JP2007099926A - 繊維複合部材の製造方法、プリプレグの製造方法及び製造システム - Google Patents

繊維複合部材の製造方法、プリプレグの製造方法及び製造システム Download PDF

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裕史 影山
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Abstract

【課題】高品質のプリプレグ及び最終製品たる繊維複合部材を安定的に得ることを可能とする。
【解決手段】複数本の繊維14aからなるシート状の繊維基材14に粉体樹脂20を付着させた後、粉体樹脂20の付着した繊維基材14を加熱し、強化繊維14aと半硬化状態の樹脂20とからなるプリプレグ28を製造する方法であって、導電シート10を繊維基材14の一方の面側に配置し、帯電した粉体樹脂20を、繊維基材14の他方の面側から繊維基材14に向けて吹き付けることで、静電気力を利用して繊維基材14の繊維14a間に粉体樹脂20を充填させながら繊維基材14に粉体樹脂20を付着させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、強化繊維とマトリックス樹脂とからなるプリプレグを積層して所定の形状に成形し、繊維複合部材を製造する繊維複合部材の製造方法、プリプレグの製造方法及び製造システムに関する。
従来、繊維複合部材の製造方法には、強化繊維とマトリックス樹脂とからなるシート状の繊維複合シート(プリプレグ)を積層し、得られた積層体を成形することで、所定形状の繊維複合部材を製造するといった方法がある。
ここで、繊維複合部材の製造に用いられるプリプレグは、種々の方法により作製されるが、その内の一つに、強化繊維からなるシートや織物等(以下、繊維基材という)に粉体の樹脂を付着させ、これを加熱溶融してシート化し、プリプレグを作製するという方法がある(例えば、下記特許文献1参照)。
下記特許文献1に記載の方法は、多数の連続モノフィラメントよりなる強化繊維束に対し、粉体樹脂を混合した空気を吹付けることにより、強化繊維束の開繊を促しながら粉体樹脂を各モノフィラメントに付着させるとともにモノフィラメント相互間に捕捉させ、開繊された樹脂付着繊維の樹脂を加熱溶融してシート化し、繊維複合シート(プリプレグ)を得るというものである。すなわち、この方法では、樹脂を加熱溶融する前に、風力(風圧)を利用して繊維間に粉体樹脂を付着、捕捉させている。
特開平5−162130号公報
ところが、風力(風圧)を利用して繊維基材における繊維間に粉体樹脂を強制的に入れて付着させようとする場合、風力(風圧)の大きさによっては、繊維基材の繊維がずれるといった事態が起こり得る。この繊維のずれによるプリプレグにおける繊維密度のバラツキは、プリプレグの強度特性に影響を及ぼし、強度特性の低下を招来することも十分に考えられる。また、この強度特性の低下は、当然のことながら、このプリプレグを用いて製造された繊維複合部材の強度特性の低下をも招来することとなる。このように、プリプレグを製造するにあたり、繊維基材の繊維間に粉体樹脂を付着、捕捉させるのに風力(風圧)を利用することは、完成品であるプリプレグの品質上、好ましくない事態を生じる虞がある。
また、風力(風圧)を用いてプリプレグを製造すると、プリプレグにおける粉体樹脂の付着量にバラツキが生じやすいため、特にプリプレグを量産し、さらに最終製品たる繊維複合部材を量産しようとする場合には、この粉体樹脂の付着量すなわち最終製品たる繊維複合部材におけるマトリックス樹脂量にバラツキが生じ、その結果、量産されたプリプレグや繊維複合部材について品質のバラツキが生じてしまうといった虞がある。
本発明は、高品質の繊維複合部材を安定的に得ることを可能とする繊維複合部材の製造方法、プリプレグの製造方法及び製造システムを提供することを目的とする。
本発明は、複数本の繊維からなるシート状の繊維基材に粉体樹脂を付着させた後、粉体樹脂の付着した繊維基材を加熱し、強化繊維と半硬化状態の樹脂とからなるプリプレグを製造するプリプレグの製造方法であって、導電体を繊維基材の一方の面側に配置し、帯電した粉体樹脂を、繊維基材の他方の面側から繊維基材に向けて吹き付けることで、静電気力を利用して繊維基材の繊維間に粉体樹脂を充填させながら繊維基材に粉体樹脂を付着させることを特徴とする。
ここで、上記構成のプリプレグの製造方法において、粉体樹脂は、プリプレグのマトリックス樹脂となる1種類のエポキシ樹脂であるのが好適である。
また、上記構成のプリプレグの製造方法において、粉体樹脂は、プリプレグのマトリックス樹脂となる第一のエポキシ樹脂と、第一のエポキシ樹脂よりも融点が低く且つ第一のエポキシ樹脂と同種の第二のエポキシ樹脂とからなるようにしても良い。
また、本発明の繊維複合部材の製造方法は、上記のような製造方法により製造されたプリプレグをプリフォーム成形するプリフォーム成形工程と、プリフォーム成形により得られたプリフォームを最終製品たる繊維複合部材の型に最終成形する最終成形工程と、を有し、最終製品たる繊維複合部材を製造するものである。
また、本発明のプリプレグの製造システムは、複数本の繊維からなるシート状の繊維基材に粉体樹脂を付着させた後、粉体樹脂の付着した繊維基材を加熱し、強化繊維と半硬化状態の樹脂とからなるプリプレグを製造するプリプレグの製造システムであって、繊維基材に粉体樹脂を付着させるための空間内に導電体を供給する導電体供給手段と、供給された導電体の一方の面側に、複数本の繊維からなるシート状の繊維基材を供給する繊維基材供給手段と、供給された導電体の他方の面側から、帯電した粉体樹脂を繊維基材に吹き付ける静電ガンと、を含み、静電気力を利用して繊維基材の繊維間に粉体樹脂を充填させながら繊維基材に粉体樹脂を付着させることを特徴とする。
本発明によれば、高品質のプリプレグを安定的に得ることが可能となり、ひいては、高品質の最終製品たる繊維複合部材を安定的に得ることが可能となる。
本発明の実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明における繊維複合部材の全製造工程を示す図である。
まず、例えば図1に示すように、導電シート10が導電シートロール12から引き出され、引き出された導電シート10は、コンベアベルト18上に供給される。また、シート状の繊維基材14が繊維基材ロール16から引き出され、引き出された繊維基材14は、コンベアベルト18上の導電シート10上に供給される。こうして繊維基材14とコンベアベルト18との間に導電シート10が配置され、この状態で繊維基材14がコンベアベルト18により搬送される。なお、導電シートロール12は接地され、導電シート10が接地状態になるのが好ましい。また、導電シート10としては、例えばアルミシートが好適である。
次に、搬送される繊維基材14の上方から、粉体樹脂20が静電ガン22により繊維基材14に吹き付けられる。静電ガン22により吹き付けられる粉体樹脂20の量(繊維基材の単位面積あたりの樹脂付着量)は適宜設定可能である。このとき、粉体樹脂20は静電ガン22により帯電した状態となっており、この帯電した粉体樹脂20には、繊維基材14との間で生じるクーロン力によって繊維基材14に引きつけられる力が働くと共に、繊維基材14の下方にある導電シート10との間で生じるクーロン力によって導電シート10に引きつけられる力が働く。したがって、静電ガン22により吹き付けられた粉体樹脂20は、繊維基材14に引きつけられる力によって直接的に繊維基材14の表面に付着すると共に、導電シート10に引きつけられる力と重力との働きにより、繊維基材14における繊維14a間に吸い込まれる。
以上のように、静電ガン22で粉体樹脂20を繊維基材14に吹き付けていくことで、粉体樹脂20を、繊維基材14の表面に付着させるのみならず、繊維基材14の繊維14a間に徐々に充填させていくことができる。このときの繊維基材14は、図2に示すように、基材表面及び繊維14a間において粉体樹脂20と繊維14aとが互いに点接触の状態で付着し、また粉体樹脂20同士も互いに点接触の状態で付着した状態となっている。こうして、予め設定した所定量(繊維基材の単位面積あたりの樹脂付着量)の粉体樹脂20、すなわち最終製品である繊維複合部材(FRP)40に要するマトリックス樹脂と同量の粉体樹脂20が、繊維基材14における基材表面及び繊維14a間に確実に付着することが可能となる。
続いて、上記のような粉体樹脂20の付いた繊維基材14がヒーター24等で加熱される。具体的には、粉体樹脂20の点接触部分が加熱溶融し、粉体樹脂20と繊維14aとが互いに固着(点接合)し、また粉体樹脂20同士も互いに固着(点接合)するように加熱する。例えば粉体樹脂20が熱硬化性樹脂である場合には、粉体樹脂20が半硬化状態となるように加熱することになる。そして、上記のような加熱により、粉体樹脂20と繊維14a、及び粉体樹脂20同士を互いに固着(点接合)させ、導電シート10を取り除いた後にカッター26等で粉体樹脂20付きの繊維基材14を所望のサイズに切断する、あるいは粉体樹脂20付きの繊維基材14をカッター26等で所望のサイズに切断してから導電シート10を取り除くことで、粉体樹脂20を用いたプリプレグ28が製造される。
このプリプレグ28は、粉体樹脂20が点接合の状態で固着されているため、プリプレグ28の保管時や運搬時に粉体樹脂20が離脱することが無い。また、粉体樹脂20は、繊維14aや隣接する他の粉体樹脂20と点接合の状態で固着されているため、プリプレグ28の柔軟性が維持されており、後述のプリフォーム成形を簡易に行うことができるようになる。
そして、以上のように粉体樹脂20を用いてプリプレグ28が製造されると、プリフォーム成形型32に複数のプリプレグ28を積層してセットし、ヒーター30等でこの積層体を所定時間加熱して積層体に粉体樹脂20の溶融温度を僅かに上回る温度をかけながら、プリフォーム成形型32に合わせた積層体のプリフォーム成形が行われる。そして、このプリフォーム成形後に、積層体を冷却してプリフォーム成形型32から取り外し、所定のプリフォーム形状のプリフォーム34が製造される。
次に、こうして得られたプリフォーム34を、最終成形型38にセットした上でナイロンバッグなどのバッグフィルム(図示せず)で包み、オートクレーブや電気炉等の炉36内で粉体樹脂20の溶融温度以上に加熱すると共に加圧を行い、粉体樹脂20を溶融して繊維基材14に十分に含浸させ且つ溶融樹脂を硬化させる。これにより、プリフォーム34が最終形状に成形され、所望の最終形状を有する繊維複合部材(最終製品)40が製造される。
以上のように、本実施形態における製造方法によれば、プリプレグ28の製造において、従来のような繊維密度のバラツキを生じさせることなく、所定量の粉体樹脂20、すなわち最終製品である繊維複合部材(FRP)40に必要とされるマトリックス樹脂と同量の粉体樹脂20を、基材表面及び繊維14a間において粉体樹脂20と繊維14aとを互いに点接触の状態で固着させ、また粉体樹脂20同士をも互いに点接触の状態で固着させることができる。そして、これにより、所定量の粉体樹脂20が繊維基材14の表面に付着するのみならず繊維14a間に充填したプリプレグ28を安定的に得ることができる。
また、所定量の粉体樹脂20を付着させたプリプレグ28を安定的に製造することができるため、プリプレグ28を量産する場合においても、製造されたプリプレグ28間で粉体樹脂20の付着量にバラツキが発生することが抑えられ、これにより、量産されたプリプレグ28について高品質を維持することが可能となる。このように、本実施形態における製造方法は、量産性にも優れているといった利点もある。
さらに、本実施形態における製造方法で製造されたプリプレグ28では、粉体樹脂20が繊維14aや隣接する他の粉体樹脂20と点接合の状態で固着されているため、粉体樹脂20を付着させていない繊維基材14と略同等の柔軟性(変形させ易さ)が維持されている。したがって、最終成形前のプリフォーム成形を、プリフォーム成形体34の品質に影響を与えることなく、簡易に行うことができる。
また、このようなプリプレグ28では、粉体樹脂20が上記のように繊維基材14の繊維14a間に充填した状態となっているため、プリフォーム成形後に最終製品40を成形、製造するにあたり、加熱、加圧により粉体樹脂20を繊維14a間に十分に含浸させることができる。したがって、高品質の最終製品40の製造を実現できる。
また、プリプレグ28を作製するにあたり、繊維基材14に対してフラットな状態で粉末樹脂20の連続的な付着作業を行うことができるといった点からも、量産性に優れているといった利点がある。
(実施例1)
径7μm×6000本のカーボン繊維束による織物(2×2綾織)であるシート状の繊維基材を繊維基材ロール(約1m幅)から引き出し、引き出された繊維基材に粒径約30〜40μmの粉体エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)を付着させ、100℃で1〜2分加熱した後、所定サイズ(約1.5m長さ×約1m幅)にカットしてプリプレグを製造した。なお、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの融点は約90℃である。また、得られたプリプレグをプリフォーム成形型に積層してセットし、この積層体を100℃で1〜2分加熱してプリフォーム成形を行い、プリフォームを製造した。さらに、得られたプリフォームを繊維複合部材の成形型にセットし、オートクレーブで、セットしたプリフォームを180℃で約10分加熱しながら加圧を行い、最終製品である繊維複合部材を製造した(下記表1の実施材1を参照)。なお、プリフォーム成形および最終製品の形状は、自動車のボンネットの形状にした。
そして、上記のようにして製造されたプリフォームについて自重変形性の有無を調べ、また最終製品の繊維複合部材について疲労特性を調べた。ここで、プリフォームの自重変形性については、プリフォームの保管時や運搬時に自重変形し難い方が好ましい。自重変形性は、プリフォームの一端側を片持ちしたときの撓み量(撓みにより他端側が下降した変位)を測定して評価した。撓み量が所定量以上であれば自重変形しやすく、したがってプリフォームの自重変形性は好ましくないとなる。また、撓み量が所定量より少なければ自重変形し難く、したがってプリフォームの自重変形性は好ましいとなる。
一方、繊維複合部材の疲労特性については、製品の信頼性の観点からも高い方が好ましい。疲労特性は、繰り返し曲げ疲労を加え、初期の曲げ弾性率の20%低下時の時間を測定して評価した。本実施例では、疲労特性が良好であった実施材1において得られた時間を100として、他の比較材1〜7のパターンにおいて得られた時間を、実施材1のパターンにおいて得られた時間に対する相対値で示している。そして、所定の相対値以下(例えば80以下)の場合には、疲労特性が低いとし、相対値が約90の場合には、疲労特性はやや良好であるとした。
なお、粉体樹脂の繊維基材への吹き付けでは、約500g/mのカーボン繊維に対し約300g/mの粉体樹脂を均一に吹き付け、最終製品である繊維複合部材における繊維の体積含有率が50〜55vol%となるようにした。
ところで、一般的には、繊維複合部材の製造にはマトリックス樹脂の他にプリフォーム用のバインダー樹脂を用いる。これは、バインダー樹脂によりプリフォームの自重変形性が良好になる(自重変形し難くなる)からである。そこで、上記のようなマトリックス樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)のみのパターン(下記表1の実施材1)との比較材として、マトリックス樹脂(フィルムのエポキシ樹脂であるビスフェノールAジグリシジルエーテル)とバインダー樹脂(粉体ナイロン樹脂)を、樹脂全体における混合比(重量含有率:wt%)を種々変えて混合したもので、それぞれプリプレグ、プリフォームを製造し、さらにオートクレーブ法で繊維複合部材を製造したものも用意した(下記表1の比較材1〜6)。
また、マトリックス樹脂を液状のエポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、バインダー樹脂を粉体のエポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)として、プリフォームを製造し、さらにRTM(Resin Transfer Molding)成形法を用いて繊維複合部材を製造した(下記表1の比較材7)。なお、このときの混合比(樹脂全体における重量含有率)は、マトリックス樹脂(液状エポキシ樹脂)を70wt%、バインダー樹脂(粉体エポキシ樹脂)を30wt%とした。
以上のような実施材1と比較材1〜7の各製造パターンにより製造されたプリフォームにおける自重変形性と、最終製品の繊維複合部材における疲労特性の結果は、以下の通りである(表1参照)。
Figure 2007099926
表1の実施材1のパターンでは、バインダー樹脂を混合せずとも、マトリックス樹脂のみにもかかわらず、プリフォームにおける自重変形性が良好であり(自重変形し難く)、かつ、最終製品の繊維複合部材における疲労特性も良好であった。これは、本発明の製造方法により繊維基材の繊維間にも粉体樹脂(マトリックス樹脂)が十分に充填される結果、マトリックス樹脂のみでもバインダー樹脂の役割を兼ねることができ、これによりプリフォームにおける自重変形性が良好となっていると考えられる。また、疲労特性に関しては、マトリックス樹脂(エポキシ樹脂)とバインダー樹脂(ナイロン樹脂)という異種の樹脂を混合していないため、良好な疲労特性が維持されると考えられる。
一方、表1の比較材1〜6のパターンに示すように、マトリックス樹脂の含有率が高くなればなる程(バインダー樹脂の含有率が低くなればなる程)、プリフォームの自重変形性は悪くなり(自重変形し易くなり)、一方で疲労特性は良好となった。比較材1〜3のパターンでは、自重変形性が良好で疲労特性が不良、比較材4のパターンでは、自重変形性が不良で疲労特性がやや良好、比較材5,6のパターンでは、自重変形性が不良で疲労特性が良好、となった。これは、バインダー樹脂量が多いと自重変形性は向上するが、マトリックス樹脂に対して異種のバインダー樹脂量が多くなるために、このバインダー樹脂はマトリックス樹脂内で混入異物として作用し、疲労特性が低下したものと考えられる。このように、比較材では、プリフォームにおける自重変形性及び最終製品の繊維複合部材における疲労特性がいずれも良好とはならず、また自重変形性と疲労特性とがいずれも良好となるマトリックス樹脂とバインダー樹脂の配合比は見出せなかった。
また、表1の比較材7のパターンに示すように、マトリックス樹脂を液状のエポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、バインダー樹脂を粉体のエポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)とした場合、自重変形性は良好であったが、疲労特性は不良であった。この比較材7のパターンでは、マトリックス樹脂とバインダー樹脂の組成が同じであるが、液状と粉体ということで分子量が異なるため、バインダー樹脂はマトリックス樹脂内で異物として作用し、疲労特性が低下したものと考えられる。
このように、本発明の製造方法を用いると、粉体樹脂が繊維基材の繊維間に十分に充填したプリプレグを製造でき、プリフォーム成形をプリフォーム成形体の品質に影響を与えることなく簡易に行うことができ、最終製品を成形、製造するにあたり加熱、加圧により粉体樹脂を繊維間に十分に含浸させて高品質の最終製品を製造できる、といった上記効果を得ることができ、さらに、粉末マトリックス樹脂のみで(他種のバインダー樹脂を用いずに)良好な自重変形性のプリフォーム及び疲労特性に優れた繊維複合部材を製造することができた。
(実施例2)
上記実施例1では、マトリックス樹脂である粉体エポキシ樹脂のみを用いて製造していたが、本実施例2では、マトリックス樹脂をエポキシ等量が約250である粉体エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、バインダー樹脂をエポキシ等量が約450である粉体エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)を使用して、本発明の製造方法にしたがってプリプレグ、プリフォーム及び繊維複合部材を製造した。この2種類の粉体樹脂は、予め混合された状態で静電ガンにより吹き付けられても良く、あるいは別途に吹き付けられても良い。また、繊維基材としては、径7μm×6000本のカーボン繊維束による織物(2×2綾織)であるシート状の繊維基材を繊維基材ロール(約1m幅)から引き出して、上記実施例1と同様に使用している。なお、このときの混合比(樹脂全体における重量含有率)は、マトリックス樹脂を70wt%、バインダー樹脂を30wt%とした。
ところで、上記実施例1における実施材1のパターンではマトリックス樹脂のみを使用しているため、プリフォーム成形時にマトリックス樹脂が溶融し、この際にマトリックス樹脂の一部が硬化反応を開始してしまう。したがって、最終成形時に樹脂を繊維間に含浸させる際に粘度を低く保つには温度を高く設定できず、その結果、樹脂の反応が遅くなり、成形サイクルが長くなってしまう。
そこで、本実施例2のように、融点の異なる2種類の粉体エポキシ樹脂(エポキシ等量の異なるビスフェノールAジグリシジルエーテル)をマトリックス樹脂とバインダー樹脂に使い分けて用いることで、最終成形時に要する最短の時間(最短含浸・硬化時間)を短縮させることができる。すなわち、融点の低い方のバインダー樹脂がプリフォーム時に溶融する際には、融点の高い方のマトリックス樹脂は溶融しないため、マトリックス樹脂の硬化反応は進行せずにすむ。そして、最終成形時に、マトリックス樹脂は溶融、硬化反応を開始するため、低粘度で繊維基材の繊維間に含浸させることができる。したがって、高温度条件でも含浸が可能となるため、最終成形時における昇温速度を上げることができ、最短含浸・硬化時間を短縮させることが可能となる。
本実施例2では、上記実施例1と同様に、プリフォームにおける自重変形性及び最終製品の繊維複合部材における疲労特性を評価した。なお、本実施例2においても上記実施例1の場合と同様、疲労特性については、疲労特性が良好であった実施材1のパターンにおいて得られた時間を100として、本実施例2のパターン(下記表2の実施材2)において得られた時間を、実施材1において得られた時間に対する相対値で示した。
また、実施材1と実施材2における最短の含浸・硬化時間を測定した。ここで、最短含浸・硬化時間は、50%体積含有率になるように繊維基材に粉体樹脂を含浸させ、そのまま硬化するときの最短時間とし、実施材1のパターンにおいて得られた時間を100として、実施材2において得られた時間を、実施材1において得られた時間に対する相対値で示した。以下、実施材1と実施材2におけるパターンとの比較を表2に示す。
Figure 2007099926
実施材2では、プリフォームにおける自重変形性が良好である(自重変形し難い)。また、最終製品の繊維複合部材における疲労特性も、実施材1のパターンと比較するとやや劣るものの、ほぼ良好といえる程度のものであった。また、最短の含浸・硬化時間は、実施材1での最短含浸・硬化時間の約7割程度の時間しか要しなかった。なお、実施材1で最短含浸・硬化時間が得られるのは、最終成形時において常温から約10℃/minで昇温させ180℃で保持させる場合であり、実施材2のパターンで最短含浸・硬化時間が得られるのは、常温から約15℃/minで昇温させ180℃で保持させる場合であった。
このように、本発明の製造方法を用いると、粉体樹脂が繊維基材の繊維間に十分に充填したプリプレグを製造でき、プリフォーム成形をプリフォーム成形体の品質に影響を与えることなく簡易に行うことができ、最終製品を成形、製造するにあたり加熱、加圧により粉体樹脂を繊維間に十分に含浸させて高品質の最終製品を製造できる、といった上記効果を得ることができ、さらに、融点の異なる2種類の粉体エポキシ樹脂(エポキシ等量の異なるビスフェノールAジグリシジルエーテル)をマトリックス樹脂とバインダー樹脂に使い分けることで、良好な自重変形性のプリフォーム及び良好な繊維複合部材を、時間を短縮させて製造することができた。
本発明の実施の形態における繊維複合部材の製造方法の全工程を示す図である。 本発明の実施の形態における製造方法により得られるプリプレグの構造を示す図である。
符号の説明
10 導電シート、12 導電シートロール、14 繊維基材、14a 繊維、16 繊維基材ロール、18 コンベアベルト、20 粉体樹脂、22 静電ガン、24 ヒーター、26 カッター、28 プリプレグ、30 ヒーター、32 プリフォーム成形型、34 プリフォーム、36 炉、38 最終成形型、40 繊維複合部材(最終製品)。

Claims (5)

  1. 複数本の繊維からなるシート状の繊維基材に粉体樹脂を付着させた後、粉体樹脂の付着した繊維基材を加熱し、強化繊維と半硬化状態の樹脂とからなるプリプレグを製造するプリプレグの製造方法であって、
    導電体を繊維基材の一方の面側に配置し、帯電した粉体樹脂を、繊維基材の他方の面側から繊維基材に向けて吹き付けることで、静電気力を利用して繊維基材の繊維間に粉体樹脂を充填させながら繊維基材に粉体樹脂を付着させる、
    ことを特徴とするプリプレグの製造方法。
  2. 請求項1に記載のプリプレグの製造方法において、
    粉体樹脂は、プリプレグのマトリックス樹脂となる1種類のエポキシ樹脂である、
    ことを特徴とするプリプレグの製造方法。
  3. 請求項1に記載のプリプレグの製造方法において、
    粉体樹脂は、プリプレグのマトリックス樹脂となる第一のエポキシ樹脂と、第一のエポキシ樹脂よりも融点が低く且つ第一のエポキシ樹脂と同種の第二のエポキシ樹脂と、からなる、
    ことを特徴とするプリプレグの製造方法。
  4. 請求項1〜3に記載の製造方法により製造されたプリプレグをプリフォーム成形するプリフォーム成形工程と、
    プリフォーム成形により得られたプリフォームを最終製品たる繊維複合部材の型に最終成形する最終成形工程と、
    を有し、最終製品たる繊維複合部材を製造する、繊維複合部材の製造方法。
  5. 複数本の繊維からなるシート状の繊維基材に粉体樹脂を付着させた後、粉体樹脂の付着した繊維基材を加熱し、強化繊維と半硬化状態の樹脂とからなるプリプレグを製造するプリプレグの製造システムであって、
    繊維基材に粉体樹脂を付着させるための空間内に導電体を供給する導電体供給手段と、
    供給された導電体の一方の面側に、複数本の繊維からなるシート状の繊維基材を供給する繊維基材供給手段と、
    供給された導電体の他方の面側から、帯電した粉体樹脂を繊維基材に吹き付ける静電ガンと、
    を含み、
    静電気力を利用して繊維基材の繊維間に粉体樹脂を充填させながら繊維基材に粉体樹脂を付着させる、
    ことを特徴とするプリプレグの製造システム。

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