JP2007091888A - 木質系バイオマスの粉砕方法 - Google Patents

木質系バイオマスの粉砕方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 石炭火力発電設備等で質系バイオマスを混焼する際においては、木質系バイオマスを効率的に炭化する。
【解決手段】 本発明によれば、木質系のバイオマスをごみ焼却設備の廃熱を利用して炭化した後に、竪型粉砕機により所定の粒度以下に粉砕する。炭化したバイオマスの粉砕に竪型粉砕機を用いることによって効率的な粉砕が可能であり、炭化させるための熱源として、国内各所に設置されているごみ焼却設備の廃熱を利用すれば、省エネルギの点で非常に効果的である。さらに、予め木質系バイオマスを、所定の寸法以下に予め破砕して炭化することによって、炭化の効率化が期待できる。また、石炭火力発電所の発電用ボイラに木質系バイオマスを使用する場合は、石炭粉砕用の竪型粉砕機を使用して炭化した木質系バイオマスを粉砕することにより設備が簡略化できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主に林業系(製材廃材、除間伐材、薪炭林等)の廃木材や建設廃木材等に代表される木質系のバイオマス(以下、木質系バイオマスと称することもある)を対象として、前記木質系バイオマスを効率的に粉砕することによって、バイオマス燃料として有効活用するものである。
平成14年に「新エネルギ利用等の促進に関する特別措置法」が改正されたことを受けて、バイオマスエネルギが新エネルギとして認知されるとともに、この法律によって国内の電気事業者は、将来的に、新エネルギを基準規定量以上利用することが義務付けられた。
新エネルギとして認知されたバイオマスついて簡略に説明すれば、「バイオマス」とは生物量の総称であって、農業系(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系(製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系(家畜廃棄物)、水産系(水産加工残滓)、廃棄物系(生ごみ、建設廃材)等に分類されるものであり、前述の法目的の一つは、環境保護のために、これらのバイオマスを新エネルギとして活用することにある。
現在、バイオマスの利用方法として、多くの方策が試みられており、バイオマスをそのまま燃焼させる、或いはガス化する等といった手段が既に公知である。
前述したバイオマス利用手段の一つとして、石炭火力発電設備等においては、石炭と共に木質系のバイオマスを混焼する方法に期待がもたれており、電気事業者も積極的に検討を進めている。なお、石炭火力発電設備で前述の木質系バイオマスを混焼する際においては、木質系バイオマスを炭化した状態で所定の粒度以下の微粉(細粉)にすることが効率的であるということが、特許文献1に記載されている。
特開2005−114261公報
しかし、前述の特許文献1に開示される方法は、木質系バイオマスを、そのままボイラなどに燃料として投入する場合と異なって、木質系バイオマスを炭化するための熱量と、微粉砕するためのエネルギが必要であって、これを如何に効率化するかが問題となる。
本発明は、前述の問題に係り、木質系バイオマスを効率よく炭化又粉砕して、燃焼効率の優れたバイオマス燃料を製造することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明による木質系バイオマスの粉砕方法は、
(1)木質系のバイオマスを炭化した後に、竪型粉砕機によって所定の粒度以下に粉砕する。
(2) (1)に記載のバイオマスの粉砕方法であって、前記木質系のバイオマスを炭化する際において、ごみ焼却設備の廃熱を利用する。
(3) (1)又は(2)記載のバイオマスの粉砕方法であって、前記竪型粉砕機が、発電用ボイラ設備に備えた石炭粉砕用の竪型粉砕機とした。
(4) (1)から(3)までのいずれか1項に記載のバイオマスの粉砕方法であって、前記木質系のバイオマスを炭化する前の工程において、所定の寸法以下に破砕する。
本発明による木質系バイオマスの粉砕方法によれば、炭化したバイオマスの粉砕に竪型粉砕機を用いることによって、効率的な粉砕が可能である。
また、炭化させるための熱源として、国内各所に設置されているごみ焼却設備の廃熱を利用することが、省エネルギの点で非常に効果的である。
さらに、本発明の方法によれば、所定の寸法以下に予め破砕して炭化することによって、炭化の効率化が期待できるとともに、石炭火力発電所の発電用ボイラに木質系バイオマスを使用する場合に、石炭粉砕用の竪型粉砕機を使用して炭化した木質系バイオマスを粉砕すれば設備が簡略化でき効率的である。
以下、図面に基づき本発明の実施形態についての好ましい例を説明する。
図1から図3は本発明の実施形態を説明する図であって、図1は実施形態に用いる粉砕システムの概念図であり、図2は他の実施形態に用いる粉砕システムの概念図である。図3は実施形態に用いる竪型粉砕機の構造を説明するための要部断面図である。
以下、本発明の実施形態に用いる粉砕システムの好ましい1例について、図1を用いて説明する。
本実施形態に用いる粉砕システムは、国内各所に設置されたごみ焼却設備に隣設して、ごみ焼却設備の排気ガスの廃熱を使用する炭化炉50、炭化炉50から排出されたバイオマスの炭化物を冷却する冷却装置80、バイオマスを破砕する一次破砕機70、及び、炭化した原料を微粉砕するための竪型粉砕機1を備えてなる。
前記粉砕システムにおける工程の流れを簡単に説明すると、ごみ焼却設場100まで搬送されて収集された廃木材や間伐材等の木質系バイオマスは、一次破砕機70に投入されて炭化炉50に投入できるサイズまで破砕される。そして、破砕後の木質系バイオマスは、炭化炉50に投入されて炭化(乾留と称することもある)された後、冷却装置80で冷却されてから、竪型粉砕機1に投入されて、所望の粒度になるまで粉砕される。
ここで、図1で説明する実施形態に用いた炭化炉50は、2層管式のロータリキルン型炭化炉であり、炭化の熱源にごみ焼却施設の排気ガスの廃熱を使用している。
炭化炉50の詳細な構造を図示しないが、図1で説明する粉砕システムにおいては、空気の供給が制限された内筒内にバイオマスを通過させるとともに、該内筒の外側から排気ガスの熱量で加熱して炭化する方式とした。
なお、本実施形態においては、ごみ焼却場100の焼却炉で発生する排気ガスの廃熱を利用して、木質系バイオマスの炭化をおこなっている。
以下、ごみ焼却場100の焼却炉で発生する排気ガスの廃熱を利用して木質系バイオマスの炭化を実施した理由を説明すると、炭化する前における木質系のバイオマスは、嵩が大きいために、一度に搬送できる量が限られ、搬送効率が悪く、どうしても輸送コストが大きくなる。そのため、バイオマスの発生個所に、できるかぎり近い場所で炭化し、減量又減容積してから後、発電設備等に輸送することが好ましい形態である。
本願発明者らは、国内各所に広く設備されているごみ焼却炉100に着目して、ごみ焼却設備100の廃熱を利用することが、木質系バイオマスの効率的な粉砕方法につながるので、好ましい形態として記載したものである。
なお、本実施形態においては好ましい形態として、ごみ焼却場100の焼却炉で発生する排気ガスの廃熱を利用して木質系バイオマスの炭化をおこなったが、本願第一の発明による適応の範囲は、前述の実施形態に限るものでなく、公知の炭化方法等を行っても良く、例えば、熱源として他のエネルギを使用しても良く、また同様な理由から、炭化炉50も、例えば、密閉型の炭窯式、トロリー式、かくはん式等、或いは、連続式のロータリー式や反復揺動式等、スクリュー式等であっても良い。
なお、炭化炉50で用いる炭化条件は、炭化炉50の種類等によって異なるため、特に限定できないが、前述した範囲にある木質系バイオマスであれば、概ね400℃から700℃程度の範囲で炭化することが一般的である。
次に、図1で用いた一次破砕機70について説明する。
一次破砕機70の構造について詳細を図示しないが、図1で説明する粉砕システムの実施形態においては、一般的にジョークラッシャと呼ばれる公知のタイプの一次破砕機70を使用した。
ここで、一般的にジョークラッシャと呼ばれるタイプの一次破砕機70は、ケーシングの中で、一端を支持したスイングジョー(可動板)を固定板に向けて前後揺動させることにより、固定板とスイングジョーとの間で破砕物を破砕する装置である。
なお、前述した炭化炉50と同様に、一次破砕機70についても、本実施の形態に限るものではないことは勿論であって、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、他の公知の破砕機又破砕方法を使用しても良い。
また、図1で用いた冷却装置80は、水冷式のものを用いたが、前述した炭化炉50或いは一次破砕機と同様に、冷却装置80が、本実施の形態に限るものではないことは勿論であって、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、公知の冷却装置80使用しても良い。
以下、本実施形態に用いた竪型粉砕機1について説明する。本実施形態に用いた竪型粉砕機1は、図3に示すように竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2Bを介して電動機2Mにより駆動される回転テーブル2と、回転テーブル2の上面(回転テーブル上面2Aと称することもある)外周部を円周方向に等分する位置に配設した複数個のコニカル型の粉砕ローラ3とを備えている。そして、粉砕ローラ3は、回転テーブル上面2Aの方向に押圧されて、回転テーブル上面2Aに原料を介して従動することにより回転する。
また、図3に示す竪型粉砕機1は、分級機能を有する回転式のセパレータ14を竪型粉砕機1の内部に備えた内部分級式のエアスエプトタイプと呼ばれるものである。このタイプの竪型粉砕機1は、運転中において、機内にガスを導入して、回転テーブル下方からセパレータ14を通過して上部取出口39へと流れるガスの気流を生じさせている。
原料投入シュート13から投入した原料は、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕され後、回転テーブルの外縁部に周設されたダムリング15を乗り越えて、環状通路30(環状空間部30と称することもある)へ到達して、そこで前記ガスにより搬送されてセパレータ14へと向かい、所定の粒度以下になった原料が粉砕品として上部取出口39からガスと共に取り出される。
なお、本発明に用いることのできる竪型粉砕機1の型式は、前述したエアスエプトの内部分級式に限らず、例えば、要求される製品の粒度に応じて、固定タイプのセパレータ14であっても良く、またセパレータを内部に備えない外部循環式の竪型粉砕機であっても良い。また、粉砕ローラ3の形状がスフェリカル形状のタイヤ型の竪型粉砕機1であっても良いことは勿論であって、説明するまでもない。
以下、図1の粉砕システムを用いた本発明による木質系バイオマスの粉砕方法において、好ましい実施形態を簡単に説明する。
トラックなどの輸送手段によって、ごみ焼却設備まで収集してきた建設廃木材や間伐材等の木質系のバイオマスを、一次破砕機70に投入して、炭化炉50に投入できるサイズまで破砕する。なお、本実施形態においては、炭化炉50の投入口から投入しやすいようにするために、一次破砕機としてジョークラッシャを用いて、間伐材を5cm角程度の大きさにまで配した。
なお、収集した木質系バイオマスが、一次破砕しなくても炭化炉50に投入できる形状、寸法であれば、一次破砕の工程を省略しても良い。
次の工程として、破砕したバイオマスを、炭化炉50に投入し、炭化する。
なお、この際に用いる炭化炉50の炭化条件は、炭化炉50により処理する木質系バイオマスの種類によって、特に限定できないが、概ね400℃から700℃程度の範囲で炭化する。
炭化後の木質系バイオマスは、炭化炉50から取り出された後、冷却装置80に投入されて、大気中にだしても酸化が進まずに、竪型粉砕機1に投入できる温度まで冷却される。
そして、冷却された木質系バイオマスは、竪型粉砕機1に投入されて、木質バイオマス燃料として、燃焼に適した粒度まで粉砕される。
なお、粒度の調整は、竪型粉砕機1に流すガスの流量、粉砕ローラ3の押圧力、回転テーブル2の回転数、またセパレータ14の回転数の変更等によって可能である。
そして、粉砕された木質系バイオマスは、木質系バイオマス燃料として発電所等に輸送されて、そこで燃料として使用される。
ここで、図3に1例を示すような竪型粉砕機1は、一般的に微粉砕に適した粉砕機であるが、廃木材等と言った繊維質を多く含む材料について、効率的な粉砕を行うことは難しかった。これは、竪型粉砕機1の基本的な粉砕原理が、摩砕と呼ばれる所謂すりつぶし効果に依存しているためであり、粉砕ローラ3と回転テーブル上面2Aの摩砕では、繊維の切断を効率的に行うことができないという理由による。
そのため、通常、木材などを竪型粉砕機1で粉砕する際においては、例えば、粉砕ローラ、及び又は回転テーブルに凹凸加工して、繊維を切断する機能を具備させるような方策を採用することもあるが、竪型粉砕機を専用に改造しなければならず、また振動の発生や異音につながるケースもあって、容易ではない。
しかし、本実施の形態によれば、木質系バイオマスの中に含まれる繊維質が炭化されることによって容易に切断される状態になり、その結果、繊維質を多く含む木質系のバイオマスであっても、竪型粉砕機1で容易に微粉にすることが可能であり、竪型粉砕機の動力低減につながるといった優れた効果を期待できる。従って、木質系バイオマスを粉砕する場合において、木質系バイオマスを炭化してから、竪型粉砕機で粉砕することは非常に好ましい形態である。
また、炭化する前における木質系のバイオマスは、嵩が大きいため一度に運べる量が限られており、輸送が容易でない。従って、バイオマスの発生個所からできるかぎり近い場所で炭化して、炭化粉砕により木質系バイオマスの量を減量し、また減容積してから発電設備等に配送することが好ましい。本実施形態においては、国内各所に広く設備されているごみ焼却場100を利用して、木質系のバイオマスを炭化することにより、嵩を減らした状態で発電設備に輸送することができるので、輸送を効率化できる。
以下、本発明の他の実施形態に用いる粉砕システムの好ましい1例について、図2を用いて、前述の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図2に示す他の実施形態に用いる粉砕システムは、前述した実施形態と同様に、国内各所に設置されたごみ焼却場100のごみ焼却設備に隣設し、ごみ焼却設備の廃熱を使用する炭化炉50、炭化炉50から排出されたバイオマスの炭化物を冷却する冷却装置80、バイオマスを炭化炉に投入できる寸法まで破砕する一次破砕機70を備える。
なお、図2に示した実施形態は、炭化したバイオマスの粉砕するのに、発電所に備えた石炭用の竪型粉砕機を使用する点において、図1に示した実施形態と異なる。
以下、図2の粉砕システムを用いたバイオマスの粉砕方法において、好ましい実施形態を簡単に説明する。
図1に示した実施形態と同様に、トラックなどの輸送手段によって、ごみ焼却設備まで収集してきた建設廃木材や間伐材等の木質系のバイオマスを、一次破砕機70に投入して、破砕する。なお、本実施形態においては、炭化後に嵩を小さくして輸送し易いようにするため、一次破砕機70としてジョークラッシャを用いて、間伐材を数mm程度の大きさにまで破砕した。本実施形態においては、一次破砕機で予め木質系バイオマスを数mm程度の大きさにまで破砕することにより、炭化後、発電所までバイオマスを輸送する際の嵩を減少させて、輸送の効率化を図ることが可能である。
次の工程として、破砕したバイオマスを、炭化炉50に投入し、炭化する。なお、この際に用いる炭化炉50の炭化条件は、炭化炉50により処理する木質系バイオマスの種類によって、特に限定できないが、概ね500℃から600℃程度の範囲で炭化する。
炭化後の木質系バイオマスは、炭化炉50から取り出された後、冷却装置80に投入されて、大気中にだしても酸化が進まない温度まで冷却される。
そして、冷却された木質系バイオマスは、発電所まで輸送されて、そこで発電所に備えた石炭用の竪型粉砕機に投入されて石炭と共に粉砕される。
この方法であれば、既存の石炭用の竪型粉砕機1が使用でき、粉砕エネルギも石炭粉砕との共用効果により減少するので効率的である。
本発明の実施形態に用いる粉砕システムの概念図である。 本発明の他の実施形態に用いる粉砕システムの概念図である。 本発明の実施形態に用いる竪型粉砕機の構造を説明するための要部断面図である。
符号の説明
1 竪型粉砕機
2 テーブル
3 粉砕ローラ
13 シュート
14 セパレータ
15 ダムリング
30 環状通路
33 ガス導入口
35 原料投入口
39 上部取出口
14A 羽根
50 炭化炉
70 一次破砕機
80 冷却装置
100 ごみ焼却場

Claims (4)

  1. 木質系のバイオマスを炭化した後に、竪型粉砕機によって所定の粒度以下に粉砕する木質系バイオマスの粉砕方法。
  2. 前記木質系のバイオマスを炭化する際において、ごみ焼却設備の廃熱を利用する請求項1記載の木質系バイオマスの粉砕方法。
  3. 前記竪型粉砕機が、発電用ボイラ設備に備えた石炭粉砕用の竪型粉砕機である請求項1又は請求項2記載の木質系バイオマスの粉砕方法。
  4. 前記木質系のバイオマスを炭化する前の工程において、所定の寸法以下に破砕する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の木質系バイオマスの粉砕方法。
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