JP2007092472A - 棟瓦施工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋根頂部の桟瓦とその上の湿式材料を確実に固着させることにより耐震性を向上させ、湿式材料の使用を最小限に抑え棟を軽量化し、また要所に堅牢な骨組み構造を付与して施工後長期に亘り安全で耐久性のある棟瓦施工法を提供する。
【解決手段】屋根頂部の桟瓦にそれぞれ、所定部分が前記桟瓦から上に突出し、この突出部分が屈曲構造を具える釘またはねじを固定し、この釘またはねじを取り巻くように湿式材料を盛り付けることにより、桟瓦と上の台面部とを確実に固着させる。また、複数段載積される熨斗瓦間の湿式材料を部分置きすることにより湿式材料の使用料を減らして棟の重量を軽減する。また、最上段の熨斗瓦の上から、一枚の板状金属材を屈曲してバネ性質を付与したプレート材を被せ、その上からは樹脂材からなる芯材を前記棟に沿って配置し下の桟木に釘で固定することにより、構造体を上から確実に押さえつけて崩落を防止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は棟瓦施工方法に関し、特に、施工後の棟の強度および耐震性を飛躍的に向上させ長期に亘り崩落のおそれのない棟を構築する施工方法に関する。
一般に、瓦屋根の棟部分は熨斗瓦を複数段重ねて構成され、屋根頂部の桟瓦と熨斗瓦の間や格段の熨斗瓦間にはモルタルや漆喰等の湿式材料が充填される(例えば、特許文献1)。熨斗瓦を複数段積み上げる場合には、上段になるにつれ棟の両側に対称的に配置される対の熨斗瓦間を狭めて所謂「ちりをつける」処理が施され、棟の強度および意匠を向上させることが行われている。
また、近年では漆喰等の代わりに予め適切な形状に形成した台材を配置して、これに熨斗瓦を嵌合あるいは係合させて棟瓦を構成する乾式工法が提案されている(例えば、特許文献2)。この技術では、棟の延在方向に伸長した台材を配置し、複数の熨斗瓦をこれに係止させて棟瓦を構築するようにしている。湿式材料を用いずに比較的軽量な乾式材料を用いて棟を構成するため、棟の重量を抑えて強度を向上させることが可能である。
特開平7−119250号公報 特開平11−247364号公報
しかしながら、従来の棟瓦施工法では、屋根頂部の桟瓦とその上に配置される熨斗瓦との固定構造が不十分であり、地震等の振動が加わった際に部材同士の接合面が剥離して棟が崩落してしまうという問題があった。すなわち、出願人の度重なる実験検証により、棟瓦の土台部に漆喰等を用いている従来の棟では、地震の際に屋根頂部の桟瓦とその上の漆喰との接合面が最初に分離してしまうことが判明している。この場合にも棟瓦は棟金具と呼ばれる金具で野地板に留め付けられているが、剥離した漆喰等はその上の棟構造と一体的に屋根から剥がれた状態で大きく揺さぶられることとなり、振動が続けばその後容易に棟が崩壊してしまう。また、崩落しない場合であっても、屋根頂部の桟瓦とその上の漆喰等の間に隙間が生じるため、以降は毛細管現象により雨水が屋根頂部に入り込み野地の腐食など様々な問題を引き起こす原因となる。
一方、予め適宜の形状が付与された土台部材を用いる乾式工法では、その構成によっては上記の問題を回避することが可能であるが、このような乾式材料は漆喰等と比較して高価であり現実的でない場合がある。また、この乾式材料は予め形状が決まっているため使用できる瓦に制限があり、例えば松皮菱熨斗瓦や菱熨斗瓦(ダイヤ熨斗ともいう)など独特の寸法や意匠を施した装飾熨斗瓦を用いる棟には使用できない不都合がある。また、実際の瓦にはその成型や乾燥工程において「ねじれ」と呼ばれる寸法誤差が生じるが、このような乾式材料はねじれに対する許容性が無いあるいは少ないため、用意した熨斗瓦の相当数が使えなかったり、出来上がった棟においてところどころ熨斗瓦が出っ張ってしまったりする問題がある。さらに、乾式材料はその形状および寸法が予め定められているため、複数段積載される熨斗瓦のちりがつけられない、あるいはちりの幅が固定となり、職人の技術を生かした美しい棟を構成できない問題がある。同じ理由から、熨斗積みの段数が制限されるなどの不都合もある。
本発明はこのような問題を解決すべくなされたものであり、屋根頂部の桟瓦とその上の湿式材料を確実に固着させることにより耐震性を飛躍的に向上させるとともに、湿式材料の使用を最小限に抑え棟の軽量化を達成し、また要所に堅牢な骨組み構造を付与して施工後長期に亘り安全で耐久性のある棟瓦施工法を提供することを目的とする。
本発明は、モルタル等の湿式材料を用いて複数段の熨斗瓦を積み上げ棟を構成していく棟瓦施工法において、屋根頂部の桟瓦からそれぞれ係合部材を上方に突出させ、当該係合部材を取り巻くよう前記湿式材料を盛りつけて熨斗瓦の土台を形成する工程を具えることを特徴とする。
この工法において、前記係合部材は前記屋根頂部の桟瓦に設けられた貫通口を通り下の部材に固定される屈曲した釘またはねじであることが有効である。
さらに、前記係合部材を固定する際に前記桟瓦の貫通口をコーキング材で閉塞する工程を具えることが有効である。
また、本発明は、モルタル等の湿式材料を用いて複数段の熨斗瓦を積み上げ棟を構成していく棟瓦施工法において、前記複数段の熨斗瓦を積み上げる際に、下の段に並べられた熨斗瓦の継ぎ目部分に部分的に湿式材料を盛って上段の熨斗瓦を載置する工程を具えることを特徴とする。
また、本発明は、モルタル等の湿式材料を用いて複数段の熨斗瓦を積み上げ棟を構成していく棟瓦施工法において、前記複数段の熨斗瓦を積み上げた上から、両端部を斜め下側に屈曲した板状金属材または円弧状に形成した発泡樹脂材でなる耐震部材を被せて固定する工程を具えることを特徴とする。
さらに、本発明は、モルタル等の湿式材料を用いて複数段の熨斗瓦を積み上げ棟を構成していく棟瓦施工法において、
(a)屋根の棟線に間隔を空けて複数の棟金具を固定する工程と、
(b)屋根頂部の桟瓦にそれぞれ、所定部分が前記桟瓦から上に突出し、この突出部分が屈曲構造を具える釘またはねじを固定する工程と、
(c)前記釘またはねじを取り巻くように湿式材料を盛り付ける工程と、
(d)前記棟金具に、棟線に沿って延在し好ましくは樹脂材からなる第1の芯材を固定する工程と、
(e)前記湿式材料の上に棟を挟んで対称をなすよう対の熨斗瓦を載置し、該熨斗瓦に設けられた貫通口に上から釘を通して下の湿式材料に係止させる工程と、
(f)前記棟の延在方向において部分的に、あるいは前記棟の延在方向全面に亘り湿式材料を盛る工程と、
(g)必要に応じて前記(e)と(f)とを繰り返す工程と、
(h)最上段の熨斗瓦の上から、一枚の板状金属材を屈曲してバネ性質を付与したプレート材または円弧を描くように成形した発泡樹脂材でなる耐震部材を被せ、下の心材に固定する工程と、
(i)当該耐震部材の上から、好ましくは樹脂材からなる第2の芯材を前記棟に沿って配置し、下の芯材に釘またはねじで固定する工程と、
(l)最頂部に丸瓦等の冠瓦を載置し、前記第2の芯材に釘またはねじで固定する工程と、を具えることを特徴とする。
前記(g)の工程は、必要に応じて上下の熨斗瓦間の間隔を確保するためのスペーサを配置する工程を含んでもよい。
さらに、前記耐震部材材または前記第2の芯材の上から、これらの部材および最上段の熨斗瓦間の隙間をカバーする寸法の防水粘着シートを貼着する工程を具えることが有効である。
また、必要に応じて棟の高さ方向中間部に好ましくは樹脂材からなる第3の芯材を棟に沿って配置し、下の芯材に釘またはねじで固定する工程を具えることが有効である。
また、前記複数段の熨斗瓦のうち任意の1以上の段の熨斗瓦が、装飾熨斗瓦であってもよい。
本発明はさらに、前記複数段積載される熨斗瓦の中間層に複数段の松皮菱瓦の層を構成する工程を具え、当該工程が、
(1)下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って前記松皮菱瓦ほぼ1つ分の幅の間隔で、棟に直交する方向に複数の短桟木を配置し下の芯材に釘またはねじで固定する工程と、
(2)前記下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って湿式材料を盛り付ける工程と、
(3)前記固定した短桟木に中心を合わせ、松皮菱瓦をそれぞれ棟に直交する向きで横に並べるステップと、
(4)隣接する松皮菱瓦の脚部に端縁が重なるように短桟木を棟に直交する方向に配置し、下の芯材または短桟木に釘またはねじで固定するとともに、前記短桟木を取り囲むように湿式材料を盛り付ける工程と、
(5)必要に応じて前記(3)と(4)とを繰り返す工程と、
(6)最上段の松皮菱瓦の頂部に棟に沿って芯材を渡し、最上段の松皮菱瓦のそれぞれ頂部の上から下の短桟木に釘またはねじで固定する工程とを具えることを特徴とする。
あるいは、前記複数段積載される熨斗瓦の中間層に複数段の青海波瓦の層を構成する工程を具え、当該工程が、
(イ)下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って前記青海波瓦ほぼ1つ分の幅の間隔で、棟に直交する方向に複数の短桟木を配置し下の芯材に釘またはねじで固定する工程と、
(ロ)前記下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って湿式材料を盛り付ける工程と、
(ハ)前記固定した短桟木に中心を合わせ、青海波瓦をそれぞれ棟に直交する向きで横に並べる工程と、
(ニ)ここで並べた青海波瓦と互い違いとなるよう上の段の青海波瓦を棟に直行する向きで横に並べる工程と、
(ホ)上の段の隣接する青海波瓦の脚部に端縁が重なるように短桟木を棟に直交する方向に配置し、下の短桟木に釘またはねじで固定する工程と、
(ヘ)上の段の青海波瓦の頂部に棟に沿って芯材を渡し、上の段の青海波瓦のそれぞれ頂部の上から下の短桟木に釘またはねじで固定する工程とを具えることを特徴とする。
あるいは、前記複数段積載される熨斗瓦の中間層に輪違い瓦の層を構成する工程を具え、当該工程が、
(あ)下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って前記輪違い瓦ほぼ1つ分の幅の間隔で、棟に直交する方向に複数の短桟木を並べて下の芯材に釘またはねじで固定する工程と、
(い)前記下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って湿式材料を盛り付ける工程と、
(う)前記固定した短桟木間のほぼ中央に、凹部を上に向けた輪違い瓦をそれぞれ棟に直交する向きで横に並べ、下の芯材に釘またはねじで固定する工程と、
(え)隣接する輪違い瓦をまたぐように凹部を下に向けた輪違い瓦をそれぞれ棟に直行する向きで横に並べる工程と、
(お)必要に応じて、(え)で並べた輪違い瓦の上に凹部を上に向けた輪違い瓦を配置し、ここで配置した輪違瓦をまたぐように凹部を下に向けた輪違い瓦を配置する工程と、
(か)最も上の隣接する輪違い瓦の脚部に端縁が重なるように短桟木を棟に直交する方向に配置し、下の短桟木に釘またはねじで固定する工程と、
(き)最上段の輪違い瓦の頂部に棟に沿って芯材を渡し、最上段の輪違い瓦のそれぞれ頂部の上から下の短桟木に釘またはねじで固定する工程とを具えることを特徴とする。
本発明の棟瓦施工法では、棟瓦の土台部分において、屋根頂部の桟瓦からそれぞれ係合部材を上方に突出させ、これを取り巻くようにモルタル等の湿式材料を盛り付けるようにしたため、湿式材料が係合部材に係合した状態で固化し、以降に地震等の振動を受けても湿式材料が桟瓦から剥離することなく強固に保持され、耐震性・耐久性を飛躍的に向上させた棟瓦を提供することができる。また、棟瓦土台部分の湿式材料をその下の桟瓦に確実に固着させておくことができるため、振動や経年変化によりこの部分に隙間が生じることがなく、雨水等による屋根頂部の腐食が防止される。この係合部材は、例えば平板桟瓦固定用のL字型に屈曲したダブルロック釘(商品名)を好適に応用することができ、これを桟瓦の貫通口に挿入して容易に用いることができる。
また、本発明の棟瓦施工法では、熨斗瓦の上に湿式材料を全面ではなく部分的に盛り付けて上の熨斗瓦を積載していくため、湿式材料の使用料が少なくなり、棟の重量を軽減して崩れにくい棟構造を提供することができる。
また、本発明の施工法では、最上段の熨斗瓦をバネ性質を付与した金属プレートまたは円弧を描くように成形した発泡樹脂材でなる耐震部材で押さえるようにしているため、地震等の振動を吸収して壊れにくい棟構造を提供することができる。
また、本発明の施工法では、通常の工程では熨斗瓦間にスペーサを配置しないでよいが、施工時間が限られており湿式材料の硬化を待てない場合等には熨斗瓦間にスペーサを配置して、前述したプレート材で熨斗瓦を押さえつけたときにも潰れないようにすれば、短期間で棟瓦を完成することができる。
さらに、最上段の熨斗瓦を耐震部材で固定した上から防水テープを貼着するようにすれば、施工後にもこの部分から雨水が棟内部に入り込むのが確実に防止され、長期に亘り耐久性のある棟構造として崩落を確実に防止することができる。
また、本発明の施工法では棟の軽量化と強度の飛躍的向上を達成できるため、熨斗瓦を例えば7段以上積み上げることが可能となるが、このような場合に熨斗瓦の中間層に適宜追加の芯材を配設することにより、耐震性・耐久性を落とさずに棟構造を上へ伸ばしていくことができる。また、同じ要領で耐震性・耐久性を落とさずに熨斗瓦の中間層に装飾熨斗瓦を適用することもできる。ここで、装飾熨斗瓦は熨斗瓦の外側端面に模様が象られているものをいい、後述する透かし化粧棟の棟込瓦とは区別された概念として把握されるべきものである。装飾熨斗瓦の例として、雨切熨斗瓦、菱熨斗瓦(ダイヤ熨斗瓦)、松皮菱熨斗瓦、木の葉熨斗瓦、青海波熨斗瓦、三角波熨斗瓦等がある。
さらに、本発明の棟瓦施工法は、松皮菱、輪違い、青海波等の棟込瓦を使用した透かし化粧を施した透かし化粧組棟に応用することができる。例えば、好ましくは樹脂材からなる短い桟木を棟と直交する方向に等間隔で複数設置し、この短桟木に松皮菱瓦の中心を合わせて配置して上から釘等で固定するとともに、隣接する松皮菱瓦の脚部に重なるように更に短桟木を配置して下の桟木に固定すると、各松皮菱瓦がその中央頂部と両方の脚部にて下の桟木に確実に固定された状態となる。本発明の方法によれば使用する湿式材料を最小限として棟の重量を低減させるとともに、耐震性を向上させた透かし化粧組棟を提供することができる。
本発明を実施するための最良の実施形態について図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる、熨斗瓦4段・丸瓦1枚積みの棟瓦の断面状態を示す図である。屋根の上には桟瓦31が葺かれており、屋根頂部に棟瓦1が構成される。棟瓦1は、概略するとモルタル等の湿式材料で形成される台面部11と、その上に複数段積載される熨斗瓦12と、最上段に被せられる丸瓦13とで構成され、その中央には棟金具14と、これに保持される第1の芯材15と、最上段の熨斗瓦12aを上から抑える耐震プレート16と、これを固定するとともに丸瓦13が固定される第2の芯材17とを具えている。屋根頂部の桟瓦31からは上方に係合部材18が突出しており、これが台面部11の骨となる。各段の熨斗瓦間には必要に応じて適宜のスペーサ19が配設される。耐震プレート16は、金属プレートの両端部を斜め下側に屈曲させてなり、この構成からバネ作用を具え、最上段の熨斗瓦12aを下側に付勢する。芯材15,17は好ましくは硬化させた発泡樹脂製の角材であり、軽量且つ加工が容易で、耐久性があり、さらに適度なクッション性を有する。ただし、これらの芯材は木材など他の材質のものを用いてもよい。芯材の太さや長さは適用する棟の大きさ、長さ等の実施環境を勘案して適宜決定される。実際の施工においてこれらの芯材は、2本以上の角材を継いで構成してもよい。
この棟瓦1の施工法を以下に詳細に説明する。まず、屋根において最上段の桟瓦31を配置する前に、図2に示すように、屋根頂部に複数の棟金具14を棟方向にほぼ等間隔で固定する。棟金具14は、棟を挟んだ屋根勾配に沿って延在する逆Y字型の脚部と、芯材15を受ける保持部とを具えており、市販されている棟金具を用いることができる。
次に、屋根頂部の桟瓦31を葺設してから、各桟瓦31の上端部に設けられている貫通口にそれぞれ係合部材18を打ち付ける(図1参照)。この係合部材18は図3(a)に示すようにL字型に屈曲したステンレス釘でなり、ほぼ中央に径の拡がった鍔部41と、その上側に3−5cm程突出するL字部42とを具えている。鍔部41の下側は先端が尖った釘またはねじとして構成されており、桟瓦31の下に延在する棟桟木21に刺衝される。L字型の上面は扁平に形成されており、上から金槌などで打ち込みやすくなっている。また、鍔部41の直ぐ下にはゴムパッキン43が貫挿されており、桟瓦31の貫通口に打ち込んだときにこの穴が塞がれる。この係合部材18を桟瓦31の貫通口に挿入して下の棟桟木21に固定すると、鍔部41およびゴムパッキン43により桟瓦31が押さえられ長期に亘り確実に固定される。さらに、桟瓦の貫通口にはコーキング材を充填して、後にこの貫通口から雨水等が移動しないようにする。この係合部材18は屋根に平板桟瓦を敷設する際にその端部を係止して以降にめくれるのを防止する用途で市販されているダブルロック釘を好適に用いることができる。ただし、係合部材18はこの構成のものに限らず、図3(b)に示すように上端部が湾曲していてもよく、その他の形状であってもよい。係合部材18は、最低限桟瓦31に打ち付けたときに有意の部分が桟瓦31の上に突出するものであればよく、この限りにおいて先端部が屈曲あるいは湾曲していることは必須の構成ではない。
次に、この係合部材18を取り巻くようにモルタル等の湿式材料を盛り付け、台面部11を形成する。これにより係合部材18が湿式材料の骨子となり、下の桟瓦31を確実に固定するとともに、台面部11が桟瓦31と強固に固着し、地震等の振動を受けても台面部11が桟瓦31から剥がれたりすることがなくなる。なお、図1に示すように台面部31には適宜瓦片32を混入させてもよい。台面部31を形成したら、棟金具14に第1の芯材15を架設する。上述のとおり本実施例の芯材15は硬質の発泡樹脂からなる角材であり、必要に応じて2以上継いで棟全体に亘る長さに構成される。
次に、台面部11の上に、最下層の対の熨斗瓦12dを載置する。この作業は、下の湿式材料が硬化する前に行われる。図1に示すように、最下段の対の熨斗瓦12d同士の間隔は広くとられており、上の段になるに伴い熨斗瓦同士の間隔を狭めて構成される(所謂、ちりをつける)。また、熨斗瓦12dの内側端部近傍に設けられている貫通口に銅釘33を挿入し、下の台面部11に係止させる。さらに、対の熨斗瓦12dを互いに銅線で緊結してもよい。
次に、上の段の熨斗瓦12cを載置する準備を行う。本発明では、下の熨斗瓦12dの上に湿式材料を全面的ではなく部分置きして、さらに必要に応じてスペーサ19を配置してから上の段の熨斗瓦12cを載置し、熨斗瓦12cの貫通口から銅釘を下の湿式材料に挿入する。図4はこの工程を説明する図である。本図に示すように、下の熨斗瓦12dの上に、棟方向において全面ではなく部分的に湿式材料が盛り付けられており、この上に上の熨斗瓦12cが載置される。湿式材料は、横に並べられた熨斗瓦同士の継ぎ目に盛り付けるようにする。このようにモルタル等の湿式材料を部分置きとすると、全面に盛り付ける従来例と比べて湿式材料の使用量が格段に少なくなり、棟の重量を軽減させることができる。また、後の工程において上から耐震プレート16や第2の芯材17などの部材を釘またはねじで第1の芯材15に固定する際に、部分置きされた湿式材料の間に釘等を通して打ち付けることが可能となる。
図5は、必要に応じて配置されるスペーサ19の構成を示す斜視図である。このスペーサ19は樹脂材を成型してなり、1つが幅約2−5cm、長さ約5cmに構成される。このスペーサ19は最上段の熨斗瓦12a上から耐震プレート16で押さえつける際に、棟が潰れてしまわないように設けるものである。スペーサ19の後端部は下側に屈曲しており、図1に示すように、この屈曲部を熨斗瓦12の内側端部に引っかけて使用される。これは以降にスペーサ19が何らかの原因により屋根の流れ方向に移動するのを防止するための構成である。前述のように、スペーサ19は必須の構成要素ではなく、熨斗瓦の積載から丸瓦の固定までを同日に行わねばならないような場合に用いられる。そうでない場合は、熨斗瓦を最上段まで積載したら一晩放置して硬化を待ち、耐震プレート16を固定する。なお、スペーサ19の形状は図5のものに限らず、上下の熨斗瓦の間隔を確保できる限りにおいて様々な形状・構成のものを用いることができる。例えば適当な高さを有するナットを用いてもよい。
この作業を繰り返し、熨斗瓦12を必要な段数積み上げていく。前述したように、上になるにつれ棟を挟んだ対の熨斗瓦間の間隔を狭めて、ちりをつけていく。図1には熨斗瓦を4段積む例を示しているが、これは3段以下であっても、5段以上であってもよい。なお、例えば7段以上積む場合などは、後述する実施例のように、適宜の中間層において更なる第1の芯材を棟方向に延在させる。なお、熨斗瓦を積み上げていく際には、各段の熨斗瓦の継ぎ目が一直線上にならないよう、互い違いに配置する。
最上段の対の熨斗瓦12aまで積み終わったら、望ましくは一晩放置して、湿式材料を固化させる。その後、最上段の熨斗瓦12aの上から耐震プレート16を被せる。耐震プレート16は例えば長さ10−15cm、幅5−10cm程度のステンレス等の金属プレートの両端部約1〜2cm程度を図1に示すようにそれぞれ約45度下側に屈曲して構成され、その中央には釘またはねじを通す穴が設けられている。この耐震プレート16は棟を挟んで設けられる対の熨斗瓦ごとに棟に直交する向きで配置され、これらの耐震プレート16をまとめて第2の芯材17で上から押さえ、芯材17の上から釘で下の第1の芯材15に打ち付けて固定する。これにより、耐震プレート16の中央部が少し撓んだ状態となり、バネ作用により熨斗瓦12が常に下側に付勢される。また、耐震プレート16は地震の際に熨斗瓦12側からの力を受けても屈曲部分が上側に撓んで振動を吸収する。これにより、地震等の振動に強い棟を構成することができる。図6は、耐震プレート16および芯材17を固定した状態の棟を示す斜視図である。
必須の構成ではないが、耐震プレート16および第2の芯材17の上から、さらに防水テープ35を貼着する。この防水テープ35は例えば幅5−15cm程度の薄い帯状の樹脂フィルムの片面に接着剤を設けて構成されており、棟方向に長く延在し、熨斗瓦12a間の隙間を総て覆うように貼着される。これにより施工後に熨斗瓦の頂部から棟瓦内に雨水が浸入するのが防止される。最後に、上の丸瓦13を被せ、対の熨斗瓦12aの上の第2の芯材17に釘またはねじで固定する。以上の工程により、軽量で丈夫な棟瓦を構築することができる。
図7および図8を用いて、上述した棟瓦施工法の別の実施例を説明する。本実施例は、松皮菱熨斗瓦を用いた化粧棟の施工法に関する。図7が完成した棟の側面図であり、図8がその構成を説明するための概略断面図である。図7に示すように、本実施例の棟瓦は、屋根の桟瓦31の上に通常の熨斗瓦を3枚積載した後、その上に3枚の松皮菱熨斗瓦を積み、さらにその上に通常の熨斗瓦を2枚積んで、最後に丸瓦を被せて構成される。
図8の概略断面図を用いて、本実施例の棟瓦の施工法を説明する。本実施例は図1に示す棟瓦と基本的に同じ工程を具えるが、熨斗瓦の中間層に3枚の松皮菱熨斗瓦51を用いる点と、最上段の松皮菱熨斗瓦51aの上に追加の芯材52を配設している点で異なる。本図において、図1と同じ要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。初期工程として、屋根の頂部に棟金具14を固定し、屋根頂部の桟瓦31を配設し、係合部材18を打ち込んでから、モルタル等の湿式材料で台面部11を形成する。その上に、熨斗瓦12を3段積載する。各熨斗瓦間には湿式材料を部分置きし、必要に応じてスペーサ19を配置する。これらの工程は図1の実施例とまったく同じである。
次に、3段目の熨斗瓦12eの上に湿式材料を部分置きし、その上に松皮菱熨斗瓦51を3段積載する。松皮菱熨斗瓦間の湿式材料も部分置きであり、必要に応じてスペーサ19を設ける。なお、松皮菱熨斗瓦についてはその端部が同一面上になるよう、所謂ちりをつけずに配置する。各段の松皮菱熨斗瓦も銅釘で下の湿式材料に係止され、同じ段の松皮菱熨斗瓦同士は銅線で緊結するようにしてもよい。
次に、最上段の松皮菱熨斗瓦51aの上に、棟方向に更なる第1の芯材52を配置し、下の芯材15に釘で固定する。その後、芯材52の両脇に湿式材料を盛り付け、必要に応じてスペーサ19を配置し、上に通常の熨斗瓦12を載置する。この場合の湿式材料は部分置きでなく、棟方向に全面的に盛るようにする。さらにその上に湿式材料を部分置きし、必要に応じてスペーサ19を配置し、最上段の熨斗瓦12を配置し、銅釘で下の湿式材料に係止する。図8に示すように、松皮菱熨斗瓦51を挟んで積載される熨斗瓦12にはちりがつけられる。最上段の熨斗瓦12を積んだら、耐震プレート16および第2の芯材17を固定し、最終的に丸瓦13を被せて芯材17に釘で固定する。この工程は図1に示す実施例と同じである。
本実施例に示すように、松皮菱熨斗瓦などの種類の異なる熨斗瓦を用いる場合であっても、棟の軽量化を達成するとともに、耐震性を飛躍的に向上させた棟瓦を施工することができる。係合部材18を用いているため桟瓦31が確実に固定されるとともに、地震の際に台面部11が桟瓦31から剥がれることがなく、また上から耐震プレート16および芯材17,52で衝撃を吸収しつつ熨斗瓦を確実に押さえ込むよう固定しているため、振動を受けても棟が崩壊するようなことがない。本発明の施工法は、本実施例のように通常より多くの段数を設けて構成される棟構造において特に有益となる。なお、本実施例では松皮菱熨斗瓦を用いた棟瓦を説明したが、松皮熨斗の代わりに、外側面に菱形の意匠が施された菱熨斗瓦(ダイヤ熨斗ともいう)、外側端部の一部が下方に延在する雨切熨斗瓦、外側面に木の葉模様の突起物が設けられた木の葉熨斗瓦、同じく青海波模様の青海波熨斗瓦、三角模様の三角波熨斗瓦等の装飾熨斗瓦を用いる場合であっても、まったく同じ工程で棟瓦を施工することができる。
図9以降を用いて、本発明にかかる棟瓦の施工法の更なる実施形態について説明する。図9は、棟込瓦松川菱を用いた透かし化粧組棟の構成を示す側面図である。図9に示すように、本実施例の棟瓦は、桟瓦を葺いた屋根頂部に熨斗瓦12を3段積み、その上に松皮菱61をそれぞれ棟に直交する向きに横に並べて3段積み上げ、その上に再び熨斗瓦12を2段積載して上に丸瓦13を被せて構成される。この構成を達成する乾式工法はなく、湿式材料を大量に用いるため棟の重量が増し、また高い位置まで棟が積み上げられるため振動による影響が大きくなり、耐震性に欠けるものであった。本発明ではこのような組棟の構造を強化するとともに、可能な限り湿式材料の使用料を減らして棟の重量を軽減させる耐震工法を提供する。
この棟瓦の施工法を以下に説明する。初期工程として、屋根頂部に棟金具14を固定し、湿式材料で台面部11を形成し、その上に3段の熨斗瓦を積載する。ここまでの工程は図1および図8に示す実施例とまったく同じであり、その説明は省略する。また、棟に組み込む松皮菱にはいずれもその頂点中央部にドリル等で釘またはねじを貫通する穴を設けておく。
その後、図10に示すように、固定した熨斗瓦12の上に、棟に沿ってほぼ松皮菱1つ分の幅の等間隔で、棟に直交する方向に短く切った桟木62を配置し、それぞれ下の芯材15に釘またはねじで固定する。この短桟木62は好ましくは硬質の発泡樹脂を高さ1.5cm、幅3cm程度の角材として成形し、長さ8cm程度に切断したものを用いる。次に、固定した熨斗瓦12の上に、棟に沿ってモルタル等の湿式材料を盛り付ける。これは部分置きではなく、連続的に湿式材料を設けていく。次に、先ほど固定した短桟木62に中心を合わせ、松川菱61をそれぞれ棟に直交する向きで1cm程度の間隔を空けて横に並べる。次に、隣接する松皮菱61の脚部に端縁が重なるように長さ8cm程度の短桟木(符号63で示す)を棟に直交する方向に配置し、下の芯材15に釘で固定する。図11はこの状態を示す図である。本図に示すように、隣接する2つの松川菱61の脚部をまとめて上から押さえ込むように短桟木63が配置され、下の芯材15に釘またはねじで固定される。その後、この短桟木63を取り囲む領域にのみ湿式材料を盛り付ける(図9参照)。これにより、短桟木63で押さえ込む松川菱61が確実に固定され、また短桟木63を周囲環境から遮断して劣化を防止することができる。
次に、図9に示すような互い違いの位置関係で上の段の松皮菱61を並べ、隣接する2つの松川菱61の脚部に端縁が重なるように短桟木63を配置し、下の短桟木63に釘またはねじで固定する。この場合、釘等は下の段の松川菱の中央頂部に予め設けられた貫通口を通過し、図10で固定した短桟木62に刺さることになる。これにより、今固定した短桟木63の両側の松川菱の脚部が上から押さえ込まれるとともに、下の段の松川菱がその頂部において上から押さえ込まれる。ここで固定した短桟木63の周囲にも湿式材料を盛り付け、これを必要な段数分繰り返す。
このようにして松川菱61を載置固定したら、図12に示すように、最上段の松川菱の頂部に棟に沿って長い芯材65を渡し、各松川菱の頂部中央に釘またはねじを打ち付け下の短桟木63に固定する。本図に示すように、最上段の松川菱61の上の隙間には湿式材料を充填する。これは、その上に積載される熨斗瓦12が安定するよう土台を形成するためである。その後、図8に示す第2実施例のように、さらに上に熨斗瓦12の層を2段設け、耐震プレート16および芯材17で棟全体を押さえつけた後、丸瓦13を被せて固定する。これは第2実施例において松皮菱熨斗瓦51aの上に2段の熨斗瓦を積載し仕上げる工程とまったく同じであり、その詳細な説明は省略する。なお、丸瓦13を被せる前に防水テープ35を設けるようにしてもよい。
このように松皮菱を用いた透かし化粧組棟を施工することにより、軽量で、耐震性および耐久性に富み、施工が簡単で、安価かつ容易な棟構造を得ることができる。なお、図9に示すように側面からは松皮菱の隙間にステンレス釘が見えるが、地上からこの棟を見上げた場合には殆ど見えることはなく、棟瓦の外観を損なうことはない。
図13は、図12に示す透かし化粧組棟の変形例の構成を示す側面図である。本実施例は青海波組棟であり、湾曲した瓦を横に並べることにより波の意匠が表現されている。この組棟の施工においては、まず、図10と同様にして、熨斗瓦12を3段積載した後、ほぼ青海波瓦1つ分の幅の間隔で短桟木62を棟に直行する向きで横に並べ、下の芯材(第1の芯材15)に固定する。次に、固定した熨斗瓦12の上に、棟に沿ってモルタル等の湿式材料を連続的に盛り付ける。次に、先ほど固定した短桟木62に中心を合わせ、青海波瓦66をそれぞれ棟に直交する向きで1cm程度の間隔を空けて横に並べる。なお、青海波瓦66の頂部中央には予めドリル等で貫通口が設けられている。
次に、図13に示すような互い違いの位置関係で上の段の青海波瓦66を並べ、隣接する2つの青海波瓦66の脚部に端縁が重なるように短桟木67を配置し、下の短桟木62に釘またはねじで固定する。この場合、釘等は下の段の青海波瓦の中央頂部に設けられている貫通口を通過し、下の短桟木62に刺さることになる。その後は上記松皮菱と同様に、熨斗瓦を2段積層して耐震プレート16および芯材17で押さえ、丸瓦を固定する。
図14は、透かし化粧組棟の更なる実施例の構成を示す側面図である。本実施例は輪違い組棟であり、図に示すように断面半円状の棟込瓦を上下互い違いに配置して意匠を構成している。この組棟の施工法を以下に説明する。まず、図10と同様にして、熨斗瓦12を3段積載した後、ほぼ輪違い瓦1つ分の幅の間隔で短桟木62を棟に直行する向きで横に並べ、下の芯材(第1の芯材15)に固定する。次に、固定した熨斗瓦12の上に、棟に沿ってモルタル等の湿式材料を連続的に盛り付ける。次に、図14に示すように、輪違い瓦71aの凹部を上向きにして、隣接する短桟木62のほぼ中央となる位置に、棟に直行する向きにして複数配置し、その中央底部に設けられた貫通口から下の芯材(第1の芯材15)に釘またはねじで固定する。なお、輪違い瓦の頂部中央には予め釘またはねじ用の貫通口を設けておくものとする。
次に、図に示すように、隣接する下の輪違い瓦71aをまたぐように上の輪違い瓦71bを凹部を下向きにして配置する。次に、ここで配置した輪違い瓦71bの上にこれと上下反対向きに上の段の輪違い瓦71cを載置し、同様にこれらをまたぐようにその上の輪違い瓦71dを下向きに配置する。次に、最も上に被せた輪違い瓦71dの隣接する脚部にまたがるように短桟木72を棟に直行する方向に配置し、輪違い瓦71d、71cを貫通させて下の短桟木62に釘またはねじで固定する。その後、図12と同様にして輪違い瓦71dの上に湿式材料を盛り付け、その上から棟に沿って芯材65を架設し、下の短桟木72に釘またはねじで固定する。その後は上述の実施例と同様に、熨斗瓦を2段積層して耐震プレート16および芯材17で押さえ、丸瓦を固定する。
なお、図13では輪違い瓦の上下組み合わせを2列載積しているが、これは一列であってもよい。その場合、図13に示す最下層の輪違い瓦71aと、最上層の輪違い瓦71dとに用いた固定方法を用いて棟を構成することは自明である。また、輪違い瓦を3列以上積載することも可能である。
本発明の棟瓦施工法の実施形態をいくつか説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、他の様々な変更を施すことができる。例えば、熨斗瓦、松皮菱熨斗瓦、松皮菱瓦、上の芯材などを下の芯材や短桟木に固定するのに釘を用いる他、先端が尖ってねじ切りされたスクリュねじを用いてもよい。また、上述したように熨斗瓦や松皮菱熨斗瓦、松皮菱等の段数は何ら制限するものではなく、熨斗の中間層に2段あるいは4段以上の装飾熨斗瓦あるいは棟込瓦の層を設けるようにしてもよい。
また、上述した実施例では最上段の熨斗瓦の上に金属プレートの両端を屈曲させた耐震プレートを被せて熨斗瓦を押さえつけているが、この金属プレートは、例えば図15に示すように、円弧を描くように成形した発泡樹脂材でなる耐震部材を用いてもよい。この耐震部材は衝撃を吸収しうる硬度の発泡樹脂材を円弧状に、幅約10cm、長さ約2m程度に形成したものである。この耐震部材を棟に沿って熨斗瓦の上に被せ、下の心材に固定する。このように構成しても、積載された熨斗瓦を好適に押さえ込むとともに、地震等の衝撃を吸収することができる。
本発明にかかる棟瓦施工法は、陶器製の瓦屋根を扱う建設業,製瓦業,屋根施工業で好適に利用することができる。
本発明の第1実施例に係る棟瓦の構成を示す概略断面図である。 屋根頂部に棟金具15を固定する工程を説明する斜視図である。 係合部材18の構成を示す図である。 モルタル等の湿式部材を部分置きする工程を説明する図である。 スペーサ19の実施例を示す斜視図である。 最上段の熨斗瓦の上に耐震プレート16および芯材17を固定した状態を示す図である。 本発明の第2実施例による棟瓦の構成を示す側面図である。 本発明の第2実施例による棟瓦の構成を示す概略断面図である。 本発明の第3実施例による棟瓦の構成を示す側面図である。 熨斗瓦の上に短桟木62を固定する工程を示す図である。 隣接する松皮菱の脚部に重なるように短桟木63を配設する工程を示す図である。 松皮菱の最上段に芯材65を渡した状態を示す図である。 本発明の第4実施例による棟瓦の構成を示す側面図である。 本発明の第5実施例による棟瓦の構成を示す側面図である。 耐震部材の代替例の構成を示す図である。
符号の説明
1 棟瓦
11 台面部
12 熨斗瓦
13 丸瓦
14 棟金具
15,17,52 芯材
16 耐震プレート
18 係合部材
19 スペーサ
21 棟金具固定用桟木
31 桟瓦
33 銅釘
35 防水テープ
51 松皮菱熨斗瓦
61 松皮菱瓦
66 青海波瓦
71 輪違い瓦
62,63,67,72 短桟木

Claims (13)

  1. モルタル等の湿式材料を用いて複数段の熨斗瓦を積み上げ棟を構成していく棟瓦施工法において、屋根頂部の桟瓦からそれぞれ係合部材を上方に突出させ、当該係合部材を取り巻くよう前記湿式材料を盛りつけて熨斗瓦の土台を形成する工程を具えることを特徴とする棟瓦施工法。
  2. 請求項1に記載の棟瓦施工法において、前記係合部材は前記屋根頂部の桟瓦に設けられた貫通口を通り下の部材に固定される屈曲した釘またはねじであることを特徴とする棟瓦施工法。
  3. 請求項2に記載の棟瓦施工法において、さらに、前記係合部材を固定する際に前記桟瓦の貫通口をコーキング材で閉塞する工程を具えることを特徴とする棟瓦施工法。
  4. モルタル等の湿式材料を用いて複数段の熨斗瓦を積み上げ棟を構成していく棟瓦施工法において、前記複数段の熨斗瓦を積み上げる際に、下の段に並べられた熨斗瓦の継ぎ目部分に部分的に湿式材料を盛って上段の熨斗瓦を載置する工程を具えることを特徴とする棟瓦施工法。
  5. モルタル等の湿式材料を用いて複数段の熨斗瓦を積み上げ棟を構成していく棟瓦施工法において、前記複数段の熨斗瓦を積み上げた上から、両端部を斜め下側に屈曲した板状金属材または円弧状に形成した発泡樹脂材でなる耐震部材を被せて固定する工程を具えることを特徴とする棟瓦施工法。
  6. モルタル等の湿式材料を用いて複数段の熨斗瓦を積み上げ棟を構成していく棟瓦施工法において、
    (a)屋根の棟線に間隔を空けて複数の棟金具を固定する工程と、
    (b)屋根頂部の桟瓦にそれぞれ、所定部分が前記桟瓦から上に突出し、この突出部分が屈曲構造を具える釘またはねじを固定する工程と、
    (c)前記釘またはねじを取り巻くように湿式材料を盛り付ける工程と、
    (d)前記棟金具に、棟線に沿って延在し好ましくは樹脂材からなる第1の芯材を固定する工程と、
    (e)前記湿式材料の上に棟を挟んで対称をなすよう対の熨斗瓦を載置し、該熨斗瓦に設けられた貫通口に上から釘を通して下の湿式材料に係止させる工程と、
    (f)前記棟の延在方向において部分的に、あるいは前記棟の延在方向全面に亘り湿式材料を盛る工程と、
    (g)必要に応じて前記(e)と(f)とを繰り返す工程と、
    (h)最上段の熨斗瓦の上から、一枚の板状金属材を屈曲してバネ性質を付与したプレート材または円弧状に形成した発泡樹脂材でなる耐震部材を被せて下の芯材に固定する工程と、
    (i)当該耐震部材の上から、好ましくは樹脂材からなる第2の芯材を前記棟に沿って配置し、下の芯材に釘またはねじで固定する工程と、
    (l)最頂部に丸瓦等の冠瓦を載置し、前記第2の芯材に釘またはねじで固定する工程と、を具えることを特徴とする棟瓦施工法。
  7. 請求項6に記載の棟瓦施工法において、前記(g)の工程は、必要に応じて上下の熨斗瓦間の間隔を確保するためのスペーサを配置する工程を含むことを特徴とする棟瓦施工法。
  8. 請求項6または7に記載の棟瓦施工法において、さらに、前記耐震部材または前記第2の芯材の上から、これらの部材および最上段の熨斗瓦間の隙間をカバーする寸法の防水粘着シートを貼着する工程を具えることを特徴とする棟瓦施工法。
  9. 請求項6乃至8のいずれかに記載の棟瓦施工法において、必要に応じて棟の高さ方向中間部に好ましくは樹脂材からなる第3の芯材を棟に沿って配置し、下の芯材に釘またはねじで固定する工程を具えることを特徴とする棟瓦施工法。
  10. 請求項6乃至9のいずれかに記載の棟瓦施工法において、前記複数段の熨斗瓦のうち任意の1以上の段の熨斗瓦が、装飾熨斗瓦であることを特徴とする棟瓦施工法。
  11. 請求項6乃至8のいずれかに記載の棟瓦施工法において、さらに、前記複数段積載される熨斗瓦の中間層に複数段の松皮菱瓦の層を構成する工程を具え、当該工程が、
    (1)下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って前記松皮菱瓦ほぼ1つ分の幅の間隔で、棟に直交する方向に複数の短桟木を配置し下の芯材に釘またはねじで固定する工程と、
    (2)前記下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って湿式材料を盛り付ける工程と、
    (3)前記固定した短桟木に中心を合わせ、松皮菱瓦をそれぞれ棟に直交する向きで横に並べるステップと、
    (4)隣接する松皮菱瓦の脚部に端縁が重なるように短桟木を棟に直交する方向に配置し、下の芯材または短桟木に釘またはねじで固定するとともに、前記短桟木を取り囲むように湿式材料を盛り付ける工程と、
    (5)必要に応じて前記(3)と(4)とを繰り返す工程と、
    (6)最上段の松皮菱瓦の頂部に棟に沿って芯材を渡し、最上段の松皮菱瓦のそれぞれ頂部の上から下の短桟木に釘またはねじで固定する工程とを具えることを特徴とする棟瓦施工法。
  12. 請求項6乃至8のいずれかに記載の棟瓦施工法において、さらに、前記複数段積載される熨斗瓦の中間層に複数段の青海波瓦の層を構成する工程を具え、当該工程が、
    (イ)下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って前記青海波瓦ほぼ1つ分の幅の間隔で、棟に直交する方向に複数の短桟木を配置し下の芯材に釘またはねじで固定する工程と、
    (ロ)前記下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って湿式材料を盛り付ける工程と、
    (ハ)前記固定した短桟木に中心を合わせ、青海波瓦をそれぞれ棟に直交する向きで横に並べる工程と、
    (ニ)ここで並べた青海波瓦と互い違いとなるよう上の段の青海波瓦を棟に直行する向きで横に並べる工程と、
    (ホ)上の段の隣接する青海波瓦の脚部に端縁が重なるように短桟木を棟に直交する方向に配置し、下の短桟木に釘またはねじで固定する工程と、
    (ヘ)上の段の青海波瓦の頂部に棟に沿って芯材を渡し、上の段の青海波瓦のそれぞれ頂部の上から下の短桟木に釘またはねじで固定する工程とを具えることを特徴とする棟瓦施工法。
  13. 請求項6乃至8のいずれかに記載の棟瓦施工法において、さらに、前記複数段積載される熨斗瓦の中間層に輪違い瓦の層を構成する工程を具え、当該工程が、
    (あ)下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って前記輪違い瓦ほぼ1つ分の幅の間隔で、棟に直交する方向に複数の短桟木を並べて下の芯材に釘またはねじで固定する工程と、
    (い)前記下の層の熨斗瓦の上に、棟に沿って湿式材料を盛り付ける工程と、
    (う)前記固定した短桟木間のほぼ中央に、凹部を上に向けた輪違い瓦をそれぞれ棟に直交する向きで横に並べ、下の芯材に釘またはねじで固定する工程と、
    (え)隣接する輪違い瓦をまたぐように凹部を下に向けた輪違い瓦をそれぞれ棟に直行する向きで横に並べる工程と、
    (お)必要に応じて、(え)で並べた輪違い瓦の上に凹部を上に向けた輪違い瓦を配置し、ここで配置した輪違瓦をまたぐように凹部を下に向けた輪違い瓦を配置する工程と、
    (か)最も上の隣接する輪違い瓦の脚部に端縁が重なるように短桟木を棟に直交する方向に配置し、下の短桟木に釘またはねじで固定する工程と、
    (き)最上段の輪違い瓦の頂部に棟に沿って芯材を渡し、最上段の輪違い瓦のそれぞれ頂部の上から下の短桟木に釘またはねじで固定する工程とを具えることを特徴とする棟瓦施工法。
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