JP2007089813A - 内視鏡装置 - Google Patents

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克章 大橋
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Abstract

【課題】体腔内の医療用カプセルを確実に保持することのできる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【解決手段】内視鏡装置は、体腔内に挿入される挿入部12を有する内視鏡10と、挿入部12の先端面45から突出した状態で挿入部12の先端部44に装着される筒状のフード部材200と、フード部材200の内周面200Aに医療用カプセル220を押圧するバルーン154を有する内視鏡用処置具150と、を備える。
【選択図】 図7

Description

本発明は内視鏡装置に係り、特に小腸や大腸等の深部消化管内で医療用カプセルを保持する内視鏡装置に関する。
近年、医療用内視鏡の分野において、小型カメラを内蔵したカプセル型内視鏡が各種開発されている。このカプセル型内視鏡はワイヤレスで利用できるため、挿入部を体腔内に挿入する内視鏡に比べて、患者の苦痛を軽減することができる。
ところで、カプセル型内視鏡等の医療用カプセルは、体腔外に自然に排出されるのを待つのが一般的であるが、体腔内の所定の位置で医療用カプセルを回収したいという要望がある。また、医療用カプセルは、体腔内の狭窄部に引っかかる場合があり、その場合には、医療用カプセルを探して保持し、回収或いは狭窄部の前方に送り出すことが必要になる。
そこで、体腔内の医療用カプセルを保持する機能を備えた内視鏡装置が各種開発されている。例えば、特許文献1の内視鏡装置は、内視鏡の挿入部の先端部に吸引用の開口部を備え、この開口部に医療用カプセルを吸引して保持するようにしている。
特開2004−194976号公報
しかしながら、特許文献1は、外径が通常10mm程度の医療用カプセルに対して、内径が2〜4mmと非常に小さい吸引用の開口部に医療用カプセルを吸着して保持するため、保持力が弱く、医療用カプセルが脱落するおそれがあった。
そこで、内視鏡の挿入部の先端部に筒状のフード部材を装着し、そのフード部材の内部を吸引することによって医療用カプセルを取り込み、医療用カプセルを保持する方法が考えられる。しかし、この方法は、フード部材と医療用カプセルの密着性が問題になり、密着性が悪い場合には医療用カプセルが脱落するおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、体腔内の医療用カプセルを確実に保持することのできる内視鏡装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、体腔内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、前記挿入部の先端面から突出した状態で前記挿入部の先端部に装着される筒状のフード部材と、前記フード部材の内周面に医療用カプセルを押し付ける押付手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、医療用カプセルをフード部材の内周面に押し付けるので、医療用カプセルを確実に保持することができる。また、請求項1に記載の発明は、フード部材の内部に医療用カプセルの一部が入る大きさであれば、医療用カプセルの大きさに依らず、医療用カプセルを保持することができる。
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の発明において、前記押付手段は、前記内視鏡の鉗子チャンネルに挿通されるとともに、先端部に膨縮自在なバルーンが設けられた内視鏡用処置具であり、前記バルーンを前記フード部材の内部で膨張させることによって、前記フード部材の内部に取り込んだ前記医療用カプセルを、前記フード部材の内周面に押し付けることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、バルーンを有する内視鏡用処置具を用いて医療用カプセルをフード部材に押し付けるので、通常の内視鏡及びフード部材を用いることができる。また、請求項2に記載の発明によれば、バルーンがフード部材と医療用カプセルとの隙間で膨張して医療用カプセルをフード部材の内周面に押し付けるので、医療用カプセルを広い範囲で均等に押し付けることができ、医療用カプセルを確実に保持することができる。
請求項3に記載の発明は請求項2に記載の発明において、前記バルーンの表面には凹凸が設けられることを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、バルーンの表面に凹凸が形成されるので、バルーンと医療用カプセルとの摩擦が大きくなり、または凸部での押圧力が大きくなり、医療用カプセルをより確実に保持することができる。
請求項4に記載の発明は請求項1に記載の発明において、前記押付手段は、前記フード部材の内周面に設けられた膨縮自在なバルーンであることを特徴とする。請求項4に記載の発明によれば、フード部材に設けたバルーンを膨張させることによって、医療用カプセルをフード部材の内周面に押し付けて保持することができる。
本発明によれば、医療用カプセルをフード部材の内周面に押し付けるので、医療用カプセルを確実に保持することができる。したがって、体腔内で保持した医療用カプセルを確実に回収又は搬送することができる。
以下添付図面に従って本発明に係る内視鏡装置の好ましい実施の形態について詳述する。本実施形態の内視鏡装置は主として、図1に示す内視鏡10、挿入補助具70、バルーン制御装置100と、図4に示す内視鏡用処置具150で構成される。
図1に示すように、内視鏡10は、手元操作部14と、この手元操作部14に連設され、体腔内に挿入される挿入部12とを備える。手元操作部14には、ユニバーサルケーブル16が接続され、このユニバーサルケーブル16の先端にLGコネクタ18が設けられる。LGコネクタ18は光源装置20に着脱自在に連結され、これによって後述の照明光学系54(図2参照)に照明光が送られる。また、LGコネクタ18には、ケーブル22を介して電気コネクタ24が接続され、この電気コネクタ24がプロセッサ26に着脱自在に連結される。
手元操作部14には、送気・送水ボタン28、吸引ボタン30、シャッターボタン32、及び機能切替ボタン34が並設されるとともに、一対のアングルノブ36、36が設けられる。手元操作部14の基端部には、L状に屈曲した管によってバルーン送気口38が形成されている。このバルーン送気口38にエア等の流体を供給、或いは吸引することによって、後述の第1バルーン60を膨張、或いは収縮させることができる。
挿入部12は、手元操作部14側から順に軟性部40、湾曲部42、及び先端部44で構成され、湾曲部42は、手元操作部14のアングルノブ36、36を回動することによって遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部44を所望の方向に向けることができる。
図2に示すように、先端部44の先端面45には、観察光学系52、照明光学系54、54、送気・送水ノズル56、鉗子口(吸引用の開口部に相当)58が設けられる。
観察光学系52の後方には図3に示すプリズム53が配設されており、観察光学系52を介して取り込まれた被写体光の光路がプリズム53によって下方に屈曲される。プリズム53の下方には、基盤57に支持されたCCD55が配設されており、プリズム53で屈曲された被写体光がCCD55の受光面に結像するようになっている。そして、CCD55によって被写体光が電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル59を介して送信される。信号ケーブル59は、図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16等に挿通されて電気コネクタ24まで延設され、プロセッサ26に接続される。よって、観察光学系52で取り込まれた観察像は、CCD55の受光面に結像されて電気信号に変換され、そして、この電気信号が信号ケーブル59を介してプロセッサ26に出力され、映像信号に変換される。これにより、プロセッサ26に接続されたモニタ50に観察画像が表示される。
図2の照明光学系54、54の後方にはライトガイド(不図示)の出射端が配設されている。このライトガイドは、図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16に挿通され、LGコネクタ18内に入射端が配設される。したがって、LGコネクタ18を光源装置20に連結することによって、光源装置20から照射された照明光がライトガイドを介して照明光学系54、54に伝送され、照明光学系54、54から前方に照射される。
図2の送気・送水ノズル56は、図1の送気・送水ボタン28によって操作されるバルブ(不図示)に連通されており、さらにこのバルブはLGコネクタ18に設けた送気・送水コネクタ48に連通される。送気・送水コネクタ48には不図示の送気・送水手段が接続され、エア又は水が供給される。したがって、送気・送水ボタン28を操作することによって、送気・送水ノズル56からエア又は水を観察光学系52に向けて噴射することができる。
図2の鉗子口58は、図3の先端部本体65に支持されたパイプ61に連通され、さらにパイプ61にチューブ63が連結される。チューブ63は、図1の挿入部12内に挿通配置されて、鉗子挿入部46に連通される。よって、鉗子挿入部46から鉗子等の処置具を挿入することによって、この処置具を鉗子口58から導出することができる。また、図3のチューブ63は途中で分岐され、図1の吸引ボタン30によって操作されるバルブ(不図示)に連通されており、このバルブはさらにLGコネクタ18の吸引コネクタ49に接続される。吸引コネクタ49には、吸引ポンプ(吸引手段に相当)51が接続されている。したがって、吸引ポンプ51を作動し、吸引ボタン30でバルブを操作することによって、鉗子口58から体液やエア等を吸引することができる。
なお、図3の符号67は、先端部本体65の先端面に装着されるキャップであり、符号69は、挿入部12の外周面を被覆する外皮部材である。
図2に示すように、挿入部12の外周面には、ゴム等の弾性体から成る第1バルーン60が装着される。第1バルーン60は、両端部が絞られた略筒状に形成されており、挿入部12を挿通させて第1バルーン60を所望の位置に配置した後、図2に示すように第1バルーン60の両端部にゴム製の固定リング62、62を嵌め込むことによって、第1バルーン60が挿入部12に固定される。
第1バルーン60の装着位置となる挿入部12の外周面には、通気孔64が形成されている。通気孔64は、図1の手元操作部14に設けられたバルーン送気口38に連通されている。このバルーン送気口38はチューブ110を介してバルーン制御装置100に接続される。したがって、バルーン制御装置100によってエアを供給、吸引することによって、第1バルーン60を膨張、収縮させることができる。なお、第1バルーン60はエアを供給することによって略球状に膨張し、エアを吸引することによって挿入部12の外表面に張り付くようになっている。
一方、図1に示す挿入補助具70は、基端側に設けられた筒状で硬質の把持部72と、この把持部72の先端に装着された本体チューブ73で構成されており、前述した内視鏡10の挿入部12は、把持部72から本体チューブ73内に挿入される。
本体チューブ73は、ウレタン等から成る可撓性の樹脂チューブを基材とし、この基材の外周面と内周面が親水性コート材(潤滑性コート材)によってコーティングされている。親水性コート材としては例えばポリビニルピロリドンが用いられる。
本体チューブ73の先端近傍には、第2バルーン80が装着される。第2バルーン80は、両端が窄まった筒状に形成されており、挿入補助具70を貫通させた状態で装着され、不図示の糸を巻回することによって固定される。第2バルーン80には、挿入補助具70の外周面に貼り付けたチューブ74が連通され、このチューブ74の基端部にコネクタ76が設けられる。コネクタ76には、チューブ120が接続され、このチューブ120を介してバルーン制御装置100に接続される。したがって、バルーン制御装置100でエアを供給、吸引することによって、第2バルーン80を膨張、収縮させることができる。第2バルーン80は、エアを供給することによって略球状に膨張し、エアを吸引することによって挿入補助具70の外周面に貼りつくようになっている。
挿入補助具70の基端側には注入口78が設けられている。この注入口78は、挿入補助具70の内周面に形成された開口(不図示)に連通される。したがって、注入口78から注射器等で潤滑剤(例えば水等)を注入することによって、挿入補助具70の内部に潤滑剤を供給することができる。よって、挿入補助具70に挿入部12を挿入した際に、挿入補助具70の内周面と挿入部12の外周面との摩擦を減らすことができ、挿入部12と挿入補助具70の相対的な移動をスムーズに行うことができる。
バルーン制御装置100は、第1バルーン60にエア等の流体を供給・吸引するとともに、第2バルーン80にエア等の流体を供給・吸引する装置である。バルーン制御装置100は主として、装置本体102、及びリモートコントロール用のハンドスイッチ104で構成される。
装置本体102の前面には、電源スイッチSW1、停止スイッチSW2、第1圧力表示部106、第2圧力表示部108、及び第1機能停止スイッチSW3、第2機能停止スイッチSW4が設けられる。第1圧力表示部106、第2圧力表示部108はそれぞれ、第1バルーン60、第2バルーン80の圧力値を表示するパネルであり、バルーン破れ等の異常発生時にはこの圧力表示部106、108にエラーコードが表示される。
第1機能停止スイッチSW3、第2機能停止スイッチSW4はそれぞれ、内視鏡用制御系統、挿入補助具用制御系統の機能をON/OFFするスイッチであり、第1バルーン60と第2バルーン80の一方のみを使用する場合には、使用しない方の機能停止スイッチSW3、SW4を操作して機能をOFFにする。機能がOFFになった制御系統では、エアの供給、吸引が完全に停止し、その系統の圧力表示部106、又は108もOFFになる。機能停止スイッチSW3、SW4は両方をOFFにすることによって、初期状態の設定等を行うことができる。例えば、両方の機能停止スイッチSW3、SW4をOFFにして、ハンドスイッチ104の全スイッチSW5〜SW9を同時に押下操作することによって、大気圧に対するキャリブレーションが行われる。
装置本体102の前面には、第1バルーン60へのエア供給・吸引を行うチューブ110、及び第2バルーン80へのエア供給・吸引を行うチューブ120が接続される。各チューブ110、120と装置本体102との接続部分にはそれぞれ、第1バルーン60、或いは第2バルーン80が破れた時の体液の逆流を防止するための逆流防止ユニット112、122が設けられる。逆流防止ユニット112、122は、装置本体102に着脱自在に装着された中空円盤状のケース(不図示)の内部に気液分離用のフィルタを組み込むことによって構成されており、装置本体102内に液体が流入することをフィルタによって防止する。
一方、ハンドスイッチ104には、装置本体102側の停止スイッチSW2と同様の停止スイッチSW5と、第1バルーン60の加圧/減圧を指示するON/OFFスイッチSW6と、第1バルーン60の圧力を保持するためのポーズスイッチSW7と、第2バルーン80の加圧/減圧を指示するON/OFFスイッチSW8と、第2バルーン80の圧力を保持するためのポーズスイッチSW9とが設けられており、このハンドスイッチ104はコード130を介して装置本体102に電気的に接続されている。なお、図1には示してないが、ハンドスイッチ104には、第1バルーン60や第2バルーン80の送気状態、或いは排気状態を示す表示部が設けられている。
上記の如く構成されたバルーン制御装置100は、各バルーン60、80にエアを供給して膨張させるとともに、そのエア圧を一定値に制御して各バルーン60、80を膨張した状態に保持する。また、各バルーン60、80からエアを吸引して収縮させるとともに、そのエア圧を一定値に制御して各バルーン60、80を収縮した状態に保持する。
バルーン制御装置100は、バルーン専用モニタ82に接続されており、各バルーン60、80を膨張、収縮させる際に、各バルーン60、80の圧力値や膨張・収縮状態をバルーン専用モニタ82に表示する。なお、各バルーン60、80の圧力値や膨張・収縮状態は、内視鏡10の観察画像にスーパーインポーズしてモニタ50に表示するようにしてもよい。
図2に示すように、内視鏡10の挿入部12の先端部44には、フード部材200が装着される。フード部材200は、シリコンゴム等の弾性体によって円筒状に形成されている。図3に示すようにフード部材200の基端部200Bは、その内径d2が先端部44の外径と略同寸法か、或いは若干小さい寸法で形成されており、フード部材200の基端部200Bを弾性変形させながら先端部44に外嵌することによって、フード部材200が先端部44に装着される。
フード部材200の先端部200Aは、その内径d1が基端部200Bの内径d2よりも大きく形成されており、さらに、医療用カプセル220の外径d3(図7参照)よりも十分に大きく形成されている。先端部200Aは2mm程度の厚みで形成されており、十分な剛性を有するように構成されている。よって、後述する医療用カプセル220が先端部200Aの内周面200Cに押し付けられた際に、先端部200Aが変形して潰れないようになっている。なお、先端部200Aを樹脂等の硬質部材によって形成してもよい。
図4に示す内視鏡用処置具150は、内視鏡10の鉗子チャンネル(すなわち、図1の鉗子挿入部46から図3のチューブ63とパイプ61を介して鉗子口58までの挿通路)に挿通される器具であり、可撓性シース152と、その可撓性シース152の先端部に留め具156によって固定されたバルーン154とで構成される。バルーン154は薄いシリコンゴム等によって膨縮自在に構成されており、流体を供給することによって膨張し、流体を吸引することによって収縮するようになっている。
可撓性シース152は、鉗子挿入部46から挿入した際に、先端のバルーン154を鉗子口58から導出できるだけの十分な長さを有しており、その基端には把持部158が設けられている。術者はこの把持部158を把持して操作することによって内視鏡用処置具150を鉗子チャンネル内に挿抜することができる。
把持部158には、可撓性シース152の内部に連通されるコネクタ160が設けられており、このコネクタ160に流体の供給・吸引手段(不図示)が接続される。よって、供給・吸引手段を作動して流体を供給することによって、バルーン154の内部に流体を供給してバルーン154を膨張させることができ、供給・吸引手段が流体を吸引することによって、バルーン154の内部から流体を吸引してバルーン154を収縮させることができる。なお、流体としては、エアや水等の任意の流体を用いることができる。
次に上記の如く構成された内視鏡装置において、挿入部12を体腔内に挿入する方法について図6(a)〜(j)に従って説明する。なお、図6(a)〜(j)は経口的に挿入を行う例であるが、経門的に挿入を行うようにしても良い。
まず、第1バルーン60及び第2バルーン80を収縮させ、挿入部12を挿入補助具70に挿通させた状態で、挿入部12の挿入を開始する。そして、図6(a)に示すように、挿入部12の先端が胃90Aの内部に達した際に、挿入補助具70を挿入部12に沿わせて挿入し、図6(b)に示すように、挿入補助具70の先端を胃90A内に到達させる。
次に挿入補助具70が体腔内から抜けないように把持した状態で、挿入部12を挿入補助具70の内部に押し込んでいき、図6(c)に示すように、挿入部12の先端が十二指腸下行脚90Bまで到達するまで挿入する(挿入操作)。そして、第1バルーン60を膨張させ、挿入部12の先端を十二指腸下行脚に固定する(固定操作)。
次いで、挿入補助具70を押し込むことによって挿入補助具70を挿入部12に沿わせて挿入する(押し込み操作)。そして、図6(d)に示すように、挿入補助具70の先端部を第1バルーン60の近傍に持っていった後、第2バルーン80にエアを供給して膨張させる。これにより、第2バルーン80が十二指腸下行脚90Bに固定され、十二指腸下行脚90Bが第2バルーン80を介して挿入補助具70に把持された状態になる(把持操作)。
この状態で挿入補助具70と挿入部12をともに手繰り寄せる(手繰り寄せ操作)。これにより、十二指腸下行脚90Bまでの消化管90の余分な撓みや屈曲が取り除かれる。
次いで、第1バルーン60からエアを吸引して第1バルーン60を収縮させた後、図6(e)に示すように、挿入部12を小腸90Cの内部まで進める(挿入操作)。その際、十二指腸下行脚90Bまでの消化管90の余分な撓みが挿入補助具70によって取り除かれているので、挿入部12を容易に挿入することができる。
次に、図6(f)に示すように、第1バルーン60を膨張させて挿入部12の先端を消化管90に固定する(固定操作)。そして、第2バルーン80を収縮させた後、図6(g)に示すように、挿入補助具70を挿入部12に沿わせて挿入し(押し込み操作)、挿入補助具70の先端が第1バルーン60の近傍に近接した状態で第2バルーン80を膨張させる(把持操作)。
次に図6(h)に示すように、第1バルーン60及び第2バルーン80を膨張させた状態で、挿入補助具70及び挿入部12を手繰り寄せる(手繰り寄せ操作)。これにより、消化管90の余分な撓みや屈曲が取り除かれる。
上述した一連の操作(挿入操作、固定操作、押し込み操作、把持操作、手繰り寄せ操作)を繰り返すことによって、複雑に屈曲或いは撓んでいた消化管90が図6(i)に示すように単純化される。よって、図6(j)に示すように、消化管90のさらに深部に挿入部12を挿入することができる。
次に本発明に係る内視鏡装置の作用について説明する。以下、体腔内の医療用カプセル220を保持して体腔外に回収する例について説明する。
まず、フード部材200を挿入部12の先端部44に装着した後、挿入部12を挿入補助具70に挿通させる。そして、内視鏡10の鉗子挿入部46から挿入補助具150を挿入し、図5に示すように、バルーン154の先端を鉗子口58から導出させ、フード部材200の先端部200Aに引っ掛けておく。この状態で、挿入部12の体腔内への挿入を開始する。挿入部12の体腔内への挿入は、例えば、前述した図6(a)〜(j)の如く操作を行い、挿入部12の先端部44を小腸等の深部消化管に挿入する。
挿入部12の先端部44を医療用カプセル220の位置まで挿入した後、観察光学系52によって得られる観察像を見ながら先端部44を動かして、フード部材200の先端部200Aを体腔内の医療用カプセル220に接近させる。そして、フード部材200の内部に医療用カプセル220の少なくとも一部が入るように、挿入部12を操作する。
次に、内視鏡用処置具150のバルーン154に流体を供給する。これにより、図7に示すように、フード部材200の先端部200Aの内周面200Cと医療用カプセル220との隙間でバルーン154が膨張し、膨張したバルーン154が医療用カプセル220をフード部材200の内周面200Cに押圧する。したがって、フード部材200の内周面200Cとバルーン154とによって医療用カプセル220を保持することができる。その際、図8に示すように、バルーン154がフード部材200と医療用カプセル220との隙間形状に倣って偏平な形状に膨張し、医療用カプセル220を広い面積で押圧するので、医療用カプセル220を安定した状態で保持することができる。
医療用カプセル220を保持した後、挿入部12を体腔内から引き抜くことによって医療用カプセル220を体腔の外部に運び出して回収することができる。なお、保持した医療用カプセル220を体腔内で搬送して体腔内で解放してもよい。例えば、医療用カプセル220が体腔内の狭窄部で引っかかった場合には、保持した医療用カプセル220を狭窄部の前方に搬送した後、医療用カプセル220の保持を解除してもよい。また、医療用カプセル220を体腔内で保持する場合だけでなく、体腔外で医療用カプセル220を保持した状態で挿入部12を体腔内に挿入し、医療用カプセル220を体腔内に搬送する用途で使用してもよい。
以上説明したように本実施の形態の内視鏡装置によれば、内視鏡用処置具10のバルーン154を膨張させることによって医療用カプセル220をフード部材200の内周面に押し付けるようにしたので、医療用カプセル220を確実に保持することができる。したがって、医療用カプセル220を脱落させることなく回収又は搬送することができる。
また、本実施の形態によれば、フード部材200の内部に医療用カプセル220の少なくとも一部が入る大きさ(或いは形状)であれば、医療用カプセル220の大きさ(或いは形状)に依らず保持することができる。
さらに、本実施の形態によれば、フード部材200の内部に医療用カプセル220を保持するので、保持した医療用カプセル220を、観察光学系52によって得られる観察画像で常に視認することができる。
なお、内視鏡用処置具150の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、図9に示すようにバルーン154の表面に円周方向の凸条部154A、154A…を設けてもよい。このように凸条部154Aを設けることによって、バルーン154と医療用カプセル220との摩擦力が大きくなり、または凸条部154Aでの押圧力が大きくなり、医療用カプセル220をより確実に保持することができる。
また、バルーン154の先端に、フード部材200の先端に係合するフック等の係合手段(不図示)を設けてもよい。この場合には、バルーン154をフード部材200の内部に挿入した状態を維持することができるので、バルーン154を膨張させることによって、バルーン154とフード部材200の内周面200Cとで医療用カプセル220を確実に挟持することができる。
また、バルーン154は、先端側から膨張するように構成することが好ましい。例えばバルーン154の先端側を基端側よりも薄く形成したり、或いは、バルーン154内に細径のチューブを挿通させてバルーン154の先端側でエアを吹き出すように構成するとよい。このようにバルーン154が先端側から膨張することによって、バルーン154を膨張させた際に医療用カプセル220がフード部材200の外側に押し出されることを防止できる。
さらに、上述した実施形態は、バルーン154に流体を供給、吸引する手段として専用の供給・吸引手段を設けたが、これに限定するものではなく、第1バルーン60や第2バルーン80と共通の流体供給源を使用してもよい。或いは、第1バルーン60にエアを供給するチューブを分岐してバルーン154に連通させることによって、バルーン154に流体を供給、吸引するようにしてもよい。
なお、上述した実施形態は、医療用カプセル220をフード部材200の内周面200Cに押し付ける押付手段として、内視鏡用処置具150を用いたが、押付手段はこれに限定するものではない。例えば、図10に示すように、フード部材200の内周面200Cに膨縮自在なバルーン202を設け、このバルーン202を膨張させることによって医療用カプセル220をフード部材200の内周面200Cに押し付けるようにしてもよい。図10に示すフード部材200は、挿入部12の鉗子口58(図3参照)に嵌め込まれる連結部200Dが一体的に形成されており、この連結部200とバルーン202を連通する流路200Eがフード部材200内に形成されている。よって、フード部材200を挿入部12の先端部44に装着し、連結部204を鉗子口58に連結した状態で、鉗子チャンネルに流体を供給、吸引することによって、バルーン202に流体を供給、吸引することができ、バルーン202を膨張、収縮させることができる。なお、バルーン202への流体供給手段は上述した方法に限定されるものではなく、バルーン202に連通するチューブを鉗子チャンネルに挿通させ、このチューブの基端を流体の供給・吸引手段に接続してもよい。
なお、上述した実施形態は、第1バルーン60と第2バルーン80を備えたダブルバルーン式の内視鏡装置に本発明を適用した例であるが、本発明の内視鏡装置の構成はこれに限定するものではなく、第1バルーン60、第2バルーン80のない内視鏡装置や、挿入補助具70を使用しない内視鏡装置にも本発明を適用することができる。挿入部12の先端部44にフード部材200を装着する内視鏡であれば、本発明を適用することによって、医療用カプセル220を確実に保持して回収又は搬送することができる。
本発明に係る内視鏡装置のシステム構成図 内視鏡挿入部の先端部とフード部材を示す斜視図 内視鏡挿入部の先端部とフード部材を示す断面図 内視鏡用処置具を示す斜視図 フード部材を装着して内視鏡用処置具を挿通した挿入部の先端部を示す断面図 本発明に係る内視鏡装置の操作方法を示す説明図 フード部材の内部に医療用カプセルを保持した挿入部の先端部を示す断面図 図7の挿入部の先端部を示す正面図 図5と異なる構成の内視鏡用処置具を示す斜視図 図3と異なる構成のフード部材を示す断面図
符号の説明
10…内視鏡、12…挿入部、14…手元操作部、26…プロセッサ、50…モニタ、51…吸引ポンプ、52…観察光学系、58…鉗子口、60…第1バルーン、70…挿入補助具、80…第2バルーン、100…バルーン制御装置、150…内視鏡用処置具、152…可撓性シース、154…バルーン、200…フード部材、220…医療用カプセル

Claims (4)

  1. 体腔内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、
    前記挿入部の先端面から突出した状態で前記挿入部の先端部に装着される筒状のフード部材と、
    前記フード部材の内周面に医療用カプセルを押し付ける押付手段と、
    を備えたことを特徴とする内視鏡装置。
  2. 前記押付手段は、前記内視鏡の鉗子チャンネルに挿通されるとともに、先端部に膨縮自在なバルーンが設けられた内視鏡用処置具であり、
    前記バルーンを前記フード部材の内部で膨張させることによって、前記フード部材の内部に取り込んだ前記医療用カプセルを、前記フード部材の内周面に押し付けることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
  3. 前記バルーンの表面には凹凸が設けられることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
  4. 前記押付手段は、前記フード部材の内周面に設けられた膨縮自在なバルーンであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
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