JP2007098872A - 画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】1つのセンサにより往路書込と復路書込とを行う画像形成方法において、両ライン潜像の書込位置の相対的な位置関係を調整して高品質な画像を形成する。
【解決手段】書込処理(ステップS3〜S9)を実行する前に書込タイミング補正処理(ステップS2)が実行される。この補正処理(ステップS2)では、復路光ビームを光検知センサ60が検知して第2検知信号Hsync2が出力された時点から該第2検知信号Hsync2に続いてセンサ60から第1検知信号Hsyncが出力されるまでのインターバル時間が求められる。そして、このインターバル時間に基づき復路側待機時間Tw2が補正される。このように復路側待機時間Tw2が補正されることで復路ライン潜像の書込開始位置が調整されてライン潜像の相対的な位置ずれが解消される。
【選択図】図8
【解決手段】書込処理(ステップS3〜S9)を実行する前に書込タイミング補正処理(ステップS2)が実行される。この補正処理(ステップS2)では、復路光ビームを光検知センサ60が検知して第2検知信号Hsync2が出力された時点から該第2検知信号Hsync2に続いてセンサ60から第1検知信号Hsyncが出力されるまでのインターバル時間が求められる。そして、このインターバル時間に基づき復路側待機時間Tw2が補正される。このように復路側待機時間Tw2が補正されることで復路ライン潜像の書込開始位置が調整されてライン潜像の相対的な位置ずれが解消される。
【選択図】図8
Description
この発明は、振動する偏向ミラー面によって光ビームを潜像担持体の有効画像領域上に往復走査させて前記有効画像領域に潜像を形成する画像形成方法に関するものである。
光源から射出される光ビームをガルバノミラーや共振型スキャナーなどの振動ミラーの偏向ミラー面によって偏向して感光体ドラムなどの潜像担持体上に往復走査させ、往路光ビームにより往路ライン潜像を形成する一方、復路光ビームにより復路ライン潜像を形成する装置が従来より知られている。例えば特許文献1に記載の画像形成装置では、光源としてレーザダイオードが用いられ、レーザダイオードからは画像信号に応じた光強度の光ビームが射出される。そして、このように光変調された光ビームはガルバノミラーの偏向ミラー面により偏向された後、感光体ドラムに導かれて該感光体ドラム上を主走査方向の一方側である往路側から他方側である復路側に往路走査する。これによって画像信号に対応した往路ライン潜像が潜像担持体上に形成される。また、復路側についても、往路側と同様にして復路ライン潜像が形成される。
また、受光ダイオードなどの受光素子からなるセンサが感光体ドラムに隣接して配置されて走査光ビームの一方端部近傍を検知する。そして、そのセンサの出力に基づいて往路光ビームによる往路ライン潜像の書込タイミングを制御するとともに、同一のセンサ出力に基づき復路光ビームによる復路ライン潜像の書込タイミングを制御している。特に、復路側の書込タイミングを以下のように決定することで1つのセンサで往路側および復路側の書込タイミングを制御するように構成している。すなわち、センサから検知信号が出力されると、それからの計時をカウントし、該カウント値が予め定められた値となった時点で復路側のライン潜像の書込を開始する。これによって、1つのセンサによる往復書込が可能となっている。
しかしながら、振動ミラーの振動特性は振動ミラーの個体差、組立精度、さらには機内温度などの種々の要因により変動する。したがって、上記従来技術のようにセンサ出力から予め定められた時間が経過した時点で画一的にライン潜像の書込を開始した場合、振動ミラーの振動特性が変動することで往路側のライン潜像と復路側のライン潜像が主走査方向にずれてしまい、画質低下が発生することがあった。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、1つのセンサにより往路光ビームによるライン潜像書込と復路光ビームによるライン潜像書込とを行う画像形成方法において、両ライン潜像の書込位置の相対的な位置関係を調整して高品質な画像を形成することを目的とする。
本発明にかかる画像形成方法は、振動する偏向ミラー面によって光ビームを潜像担持体の有効画像領域に対応する第1走査範囲よりも広い第2走査範囲で主走査方向に往復走査可能に構成された画像形成装置において、主走査方向の一方側である往路側で第1走査範囲を外れた位置を移動する光ビームをセンサで検知して検知信号を得るとともに、検知信号に基づき往復走査光ビームによる潜像担持体への潜像書込を行う画像形成方法であって、上記目的を達成するため、主走査方向とほぼ直交する副走査方向に潜像担持体を移動させながら、往路側から復路側に走査される往路光ビームをセンサが検知して第1検知信号を出力するたびに下記の往復書込を行って潜像担持体上に2次元潜像を形成する書込工程と、書込工程を行う前に、光ビームを往復走査させながら、復路光ビームをセンサが検知して第2検知信号が出力された時点から該第2検知信号に続いてセンサから第1検知信号が出力されるまでのインターバル時間を求め、該インターバル時間に基づき第2待機時間を補正する書込前補正工程とを備えたことを特徴としている。なお、往復書込は、第1検知信号の出力から第1待機時間が経過した時点より所定の書込時間だけ往路光ビームによりライン潜像を書き込むのに続けて該第1検知信号の出力から第2待機時間が経過した時点より書込時間だけ復路側から往路側に走査される復路光ビームによりライン潜像を書き込むものである。
このように構成された発明では、センサにより光ビームが検知されて第1検知信号が出力されると、該第1検知信号の出力から第1待機時間が経過した時点より所定の書込時間だけ往路光ビームによりライン潜像が書き込まれて往路ライン潜像が形成される。また、その往路ライン潜像の形成に続いて、該第1検知信号の出力から第2待機時間が経過した時点より書込時間だけ復路側から往路側に走査される復路光ビームによりライン潜像が書き込まれる。このように1つのセンサにより往復書込が行われる。ここで、従来より問題となっていたのが、往路ライン潜像と復路ライン潜像との主走査方向における相対位置ずれであるが、本発明では書込工程を実行する前に書込前補正工程を実行することで相対位置ずれが解消されている。すなわち、この書込前補正工程では、光ビームを往復走査させながら、インターバル時間が求められ、該インターバル時間に基づき第2待機時間が補正される。このインターバル時間とは、復路光ビームをセンサが検知して第2検知信号が出力された時点から該第2検知信号に続いてセンサから第1検知信号が出力されるまでの時間である。そして、このように第2待機時間が補正されることで復路ライン潜像の書込開始位置が調整されて往路ライン潜像との相対的な位置ずれが解消される。その結果、高品質な画像が形成される。
ここでは、書込工程を実行する前に書込前補正工程を実行しているが、各往復書込を行うたびに書込前補正工程と同様の書込中補正工程を実行してもよい。すなわち、この書込中補正工程においては、復路書込直後に復路光ビームがセンサにより検知されて該センサから第2検知信号が出力された時点から該第2検知信号に続いてセンサから第1検知信号が出力されるまでのインターバル時間が求められ、該インターバル時間に基づき第2待機時間が補正される。また、こうして書込中補正工程を行った直後に行われる往復書込では、前回と同じ書込タイミング(第1待機時間)で往路光ビームによる潜像書込が行われる(往路書込)一方、書込中補正工程により補正された書込タイミング(第2待機時間)で復路光ビームによる潜像書込が行われる(復路書込)。このように往復書込を連続的に行いながら、第2待機時間を補正することによって、書込工程の実行中に偏向ミラー面の振動特性が変動したとしても、それに追随して復路ライン潜像の書込開始位置が調整されて往路ライン潜像との相対的な位置ずれが解消される。
なお、上記発明においては、書込工程前に書込前補正工程を実行しているが、書込工程前に第1待機時間および第2待機時間をメモリに記憶しておき、書込工程を開始すると、各往復書込を行うたびに書込中補正工程を行うように構成してもよい。この場合、書込工程における最初の往復書込では、メモリに記憶された第1および第2待機時間に基づき実行されるとともに、その復路書込直後に復路光ビームがセンサにより検知されて該センサから第2検知信号が出力された時点から該第2検知信号に続いてセンサから第1検知信号が出力されるまでのインターバル時間が求められ、該インターバル時間に基づき第2待機時間が補正される。また、こうして書込中補正工程を行った直後に行われる往復書込では、前回と同じ書込タイミング(第1待機時間)で往路光ビームによる潜像書込が行われる(往路書込)一方、書込中補正工程により補正された書込タイミング(第2待機時間)で復路光ビームによる潜像書込が行われる(復路書込)。このように往復書込を連続的に行いながら、第2待機時間を補正することによって、書込工程の実行中に偏向ミラー面の振動特性が変動したとしても、それに追随して復路ライン潜像の書込開始位置が調整されて往路ライン潜像との相対的な位置ずれが解消される。
本発明は、振動する偏向ミラー面によって光源からの光ビームを潜像担持体の有効画像領域上に走査させて有効画像領域に潜像を形成する画像形成装置および該装置による画像形成方法に関するものである。そこで、以下においては、本発明を適用可能な装置の概略構成を説明し、その後で、発明の基本概念および具体的な実施形態について詳述する。
<装置の基本構成>
図1はこの発明にかかる画像形成方法の一実施形態を適用可能な画像形成装置を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、いわゆるタンデム方式のカラープリンタであり、潜像担持体としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の感光体2Y、2M、2C、2Kを装置本体5内に並設している。そして、各感光体2Y、2M、2C、2K上のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する装置である。すなわち、この画像形成装置では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラ11に与えられると、この画像形成指令に対応する画像信号や制御信号などがメインコントローラ11からエンジンコントローラ10に与えられる。そして、エンジンコントローラ10のCPUがエンジン部EGの各部を制御して複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートSに画像形成指令に対応する画像を形成する。
図1はこの発明にかかる画像形成方法の一実施形態を適用可能な画像形成装置を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、いわゆるタンデム方式のカラープリンタであり、潜像担持体としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の感光体2Y、2M、2C、2Kを装置本体5内に並設している。そして、各感光体2Y、2M、2C、2K上のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する装置である。すなわち、この画像形成装置では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラ11に与えられると、この画像形成指令に対応する画像信号や制御信号などがメインコントローラ11からエンジンコントローラ10に与えられる。そして、エンジンコントローラ10のCPUがエンジン部EGの各部を制御して複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートSに画像形成指令に対応する画像を形成する。
このエンジン部EGでは、4つの感光体2Y、2M、2C、2Kのそれぞれに対応して帯電ユニット、現像ユニット、露光ユニットおよびクリーニング部が設けられている。このように、各トナー色ごとに、感光体、帯電ユニット、現像ユニット、露光ユニットおよびクリーニング部を備えて該トナー色のトナー像を形成する画像形成手段が設けられている。なお、これらの画像形成手段(感光体、帯電ユニット、現像ユニット、露光ユニットおよびクリーニング部)の構成はいずれの色成分についても同一であるため、ここではイエローに関する構成について説明し、その他の色成分については相当符号を付して説明を省略する。
感光体2Yは図1の矢印方向(副走査方向)に回転自在に設けられている。また、感光体2Yの周りにその回転方向に沿って、帯電ユニット3Y、現像ユニット4Yおよびクリーニング部(図示省略)がそれぞれ配置されている。帯電ユニット3Yは例えばスコロトロン帯電器で構成されており、帯電バイアス印加によって感光体2Yの外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。そして、この帯電ユニット3Yによって帯電された感光体2Yの外周面に向けて露光ユニット6Yから走査光ビームLyが照射される。これによって画像形成指令に含まれるイエロー画像データに対応する静電潜像が感光体2Y上に形成される。なお、露光ユニット6(6Y,6M,6C,6K)の構成および動作については後で詳述する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4Yによってトナー現像される。この現像ユニット4Yはイエロートナーを内蔵している。そして、現像バイアスが現像ローラ41Yに印加されると、現像ローラ41Y上に担持されたトナーが感光体2Yの表面各部にその表面電位に応じて部分的に付着する。その結果、感光体2Y上の静電潜像がイエローのトナー像として顕像化される。
現像ユニット4Yで現像されたイエロートナー像は、一次転写領域TRy1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。また、イエロー以外の色成分についても、イエローと全く同様に構成されており、感光体2M、2C、2K上にマゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像がそれぞれ形成されるとともに、一次転写領域TRm1、TRc1、TRk1でそれぞれ中間転写ベルト71上に一次転写される。
この転写ユニット7は、2つのローラ72、73に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ72を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向R2に回転させるベルト駆動部(図示省略)とを備えている。また、中間転写ベルト71を挟んでローラ73と対向する位置には、該ベルト71表面に対して不図示の電磁クラッチにより当接・離間移動可能に構成された二次転写ローラ74が設けられている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、一次転写タイミングを制御することで各トナー像を重ね合わせてカラー画像を中間転写ベルト71上に形成するとともに、カセット8から取り出されて中間転写ベルト71と二次転写ローラ74との間の二次転写領域TR2に搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。一方、モノクロ画像をシートSに転写する場合には、ブラックトナー像のみを感光体2Kに形成するとともに、二次転写領域TR2に搬送されてくるシートS上にモノクロ画像を二次転写する。また、こうして画像の2次転写を受けたシートSは定着ユニット9を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部に向けて搬送される。
なお、中間転写ベルト71へトナー像を一次転写した後の各感光体2Y、2M、2C、2Kは、不図示の除電手段によりその表面電位がリセットされ、さらに、その表面に残留したトナーがクリーニング部により除去された後、帯電ユニット3Y、3M、3C、3Kにより次の帯電を受ける。
また、ローラ72の近傍には、転写ベルトクリーナ75および濃度センサが配置されている。これらのうち、クリーナ75は図示を省略する電磁クラッチによってローラ72に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ72側に移動した状態でクリーナ75のブレードがローラ72に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。
図3は図1の画像形成装置に装備された露光ユニットの構成を示す主走査断面図であり、図4は図3の露光ユニットにおける光ビームの走査範囲を示す図であり、図5は図1の画像形成装置の露光ユニットおよび露光ユニットを制御するための露光制御ユニットを示す図である。以下、これらの図面を参照しつつ、露光ユニット6、露光制御ユニット12の構成および動作について詳述する。なお、露光ユニット6および露光制御ユニット12の構成はいずれの色成分についても同一であるため、ここではイエローに関する構成について説明し、その他の色成分については相当符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、露光ユニット6Yは露光筐体61を有している。そして、露光筐体61に単一のレーザー光源62が固着されており、レーザー光源62から光ビームを射出可能となっている。このレーザー光源62はメインコントローラ11からの画像信号Svに基づきON/OFF制御されて該画像信号Svに対応して変調された光ビームがレーザー光源62から前方に射出される。すなわち、この実施形態では、メインコントローラ11にビデオクロック発生部111が設けられており、基準周波数、例えば68MHzのビデオクロック信号VCを出力している。そして、このビデオクロック信号VCを基準として画像出力部112がメインコントローラ11に与えられた画像形成指令に含まれるイエロー画像データに対応する画像信号Svを作成する。この画像信号Svは露光ユニット6Yのレーザー光源62に出力され、該画像信号Svに応じて光ビームは変調され、該変調された光ビームがレーザー光源62から前方に射出される。
また、この露光筐体61の内部には、レーザー光源62からの光ビームを感光体2の表面(図示省略)に走査露光するために、コリメータレンズ631、シリンドリカルレンズ632、ミラー64、偏向器65、走査レンズ66およびミラー68が設けられている。すなわち、レーザー光源62からの光ビームは、コリメータレンズ631により適当な大きさのコリメート光にビーム整形された後、副走査方向Yにのみパワーを有するシリンドリカルレンズ632に入射される。そして、シリンドリカルレンズ632を調整することでコリメート光は副走査方向Yにおいて偏向器65の偏向ミラー面651付近で結像される。このように、この実施形態では、コリメータレンズ631およびシリンドリカルレンズ632がレーザー光源62からの光ビームを整形するビーム整形系63として機能している。なお、この実施形態では、ビーム整形系63と偏向器65の偏向ミラー面651との間にミラー64を設け、いわゆる斜め入射構造を構成している。すなわち、レーザー光源62からの光ビームは、ビーム整形系63によりビーム整形された後、ミラー64により折り返されて偏向器65の偏向ミラー面651の揺動軸(同図紙面に対して垂直な軸)と直交する基準面(紙面と平行な面)に対して鋭角をなすように偏向ミラー面651に入射される。
この偏向器65は半導体製造技術を応用して微小機械を半導体基板上に一体形成するマイクロマシニング技術を用いて形成されるものであり、共振振動する振動ミラーで構成されている。すなわち、偏向器65では、共振振動する偏向ミラー面651により光ビームを主走査方向Xに偏向可能となっている。より具体的には、偏向ミラー面651は主走査方向Xとほぼ直交する揺動軸(ねじりバネ)周りに揺動自在に軸支されるとともに、作動部652から与えられる外力に応じて揺動軸周りに揺動する。この作動部652はイエロー用の露光制御ユニット12Yのミラー駆動部121からのミラー駆動信号に基づき偏向ミラー面651に対して静電気的、電磁気的あるいは機械的な外力を作用させて偏向ミラー面651をミラー駆動信号の周波数で揺動させる。なお、作動部652による駆動方式は静電吸着、電磁気力あるいは機械力などのいずれの方式を採用してもよく、それらの駆動方式は周知であるため、ここでは説明を省略する。
この実施形態では、偏向器65の振動動作をON/OFF制御するために、エンジンコントローラ10にミラー駆動制御部101が設けられており、エンジンコントローラ10のCPUがミラー駆動制御部101の機能を担っている。すなわち、このミラー駆動制御部101は適当なタイミングで偏向器65の動作周波数と一致する駆動周波数(例えば5KHz)を有する駆動信号Sdをミラー駆動部121に与えて偏向器65を振動させる。
また、このようにして駆動される偏向器65には、例えば特開平9−197334号公報に記載されたような共振周波数調整部653が設けられており、偏向器65の共振周波数を変化させることが可能となっている。すなわち、この共振周波数調整部653では偏向器65のねじりバネ(図示省略)に電気抵抗素子が形成されるとともに、該電気抵抗素子が露光制御ユニット12Yの周波数制御部122と電気的に接続されている。そして、周波数制御部122による電気抵抗素子への通電制御によりねじりバネの温度が変化する。これによって、ねじりバネのバネ定数が変化し、偏向器65の共振周波数を変更させることができる。そこで、この実施形態では、後述するように共振周波数がミラー駆動信号(駆動信号Sd)の周波数、つまり駆動周波数と不一致である場合には、共振周波数調整部653により偏向器65の共振周波数を変動させて駆動周波数とほぼ一致させている(共振周波数制御)。なお、偏向器65の共振周波数を変化させる具体的な構成はこれに限定されるものではなく、従来より周知の構成を採用することができる。
また、ミラー駆動部121はミラー駆動信号の電圧や電流などの駆動条件を変更設定することができるように構成されている。したがって、必要に応じてミラー駆動信号の電圧を変更設定することが可能となっており、電圧変更によって偏向器65の振幅値を調整することも可能となっている。
そして、偏向器65の偏向ミラー面651で偏向された光ビームは走査レンズ66に向けて偏向される。この実施形態では、走査レンズ66は、感光体2の表面上の有効画像領域EIRの全域においてF値が略同一となるように構成されている。したがって、走査レンズ66に向けて偏向された光ビームは、走査レンズ66を介して感光体2Yの表面の有効画像領域EIRに略同一のスポット径で結像される。これにより、光ビームが主走査方向Xと平行に走査して主走査方向Xに伸びるライン状の潜像が感光体2の表面上に形成される。なお、この実施形態では、偏向器65により走査可能な走査範囲(本発明の「第2走査範囲」)SR2は、図3に示すように、有効画像領域EIR上で光ビームを走査させるための走査範囲(本発明の「第1走査範囲」)SR1よりも広く設定されている。また、第1走査範囲SR1が第2走査範囲SR2の略中央部に位置しており、光軸に対してほぼ対称となっている。さらに、同図中の符号θirは有効画像領域EIRの端部に対応する偏向ミラー面651の振幅角を示し、符号θsは次に説明する光検知センサに対応する偏向ミラー面651の振幅角を示している。
また、この実施形態では、図3および図4に示すように、走査光ビームの走査経路の一方端を折り返しミラー69aにより光検知センサ60に導いている。この折り返しミラー69aは第2走査範囲SR2の一方端部に配置され、主走査方向Xの一方側(+X)で第1走査範囲SR1を外れた位置を移動する走査光ビームを光検知センサ60に導光する。そして、光検知センサ60により該走査光ビームが受光されてセンサ位置(Hsync相当角θs)を通過するタイミングで信号が光検知センサ60から出力される。このように、この実施形態では、光検知センサ60によって主走査方向Xに走査される光ビームを主走査方向Xの一方側(+X)で第1走査範囲SR1から外れた領域で検知することが可能となっており、この光検知センサ60が本発明の「センサ」に相当している。
なお明細書では、主走査方向Xの一方側(+X)を「往路側」とする一方、他方側(−X)を「復路側」とする。また、往路側(+X)から復路側(−X)に走査される光ビームを「往路光ビーム」と称し、該往路光ビームの走査により感光体2にライン潜像を書き込む動作および位置を「往路書込」と称する。逆に、復路側(−X)から往路側(+X)に走査される光ビームを「復路光ビーム」と称し、該復路光ビームの走査により感光体2にライン潜像を書き込む動作および位置を「復路書込」と称する。
また、この実施形態では、光検知センサ60が第2走査範囲SR2の往路側端部に配置されているため、往路光ビームの走査初期段階で該光ビームが光検知センサ60を通過して検知信号Hsyncが出力され、また復路光ビームの走査終了段階で該光ビームが光検知センサ60を通過して検知信号Hsyncが出力される。このように光ビームの往復走査ごとに2回の検知信号Hsyncが出力される。そこで、これらの信号を区別するため、この明細書では、往路光ビームの検知に対応する検知信号Hsyncを「第1検知信号Hsync1」とし、逆に復路光ビームの検知に対応する検知信号Hsyncを「第2検知信号Hsync2」とする。また、これらを区別しないで説明する際には、単に「検知信号Hsync」と称する。
このようにして検知される信号Hsyncはエンジンコントローラ10の書込タイミング調整部102に与えられる。この書込タイミング調整部102には、エンジンコントローラ10のカウントクロック発生部103から計時用クロック信号が与えられており、この計時用クロック信号に基づき書込タイミング調整部102は検知信号Hsyncからの経過時間を計測し、後述するようなタイミングで画像出力部112にビデオリクエスト信号を出力する。そして、この信号を受けた画像出力部112がビデオクロック信号VCを基準として画像信号Svを出力する。このように書込タイミング調整部102がビデオリクエスト信号の出力タイミングを調整することによって感光体2への潜像の書込位置が調整される。なお、この実施形態では、計時用クロック信号の周波数をビデオクロック信号VCのそれよりも大きな値、例えばビデオクロック信号VCの周波数の4倍に設定している。これによって、ビデオリクエスト信号を高分解能で制御して潜像の書込開始位置を正確に制御することができる。
また、光検知センサ60による走査光ビームの検知信号Hsyncは露光制御ユニット12Yの計測部123にも伝達され、該計測部123において第1走査範囲SR1を光ビームが走査する走査時間や駆動周期などに関連する駆動情報が算出される。そして、この計測部123において算出された実測情報が周波数制御部122に伝達され、周波数制御部122は偏向器65の共振周波数の調整を行う。
<発明の基本概念>
上記のように構成された偏向器65の振動特性を検証したところ、図6に示すような振動特性を有するものが存在することがわかった。この偏向器65では、振幅が変化したとしても、振幅が最大値となる最大振幅時刻Tmax、および振幅がゼロとなる振幅ゼロ時刻T0はともに変化しない。また、図7に示すように、各タイミングT1〜T4を、
T1…光検知センサ60を復路光ビームが通過して該センサ60から第2検知信号Hsync2が出力されるタイミング、
T2…光検知センサ60を往路光ビームが通過して該センサ60から第1検知信号Hsync1が出力されるタイミング、
T3…光軸L0に対してセンサ60と対称位置な位置(仮想センサ位置)を往路光ビームが通過するタイミング、
T4…光軸L0に対してセンサ60と対称位置な位置(仮想センサ位置)を復路光ビームが通過するタイミング、
と定義すると、次の関係式が成立する。すなわち、インターバル時間TA(=T2−T1)と走査時間TB(=T3−T2)との和は偏向器65の駆動周波数により一義的に決まる値αとなる。また、インターバル時間TA、TCは等しくなる。つまり、
TA+TB=α …(1)
TA=TC …(2)
が成立する。
上記のように構成された偏向器65の振動特性を検証したところ、図6に示すような振動特性を有するものが存在することがわかった。この偏向器65では、振幅が変化したとしても、振幅が最大値となる最大振幅時刻Tmax、および振幅がゼロとなる振幅ゼロ時刻T0はともに変化しない。また、図7に示すように、各タイミングT1〜T4を、
T1…光検知センサ60を復路光ビームが通過して該センサ60から第2検知信号Hsync2が出力されるタイミング、
T2…光検知センサ60を往路光ビームが通過して該センサ60から第1検知信号Hsync1が出力されるタイミング、
T3…光軸L0に対してセンサ60と対称位置な位置(仮想センサ位置)を往路光ビームが通過するタイミング、
T4…光軸L0に対してセンサ60と対称位置な位置(仮想センサ位置)を復路光ビームが通過するタイミング、
と定義すると、次の関係式が成立する。すなわち、インターバル時間TA(=T2−T1)と走査時間TB(=T3−T2)との和は偏向器65の駆動周波数により一義的に決まる値αとなる。また、インターバル時間TA、TCは等しくなる。つまり、
TA+TB=α …(1)
TA=TC …(2)
が成立する。
このように図6に示す振動特性を有する偏向器65を用いて光ビームを走査する装置において、従来の水平同期制御を行うと、振幅ジッタにより主走査方向Xにおける潜像の書込開始位置が変動してしまう。この振幅ジッタは偏向ミラー面の振幅が変動する現象であり、振幅ジッタの発生によって走査幅が変化し、走査終端での走査位置が変動してしまうことがある。すなわち、従来技術では、走査光ビームが光検知センサ60を通過した際に光検知センサ60から出力される信号をそのまま水平同期信号として利用して光ビームの変調開始タイミングを制御して画像の書込開始位置を決定している。例えば図7の実線で示す波形が理想的な走査特性(理想振幅状態)であるという前提で設計された装置では、タイミングT2で往路光ビームが光検知センサ60を通過して第1検知信号が出力される。そして、この信号出力から所定の往路側(第1)待機時間Tw1を待って光ビームの変調を開始する。これにより、主走査方向Xにおける往路潜像の書込開始位置が決定される。そして、予め設定された書込時間Tvの間にメインコントローラ11からの画像信号Svに基づきレーザー光源62がON/OFF制御されて感光体2の有効画像領域EIRに潜像が形成されるが、この潜像形成領域は有効画像領域EIR中の書込領域WRとなる。
しかしながら、偏向器65の振幅が変動し、振動特性が変動すると、往路光ビームが光検知センサ60を通過するタイミングが変動し、第1検知信号Hsync1の出力タイミングが理想状態からずれてしまう。そして、従来装置では、往路書込において第1検知信号Hsync1の出力から予め設定された固定値Ta1(往路側待機時間Tw1)を待って光ビームの変調を開始するため、主走査方向Xにおける潜像の書込開始位置が理想状態での書込開始位置から振幅の変動方向に対応した方向(例えば振幅が増大すると、それに対応してマイナス方向)に若干変位する。また、復路書込においても光検知センサ60からの第1検知信号Hsyncの出力タイミングの変動による影響を受けて潜像の書込開始位置が理想状態での書込開始位置から変位する。その結果、往路側のライン潜像と復路側のライン潜像が主走査方向にずれてしまい、画質低下が発生することがあった。
そこで、本願発明者らは振幅ジッタによる悪影響を抑制するために種々の検討を行った。その結果、復路光ビームをセンサ60が検知して第2検知信号Hsync2が出力された時点から該第2検知信号Hsync2に続いてセンサ60から第1検知信号Hsyncが出力されるまでのインターバル時間TAを計測し、該インターバル時間TAに基づき復路書込での変調開始タイミングを制御することが有効な抑制方法のひとつであるとの知見を得た。すなわち、式(1)、(2)より
TB+TC=α …(3)
が成立する。また、往路走査では、往路書込が完了してから仮想センサ位置に到達するまでの時間を「Tb1」とすると、
TB=Tw1+Tv+Tb1 …(4)
が成立する。
TB+TC=α …(3)
が成立する。また、往路走査では、往路書込が完了してから仮想センサ位置に到達するまでの時間を「Tb1」とすると、
TB=Tw1+Tv+Tb1 …(4)
が成立する。
ここで、第1検知信号Hsync1が出力されてから第2待機時間Tw2(=TB+TC+Ta2)だけ経過した時点より復路書込を開始する装置では、往路書込と復路書込とを一致させるためには、仮想センサ位置を復路光ビームが通過してから変調開始までの時間Ta2が上記した時間Tb1とほぼ一致するように変調開始タイミングを制御すればよい。つまり、
Tw2=TB+TC+Tb1=α+Tb1 …(5)
を満足させればよい。また、時間Tb1は式(1)、(4)に基づき
Tb1=α−Tw1−Tv−TA …(6)
となり、この式(6)を式(5)に代入すると、
Tw2=2×α−Tw1−Tv−TA …(7)
となる。したがって、偏向器65の振動特性に応じて変動するインターバル時間TAを計測し、その計測値TAを式(7)に代入することで第2待機時間Tw2を求めることができる。そして、該待機時間Tw2に基づき復路走査時の変調開始タイミングを制御することによって復路書込を往路書込に一致させることができる。
Tw2=TB+TC+Tb1=α+Tb1 …(5)
を満足させればよい。また、時間Tb1は式(1)、(4)に基づき
Tb1=α−Tw1−Tv−TA …(6)
となり、この式(6)を式(5)に代入すると、
Tw2=2×α−Tw1−Tv−TA …(7)
となる。したがって、偏向器65の振動特性に応じて変動するインターバル時間TAを計測し、その計測値TAを式(7)に代入することで第2待機時間Tw2を求めることができる。そして、該待機時間Tw2に基づき復路走査時の変調開始タイミングを制御することによって復路書込を往路書込に一致させることができる。
そこで、本願にかかる実施形態では、インターバル時間TAを計測し、該計測値TAに基づき第2待機時間Tw2を補正することで往路書込と復路書込との主走査方向Xにおける相対位置ずれの解消を図っている。以下、具体的な実施形態を例示して詳述する。
<実施形態>
図8は本発明にかかる画像形成方法の一実施形態を示すフローチャートである。上記のように構成された装置では、偏向器65が振動停止している状態で画像形成指令が与えられると、画像形成開始前に起動処理(ステップS1)を実行し、さらに本発明の「書込前補正工程」に相当する書込タイミング補正処理(ステップS2)を実行した上で、感光体2を副走査方向Yに移動させながら書込処理(ステップS3〜S9)を行って2次元潜像を形成する。
図8は本発明にかかる画像形成方法の一実施形態を示すフローチャートである。上記のように構成された装置では、偏向器65が振動停止している状態で画像形成指令が与えられると、画像形成開始前に起動処理(ステップS1)を実行し、さらに本発明の「書込前補正工程」に相当する書込タイミング補正処理(ステップS2)を実行した上で、感光体2を副走査方向Yに移動させながら書込処理(ステップS3〜S9)を行って2次元潜像を形成する。
図9は図1の画像形成装置で実行される起動処理を示すフローチャートである。また、図10は起動処理の動作を示す図である。この起動処理(ステップS1)が開始されると、ステップS11で偏向器65を作動させるための駆動制御量を予めメモリ(図示省略)に記憶されている初期値に設定する。より具体的には、ミラー駆動信号および共振周波数調整部653に与える信号の電気特性値(周波数、電圧や電流)をメモリから読み出し、設定している。また、検知信号Hsyncの出力数を示すカウント値Nをゼロにリセットする(ステップS12)。
こうして、初期設定が完了すると、上記した初期値でミラー駆動が開始される(ステップS13)。このとき、偏向器65の振幅は図10に示すようにゼロから徐々に増大していく。そして、振幅がセンサ位置(Hsync相当角θs)に達する、つまり走査光ビームが光検知センサ60を通過するタイミングで検知信号Hsyncが光検知センサ60から出力される。これにより、レーザー光源62からの光ビームの射出が確認されるとともに、光検知センサ60からの検知信号Hsyncに基づく書込タイミング補正処理(ステップS2)が可能となる。
そこで、この実施形態では、光ビームの振幅がほぼ一定となり、振動動作が安定化したことを確認するため、検知信号Hsyncが4回以上出力されるのを待って(ステップS14〜S16)と、起動処理を終了して書込タイミング補正処理に移行する。なお、検知信号Hsyncの個数、つまりカウント値Nは「4」に限定されるものではなく、「1」以上の値を設定することができる。また、検知信号Hsyncの数ではなく、安定化に必要な時間を予め求めておき、ミラー駆動開始から当該時間が経過するのを待って起動処理を終了するように構成してもよい。
図11は図1の画像形成装置で実行される書込タイミング補正処理を示すフローチャートである。以下、図11と図7を参照しつつ書込タイミング補正処理について詳述するが、この説明の前に、往復書込動作について簡単に説明する。この実施形態では、第1検知信号Hsync1を基準として往路書込および復路書込が実行される。より具体的には、第1検知信号Hsync1が出力されると、その信号出力から往路側(第1)待機時間Tw1が経過した時点より所定の書込時間Tvだけ往路光ビームによりライン潜像を書き込む(往路書込)のに続けて該第1検知信号Hsync1の出力から復路側(第2)待機時間Tw2が経過した時点より書込時間Tvだけ復路光ビームによりライン潜像を書き込む(復路書込)。理想状態では、図7に示すように、往路側および復路側待機時間Tw1、Tw2をそれぞれ予め設定した時間Ta1、Ta2に設定すると、往路書込と復路書込とがほぼ一致して往路書込と復路書込との間に主走査方向Xにおける相対的な位置ずれは発生せず、良好な画像を形成することができる。しかしながら、種々の要因により偏向器65の振動特性が変動して理想状態からはずれと、往路書込と復路書込とが主走査方向Xにおいて相対的にずれてしまう。この問題を解決するために、書込タイミング補正処理(ステップS2)が実行される。
この書込タイミング補正処理(ステップS2)は書込タイミング調整部102により実行されるものであり、第1および第2検知信号Hsync1,Hsync2に基づき復路側待機時間Tw2を補正して復路書込に関するビデオリクエスト信号を出力するタイミングを調整する。なお、この実施形態では、往路側待機時間Tw1について初期設定された値(=Ta1)のまま用いられ、往路書込に関するビデオリクエスト信号を出力するタイミングは固定されている。
まず最初のステップS201でインターバル時間TAをゼロにリセットする。ここで、「インターバル時間TA」とは、上記したように復路光ビームを光検知センサ60が検知して第2検知信号Hsync2が出力された時点から該第2検知信号Hsync2に続いてセンサ60から第1検知信号Hsyncが出力されるまでの時間を意味している。したがって、偏向器65の振動特性、特に振幅が変動するのに応じてインターバル時間TAは変化する。より具体的には、振幅が増大するのに応じてインターバル時間TAは長くなる一方、振幅減少に応じてインターバル時間TAは短くなる。そこで、この実施形態では、インターバル時間TAを通じて偏向器65の振動特性を検出し、復路側待機時間Tw2を補正している。
そして、書込タイミング補正処理において第2検知信号Hsync2が書込タイミング調整部102に与えられる(ステップS202でYESと判定される)と、カウントクロック発生部103からの計時用クロック信号に基づきインターバル時間TAのカウントアップを開始する(ステップS203)。このカウントアップは第1検知信号Hsyncが書込タイミング調整部102に入力されたと判定される(ステップS204でYESと判定される)まで実行され、これによって2つの検知信号Hsyncの時間間隔が求められる。
次のステップS205では、インターバル時間TAに基づき復路側待機時間Tw2を求める。すなわち、予めメモリ(図示省略)に記憶されている値α、往路側(第1)待機時間Tw1および書込時間Tvを該メモリから読み出し、式(7)に代入する。また、上記のようにして求めたインターバル時間TAを式(7)に代入する。これにより、偏向器65の振動特性を反映した第2待機時間Tw2が得られ、補正される。なお、値α、往路側待機時間Tw1および書込時間Tvが固定化されている場合には、これらの数値を式(7)に代入した数式を用いてもよい。また、値αは駆動信号Sdの周波数に応じた値をとるため、値αを駆動信号Sdの周波数に関連付けて記憶しておき、駆動信号Sdに対応する値αを読み出すように構成してもよく、こうすることで幅広い駆動周波数に対応することができる。さらに、駆動信号Sdと値αとの関係を数式化しておき、この関係式を式(7)に代入して得られる数式を用いて復路側待機時間Tw2を求めるように構成してもよい。
こうして復路側待機時間Tw2を補正して書込タイミング補正処理を終了すると、その後に第1検知信号Hsync1が出力されるたびに往復書込(ステップS3〜S8)が繰り返される(書込工程)。すなわち、図8に示すように、ステップS3で第1検知信号Hsync1が出力されると、第1検知信号Hsync1の出力からの経過時間の計測が開始される(ステップS4)。そして、経過時間が本発明の「第1待機時間」に相当する往路側待機時間Tw1に達する(ステップS5)と、書込タイミング調整部102から画像出力部112にビデオリクエスト信号が出力される。これを受けて、画像出力部112がビデオクロック信号VCを基準として画像信号Svを出力して往路書込を実行する(ステップS6)。
また、経過時間が本発明の「第2待機時間」に相当する復路側待機時間Tw2に達する(ステップS7)と、書込タイミング調整部102から画像出力部112にビデオリクエスト信号が出力される。これを受けて、画像出力部112がビデオクロック信号VCを基準として画像信号Svを出力して復路書込を実行する(ステップS8)。なお、ステップS9で書込終了と判定されるまで、上記した一連の往復書込(ステップS3〜S8)が繰り返して実行されて感光体2への2次元潜像の書込(書込工程)が実行される。
以上のように、この実施形態によれば、書込工程(ステップS3〜S9)を実行する前に書込タイミング補正処理が実行されるため、その補正処理により補正された復路側待機時間Tw2で復路書込が行われ、往路書込と復路書込との主走査方向Xにおける相対位置ずれが解消される。その結果、高品質な画像が形成される。
図12は本発明にかかる画像形成方法の他の実施形態を示すフローチャートである。この実施形態が先の実施形態と大きく相違する点は、往復書込(ステップS3〜S8)を行うたびに書込タイミング補正処理(ステップS2)と同様の補正処理(ステップS22)を実行している点である。すなわち、画像形成指令が与えられると、画像形成開始前に起動処理(ステップS1)を実行し、さらに書込タイミング補正処理(ステップS2)を実行する。そして、感光体2を副走査方向Yに移動させながら往復書込(ステップS3〜S8)を繰り返して行って2次元潜像を形成する。この最初の往復書込については、書込タイミング補正処理により補正された復路側待機時間Tw2に基づき復路書込のタイミングを調整して往路書込と復路書込との相対位置ずれを防止する。また、この復路書込が完了すると、次の往復書込に先立って、本発明の「書込中補正工程」に相当する書込タイミング補正処理(ステップS22)を実行して復路側待機時間Tw2を補正する。すなわち、復路書込(ステップS8)直後に、インターバル時間TAをゼロにクリアした(ステップS221)後、カウントクロック発生部103からの計時用クロック信号に基づくインターバル時間TAのカウントアップを開始する(ステップS222)。このカウントアップは、第2検知信号Hsync2の出力が確認される(ステップS223でYESと判定される)まで実行され、こうしてインターバル時間TAが求められる。そして、式(7)にしたがって復路側待機時間Tw2を補正する(ステップS224)。
こうして復路側待機時間Tw2の補正が完了すると、ステップS9に進み書込終了が否かを判定し、書込処理が終了するまでステップS4に戻る。これにより、往復書込が繰り返されるが、2回目以降の往復書込では、往路書込については最初と同じ書込タイミング(往路側待機時間Tw1)で行われる一方、復路書込については直前の書込タイミング補正処理(ステップS22)により補正された書込タイミング(復路側待機時間Tw2)で行われる。このように往復書込を連続的に行いながら、復路側(第2)待機時間Tw2を補正することによって、書込処理の実行中に偏向器65の振動特性が変動したとしても、それに追随して復路書込の開始位置が調整されて往路書込との相対位置ずれが解消される。したがって、この実施形態によれば、より高品質な画像形成が可能となる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、書込処理(ステップS3〜S9)前に書込タイミング補正処理(ステップS2)を実行しているが、例えば図13に示すように、予め書込処理前に往路側(第1)待機時間Tw1および復路側(第2)待機時間Tw2をメモリに記憶しておき、書込処理前にメモリから待機時間Tw1,Tw2を読み出した(ステップS200)後に、書込処理を開始するように構成してもよい。この実施形態では、最初の往復書込については、メモリに記憶された待機時間Tw1、Tw2に基づき書込タイミングを調整して往路書込と復路書込との相対位置ずれを防止する。また、この復路書込が完了すると、次の往復書込に先立って、書込タイミング補正処理(ステップS22)を実行して復路側待機時間Tw2を補正してもよい。
また、上記実施形態ではインターバル時間TAを1回求めて第2待機時間Tw2を補正しているが、インターバル時間TAを複数回求め、これらの複数の値に基づき第2待機時間Tw2を補正するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、カラー画像形成装置に本発明が適用されているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、いわゆる単色画像を形成するモノクロ画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
さらに、上記実施形態では、振動ミラーとしてマイクロマシニング技術を用いて形成された偏向器65を採用しているが、共振振動する振動ミラーを用いて光ビームを偏向して潜像担持体上に光ビームを走査させる画像形成装置全般に本発明を適用することができる。
2,2Y,2M,2C,2K…感光体(潜像担持体)、 60…光検知センサ、 651…偏向ミラー面、 EIR…有効画像領域、 Hsync…検知信号、 Hsync1…第1検知信号、 Hsync2…第2検知信号、 TA…インターバル時間、 Tv…書込時間、 Tw1…往路側待機時間(第1待機時間)、 Tw2…復路側待機時間(第2待機時間)、 X…主走査方向、 (+X)…(主走査方向の)往路側、 (−X)…(主走査方向の)復路側、 Y…副走査方向
Claims (3)
- 振動する偏向ミラー面によって光ビームを潜像担持体の有効画像領域に対応する第1走査範囲よりも広い第2走査範囲で主走査方向に往復走査可能に構成された画像形成装置において、前記主走査方向の一方側である往路側で前記第1走査範囲を外れた位置を移動する光ビームをセンサで検知して検知信号を得るとともに、前記検知信号に基づき往復走査光ビームによる前記潜像担持体への潜像書込を行う画像形成方法であって、
前記主走査方向とほぼ直交する副走査方向に前記潜像担持体を移動させながら、前記往路側から前記主走査方向の他方側である復路側に走査される往路光ビームを前記センサが検知して第1検知信号を出力するたびに下記の往復書込を行って前記潜像担持体上に2次元潜像を形成する書込工程と、
前記書込工程を行う前に、光ビームを往復走査させながら、前記復路光ビームを前記センサが検知して第2検知信号が出力された時点から該第2検知信号に続いて前記センサから第1検知信号が出力されるまでのインターバル時間を求め、該インターバル時間に基づき前記第2待機時間を補正する書込前補正工程と
を備えたことを特徴とする画像形成方法。
前記往復書込は、第1検知信号の出力から第1待機時間が経過した時点より所定の書込時間だけ前記往路光ビームによりライン潜像を書き込むのに続けて該第1検知信号の出力から第2待機時間が経過した時点より前記書込時間だけ前記復路側から前記往路側に走査される復路光ビームによりライン潜像を書き込むものである。 - 各往復書込を行うたびに下記の書込中補正工程を実行するとともに、前記書込中補正工程を行った直後に行われる往復書込では、前回と同じ書込タイミングで往路光ビームによる潜像書込を行う一方、前記書込中補正工程により補正された書込タイミングで復路光ビームによる潜像書込を行う請求項1記載の画像形成方法。
前記書込中補正工程は、復路書込直後に前記復路光ビームを前記センサが検知して第2検知信号が出力された時点から該第2検知信号に続いて前記センサから第1検知信号が出力されるまでのインターバル時間を求め、該インターバル時間に基づき前記第2待機時間を補正する工程である。 - 振動する偏向ミラー面によって光ビームを潜像担持体の有効画像領域に対応する第1走査範囲よりも広い第2走査範囲で主走査方向に往復走査可能に構成された画像形成装置において、前記主走査方向の一方側である往路側で前記第1走査範囲を外れた位置を移動する光ビームをセンサで検知して検知信号を得るとともに、前記検知信号に基づき往復走査光ビームによる前記潜像担持体への潜像書込を行う画像形成方法であって、
前記主走査方向とほぼ直交する副走査方向に前記潜像担持体を移動させながら、前記往路側から前記主走査方向の他方側である復路側に走査される往路光ビームを前記センサが検知して第1検知信号を出力するたびに下記の往復書込を行って前記潜像担持体上に2次元潜像を形成する書込工程と、
前記書込工程前に第1待機時間および第2待機時間をメモリに記憶する記憶工程と、
各往復書込を行うたびに、復路書込直後に前記復路光ビームを前記センサが検知して第2検知信号が出力された時点から該第2検知信号に続いて前記センサから第1検知信号が出力されるまでのインターバル時間を求め、該インターバル時間に基づき前記第2待機時間を補正する書込中補正工程と
を備えたことを特徴とする画像形成方法。
前記往復書込は、第1検知信号の出力から第1待機時間が経過した時点より所定の書込時間だけ前記往路光ビームによりライン潜像を書き込むのに続けて該第1検知信号の出力から第2待機時間が経過した時点より前記書込時間だけ前記復路側から前記往路側に走査される復路光ビームによりライン潜像を書き込むものである。
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US8345339B2 (en) | 2007-06-21 | 2013-01-01 | Canon Kabushiki Kaisha | Optical deflector |
-
2005
- 2005-10-07 JP JP2005294421A patent/JP2007098872A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
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US8345339B2 (en) | 2007-06-21 | 2013-01-01 | Canon Kabushiki Kaisha | Optical deflector |
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