JP2007090381A - チタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】底部と隣接する外周面上に余肉部10が形成されていることを特徴とするチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品。
【選択図】図4
Description
例えば、内燃機関の動弁機構用バルブリフターは、一般的にはスチール製が使われている。スチール製は強度,耐摩耗性において優れる反面、重量が大きい欠点がある。近年、車両の高性能化ならびに低燃費化の目的の為に、動弁系周りの軽量化が望まれており、したがってスチール製のバルブリフターは必ずしも満足すべきものではない。スチール製バルブリフターのみならずアルミニウム合金製のバルブリフターも提案(特許文献1)されたが、強度,耐摩耗性において難点があることから現実には使用されていない。
チタン材からバルブリフターを成形する為にチタンの板材を板金プレスの絞り製法を用いてバルブリフターを製造することを試みた。しかしながら、バルブリフターでは外周部の厚さが底部の厚さよりも薄くすることが更なる軽量化の為に望まれるが、板金プレスの絞り製法では板金の厚さを変化させることができないため、この製法のみではバルブリフターの軽量化が不可能である。また、この製法では板材に伸びの異方性がある為、絞り時に外周部の伸びが不均一となり、製品の寸法安定性が劣り、外周部に割れが生じ易い。
本発明者らは上記課題を解決する為に種々試行錯誤を繰り返した結果、思いがけなくも、先ず最初に底部と隣接する外周面上に余肉部が形成されているチタン材からなるバルブリフターを製造し、次いで、当該余肉部を除去することによって、上記問題点が一挙に解決されるバルブリフターが製造されることを知見した。
さらに発明者らは鋭意検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものである。
(1)底部と隣接する外周面上に余肉部が形成されていることを特徴とするチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品、
(2)(1)に記載の余肉部を除去してなるチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品、
(3)鍛造成形品がチタン材を温間鍛造することによって製造されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品、
(4)温間鍛造における鍛造温度が300〜600℃であることを特徴とする(3)記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品、
(5)鍛造成形品がチタン材を冷間鍛造することによって製造されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品、
(6)チタン材がα型チタン又はα型チタン合金であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品、
(7)チタン材がβ型チタン合金であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品、
(8)チタン材がα+β型チタン合金であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品、
(9)内燃機関の動弁機構用バルブリフターであることを特徴とする(2)〜(8)のいずれかに記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品、および
(10)チタン材を鍛造して、底部と隣接する外周面上に余肉部が形成されている有底円筒状の鍛造成形品を製造し、次いで、当該余肉部を除去することを特徴とするチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品の製造方法、
に関する。
本発明の有底円筒状の鍛造成形品の製造に使用されるチタン材の素材としては、純チタンもしくは不可避的不純物を含んでいてもよいチタンであっても良く、チタン合金であっても良い。チタン合金には、α型チタン合金、β型チタン合金、α+β型チタン合金が例示され、α型チタン合金としては、Ti−5Al−2.5Sn,Ti−1Fe−0.35O,Ti−5.5Al−3.5Sn−3Zr等、β型チタン合金としては、Ti−4Al−22V,Ti−15Mo−5Zr−3Al,Ti−15Mo−5Zr,Ti−11.5Mo−6Zr−4.5Sn等、α+β型チタン合金としては、Ti−6Al−4V,Ti−6Al−6V−2Sn,Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo等が例示される。
次いで潤滑処理した該ビレット10を鍛造工程に付する。鍛造は、冷間鍛造,温間鍛造,熱間鍛造の何れであっても良い。冷間鍛造の鍛造温度としては室温(例えば25℃)、温間鍛造の鍛造温度としては300〜600℃、熱間鍛造の鍛造温度は800〜1100℃が好ましい。鍛造時の好ましい圧力は、温間鍛造では120〜420kgf/mm2、より好ましくは200〜400kgf/mm2であり、冷間鍛造では140〜500kgf/mm2であり、熱間鍛造では50〜250kgf/mm2である。上記好ましい範囲に達しない圧力であると肉の伸びが悪く所望の製品形状が得られないときがあり、上記好ましい範囲を越える圧力であると肉が伸び過ぎて所望の製品形状が得られず、金型寿命を縮める可能性がある。
本発明者らは、温間鍛造が、(イ)冷間鍛造よりも肉の流れがよく成形性に勝り、低い加圧力で済み、金型に対する負荷も小さいので、金型寿命が長いことを知見した。
また、本発明者らは温間鍛造が、(ロ)熱間鍛造よりもビレット素材の加熱に必要なエネルギーや時間が少なく、金型からの離型が容易で、ビレット素材の酸化が起こりにくく、酸化に対する対処も少なくてすむことにより温間鍛造による製造がより好ましいことを知見した。以下に温間鍛造の場合について説明する。
図2を参照して、鍛造金型として、上型20、下型30、およびダイ40を準備し、該ビレット10を下型30の着座面31に載せる。そして、上型20を下方に移動させ、該ビレット10に加圧をかけ鍛造処理を行う。
図3を参照して、該ビレット10の加圧を始めると、ダイ40の内周面42側へ該ビレット10が拡径し、さらに加圧を進行させると、ダイ40の余肉形成斜面41に沿って、該ビレット10に余肉部11aが形成され、ならびに円筒部12aが形成され、目的とする鍛造成形品の製造中間体である鍛造成形品10aとなる。
図4を参照して、鍛造中間体10aをさらに加圧し続けると、余肉部11aの軸方向の巾が縮小され余肉部11bとなり、それと共に円筒部12aがさらに延長されて所望の長さの円筒部12bとなり、目的とする鍛造成形品の製造中間体である鍛造成形品10bを得る。
上記鍛造処理は、好ましくは温間鍛造条件であるビレット10を約300〜600℃まで加熱して通常の方法で行われうる、鍛造処理は好ましくは1.0〜30secで完了する。
図5を参照して、このようにして得られる鍛造品10bから余肉部11bを切削するまたは研削することによって、図6に示す目的とする有底円筒状の鍛造成形品15を得る。尚、切削工程は鍛造品10bの余肉部11bを一般公知の旋盤などの旋削手段によって除去し、また研削工程は鍛造品10bの余肉部11を一般公知の研削盤などの研削手段によって除去し、目的の有底円筒状の鍛造成形品15を得る。
10a・・・鍛造中間体
10b・・・鍛造品
11a・・・余肉部
11b・・・余肉部
12a・・・円筒部
12b・・・円筒部
15・・・有底円筒状の鍛造成形品
20・・・上型
30・・・下型
31・・・着座面
40・・・ダイ
41・・・余肉形成斜面
42・・・内周面
Claims (10)
- 底部と隣接する外周面上に余肉部が形成されていることを特徴とするチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品。
- 請求項1に記載の余肉部を除去してなるチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品。
- 鍛造成形品がチタン材を温間鍛造することによって製造されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品。
- 温間鍛造における鍛造温度が300〜600℃であることを特徴とする請求項3記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品。
- 鍛造成形品がチタン材を冷間鍛造することによって製造されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品。
- チタン材がα型チタン又はα型チタン合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品。
- チタン材がβ型チタン合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品。
- チタン材がα+β型チタン合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品。
- 内燃機関の動弁機構用バルブリフターであることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載のチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品。
- チタン材を鍛造して、底部と隣接する外周面上に余肉部が形成されている有底円筒状の鍛造成形品を製造し、次いで、当該余肉部を除去することを特徴とするチタン材からなる有底円筒状の鍛造成形品の製造方法。
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JPH078399B2 (ja) * | 1987-06-09 | 1995-02-01 | 本田技研工業株式会社 | 内歯付カツプ状製品の成形方法 |
JPH07139314A (ja) * | 1993-11-17 | 1995-05-30 | Nippon Steel Corp | チタン合金製バルブリフタ |
JP2003136177A (ja) * | 2001-10-26 | 2003-05-14 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | 筒状部材の押出成形用金型、その成形方法および成形装置 |
-
2005
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