JP2007097439A - 安定化したデンプン及び/又は脂質含有ポタージュスープ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】デンプン及び/又は脂質含有固形分を含むポタージュスープに、グリシンからなる静菌剤を添加することにより高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対して安定なポタージュスープを製造する。ポタージュスープにおいて危害危険性を有する細菌として高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌Thermoanaerobacter属の細菌が挙げられる。本発明の製造方法は、保存性容器入飲料として調製されるポタージュスープの製造に適用され、高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対しても安定なポタージュスープを提供する。
【選択図】なし
Description
本発明で対象となるポタージュスープとしては、デンプン及び/又は脂質含有固形分を含むポタージュスープであるが、該ポタージュスープとしては、次のような種類がある:すなわち、本発明のポタージュスープは通常4種類に分類されるとろみ感と濃度のある濁ったタイプのスープを呼称し、クリームスープ、ブルーテスープ、ピューレスープ及びビスクの4種類に大別されるものを含む。本発明が解決しようとする課題を有するポタージュスープであれば特に種類を問わないが、クリームスープ系、中でもコーンスープで、特にデンプンや脂質を含む固形物を有するものを対象とする。特に、代表的なものとして、粗挽のコーン粒由来の固形分を含有するコーンポタージュスープのようなコーン粒由来のデンプン及び/又は脂質を含む固形分を含有するコーンポタージュスープが挙げられる。
本発明において静菌剤として用いられるグリシンは、アミノ酸の1種で、Bacillus属の細菌のような特定の細菌類に抗菌性或いは静菌性を示すことは古くから知られている(松田敏生編「食品微生物制御の化学」幸書房、1998)。効果のある細菌は乳酸菌、枯草菌(Bacillus属の細菌)及びブドウ状球菌等の細菌であるが、いずれもその効果を示すのは添加率が1.0重量%以上であり、効果的な添加率は3〜5%である。また、本発明で見い出したコーンポタージュスープにおいて、危害危険性の高い耐熱性の細菌としてThermoanaerobacter属の細菌があるが、これと挙動が似ているClostridium属の細菌に対する効果的な添加率も同様に3〜5%である。また、グリシンの効果はpHが低い場合や、他の有機酸等の静菌剤と併用することにより効果を発揮すると言われている(松田敏生編、「食品微生物制御の化学」幸書房 1998)。
本発明が静菌対象とする微生物は、グラム陽性芽胞菌、中でも特に耐熱性の高いThermoanaerobacter属の細菌である。Thermoanaerobacter属の細菌は偏性嫌気性の菌で増殖温度も比較的高く30〜80℃が一般である。これまでに記載されているドイツの菌株保存機関Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Braunschweig, Germany(以下DSMZと略す)では16の種についての記載がある。例えば、Thermoanaerobacter brockii subsp.の2種、T. kivui、T. mathranii、T. tengocongenesisi及びT. thermohyudorosulfuricus等は比較的良く知られている。生態としては火山の火口近く、温泉等特殊な環境に生息することが知られているが、近年ではサイレージ発酵して高温になったサイロ、嫌気発酵が進んだ牛糞の堆肥からも単離されている。乳製品の汚染もまれに発生しているが、これらが家畜飼料などを通して混入し、酸敗等の危害を及ぼしていると推定されている。Thermoanaerobacter属の細菌の危害は、芽胞状態では非常に耐熱性が高く、かつ一般的に使用される脂肪酸エステル系の静菌作用を有する乳化剤はデンプン等の糖や脂質が多く含まれると静菌効果が発現せず、危害に対する対応が取れない。
グリシンがポタージュスープ中のThermoanaerobacter属の細菌に対し、低濃度の添加で有効であることのメカニズムは、明らかでなく、不明なところが多いがグリシンの芽胞細菌に対する作用等から考慮して、以下の2点の推定メカニズムが考えられる:
(1)Thermoanaerobacter属の細菌は偏性嫌気性菌であり、抗酸化剤としてアミノ酸の一種であるシステインを必須に要求する。又グリシンは挙動がシステインと似た性状を多く持ち、細胞内でシステインと同様に抗酸化作用を示す。このため、芽胞の発芽時に間違えてグリシンが取り込まれ、それ以上の発芽が進まなくなる。
(2)グリシンが芽胞の表層に付着し、芽胞の発芽を妨害する。静菌作用のある脂肪酸エステル系の乳化剤等と同様の作用であるが、乳化剤の様に、デンプンや脂質の妨害を受けないのが特徴である。
本発明において、ポタージュスープへのグリシンの添加量は、ポタージュスープ全量に対して、0.2重量%以上の割合で添加される。特に好ましくは、0.3重量%以上の割合で添加される。本発明の安定なポタージュスープの製造方法は、保存性容器入飲料として調製されるポタージュスープの製造に適用されるが、グリシンの添加は、該密封容器詰ポタージュスープ飲料の製造工程の適宜の段階で、行うことができる。添加時期としては、加熱殺菌工程前の時期に行うのが好ましい。本発明の安定なポタージュスープの製造方法は、特に、50℃以上の温度で、保存或いは流通販売される密封容器詰ポタージュスープの製造に適用して、その卓越した効果を奏することができる。
以下の実施例は、次の材料及び評価に従った。
[ポタージュスープ]:コーンピューレ主体に、牛乳含量10〜20%、デンプン含量0.8〜1.7%のコーンスープをベースにした。固形物を加える場合、コーン粒を7〜12g/100g加えた。
[乳化剤]:用いた乳化剤を第1表に示す。3社の6種類の乳化剤を使用した。
[接種並びに培養方法]:滅菌試験管にスープを10ml入れ、104個/mlになるように調製した供試菌の芽胞をこれに0.1ml添加する。その後100℃、20分間の加熱活性化を行い、55℃、3週間の嫌気培養する。
[増殖の判定]:供試菌無添加のものを対照区とし、これとpHを比較し、pH値で2以上低下した場合を増殖、同等の場合を増殖なしと判定した。
グリシンと各乳化剤の供試菌の増殖抑制状態を第2表に示す。各乳化剤は通常各メーカーが嫌気性菌に対して推奨している濃度を採用した。
グリシン濃度による供試菌の増殖抑制状態を第3表に示す。
Claims (10)
- デンプン及び/又は脂質含有固形分を含むポタージュスープに、グリシンからなる静菌剤を添加することを特徴とする高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対して安定なポタージュスープの製造方法。
- 高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌が、グラム陽性芽胞形成菌Thermoanearobacter属の細菌であることを特徴とする請求項1記載の高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対しても安定なポタージュスープの製造方法。
- ポタージュスープが、コーンポタージュスープであることを特徴とする請求項1又は2記載の高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対しても安定なポタージュスープの製造方法。
- コーンポタージュスープが、コーン粒由来のデンプン及び/又は脂質を含む固形分を含有するコーンポタージュスープであることを特徴とする請求項3記載の高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対しても安定なポタージュスープの製造方法。
- コーン粒由来のデンプン及び/又は脂質を含む固形分を含有するコーンポタージュスープが、粗挽のコーン粒由来の固形分を含有するコーンポタージュスープであることを特徴とする請求項4記載の高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対しても安定なポタージュスープの製造方法。
- ポタージュスープへのグリシンの添加量が、ポタージュスープ全量に対して、0.2重量%以上の割合であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対しても安定なポタージュスープの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか記載のポタージュスープの製造方法によって製造された高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対しても安定なポタージュスープ。
- ポタージュスープが、コーンポタージュスープであることを特徴とする請求項7記載の高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対しても安定なポタージュスープ。
- ポタージュスープが、密封容器詰飲料として調製されていることを特徴とする請求項7又は8記載の高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対しても安定なポタージュスープ。
- ポタージュスープの密封容器詰飲料が、50℃以上の温度で、保存或いは流通販売されるものであることを特徴とする請求項9記載の高温耐熱性を有するグラム陽性芽胞形成細菌に対しても安定なポタージュスープ。
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JP2013196123A (ja) * | 2012-03-16 | 2013-09-30 | Ntt Data Corp | パッケージ生成装置、パッケージ生成方法、プログラム |
JP2014505960A (ja) * | 2011-02-17 | 2014-03-06 | ターセーラ, インコーポレイテッド | アプリケーション証明のためのシステムおよび方法 |
JP2015042164A (ja) * | 2013-07-26 | 2015-03-05 | 東洋紡株式会社 | 耐熱性芽胞形成高温細菌の増殖を抑制する方法 |
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2005
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