JP2005111558A - 金属鍛造製品、アッパーアームまたはロアアーム、その粗形材、その製造方法、鍛造用金型及び金属鍛造製品生産システム - Google Patents

金属鍛造製品、アッパーアームまたはロアアーム、その粗形材、その製造方法、鍛造用金型及び金属鍛造製品生産システム Download PDF

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Abstract

【課題】機械的特性が向上し、また、鍛造製品にバリ取り痕が無く、側面に表面層を有する円柱状素材を用いて工程を省力化し、鍛造用素材に対する材料の歩留り向上に適した製造方法を提供する。
【解決手段】複数の枝部を有する金属鍛造製品の製造方法において、側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように閉塞鍛造法にて粗形材を成形する粗仕上鍛造工程と、表面部位に表面層を有している粗形材を用いて表面層をバリとして製品部位外に押出す中間仕上鍛造工程と、表面層がバリとして製品部位外に押出された成形品を用いて最終形状に成形する最終仕上鍛造工程と、最終形状品を用いて表面層が含まれるバリを除去し鍛造最終製品とするバリ取り工程と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属鍛造製品、アッパーアームまたはロアアーム、その粗形材、その製造方法、鍛造用金型及び金属鍛造製品生産システムに関する。
最近は車両用サスペンション部品として、軽量化を目的として従来の鉄材料に代わりアルミニウム合金を使用したものが増加している。特に機械的強度の向上を図り、かつ製品に使用する材料を低減させる為、これら車両用サスペンション部品は鍛造で製造されている。例えば、車両用サスペンションに用いられるアッパアームやロアーアーム等及びサスペンションを構成する部品の1つとして用いられてきている。
従来、図5に示す車両用サスペンション部品であるアッパーアーム54は、例えば、3方向に枝状の部分51、52、53を有するため一回の鍛造工程では製造することが困難である為、まず最終製品の形状に近い図6に示すような粗形材61を鍛造によって製造し、更に複数回の鍛造工程を経由して図5に示すアッパーアーム54を製造している。
具体的には、例えば図7に示す中実丸棒71から粗形材鍛造用金型で鍛造し、外側にバリ72を有する鍛造品よりトリム金型(トリミング金型)によりバリ72をバリ取り加工し、得られた粗形材73を複数回鍛造してアッパーアーム74を得ている。ここで、バリ72による材料ロスを低減するために、粗形材鍛造用金型は1つの中実丸棒素材71から複数の鍛造製品73aが一度に得られるような形状とすることがおこなわれている。
閉塞鍛造方法を用いて複数の枝状の部分を有する製品を製造する方法としては、特許文献1(特開平1−166842号公報)に開示されているものが知られている。この開示されている方法は図8に示すように、放射状に複数の枝状部分を有する製品を鍛造する方法において、素材として中実丸棒材を用い、中実丸棒材をパンチ91で加圧しながら金型93、94内のインプレッションに押出し、放射状に広がった枝状の分岐部92を閉塞鍛造で形成する方法である。
閉塞鍛造方法を用いて複数の枝状の部分を有する製品を製造する方法としては、特許文献2(特開平10−166842号公報)に開示されているものが知られている。鍛造方向に平行な雌型の内面と雄型のポンチ部外面との間に、鍛造用素材の表面変質層よりも厚いメタル溜り部を設け、雄型のポンチ部外面に鍛造品の取出しを容易にするため凸状のフリンジ部を設けた鋳造・鍛造用金型を使用し、表面変質層をもつ鋳造材を雌型内部にセットし、表面変質層をメタル溜り部に残しながら鍛造品を閉塞鍛造で形成する方法である。
閉塞鍛造方法を用いて複数の枝状の部分を有する製品を製造する方法としては、特許文献3(特開2002−361354号公報)に開示されているものが知られている。粗形材の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材として用い、閉塞鍛造法により、上記鍛造用素材の側面から加圧し、車両用サスペンション部品であるアッパーアームまたはロアアームの粗形材を得る方法である。
特開平1−166842号公報 特開平10−166842号公報 特開2002−361354号公報
車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアーム粗形材の従来の製造方法は、後工程でバリ除去を施すトリム工程が必要であり、バリ部が不要部となるために素材に対し得られるアッパーアームやロアアーム粗形材の製品歩留まりが悪かった。また、鍛造製品の加圧方向に対する投影面積が大きい為、大きな加圧力を有する大型で高価な鍛造機械が必要な為、生産コストが高くなる。
上述の特許文献1(特開平1−166842号公報)に記載されている閉塞鍛造方法では放射状に広がった枝状の分岐部92(図8)に、円柱状の素材を切断面の方向から加圧して素材を塑性流動させることを前提としているため、分岐部92が長い場合や分岐部92の形状が異なる場合には、素材の塑性流動速度や方向が鍛造製品各部で異なることが原因による欠肉や鍛造製品表面に発生するかぶりきず等の鍛造欠陥が発生するおそれがある。
特許文献2(特開平10−166842号公報)に記載されている閉塞鍛造方法は、表層部の排出を密閉鍛造によって排出しているので、鍛造荷重が大きくなり、金型寿命を短くするおそれがある。また、鍛造素材えdと成形品の体積バランスを合わせるという制限があるので、体積バランスが合わないと、成形品に欠肉部が発生するおそれがある。
特許文献3(特開2002−361354号公報)には、粗形材を成形する方法に付いては開示されているが、さらにそれを用いて最終製品形状を得るまでの具体的な工程については特に開示されていない。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、複数の枝部を有する金属鍛造製品を製造する製造方法において、素材に対する製品の歩留まり向上を図る鍛造方法、その方法に用いる金型およびその金型を用いた生産システムを提供することを目的としている。
また、本発明の他の目的は、車両用サスペンション部品やその粗形材を安価に、かつ効率よく製造できる方法を提供することにある。
本明細書中で『素材』とは、一度も鍛造を行っていない物品を意味し、鋳塊、鍛造用素材、切断品、中実丸棒材、材料、中実丸棒、中実丸棒素材、円柱状素材、丸棒材、連続鋳造丸棒、円盤、ビレット材が含まれる。
本明細書中で『粗形材』とは、鍛造工程によって得られた製品であるが、最終製品とするには更に一回乃至複数回の鍛造工程を要する製品であって、粗材、荒地鍛造用粗材、荒地粗材が含まれる。
本明細書中で『鍛造製品』とは、鍛造工程を経て得られる製品を意味し、部材、製品、最終製品、鍛造品、鍛造済品が含まれる。
本発明は、以下のような発明である。
(1)複数の枝部を有する金属鍛造製品の製造方法において、側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように閉塞鍛造法にて粗形材を成形する粗仕上鍛造工程と、表面部位に表面層を有している粗形材を用いて表面層をバリとして製品部位外に押出す中間仕上鍛造工程と、を含むことを特徴とする金属鍛造製品の製造方法。
(2)複数の枝部を有する金属鍛造製品の製造方法において、側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように閉塞鍛造法にて粗形材を成形する粗仕上鍛造工程と、表面部位に表面層を有している粗形材を用いて表面層をバリとして製品部位外に押出す中間仕上鍛造工程と、表面層がバリとして製品部位外に押出された成形品を用いて最終形状に成形する最終仕上鍛造工程と、最終形状品を用いて表面層が含まれるバリを除去し鍛造最終製品とするバリ取り工程と、を含むことを特徴とする金属鍛造製品の製造方法。
(3)表面層が、鋳造鋳肌、逆偏析層、酸化層から選ばれる何れか1種または2種以上を組み合わせた状態の部分を含む範囲であることを特徴とする(1)または(2)に記載の金属鍛造製品の製造方法。
(4)表面層を、円柱状素材の側面表面から5mm以内の部位とすることを特徴とする(1)から(3)のいずれか1つに記載の金属鍛造製品の製造方法。
(5) 表面部位を、粗形材表面から7mm以内の部位とすることを特徴とする(1)から(4)のいずれか1つに記載の金属鍛造製品の製造方法。
(6)粗仕上鍛造工程が、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用の素材として用い、上底面及び下底面が粗形材の有する平行面と対応するように配置して、上記円柱状の素材の側面から加圧することを特徴とする(1)から(5)のいずれか1つに記載の金属鍛造製品の製造方法。
(7)上記円柱状の素材は、直径(R)と厚さ(T)との比(T/R)の値が1以下であって、かつ粗形材の体積(V)と同一の体積であるように切断した円柱状の切断品であることを特徴とする(1)から(6)のいずれか1つに記載の金属鍛造製品の製造方法。
(8)上記粗形材の体積(V)と、上記円柱状の素材の厚さ(T)と、上記粗形材の加圧方向に対する投影面積の長軸長(L)と、上記円柱状の素材の直径(R)との関係が、
Figure 2005111558
であることを特徴とする(1)から(7)のいずれか1つに記載の金属鍛造製品の製造方法。
(9)上記円柱状の素材の厚さ(T)が0.8〜1.0×(上記粗形材の加圧方向に対する投影面積の短軸長(t))であることを特徴とする(1)から(8)のいずれか1つに記載の金属鍛造製品の製造方法。
(10)中間仕上鍛造工程が、粗形材の厚みが成形品の厚みより小さい部位では粗形材の表面部位を金型成形孔の製品部位の外側に設けた表面層排出部の上に粗形材を配置し、粗形材の厚みが成形品の厚みより大きい部位では製品部位より外周側の高さが製品部位と同等または低くなっている金型成形孔の製品部位の端より製品部位内側に表面部位が配置されるように粗形材を配置した状態で、鍛造を行うことを特徴とする(1)から(9)のいずれか1つに記載の金属鍛造製品の製造方法。
(11)上記鍛造用の素材をアルミニウムまたはアルミニウム合金とすることを特徴とする (1)から(10)のいずれか1つに記載の金属鍛造製品の製造方法。
(12)鍛造製品が車両用サスペンション部品であるアッパーアームまたはロアアームであることを特徴とする(1)から(11)のいずれか1つに記載の金属鍛造製品の製造方法。
(13)(1)から(12)のいずれか1つに記載の製造方法を用いて製造され、枝部断面の中心部の鍛流線が枝部の長手方向に沿った流れになっていることを特徴とする車両用サスペンション部品であるアッパーアームまたはロアアーム。
(14)製品を成形するに用いる粗形材であって、表面部位に鍛造用素材の表面層を有し、鍛流線が枝部の長手方向に沿った流れになっていて、表面部位にバリ取り痕がないことを特徴とする閉塞鍛造で成形された粗形材。
(15)表面層が、鋳造鋳肌、逆偏析層、酸化層から選ばれる何れか1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする(14)に記載の粗形材。
(16)表面部位を、粗形材表面から5mm以内の部位とすることを特徴とする(14)または(15)に記載の粗形材。
(17)製品を成形するに用いる粗形材であって、その形状が、製品部の必要とする体積より、粗形材の体積が小さい部分では、粗形材外周部幅が製品外周部幅より大きく、製品部の必要とする体積より粗形材の体積が大きい部分では、粗形材外周部幅が製品外周部幅より小さい形状となっていることを特徴とする(14)から(16)のいずれか1つに記載の粗形材。
(18)製品が車両用サスペンション部品のアッパーアームまたはロアアームである(14)から(17)のいずれか1つに記載の粗形材。
(19)パンチと、ダイスとを含む閉塞鍛造用金型であって、表面部位に表面層を有し、鍛流線が枝部の長手方向に沿った流れになっていて、表面部位にバリ取り痕がない複数の枝部を有する成形品が得られるように成形空間が設けられている成形孔を有する(1)から(11)のいずれか1つに記載の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程に使用される金型。
(20)金型が左右への分割構造を有して、かつ分割された金型を嵌め合せて保持する手段を有することを特徴とする(19)に記載の金型。
(21)保持する手段が、ホルダーリング、稼動機構から選ばれる何れか1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする(20)に記載の金型。
(22)パンチと、ダイスとを含む鍛造用金型であって、表面部位に表面層を有している粗形材の表面層をバリとして製品部位外に押出すように成形空間が設けられている成形孔を有する(1)から(12)のいずれか1つに記載の製造方法に含まれる中間仕上鍛造工程に使用される金型。
(23)粗形材の厚みが成形品の厚みより小さい部位では粗形材の表面部位がその位置に配置されるように金型成形孔の製品部位の外側に表面層排出部を設けてあり、粗形材の厚みが成形品の厚みより大きい部位では製品部位より外周側にその高さが製品部位と同等または低くなっている表面層排出部を設けてある金型成形孔を有するであることを特徴とする(22)に記載の金型。
(24)素材切断装置と、鍛造機械とを含む複数の枝部を有する金属鍛造製品生産システムにおいて、(19)から(21)のいずれか1つに記載された金型を有する鍛造機械と、(22)または(23)に記載された金型を有する鍛造機械と、を有すること、または、(19)から(21)のいずれか1つに記載された金型と、(22)または(23)に記載された金型と、を有する鍛造機械を有することを特徴とする金属鍛造製品生産システム。
本発明の金属鍛造製品の製造方法は、側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように閉塞鍛造法にて粗形材を成形する粗仕上鍛造工程と、表面部位に表面層を有している粗形材を用いて表面層をバリとして製品部位外に押出す中間仕上鍛造工程と、を含むので、鍛造用素材が鍛造製品の複数の枝部に層状に塑性流動する為、機械的特性が向上し、また、側面に表面層を有する円柱状素材を用いている為、工程の省力化ができ、鍛造用素材に対する製品の歩留り向上に適し、その結果、車両用サスペンション部品やその粗形材を安価に、かつ効率よく製造できる。
本発明の鍛造用粗形材は、鍛造用素材が鍛造製品の複数の枝部に層状に塑性流動する為、機械的特性が向上し、また、鍛造製品にはバリ取り痕が無く、側面に表面層を有する円柱状素材を用いている為、工程の省力化ができ、鍛造用素材に対する製品の歩留りが向上する。
本発明者らは、鍛造製品を製造する方法とその生産システム、素材に対する製品歩留り向上、鍛造製品のメタルフローと鍛造製品の機械的強度の関係について鋭意研究をおこないその知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明に用いる鍛造用素材は、円柱状であってその側面に表面層を有するものである。図2に、一例として、直径がRで厚さがTの円盤形状でその側面に表面層302を有している円柱状素材301を示す。
表面層は、鍛造製品の品質の低下の原因となる可能性の有る部分で最終的に鍛造製品には含ませたく無い部分を含む範囲とすることができ、例えば、鋳造鋳肌、逆偏析層、酸化層から選ばれる何れか1種または2種以上を組み合わせた状態の部分を含む範囲である。また、表面層は、円柱状素材の側面表面から5mm以内(好ましくは2mm以内、さらに好ましくは1.5mm以内。)の部位の範囲と定義することができる。このような表面層は、合金の連続鋳造棒の鋳肌のままの状態、長時間保管して表面が改質された状態などを挙げることができる。
この様な表層部は、鍛造製品の品質を低下させるおそれがあるために、従来は鍛造用素材として用いる前に切削加工等を表層部除去工程で除去し、除去されたものを鍛造用素材としていた。しかし、本発明の製造方法は、表層部を有したものをそのまま鍛造用素材として用いるので、表層部除去工程を省略でき、また除去による成形品に対する材料歩留りを低下させないので、生産性が向上したものになる。
本発明に用いる鍛造用素材は、粗形材の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊であるのが好ましい。
ここで、『同一である体積』とは、少なくとも粗形材で許容される寸法公差の範囲内の体積である。例えば、製品体積の2%以内が好ましく、1%以内がより好ましい。
鍛造用素材と粗形材の体積が同一でない場合、例えば、(粗形材体積)>(鍛造用素材の体積)の場合、粗形材に欠肉が発生し、また、(粗形材体積)<(鍛造用素材の体積)の場合、粗形材にバリが発生する為、そのままでは鍛造品として使用できなかったり、金型が破損することになる。粗形材にバリが発生した場合は、バリを取り除く工程が必要となり、作業工程が増加すると共に粗形材の歩留りが悪くなる。
本発明の製造方法は、複数の枝部を有する部材を製造するのに好適である。
本明細書中で、『複数の枝部を有する部材』とは、複数の枝端(例えば、枝部は該部材が使用されるときに他部品と結合または他部品から支持される部位となる。)から任意の経路を通り、各枝端を頂点とした多角形の範囲内にある合流部(例えば重心が挙げられる。)に向かって各枝端から枝部が伸びて合流している形状が基本形状であって上記枝部に向かって伸びる側枝を有することなく、かつ、枝端から伸びる枝部の合流部が他枝端そのもので有る場合を含む。
枝部は軽量化のために、打ち抜き穴を設けることもある。複数の枝部を有する部材は、逆に合流部から見ると合流部から複数の枝部が伸びている形状を有した部材である。伸びている枝部が合流部に対して対称な場合または非対称な場合でも本発明は適用できる。
本発明の製造方法により、複数の枝部を有する部材の他の例として、例えば図25に示す粗形材を荒仕上げ鍛造工程で成形し、複数回の中間仕上げ鍛造工程、最終仕上げ鍛造工程を経て図26の金属鍛造製品を得る事ができる。また、図27に示す粗形材を荒仕上げ鍛造工程で成形し、複数回の中間仕上げ鍛造工程、最終仕上げ鍛造工程を経て図28の金属鍛造製品を得る事ができる。
なお、本発明の製造方法により得られた金属鍛造製品は、従来の金型鋳造法で製造されている部材と比較し、複雑な形状が鍛造工法で製造されているので機械的強度が向上し、製品に使用する材料を低減させることができ、部品を軽量化する事ができる。
複数の枝部を有する部材として、例えば、車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアーム等などが挙げられる。これらの製品では枝部の機械的強度向上が求められる。
また、複数の枝部を有する部材として従来金型鋳造法で製造されている車両用サスペンション部品であるキャリアやストラットナックル等なども挙げられる。
本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程は、側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように閉塞鍛造法にて粗形材を成形する工程である。表面部位は、粗形材表面から7mm以内(好ましくは5mm以内、より好ましくは3mm以内。)の部位とするのが好ましい。
こうすることにより、鍛造製品の品質の低下の原因となる可能性の有る部分が表面部位に集められることになり、その結果、後述する本発明の中間仕上鍛造工程を経た最終的な鍛造製品にその部位を含ませないことが容易にできるからである。
従来は、粗形材を成形する時にアンダーカット部位が生じないように成形品形状、金型の成形孔、パンチの荷重方向を調整して鍛造金型を設計していた。
本発明では、粗形材の形状を後述する中間仕上げ工程において表面層が全て排出されかつ粗形材の体積がより小さくなるように設計し、側面である素材の厚さと粗形材の厚さの関係を限定して、上底面及び下底面が粗形材の有する平行面と対応するように配置して表層部を有する側面を鍛造装置のパンチ(上金型)が加圧するように配置し、さらに荷重によるメタルフローの方向が複数の枝部に沿った形状になるように成形品の各枝の成形孔とパンチの荷重方向の位置関係を設定して、表面部位に表面層を有するように粗形材が成形されるようにしている。
図3に、金型の成形孔、パンチの荷重方向、成形プロセス中の成形品形状および成形プロセス中の表層部の状態、を示す。図3(a)は、金型の成形孔の形状と枝の向き、素材231の配置位置、パンチの荷重方向Iを示している。なお素材231の外周部の符号付黒丸は表層部302の位置を示すものである。図3(b)は、米SFTC社製塑性加工シミュレーションソフト「DEFORM」を用いたシミュレーションによる加圧途中での成形品形状および成形プロセス中の表層部の位置の変化する状態を示す。素材の塑性流動が枝に沿っていて、表層部が成形品の内側に巻き込まれていないことがわかる。図3(c)は、成形終了時の成形品形状および表層部の状態、を示す。素材の塑性流動が枝に沿っていて、表面部が成形品の外周部に残っていて内部に巻き込まれないことが推定される。
これを実現するためには、本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程は、加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材として用い、上記円柱状の鍛造用素材の側面から加圧することから成ることが好ましい。
形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状とは、例えば、底面の形状が角を含まない曲線で囲まれたものである円柱、底面の形状が角を含まない曲線で囲まれたものである円錐台、楕円柱、楕円錐台などが挙げられる。
鍛造用素材の加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1を超えた場合、加圧方向に対する投影面積が大きくなる為、鍛造加圧力が大きくなる。その結果、必要以上に鍛造加圧力が大きくなり粗形材の鍛造状態が不安定になるおそれがある。車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの粗形材を鍛造する場合にはその影響が大きい。また、より大きな鍛造加圧力を有する高価な鍛造機械が鍛造する為に必要となり、高コストとなってしまうので好ましくない。
本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程は、上述のような素材の側面に対して加圧するので、素材の塑性流動はメタルフローが投影面積の小さい部位から長軸方向に流れることになり、そこの部位の強度を高めることができる。粗形材が複数の枝部を有する部材の場合、枝部のメタルフローが枝部の形状に沿って層状になり、その結果枝部の強度を高めることができる。
鍛造用素材を丸棒材から輪切りにして切断品とする場合は、丸棒材の切断面を鍛造加圧面と同一とするのではなく、丸棒材の切断面に垂直な面、すなわち、丸棒材の側面と鍛造加圧面とを同一にすることが好ましい。これにより上底面及び下底面が粗形材の有する平行面と対応するように配置されるからである。
なお、本明細書中での『平行面』とは、粗形材の有する面において、広い面積を有してほぼ平行に対向する面のことを意味する。
丸棒材の切断面と鍛造加圧面が同一となるような従来の鍛造方法では、車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの粗形材のような枝部を有する場合、切断面と切断品外周面(側面)とからなる角部が鍛造品の枝部に移動しながら鍛造用素材が枝部に塑性流動する。この時、素材の塑性流動速度や塑性流動方向が切断面と切断外周面の各部位によって異なる為、角部が原因となるかぶり等の鍛造欠陥が粗形材の枝部表面に生じることになる。その結果、該鍛造欠陥が粗形材の破壊起点となるおそれがあるために、より高品質の特性を要求される鍛造品用の粗形材としては使用できない。
しかし、本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程では、形状が角を含まない円柱状の鋳塊を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧しているので、前記のような角部は鍛造品の外周の輪郭部と一致するように素材は塑性流動されるので鍛造品の枝部にかぶり等の鍛造欠陥が発生することを抑えることができる。また、加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下であるため、鍛造品の加圧方向に対する投影面積が小さくなり加圧荷重を小さくできる。
円柱状の鍛造用素材の側面から丸棒材の切断品を切断面に垂直面である外周面から加圧した場合は、前記のような角部は鍛造品の外周の輪郭部と一致するように素材は塑性流動されるので鍛造品の枝部にかぶり等の鍛造欠陥が発生することを抑えることができるので好ましい。また、丸棒材を切断した切断品の直径に対して該切断品の厚さの比が1以下であるため、鍛造品の加圧方向に対する投影面積が小さくなり加圧荷重を小さくできるので好ましい。
本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程では、鍛造用素材の上底面及び/または下底面の輪郭は、角を含まず滑らかであれば良い。例えば、円、縦長楕円、横長楕円、角部が滑らかなつながりをもつ多角形形状であれば、かぶり等の鍛造欠陥が発生しない為より好ましい。
本発明で用いられる鍛造用素材は、丸棒材を直径(R)[mm]と厚さ(T)[mm]との比(T/R)の値が1以下(好ましくは(π/4)以下、より好ましくは0.5以下。)となるように切断した円柱状の切断品であるのがコスト、素材加工の容易性の点から好ましい。
本発明による製造方法では、鍛造素材の材料として金属材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、鉄、マグネシウム、およびこれらを主成分とする合金を挙げることができる。アルミニウム合金であれば、Al−Mg−Si系合金、Al−Cu系合金、Al−Si系合金などを挙げることができる。Al−Mg−Si系合金としては、JIS6061合金、SU610合金を挙げることができる。
また、Al−Cu系合金であれば、JIS2024合金、2014合金等を挙げることができる。Al−Si系合金であればJIS4032合金等を挙げることができる。
本発明に用いる素材は、連続鋳造法、押出法、圧延法等いずれの方法で製造されたもので良い。アルミニウムやアルミニウム合金の場合、連造鋳造された丸棒材が安価で好ましい。アルミニウム合金においては、気体加圧式ホットトップ鋳造法(例えば、SHOTIC:昭和電工(株)登録商標。)で連続鋳造された丸棒材が、優れた内部健全性を持ち、結晶粒が微細であり、かつ、塑性加工による結晶粒の異方性がない為より好ましい。本発明の鍛造方法において鍛造素材が粗形材枝部により均一に層状に塑性流動し、欠肉等の鍛造欠陥が発生せず、また、製品の機械的強度を向上させる面からより好ましいからである。
本発明に用いる素材の製造方法は、粗形材の体積(V)[mm3]と、丸棒の厚さ(T)[mm]と、該粗形材の加圧方向に対する投影面積の長軸長(L)[mm]と、丸棒材の直径(R)[mm]との関係が、
Figure 2005111558
であることが好ましい。
丸棒切断品の直径(R)が、
Figure 2005111558
である場合、一回の鍛造で成形品枝部に素材を塑性流動させるのにプレスの能力以上の大きな加圧力が必要となる為複数回の鍛造工程が必要となり、加圧不足により目的の粗形材が得られず粗形材に欠肉が生じるおそれがある。また、この場合は素材の塑性流動距離が長くなることを意味しており、その場合鍛造素材と金型との間の潤滑膜切れが発生することにより、粗形材に焼きつきやかじり等の鍛造欠陥が発生し、鍛造欠陥除去の為機械加工が必要となる場合がある。また、長軸長Lが直径Rよりも小さいと、下式の如くなって、
Figure 2005111558
丸棒切断品を鍛造金型に投入することができない為、閉塞鍛造することができない。
本発明に用いる鍛造用素材は、丸棒材の厚さ(T)[mm]が0.8〜1.0×(粗形材の加圧方向に対する投影面積の短軸長(t)[mm])であることが好ましい。該丸棒切断品の厚さが0.8×t以上では、鍛造用素材が金型内で傾いたりすることはなく、金型への鍛造用素材投入位置が金型内の定まった位置で安定する為に、鍛造時に欠肉や偏肉、かぶり等の鍛造欠陥が生じず、品質の安定した鍛造品を製造する事ができる。また、該丸棒切断品の厚さが1.0×tを超えると鍛造用素材を鍛造金型に投入することができない為、バリの発生しない閉塞鍛造をすることができない。
本発明の製造方法に含まれる中間仕上鍛造工程は、粗仕上鍛造工程で得られた表面部位に表面層を有している粗形材を用いて、その表面層をバリとして製品部位外に押出す鍛造工程である。製品形状、表面層の押し出される状況を考慮して、中間仕上鍛造工程は、1回の鍛造工程もしくは複数回の鍛造工程とすることができる。
図15、図4を用いて、中間仕上鍛造工程で表面部位の表面層がバリとして排出される作用を説明する。
図15に、一例として、粗形材が有する表面層が排出されるように粗形材を中間仕上鍛造工程用金型(下型)601に配置した状態を示す。図15は図14のXV−XVの位置の断面概略図である。粗形材の厚みが成形品の厚みより小さい部位なので、粗形材の表面部位を金型成形孔の製品部位602の外側に設けた表面層排出部603の上方に粗形材を配置してある。
図4に、米SFTC社製塑性加工シミュレーションソフト「DEFORM」を用いたシミュレーションによる表面部位の表面層がバリとして排出されるようすを示す。図4(a)は、粗形材と金型の配置の一例を示す。中間仕上鍛造工程用金型の上金型(パンチ)801と中間仕上鍛造工程用金型の下金型(ダイス)802の間に粗形材804が配置されている状態の製品部内部側から外部側への断面で示したものである。符号803は製品部位の成形孔の最外周である。素材の表面層を有する粗形材の表面部位302は、製品部位の成形孔の外側に配置されている。粗形材の表面部位を金型成形孔の製品部位の外側に設けた表面層排出部603の上方に粗形材は配置されている。符号付黒丸は、表層部の位置を示している。図4(b)は、加圧が開始された成形途中の状態を示している。素材の表面層を有する粗形材の表面部位が、表面層排出部603に押出されているのがわかる。
図4(e)は、素材の表面層を有する粗形材の表面部位が、製品部位の成形孔の内側に配置されているようすを示している。図4(f)は、素材の表面層を有する粗形材の表面部位の一部が製品部位の成形孔に巻き込まれているのがわかる。
図4(c)、(d)に示すように、成形孔の製品部位より外周部の高さを製品部位の高さと同等または低くした表層部排出部805を設けることにより表面層を排出することが可能である。図4(c)に、粗形材の厚みが成形品の厚みより大きい部位で、製品部位より外周側の高さが製品部位と同等または低くなっている金型成形孔の製品部位の端より製品部位内側に表面部位が配置されるように粗形材を配置した状態の一例を示す。図4(d)は、加圧が開始された成形途中の状態を示している。素材の表面層を有する粗形材の表面部位が、表面層排出部805に押出されているのがわかる。
以上より、中間仕上鍛造工程用金型の成形孔の製品部位とその外周部を粗形材の表面部位の状態に合わせたものとすることにより、表面部位に表面層を有している粗形材を用いたときその表面層がバリとして製品部位外に押出されると考えられる。
図6(b)に、表面層がバリとして排出された様子の一例を示す。製品部位の成形孔で成形された製品部位64の外側に表層部排出部に排出された表面層部排出部位66が成形されている。破線で示した表面層部逃がしライン65の付近に表面層部が排出されている。さらにその外側にその他のバリ67が排出されている。
さらに、中間仕上鍛造工程で得られた最終形状品を用いて、バリ取り工程で表面層が含まれるバリ部分を除去し鍛造最終製品とすることにより、後工程である組立工程にそのまま用いることが出来るので好ましい。
さらに、表面層がバリとして製品部位外に押出された成形品を用いて最終形状に成形する最終仕上鍛造工程を含ませることにより、より複雑な形状を成形することができるので好ましい。
また、粗形材を得るための粗仕上鍛造は、複数回、実施しても良い。より複雑な形状に対応出来るからである。
以上のように、本発明の製造方法は、複数の枝部を有する金属鍛造製品の製造方法において、側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように閉塞鍛造法にて粗形材を成形する粗仕上鍛造工程と、表面部位に表面層を有している粗形材を用いて表面層をバリとして製品部位外に押出す中間仕上鍛造工程と、を含むことを特徴とするので、従来の製造方法では、粗形材鍛造用の素材を得るためにまず表層部除去を施しさらに最終製品を得るためにバリ部分の除去を施しそれぞれで除去分の材料歩留まりの低下があったが、本発明の製造方法を用いることにより、粗形材鍛造用の素材を得るため表層部除去工程を省略できるのでトータルとして除去による鍛造製品に対する材料歩留りの低下を抑えることができるので、生産性が向上したものになる。
本発明の製造方法は、側面に表面層を有する円柱状の鍛造用素材の側面から加圧することにより、車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの鍛造製品を製造することができ、また、工程を省力化し、鍛造時の加圧力が低減できかつ鍛造用素材に対する製品歩留りが優れている製造方法となる。
本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程は、好ましくは、粗形材の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材とし、上底面及び下底面が粗形材の有する平行面と対応するように配置して、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧する閉塞鍛造方法であるので、鍛造時の加圧力が低減でき、かつ鍛造用素材に対する製品歩留りが優れており、鍛造品の機械的強度を向上させる効果をもっている。
本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程は、側面に表面層を有する円柱状の鍛造用素材の側面から加圧することにより、車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの鍛造用粗形材を製造することができ、また、鍛造時の加圧力が低減できかつ鍛造用素材に対する製品歩留りが優れている製造方法となる。
この本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程で製造された鍛造用粗形材は、素材の表層部が表面部位に集められているので、本発明の製造方法に含まれる中間仕上鍛造工程を経ることにより、表面層がバリとして製品部位外に押出された鍛造製品となる。そのため、鍛造用粗形材を得るのに、表層部を有したものをそのまま鍛造用素材として用いることができるので、表層部除去工程を省略でき、また除去による成形品に対する材料歩留りを低下させないので、生産性が向上したものになる。
さらにこの本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程で製造された鍛造用粗形材は、鍛造用素材が粗形材の複数の枝部にそって塑性流動しているので、それを用いた中間仕上鍛造工程、最終仕上鍛造工程を経て得られた鍛造製品では、その枝部断面の中心部のメタルフローが製品形状に沿って層状となっている。その結果、機械的強度向上が得られるため好ましい。車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの鍛造用粗形材として好適に用いることができる。
本明細書中で、『メタルフロー』とは塑性加工である鍛造によってできる成形品の結晶粒の流れである。『メタルフローが層状である』とは、成形品形状に沿って結晶粒の流れが一様であることを示している。成形品の断面において観察される縞状の流れが、成形品の形状に沿っていて形状の輪郭(表面)から外に出て途切れたり、成形品内部で乱れていないことである。このような状態を鍛流線が成形品枝部に沿った流れになっているという。
また、JIS2014、JIS6061等のアルミニウム合金においては、塑性流動量が大きいほど機械的強度が向上するが、過剰な塑性流動が加わると鍛造品の一部に於いて結晶粒の粗大化が生じる。この結晶粒の粗大化により、機械的強度は大幅に低下する。従来のバリ出し鍛造方法ではパーティングライン付近の塑性流動量が大きい。従って、従来の製法に於いてはこのパーティングライン付近では結晶粒の粗大化を生じ機械的強度が低下していた。
しかし、本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程は、バリを生じないためパーティングラインは存在しない。従って本発明の方法は、従来の方法に比べて結晶粒の粗大化を抑制することが出来、局部的な強度の低下を生じない点で優れている。車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの鍛造用粗形材として好適に用いることができる。
上述の如く、本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程で製造された鍛造用粗形材はバリが発生しない為、その結果粗形材にバリ取り痕がなく、また製品歩留り向上の点からより好ましい。車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの鍛造用粗形材として好適に用いることができる。
次に、本発明の製造方法に用いる金属鍛造製品生産システムを説明する。
図10は、前述した製造方法を含む金属鍛造製品生産システムの構成例の一例の概略を示している。
図10において、金属鍛造製品生産システムは、素材切断装置101と、鍛造機械105とを含んでいる。素材を加熱してから鍛造する熱間鍛造の場合であれば、素材加熱装置103を含ませることが必要である。さらに、素材供給装置102と、素材搬送装置104と、成形品搬出装置106とを含ませると一貫自動生産システムに構成される。鍛造済品が最終製品の形状になっている場合は鍛造製品熱処置炉107を含ませるのが好ましい。
素材切断装置101は、連続鋳造丸棒を粗形材と同体積の長さに切断するためのものである。素材供給装置102は一定量の鍛造用素材をホッパー内に保留し、次工程へ鍛造用素材を供給するためのものである。素材搬送装置104は鍛造用素材を金型へ搬送するためのものである。鍛造機械105は鍛造用素材を鍛造するためのものである。
鍛造機械105は、パンチとダイスとを含む閉塞鍛造用金型であって、表面部位に表面層を有し、鍛流線が枝部の長手方向に沿った流れになっていて、表面部位にバリ取り痕がない複数の枝部を有する成形品が得られるように成形空間が設けられている成形孔を有する粗仕上鍛造工程に使用される金型(金型A)を有する鍛造機械と、パンチと、ダイスとを含む鍛造用金型であって、表面部位に表面層を有している粗形材の表面層をバリとして製品部位外に押出すように成形空間が設けられている成形孔を有する中間仕上鍛造工程に使用される金型(金型B)を有する鍛造機械との最終仕上鍛造工程に使用される金型(金型C)を有する鍛造機械と直列で構成されている。または、単一装置あって金型Aと金型Bと金型Cとを有し工程によって切りかえるものであってもよい。
バリ取り装置108は、表層部を含むバリを除去するためのものである。バリ取り装置は従来公知の装置を用いることができる。
成形品搬出装置106はノックアウト機構により成形品を金型内から排出し次工程へ搬送するためのものである。また、分割ダイス内の成形品を金型内から取り出し、次工程へ搬送する場合にも使用する。素材加熱装置103は鍛造用素材を加熱して鍛造加工性を高めるためのものでる。鍛造製品熱処置炉107は取り出した鍛造製品を溶体化・時効処理を実施する熱処理のためのものである。
本発明の鍛造機械に取り付けられる粗仕上鍛造工程用金型(金型A)の構成例の概略を図11をもとに説明する。
本発明の粗仕上鍛造工程用金型は、パンチ111、ダイス112とを含むものである。製品形状に応じて、ブッシュ113と、ノック114を設けることができる。また、必要に応じて、例えば鍛造用素材を加熱してから鍛造を行う熱間鍛造の場合、金型への潤滑剤噴霧装置115を鍛造用金型あるいは鍛造機械に取りつけることが好ましい。また、潤滑剤噴霧装置115は、潤滑装置単体として設置しその動作を鍛造機械と連動させたものでも良い。
本発明の粗仕上鍛造工程用金型は、パンチと、ダイスとを含む鍛造用金型であって、表面部位に表面層を有し、鍛流線が枝部の長手方向に沿った流れになっていて、表面部位にバリ取り痕がない複数の枝部を有する成形品が得られるように成形空間が設けられている成形孔を有している。さらに、金型が左右への分割構造を有して、かつ分割された金型を嵌め合せて保持する手段を有することが好ましい。
本発明の粗仕上鍛造工程用金型は、パンチ、ダイスで囲まれた空間の形状が、粗形材の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっているのが好ましい。
本発明の粗仕上鍛造工程用金型は、パンチ、ダイスで囲まれた空間の形状が、複数の枝部を有する部材を閉塞製造する形状になっていて、丸棒材を直径(R)[mm]と厚さ(T)[mm]との比(T/R)の値が1以下であって、かつ粗形材の体積(V)[mm3]と同一の体積であるように切断した円柱状の切断品を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっているのが好ましい。
とくに、上記空間の枝部の合流付近に接触して鍛造用素材を設置できるような構成になっているのがメタルフローの点から好ましい。
本発明の粗仕上鍛造工程用金型は、粗形材の体積(V)[mm3]と、丸棒材の厚さ(T)[mm]と、該粗形材の加圧方向に対する投影面積の長軸長(L)[mm]と、丸棒材の直径(R)[mm]との関係が、
Figure 2005111558
となるようなパンチ、ダイスで囲まれた空間の形状を有していることが好ましい。
本発明の粗仕上鍛造工程用金型は、丸棒材の厚さ(T)[mm]が0.8〜1.0×(粗形材の加圧方向に対する投影面積の短軸長(t)[mm])となるようなパンチ、ダイスで囲まれた空間の形状を有していることが好ましい。
本発明の粗仕上鍛造工程用金型は、表面部位に表面層を有し、鍛流線が枝部の長手方向に沿った流れになっていて、表面部位にバリ取り痕がない複数の枝部を有する成形品が得られるように成形空間が設けられている成形孔を有する金型であるので、側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように粗形材を成形することが容易にできる。その結果鍛造製品の品質を低下させるおそれがある表層部を有したものをそのまま鍛造用素材として用いるので、表層部除去工程を省略でき、また除去による成形品に対する材料歩留りを低下させないので、生産性が向上したものとなり好ましい。
本発明の粗仕上鍛造工程用金型は、好ましくは、パンチ、ダイスで囲まれた空間の形状が、粗形材の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっているので、鍛造時の加圧力が低減でき、かつ鍛造用素材に対する製品歩留りが優れており、粗形材の機械的強度を向上させる効果をもっている。
本発明の中間仕上鍛造工程用金型(B)は、パンチと、ダイスとを含む鍛造用金型であって、表面部位に表面層を有している粗形材の表面層をバリとして製品部位外に押出すように成形空間が設けられている成形孔を有する金型である。
中間仕上鍛造工程で用いる金型のダイスの一例の概略を図14に示す。鍛造製品形状の成形孔の製品部位602を掘り込んだ金型外周部に表面部位を除去する為の表面層排出部603を設けている。また、粗形材の形状にあわせた掘り込み部も設けている。
粗形材の厚さが製品の厚みより小さい部位では、粗形材の表面部位の位置が金型成形孔の製品部位より外側に設けた表面層排出部になるように金型の成形孔の形状を設計してある。粗形材の厚さが製品の厚みより大きい部位では粗形材の表面部位が金型成形孔の製品部位より金型の内側になるように粗形材が配置されるように金型の成形孔の形状を設計し、さらに金型成形孔外周部の高さが製品部位のそれと同等または低くなるように表面層排出部を設計してある。
この為、製品外周部のパーティングライン(バリ出しライン)の厚みが製品各部で異なっている。
粗形材の表面部位が金型成形孔の製品部位より金型外側になるように配置されるように設けられている例を、図14のXV−XVの位置の断面概略図である図15に示す。
金型成形孔の形状は、これら関係を満足する範囲で、設計することができる。例えば、鍛造製品のある一部が、粗形材の厚さより高い場合は、金型の幅より粗形材の幅を広くする。鍛造製品の体積が素材の体積より多い場合、外周部側の素材が集められるからである。また、鍛造製品のある一部が、粗形材の厚さより低い場合は、表面部位が金型成形孔の製品部位より金型の内側になるように粗形材を配置し、金型成形孔外周部の高さを低くするようにする。鍛造製品の体積が素材の体積より小さいので、金型の突起部を利用し粗形材を広げることにより表面部位を金型成形孔より更に外側に排出することができる。
中間仕上鍛造工程用金型の作用を下金型で説明したが、上金型にまたは上金型下金型の組み合わせに上記の作用を持たせるように成形孔を設けることもできる。
本発明の、中間仕上鍛造工程用金型は、金型がパンチと、ダイスとを含む鍛造用金型であって、表面部位に表面層を有している粗形材の表面層をバリとして製品部位外に押出すように成形空間が設けられている成形孔を有する金型であるので、表面部位に表面層を有している粗形材を用いて表面層をバリとして製品部位外に押出すように成形することが容易にできる。その結果、表面部位に集められている素材の表層部がバリとして製品部位外に押出された鍛造製品を製造することが、表層部を有したものをそのまま鍛造用素材として用いた鍛造用粗形材を用いて容易にできるので、トータルとして表層部除去工程を省略でき、また除去による鍛造製品に対する材料歩留りを低下させないので、生産性が向上したものになる。
本発明における、製品形状、粗形材形状、表面部位の位置と中間仕上鍛造工程用金型の成形孔との位置関係の設計方法について一例を説明する。
(a)与えられた製品形状の断面において、「製品の横幅+(表面層幅×2以上、例えば20mm以上)」を横幅とした長方形を想定し、その長方形の面積と製品断面積とが同じになるように長方形の「高さ」を求める。
(b)製品形状の全ての箇所について断面形状と断面積を求め、断面形状と断面積を求めた各箇所において(a)の方法により長方形の「高さ」を求め、各箇所で求めた「高さ」のうち最大のものを仮の「粗形材の基本厚さ」とする。
(c)「(b)で求めた粗形材の厚さ」と「製品の横幅+(表面層幅×2)」とでまず「初期値の粗形材形状」を仮定する。ここで、粗形材の側面を表面層とする。
(d)次ぎに「初期値の粗形材形状」の断面面積と、断面面積の位置での「製品形状」の断面面積とを比較する(図23(a))。断面の方向は、例えば、枝部の伸びる方向に垂直であって鍛造加圧方向と平行とすることができる。または鍛造加圧方向に平行であって、加圧方向において断面面積が最小となる角度の方向とすることができる。または、枝部の伸びる方向に垂直であって、中間仕上鍛造のパーティングラインに垂直である方向とすることができる。
または、製品形状において体積の大きな部位(例えば、ボールジョイント部、ボス部、ブッシュ装着部など)数ヶ所においてこれらを組み合わせた断面積をもって代表させることができる。
(e)(d)の結果、(製品形状断面積)<(初期値粗形材形状断面積)である場合、粗形材形状断面積が製品形状断面積と等しくなるまで、粗形材の幅を小さくする方向に修正して(d)へ戻り繰り返す(図23(b)参照。)。
(f)(e)の結果、粗形材の幅が製品の幅より大きくなった場合、金型のバリ出し部がそのまま表層部排出部となる(図23(b)参照。)。
また、(e)の結果、粗形材の幅が製品の幅より小さくなった場合、金型には表層部排出部を設ける(図23(c)、(d)、(e)。)。粗形材の幅が製品の幅より小さくなった場合に設ける表層部排出部は、幅271は表層部の幅以上に設定するのが好ましい。深さ272は、成形時に粗形材は成形孔内に押し下げられると同時に押し広げられるが(例えば金型に凸部がある場合はより広げられる。)、その時に粗形材の側面の表層部が排出部の位置に広がって結果表層部が排出部内に押出されていくように設けることが好ましい。また排出部の角部273は、鍛造時の応力を逃すだけでなく表層部の排出がスムーズになるように曲率を設ける(例えば曲率半径3mm〜10mmとする。)のが好ましい。
(g)以上より、最終決定された粗形材の形状は、製品部の必要とする体積より、粗形材の体積が小さい場合、粗形材外周部は製品外周部より大きく、製品部の必要とする体積より粗形材の体積が大きい場合、粗形材外周部は製品外周部より小さい形状となっている(図24参照。)。
(h)以上より、粗形材形状、表層部の位置、中間仕上鍛造用金型の成形孔、金型の表層部排出部の関係は次ぎのようになっている。
(ア)金型は、粗形材の幅が製品の幅より大きくなった場合に対応する箇所では、表層部の位置は製品成形孔の外周になるようにし、その外周部には表層部が残るように表層部排出部を設ける。
(イ)金型は、粗形材の幅が製品の幅より小さくなった場合に対応する箇所では、表層部の位置は製品成形孔の内側(製品部の内側)になるようにし、その外周部には表層部が排出されるように表層部排出部を設ける。
本発明では、以上のようにしているので、表層部の排出は密閉鍛造による排出ではないので、密閉鍛造と比較して鍛造荷重を小さくすることができ金型寿命を大きくすることができるので好ましい。また、密閉鍛造では鍛造素材と成形品の体積バランスを合わせるという制限があるので、表層部を排出するための形状設計の自由度が少なく(例えば、表層部の位置は製品成形孔の外周側(製品部より外側)に配置する必要がある。)、表層部を含む削除部を小さくすることが困難であるが、本発明は開放型なので形状全体として最小付加体積で表層部を排出し削除部を小さくできる。
一方、通常行われているバリ出し鍛造では、複雑な製品形状を鍛造にて製造する場合における丸棒の素材体積は、製品各部位が必要とする体積に低荷重で鍛造ができかつ材料歩留りを良くすることを目的とした設計がなされている。その為、できるだけ素材体積を減らすために素材は製品成形孔の内側に配置される大きさに設計されるので、表層部を排出できるようには設計されない。しかし、本発明は、通常のバリ出し鍛造とは異なり上記のような思想で粗形材形状を設計して成形孔に配置する。その結果、表層部を有した粗形材をそのまま用いても、その表層部を排出部に排出することができる。
本発明の最終仕上鍛造工程用金型(C)は、従来公知に用いられているように、パンチと、ダイスとを含む鍛造用金型であって最終製品の形状が成形できるような成形空間が設けられている成形孔を有する金型である。
本発明の各工程の鍛造用金型の構成において、ダイス、ブッシュ、ノックの組み合わせは、構成する部品点数を1つとし、例えば、ダイスのみで構成される一体型金型としても良い。または2ヶ以上の構成部品点数を組み合わせたものを1構成部品とし、例えば複数のブッシュをダイスに組み込んであるような分割型金型としても良い。金型寿命向上の点からは、分割型金型がより好ましい。
つぎに、図10の金属鍛造製品生産システムおよび図11の金型(A)、図14の金型(B)を用いた本発明の製造方法の一実施形態を説明する。
本発明の製造方法は、製造形態に合わせて、
1)連続鋳造丸棒を粗形材と同体積の長さに切断する工程と、
2)一定量の鍛造用素材をホッパー内に保留し、次工程へ鍛造用素材を供給する工程と、
3)鍛造用素材を金型へ搬送する工程と、
4)鍛造用素材を鍛造する工程(粗仕上鍛造工程、中間仕上鍛造工程、最終仕上鍛造工程、バリ取り(トリム)工程)と、
5)鍛造製品を金型内から排出する工程と、
6)取り出した鍛造製品を溶体化・時効処理を実施する熱処理工程とを含ませることができる。
また、鍛造製品の形状が安易であり、常温にて鍛造用素材を鍛造する冷間鍛造の場合、必要に応じて、鍛造前に、鍛造用素材に化成皮膜処理を施すボンデ処理を実施する工程を追加する事が、鍛造荷重の減少、鍛造製品と金型との焼きつき防止の点から好ましい。
また、鍛造製品形状が複雑であり、鍛造用素材を加熱してから鍛造する熱間鍛造の場合、必要に応じて鍛造用素材を予備加熱を行う工程、鍛造用素材を鍛造前に例えば、鍛造用素材に水溶性黒鉛潤滑処理を施す工程、閉塞鍛造用金型を所定の温度に予備加熱する工程、閉塞鍛造用金型に、例えば、閉塞鍛造用金型の鍛造成形部位に水溶性黒鉛潤滑剤をスプレーで噴霧する工程、もしくは、閉塞鍛造用金型の鍛造成形部位に、油性潤滑剤を噴霧する工程から選ばれる工程を追加することが鍛造荷重を減少させる点、または鍛造製品と金型との焼きつきを防止する点から好ましい。
前述の粗仕上鍛造工程で用いる金型の1例のダイスとして、稼動機構を備えた分割ダイスを用いた構成例の概略を図12に示す。
図12において、一対の分割ダイス121は所定の間隔を隔てて粗形材成型部が彫られている面を対面させるようにして配置されている。各分割ダイス121の背面には、腕部122がそれぞれ設けられ、上記腕部122の他端には、油圧シリンダー、電動機等の駆動機構(図示せず。)が動力伝達機構を介して接続し、鍛造時には、上記駆動機構により一対の分割ダイス121は互に前進して圧着し、粗仕上鍛造工程用金型を形成する。
鍛造終了後は、駆動機構を上記とは反対方向へ駆動して、分割ダイス121を開かせ、製品を取り出す。
分割ダイス121の背面に設ける腕部122の位置は金型の枝部が集まる位置の背面が、偏荷重が掛からないため好ましい。また精密な寸法の製品を鍛造する場合は、1個の分割ダイス121に対して、複数の腕部122を必要箇所に設け、金型を形成する。
尚、図12の実施例では、両方の分割ダイスに稼動機構を設けたが、一方の分割ダイスを固定し、他方の分割ダイスのみに稼動機構を設け、他方の分割ダイスを駆動させて鍛造を行っても良い。
前述の粗仕上鍛造工程で用いる金型であるダイスとして、ホルダーリングを備えた分割ダイスを用いた構成例の概略を図13に示す。
分割金型ダイス504(分割金型は対称な物の組み合わせなので片側のみ図示している。)はホルダーリング501によって締め付けられている。締め付けが外れないようにボルト等で金型に機械的に固定することができる。取りつけ位置は、加圧時の荷重応力を受け止めることができるように、金型の厚肉部位503の位置とホルダーリングを取りつける位置とを調整する。金型の厚肉部位の位置またはホルダーリングを取りつける位置のいずれかが成形品の枝部が集まっている部位に設定されることが好ましい。図13(c)は、ホルダーリングの取りつけ位置が成形品の枝部が集まっている部位に設定されている例である。
ホルダーリングの形状、材料強度、熱膨張係数等は、分割金型ダイス504が鍛造荷重を受けても開かないように設計される。材質は、例えば、SCM435Hを用いることができる。例えば、図13(b)に示すように、ホルダーリング501の形状は、ホルダーリングの幅502を100mm〜300mmとすることができる。
また、ホルダーリングを配設する金型側の形状にはテーパを施し、ホルダーリングが抜きやすいようにするのが好ましい。容易に金型を再分割できるので、成形品の取りだしが容易になり、またメンテナンス性が良くなるからである。
金型を嵌め合せて保持する手段による金型の締め付けは、枝部が集まっている部位に締め付けの中心を設定することが好ましい。その結果、分割された金型は、金型が加圧時の応力に安定して耐えられるようになり加圧時に開かないようになる。その結果、保持が充分となり指し込みバリ等が発生するのを抑えることができ、またメタルフローが安定になるので、枝に素材が塑性流動する状態が良好になるので、安定的に表層部を表面部位に集めることができるようになる。
上述の如く、分割ダイスを用いることにより、前述の閉塞鍛造用金型で得られる効果のほかに、成形した粗形材の排出方向が、分割ダイス上方向のみでなく分割ダイスの開口部方向よりも可能となるため、ノックアウトストロークに関係なく粗形材を金型内から取り出すことができる。
特に、本発明では、粗形材の形状を歩留りが良く、かつ表面層を中間鍛造仕上げ工程で排出できるように設計し、側面である素材の厚さと粗形材の厚さの関係を限定して、上底面及び下底面が粗形材の有する平行面と対応するように配置して表層部を有する側面を鍛造装置のパンチ(上金型)が加圧するように配置し、さらに荷重によるメタルフローの方向が製品枝部に沿った流れとなるように成形品の各枝の成形孔とパンチの荷重方向の位置関係を設定して、表面部位に表面層を有するように粗形材が成形されるようにしているため、粗形材にアンダーカット形状が生じることがある。そのような場合でも、分割ダイスであれば粗形材を容易に製造することができる。尚、『アンダーカット形状』とは、ノックアウト機構を用いても金型から成形品を取り出すことのできない形状のことである。
金型の成形孔を製作する方法として、直彫り(切削ツールで削る。)と放電加工方法がある。本発明で、表層部を表面に集めるためには、素材と金型壁面との間の塑性流動抵抗を制御することが重要である。そのためには、金型の内壁表面は、Rmax5μm〜10μmにするのが好ましい。そのような表面を得るためには、成形孔を彫り込んだ後に、例えば、表面に研摩処理を施す。
枝を有する成形品に用いる金型は短軸長に対して深さ方向が深くなる(例えば短軸長が20mm〜40mmに対し、深さ方向が200mm〜400mm。)ので、枝先まで充分な研磨処理を施すことが困難である。
分割した金型は、枝先まで充分な研磨処理を施すことが可能となり、その結果素材と金型壁面との間の塑性流動抵抗の制御が安定する。
更に、金型を分割するので、潤滑油を金型全体に噴霧することが容易となり、また、ダイス表面のメンテナンス性が向上する。
粗形材にアンダーカット形状が生じ無い場合は、分割した金型を、従来のように、金型の外周に母ダイス等をやきばめて、金型に圧縮応力をかけて、鍛造時に外周へと開く応力と打ち消して、全体としては、開かないようにすることも可能である。
本発明の粗仕上鍛造条件は以下とすることが好ましい。金型温度はアルミニウム合金であれば100℃〜300℃、素材温度はアルミニウム合金であれば、400℃〜550℃(例えば、SU610合金では、500℃〜550℃。)が好ましい。潤滑剤はアルミニウム合金であれば水溶性潤滑剤(黒鉛)を用いるのが好ましい。鍛造荷重はアルミニウム合金であれば50t〜1000t(より好ましくは、100t〜600t。)とするのが好ましい。
本発明の中間仕上鍛造条件は以下とすることが好ましい。金型温度はアルミニウム合金であれば100℃〜300℃、素材温度はアルミニウム合金であれば、400℃〜550℃(例えば、SU610合金では、500℃〜550℃。)が好ましい。潤滑剤はアルミニウム合金であれば水溶性潤滑剤(黒鉛)を用いるのが好ましい。鍛造荷重はアルミニウム合金であれば1000t〜5000t(より好ましくは、1500t〜4000t。)とするのが好ましい。
本発明の最終仕上鍛造条件は以下とすることが好ましい。金型温度はアルミニウム合金であれば100℃〜300℃、素材温度はアルミニウム合金であれば、400℃〜550℃(例えば、SU610合金では、500℃〜550℃。)が好ましい。潤滑剤はアルミニウム合金であれば水溶性潤滑剤(黒鉛)を用いるのが好ましい。鍛造荷重はアルミニウム合金であれば1000t〜5000t(より好ましくは、1500t〜4000t。)とするのが好ましい。
なお、鍛造荷重1t=9.8kNで換算できる。
本発明の金属鍛造製品生産システムは、粗仕上鍛造工程用金型が、表面部位に表面層を有し、鍛流線が枝部の長手方向に沿った流れになっていて、表面部位にバリ取り痕がない複数の枝部を有する成形品が得られるように成形空間が設けられている成形孔を有する金型であるので、側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように粗形材を成形することが容易にできる。その結果鍛造製品の品質を低下させるおそれがある表層部を有したものをそのまま鍛造用素材として用いることができるので、表層部除去工程を省略でき、また除去による成形品に対する材料歩留りを低下させないので、生産性が向上したものとなり好ましい。
また、鍛造時の加圧力が低減でき、かつ粗形材の機械的強度を向上させる効果をもっている。
本発明の金属鍛造製品生産システムは、中間仕上鍛造工程用金型が、金型がパンチと、ダイスとを含む鍛造用金型であって、表面部位に表面層を有している粗形材の表面層をバリとして製品部位外に押出すように成形空間が設けられている成形孔を有する金型であるので、表面部位に表面層を有している粗形材を用いて表面層をバリとして製品部位外に押出すように成形することが容易にできる。その結果、表面部位に集められている素材の表層部がバリとして製品部位外に押出された鍛造製品を製造することが、表層部を有したものをそのまま鍛造用素材として用いた鍛造用粗形材を用いて容易にできるので、トータルとして表層部除去工程を省略でき、また除去による鍛造製品に対する材料歩留りを低下させないので、生産性が向上したものになる。
以下に本発明のアッパーアームについての実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図6(a)に示す自動車用サスペンション部品であるアッパーアーム荒地粗材(粗形材)を粗仕上鍛造工程で成形する為、このアッパーアーム荒地粗材と同一体積のJIS6061アルミニウム合金の切断品を鍛造用素材として次のように設計した。
まず、アッパーアーム荒地粗材の製品体積はコンピューターによるCADシステムにより体積を計算した。計算結果より、切断品の体積を862[cm3]とし、この計算した製品体積に対して±1%の切断公差範囲を切断誤差とした。
次に図1に示す加圧方向Iに垂直な図16中の符号Jで示した短軸長tの長さの0.95倍である28[mm]を切断品の厚さとし、切断品の体積と切断品の厚さより、丸棒材の切断品の直径(R)を、
Figure 2005111558
とした。ここでRは、
Figure 2005111558
の条件を満たしている。
この設計に基づき、JIS6061アルミニウム合金の連続鋳造製のビレット材(直径198[mm])から、直径198[mm]、厚さ28[mm]、体積862[cm3]の円盤状の切断品を10ヶ切り出した。円盤状の切断品(円柱状素材)の平均重量は2330[g]であった。
ビレット材は、ピーリング処理を施さない表面に鋳造した鋳肌を有したままのものを用いた。逆偏析層を含めて表面から2mm以内の範囲が、組織の乱れた表面層であった。
金型として図1に示すものを用い、図12に示す稼動機構を有する分割ダイス121を用いた。ダイスは、一方の分割ダイスを固定し、他方の分割ダイスを機械的に駆動させた。この時、ダイスはパンチが鍛造機械により稼動している間は閉とし、鍛造が終了し、パンチが鍛造機械の上死点で停止してから開とした。
なお、図1中、11はパンチ、12はダイス、13はノック、14はノックアウト、15はアッパーアームの鍛造用粗形材である。
この円盤状の切断品231の表面に、従来公知である水溶性黒鉛潤滑剤の塗布処理を施し、また、鍛造金型に従来公知の水溶性黒鉛潤滑剤を噴霧し、図17に示すような金型の位置に置き円盤の表面層302を有する外周面からパンチで加重して熱間鍛造を実施した。鍛造装置は住友重機械工業社製3000tプレスを用いた。鍛造条件は、素材の加熱温度500℃、金型温度200℃で熱間鍛造とした。このときの鍛造加圧力の平均値は6370[kN]であった。粗形材の平均重量は2328[g]であった。図16中の符号Kに示す加圧方向に対する粗形材の投影面の長軸長Lは平均値で392[mm]であった。
粗形材の素材重量に対する成形品重量の歩留まりは約99%であった。
素材の表層部が粗形材の表面部であるところの平行面63でない側面部62(図6参照。)の全周に渡って点在して残っていることが観察できた。なお、粗形材の枝部3ヶ所の断面を観察したところ、表層部は粗形材表面から5mm以内の範囲に観察された。
また、粗形材は複数の枝部にメタルが層状に塑性流動する為機械的強度が向上し、また、表層部を有する素材を用いた閉塞鍛造である為、得られた粗形材にはトリム痕が無く、材料歩留りの点から好ましいものになった。
この粗形材を図14の中間仕上鍛造用金型を用いたバリ出し熱間鍛造(中間仕上鍛造工程)により図6(b)の状態の成形品を得た後、最終仕上鍛造工程を施し、最後にバリ取りを施して図5に示すアッパーアーム54を製造した。中間仕上鍛造工程の鍛造条件は、素材の加熱温度を500℃、金型温度は150℃とした。この時の鍛造荷重は、22540[kN]とした。最終仕上鍛造工程の鍛造条件は、素材の加熱温度を500℃、金型温度は150℃とし、この時の鍛造荷重は、17640[kN]であった。鍛造後、トリム金型を用いてバリ取りを施し、形状を整えて製品とした。この時、円盤状の切断品の平均重量2330gに対し、図5に示すアッパーアームの製品は1650gとなり、鍛造製品の素材重量に対する歩留りは71%となった。
トリム金型を用いて除去したバリを観察したところ、素材の表層部が含まれていることが観察された。また、鍛造製品の外観を観察したところ、素材の表層部は観察されなかった。
〔比較例1〕
実施例1でのアッパーアーム荒地粗材を、図7に示した従来からの製法であるバリ出し熱間鍛造方法にて製造した。鍛造条件は、素材の加熱温度500℃、金型温度180℃とした。JIS6061に示されるアルミニウム合金の連続鋳造丸棒材(直径80[mm])から、切断品直径80[mm]、長さ360[mm]、体積1810[cm3]、素材重量4900[g]を切断し、鍛造用素材として用いた。連続鋳造丸棒材は外周部2mmについてピーリング処理を施したものを用いた。
このときの鍛造荷重は49000[kN]であった。鍛造後、トリム金型を用いてバリ取りを施し、形状を整えて製品とした。この方法では1ヶの鍛造用素材からアッパーアーム荒地粗材が2個製造できる。2個の平均製品重量は、1960[g]となった。この為、1個の荒時粗材を製造するのに必要な鍛造荷重に換算する為、上記鍛造荷重を単純に半分にすると約24500[kN]の荷重となる。また、粗形材の素材重量に対する歩留りは80%であった。
この荒地粗材を実施例1と同様に、中間仕上鍛造工程、および最終仕上鍛造工程を施し、最後にバリ取りを施して、図7に示すアッパーアーム74を製造した。鍛造条件は、素材の加熱温度を500℃、金型温度は180℃とした。
この時の鍛造荷重は、中間仕上鍛造工程が14700[kN]、最終仕上鍛造工程が14700[kN]であった。鋳造後、トリム金型を用いてバリ取りを施し、形状を整えて製品とした。この時、切断品素材(中実丸棒71)の重量4900[g]に対し、図7に示すアッパーアーム74の製品1650[g]が2ヶとなり、鍛造製品の素材重量に対する歩留りは約67%となった。これに、ピーリング処理で除去した分の歩留まり低下が加算されたものがトータルの材料歩留まりとなった。
〔実施例2〕
図18に示す車両用サスペンション部品であるアッパーアームを製造する為、図19に示すアッパーアーム荒地鍛造用粗材を製造した。このアッパーアーム荒地粗材と同一体積のJIS6061アルミニウム合金の切断品を鍛造用素材としてを次のように設計した。
アッパーアーム荒地粗材の製品体積はコンピューターによるCADシステムにより体積を計算し、切断品の体積をこの計算した製品体積の±1%の誤差範囲である595[cm3]とした。
次に図20に示す加圧方向Mに垂直な図21中の符号Nで示した短軸長tの長さの0.95倍である30[mm]を切断品の厚さとし、切断品の体積と切断品の厚さより、丸棒材の切断品の直径(R)を、
Figure 2005111558
とした。ここでRは、
Figure 2005111558
の条件を満たしている。
なお、図20中、261はパンチ、262はダイス、263はノック、264はノックアウト、265はアッパーアームの鍛造用粗形材である。
この設計に基づき、JIS6061に示されるアルミニウム合金の連続鋳造製のビレット材(直径167[mm])から、直径167[mm]、厚さ30[mm]、体積595[cm3]の円盤状の切断品を10ヶ切り出した。円盤状の切断品の平均重量は1607[g]であった。
ビレット材は、ピーリング処理を施さない表面に鋳造した鋳肌を有したままのものを用いた。逆偏析層を含めて表面から1.5mm以内の範囲が、組織の乱れた表面層であった。
この円盤状切断品281の表面に、従来公知の水溶性黒鉛潤滑剤の塗布処理を施し、また、鍛造金型に従来公知の水溶性黒鉛潤滑剤を噴霧し、図22に示すような金型の位置に置き円盤の表面層302を有する外周面からパンチで加重して熱間鍛造を実施した。鍛造装置はコマツ社製600tプレスを用いた。鍛造条件は、素材の加熱温度温度500℃、金型温度200℃で熱間鍛造とした。このときの鍛造加圧力の平均値は4900[kN]であった。
製品の平均重量は1800[g]であった。図21中の符号Oに示す加圧方向に対する鍛造製品の投影面の長軸長Lは平均値で310[mm]であった。
鍛造製品の素材重量に対して、製品重量の歩留まりは99%であった。
素材の表層部が粗形材251の表面部であるところの平行面253でない側面部252(図19参照。)の全周に渡って点在して残っていることが観察できた。なお、粗形材の枝部2ヶ所の断面を観察したところ、表層部は粗形材表面から2mm以内の範囲に観察された。
また、粗形材は複数の枝部にメタルが層状に塑性流動する為機械的強度が向上し、また、表層部を有する素材を用いた閉塞鍛造である為、得られた粗形材にはトリム痕が無く、材料歩留りの点から好ましいものになった。
〔実施例3〕
前述の実施例1において、鍛造用素材のアルミニウム合金種を以下の様に変更した以外、その他の鍛造条件は同条件にて鍛造を行った。
図6(a)に示す自動車用サスペンション部品であるアッパーアーム荒地素材を鍛造するため、このアッパーアーム荒地素材を同一体積のSU610アルミニウム合金(重量%でMg:0.8%〜1.2%、Si:0.7%〜1.0%、Cu:0.3%〜0.6%、Cr:0.14%〜0.3%、Mn:0.14%〜0.3%含有し、残部がAl及び不純物から成るアルミニウム合金。)の連続鋳造棒切断品を鍛造用素材として使用した。
粗形材の素材重量に対する成形品重量の歩留まりは約99%であった。
素材の表層部が粗形材の表面部であるところの平行面63でない側面部62の全周に渡って点在して残っていることが観察できた。なお、粗形材の枝部3ヶ所の断面を観察したところ、表層部は粗形材表面から2mm以内の範囲に観察された。
〔比較例2〕
前述の比較例1において、鍛造用合金種を実施例3と同じものを用い、その他の鍛造条件は同じで鍛造を行った。
〔強度試験・メタルフロー観察〕
本発明による閉塞鍛造により得られたアッパーアームの鍛造製品(実施例3)と、従来方法であるバリ出し熱間鍛造で得られた粗形材を用いた鍛造製品(比較例2)とを溶体化処理条件(530℃で6時間保持。)、時効処理条件(180℃で6時間保持。)にて熱処理を実施した後、図6(a)中の符号Qで示す部分より図9に示す引張試験片はASTM−R3号(標点間の径6.4mm、標点間距離25.4mm。)を切りだし、機械的特性を調査した。引張試験機は、(株)島津製作所オートグラフを使用し、引張荷重20[kN]の条件にて実施した。試料数はそれぞれ各3本とし、この時得られた各機械的特性のデータを表1に示す。
Figure 2005111558
表1より、本発明による閉塞鍛造により得られたアッパーアームの鍛造製品の方が従来製法であるバリ出し熱間鍛造で得られた粗形材を用いた鍛造製品よりも引張り強さ、0.2%耐力、伸びの値が高く、機械的特性が高くなっていることが分かる。
次に、得られたアッパーアームの鍛造製品の枝部のメタルフロー観察及び粗形材のパーティングライン近傍に対応した部位の結晶粒を観察するため、鍛造製品からマクロ組織観察用素材を切りだし、観察面をエメリー紙にて研磨し、20%濃度の苛性ソーダ液に30秒間浸積しエッチング処理を行って試料を作成した。目視によるマクロ組織観察により、メタルフロー観察及びパーティングライン近傍に対応した部位の結晶粒の観察を行った。
その結果、本発明により得られた鍛造製品は、鍛造用素材の切断面とその外周面の角部が鍛造製品の外周輪郭と一致していた為、かぶり等の欠陥発生が認められなかった。またアッパーアームの鍛造製品の複数の枝部の中心部は枝の長手方向に沿って一様な流れ模様が観察され、とぎれたり乱れたりしていない層状のメタルフローが観察された。このことは、鍛造用素材が鍛造品の枝部に沿って層状の塑性流動をしていることを示している。更に、本発明により得られた鍛造製品には用いた粗形材成形にパーティングラインが存在しないため、従来方法に比べて結晶粒の粗大化は認められなかった。
一方、従来方法であるバリ出し熱間鍛造によって得られた粗形材を用いた鍛造製品のマクロ組織観察を上記条件にて観察した結果、複数の枝部方向とは全く無関係なメタルフローが観察された。また、粗形材のパーティングライン付近に対応した部位に於いては結晶粒の粗大化が認められた。
〔実施例4〕
前述の実施例3に於いて、金型として図13に示すホルダーリングを有する分割ダイスを用いた以外は、鍛造条件は同条件にて鍛造を行った。
上記条件により製造を行った結果、粗形材に焼きつき等の鍛造荷重の急激な上昇等の不具合は発生しなかった。
また、素材の表層部が粗形材の表面部であるところの平行面でない側面部の全周に渡って点在して残っていることが観察できた。なお、粗形材の枝部3ヶ所の断面を観察したところ、表層部は粗形材表面から5mm以内の範囲に観察された。
〔実施例5〕
図29に示す鍛造用荒地粗材(粗形材)を粗仕上鍛造工程で成形する為、この粗形材と同一体積のJIS6061アルミニウム合金の切断品を鍛造用素材として次のように設計した。
まず、粗形材の製品体積はコンピューターによるCADシステムにより体積を計算した。計算結果より、切断品の体積を231[cm3]とし、この計算した製品体積に対して±1%の切断公差範囲を切断誤差とした。
次に図30に示す加圧方向Iに垂直な図30中の符号Uで示した短軸長tの長さの約0.97倍である68[mm]を切断品の厚さとし、切断品の体積と切断品の厚さより、丸棒材の切断品の直径(R)を、
Figure 2005111558
とした。ここでRは、
Figure 2005111558
の条件を満たしている。
この設計に基づき、JIS6061アルミニウム合金の連続鋳造製のビレット材(直径68[mm])から、直径68[mm]、厚さ63.5[mm]、体積231[cm3]の円盤状の切断品を10ヶ切り出した。円盤状の切断品(円柱状素材)の平均重量は621[g]であった。
ビレット材は、ピーリング処理を施さない表面に鋳造した鋳肌を有したままのものを用いた。逆偏析層を含めて表面から2mm以内の範囲が、組織の乱れた表面層であった。
金型として図31に示すものを用いた。なお、図31中、321はパンチ、322はダイス、323はノック、324はノックアウト、325は鍛造用粗形材である。
図32に示す円盤状の切断品331の表面に、従来公知である水溶性黒鉛潤滑剤の塗布処理を施し、また、鍛造金型に従来公知の水溶性黒鉛潤滑剤を噴霧し、図33に示すように置き、円盤の表面層332を有する外周面からパンチで加重して熱間鍛造を実施した。鍛造装置はコマツ社製600tプレスを用いた。鍛造条件は、素材の加熱温度500℃、金型温度200℃で熱間鍛造とした。このときの鍛造加圧力の平均値は5096[kN]であった。鍛造用粗形材の平均重量は620[g]であった。図30中の符号Wに示す加圧方向に対する粗形材の投影面の長軸長Lは平均値で127[mm]であった。
粗形材における素材重量に対する成形品重量の歩留まりは約99%であった。
素材の表層部は図34に示す粗形材の表面部の平行面351には観察されず、側面部352の全周に渡ってのみ点在して残っていることが観察できた。なお、粗形材の枝部3ヶ所の断面を観察したところ、表層部は粗形材表面から5mm以内の範囲に観察された。
また、粗形材は複数の枝部にメタルが層状に塑性流動する為機械的強度が向上し、また、表層部を有する素材を用いた閉塞鍛造である為、得られた粗形材にはトリム痕が無く、材料歩留りの点から好ましいものになった。
〔比較例3〕
円盤状の切断品(円柱状素材)は実施例5と同じものを用いたが、配置方向は実施例5とは異なり図35に示すように置き、円盤の表面層332を有する外周面からパンチで加重して熱間鍛造を実施した。鍛造条件は、素材の加熱温度500℃、金型温度180℃とした。
粗形材における素材重量に対する成形品重量の歩留まりは約99%であった。
素材の表層部は図34に示す粗形材の側面部352だけでなく、表面部であるところの平行面351および側面部352のほぼ全域に渡って点在して残ってしまっていることが観察された。
比較例3では配置方向が本発明と異なる為、図36(a)や図36(b)で示すように素材投入位置が定まらない為、その結果、鍛造加重が5000N〜6000Nとばらつきが発生し運転が不安定になり、また、粗形材枝部の欠肉が発生したり、粗形材表面に切断面角部が原因であるかぶりきず等の欠陥が発生し、良好な鍛造成形品を得ることができなかった。
本発明の複数の枝部を有する金属鍛造製品の製造方法は、側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように閉塞鍛造法にて粗形材を成形する粗仕上鍛造工程と、表面部位に表面層を有している粗形材を用いて表面層をバリとして製品部位外に押出す中間仕上鍛造工程と、を含むことにより、鍛造用素材が鍛造製品の複数の枝部に層状に塑性流動する為、機械的特性が向上し、また、側面に表面層を有する円柱状素材を用いている為、工程の省力化ができ、鍛造用素材に対する製品の歩留り向上に適した製造方法である。その結果、車両用サスペンション部品やその粗形材を安価に、かつ効率よく製造でき、他の部品やその粗形材にも適用できる。
また、本発明における車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの鍛造用粗形材は、鍛造用素材が鍛造製品の複数の枝部に層状に塑性流動する為、機械的特性が向上し、また、鍛造製品にはバリ取り痕が無く、側面に表面層を有する円柱状素材を用いている為、工程の省力化ができ、鍛造用素材に対する製品の歩留りが向上し、他の部品の粗形材にも適用できる。
本発明の実施形態の一例を示す図で、粗仕上鍛造工程にて車両用サスペンション部品であるアッパーアームの鍛造用粗形材を鍛造した時に、上型が下死点位置に達した状態の断面図である。 本発明で用いる素材の一例の外観図である。 本発明の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程の説明図であり、(a)は素材を配置した状態、(b)は加圧途中の状態、(c)は成形完了の状態を示す。 本発明の製造方法に含まれる中間仕上鍛造工程の説明図で、(a)は粗形材と金型との配列の一例を示し、(b)は加圧開始後の鍛造途中の状態を示し、(c)は粗形材と金型との配列の他の例を示し、(d)は加圧開始後の鍛造途中の状態を示し、(e)は粗形材と金型との配列のさらに他の例を示し、(f)は加圧開始後の鍛造途中の状態を示す。 本発明の実施形態の一例から製造されるアッパーアームの外観図である。 本発明の実施形態の一例のアッパーアームの工程途中の成形品の外観図であり、(a)は粗仕上鍛造工程済の鍛造用粗形材の外観図、(b)は中間仕上鍛造工程済の成形品の外観図である。 従来のアッパーアームのバリ出し熱間鍛造方法の概略図である。 従来知られている閉塞鍛造方法の概略図である。 引張試験片の図である。 本発明の実施形態の一例の金属鍛造製品生産システム構成の概略図である。 本発明の実施形態の一例の粗仕上鍛造工程用金型の構成の概略図であり、(a)は一体型の金型の例、(b)は(a)の金型の断面図、(c)は分割型金型の例である。 本発明の粗仕上鍛造工程に用いる分割型金型の他の実施形態を示す概略斜視図である。 本発明の粗仕上鍛造工程用金型の実施形態の一例を示す概略図であり、(a)はホルダーを取りつけた状態の外観図、(b)ホルダーを取り付けた箇所の外観概略図、(c)は成形品の位置と取りつけ位置との関係を示す図である。 本発明の中間仕上鍛造工程用金型の実施形態の一例を示す概略図である。 本発明の製造方法の中間仕上鍛造工程用金型と粗形材の配置位置の一例の説明図である。 図1の加圧方向に対する垂直な投影面の図である。 図1における素材と金型との鍛造開始前の配置の図である。 本発明の実施形態の一例から製造される車両用サスペンション部品である別のアッパーアームの外観図である。 図18に用いる本発明の別の実施形態のアッパーアームの鍛造用粗形材の外観図である。 図19の粗形材を製造する為の粗仕上鍛造工程を実施したときの断面図である。 図20の加圧方向に対する垂直な投影面の図である。 図20における素材と金型との鍛造開始前の配置の図である。 本発明の製造方法の中間仕上鍛造工程用金型と粗形材の設計方法の一例の説明図で、(a)は金型の一部と、鍛造後の材料の断面積と同じ断面積を有する鍛造材とを示し、(b)は金型の他の一部と、鍛造後の材料の断面積よりも大きい断面積を有する鍛造材とを示し、(c)は(b)に示される金型の一部と、鍛造後の材料の断面積と同じ断面積を有する鍛造材とを示し、(d)は(c)に示される状態で鍛造を実施すると表面層が押し出されることに鑑み準備された他の金型の一部を示し、(e)は(d)に示される金型の一部と、鍛造品と同じ断面積を有する鍛造材とを示す。 本発明の製造方法の成形品形状と粗形材形状との関係を示す一例の説明図である。 本発明の別の実施形態の鍛造用粗形材の外観図である。 図25の鍛造用粗形材に複数回の中間仕上げ鍛造工程、最終仕上げ鍛造工程を施した金属鍛造製品の外観図である。 本発明の別の実施形態の鍛造用粗形材の外観図である。 図27の鍛造用粗形材に複数回の中間仕上げ鍛造工程、最終仕上げ鍛造工程を施した金属鍛造製品の外観図である。 粗仕上鍛造工程済みの鍛造用荒地粗材の外観図である。 図29の鍛造用荒地粗材製造に用いた加圧方向に対する垂直な投影面の図である。 図29の粗形材を製造する為の粗仕上鍛造工程を実施したときの断面図である。 本発明で用いる素材の別の例の外観図である。 図32における素材と金型との鍛造開始前の配置の図である。 図31の金型で鍛造した粗形材の外観図である。 切断品切断面と粗形材の短軸長からなる面とが一致する位置に金型内へ素材を投入した状態の断面図である。 金型内へ素材を投入した状態の断面図で、(a)は粗形材と金型との配列の一例を示し、(b)は粗形材と金型との配列の他の例を示す。
符号の説明
11、91、111、261 パンチ
12、112、262 ダイス
13、114、263 ノック
14、264 ノックアウト
15、61、73、251、265、804 粗形材
51、52、53 部分
54、74 アッパーアーム
62、252、352 粗形材の側面
63、253、351 粗形材の平行面
64 製品部位
65 表面層逃がしライン
66 表面層排出部位
67 その他バリ部位
71 中実丸棒
72 バリ
73a 鍛造製品
92 分岐部
93、94 金型
101 素材切断装置
102 素材供給装置
103 素材加熱装置
104 素材運搬装置
105 鍛造機械
106 鍛造製品搬出装置
107 鍛造製品熱処理炉
108 バリ取り装置
113 ブッシュ
115 潤滑剤噴霧装置
121 分割ダイス
122 腕部
231、281、331 円盤状切断品
271 幅
272 深さ
273 角部
301 素材
302、332 表面層
501 ホルダーリング
502 ホルダーリングの幅
503 金型の厚肉部位
504 分割金型ダイス
601 中間仕上鍛造工程用金型のダイス
602 製品形状の成形孔の製品部位
603、805 表面層排出部
801 中間仕上鍛造工程用金型の上金型(パンチ)
802 中間仕上鍛造工程用金型の下金型(ダイス)
803 製品部位成形孔
I、M 加圧方向
J、N、U 短軸長
K、O、W 長軸長
Q 部分

Claims (24)

  1. 複数の枝部を有する金属鍛造製品の製造方法において、
    側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように閉塞鍛造法にて粗形材を成形する粗仕上鍛造工程と、
    表面部位に表面層を有している粗形材を用いて表面層をバリとして製品部位外に押出す中間仕上鍛造工程と、
    を含むことを特徴とする金属鍛造製品の製造方法。
  2. 複数の枝部を有する金属鍛造製品の製造方法において、
    側面に表面層を有する円柱状素材を用いて、表面部位に表面層を有するように閉塞鍛造法にて粗形材を成形する粗仕上鍛造工程と、
    表面部位に表面層を有している粗形材を用いて表面層をバリとして製品部位外に押出す中間仕上鍛造工程と、
    表面層がバリとして製品部位外に押出された成形品を用いて最終形状に成形する最終仕上鍛造工程と、
    最終形状品を用いて表面層が含まれるバリを除去し鍛造最終製品とするバリ取り工程と、
    を含むことを特徴とする金属鍛造製品の製造方法。
  3. 表面層が、鋳造鋳肌、逆偏析層、酸化層から選ばれる何れか1種または2種以上を組み合わせた状態の部分を含む範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属鍛造製品の製造方法。
  4. 表面層を、円柱状素材の側面表面から5mm以内の部位とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属鍛造製品の製造方法。
  5. 表面部位を、粗形材表面から7mm以内の部位とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金属鍛造製品の製造方法。
  6. 粗仕上鍛造工程が、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用の素材として用い、上底面及び下底面が粗形材の有する平行面と対応するように配置して、上記円柱状の素材の側面から加圧することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の金属鍛造製品の製造方法。
  7. 上記円柱状の素材は、直径(R)と厚さ(T)との比(T/R)の値が1以下であって、かつ粗形材の体積(V)と同一の体積であるように切断した円柱状の切断品であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の金属鍛造製品の製造方法。
  8. 上記粗形材の体積(V)と、上記円柱状の素材の厚さ(T)と、上記粗形材の加圧方向に対する投影面積の長軸長(L)と、上記円柱状の素材の直径(R)との関係が、
    Figure 2005111558
    であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の金属鍛造製品の製造方法。
  9. 上記円柱状の素材の厚さ(T)が0.8〜1.0×(上記粗形材の加圧方向に対する投影面積の短軸長(t))であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の金属鍛造製品の製造方法。
  10. 中間仕上鍛造工程が、粗形材の厚みが成形品の厚みより小さい部位では粗形材の表面部位を金型成形孔の製品部位の外側に設けた表面層排出部の上に粗形材を配置し、粗形材の厚みが成形品の厚みより大きい部位では製品部位より外周側の高さが製品部位と同等または低くなっている金型成形孔の製品部位の端より製品部位内側に表面部位が配置されるように粗形材を配置した状態で、鍛造を行うことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の金属鍛造製品の製造方法。
  11. 上記鍛造用の素材をアルミニウムまたはアルミニウム合金とすることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の金属鍛造製品の製造方法。
  12. 鍛造製品が車両用サスペンション部品であるアッパーアームまたはロアアームであることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の金属鍛造製品の製造方法。
  13. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造され、枝部断面の中心部の鍛流線が枝部の長手方向に沿った流れになっていることを特徴とする車両用サスペンション部品であるアッパーアームまたはロアアーム。
  14. 製品を成形するに用いる粗形材であって、
    表面部位に鍛造用素材の表面層を有し、鍛流線が枝部の長手方向に沿った流れになっていて、表面部位にバリ取り痕がないことを特徴とする閉塞鍛造で成形された粗形材。
  15. 表面層が、鋳造鋳肌、逆偏析層、酸化層から選ばれる何れか1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項14に記載の粗形材。
  16. 表面部位を、粗形材表面から5mm以内の部位とすることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の粗形材。
  17. 製品を成形するに用いる粗形材であって、
    その形状が、製品部の必要とする体積より、粗形材の体積が小さい部分では、粗形材外周部幅が製品外周部幅より大きく、製品部の必要とする体積より粗形材の体積が大きい部分では、粗形材外周部幅が製品外周部幅より小さい形状となっていることを特徴とする請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の粗形材。
  18. 製品が車両用サスペンション部品のアッパーアームまたはロアアームである請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の粗形材。
  19. パンチと、ダイスとを含む閉塞鍛造用金型であって、
    表面部位に表面層を有し、鍛流線が枝部の長手方向に沿った流れになっていて、表面部位にバリ取り痕がない複数の枝部を有する成形品が得られるように成形空間が設けられている成形孔を有する請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の製造方法に含まれる粗仕上鍛造工程に使用される金型。
  20. 金型が左右への分割構造を有して、かつ分割された金型を嵌め合せて保持する手段を有することを特徴とする請求項19に記載の金型。
  21. 保持する手段が、ホルダーリング、稼動機構から選ばれる何れか1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項20に記載の金型。
  22. パンチと、ダイスとを含む鍛造用金型であって、
    表面部位に表面層を有している粗形材の表面層をバリとして製品部位外に押出すように成形空間が設けられている成形孔を有する請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の製造方法に含まれる中間仕上鍛造工程に使用される金型。
  23. 粗形材の厚みが成形品の厚みより小さい部位では粗形材の表面部位がその位置に配置されるように金型成形孔の製品部位の外側に表面層排出部を設けてあり、粗形材の厚みが成形品の厚みより大きい部位では製品部位より外周側にその高さが製品部位と同等または低くなっている表面層排出部を設けてある金型成形孔を有するであることを特徴とする請求項22に記載の金型。
  24. 素材切断装置と、鍛造機械とを含む複数の枝部を有する金属鍛造製品生産システムにおいて、
    請求項19から請求項21のいずれか1項に記載された金型を有する鍛造機械と、
    請求項22または請求項23に記載された金型を有する鍛造機械と、
    を有すること、
    または、
    請求項19から請求項21のいずれか1項に記載された金型と、請求項22または請求項23に記載された金型と、を有する鍛造機械を有することを特徴とする金属鍛造製品生産システム。
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