JP2007097292A - 静電アクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 電極の変位方向に関わりなく、駆動力を出力することができる静電アクチュエータを提供する。
【解決手段】 静電アクチュエータ1は、駆動体3と、該駆動体3に導管5を介して連通する従動体7とを有し、各部に誘電性流体8が封入されている。駆動体3の上面部3aと下面部3bには電極9a、9bが取り付けられており、スイッチ11のオンとオフの切り換えに応じて、電極間の離間間隔が縮小又は拡大し、同時に駆動体3に封入されている誘電性流体8が、流出入口7dから流出又は流入する。それに応じて、従動体7は形状変化する。
【選択図】 図1

Description

静電力を利用したアクチュエータに関し、特に電極間に誘電体を備えるアクチュエータに関する。
従来、精密機械や産業用ロボット等の機械では、電気エネルギーを直線、回転等の運動エネルギーに変換する装置として、磁気力を用いたアクチュエータが多く利用されている。しかし、磁気力を用いたアクチュエータはコイルや永久磁石、電磁ソレノイドを含んで構成されるため、その重量が大きく、小型化、軽量化が困難である。
この点、駆動源として静電力を利用する場合には、重量の大きいコイル等を利用する必要が無くなり、小型化、軽量化の面で有利である。静電力を利用したアクチュエータとして、導電性領域を有する可撓性薄膜を備え、可撓性薄膜の凹み位置を静電力により移動させることにより、駆動力を出力するアクチュエータが提案されている(例えば、特許文献1)。具体的には、このアクチュエータでは、上面が導電性領域を有する可撓性薄膜で構成され、その導電性領域に対向する位置に複数の電極が並んで配置され、この複数の電極と可撓性薄膜との間は誘電体によって満たされている。複数の電極の何れかに電圧が印加され、可撓性薄膜における該電極に対向する部分が静電気力により引き寄せられ、凹み部分が形成される。そして、電圧が印加される電極が順次隣接する電極へと切り替えられることにより、この凹み部分が移動して、駆動力が出力されるようになっている。
特開2005−30499号公報
しかしながら、上記従来の静電アクチュエータでは、順次隣接する電極に切り換えることにより駆動力を得ているため、得られる駆動力の向きは、電極が配置される方向に対して平行な方向に限定されているという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、静電力を利用したアクチュエータであって、電極の変位方向、或いは、配置位置によらず、駆動力の出力方向を設定することができるアクチュエータを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る静電アクチュエータは、少なくとも2つの電極と、前記少なくとも2つの電極間に電位差を生じさせる電位差発生手段と、誘電性流体を収容し形状変化可能な収容部材を有し、前記少なくとも2つの電極が前記収容部材の対向する面に着接され、前記電位差発生手段により生じた電位差による前記少なくとも2つの電極間の離間間隔の変化に応じて、前記収容部材の一部に設けられる流出入口から前記誘電性流体が流出又は流入する駆動体と、前記駆動体に連結されて、前記流出入口からの前記誘電性流体の流出又は流入に応じて形状変化する従動体と、を含むことを特徴とする。
ここで、誘電性流体は、電界において誘電分極する液体や流動性を有する粉体などである。また、駆動体は、概略直方体状や袋状、球状の形状を有するものである。
本発明によれば、駆動体における流出入口から誘電性流体が流出又は流入して、それに応じて、従動体が形状変化するので、従動体の形状が変化する方向を規制したり、駆動体における流出入口の位置を変えることにより、駆動体に着設された電極の変位方向やその着設位置に関わらず、駆動力の出力方向を設定することが出来る。
また、本発明の一態様では、前記電位差発生手段は、前記少なくとも2つの電極間に生じさせる電位差を変化させることを特徴とする。この態様では、電位差発生手段が、電位差を変化させることにより、静電アクチュエータが連続的に又は断続的に駆動力を出力するようになる。
ここで、電位差発生手段は、例えば直流電源であり、スイッチのオン/オフを切り換えることにより、静電アクチュエータは駆動力を断続的に出力することができる。また、電位差発生手段は、例えば交流電源である。この場合には電極がプラス電荷とマイナス電荷を交互に帯びるので、静電アクチュエータは駆動力を断続的に出力する。また、電位差発生手段が電位差を漸次大きく又は小さくする場合には、駆動体が徐々に形状変化するので、静電アクチュエータは連続的に駆動力を出力する。さらに、電位差発生手段がパルス波により電極に印加する電圧を制御するようにして、静電アクチュエータが駆動力を断続的に出力するようにしてもよい。
また、本発明の一態様では、前記駆動体の収容部材の少なくとも一部は、弾性を有することを特徴とする。この態様によれば、駆動体の収縮時或いは膨張時に、駆動体の膨張駆動又は収縮駆動を弾性力により補助することができ、静電アクチュエータの駆動速度を向上することができる。
また、本発明の一態様では、前記少なくとも2つの電極の最大離間間隔を規制する規制手段を備えることを特徴とする。この態様によれば、電極間の離間間隔が過度に大きくなることを規制し、電極間に静電気力が作用しなくなることを防止できる。
また、本発明の一態様では、前記少なくとも2つの電極間の前記離間間隔が縮小した時に、該離間間隔を拡大する方向に、それら電極の少なくともいずれか一方を付勢する付勢手段を備えることを特徴とする。この態様によれば、駆動体が収縮した後、再び膨張する際に、付勢手段が駆動体の膨張駆動を補助するので、静電アクチュエータの駆動速度が向上する。
また、本発明の一態様では、前記従動体は、前記誘電性流体を収容する収容部材を有し、前記従動体の前記収容部材は、前記誘電性流体が流通可能なように前記駆動体と連通して、前記駆動体の流出入口からの前記誘電性流体の流出又は流入に応じて形状変化することを特徴とする。この態様によれば、駆動体と従動体の双方に、同じ誘電性流体を封入するので、静電アクチュエータの構成が簡素化する。
また、本発明の一態様では、前記従動体は、前記誘電性流体とは異なる流体を収容し、前記駆動体の流出入口からの前記誘電性流体の流出又は流入に応じて形状変化する収容部材を有することを特徴とする。この態様によれば、駆動体に封入される誘電性流体と、従動体に封入される流体とに異なる流体を用いることができ、例えば、従動体に封入される流体として、より質量の小さい流体を用いることにより、静電アクチュエータの駆動速度を向上させることができる。
また、これらの態様では、前記従動体は、前記駆動体の流出入口からの前記誘電性流体の流出又は流入に応じて変化した当該従動体の収容部材の形状を回復させる形状回復手段を有するようにしてもよい。形状回復手段が、誘電性流体の流出又は流入に応じて変化した従動体の収容部材の形状を回復させることにより、従動体の形状回復に要する時間が短くなり、静電アクチュエータの駆動速度が向上する。ここで、形状回復手段として、例えば、収容部材に取り付けられ、その形状を回復させる方向に収容部材を付勢するバネなどの弾性部材を用いるようにしてもよい。
また、形状回復手段は、前記従動体の前記収容部材の形状が変化する方向に変位可能に当該収容部材に取り付けられ、互いに対向する少なくとも2つの電極と、当該少なくとも2つの電極に電位差を生じさせる手段とを備えるようにしてもよい。
また、前記従動体の収容部材は、前記駆動体の収容部材に設けられる前記流出入口からの前記誘電性流体の流出又は流入に応じて弾性的に変形するようにしてもよい。こうすれば、誘電性流体が駆動体から流出して駆動体が収縮した後、再び誘電性流体が駆動体に流入して駆動体が膨張する際に、従動体がその弾性力により収縮することで、駆動体の膨張駆動を補助するので、静電アクチュエータの駆動速度が向上する。
また、本発明の一態様では、前記駆動体は、該駆動体の一部をなし、互いに連通する複数の単位駆動部を有し、前記複数の単位駆動部は、それぞれ前記誘電性流体を収容し、前記各単位駆動部の対向する面にはそれぞれ電極が設けられ、前記各単位駆動部の対向する面に設けられた電極間の電位差による、それら電極の離間間隔の変化に応じて、前記誘電性流体が前記複数の単位駆動部の各々から流出又は各々に流入することを特徴とする。
この態様によれば、複数の単位駆動部がそれぞれ駆動するので、駆動体全体における誘電性流体の流出量及び流入量が増加し、静電アクチュエータの可動範囲が拡大する。
また、この態様では、前記駆動体は、前記複数の単位駆動部のそれぞれと前記誘電性流体が流通可能に連通する連通部を有し、前記複数の単位駆動部は、前記連通部を介して互いに連通し、前記駆動体における前記流出入口は、前記連通部に設けるようにしてもよい。このようにすれば、駆動体内の誘電性流体の流通が円滑化され、静電アクチュエータの駆動速度が向上する。
本発明に係る静電アクチュエータを製造する方法は、可撓性を有する電極を、柔軟性を有する収容部材を備える駆動体の当該収容部材の上面部と該上面部に対向する下面部のそれぞれに着設する工程と、前記上面部に着設される前記電極の一部が、前記上面部に着設される前記電極の他の一部に接するように、又は前記下面部に着設される前記電極の一部が、前記下面部に着設される前記電極の他の一部に接するように、前記駆動体を前記電極とともに少なくとも1回折り返す駆動体折り返し工程と、前記駆動体の収容部材の一部に、前記誘電性流体が流出又は流入するための流出入口を形成する工程と、前記駆動体に、前記流出入口から前記誘電性流体の流出又は流入に応じて形状変化する従動体を連結する工程と、前記駆動体及び前記従動体の双方に誘電性流体を封入する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る製造方法によれば、駆動体を電極とともに折り返すことで、電極を層状に設けることができるので、積層する電極を有する静電アクチュエータの製造が簡易になり、その生産性が向上する。
本発明の一態様によれば、前記駆動体折り返し工程では、前記上面部に着設される前記電極の一部が、前記上面部に着設される前記電極の他の一部に接するように前記駆動体を折り返す工程と、前記下面部に着設される前記電極の一部が、前記下面部に着設される前記電極の他の一部に接するように前記駆動体を折り返す工程のそれぞれを少なくとも1回行うことを特徴とする。
この態様によれば、駆動体が複数の電極対を有するようになるので、可動範囲が大きな静電アクチュエータを製造することができる。また、駆動体を電極とともに折り返すことで、複数の電極対を形成することができるので、積層する電極を有する静電アクチュエータの生産性が向上する。
以下、本発明の一実施形態に係る静電アクチュエータについて図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る静電アクチュエータ1の斜視図であり、図2は、図1におけるII−II線断面図である。なお、後述するように静電アクチュエータ1は、その駆動力を任意の方向に設定できるものであり、図1は、鉛直方向に駆動力を出力するようにした静電アクチュエータの例である。
静電アクチュエータ1は、駆動体3と、該駆動体3に導管5を介して連通する従動体7とを有している。駆動体3及び導管5、従動体7は誘電性流体8を液密に収容しており、駆動体3及び導管5、従動体7の内部には誘電性流体8が充満している。誘電性流体8は、電界において誘電分極を生じる流動性を有する物質であり、例えば、水やアジピン酸、安息香酸アンモニウム、アンモニア水等をエチレングリコールなどの溶媒に溶かした溶液などである。
駆動体3は、誘電性流体8を収容する略直方体の袋状の収容部材を備えている。駆動体3の収容部材は柔軟性を有する誘電体、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン等のポリマ素材などで構成される。収容部材の上面部3a及び下面部3bの外面には、電極9a、9bが互いに対向するように着接されている。電極9a、9bは、例えば、銅、銀、アルミニウムなどの金属や、カーボンなどの導電性物質である。電極9a、9bとして、剛性を有する板状の電極や、可撓性を有するペースト状の電極を利用することができる。
上面部3aに着接される電極9aは、スイッチ11を介して電源13のプラス端子に接続されている。電源13のマイナス端子はグランド端子に接続されている。下面部9bに着接される電極9bは、マイナス端子からグランド端子に至るグランド線に接続されている。スイッチ11をオフからオンに切り換えると、電極9aにプラス電荷が蓄積され、電極9bにマイナス電荷が蓄積されて、該電極間に電位差が生じ、静電気力が発生する。
なお、電極9a及び9bの表面における、駆動体3の上面部3a及び下面部3bの外面に接触する面をエッチング等により粗面化することにより、表面積が増大して、電極9aと電極9bの静電容量が増し、電極間の静電気力が増大する。ここでは、電源13として直流電源を用いているが、後述するように交流電源を用いるようにしてもよい。
駆動体3の側面部3cには、誘電性流体8が流入又は流出する流出入口3dが形成されている。この流出入口3dには導管5の一端部が接続されている。導管5は剛性を有し、管状を呈している。導管5の他端部は従動体7に接続されている。
従動体7も、誘電性流体8を収容する略直方体の袋状の収容部材を備えている。従動体7の収容部材の一部は弾性を有し、従動体7は弾性的に変形する。また、従動体7は、導管5を介して駆動体3に連通している。具体的には、図2に示すように、従動体7の収容部材の前側面部7c及び後側面部7i、左右側面部7jは弾性を有し、上面部7a及び下面部7bは剛性を有する部材にて構成されている。ここで、弾性を有する部材として、例えば、ゴムやエラストマーなどを用いることができる。前側面部7cには、導管5が接続される流出入口7hが形成されており、当該流出入口7hから誘電性流体8が従動体7内に流入又は当該従動体7から流出する。なお、従動体7の収容部材全体が弾性を有するようにして、いずれかの面に形状変化の方向を規制するための剛性部材を着接してもよい。例えば、上面部7a及び下面部7bの外面に剛性部材を着接して、上面部7a及び下面部7bの伸縮を規制し、前側面部7c及び後側面部7i、左右側面部7jの伸縮のみを許容するようにしてもよい。
静電アクチュエータ1の動作について説明する。静電アクチュエータ1は、スイッチ11の操作に応じて、駆動体3と従動体7との間で誘電性流体8が移動して、従動体7が弾性変形することにより、駆動力を出力している。すなわち、スイッチ11をオフからオンに切り換えると、電極9a、9bに電圧が印加され、電極間に電位差が生じ、電極間の静電気力により駆動体3の上面部3a及び3bの離間間隔が縮小して、駆動体3が収縮する。このとき、駆動体3内の誘電性流体8の内圧が上昇し、該誘電性流体8は導管5を介して従動体7に流入する。誘電性流体8が流入すると、従動体7の上面部7a及び下面部7bは互いの離間間隔を拡大する方向に移動し、従動体7は弾性的に膨張して、静電アクチュエータ1は鉛直方向に駆動力を出力する(図2(b)参照)。駆動体3と従動体7の誘電性流体8の内圧が等しくなると、誘電性流体8の移動は停止する。その後、スイッチ11をオンからオフに切り換えると、駆動体3の誘電性流体8の内圧が低下し、誘電性流体8は従動体7から駆動体3へ移動する。これにより、駆動体3が膨張するとともに、従動体7は収縮する(図2(a)参照)。
スイッチ11のオン/オフを繰り返すことにより、駆動体3は収縮、膨張を繰り返し、静電アクチュエータ1は断続的に駆動力を出力する。また、上記説明では、電極9a、9bに直流電圧を印加したが、電極9a、9bに交流電圧を印加する場合でも、電極9a、9bはそれぞれ交互にプラス電荷、マイナス電荷を帯びて、静電アクチュエータ1は断続的に駆動力を出力する。さらに、電極9a、9bに印加する電圧を、漸次大きく又は小さくすることにより、駆動体3は徐々に収縮又は膨張するようになり、静電アクチュエータ1は駆動力を連続的に出力する。
静電アクチュエータ1において、駆動体3の収容部材における流出入口3dは、任意の位置に設けることができる。この流出入口3dの位置を変えることにより、静電アクチュエータ1は、電極9a及び9bの変位方向に関わりなく、駆動力の出力方向を任意の方向に設定することができる。例えば、図3に示す静電アクチュエータ1のように、駆動体3における収容部材の下面部3bに流出入口3dを形成する場合には、スイッチ11をオンに切り換えると、従動体7の上面部7a及び下面部7bの離間間隔が水平方向に拡大し、静電アクチュエータ1は水平方向に駆動力を出力する。なお、同図に示す従動体7においても、図1及び図2に示す従動体7と同様に、上面部7a及び下面部7bは剛性を有し、前側面部7c及び後側面部7i、左右側面部7jは弾性を有している。また、流出入口7hは前側面部7cに形成されている。
さらに、図4又は図5に示すように従動体7の形状が変化する方向を規制することにより、電極9a、9bが変位する方向によらず、静電アクチュエータ1は駆動力の出力方向を設定することが出来る。図4は、このような形態に係る静電アクチュエータ1の斜視図であり、図5は図4のV−V線断面図である。この静電アクチュエータ1において、従動体7の誘電性流体8を収容する収容部材7kは、弾性的に伸縮することが可能な部材である。従動体7は、この収容部材7kを内包して、その形状が変化する方向を規制する直管状の形状規制部7Lを備える。この場合において、スイッチ11をオフからオンに切り換えると、収容部材7kが水平方向に延伸し、静電アクチュエータ1は水平方向に駆動力を出力するようになる(図5(b)参照)。なお、図4及び図5に示す静電アクチュエータ1では、従動体7が備える形状規制部7Lは直管状を呈していたが、形状規制部7Lの形状はこれに限られず、従動体7の中央部で屈曲していてもよい。
以上説明した静電アクチュエータ1によれば、駆動体3における流出入口3dから誘電性流体8が流出又は流入するのに応じて、従動体7が形状変化するようにしているので、従動体7の形状が変化する方向を規制することにより、電極9a及び9bが変位する方向に関わらず、駆動力の出力方向を設定することができる。また、駆動体3の収容部材における流出入口3dの位置に応じて、電極9a及び9bが変位する方向に関わらず、駆動力の出力方向を設定することができる。
なお、本発明に係る静電アクチュエータは、以上説明した実施形態に限られず、種々の変形が可能である。
例えば、駆動体3の収容部材を、柔軟性を有する素材で袋状に形成し、その収容部材に可撓性の導電性物資、例えば、カーボン等を含有した導電性インクやプラスチック、銀ペーストなどをからなる2つの電極9a、9bを対向して貼着してもよい。なお、この態様では、電極の周縁部に誘電体である収容部材の表面が露出する部分を設けたり、収容部材の表面において電極9aの周縁部と、電極9bの周縁部との間に絶縁体を取り付けて、駆動体3の収縮時における電極の短絡を防止してもよい。
また、駆動体3又は従動体7の収容部材の少なくとも一部を、弾性を有する部材、例えば、ゴムやエラストマーなどで構成するとともに、誘電性流体8に予め内圧が加わるように、駆動体3及び従動体7内に誘電性流体8を圧入してもよい。この場合、駆動体3は、より大きな静電気力によって、誘電性流体8の内圧に反して駆動することを要する。その結果、その駆動力は、例えば誘電性流体8の自重などの外力に対して相対的に大きくなるので、静電アクチュエータ1の駆動に対する外力の影響を小さくすることが出来る。
また、駆動体3の上面部3aと下面部3bの離間間隔を、規制手段にて所定の最大間隔以下に規制してもよい。図6はこの形態に係る静電アクチュエータの例を示す図である。図6において、静電アクチュエータ1と同一の箇所については同一符号を付している。また、図6(a)は、スイッチ11のオフ時における静電アクチュエータ1aの断面図であり、図6(b)は、スイッチ11のオン時における静電アクチュエータ1aの断面図である。図6に示す静電アクチュエータ1aにおける駆動体3では、規制部材15によって、電極9aと電極9bが、上面部3a及び下面部3bを介して連結されている。規制部材15には、例えば、可撓性を有する糸状部材や、収縮可能なゴム状部材などを用いることができる。こうすることにより、電極9aと電極9bの離間距離が過度に拡大することが防止され、電極間の静電気力が過度に小さくなることが防止される。
また、静電気力により電極9aと電極9bとが接近した時に、電極9aと電極9bの離間間隔が拡大する方向に両者を付勢する付勢部材を、静電アクチュエータ1が備えるようにしてもよい。図7及び図8はこの形態に係る静電アクチュエータの例を示す図である。これらの図において、静電アクチュエータ1と同一の箇所には同一符号を付している。なお、図7(a)及び図8(a)は、スイッチ11のオフ時における静電アクチュエータの断面図であり、図7(b)及び図8(b)は、スイッチ11のオン時における静電アクチュエータの断面図である。
図7に示す静電アクチュエータ1bでは、駆動体3は、上面部3aと下面部3bの離間間隔が縮小した時に伸長力を有するバネ16を備え、このバネ16によって上面部3aの内側面と下面部3bの内側面とを連結している。
また、図8に示す静電アクチュエータ1cでは、駆動体3の側面部3cを、上面部3aと下面部3bの離間間隔が縮小した時に伸長力を有する蛇腹状部材にて構成している。
スイッチ11をオンからオフに切り換えた際に、このような付勢部材は、上面部3aと下面部3bを、それらの離間間隔が拡大する方向に付勢し、駆動体3の膨張駆動を補助する。これにより、駆動体3の膨張速度が増し、静電アクチュエータの駆動速度が向上する。なお、静電アクチュエータ1cでは、従動体7の前側面部7c及び後側面部7i、左右側面部7jは、上面部7aと下面部7bの離間間隔が拡大した時に収縮力を有する蛇腹状部材である。これにより、スイッチ11をオンからオフに切り換えた際に、従動体7は、駆動体3の膨張駆動を補助するように収縮して、静電アクチュエータ1cの駆動速度を向上させる。
以上説明した静電アクチュエータ1a乃至1cによれば、静電アクチュエータ1と同様に、従動体7の形状変化可能な方向を規制することにより、電極9a及び9bが変位する方向に関わらず、駆動力の出力方向を設定することができる。また、駆動体3の収容部材における流出入口3dの位置に応じて、駆動力の出力方向を設定することができる。
次に、複数の電極対を備え、駆動体における誘電性流体8の流出量及び流入量を増大し、より大きな範囲で可動することが可能な静電アクチュエータ10について説明する。図9は、静電アクチュエータ10の斜視図であり、図10は、図9におけるX−X線断面図である。これらの図においても、静電アクチュエータ1と同一の箇所には同一符号を付して、その説明を省略する。
静電アクチュエータ10は駆動体30と従動体7とを含んで構成されている。駆動体30は、電極を挟んで互いに積層し各々収縮、膨張する複数の単位駆動部21と、当該複数の単位駆動部21の全てに連通する連通部22とを有しており、各部には誘電性流体8が充満している。
複数の単位駆動部21は、薄型の略直方体状を呈し、柔軟性を有する収容部材にて構成されている。複数の単位駆動部21は、矩形の上面部21a、及び当該上面部21aに対向する下面部21bをそれぞれ有している。また、各単位駆動部21は後側面部21cと左右側面部21eを有している(図9及び図10参照)。
各上面部21a及び下面部21bには、互いに対向して配置され、剛性を有する電極9a又は電極9bが着接されている。隣接する2つの単位駆動部21の間に配置される電極9a、9bは、単位駆動部21の上面部21aに着接するとともに、当該電極を挟んで当該単位駆動部21に隣接する単位駆動部21の下面部21bに着接している。
層状に配置されている複数の電極のうち、一つ置きに配置される電極9aは電源13のプラス端子に接続されている。同じく一つ置きに配置され、電極9aに隣接する電極9bは、電源13のマイナス端子からグランド端子に至るグランド線に接続されている。
連通部22は、前側面部22aと、当該前側面部22aの縁に連なる左右側面部22bとを有しており、これらは柔軟性を有している。左右側面部22dは、各単位駆動部21の左右側面部21eに連接している。各単位駆動部21はそれぞれ連通部22に連通しており、各単位駆動部21から該連通部22に誘電性流体8が流出し、又は該連通部22から各単位駆動部21に誘電性流体8が流入する。連通部22の前側面部22aの中央近傍に流出入口3dが形成されており、当該流出入口3dには導管5の一端部が接続されている。導管5の他端部は従動体7に接続されている。
従動体7の収容部材の一部は弾性を有している。収容部材における弾性を有する部分が、誘電性流体8の流入又は流出に応じて、膨張又は収縮して、従動体7は弾性的な変形する。具体的には、静電アクチュエータ1と同様に、従動体7の前側面部7c及び後側面部7i、左右側面部7jが弾性を有し、上面部7a及び下面部7bは剛性を有している。導管5、従動体7も誘電性流体8を液密に収容している。
静電アクチュエータ10の動作について説明する。スイッチ11をオフからオンに切り換えると、静電気力により電極9aと9bは互いに接近し、複数の単位駆動部21はそれぞれ収縮する。そして、単位駆動部21内に充満していた誘電性流体8は連通部22側へ流出する。連通部22へ流出した誘電性流体8は、導管5を介して従動体7へ流入する。これにより、従動体7の上面部7aと下面部7bは、互いの離間間隔を拡大する方向に移動し、従動体7は弾性的に膨張して、静電アクチュエータ10は鉛直方向に駆動力を出力する(図10(b)参照)。その後、スイッチ11をオフに切り換えると、各単位駆動部21内の誘電性流体8の内圧は低減し、誘電性流体8は従動体7から駆動体30へ移動し、駆動体30は膨張する(図10(a)参照)。なお、図9及び図10においては、層状に配置されている単位駆動部21を5つ設けているが、単位駆動部の数はこれに限られず、単位駆動部21をさらに増加または減少してもよい。
なお、駆動体30が複数の単位駆動部21を有するようにした場合においても、流出入口3dは駆動体30の収容部材において任意の位置に設けることができる。流出入口3dの位置を変えることにより、静電アクチュエータ10の駆動力の出力方向を、種々の方向へ設定できる。例えば、図11に示す静電アクチュエータ10に示すように、駆動体30において流出入口3dは連通部22の前側面部22aの中央近傍に限られず、前側面部22aの下部に形成し、導管5を鉛直方向に延伸させて、従動体7の上面部7aに流出入口7hを形成してもよい。
また、駆動体30が複数の単位駆動部21を有するようにした場合においても、従動体7の形状が変化する方向を規制することにより、電極9a、9bの変位方向に関わりなく静電アクチュエータ10の駆動力の出力方向を設定することが出来る。例えば、図12(a)に示す静電アクチュエータ10では、図4に示す静電アクチュエータ1と同様に、従動体7の収容部材7kは弾性を有する伸縮可能な部材で構成されるとともに、従動体7は収容部材7kの形状が変化する方向を規制する筒状の形状規制部7Lを備えている。この場合、駆動体30が収縮すると、従動体7は水平方向に延伸するようになり、静電アクチュエータ10は、水平方向に駆動力を出力する(図12(b)参照)。
以上説明した、複数の単位駆動部21を備える駆動体30を駆動させる静電アクチュエータ10によれば、駆動体の体積変化量が増大し、静電アクチュエータの可動範囲が拡大する。
なお、静電アクチュエータ10において、従動体7の収容部材を、伸長した際に収縮力を有する蛇腹状の弾性部材にて構成するようにしてもよい。この場合、スイッチ11をオンからオフに切り換え駆動体3を膨張させる際に、従動体7の収縮力が駆動体30の膨張駆動を補助し、静電アクチュエータ10の膨張速度が向上する。図13は、この形態に係る静電アクチュエータ10aの斜視図であり、図14は、図13におけるXIV−XIV線断面図である。これらの図において、静電アクチュエータ10と同一の箇所には同一符号を付して、その説明を省略する。
静電アクチュエータ10aにおいて、従動体70の一端面の周縁部70fは連通部22の前側面部22aに着設されている。また、連通部22の前側面部22aに対し垂直方向に伸縮可能な従動体70の側面部70dは、蛇腹状であり弾性を有する。スイッチ11をオンにすると、駆動体30が収縮するとともに従動体70の側面部70dが水平方向に弾性的に伸長する(図14(b)参照)。その後、スイッチ11をオフに切り換えると、側面部70dの収縮力により、従動体70は収縮し、駆動体30がより早く膨張するようになる(図14(a)参照)。その結果、静電アクチュエータ10aの駆動速度が向上する。
なお、静電アクチュエータ10aにおいて、連通部22の流出流入口3dに接続される導管5は、従動体7に収容されている。これにより、静電アクチュエータ10a全体がコンパクトに構成される。また、静電アクチュエータ10aの駆動時には、導管5を介して従動体70へ流入する誘電性流体8が、導管5の軸線方向に対して垂直な従動体70の端面部70eを内側から押圧する。これにより、従動体70の膨張速度が向上し、静電アクチュエータ10aの駆動速度が向上する。
また、図15に示す静電アクチュエータ10bのように、導管5が、一方の端面が閉塞された管状の膨縮部材にて構成され、駆動体30と導管5が誘電性流体8を液密に収容する収容空間を形成するようにしてもよい。具体的には、導管50の一端面は壁部50aにて閉塞され、他端面は開口している。当該他端面の開口の縁部50dにおいて、導管50は流出入口3dの縁部に着設される。また、導管50の筒状の側面部50bは弾性を有する伸縮可能な部材で構成される。静電アクチュエータ10bでは、導管5がこのように形成されるため、従動体7に充満する流体17と駆動体3内に充満する誘電性流体8が混合することはなく、従動体7は誘電性流体8とは異なる流体17を収容することが出来る。静電アクチュエータ10bにおいて、例えば、従動体7に充満する流体17に、誘電性流体8に比べ質量の小さい液体を用いることにより、静電アクチュエータ10bの駆動速度を向上させることができる。なお、図15(a)は、スイッチ11のオフ時における静電アクチュエータ10bの断面図であり、図15(b)は、スイッチ11のオン時における静電アクチュエータ10bの断面図である。
さらに、複数の単位駆動部21を有する駆動体30において、複数の単位駆動部21の全てに連通する連通部22を設けることなく、単位駆動部21が、各々当該単位駆動部21に隣接する単位駆動部21に対して連通するようにしてもよい。
図16は、この形態に係る駆動体300を有する静電アクチュエータ10cの斜視図であり、図17は、静電アクチュエータ10cが有する駆動体300の断面図である。これらの図に示すように、概略直方体状の単位駆動部21は、それぞれ誘電性流体8を収容し、積層して配置されている。隣接する単位駆動部21の間には、電極9a又は9bが設けられている。各単位駆動部21は、その一方の側端部に単位連通部21fを有している。単位連通部21fは、各単位駆動部21の下方に配置される単位駆動部21に連通している。そして、各単位駆動部21は、単位連通部21fが設けられる側とは反対側の端部において、当該単位駆動部21の上方に配置される単位駆動部21の単位連通部21fに連通している。なお、最下部に位置する単位駆動部21は、単位連通部21fを有することなく、その上方に配置される単位駆動部21の単位連通部21fに連通している。
つづいて、静電アクチュエータ10cの組み立て方法について説明する。薄型の略直方体状を呈し、流体を収容可能な直方体状の収容部材300aの上面部30a及び下面部30bに、可撓性を有する導電性物質からなる電極9a、9bをそれぞれ着接する(図18参照)。ここで、収容部材300aの上面部30a及び下面部30b、側面部30cは、柔軟性を有する部材にて構成されている。また、可撓性を有する導電性物質からなる電極9a、9bは、例えば、上述したカーボン等を含有した導電性インクやプラスチック、銀ペーストなどである。そして、この収容部材300aを、図16又は図17に示すように、互いに折り重なるように概ね等間隔で複数回折り返す。このとき、電極9aの一部が、電極9aの他の一部に接するようにし、電極9bの一部は、電極9bの他の一部に接するようにして折り返す。
図17に示すように、収容部材300a及び電極のいずれかの位置(ここでは、電極9b及び下面部30b)に、流出入口30dを形成する。この流出入口30dの縁部に導管5の一端部を接続し、導管5の他端部に従動体7を接続する。収容部材300a及び従動体7に誘電性流体8を封入し、各々に誘電性流体8を充満させる。こうして、直方体状の収容部材300aから複数の単位駆動部21を有する駆動体300を形成する。
上面部30aに着接される電極9aを、スイッチ11を介して電源13のプラス端子に接続する。下面部30bに着接される電極9bを、電源13のマイナス端子からグランド端子に至るグランド線に接続する。こうして、静電アクチュエータ10cが形成される。
このように、静電アクチュエータ10cにおける駆動体30を、複数回折り返して形成することにより、電極の数を減少させることができ、配線を簡素化することができる。また、直方体状の収容部材300aを複数回折り返すことにより、複数の単位駆動部21からなる駆動体300を実現できるので、静電アクチュエータの組み立ての生産性が向上する。
さらに、以上説明したような、複数の単位駆動部21を有する駆動体30を備える静電アクチュエータ10において、従動体7が、誘電性流体8が流入し膨張した後に、再び収縮するための電極対(形状回復手段)を備えるようにしてもよい。図19及び図20に示す静電アクチュエータ10dはこの形態に係る静電アクチュエータである。図19は、静電アクチュエータ10dの斜視図であり、図20は、図19のXX−XX線断面図である。
静電アクチュエータ10dは、駆動体30と、導管5を挟んで駆動体30に対して対向するように配置される従動体75とを有している。従動体75は、誘電性流体8を収容し、互いに連通する複数の単位従動部76を有している。従動体75において、複数の単位従動部76は水平方向に並べて配置されている。単位従動部76は、誘電性流体8を収容可能な収容部材を有し、収容部材は互いに対向する対向面部76cと、周縁部において当該対向面部76cに連設され、互いに対向する対向面部76cの間の空間を囲む側面部76aとを有している。単位従動部76の側面部76aは蛇腹状に形成され、単位従動部76はそれぞれ収縮、膨張可能に構成されている。単位従動部76とそれに隣接する単位従動部76との間には、互いに対向し、対向する方向へ移動可能な電極9c又は9dが配置されている。電極9c又は9dは単位従動部76の対向面部76cと、それに隣接する単位従動部76の対向面部76cの双方に着接されている。
電極9cと電極9dは交互に配置されている。電極9cはスイッチ14を介して電源19のプラス端子に接続され、電極9dは、グランド線に接続されている。図20に示すように、対向面部76cと、電極9c及び電極9dには貫通孔76bが形成されており、当該貫通孔76bを流通経路として、各単位従動部76はそれに隣接する単位従動部76に連通している。
静電アクチュエータ10dにおいて、駆動体30は、従動体75と概ね同様の構成をしている。すなわち、駆動体30は、誘電性流体8を収容する複数の単位駆動部21を有している。単位駆動部21は、互いに対向する対向面部21iと側面部21gとを有している。側面部21gは蛇腹状に形成され、単位駆動部21はそれぞれ収縮、膨張可能となっている。単位駆動部21とそれに隣接する単位駆動部21の間には、互いに対向し、対向する方向へ移動可能な電極9a又は電極9bが配置されている。対向面部21iと、電極9a及び電極9bには貫通孔21hが形成されている。複数の単位駆動部21は、貫通孔21hを流通経路として、互いに連通している。
なお、駆動体30が有する電極及び対向面部21iのうち、最も従動体75に近接する位置にある電極(ここでは、9b)と対向面部21iに形成される貫通孔21hには、導管5が接続されている。また、従動体75が有する電極及び対向面部76cのうち、最も駆動体30に近接する位置にある電極(ここでは、9c)と対向面部76cに形成される貫通孔76bにも、導管5が接続されている。また、従動体75の電極9c及び9dのうち、最も駆動体30側に位置する電極(ここでは、9c)と、駆動体30の電極9a及び9bのうち、最も従動体75側に位置する電極(ここでは、9b)は、移動が不能となるように、不図示の支持部材により支持されている。
静電アクチュエータ10dの動作について説明する。駆動体30に接続されるスイッチ11をオンすると、静電気力により単位駆動部21はそれぞれ収縮する。このとき、複数の電極のうち最も従動体75に近接する電極の位置が固定された状態で、駆動体30は収縮し、誘電性流体8が従動体75に流入する。誘電性流体8が流入すると、複数の電極のうち最も駆動体30に近接する電極の位置が固定された状態で、従動体75は膨張する(図20(b)参照)。その後、従動体75に接続されるスイッチ14をオンに切り換えると同時に、スイッチ11をオフに切り換えると、電極9cと9d間の静電気力により各単位従動体76は収縮する。それと同時に、従動体75に収容されていた誘電性流体8は再び駆動体30に流入し、駆動体30は膨張する。このように静電アクチュエータ10dの駆動時には、スイッチ11とスイッチ14はいずれか一方のみをオンし、他方はオフとなるように、それぞれのオン/オフを同時に切り換える。これにより、静電アクチュエータ10dは断続的に駆動力を出力することが出来る。
以上説明した、静電アクチュエータ10a乃至10dによれば、複数の単位駆動部21を有し、それぞれに電極が着接されているので、駆動体30又は300からの誘電性流体8の流出量及び流入量が増大し、静電アクチュエータの可動範囲が拡大する。
なお、以上説明した静電アクチュエータにおいて用いている駆動体をポンプ装置として駆動させることも可能である。
図21は、以上説明した駆動体を用いたポンプ装置の例の断面図であり、図22は、駆動時における該ポンプ装置の断面図である。ポンプ装置50は駆動体51を有し、駆動体51内には誘電性流体8が充満している。駆動体51における誘電性流体8を収容する収容部材は弾性を有する。収容部材の側面部52aと、該側面部52aに対向する位置にある側面部52bの外側には、誘電性流体8が流通する配管56が接続されている。また、側面部52a及び側面部52bには相対する位置に開口52a’、52b’が形成されている。側面部52aの開口52a’には誘電性流体8の流入を許容する逆支弁55aが取り付けられている。また、側面部52bの開口52b’には、誘電性流体8の流出を許容する逆支弁55bが取り付けられている。
駆動体51は、電極9a又は9bを挟んで、互いに積層して配置される複数の単位駆動部53を有しており、各単位駆動部53の上面部53a及び下面部53bには板状の電極9a及び9bがそれぞれ着接されている。なお、隣接する2つの単位駆動部53の間に配置される電極は、下方に位置する単位駆動部53の上面部53aに着接されるとともに、上方に位置する単位駆動部53の下面部53bに着接されている。また、電極9aは、これまで説明した駆動体と同様に、不図示のスイッチを介して電源のプラス端子に接続されている。また、電極9aに隣接して配置される電極9bはグランド線に接続されている。
ここで、ポンプ装置50の駆動について説明する。スイッチがオフからオンに切り換えられると、電極9aにプラス電荷が蓄積されるとともに、電極9bにはマイナス電荷が蓄積される。電極間に電位差が生じ、それによる静電気力により側面部52a及び52bの弾性力に抗して複数の単位駆動部53はそれぞれ収縮する。これにより、駆動体51内に充満していた誘電性流体8の内圧が上昇し、逆支弁55bが開放されて、誘電性流体8が側面部52bの開口52b’から配管56へ流出する(図22(a)参照)。また、スイッチをオンからオフに切り換えると、側面部52a及び52bの弾性力により、駆動体51が膨張する。このとき、駆動体51内の誘電性流体8の内圧が低下し、逆支弁55bが閉鎖されるとともに、逆支弁55aが開放されて誘電性流体8が配管56から流入する(図22(b)参照)。
また、ポンプ装置が、駆動体とともに配管及び逆支弁を有する容器を備え、駆動体が容器に収容されて容器内で駆動することにより、駆動体内に充満している誘電性流体とは異なる流体をも流通させることができる。図23は、この形態に係るポンプ装置50aの断面図であり、図24は、駆動時におけるポンプ装置50aの断面図である。これらの図において、ポンプ装置50と同一の箇所については同一符号を付し、その説明を省略する。
ポンプ装置50aは、絶縁体にて構成される容器57と、駆動体51aとを備えている。容器57の側面部58aには開口58a’が形成されており、側面部58bにおける開口58a’に対向する位置にも開口58b’が形成されている。側面部58aの開口58a’には、容器57への流体の流入を許容する逆支弁55aが取り付けられている。また、側面部58bの開口58b’には、容器57から流体が流出することを許容する逆支弁55bが取り付けられている。なお、側面部58a、58bには、配管56が接続されている。また、容器57内には流体59が充満している。
駆動体51aは、容器57に収容され、上述した駆動体51と同様に、複数の単位駆動部53と電極9a、9bとを備え、内部に誘電性流体8が充満している。また、駆動体51aの側面部52bには、外方へ伸長可能な膨縮部54が形成されており、この膨縮部54は容器57の外側に突出している。具体的には、膨縮部54は、一端面が閉塞した筒状或いは袋状に形成されおり、その側面部54aは伸長可能な部材にて形成されている。容器57の上面部57cには開口57c’が形成されており、膨縮部54は該開口57c’から容器57の外側に突出している。なお、上面部57cに形成される開口57c’の縁部と、膨縮部54の側面部54aとは気密に接合されている。
ここで、ポンプ装置50aの駆動について説明する。スイッチをオンにすると、電極間の静電気力により単位駆動部53がそれぞれ収縮し、誘電性流体8の内圧が上昇し、膨縮部54が膨張する。駆動体51aにおける容器57に収容されている部分の体積が低減することにより、容器57内に充満している流体59の内圧が低下する。これにより、容器57に取り付けられた逆支弁55aが開放され、容器57内に配管56から流体59が流入する(図24(a)参照)。スイッチをオフに切り換えると、駆動体51aの側面部52a、52bの弾性力により、単位駆動部53がそれぞれ膨張する。このとき、膨縮部54は収縮する。また、容器57内の流体59の内圧が上昇することにより、逆支弁55aが閉鎖されるとともに、逆支弁55bが開放され、流体59が容器57から流出する(図24(b)参照)。
なお、以上説明したポンプ装置では、駆動体の側面部が弾性を有して構成されて、側面部の弾性力により駆動体を膨張させていたが、駆動体を膨張させる手段はこれに限られず、例えば、電極間の離間間隔が縮小した時に伸長力を有する弾性部材、例えば、バネなどを上面部53a及び53bに連結するようにしてもよい。
以上説明したポンプ装置によれば、駆動体内に複数の電極を層状に配置し、複数の単位駆動部を有しているので、ポンプ装置が吐出する流量を増加させることができる。
本発明の実施形態に係る静電アクチュエータの斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 上記実施形態に係る静電アクチュエータにおいて、駆動力の出力方向を変化させた静電アクチュエータの斜視図である。 上記実施形態に係る静電アクチュエータにおいて、駆動力の出力方向を変化させた静電アクチュエータの斜視図である。 図4のV−V線断面図である。 本発明の他の実施形態に係る静電アクチュエータの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る静電アクチュエータの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る静電アクチュエータの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る静電アクチュエータの斜視図である。 図9におけるX−X線断面図である。 図9に示す実施形態に係る静電アクチュエータにおいて、駆動力の出力方向を変化させた静電アクチュエータの斜視図である。 図9に示す実施形態に係る静電アクチュエータにおいて、駆動力の出力方向を変化させた静電アクチュエータの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る静電アクチュエータの斜視図である。 図13におけるXIV−XIV線断面図である。 本発明の他の実施形態に係る静電アクチュエータの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る静電アクチュエータの斜視図である。 図16に示す静電アクチュエータが備える駆動体の断面図である。 図16に示す静電アクチュエータが備える駆動体の組み立て前の状態を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る静電アクチュエータの斜視図である。 図19におけるXX−XX線断面図である。 駆動体を利用したポンプ装置の断面図である。 上記ポンプ装置の駆動状態を表す断面図である。 駆動体を利用したポンプ装置の断面図である。 図23に示すポンプ装置の駆動状態を表す断面図である。
符号の説明
1,10 静電アクチュエータ、3,30,51,300 駆動体、5 導管、7,70,75 従動体、9a,9b,9c,9d 電極、11 スイッチ、13 電源、15 収縮部材、16 バネ、21 単位駆動部、22 連通部、30 駆動体、50 ポンプ装置、51 駆動体、52,58 側面部、53 単位駆動部、54 膨縮部、55 逆支弁、56 配管、57 容器。

Claims (14)

  1. 少なくとも2つの電極と、
    前記少なくとも2つの電極間に電位差を生じさせる電位差発生手段と、
    誘電性流体を収容し形状変化可能な収容部材を有し、前記少なくとも2つの電極が前記収容部材の対向する面に着接され、前記電位差発生手段により生じた電位差による前記少なくとも2つの電極間の離間間隔の変化に応じて、前記収容部材の一部に設けられる流出入口から前記誘電性流体が流出又は流入する駆動体と、
    前記駆動体に連結されて、前記流出入口からの前記誘電性流体の流出又は流入に応じて形状変化する従動体と、
    を含むことを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 請求項1に記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記電位差発生手段は、前記少なくとも2つの電極間に生じさせる電位差を変化させる、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  3. 請求項1又は2に記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記駆動体の収容部材の少なくとも一部は、弾性を有する、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記駆動体は、前記少なくとも2つの電極の最大離間間隔を規制する規制手段を備える、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記駆動体は、前記少なくとも2つの電極の前記離間間隔が縮小した時に、該離間間隔を拡大する方向に、それら電極の少なくともいずれか一方を付勢する付勢手段を備える、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記従動体は、前記誘電性流体を収容する収容部材を有し、
    前記従動体の前記収容部材は、前記誘電性流体が流通可能なように前記駆動体と連通して、前記駆動体の流出入口からの前記誘電性流体の流出又は流入に応じて形状変化する、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記従動体は、前記誘電性流体とは異なる流体を収容し、前記駆動体の流出入口からの前記誘電性流体の流出又は流入に応じて形状変化する収容部材を有する、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  8. 請求項6又は7に記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記従動体は、前記駆動体の流出入口からの前記誘電性流体の流出又は流入に応じて変化した当該従動体の収容部材の形状を回復させる形状回復手段を有する、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  9. 請求項8に記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記形状回復手段は、前記従動体の前記収容部材の形状が変化する方向に変位可能に当該収容部材に取り付けられ、互いに対向する少なくとも2つの電極と、当該少なくとも2つの電極に電位差を生じさせる手段と、を備える、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  10. 請求項6又は7に記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記従動体の収容部材は、前記駆動体の収容部材に設けられる前記流出入口からの前記誘電性流体の流出又は流入に応じて弾性的に変形する、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記駆動体は、該駆動体の一部をなし、互いに連通する複数の単位駆動部を有し、
    前記複数の単位駆動部は、それぞれ前記誘電性流体を収容し、
    前記各単位駆動部の対向する面にはそれぞれ電極が設けられ、
    前記各単位駆動部の対向する面に設けられた電極間の電位差による、それら電極間の離間間隔の変化に応じて、前記誘電性流体が前記複数の単位駆動部の各々から流出又は各々に流入する、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  12. 請求項11に記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記駆動体は、前記複数の単位駆動部のそれぞれと前記誘電性流体が流通可能なように連通する連通部を有し、
    前記駆動体における前記流出入口は、前記連通部に設けられる、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  13. 静電アクチュエータを製造する方法において、
    可撓性を有する電極を、柔軟性を有する収容部材を備える駆動体の当該収容部材の上面部と該上面部に対向する下面部のそれぞれに着設する工程と、
    前記上面部に着設される前記電極の一部が、前記上面部に着設される前記電極の他の一部に接するように、又は前記下面部に着設される前記電極の一部が、前記下面部に着設される前記電極の他の一部に接するように、前記駆動体を前記電極とともに少なくとも1回折り返す駆動体折り返し工程と、
    前記駆動体の収容部材の一部に、前記誘電性流体が流出又は流入するための流出入口を形成する工程と、
    前記駆動体に、前記流出入口から前記誘電性流体の流出又は流入に応じて形状変化する従動体を連結する工程と、
    前記駆動体及び前記従動体の双方に誘電性流体を封入する工程と、
    を含むことを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  14. 請求項13に記載の静電アクチュエータを製造する方法において、
    前記駆動体折り返し工程では、前記上面部に着設される前記電極の一部が、前記上面部に着設される前記電極の他の一部に接するように前記駆動体を折り返す工程と、前記下面部に着設される前記電極の一部が、前記下面部に着設される前記電極の他の一部に接するように前記駆動体を折り返す工程のそれぞれを少なくとも1回行う、
    ことを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
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