JP2007100187A - 電気分解システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電解液4中に挿入され、電解液4中の負イオンを介して酸化反応を行う駆動陽極21と、 この駆動陽極21と直接対向し、且つ互いに平行に電解液4中に挿入され、電解液4中の正イオンを介して還元反応を行う駆動陰極22と、駆動陽極21から駆動陰極22に向かう駆動電気力線と同一方向の誘導電気力線を駆動電気力線に重畳する誘導電気力線生成手段(11,12)とを備える。駆動電気力線と誘導電気力線との重畳による駆動陽極21と駆動陰極22の間に生じる電位差により、酸化反応及び還元反応を開始させる。
【選択図】 図1
Description
水素製造のための水電気分解における電力効率一つ取り上げてもその抜本的改善は、将来の燃料として水素エネルギー社会の実現を左右する課題である。又、これに対してここに言う電力効率の改善とは、現在の電気分解技術の改良による所謂電気エネルギー消費量の単なる低減ではなく、電気分解システムの作動原理そのものに新規な要素を加えることによる電力消費の著しい低減であることが必要不可欠である。
(ステップ1) 電気分解しようとする化合物を水又は溶融塩中に溶解して正負のイオンに解離し、これを電解液4とする。
ステップ3において直流電源電圧を0から立ち上げていくと、陽極3a中の電子は直流電源1の駆動力により導線2a,2bを通って陰極3bへ流れ込み、陰極3bの表面は過剰の電子により負の電荷が、陽極3aの表面は電子の欠乏した状態の正の電荷が、そのときの直流電源電圧に応じた密度(電極の表面電荷密度)で現れる。その結果、陽極3aと接する電解液4の界面には電解液4の中の負イオンが、陰極3b側には正イオンが引き付けられ、電気回路のコンデンサに類似した電気二重層が形成される。図12は電気二重層をイメージとして描いた模式図である。電気二重層の構造は実際には極めて複雑であり、その実態は現在も学術的に解明し尽くされているとは言い難いが、その実在は古くから実証されており、本発明はこの電気二重層の存在に基礎を置いている。
更に、ステップ3において、両極の間に与えられている電圧(電位差)が飽和電気二重層形成電圧EDよりも低い段階では、陽極3a表面の正電荷は近傍の電解液4の負イオンを引き付けているが、未だ両者は結合するに至らない。同様に陰極3bでも表面負電荷は正イオンを引き付けているが、両者が結合するには未だ電界強度(電気力線の本数)が足りない。電極の表面電荷と電解液4のイオンとの結合、即ち電極反応を開始させるためには、引き続き電極間に与える電圧を増加して飽和電気二重層形成電圧EDを超過しなければならない。飽和電気二重層形成電圧EDでは界面の電気二重層が飽和に達し、界面における静電的な電界強度(電気力線の本数)が極大になる。言い換えれば電極の表面電荷密度が飽和に達している。直流電源電圧を更に加えてこの飽和表面電荷密度を超えて電荷を増強しようとすると、超過分の電荷は遂にイオンと結合するようになる。これが所謂電極反応であり、分子や中性の単体が電極上に析出する。水の電気分解を例に電極反応を表せば、陽極3aでは:
OH− = (1/2)O2 + H+ + 2e− ・・・・・(1)
の酸化反応が起こり、陰極3bでは:
2H+ + 2e− = H2 ・・・・・(2)
の還元反応となる。
以上の如く電極反応は、両極界面における飽和電気二重層の存在の上に成り立つもので、そのために直流電源1によって電極反応に必要な最小限の飽和電気二重層形成電圧E Dを両極間に加えるともに、同時に電極反応の駆動に必要な過電圧ΔEを上乗せして与えなければならない。即ち:
EE = (ED + ΔE) ・・・・・(3)
が電解電圧EEと呼ばれるものであり、電気分解反応が行われているときに陽極3aと陰極3bの間に掛かっている電位差に相当する。
飽和電気二重層は陽極3aと陰極3bの間に飽和電気二重層形成電圧EDを加えることによって電極の界面に形成され、電圧を掛けている限り安定的に維持されているが、静電的に成り立っているため回路に電流は流れない。したがって、一度飽和電気二重層がセットされると直流電源1は電力を消費しない。しかし、電圧を下げると消滅していくので、実際に電極反応を起こさせるには、直流電源1の出力電圧としての如く飽和電気二重層形成電圧EDと過電圧ΔEの和即ち電解電圧EEを加えることが不可欠である。したがって、一つの直流電源1でこれを行う場合、図14に示すように飽和電気二重層形成電圧E Dに過電圧ΔEを追加すると、電気分解のための電流値としてI(A)が回路に流れて直流電源1の消費電力P1は:
P1 = (ED + ΔE)I ・・・・・(4)
となる。
本発明の第1の実施の形態に係る電気分解システムは、図1の概念図に示すように、電解液4中に挿入され、電解液4中の負イオンを介して酸化反応を行う駆動陽極21と、この駆動陽極21と直接対向し、且つ互いに平行に電解液4中に挿入され、電解液4中の正イオンを介して還元反応を行う駆動陰極22と、駆動陽極21から駆動陰極22に向かう駆動電気力線と同一方向の誘導電気力線を駆動電気力線に重畳する誘導電気力線生成手段(11,12)とを備える。ここで、誘導電気力線生成手段(11,12)は、駆動陽極21と駆動陰極22とからなる駆動電極ペアを挟み、平行に対向して電解液4中に挿入される誘導陽極11及び誘導陰極12を備える。図1では、原理の説明の便宜上、誘導陽極11,誘導陰極12,駆動陽極21及び駆動陰極22は、電解液4を収納する電解槽6中に等間隔に設置しているが、等間隔に設置された配置に限定されるものではない。電解槽6はプラスチックやセラミック等の絶縁体で構成されている。
(ステップ1)分解せんとする化合物を水又は溶融塩中に溶解して正負のイオンに解離し、これを電解液4とする。
P2 = I ΔE ・・・・・(5)
で表される。
P2 /P1 = ΔE / (ED + ΔE) ・・・・・(6)
と書ける。飽和電気二重層形成電圧EDの値が大きい場合、過電圧ΔEを小さくすれば2電源電気分解による消費電力低減の効果は格段に顕著になる。
図3及び図4を用いて、第1の実施の形態に係る電気分解システムにおいて、2電源電気分解が原理の通り作動していることを実証する。このため、図3に示す回路構成において、第1直流電源PS1による誘導電気力線により、駆動陽極21と駆動陰極22の間に飽和電気二重層形成電圧ED=1.80Vを与え、その上に電気分解反応駆動用の第2直流電源PS2を用いて駆動電気力線に重畳し、これにより過電圧ΔEを加え駆動陽極21と駆動陰極22との間の電位差と電気分解電流を測定したとき、図4に示すように、1電源電気分解の電圧―電流曲線と一致することを説明する。
図3は、図1に示した第1の実施の形態に係る電気分解システムの概念図に対応するが、図4に示す電圧―電流曲線を得るため、より具体的に、スイッチS、直流電流計71、72及び直流電圧計82、83,84を付加した回路構成を説明するための、略図である。誘導陽極11,駆動陽極21,駆動陰極22及び誘導陰極12の4つの板状電極は電解液4への浸漬表面積が等しく7.5cm2であり、相互に垂直・平行に配置されている。したがって、電解液4は3等分に仕切られており、誘導陽極11,駆動陽極21,駆動陰極22及び誘導陰極12の各電極からの電気力線の漏洩を防止するため、各部屋間の流通はいささかも無いように、電極板の周辺は絶縁体で完全にシールされている。即ち、図3(b)に示すように、矩形で、平板状の誘導陽極11,駆動陽極21,駆動陰極22及び誘導陰極12のそれぞれが、電解液4を収納する電解槽6の底面及び対向する2つの側壁に接し、これにより、電解液4の一部を密閉して収納する3つの容器に分離されている(図3(b)では、駆動陽極21について例示しているが、誘導陽極11,駆動陰極22及び駆動陽極21についても同様であることは勿論である。)。
誘導陽極11と駆動陽極21との間の電位差を直流電圧計82により、駆動陽極21と駆動陰極22との間の電位差を直流電圧計83により、駆動陰極22と誘導陰極12との間の電位差を直流電圧計84により測定する。電解液4は、温度25oCの10%NaOH水溶液であり、それに浸漬する誘導陽極11,駆動陽極21,駆動陰極22及び誘導陰極12は酸化防止のためニッケル(Ni)めっき鋼板を用いる。
(イ)図3に示す回路構成において、まず、スイッチSを開放して第2電源回路のみで駆動陽極21と駆動陰極22の間で通常の1電源電気分解を行い、駆動陽極21−駆動陰極22間の電位差EJと回路電流I2との関係を測定する。測定結果の1例を、白抜きの丸印で図4に示す通り、典型的な1電源電気分解の挙動が認められ、電気分解条件下で水の飽和電気二重層形成電圧EDは、1.80Vを示した。25oCにおける水の理論電解電圧Etheory=1.23Vに対して実際に電気分解反応はかなり高い電圧で起こっていることが分かる。飽和電気二重層形成電圧ED以上の電位差でほぼ直線で表される領域が実際の定常状態での1電源電気分解の条件である。図4に示す電圧―電流曲線の勾配の逆数は抵抗である。この抵抗は、1電源電気分解では、ほぼ電極界面での電気二重層による抵抗(分極抵抗)と電解液4抵抗の和である。
第1の実施の形態に係る電気分解システムにおける2電源電気分解の原理とその消費電力を、図6に示す等価回路を用いて以下に説明する。図6は第2電源回路に対する等価回路を描いたものであり、第2直流電源PS2と電気分解部よりなる。第2直流電源PS2はダイオードによる整流回路であるか又はトランジスタによる整流回路であるかは問わない。図ではダイオードで代表している。これらの整流器の特性として、順方向に電流は流れ得るが、逆方向には流れない。電気分解部の構成要素は、図1〜図3に示した駆動陽極21、駆動陰極22及び電解液4であるが、駆動陽極21と駆動陰極22には外部から化合物の飽和電気二重層形成電圧EDに相当する一定の電位差が非接触で与えられているので、電解液との界面に電気二重層が存在する。そのため界面の電気的性質には飽和電気二重層容量CDをもつコンデンサに類似した成分がある。その上に、実際に電極反応が進行している状況の下では、電極反応進行の抵抗となるファラデーインピーダンスZFと呼ばれる成分が存在するので、結局、駆動陽極21,駆動陰極22と電解液4との界面の電気的性質は、飽和電気二重層容量CDをファラデーインピーダンスZFで短絡したモデルが適当であると考えられている。ファラデーインピーダンスZFは更に、界面でのイオンの移動抵抗RSとイオン濃度勾配に基づく容量(電気分解容量)CSからなっている。これらの電気的成分に直列に電解液4自体の抵抗Rsolnが繋がっている。電気分解システムにおけるこれらの電気的性質は電気分解反応速度を律する要因であるが、図4に示したように1電源電気分解と2電源電気分解の電気分解において電圧―電流曲線に違いが無いことから、両者の電気分解そのもののメカニズムは同一であると判断される。
第2直流電源PS2の整流回路は本発明の電気分解プロセスの原理と密接な係わり合いがある。即ち、図6のようにダイオードの順方向が駆動陽極21に直結しているので、誘導陽極11と誘導陰極12との間に飽和電気二重層形成電圧EDの3倍の電位差3EDを与えると、駆動陽極21から駆動陰極22へダイオードを通って電子が流れ込み、図2(b)に示すように駆動陽極21と駆動陰極22との間に飽和電気二重層形成電圧EDに相当する電位差が生じる。もしダイオードの逆方向に接続した場合は、駆動陽極21と駆動陰極22との間に飽和電気二重層形成電圧EDは現れない。
次には、本発明の2電源電気分解が消費する電力を通常の1電源電気分解と比較すると以下のようになる。一般に電気分解で消費される電力は、第1直流電源PS1の電力効率及び第1直流電源PS1から電解槽6までの導線の抵抗、導線と電極との接触抵抗、電極そのものの抵抗などによるジュール熱損失を考慮に入れる必要がある。しかしここでは、電気分解に本質的な要素により消費される電力に限定することにする。
この場合、式(6)が1電源電気分解に対する2電源電気分解の消費電力の比P2 /P1であり、ここで用いている過電圧ΔEはあくまで、駆動陽極21と駆動陰極22との間に与えられ電気分解反応に寄与している電圧を指している。又、式(6)は、同じ電流値即ち水素の生産速度の比較になっている。表1は本発明の実施の形態の25oCの水電気分解において、飽和電気二重層形成電圧ED=1.80Vに対する過電圧ΔEと消費電力比P2/P1比の理論値である。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態に係る電気分解システムでは4枚の矩形の平行平板で、誘導陽極11,駆動陽極21,駆動陰極22及び誘導陰極12を構成する例を示したが、誘導陽極11,駆動陽極21,駆動陰極22及び誘導陰極12の形状は、平板に限定されるものではない。即ち、本発明の第2の実施の形態に係る電気分解システムは、図7の概念図に示すように、電解液4を収納する円筒状の側壁を有する絶縁体の電解槽6と、電解液4中に挿入され、電解液4中の負イオンを介して酸化反応を行う円筒状の駆動陽極21と、この駆動陽極21の内側に、駆動陽極21と直接対向し、且つ駆動陽極21と互いに同心円状に平行に電解液4中に挿入され、電解液4中の正イオンを介して還元反応を行う円筒状の駆動陰極22と、駆動陽極21から駆動陰極22に向かう駆動電気力線と同一方向の誘導電気力線を駆動電気力線に重畳する誘導電気力線生成手段(11,12)とを備える。ここで、誘導電気力線生成手段(11,12)は、円筒状の駆動陽極21の外側を同心円状に周回するように配置された円筒状の誘導陽極11と、円筒状の駆動陰極22の中心位置に配置された円柱状の誘導陰極12を備える。誘導陽極11と誘導陰極12とは、両側から駆動陽極21と駆動陰極22とからなる駆動電極ペアを挟むように、互いに同心円状に平行に対向し、電解液4中に挿入されている。図7では、誘導陽極11に複数のスリット11Sが設けられているが、スリット11Sが設けられた構造に限定されるものではない。
本発明の第2の実施の形態の第1変形例に係る電気分解システムは、図8の概念図に示すように、電解槽を兼ねる円筒状の側壁を有する誘導陽極11と、誘導陽極11に収納された電解液4中に挿入され、電解液4中の負イオンを介して酸化反応を行う円筒状の駆動陽極21と、この駆動陽極21の内側に、駆動陽極21と直接対向し、且つ駆動陽極21と互いに同心円状に平行に電解液4中に挿入され、電解液4中の正イオンを介して還元反応を行う円筒状の駆動陰極22と、駆動陽極21から駆動陰極22に向かう駆動電気力線と同一方向の誘導電気力線を駆動電気力線に重畳する誘導電気力線生成手段(11,12)とを備える。ここで、誘導電気力線生成手段(11,12)は、円筒状の駆動陽極21の外側を同心円状に周回するように配置された円筒状の誘導陽極11と、円筒状の駆動陰極22の中心位置に配置された円柱状の誘導陰極12を備える。誘導陽極11と誘導陰極12とは、両側から駆動陽極21と駆動陰極22とからなる駆動電極ペアを挟むように、互いに同心円状に平行に対向し、電解液4中に挿入されている。
本発明の第2の実施の形態の第2変形例に係る電気分解システムは、図8の概念図に示すように、電解槽を兼ねる円筒状の側壁を有する誘導陰極12と、誘導陰極12に収納された電解液4中に挿入され、電解液4中の正イオンを介して還元反応を行う円筒状の誘導陰極22と、この誘導陰極22の内側に、誘導陰極22と直接対向し、且つ誘導陰極22と互いに同心円状に平行に電解液4中に挿入され、電解液4中の負イオンを介して酸化反応を行う円筒状の駆動陽極21と、誘導陰極22から駆動陽極21に向かう駆動電気力線と同一方向の誘導電気力線を駆動電気力線に重畳する誘導電気力線生成手段(11,12)とを備える。ここで、誘導電気力線生成手段(11,12)は、円筒状の誘導陰極22の外側を同心円状に周回するように配置された円筒状の誘導陰極12と、円筒状の駆動陽極21の中心位置に配置された円柱状の誘導陽極11を備える。誘導陰極12と誘導陽極11とは、両側から誘導陰極22と駆動陽極21とからなる駆動電極ペアを挟むように、互いに同心円状に平行に対向し、電解液4中に挿入されている。
本発明の第3の実施の形態に係る電気分解システムは、図10の概念図に示すように、電解液4中に挿入され、電解液4中の負イオンを介して酸化反応を行う駆動陽極21r(r=1〜2n+1)と、この駆動陽極21rと直接対向し、且つ互いに平行に電解液4中に挿入され、電解液4中の正イオンを介して還元反応を行う駆動陰極22rと、駆動陽極21rから駆動陰極22rに向かう駆動電気力線と同一方向の誘導電気力線を駆動電気力線に重畳する誘導電気力線生成手段(11s,12s:s=1〜n+1)とを備える電気分解ユニット(11s,12s;21r,22r)を複数(2n+1)個備える。ここで、nは1以上の正の整数である。それぞれの電気分解ユニット(11s,12s;21r,22r)において、駆動電気力線と誘導電気力線との重畳による駆動陽極21rと駆動陰極22rの間に生じる電位差により、酸化反応及び還元反応を駆動し、且つ、図10に示すように、それぞれの電気分解ユニット(11s,12s;21r,22r)の駆動陽極21rと駆動陰極22rとからなる駆動電極ペア(21r,22r)が、互いに電気的に直列に接続されている。ここで、それぞれの電気分解ユニット(11s,12s;21r,22r)において、誘導電気力線生成手段(11s,12s)は、電気分解ユニット(11s,12s;21r,22r)を構成する駆動電極ペア(21r,22r)を挟み、平行に対向して電解液4中に挿入される誘導陽極11s及び誘導陰極12sを備える。
本発明の第3の実施の形態の変形例に係る電気分解システムは、図11の概念図に示すように、電解液4中に挿入され、電解液4中の負イオンを介して酸化反応を行う駆動陽極21p(p=1〜2n+1)この駆動陽極21pと直接対向し、且つ互いに平行に電解液4中に挿入され、電解液4中の正イオンを介して還元反応を行う駆動陰極22pからなる駆動電極ペア(21p,22p)を複数、電気的に直列接続した(2n+1)段の多段駆動電極構造と、それぞれの駆動電極ペア(21p,22p)において、駆動陽極21pから駆動陰極22pに向かう駆動電気力線と同一方向の誘導電気力線を駆動電気力線に重畳する誘導電気力線生成手段(11q,12q)とを備える(前述したように、nは1以上の正の整数である。)。そして、それぞれの駆動電極ペア(21p,22p)において、駆動電気力線と誘導電気力線との重畳による駆動陽極21pと駆動陰極22pの間に生じる電位差により、酸化反応及び還元反応を開始させ、更にこれらの酸化反応及び還元反応を必要時間維持する。誘導電気力線生成手段(11q,12q)は、図11に示すように、それぞれの駆動電極ペア(21p,22p)を挟み、平行に対向して電解液4中に挿入される誘導陽極11q(q=1〜n+1)と誘導陰極12qとからなる誘導電極ペア(11q,12q)を備え、この誘導電極ペア(11q,12q)が電気的に並列接続されている。図11では、互いに隣接する駆動電極ペア(212j-1,222j-1;212j,222j)のそれぞれの駆動陰極222j-1;222jを、誘導陰極の一つ12j-1を挟んで互いに対向させ、挟まれた誘導陰極の一つ12j-1を隣接する駆動電極ペア(212j-1,222j-1;212j,222j)に共通の誘導陰極12jとし、互いに隣接する駆動電極ペア(212j,222j;212j+1,222j+1)のそれぞれの駆動陽極212j;212j+1を、誘導陽極の一つ11j+1を挟んで互いに対向させ、挟まれた誘導陽極一つ11j+1を、隣接する駆動電極ペア(21i,22i)に共通の誘導陽極11j+1としている点では図10に示した構造と同様である。
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
2a,2b…導線
3a…陽極
3b…陰極
4…電解液
6…電解槽
11,11j,11q,11s…誘導陽極
11S…スリット
12,12j,12q,12s…誘導陰極
21,21p,21r…駆動陽極
22,22p,22r…駆動陰極
71,72…直流電流計
82,83,84…直流電圧計
RL…負荷
RS…移動抵抗
Rsoln…抵抗
S…スイッチ
ZF…ファラデーインピーダンス
PS1…第1直流電源
PS2…第2直流電源
Claims (12)
- 電解液中に挿入され、前記電解液中の負イオンを介して酸化反応を行う駆動陽極と、
該駆動陽極と直接対向し、且つ互いに平行に前記電解液中に挿入され、前記電解液中の正イオンを介して還元反応を行う駆動陰極と、
前記駆動陽極から前記駆動陰極に向かう駆動電気力線と同一方向の誘導電気力線を前記駆動電気力線に重畳する誘導電気力線生成手段
とを備え、前記駆動電気力線と前記誘導電気力線との重畳による前記駆動陽極と前記駆動陰極の間に生じる電位差により、前記酸化反応及び前記還元反応を開始させることを特徴とする電気分解システム。 - 前記誘導電気力線により、前記駆動陽極の表面の負イオンと前記駆動陰極の表面の正イオンとからなる電気二重層を、前記酸化反応及び前記還元反応が開始する直前の飽和状態にする飽和電気二重層形成電圧を、前記駆動陽極と前記駆動陰極との間に生じさせ、
前記駆動電気力線が前記駆動陽極と前記駆動陰極との間に生じさせる過電圧を、前記飽和電気二重層形成電圧に重畳することにより、前記酸化反応及び前記還元反応を開始させることを特徴とする請求項1に記載の電気分解システム。 - 前記誘導電気力線生成手段が、前記駆動陽極と前記駆動陰極とからなる駆動電極ペアを挟み、平行に対向して前記電解液中に挿入される誘導陽極及び誘導陰極を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気分解システム。
- 前記誘導陽極にプラスの端子を接続し、前記誘導陰極にマイナスの端子を接続し、前記誘導陽極と前記誘導陰極との間に前記誘導電気力線を生じさせ、前記駆動陽極と前記駆動陰極との間に、前記飽和電気二重層形成電圧を生じさせる第1直流電源と、
前記駆動陽極にプラスの端子を接続し、前記駆動陰極にマイナスの端子を接続し、前記飽和電気二重層が誘導された状態で、前記駆動陽極と前記駆動陰極の間に前記過電圧分の電位差を増加させる、前記第1直流電源とは独立した第2直流電源
とを更に備えることを特徴とする請求項3に記載の電気分解システム。 - 平板状の前記駆動陽極及び前記駆動陰極のそれぞれが、前記電解液を収納する電解槽の底面及び対向する2つの側壁に接し、これにより、前記電解液の一部を密閉して収納する一つの容器をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気分解システム。
- 電解液中に挿入され、前記電解液中の負イオンを介して酸化反応を行う駆動陽極と、
該駆動陽極と直接対向し、且つ互いに平行に前記電解液中に挿入され、前記電解液中の正イオンを介して還元反応を行う駆動陰極と、
前記駆動陽極から前記駆動陰極に向かう駆動電気力線と同一方向の誘導電気力線を前記駆動電気力線に重畳する誘導電気力線生成手段
とを備える電気分解ユニットを複数備え、
それぞれの電気分解ユニットにおいて、前記駆動電気力線と前記誘導電気力線との重畳による前記駆動陽極と前記駆動陰極の間に生じる電位差により、前記酸化反応及び前記還元反応を駆動し、且つ、
それぞれの電気分解ユニットの前記駆動陽極と前記駆動陰極とからなる駆動電極ペアが、互いに電気的に直列に接続されていることを特徴とする電気分解システム。 - それぞれの前記電気分解ユニットにおいて、前記誘導電気力線生成手段が、前記電気分解ユニットを構成する前記駆動電極ペアを挟み、平行に対向して前記電解液中に挿入される誘導陽極及び誘導陰極を備えることを特徴とする請求項6に記載の電気分解システム。
- 前記電解液中に挿入され、前記電解液中の負イオンを介して酸化反応を行う駆動陽極、該駆動陽極と直接対向し、且つ互いに平行に前記電解液中に挿入され、前記電解液中の正イオンを介して還元反応を行う駆動陰極からなる駆動電極ペアを複数、電気的に直列接続した多段駆動電極構造と、
それぞれの前記駆動電極ペアにおいて、前記駆動陽極から前記駆動陰極に向かう駆動電気力線と同一方向の誘導電気力線を前記駆動電気力線に重畳する誘導電気力線生成手段
とを備え、それぞれの前記駆動電極ペアにおいて、前記駆動電気力線と前記誘導電気力線との重畳による前記駆動陽極と前記駆動陰極の間に生じる電位差により、前記酸化反応及び前記還元反応を開始させることを特徴とする電気分解システム。 - 前記誘導電気力線生成手段が、それぞれの前記駆動電極ペアを挟み、平行に対向して前記電解液中に挿入される誘導陽極と誘導陰極とからなる誘導電極ペアを備え、該誘導電極ペアが電気的に並列接続されていることを特徴とする請求項8に記載の電気分解システム。
- 互いに隣接する駆動電極ペアのそれぞれの駆動陰極を、前記誘導陰極の1を挟んで互いに対向させ、挟まれた前記誘導陰極の1を前記隣接する駆動電極ペアに共通の誘導陰極としたことを特徴とする請求項9に記載の電気分解システム。
- 互いに隣接する駆動電極ペアのそれぞれの駆動陽極を、前記誘導陽極の1を挟んで互いに対向させ、挟まれた前誘導陽極の1を、前記隣接する駆動電極ペアに共通の誘導陽極としたことを特徴とする請求項9又は10に記載の電気分解システム。
- 平板状の前記駆動陽極、前記駆動陰極、誘導陽極及び誘導陰極が、それぞれ前記電解液を収納する電解槽の底面に対して垂直に配置されることにより、互いに平行となり、且つ、
前記駆動陽極、前記駆動陰極、誘導陽極及び誘導陰極のそれぞれが、前記電解槽の底面及び対向する2つの側壁に接し、これにより、前記電解液の一部をそれぞれ密閉して収納する独立した複数の容器をなすことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の電気分解システム。
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