JP2007092386A - 戸閉具及び引戸の戸閉装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 引戸を戸閉側端部に強制的に引き寄せるとともに、その戸閉終了間際における引戸の速度が適正に減速され良好な戸閉動作にする戸閉具及び引戸の戸閉装置を提供すること。
【解決手段】 ケーシング１と、弾性部材２と、液圧ダンパ３と、トリガ基部５と，トリガ本体部６と，押圧スプリング８を備えたトリガＡとからなること。ケーシング１内に、弾性部材２と液圧ダンパ３のピストンロッド３ｂとを同一軸線上に対向させて、前記弾性部材２と液圧ダンパ３とが装着されること。トリガ基部５は、前記弾性部材２とピストンロッド３ｂとの対向箇所に装着され、トリガＡは前記ケーシング１前方にて仮停止状態となると共に、トリガ本体部６の揺動により前記仮停止状態が解除されてなること。
【選択図】 図１

Description

本発明は、食器棚，本棚，陳列棚等の種々の収納家具，キャビネット又は部屋の間仕切りにおける引戸において、特に引戸の戸閉側端部付近に近接させることで、その引戸を戸閉側端部に強制的に引き寄せるとともに、その戸閉終了間際における引戸の速度が適正に減速され良好な戸閉動作にすることができる戸閉具及び引戸の戸閉装置に関する。

従来より下記特許文献１等に見られるような引戸装置が存在している。そして食器棚，本棚，陳列棚等の種々の収納家具には、ガラス窓を備えた引戸が装着されることが多い。この引戸は、小さい間口の収納家具であれば間口箇所の上下にガイドレールが形成され、ガラス板の上下端部がそのガイドレールに挿入された極めて簡単な構造のものでよい。しかし、高級な家具や高級なキャビネットでは、引戸の開き及び閉めの動作にも重厚且つ上品であることが要求される。特に、大型の家具又は部屋の仕切りとして使用される引戸は、特に大型となり、それゆえに、引戸自体の重量も極めて大きくなる。
特開２００２−１３８７３９号

このような大型の引戸は、その重量が重いため、引戸が一旦，移動し始めるとその勢いにより、キャビネットの枠に大きな衝撃を有して衝突状に当接するおそれがある。このような状態は、家具の品質を低下させ、高級家具やキャビネットの特性として相応しいものとはいえない。さらに、部屋の仕切りとして使用される引戸においても、動作に静粛さが要望されるものであり、前述したように大きな衝撃を有して戸当たりに衝突状に当接するおそれがあり、このような引戸は、高級な室内では、決して相応しいものとはいえない。また、前述したような引戸の戸閉側端部における戸閉の衝突状態を防止しようとすると、結局，引戸の戸閉動作の勢いをなるべく小さくすることになり、それゆえに引戸の戸閉状態が不完全なものになりやすい。

このようなことも家具の品質を低下させる原因となる。さらに、引戸の戸閉動作における緩衝機能を有するものでは、その装置が大型化することが多く、それゆえに戸閉装置が引戸装置の外部に露出してしまい、余分なスペースを必要とし、且つその外観も損なうことになる。また、引戸を開けるときに、把手の位置によっては、引戸には移動方向にモーメントがかかり、引戸がガイドレールに対して傾斜してしまうことがあり、開閉動作が安定しにくいことがありうる。

このため、本発明が解決しようとする課題（技術的課題又は目的等）は、戸閉終了間際における引戸の速度を適正に減速させて、引戸開閉時における動作を良質なものとし、さらにその戸閉装置の取付けスペースを僅かなものとし、装置の組付けも極めて簡単にすることを実現することである。

そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意，研究を重ねた結果、請求項１の発明を、被係止部が形成されたケーシングと、弾性部材と、該弾性部材の弾性力を減少させる抵抗力を発生するピストンロッドを備えた液圧ダンパと、トリガ基部と，該トリガ基部に枢支連結されると共に前記被係止部と係止する係止部が形成されたトリガ本体部と，前記基部とトリガ本体部との間に設けられ前記係止部を前記被係止部に係止させる方向に弾性付勢する押圧スプリングを備えたトリガとからなり、前記ケーシング内に、前記弾性部材と前記ピストンロッドとを同一軸線上に対向させて、前記弾性部材と液圧ダンパとが装着され、前記トリガ基部は、前記弾性部材とピストンロッドとの対向箇所に装着され、前記トリガは前記係止部と前記被係止部との係止により前記ケーシング前方にて仮停止状態となると共に、前記トリガ本体部の揺動により前記仮停止状態が解除されてなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。

次に、請求項２の発明は、前述の構成において、前記トリガ基部は、前記液圧ダンパのピストンロッド側に固着されてなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。請求項３の発明は、前述の構成において、前記トリガ基部は、前記弾性部材２側に固着されてなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。

請求項４の発明は、前述の構成において、前記液圧ダンパにはピストンロッドを常時、突出させる復帰スプリングが内装されてなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。請求項５の発明は、前述の構成において、前記ケーシングは、ガイドレールと該ガイドレールに沿って移動する引戸となる引戸装置の前記ガイドレール側に装着され、引戸側には前記戸閉具のトリガに嵌合すると共に、前記トリガ本体部を揺動させるピン部材が設けられてなる引戸の戸閉装置としたことにより、上記課題を解決したものである。

請求項１の発明によれば、本発明における戸閉具は、ケーシング内に、前記弾性部材と前記ピストンロッドとを同一軸線上に対向させて、前記弾性部材と液圧ダンパとが装着され、前記トリガ基部は、前記弾性部材とピストンロッドとの対向箇所に装着されるので、そのケーシングは略角軸形状であり、極めてコンパクトにすることができ、引戸装置の僅かなスペースに容易に装着することができるものである。さらにトリガは弾性部材と液圧ダンパのピストンロッドの対向箇所に配置されるので、トリガの動作が確実に行われ、誤動作が生じにくいものにできる。

また、シリンダ筺体部とピストンロッドと液体から構成された液圧ダンパを使用して、前記コイルスプリングの弾性力による移動速度を低減させるものであり、引戸の移動速度の減速が良好に行なわれるものである。さらに、引戸の移動速度を減速させるために、往復型液圧ダンパを使用することで、極めて簡単な構成とすることができ、その動作も確実なものにできる。

請求項２の発明によれば、前記トリガ基部は、前記液圧ダンパのピストンロッド側に固着されたことにより、トリガはそのピストンロッドの出没動作によって、より一層、安定した移動動作を行うことができる。次に、請求項３の発明によれば、前記トリガ基部は、前記弾性部材側に固着されるので、トリガを仮停止解除状態から仮停止状態にするために、ケーシング前方に移動させるときに、液圧ダンパからの抵抗を受けることがないので、トリガを素早く仮停止状態にすることができるものである。

次に、請求項４の発明によって、液圧ダンパにはピストンロッドを常時、突出させる復帰スプリングを内装したことにより、トリガが仮停止解除状態から仮停止状態となるように、トリガをケーシング前方に移動させるときに、前記復帰スプリングの弾性力が加わり、素早く仮停止状態にすることができるものである。

次に、請求項５の発明によれば、本発明における戸閉具が引戸装置に装着されることによって、引戸をスムーズに開閉でき、特に高級な家具やキャビネット等の引戸装置として使用した場合に引戸の動作が極めて良好であり、且つ戸閉完了時は極めて静かである。また引戸を戸閉側端部に強制的に引き寄せ、その戸閉終了間際における引戸の速度が適正に減速され良好な戸閉動作とすることができる。しかも、戸閉具は形状がコンパクトであり、ガイドレールも小型にすることができ、ひいては、省スペース化に寄与することができる。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず本発明における戸閉具は、図１，図３,図４及び図５等に示すように、主にケーシング１，弾性部材２，液圧ダンパ３及びトリガＡ等とから構成されている。また本発明における引戸装置では、前記戸閉具と共に引戸１０とその上下に配置されるガイドレール１１及びガイド走行部１２が構成部材として加わるものである（図２参照）。そして、これらは、キャビネットの引戸として構成されたり、部屋の仕切り用の引戸として使用される。

その戸閉具は、前記ケーシング1は、図５（Ａ）乃至（Ｄ）に示すように、略角柱形状とした筺体形状に形成されたものである。ここで、図５（Ａ）はトリガ仮停止状態の戸閉具の側面図、図５（Ｂ）はトリガ仮停止状態の戸閉具の平面図、図５（Ｃ）はトリガ仮停止状態の戸閉具の側面図、図５（Ｄ）はトリガ仮停止状態の戸閉具の平面図、図５（Ｅ）は戸閉具の正面図である。

そのケーシング１には、筋状又は直線状の貫通孔としたガイド孔部１ａが形成されている〔図５（Ｂ）参照〕。また、前記ケーシング１の前記ガイド孔部１ａの前方側には、被係止部１ｂが形成されている。該被係止部１ｂは、貫通孔として形成されたものであり、後述するトリガＡに形成された係止部６ａが係止する部位となっている〔図５（Ｄ）参照〕。前記ケーシング１は、その内部に弾性部材２と、液圧ダンパ３とがほぼ１直線上に並ぶようにして装着されている〔図１（Ｂ），図３（Ａ），図４（Ａ）等参照〕。そのケーシング１は、筺体部１ｃとカバー部１ｄとから構成されたものである（図６参照）。

そして、前記筺体部１ｃには、仕切り部１ｅによって、弾性部材室１ｆと、液圧ダンパ室１ｇに区分けされている（図６参照）。前記仕切り部１ｅは、板片形状をなしており、後述する液圧ダンパ３のピストンロッド３ｂが通過する切欠溝が形成されている。前記ガイド孔部１ａ及び被係止部１ｂは、その筺体部１ｃに形成されている（図６参照）。さらに前記筺体部１ｃとカバー部１ｄについては、前記筺体部１ｃ内部に前記弾性部材２，液圧ダンパ３及びトリガＡ等を適正に装着した後、前記筺体部１ｃにカバー部１ｄを被せて閉じる。

実際には、弾性部材室１ｆに前記ガイド孔部１ａ及び被係止部１ｂがそれぞれ形成されている。その筺体部１ｃとカバー部１ｄとの接合固定は、いずれか一方側に爪状片が形成され、他方側にその爪状片が嵌合する凹みが形成され、筺体部１ｃとカバー部１ｄとが接合固定されたり、或いは筺体部１ｃとカバー部１ｄとが直接接着剤等により、固着されるものであってもかまわない。

次に、弾性部材２は、具体的には、コイルスプリングであって、その弾性部材２の長手方向が前記ケーシング１の長手方向に沿って弾性部材室１ｆに配置される。この弾性部材２は、圧縮タイプのコイルスプリングで、後述するトリガＡを前記ケーシング１の前方側から後方側に向かって弾性力によって押圧するものである。

次に、液圧ダンパ３は、図６に示すように、主にシリンダ筺体部３ａとピストンロッド３ｂから構成される。そのシリンダ筺体部３ａ内には、液体が充填されており、特に粘性のある液体が好適である。その液体は、具体的にはオイルやグリス等である。また、粘性のある液体であれば、前記材質，物質に限定されない。そのシリンダ筺体部３ａは、これらの液体が漏れることのないように密封性を有したものである。

さらに、シリンダ筺体部３ａ内には、復帰スプリング３ｄが装着され、前記ピストンロッド３ｂがシリンダ筺体部３ａから常時突出した状態に維持されるように弾性的に付勢されている（図１７の点線部参照）。そして、前記ピストンロッド３ｂがシリンダ筺体部３ａ内に一旦引き込んでも、前記復帰スプリング３ｄによって、直ぐに元の突出状態に戻って復帰することができる。

この液圧ダンパ３は、ピストンロッド３ｂが通常（トリガＡが仮停止状態のとき）は、図１（Ｂ），図３（Ａ）及び図４（Ａ）に示すように突出した状態であり、このピストンロッド３ｂがシリンダ筺体部３ａに引き込む動作を行なう場合には、内部に充填された液体や復帰スプリング３ｄが抵抗力Ｔとなり、前記弾性部材２の弾性力Ｆを減少させ、これによってトリガＡの戸閉方向の速度を減少させ、前記ケーシング１の後方側移動させる役目をなすものである（図１８参照）。

このように前記弾性部材２の弾性力Ｆは、前記トリガＡを戸閉側すなわちケーシング１の後方側に移動させるものであり、前記液圧ダンパ３の抵抗力Ｔによって、前記弾性力Ｆから前記抵抗力Ｔを差し引いた戸閉力Ｐにより、前記トリガＡを戸閉側すなわち前記ケーシング１の後方側に移動させるものである。その引戸１０は、図１８に示すように、これを支持するガイド走行部１２と共に、Ｆ−Ｔ＝Ｐによる力にて移動するものであり、また図１９に示すように、引戸１０の初速Ｖｎをガイド走行部１２がトリガＡに係止した状態から戸閉が完了するまでの戸閉力Ｐによる低速な速度Ｖｍとすることができる。

ここで、戸閉側及び戸開側について説明すると、その戸閉側とは引戸１０を閉める場合に移動する方向であり、図１において左側から右側に向かう方向である。また戸開側とは、開く場合に移動する方向であり、図１（Ａ）において、右側から左側に向う方向である。さらに、前記ケーシング１においては、図１（Ｂ）に示すように、右側寄りが戸閉側であり、左側寄りが戸開側である。

次に、トリガＡは、図７，図８に示すように、トリガ基部５とトリガ本体部６と押圧スプリング８とから構成され、前記トリガ基部５とトリガ本体部６とは枢支連結されている。この枢支連結構造は、ピン７により行われている。そのトリガ基部５は、従動片５ａと連結片５ｂとから構成されている。前記従動片５ａは、前記ケーシング１内に収納される部位であり、前記弾性部材２と液圧ダンパ３のピストンロッド３ｂのロッド先端３ｃとの対向箇所に略挟持されるようにして配置される（図３，図４参照）。

前記従動片５ａは、略円筒形状に形成されており、その円筒軸新方向が前記弾性部材２の長手方向及び液圧ダンパ３のピストンロッド３ｂの長手方向に沿うようにして配置される。具体的には、前記トリガ基部５の従動片５ａは、前記ピストンロッド３ｂのロッド先端３ｃに固着されたり、或いは弾性部材２の長手方向先端に固着されている。さらに、この場合に前記トリガ基部５及び前記ピストンロッド３ｂのロッド先端３ｃには、いずれか一方側に突起が形成され、他方に穴が形成され、これらによって位置合わせができるようにすることもある〔図３（Ｂ）参照〕。

また、前記トリガ基部５と弾性部材２との連結では、前述したように、トリガ基部５に突起が形成されて、コイルスプリングとした前記弾性部材２の長手方向端部に圧入状態で連結固着することもある〔図４（Ｂ）参照〕。また、前記トリガ基部５と、前記ピストンロッド３ｂのロッド先端３ｃが共に合成樹脂により形成されたものであれば、前記トリガ基部５と前記ロッド先端３ｃとが接着剤によって接着固定される。また、前記連結片５ｂは、トリガ本体部６と枢支連結する部位である。その連結片５ｂは、帯板状に形成され、その下端箇所は略円弧形状に形成されている〔図７（Ａ）及び図８（Ａ）,（Ｂ）参照〕。

そのトリガ本体部６は、係止部６ａと嵌合部６ｂとを有している。前記係止部６ａと嵌合部６ｂとは、その長手方向において略反対側の位置関係となるように形成されている。まず、その係止部６ａの形成側には傾斜面６ｇが形成されている〔図７（Ａ）,（Ｂ）及び図８（Ａ），（Ｂ）参照〕。該傾斜面６ｇは、そのトリガ本体部６が揺動して、トリガＡの仮停止状態が解除するとき、前記ケーシング１の外面に近接又は略接触状態となる部位である〔図３（Ａ）,図３（Ｂ）参照〕。また、この傾斜面６ｇは、前記ケーシング１のガイド孔部１ａの幅寸法よりも広くなるように形成されている。

次に嵌合部６ｂは、トリガ突起片６ｃと案内突起片６ｄと嵌合凹部６ｅとから構成されている。そして、前記ケーシング１にトリガＡが装着された状態で、前記トリガ突起片６ｃは、前記ケーシング１の後方側（戸閉側）に位置し、また前記案内突起片６ｄは、前記ケーシング１の前方側（戸開側）に位置するものである（図３、図４及び図５等参照）。前記トリガ突起片６ｃには、後述するピン部材１３が当接且つ押圧される部位で、そのピン部材１３との当接且つ押圧によって、前記トリガ本体部６は、前記係止部６ａがケーシング１の被係止部１ｂから抜け出すように揺動することになる（図１１参照）。

また、前記案内突起片６ｄは、前記トリガ突起片６ｃに当接したピン部材１３をそのトリガ突起片６ｃと当接する反対側に位置して、ピン部材１３を戸閉方向に移動させるものである。前記トリガ突起片６ｃと案内突起片６ｄとは突起形状となっており、そのトリガ突起片６ｃと案内突起片６ｄとの間に窪み形状とした嵌合凹部６ｅとなっている。すなわち、この嵌合凹部６ｅに前記ピン部材１３が収納されるようになっている（図１２,図１３及び図４等参照）。

前記トリガ基部５とトリガ本体部６との枢支連結箇所の付近には、図３（Ｂ）,図４（Ｂ）,図７及び図８等に示すように、押圧スプリング８が装着されている。該押圧スプリング８は、板スプリングが使用され、前記トリガ基部５の連結片５ｂとトリガ本体部６の平坦状面６ｆとの間に装着されたものである。この押圧スプリング８は、前記トリガ基部５に対して、トリガ本体部６の係止部６ａがケーシング１に形成された被係止部１ｂに係止する方向に弾性付勢させる役目をなすものである。すなわち、前記トリガＡが仮停止状態を維持したり、或は仮停止解除状態から仮停止状態となるように、前記トリガＡをケーシング１の被係止部１ｂ付近に移動させたときに、前記係止部６ａが確実に前記被係止部１ｂに係止することができるようにしたものである。

そのトリガ本体部６は、通常の状態では、図１（Ｂ），（Ｃ）及び図３（Ａ）,（Ｂ）に示すように、その係止部６ａがケーシング１の被係止部１ｂに係止している。このとき、前記弾性部材２は、長手方向に収縮し、長手方向に伸びようとする弾性力Ｆを有している。そして、前記トリガＡは、前記弾性部材２の弾性力Ｆに抗して仮停止状態となる。この仮停止状態とは、多少の振動等では動作しないものである。

この仮停止状態は、後述する引戸１０に装着されたピン部材１３が前記トリガ突起片６ｃに当接して、このトリガ突起片６ｃを押圧することによって、前記係止部６ａが被係止部１ｂから外れて、仮停止状態が解除され、前記トリガＡがケーシング１の前方側から後方側に向かって移動する〔図４（Ａ）,（Ｂ）参照〕。このとき前記トリガ突起片６ｃと案内突起片６ｄとの間の嵌合凹部６ｅに前記ピン部材１３が収まる状態となり〔図４（Ｂ）参照〕、前記案内突起片６ｄにより、前記ピン部材１３がケーシング１の後方側に移動される。

これによって、引戸１０の弾性部材２による戸閉動作が行われる。ここで、コイルスプリングとした前記弾性部材２の弾性力Ｆは、前記液圧ダンパ３によって生じる抵抗力Ｔよりも大きいことが条件であるが、その弾性力Ｆと抵抗力Ｔとの差は、引戸１０の戸閉速度に対応して適宜に設定される（図１８参照）。

次に、本発明における戸閉具を装着する引戸装置について説明する。その構成は、図２（Ａ）に示すように、引戸１０，ガイドレール１１，ガイド走行部１２及びピン部材１３とから構成されたものである。前記ピン部材１３は、ガイド走行部１２に装着されている。そして、戸閉動作では、図９乃至図１２に示すように、前記ピン部材１３が仮停止状態となっている前記トリガＡのトリガ突起片６ｃと当接且つ押圧し、その嵌合凹部６ｅに前記ピン部材１３が嵌合すると共に、前記トリガ本体部６の係止部６ａがケーシング１の被係止部１ｂから外れる。これによって、前記トリガＡの仮停止状態が解除され、前記ピン部材１３はケーシング１の前方側から後方側に移動し、このピン部材１３と共にガイド走行部１２及び引戸１０が前記戸閉力Ｐによって戸閉方向に移動することができる。

前記ガイド走行部１２は、図９に示すように、引戸１０をガイドレール１１に沿って移動させる役目をなすものである。そのガイドレール１１は、前記引戸１０の上方に位置し、１本又は複数本のレールが形成されている〔図２（Ｂ）参照〕。前記ガイド走行部１２は、前記ガイドレール１１に対応するハングローラタイプとしたものである。そのガイド走行部１２は、走行本体部１２ａとローラ部１２ｂ，１２ｂとから構成されている。

前記ガイドレール１１は、引戸１０の上下両側にそれぞれ配置され、ガイド走行部１２も引戸１０の上下両側に装着されることもある。また、下部のガイドレール１１には、特に戸閉具を装着しないこともある。また、上部のガイドレール１１に本発明の戸閉装置を装着しないで、下部のガイドレール１１に本発明の戸閉装置を装着することもある。

次に、本発明における戸閉装置による引戸１０の戸閉及び戸開きのそれぞれの動作を説明する。まず引戸の戸閉動作を図９乃至図１２に基づいて説明すると、図９に示すように、前記トリガＡは、係止部６ａがケーシング１の被係止部１ｂに係止した状態で、仮停止状態にある。そして、開き状態の引戸１０が戸閉方向〔図１０（Ａ）において左側から右側方向〕に移動すると、トリガＡに次第に近接し、図１０（Ｂ）に示すように、ピン部材１３が嵌合部６ｂのトリガ突起片６ｃに当接する。

さらに、ガイド走行部１２が戸閉方向に移動することで、トリガＡが揺動し、この動作によって、前記係止部６ａがケーシング１の被係止部１ｂから外れ、トリガＡの仮停止状態が解除される（図１１参照）。そして、前記ピン部材１３は、トリガ本体部６のトリガ突起片６ｃと案内突起片６ｄとの間に構成される嵌合凹部６ｅ内に収まる。前記ピン部材１３は、仮停止状態が解除されたトリガ本体部６の嵌合凹部６ｅに収納された状態で、前記案内突起片６ｄに押されながら戸閉方向に移動してゆくことになる（図１２参照）。

このとき、弾性部材２によってケーシング１の後方側すなわち戸閉方向側に移動するトリガＡには、液圧ダンパ３のピストンロッド３ｂによる抵抗力Ｔが弾性部材２の弾性力Ｆによる弾性付勢方向に対して作動する。これによって、弾性部材２の弾性力Ｆから液圧ダンパ３のピストンロッド３ｂの抵抗力Ｔを差し引いた力，すなわちＦ−Ｔなる力が実質的な戸閉力Ｐとなる。そして、この戸閉力Ｐにより、前記引戸１０は、人の戸閉作業による初期戸閉速度（初速）Ｖｎから前記減速されて、その戸閉力Ｐにより緩やかな速度Ｖｍとなって、戸閉動作が行われ、戸閉側に強制的に移動され、戸閉方向端部に到達して戸閉動作を完了するものである（図１９参照）。

次に、前記引戸１０の戸開き動作を図１３乃至図１６に基づいて説明する。まず、トリガＡは、初期状態でケーシング１の後方側すなわち戸閉側寄り〔図１３（Ａ）において右側寄り〕に位置しており、前記走行本体部１２ａに装着されたピン部材１３は、トリガ本体部６の嵌合凹部６ｅに収納された状態にある。そして、前記引戸１０を戸開き方向〔図１３（Ａ）において右側から左側方向〕に移動させることで、ガイド走行部１２に装着されたピン部材１３が案内突起片６ｄに当接して、戸開き側へ前記トリガＡを強制的に移動させる（図１３,図１４参照）。

さらに、前記引戸１０を戸開き方向に移動させ、ケーシング１の被係止部１ｂ箇所に到達すると、前記押圧スプリング８の弾性により、係止部６ａが被係止部１ｂ内に挿入係止し、前記トリガＡはケーシング１前方側で被係止部１ｂと係止し、トリガＡが仮停止状態となる（図１５参照）。このとき、トリガ本体部６は、傾斜面６ｇがケーシング１の外面に近接或いは略当接した常態で傾斜し、その結果前記嵌合凹部６ｅは戸開き側に向かって傾斜して前記ピン部材１３が嵌合凹部６ｅから外れ易い状態となり、前記ピン部材１３はトリガＡから容易に離れてゆくことができるものである（図１６参照）。このようにして、前記引戸１０は、戸閉具から離脱するものである。

（Ａ）は本発明の戸閉具が装着された引戸装置の要部正面図、（Ｂ）は（Ａ）の一部断面にした要部拡大図、（Ｃ）は（Ｂ）のトリガ箇所を中心にした要部拡大図である。 （Ａ）は戸閉具を装着した引戸装置の断面図、（Ｂ）は引戸装置におけるガイドレールの断面図である。 （Ａ）トリガ仮停止状態の戸閉具の縦断側面図、（Ｂ）は（Ａ）のトリガ箇所の要部拡断面図である。 （Ａ）はトリガ仮停止解除状態の戸閉具の縦断側面図、（Ｂ）は（Ａ）のトリガ箇所の要部拡断面図である。 （Ａ）はトリガ仮停止状態の戸閉具の側面図、（Ｂ）はトリガ仮停止状態の戸閉具の平面図、（Ｃ）はトリガ仮停止状態の戸閉具の側面図、（Ｄ）はトリガ仮停止状態の戸閉具の平面図、（Ｅ）は戸閉具の正面図である。 戸閉具の分解した一部断面とした側面図である。 （Ａ）は戸閉具の分解斜視図、（Ｂ）は戸閉具の斜視図である。 （Ａ）は戸閉具の仮停止解除状態における側面図，（Ｂ）は戸閉具の仮停止状態における側面図、（Ｃ）は戸閉具の正面図である。 （Ａ）は戸閉を開始する一部断面にした行程図、（Ｂ）は（Ａ）のトリガ箇所の拡大図である。 （Ａ）はピン部材がトリガに当接した状態の一部断面にした行程図、（Ｂ）は（Ａ）のトリガ箇所の拡大図である。 （Ａ）はトリガが仮停止状態を解除しようとする状態の一部断面にした行程図、（Ｂ）は（Ａ）のトリガ箇所の拡大図である。 （Ａ）は戸閉が完了した状態の一部断面にした行程図、（Ｂ）は（Ａ）のトリガ箇所の拡大図である。 （Ａ）は戸開きを開始する状態の一部断面にした行程図、（Ｂ）は（Ａ）のトリガ箇所の拡大図である。 （Ａ）はピン部材によって引戸を戸開き方向に強制移動している状態における一部断面にした行程図、（Ｂ）は（Ａ）のトリガ箇所の拡大図である。 （Ａ）はトリガが被係止部の位置に到達した状態の一部断面にした行程図、（Ｂ）は（Ａ）のトリガ箇所の拡大図である。 （Ａ）はトリガからピン部材が離脱する状態の行程図、（Ｂ）は（Ａ）のトリガ箇所の拡大図である。 液圧ダンパの内部に復帰用スプリングが設けられた実施形態の戸閉具の縦断側面図である。 トリガに弾性部材と液圧ダンパによる戸閉力がかかる様子を示す作用図である。 引戸装置の正面略示図である。

符号の説明

Ａ…トリガ、１…ケーシング、１ｂ…被係止部、２…弾性部材、３…液圧ダンパ、
３ｂ…ピストンロッド、３ｄ…復帰スプリング、５…トリガ基部、６…トリガ本体部、
６ａ…係止部、８…押圧スプリング、１０…引戸、１１…ガイドレール、
１３…ピン部材。

Claims (5)

1. 被係止部が形成されたケーシングと、弾性部材と、該弾性部材の弾性力を減少させる抵抗力を発生するピストンロッドを備えた液圧ダンパと、トリガ基部と，該トリガ基部に枢支連結されると共に前記被係止部と係止する係止部が形成されたトリガ本体部と，前記基部とトリガ本体部との間に設けられ前記係止部を前記被係止部に係止させる方向に弾性付勢する押圧スプリングを備えたトリガとからなり、前記ケーシング内に、前記弾性部材と前記ピストンロッドとを同一軸線上に対向させて、前記弾性部材と液圧ダンパとが装着され、前記トリガ基部は、前記弾性部材とピストンロッドとの対向箇所に装着され、前記トリガは前記係止部と前記被係止部との係止により前記ケーシング前方にて仮停止状態となると共に、前記トリガ本体部の揺動により前記仮停止状態が解除されてなることを特徴とする戸閉具。
2. 請求項１において、前記トリガ基部は、前記液圧ダンパのピストンロッド側に固着されてなることを特徴とする戸閉具。
3. 請求項１において、前記トリガ基部は、前記弾性部材側に固着されてなることを特徴とする戸閉具。
4. 請求項１，２又は３において、前記液圧ダンパにはピストンロッドを常時、突出させる復帰スプリングが内装されてなることを特徴とする戸閉具。
5. 請求項１，２，３又は４において、前記ケーシングは、ガイドレールと該ガイドレールに沿って移動する引戸となる引戸装置の前記ガイドレール側に装着され、引戸側には前記戸閉具のトリガに嵌合すると共に、前記トリガ本体部を揺動させるピン部材が設けられてなることを特徴とする引戸の戸閉装置。

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