周部よりやや内側に、基体部73より突出したロック部76が係合するロック溝84が形成されている。このロック溝84には、内側に、係合凹部85が形成されている。ロック部76は、この係合凹部85に係合することによって、ローテーションホイール4の回転をロックする。このロック溝84は、図13に示すように、ローテーションホイール4の光ディスク3が収納される側の面であって、リング部43の基端部に形成された光ディスク3の外周縁を支持するテーパ部42の下側に形成され、不必要に肉厚部を設けないようにしている。
ここで、以上のようなロック機構71の組立手順について説明すると、先ず、下シェル7の取付ピン83に付勢部材82のコイル部82aが巻挿される。ここで、付勢部材82は、第1のアーム部82bと第2のアーム部82cとを、互いに離間する開方向に付勢している。このため、コイル部82aが取付ピン83に巻挿されると、図14中点線で示すように、一方の第1のアーム部82bは、下シェル7の第1の開口部24近傍の外周壁21に突き当てられ、他方の第2のアーム部82cは、ボス22の近傍の外周壁21に突き当てられることになる。この後、ロック部材72の係止片79に係止される付勢部材82の第1のアーム部82bは、付勢力に抗して第2のアーム部82cの方向に回動され、この状態が保持される。次いで、下シェル7の支軸74は、ロック部材72の軸孔75に挿通される。ロック部材72が支軸77に取り付けられると、図15に示すように、付勢力に抗して第2のアーム部82cの方向に回動された状態にある第1のアーム部82bは、ロック部材72の係止片79に係止される。
ロック部材72の係止片79に係止される付勢部材82の第1のアーム部82を、付勢力に抗して第2のアーム部82cの方向に回動し、ロック部材72の係止片79に係止可能な状態にする操作に当たっては、図16に示すように、第1のアーム部82bの第1の係止部82dに挿通する筒状の操作部材91を用いる。図14及び図16に示すように、下シェル7の外周壁21の第1の開口部24の近傍には、第1の係止部84dを捕集するための突起部92が形成されている。この突起部92は、第1の係止部84dの回動軌跡93と交わる位置に形成されている。したがって、第1のアーム部84bは、第1の開口部24の近傍の外周壁21に近接する方向に回動付勢されるが、突起部92によって、外周壁21との間に間隙94が形成されることになり、筒状の操作部材91は、第1の開口部24の近傍の外周壁21に近接する方向に回動付勢されている第1の係止部84cを容易に捕集することができる。
すなわち、図17に示すように、突起部92が形成されていない場合は、第1の係止部84c外周壁21に回動付勢された状態で接触しており、操作部材91によって第1の係止部84cを係合し捕集することができないため、生産性の向上を図ることができなかったが、図15に示すように、突起部92を設けた場合には、突起部92を、操作部材91によって容易に第1の係止部84cを捕集することができ、生産性の向上を図ることができる。
図10を用いて、シャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞している状態のロック機構71を説明すると、ロック部材72は、支軸74を中心にして、付勢部材82の付勢力により図10中矢印D方向に付勢されている。このとき、ロック部76は、内側に形成されたローテーションホイール4のロック溝84の係合凹部85に係合している。したがって、ローテーションホイール4は、係合凹部85にロック部76が係合することで回動が禁止される。また、第1のロック解除片77は、逃げ孔80より挿入ガイド溝25b内の前面開口端側に臨まされ、記録及び/又は再生装置側のロック解除ピンとなる挿入ガイドピン100が押圧可能な状態になっている。
ディスクカートリッジ1が記録及び/又は再生装置に挿入されると、記録及び/又は再生装置のロック解除ピンとなる挿入ガイドピン100が挿入ガイド溝25bに進入する。挿入ガイドピン100は、挿入ガイド溝25bに前面側開口端から進入すると、先ず、第1のロック解除片77を押圧する。すると、ロック部材72は、図10に示すように、支軸74を中心に、付勢部材82の付勢力に抗して、図10中反矢印D方向に回動する。したがって、ロック部76は、ロック溝84内の係合凹部85内の係合状態が解除され、ロック部76は、ロック溝84内をローテーションホイール4の回転に従って移動する。
ところで、図1、図18及び図19に示すように、上シェル6と下シェル7とを突き合わせ結合してなるカートリッジ本体2は、記録及び/又は再生装置への挿入方向ととなる両側面に、凹状のガイド溝15a,15bが形成されている。カートリッジ本体2の両側面に形成された挿入ガイド溝15a,15bには、前面側に、記録及び/又は再生装置側のディスクカートリッジ1を保持するカートリッジ保持片101が係合するローディング用凹部96a,96bがガイド溝15a,15bの深さ方向に連続して形成されている。図19に示すように、ローディング用凹部96a,96bは、ガイド溝15a,15bに比べて幅広に形成され、記録及び/又は再生装置のカートリッジ保持片101が確実に係合するように形成されている。ローディング用凹部96a,96bは、図18に示すように、カートリッジ本体2の前面側が、確実に記録及び/又は再生装置のカートリッジ保持片101が確実に装着部に引き込むことができるように、垂直面97a,97aで形成され、底面が垂直面97a,97a側が最も深くなるような円弧面97b,97bで形成されている。
図20に示すように、ロック機構71が設けられた側のローディング用凹部96bには、底面を構成する円弧面97bに、深さ方向に連続した収納凹部99が形成されている。この収納凹部99は、上述したロック機構71を構成するロック部材72の第2のロック解除片78が臨む部分であり、上述した切欠部81によって貫通孔となっている。また、図21に示すように、カートリッジ本体2内の相対する内面には、収納凹部99に連続するように係合溝98,98が形成されている。係合溝98,98は、第2のロック解除片78の回動軌跡に合わせて凹状に形成されており、第2のロック解除片78の各端部が係合し、隙間を無くすことによって、収納凹部99の貫通孔より塵埃等の異物が浸入しないようにしている。そして、ロック部材72の回動時には、係合溝98,98内を第2のロック解除片78の両端部が移動する。なお、この係合溝98,98は、上下シェル6,7の何れか一方の内面に形成されているだけであっても良い。
第2のロック解除片78は、シャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞しているとき、ロック部材72が支軸74を中心にして付勢部材82の付勢力により図10中矢印D方向に付勢されていることから、図20に示すように、ローディング用凹部96bの垂直面97aに寄った状態にある。
そして、記録及び/又は再生装置に装填されると、図22に示すように、第2のロック解除片78は、記録及び/又は再生装置側のカートリッジ保持片101がローディング用凹部96bに進入することによって押圧され、図20中矢印E方向に押圧されることになり、これに伴って、第2のロック解除片78は、ローディング用凹部96bの底面に形成された収納凹部99に収納されることになる。このとき、第2のロック解除片78は、完全に収納凹部99に入り込み、ローディング用凹部96bの底面部となっている円弧面97bより突出しない。これによって、記録及び/又は再生装置のカートリッジ保持片101を大きくすることができ、ディスクカートリッジ1のローディングを確実に行うことができるようになる。
なお、図23に示すように、第1のロック解除片77によってロックが解除されたときには、収納凹部99より僅かに突出した状態となる。
上述したような構成を有するディスクカートリッジ1が記録及び/又は再生装置に装着される前には、図1、図2及び図10に示すような状態にある。すなわち、一対のシャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞しているとき、ローテーションホイール4は、付勢部材48の付勢力により図10中矢印A方向に回動付勢された状態にあり、被操作部45は、第1の開口部24の一側縁に位置している。そして、第1のシャッタ部51の第2の側縁部51bと第2のシャッタ部61の第1の側縁部61aとが噛み合い、更に、第1のシャッタ部51の第3の側縁部51cと第2のシャッタ部61の第2の側縁部61bとが噛み合っている。すなわち、ディスクカートリッジ1は、シャッタ板5a,5bが噛み合い、撓み変形しにくくされていると共に、シャッタ板5aの浮き上がりが防止されていることで、カートリッジ本体2内に塵埃等の異物が侵入しないようにしている。
このとき、第1のシャッタ板5aのガイド突起51gは、ローテーションホイール4のガイド溝55のローテーションホイール4の中央よりの一端に位置している。また、第2のシャッタ板5bの第1のカム部64には、第1の制御突起63が第1の作用部である幅狭部64aに係合している。更に、第2のシャッタ板5bの第2の制御突起66は、第2の非作用部であるローテーションホイール4の第2のカム部65の第1の湾曲部65aに係合している。かくして、ディスクカートリッジ1は、図2に示すように、下シェル7の第1の開口部24を閉塞した状態となっている。また、仮に、第1のシャッタ板5aが押されたときであっても、第1のシャッタ板5aの規制突起51hは、光ディスク3の内周側非信号記録領域に突き当たり、第1のシャッタ部51が光ディスク3の信号記録領域に接触することもないことから、信号記録領域に傷が付くことを防止することができる。
また、シャッタ板5a,5bが第1及び第2の開口部24,44を閉塞しているとき、第1のシャッタ部51の溝部51fには、第1の開口部24の周縁部に形成された凸部27が係合され、カートリッジ本体2内に塵埃等が侵入することを防止している。
また、ロック機構71について説明すると、図10に示すように、ロック部材72は、支軸74を中心にして、付勢部材82の付勢力により図10中矢印D方向に付勢されている。このとき、ロック部76は、内側に形成されたローテーションホイール4のロック溝84の係合凹部85に係合している。したがって、ローテーションホイール4は、係合凹部85にロック部76が係合することで回動が禁止される。また、第1のロック解除片77は、逃げ孔80より挿入ガイド溝25b内の前面開口端側に臨まされ、記録及び/又は再生装置側のロック解除ピンとなる挿入ガイドピン100が押圧可能な状態になっており、第2のロック解除片78は、ローディング用凹部96bの垂直面97aに寄った状態にある。
次に、以上のように構成されたディスクカートリッジ1が記録及び/又は再生装置に装填される際の一連の動作について説明する。このディスクカートリッジ1は、上述のように特許文献1に示したような標準的な大きさのディスクカートリッジと互換性が図られており、標準的な大きさのディスクカートリッジの記録及び/又は再生が可能な記録及び/又は再生装置とディスクカートリッジ1の専用の記録及び/又は再生装置に装填することができる。そこで、先ず、標準的大きさのディスクカートリッジの記録及び/又は再生も可能な記録及び/又は再生装置に装填される場合の動作について説明する。
標準的大きさのディスクカートリッジの記録及び/又は再生も可能な記録及び/又は再生装置にディスクカートリッジ1を挿入する場合、ディスクカートリッジ1は、記録及び/又は再生装置に対して略円弧状に形成された前面を挿入端として挿入される。この標準的大きさのディスクカートリッジにも対応する記録及び/又は再生装置に挿入されると、先ず、図24に示すように、この記録及び/又は再生装置の装着部に形成された一対の挿入ガイドピン100が挿入される。ここで、図6に示すように、挿入ガイド溝25a,25bは、前面開口端側が最も幅広に形成されていることから、ディスクカートリッジ1を装着部の所定位置に確実にガイドすることができる。そして、装着部に装着される直前で、記録及び/又は再生装置側の挿入ガイドピン100,100が挿入ガイド溝25a,25bに係合することによって装着部に位置決めされる。具体的に、挿入ガイド溝25aには、この挿入ガイド溝25aの幅と略同じ太さの挿入ガイドピン100が最奥部に突き当て係合されることで、装着面内の互いに直交するX方向及びY方向の位置決めがされる。また、挿入ガイド溝25bには、仮に挿入ガイド溝25bの幅より細い挿入ガイドピン100が最奥部に突き当てられ係合されても、少なくとも挿入ガイド溝25aに係合した挿入ガイドピン100と共同して装着面内における回転方向の位置決めがされる。このように、ディスクカートリッジ1は、記録及び/又は再生装置の装着部に装着されると、挿入ガイド溝25a,25bに挿入ガイドピン100,100が係合することによって、装着面におけるより確実な位置決めがされる。
なお、この記録及び/又は再生装置では、ディスクカートリッジ1のカートリッジ本体2の底面に設けられたロケーションホール26aとアライメントホール26bは使用されない。また、記録及び/又は再生装置では、ディスクカートリッジ1が装着部に装着されると、図示しない検出スイッチ等の検出部で挿入ガイド溝25aを検出することによって、記録フォーマットの合致したディスクカートリッジ1が装着されたと判断することができる。
そして、ディスクカートリッジ1が装着部に装着されると、挿入ガイド溝25bに前面側開口端から進入した挿入ガイドピン100は、ロック解除ピンとして機能し、第1のロック解除片77を押圧する。すると、ロック部材72は、図10に示すように、支軸74を中心に、付勢部材82の付勢力に抗して、図10中反矢印D方向に回動する。したがって、ロック部76は、ロック溝84内の係合凹部85内の係合状態が解除され、ローテーションホイール4は、回転可能な状態になる。
なお、ディスクカートリッジ1の専用の記録及び/又は再生装置に略円弧状に形成された前面を挿入端として挿入されたときには、図25に示すように、前面の挿入ガイド溝25a,25bに、挿入ガイドピン100は挿入されず、挿入ガイド溝25a,25bによって装着部に位置決めされるのではなく、カートリッジ本体2の底面に設けられたロケーションホール26aとアライメントホール26bに位置決めピン102が係合されることによって装着部に装着されることになる。そして、記録及び/又は再生装置側のカートリッジ保持片101がローディング用凹部96bに進入することによって第2のロック解除片78を押圧し、ロック部材72は、図10に示すように、支軸74を中心に、付勢部材82の付勢力に抗して、図10中反矢印D方向に回動し、ロックを解除することになる。
何れの記録及び/又は再生装置に装填された場合であっても、ロック機構71のロックが解除されると、次いで、ローテーションホイール4は、被操作部45に記録及び/又は再生装置側のシャッタ開放ピン41が係合され、このシャッタ開放ピン41によって、付勢部材48の付勢力に抗して図10中反矢印A方向に回動される。すると、ローテーションホイール4のガイド溝55にガイド突起51gが係合された第1のシャッタ板5aは、上シェル6の第1の支軸52を中心にして、図10中矢印B方向に回動する。第1のシャッタ板5aの回動に伴って、第2のシャッタ板5bは、第1のシャッタ板5aの第2の支軸62aを中心に、第1のシャッタ板5aに対して図10中矢印C方向に回動する。第2のシャッタ板5bの回動開始時は、ローテーションホイール4の第1の制御突起63が係合した第1の作用部となっている第1のカム部64の幅狭部64aによって回動される。なお、第2のシャッタ板5bの回動開始時において、第2のシャッタ板5bの第2の制御突起66が係合したローテーションホイール4の第2のカム部65の第1の湾曲部65aは、第2の非作用部となっており、何も作用しない。
更に、ローテーションホイール4が図10中反矢印A方向に回動すると、図11に示すように、ローテーションホイール4のガイド溝55に係合したガイド突起51gは、ガイド溝55のローテーションホイール4の外周側の他端に移動する。第1のシャッタ板5aの回動に伴って、第2のシャッタ板5bは、第1のシャッタ板5aの第2の支軸62aを中心に、第1のシャッタ板5aに対して図11中矢印B方向に回動する。すると、ローテーションホイール4の第1の制御突起63は、第1の作用部となっている第1のカム部64の拡狭部64aから第1の非作用部となっている第1のカム部64の拡幅部64bに移動し、第2のシャッタ板5bに対しても作用しなくなる。これに代わって、第2のシャッタ板5bの第2の制御突起66は、第2の非作用部となっている第1の湾曲部65aから第2の作用部となっている第2の湾曲部65bに移動し、第2のシャッタ板5bを図11中矢印C方向に回動する。これにより、被操作部45は、第1の開口部34のテーパ部24cにより拡幅された部分に位置し、第1及び第2の開口部24,44は、図26に示すように、開放され、ローテーションホイール4内に収納されている光ディスク3を内外周に亘って外部に臨ませることができる。
第1及び第2の開口部22,44が開放されると、ローテーションホイール4内に回転可能に収納されている光ディスク3は、記録及び/又は再生装置側のディスク回転駆動機構のディスクテーブルにセンタ孔3aが係合すると共に、上シェル6に設けられたクランピングプレート13とディスクテーブルによって挟持され、ディスクテーブルによって回転可能な状態になる。
光ディスク3に情報信号を記録し、また、光ディスク3に記録された情報信号を再生するときには、光ディスク3がディスクテーブルによってCLV(constant linear velocity)、CAV(constant angular velocity)又はこれらの組み合わせで回転される。これと共に、第1及び第2の開口部24,44内に進入した光ピックアップは、光ディスク3の信号記録領域に半導体レーザより出射された波長が400nm程度の光ビームを対物レンズで集光し、光ディスク3の信号記録面に照射し、この信号記録面で反射された戻りの光ビームを検出することによって、光ディスク3に情報信号を記録し、又は、光ディスク3に記録された情報信号の読み出しを行う。
なお、ディスクカートリッジ1が記録及び/又は再生装置より排出されると、ローテーションホイール4は、付勢部材48の付勢力により図11中矢印A方向に回動し、図11の状態から図10の状態に戻る。そして、ロック部材72のロック部76はロック溝84内を移動し、係合凹部85に係合し、第1及び第2の開口部24,44を閉塞した状態に戻る。
以上のようなディスクカートリッジ1によれば、図24に示すように、標準的な大きさのディスクカートリッジの記録及び/又は再生が可能な記録及び/又は再生装置で記録及び/又は再生を行うとき、挿入ガイド溝25a,25bに挿入ガイドピン100,100を係合させることによって、記録及び/又は再生装置の装着部における位置決めとシャッタのロック解除を行うことができる。このように、挿入ガイド溝25a,25bを用いて位置決めとロック解除を行うことによって、標準的な大きさのディスクカートリッジの記録及び/又は再生が可能な記録及び/又は再生装置に、カートリッジ本体2の底面に設けられたロケーションホール26aとアライメントホール26bに係合させる位置決めピン102を設ける必要が無くなり、記録及び/又は再生装置の構成の簡素化を図ることができる。
また、図25に示すように、ディスクカートリッジ1の専用の記録及び/又は再生装置で記録及び/又は再生を行うとき、挿入ガイド溝25a,25bを用いて位置決めとロック解除を行うのではなく、カートリッジ本体2の底面に設けられたロケーションホール26aとアライメントホール26bに係合させる位置決めピン102を係合させることによってより正確な位置決めを行うことができる。また、ロック解除は、ディスクカートリッジ1のローディングに必要なローディング用凹部96bを記録及び/又は再生装置側のカートリッジ保持片101に係合させる工程によって行うことができ、記録及び/又は再生装置の構成が複雑化することも防止することができる。
すなわち、ディスクカートリッジ1では、シャッタのロック解除を、第1のロック解除片77と第2のロック解除片78とによって行うことができることから、記録及び/又は再生装置の設計の自由度を増やすことができる。
また、このディスクカートリッジ1では、図14及び図16に示すように、ロック機構71を組み立てるに当たって、突起部92が設けられていることから、突起部92によって、外周壁21と第1のアーム部84bの第1の係止部84dとの間に間隙94が形成されることになり、筒状の操作部材91を、第1の開口部24の近傍の外周壁21に近接する方向に回動付勢されている第1の係止部84cを容易に捕集することができ、生産効率の向上を図ることができる。
以上、本発明を適用した小型のディスクカートリッジ1を例に取り説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、特許文献1に示されたような標準的大きさのディスクカートリッジに適用することもできる。
1 ディスクカートリッジ、2 カートリッジ本体、3 光ディスク、4 ローテーションホイール、5a,5b シャッタ板、6 上シェル、7 下シェル、25a,25b 挿入ガイド溝、26a ロケーションホール、26b アライメントホール、45 被操作部、71 ロック機構、72 ロック部材、73 基体部、74 支軸、75 軸孔、76 ロック部、77 第1のロック解除片、78 第2のロック解除片、79 係止片、82 付勢部材、82a コイル部、82b 第1のアーム部、82c 第2のアーム部、82d 第1の係止部、82e 第2の係止部、83 取付ピン、84 ロック溝、85 係合凹部、91 操作部材、92 突起部、93 回動軌跡、94 間隙、96a,96b ローディング用凹部、98 係合溝、99 収納凹部、100 挿入ガイドピン、101 カートリッジ保持片、102 位置決めピン