JP2007092047A - 木質ボード製造用活性水素成分 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 活性水素含有基と特定のビニル重合性官能基を有し、下記(a1)〜(a3)から選ばれる1種以上の活性水素化合物(a)、または(a)とビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)を含有する木質ボード製造用活性水素成分を用いる。
(a1)ポリオールの不飽和カルボン酸部分エステルまたは部分不飽和アルキルエーテル
(a2)アミンの不飽和カルボン酸部分アミド化物または部分不飽和アルキル化物
(a3)ポリチオールの不飽和カルボン酸部分チオエステルまたは部分不飽和アルキルチオエーテル
【選択図】 なし
Description
従来、これらの木質ボード製造用の接着剤としては熱硬化性樹脂である尿素樹脂、メラミン樹脂、多価フェノール樹脂などの、ホルマリン系樹脂が多く用いられてきた。しかし、ホルマリン系樹脂では、ホルムアルデヒドがボード内に残存し室内空気中に放散するため、シックハウス症候群の原因物質として問題となっている。
(I) 活性水素含有基と下記一般式(1)で示されるビニル重合性官能基を有し、下記(a1)〜(a3)から選ばれる1種以上の活性水素化合物(a)、または(a)とビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)を含有する木質ボード製造用活性水素成分(A)。
(a1)ポリオールの不飽和カルボン酸部分エステルまたは部分不飽和アルキルエーテル
(a2)アミンの不飽和カルボン酸部分アミド化物または部分不飽和アルキル化物
(a3)ポリチオールの不飽和カルボン酸部分チオエステルまたは部分不飽和アルキルチオエーテル
R
| (1)
CH2=C−
[式中Rは、水素、炭素数1〜15のアルキル基、または炭素数6〜21のアリール基を表す。]
(II) 上記の活性水素成分(A)と、有機ポリイソシアネート(B)と、必要により水および添加剤(C)から選ばれる一種以上を含有する木質ボード製造用接着剤組成物。
(III) 上記の接着剤組成物の、ビニル重合性官能基の重合と共にポリウレタン形成反応を、反応により得られるビニル重合鎖部分とポリウレタン鎖部分の架橋が起こる条件下で行わせて得られる(a)のビニル重合性官能基の重合により形成されたビニル重合鎖部分がポリウレタン鎖部分に架橋した樹脂を含有する木質ボード。
R
| (1)
CH2=C−
[式中Rは、水素、炭素数1〜15のアルキル基、または炭素数6〜21のアリール基を表す。]
上記Rにおける炭素数1〜15のアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。炭素数6〜21のアリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基等が挙げられる。
本発明の活性水素成分(A)は、上記の活性水素含有基を有する1種または2種以上の化合物で構成され、本発明の木質ボードの製造に、(A)単独あるいは有機ポリイソシアネート(B)からなる成分と共に用いられるものである。
(a)中の活性水素含有基の数は、通常1個以上、好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜5個である。
ビニル重合性官能基としては、末端オレフィン型(1価のビニル重合性官能基)でも、内部オレフィン型でもよく、例としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基等から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中で好ましくは、(メタ)アクリロイル基、アリル基およびプロペニル基であり、更に好ましくは(メタ)アクリロイル基およびアリル基である。ここで(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基および/またはメタアクリロイル基を意味し、以下同様の記載法を用いる。
(a)中のビニル重合性官能基の数は、通常1個以上、好ましくは1〜10個、更に好ましくは1〜5個である。
(a1)ポリオール〔多価アルコール、多価フェノール、多価アルコールもしくは多価フェノールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記)付加物、アミンのAO付加物、多価アルコールとポリカルボン酸もしくはラクトンとから誘導されるポリエステルポリオールなど〕の不飽和カルボン酸部分エステルまたは部分不飽和アルキルエーテル〔とくに部分(メタ)アクリル酸エステルまたは部分アリルエーテル〕
(a2)アミンの不飽和カルボン酸部分アミド化物または部分不飽和アルキル化物〔とくに部分(メタ)アクリルアミド化物または部分アリル化物〕
(a3)ポリチオールの不飽和カルボン酸部分チオエステルまたは部分不飽和アルキルチオエーテル〔とくに部分(メタ)アクリルチオエステルまたは部分アリル化物〕
(a1)の製造に用いる多価フェノールとしては、多価フェノール〔単環多価フェノール(ハイドロキノン等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)など〕、3〜5価の多価フェノール〔単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシン等)、3〜5価の、多価フェノール化合物のホルマリン低縮合物(数平均分子量1000以下)(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)など〕、6〜10価またはそれ以上の多価フェノール〔6価以上の、多価フェノール化合物のホルマリン低縮合物(数平均分子量1000以下)(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)等〕、多価フェノールとアルカノールアミンとの縮合物(マンニッヒポリオール)、およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
(a)の製造に用いるポリオールとしては、好ましくはヒドロキシル基を2〜8個、更に好ましくは2〜6個有するものである。
また(a1)は、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体、またはアリルアルコール等の不飽和アルコールに前記のAOを付加しても得ることができる。この場合、AOの中では、POおよび/またはEOを主成分とし、必要により20%以下の他のAOを含むものが好ましい。付加反応は、従来公知の通常の方法により行うことができる。AOの付加モル数は、好ましくは1〜70、更に好ましくは1〜50である。
(a3)は、これらポリチオールに、前記のハロゲン化(メタ)アクリルまたはハロゲン化アリルを、1分子中に少なくとも1個のチオール基が未反応で残るような当量比で、反応させることにより得られる。
ここで、活性水素価は、”56100/活性水素1個当たりの分子量”を意味し、活性水素を有する基が水酸基の場合、水酸基価に相当する。なお、水酸基価は、試料1gを中和するのに相当するKOHのmgであって、”56100/水酸基1個当たりの分子量”を意味する。なお、ここで56100はKOH1モルのmg数を示している。活性水素価の測定方法は、上記定義の値を測定できる方法であれば公知の方法でよく、特に限定されないが、水酸基価の場合、例えばJIS K1557に記載の方法が挙げられる。
(b)はビニル重合性官能基を実質的に有しないポリオールであり、脂肪族アミンのAO付加物(b1)、芳香族アミンのAO付加物(b2)、多価アルコールまたは多価フェノールのAO付加物(b3)、ポリマーポリオール(b4)、および前記(a1)の製造に用いるポリオールとして例示したもののうち上記以外のもの(多価アルコール等)が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
ここで「ビニル重合性官能基を実質的に有しない」とは、JIS K−1557記載の方法で測定された総不飽和度が0.2meq/g以下であることを意味する。
(b1)の脂肪族アミンとしては、1級および/または2級アミンが挙げられ、1級および/または2級アミノ基の数は、好ましくは1〜4個、更に好ましくは1〜3個であり、アミノ基に由来する活性水素の数は、好ましくは2〜8個、更に好ましくは2〜4個である。
(b1)として具体的には、前記(a1)の項で述べた、アルカノールアミン、炭素数1〜20のアルキルアミン、炭素数2〜6のアルキレンジアミン、およびアルキレン基の炭素数が2〜6のポリアルキレンポリアミン(重合度2〜8)等が挙げられる。好ましくはアルカノールアミンおよびアルキレンジアミンである。
付加するAOとして好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、必要により20%以下の他のAOを含むものであり、特に好ましくはPO、およびPOとEOの併用である。
AO付加反応は、従来公知の通常の方法により行うことができ、付加時に用いる触媒としては、通常用いられるアルカリ触媒(KOH、CsOH等)の他、特開2000−344881号公報に記載の触媒〔トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等〕、特開2002−308811号公報に記載の触媒(過塩素酸マグネシウム等)を用いてもよい(以下のAO付加物も同様)。
付加するAOとして好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、必要により20%以下の他のAOを含むものであり、特に好ましくはPO、およびPOとEOの併用である
(b3)の多価フェノールとしては、(a1)の製造に用いる多価フェノールとして例示したものが挙げられる。
付加するAOとして好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、必要により20%以下の他のAOを含むものであり、特に好ましくはPO、およびPOとEOの併用である。
(b4)の製造方法は、従来のポリマーポリオールにおける重合法と同様に行うことができる。例えば、必要により分散剤を含むポリオール中で、ビニルモノマーを重合開始剤の存在下に重合させる方法(米国特許第3383351号明細書等に記載の方法)が挙げられる。また、重合は、バッチ式でも連続式でも行うことができ、常圧下、加圧下または減圧下において重合することができる。必要に応じて、溶剤、連鎖移動剤を使用することができる。(b4)の重合体の体積平均粒子径は0.5〜15μmが好ましい。
これら(b)の中で、好ましいものは(b3)および多価アルコールであり、さらに好ましくは(b3)の中でも多価アルコールのAO付加物である。
ここで、ビニル重合性官能基の濃度は、活性水素成分(Zグラム)に十分な量の水酸化カリウムのエタノール溶液を加え、密閉化70℃で24時間アルカリ分解した後、分取液体クロマトグラフィーにてビニル基含有成分(Eグラム)を分取し、次式により求める。
ビニル重合性官能基濃度(%)=(E/Z)×100
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
本発明で用いる有機ポリイソシアネート(B)としては、好ましくは芳香族ポリイソシアネートであり、更に好ましくは2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、並びにそれらの変性物から選ばれる1種以上のMDI系ポリイソシアネートを主成分とするものである。これらの主成分の含有量は、好ましくは40%以上、更に好ましくは80%以上である。
なお、上記および以下において、部は、特に記載のない限り質量部を意味する。
(C)のうちウレタン化触媒としては、3級アミン触媒(例えばトリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7など)、および/または金属触媒、(例えばオクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、オクチル酸鉛など)を用いることができる。ウレタン化触媒の量は、活性水素成分(A)100部に対して、好ましくは10部以下、更に好ましくは0.01〜5.0部、特に好ましくは0.1〜3.5部である。10部以下ではウレタン化反応と同時に重合反応を進行させるのが容易であり、0.01部以上では、キュアー性の良好な木質ボードが得られる。
活性水素成分(A)100部に対する添加量は、着色剤、可塑剤、有機充填材、および難燃剤は、好ましくは30部以下、更に好ましくは20部以下である。老化防止剤は、好ましくは1部以下、更に好ましくは0.5部以下である。抗酸化剤は、好ましくは1部以下、更に好ましくは0.5部以下である。
添加剤(C)の総量は、(A)100部に対して、好ましくは50部以下、更に好ましくは30部以下、特に好ましくは20部以下である。50部以下であると、曲げ強度が良好な木質ボードが得られる。
浸透させる場合は、接着剤組成物に木質ボードを浸漬することで実施するが、ハケ塗りの場合と同様に、活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート(B)と、必要により水および/または添加剤(C)はあらかじめ混合しておいても、別々に浸透させてもよい。 ハケ塗り、浸透の回数は含浸量により任意に設定することができる。
なお、本発明の接着剤組成物の代わりに本発明の木質ボード製造用活性水素成分(A)のみを用いて、同様の方法で木質ボードを製造することもできるが、接着剤組成物を用いるのが好ましい。
本発明の木質ボードは、本発明の接着剤組成物、あるいは本発明の活性水素成分(A)を用いることにより、ボードの材料間の結合が強固となり、外部からの応力に対して破断されにくくなり、曲げ強度等の機械物性が強化される。
(1)ビニル重合性官能基含有活性水素化合物(a)
a−1:アクリル酸にPOを付加させた水酸基価432のビニル重合性官能基含有活性水素化合物
a−2:メタクリル酸にPOを付加させた水酸基価153のビニル重合性官能基含有活性水素化合物
a−3:アリルアルコールにPOを付加させた水酸基価302のビニル重合性官能基含有活性水素化合物
a−4:アクリル酸にEOを付加させた水酸基価484のビニル重合性官能基含有活性水素化合物
a−5:グリセリンとメタクリル酸を反応させた水酸基価701のビニル重合性官能基含有活性水素化合物
a−6:グリセリンとメタクリル酸を反応させた水酸基価246のビニル重合性官能基含有活性水素化合物
(2)ビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)
b−1:グリセリンにPOを付加させた水酸基価281のポリオール
b−2:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価561のポリオール
b−3:プロピレングリコール(旭電化工業(株)製)
(3)ラジカル重合開始剤:t−ブチルハイドロパーオキサイド〔日本油脂(株)製「パーブチルH−69」〕
常態曲げ強度は、JIS−A5908に準じて測定した。
ビニル重合性官能基濃度の測定条件は下記のとおりである。
装置:LC−09〔日本分析工業(株)製〕
カラム:JAIGEL 3H+2H+2H
溶媒:クロロホルム
流速:2.8ml/min
試料濃度:2%
注入量:3ml
分取回数:数回〜数十回
木質ボードの含浸熱圧加工:
30cm×30cm×0.5cm、重量230gの市販のMDFに、表1記載の部数の水およびラジカル重合開始剤をあらかじめ添加混合した活性水素成分(A)と、有機ポリイソシアネート(B)とをハケで交互に〔実施例の一部は(A)のみを、比較例の一部は(B)と水のみを〕合計で6回塗りつけ十分含浸させた後、熱プレス機で熱圧成形し木質ボードを得た。(熱盤温度:180℃、熱盤圧力:3MPa、加圧時間:180秒)
Claims (6)
- 活性水素含有基と下記一般式(1)で示されるビニル重合性官能基を有し、下記(a1)〜(a3)から選ばれる1種以上の活性水素化合物(a)、または(a)とビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)を含有する木質ボード製造用活性水素成分(A)。
(a1)ポリオールの不飽和カルボン酸部分エステルまたは部分不飽和アルキルエーテル
(a2)アミンの不飽和カルボン酸部分アミド化物または部分不飽和アルキル化物
(a3)ポリチオールの不飽和カルボン酸部分チオエステルまたは部分不飽和アルキルチオエーテル
R
| (1)
CH2=C−
[式中Rは、水素、炭素数1〜15のアルキル基、または炭素数6〜21のアリール基を表す。] - 活性水素化合物(a)が分子内に、1〜10個のビニル重合性官能基と1〜8個の活性水素含有基を有し、かつ活性水素価が50〜1900である請求項1記載の活性水素成分(A)。
- 活性水素成分(A)中のビニル重合性官能基濃度が0.6〜62質量%である請求項1または2記載の活性水素成分(A)。
- 請求項1〜3のいずれか記載の活性水素成分(A)と、有機ポリイソシアネート(B)と、必要により水および添加剤(C)から選ばれる一種以上を含有する木質ボード製造用接着剤組成物。
- 有機ポリイソシアネート(B)が、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、並びにそれらの変性物から選ばれる1種以上を主成分とする請求項4記載の接着剤組成物。
- 請求項4または5記載の接着剤組成物の、ビニル重合性官能基の重合と共にポリウレタン形成反応を、反応により得られるビニル重合鎖部分とポリウレタン鎖部分の架橋が起こる条件下で行わせて得られる(a)のビニル重合性官能基の重合により形成されたビニル重合鎖部分がポリウレタン鎖部分に架橋した樹脂を含有する木質ボード。
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