JP2007089812A - 内視鏡装置及び内視鏡用フード並びに医療用カプセルの搬送方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】体腔内の医療用カプセルを搬送するのに適した内視鏡装置及び内視鏡用フード並びに医療用カプセルの搬送方法を提供する。
【解決手段】内視鏡装置は、内視鏡10の挿入部12の先端部44にフード部材200が装着され、このフード部材200の先端部に、体腔内に滞留した医療用カプセル220を動かして医療用カプセル220の姿勢を変えるための突起部200Eを備える。
【選択図】 図6
【解決手段】内視鏡装置は、内視鏡10の挿入部12の先端部44にフード部材200が装着され、このフード部材200の先端部に、体腔内に滞留した医療用カプセル220を動かして医療用カプセル220の姿勢を変えるための突起部200Eを備える。
【選択図】 図6
Description
本発明は内視鏡装置及び内視鏡用フード並びに医療用カプセルの搬送方法に係り、特に小腸や大腸等の深部消化管内で医療用カプセルを保持して搬送する医療用カプセルの搬送方法、及びそのための内視鏡装置、並びにそれに用いる内視鏡用フードに関する。
近年、医療用内視鏡の分野において、小型カメラを内蔵したカプセル型内視鏡が各種開発されている。このカプセル型内視鏡はワイヤレスで利用できるため、挿入部を体腔内に挿入する内視鏡に比べて、患者の苦痛を軽減することができる。
ところで、カプセル型内視鏡等の医療用カプセルは、体腔外に自然に排出されるのを待つのが一般的であるが、体腔内の狭窄部に医療用カプセルが引っかかる場合があり、その場合には、医療用カプセルを探して保持し、回収或いは狭窄部の前方に送り出すことが必要になる。
そこで、体腔内の医療用カプセルを保持する機能を備えた内視鏡装置が各種開発されている。例えば、特許文献1の内視鏡装置は、内視鏡の挿入部の先端部に吸引用の開口部を備え、この開口部に医療用カプセルを吸引して保持するようにしている。
特開2004−194976号公報
しかしながら、特許文献1は、体腔内の医療用カプセルが斜めになっていると、医療用カプセルを吸着して保持することができないという問題があった。
また、特許文献1は、外径が通常10mm程度の医療用カプセルに対して、内径が2〜4mmと非常に小さい吸引用の開口部に医療用カプセルを吸着して保持するため、保持力が弱く、医療用カプセルが脱落するおそれがあった。
さらに、特許文献1は、保持した医療用カプセルが、内視鏡の観察視野範囲に入りにくい場所にあるために視認しにくく、医療用カプセルが脱落しても気づかず、脱落後の医療用カプセルを再度探さなければならないという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、体腔内の医療用カプセルを搬送するのに適した内視鏡装置及び内視鏡用フード並びに医療用カプセルの搬送方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、内視鏡の挿入部の先端部、又は、前記挿入部を挿通させることにより該挿入部の体腔内への挿入を補助する挿入補助具の先端部に、体腔内に滞留した医療用カプセルを動かして該医療用カプセルの姿勢を変える突起部を設けたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、体腔内の医療用カプセルが腸管狭窄部でひっかかり斜めになっている場合にも医療用カプセルの姿勢を変えることができる。したがって、医療用カプセルを保持するのに適した姿勢にすることができる。
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の発明において、前記内視鏡の挿入部の先端部には筒状の内視鏡用フードが装着され、該内視鏡用フードの先端に前記突起部が設けられることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、突起部を有するフード部材を挿入部の先端部に装着することによって、挿入部の先端部に突起部を設けることができる。
請求項3に記載の発明は請求項2に記載の発明において、前記挿入部の先端部に設けられた吸引用の開口部と、該吸引用の開口部に連通される吸引手段と、前記フード部材の先端部に設けられ、前記吸引手段を作動させて前記吸引用の開口部から吸引を行った際に前記医療用カプセルを保持する保持部と、を備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、吸引用の開口部を介して吸引を行うことによって、内視鏡用フードの保持部に医療用カプセルを吸着して保持することができる。したがって、内視鏡用フードの突起部で医療用カプセルの姿勢を変えた後、医療用カプセルをそのまま内視鏡用フードの先端の保持部に吸着して保持することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、吸引用の開口部よりも開口面積の大きい内視鏡用フードによって医療用カプセルを保持するので、医療用カプセルを大きな保持力で確実に保持することができる。
請求項4に記載の発明は請求項3に記載の発明において、前記保持部は、前記内視鏡用フードの先端内周面に、前記医療用カプセルの曲面形状に応じた曲面部を形成することにより構成されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、内視鏡用フードの先端内周面に医療用カプセルの曲面形状に応じた曲面部が形成されるので、内視鏡用フードと医療用カプセルとの密着性が向上し、医療用カプセルの保持力が向上する。このような内視鏡用フードは、保持する際の医療用カプセルの姿勢によって保持力が変化するので、上述した突起部によって医療用カプセルの姿勢を、内視鏡用フードの曲面部と医療用カプセルの曲面部が合う向きまで変えることによって、医療用カプセルの十分な保持力を確保することができる。
請求項5に記載の発明は前記目的を達成するために、内視鏡の挿入部の先端部に装着される筒状の内視鏡用フードにおいて、体腔内に滞留した医療用カプセルを動かして該医療用カプセルの姿勢を変える突起部を先端に設けたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、突起部が設けられているので、この内視鏡用フードを挿入部の先端部に装着することによって、体腔内に滞留した医療用カプセルが斜めになっている場合にも医療用カプセルの姿勢を変えることができる。
請求項6に記載の発明は前記目的を達成するために、体腔内の医療用カプセルを、内視鏡の挿入部の先端部、又は、前記挿入部の挿入を補助する挿入補助具の先端部に保持して搬送する医療用カプセルの搬送方法において、前記挿入部の先端部に設けた突起部、又は、前記挿入補助具の先端部に設けた突起部によって、体腔内の医療用カプセルを動かして該医療用カプセルの姿勢を調節し、該姿勢を調整した医療用カプセルを、前記挿入部の先端部、又は、前記挿入補助具の先端部に保持して搬送することを特徴とする。
本発明によれば、内視鏡の挿入部の先端部又は挿入補助具の先端部に突起部を設け、この突起部によって、体腔内に滞留した医療用カプセルを動かしてその姿勢を変えられるようにしたので、医療用カプセルが腸管狭窄部でひっかかり斜めになっている場合にも、医療用カプセルの姿勢を変えて、保持に適した姿勢にすることができる。
以下添付図面に従って本発明に係る内視鏡装置及び内視鏡用フード並びに医療用カプセルの搬送方法の好ましい実施の形態について詳述する。
図1は本発明に係る内視鏡装置の実施形態を示すシステム構成図である。図1に示すように内視鏡装置は主として、内視鏡10、挿入補助具70、及びバルーン制御装置100で構成される。
内視鏡10は、手元操作部14と、この手元操作部14に連設され、体腔内に挿入される挿入部12とを備える。手元操作部14には、ユニバーサルケーブル16が接続され、このユニバーサルケーブル16の先端にLGコネクタ18が設けられる。LGコネクタ18は光源装置20に着脱自在に連結され、これによって後述の照明光学系54(図2参照)に照明光が送られる。また、LGコネクタ18には、ケーブル22を介して電気コネクタ24が接続され、この電気コネクタ24がプロセッサ26に着脱自在に連結される。
手元操作部14には、送気・送水ボタン28、吸引ボタン30、シャッターボタン32、及び機能切替ボタン34が並設されるとともに、一対のアングルノブ36、36が設けられる。手元操作部14の基端部には、L状に屈曲した管によってバルーン送気口38が形成されている。このバルーン送気口38にエア等の流体を供給、或いは吸引することによって、後述の第1バルーン60を膨張、或いは収縮させることができる。
挿入部12は、手元操作部14側から順に軟性部40、湾曲部42、及び先端部44で構成され、湾曲部42は、手元操作部14のアングルノブ36、36を回動することによって遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部44を所望の方向に向けることができる。
図2に示すように、先端部44の先端面45には、観察光学系52、照明光学系54、54、送気・送水ノズル56、鉗子口(吸引用の開口部に相当)58が設けられる。
観察光学系52の後方には図3に示すプリズム53が配設されており、観察光学系52を介して取り込まれた被写体光の光路がプリズム53によって下方に屈曲される。プリズム53の下方には、基盤57に支持されたCCD55が配設されており、プリズム53で屈曲された被写体光がCCD55の受光面に結像するようになっている。そして、CCD55によって被写体光が電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル59を介して送信される。信号ケーブル59は、図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16等に挿通されて電気コネクタ24まで延設され、プロセッサ26に接続される。よって、観察光学系52で取り込まれた観察像は、CCD55の受光面に結像されて電気信号に変換され、そして、この電気信号が信号ケーブル59を介してプロセッサ26に出力され、映像信号に変換される。これにより、プロセッサ26に接続されたモニタ50に観察画像が表示される。
図2の照明光学系54、54の後方にはライトガイド(不図示)の出射端が配設されている。このライトガイドは、図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16に挿通され、LGコネクタ18内に入射端が配設される。したがって、LGコネクタ18を光源装置20に連結することによって、光源装置20から照射された照明光がライトガイドを介して照明光学系54、54に伝送され、照明光学系54、54から前方に照射される。
図2の送気・送水ノズル56は、図1の送気・送水ボタン28によって操作されるバルブ(不図示)に連通されており、さらにこのバルブはLGコネクタ18に設けた送気・送水コネクタ48に連通される。送気・送水コネクタ48には不図示の送気・送水手段が接続され、エア又は水が供給される。したがって、送気・送水ボタン28を操作することによって、送気・送水ノズル56からエア又は水を観察光学系52に向けて噴射することができる。
図2の鉗子口58は、図3の先端部本体65に支持されたパイプ61に連通され、さらにパイプ61にチューブ63が連結される。チューブ63は、図1の挿入部12内に挿通配置されて、鉗子挿入部46に連通される。よって、鉗子挿入部46から鉗子等の処置具を挿入することによって、この処置具を鉗子口58から導出することができる。また、図3のチューブ63は途中で分岐され、図1の吸引ボタン30によって操作されるバルブ(不図示)に連通されており、このバルブはさらにLGコネクタ18の吸引コネクタ49に接続される。吸引コネクタ49には、吸引ポンプ(吸引手段に相当)51が接続されている。したがって、吸引ポンプ51を作動し、吸引ボタン30でバルブを操作することによって、鉗子口58から体液やエア等を吸引することができる。
なお、図3の符号67は、先端部本体65の先端面に装着されるキャップであり、符号69は、挿入部12の外周面を被覆する外皮部材である。
図2に示すように、挿入部12の外周面には、ゴム等の弾性体から成る第1バルーン60が装着される。第1バルーン60は、両端部が絞られた略筒状に形成されており、挿入部12を挿通させて第1バルーン60を所望の位置に配置した後、図2に示すように第1バルーン60の両端部にゴム製の固定リング62、62を嵌め込むことによって、第1バルーン60が挿入部12に固定される。
第1バルーン60の装着位置となる挿入部12の外周面には、通気孔64が形成されている。通気孔64は、図1の手元操作部14に設けられたバルーン送気口38に連通されている。このバルーン送気口38はチューブ110を介してバルーン制御装置100に接続される。したがって、バルーン制御装置100によってエアを供給、吸引することによって、第1バルーン60を膨張、収縮させることができる。なお、第1バルーン60はエアを供給することによって略球状に膨張し、エアを吸引することによって挿入部12の外表面に張り付くようになっている。
一方、図1に示す挿入補助具70は、基端側に設けられた筒状で硬質の把持部72と、この把持部72の先端に装着された本体チューブ73で構成されており、前述した内視鏡10の挿入部12は、把持部72から本体チューブ73内に挿入される。
本体チューブ73は、ウレタン等から成る可撓性の樹脂チューブを基材とし、この基材の外周面と内周面が親水性コート材(潤滑性コート材)によってコーティングされている。親水性コート材としては例えばポリビニルピロリドンが用いられる。
本体チューブ73の先端近傍には、第2バルーン80が装着される。第2バルーン80は、両端が窄まった筒状に形成されており、挿入補助具70を貫通させた状態で装着され、不図示の糸を巻回することによって固定される。第2バルーン80には、挿入補助具70の外周面に貼り付けたチューブ74が連通され、このチューブ74の基端部にコネクタ76が設けられる。コネクタ76には、チューブ120が接続され、このチューブ120を介してバルーン制御装置100に接続される。したがって、バルーン制御装置100でエアを供給、吸引することによって、第2バルーン80を膨張、収縮させることができる。第2バルーン80は、エアを供給することによって略球状に膨張し、エアを吸引することによって挿入補助具70の外周面に貼りつくようになっている。
挿入補助具70の基端側には注入口78が設けられている。この注入口78は、挿入補助具70の内周面に形成された開口(不図示)に連通される。したがって、注入口78から注射器等で潤滑剤(例えば水等)を注入することによって、挿入補助具70の内部に潤滑剤を供給することができる。よって、挿入補助具70に挿入部12を挿入した際に、挿入補助具70の内周面と挿入部12の外周面との摩擦を減らすことができ、挿入部12と挿入補助具70の相対的な移動をスムーズに行うことができる。
バルーン制御装置100は、第1バルーン60にエア等の流体を供給・吸引するとともに、第2バルーン80にエア等の流体を供給・吸引する装置である。バルーン制御装置100は主として、装置本体102、及びリモートコントロール用のハンドスイッチ104で構成される。
装置本体102の前面には、電源スイッチSW1、停止スイッチSW2、第1圧力表示部106、第2圧力表示部108、及び第1機能停止スイッチSW3、第2機能停止スイッチSW4が設けられる。第1圧力表示部106、第2圧力表示部108はそれぞれ、第1バルーン60、第2バルーン80の圧力値を表示するパネルであり、バルーン破れ等の異常発生時にはこの圧力表示部106、108にエラーコードが表示される。
第1機能停止スイッチSW3、第2機能停止スイッチSW4はそれぞれ、内視鏡用制御系統、挿入補助具用制御系統の機能をON/OFFするスイッチであり、第1バルーン60と第2バルーン80の一方のみを使用する場合には、使用しない方の機能停止スイッチSW3、SW4を操作して機能をOFFにする。機能がOFFになった制御系統では、エアの供給、吸引が完全に停止し、その系統の圧力表示部106、又は108もOFFになる。機能停止スイッチSW3、SW4は両方をOFFにすることによって、初期状態の設定等を行うことができる。例えば、両方の機能停止スイッチSW3、SW4をOFFにして、ハンドスイッチ104の全スイッチSW5〜SW9を同時に押下操作することによって、大気圧に対するキャリブレーションが行われる。
装置本体102の前面には、第1バルーン60へのエア供給・吸引を行うチューブ110、及び第2バルーン80へのエア供給・吸引を行うチューブ120が接続される。各チューブ110、120と装置本体102との接続部分にはそれぞれ、第1バルーン60、或いは第2バルーン80が破れた時の体液の逆流を防止するための逆流防止ユニット112、122が設けられる。逆流防止ユニット112、122は、装置本体102に着脱自在に装着された中空円盤状のケース(不図示)の内部に気液分離用のフィルタを組み込むことによって構成されており、装置本体102内に液体が流入することをフィルタによって防止する。
一方、ハンドスイッチ104には、装置本体102側の停止スイッチSW2と同様の停止スイッチSW5と、第1バルーン60の加圧/減圧を指示するON/OFFスイッチSW6と、第1バルーン60の圧力を保持するためのポーズスイッチSW7と、第2バルーン80の加圧/減圧を指示するON/OFFスイッチSW8と、第2バルーン80の圧力を保持するためのポーズスイッチSW9とが設けられており、このハンドスイッチ104はコード130を介して装置本体102に電気的に接続されている。なお、図1には示してないが、ハンドスイッチ104には、第1バルーン60や第2バルーン80の送気状態、或いは排気状態を示す表示部が設けられている。
上記の如く構成されたバルーン制御装置100は、各バルーン60、80にエアを供給して膨張させるとともに、そのエア圧を一定値に制御して各バルーン60、80を膨張した状態に保持する。また、各バルーン60、80からエアを吸引して収縮させるとともに、そのエア圧を一定値に制御して各バルーン60、80を収縮した状態に保持する。
バルーン制御装置100は、バルーン専用モニタ82に接続されており、各バルーン60、80を膨張、収縮させる際に、各バルーン60、80の圧力値や膨張・収縮状態をバルーン専用モニタ82に表示する。なお、各バルーン60、80の圧力値や膨張・収縮状態は、内視鏡10の観察画像にスーパーインポーズしてモニタ50に表示するようにしてもよい。
図2に示すように、内視鏡10の挿入部12の先端部44には、フード部材200が装着される。フード部材200は、シリコンゴム等の弾性体によって略円筒状に形成されている。
図3に示すように、フード部材200の基端部200Cは、その内径dが先端部44の外径と略同寸法か、或いは若干小さい寸法で形成されており、フード200の基端部200Cを弾性変形させながら先端部44に外嵌させることによって先端部44に装着される。
フード部材200の中間部200Bは、その内周面が基端部200Cよりも突出して形成されている。したがって、フード部材200を先端部44に装着した際、中間部200Bの基端側の段差部分が先端部44の先端面45に当接することによって、フード部材200の突出量hが確保される。
フード部材200の先端部200Aは、その内周面が医療用カプセル220の曲面形状に合わせて形成されている。すなわち、フード部材212の先端部212Aの内周面には、医療用カプセル220の球面の一部と同じ形状の曲面部212Dが形成されている。したがって、図4に示すようにフード部材200の先端部200Aに医療用カプセル220を吸着して保持した際に、医療用カプセル220と先端部212Aとの密着性が増すので、医療用カプセル220をより確実に保持することができる。
また、フード部材200は、少なくとも先端部200Aと中間部200Bが、透明或いは半透明な材質で形成される。よって、フード部材200の先端部200Aに医療用カプセル220を保持した状態であっても、フード部材200の外部を、透明或いは半透明な先端部200Aと中間部200Bを介して観察することができる。なお、フード部材200全体を、透明或いは半透明な材質で形成してもよい。
フード部材200の先端部200Aには、突起部200Eが形成されている。突起部200Eは、舌状に形成されており、先端方向に突出して形成されている。この突起部200Eの内周面は、先端部200Aの曲面部200Dに連続した曲面状に形成されている。また、突起部200Eは、1〜2mm程度の厚みで形成され、適度な剛性を有しており、突起部200Eを医療用カプセル200に引っ掛けて医療用カプセル220を動かした場合にも(図6参照)、突起部200Eが撓まないように構成される。
次に上記の如く構成された内視鏡装置において、挿入部12を体腔内に挿入する方法について図5(a)〜(j)に従って説明する。なお、図5(a)〜(j)は経口的に挿入を行う例であるが、経門的に挿入を行うようにしても良い。
まず、第1バルーン60及び第2バルーン80を収縮させ、挿入部12を挿入補助具70に挿通させた状態で、挿入部12の挿入を開始する。そして、図5(a)に示すように、挿入部12の先端が胃90Aの内部に達した際に、挿入補助具70を挿入部12に沿わせて挿入し、図5(b)に示すように、挿入補助具70の先端を胃90A内に到達させる。
次に挿入補助具70が体腔内から抜けないように把持した状態で、挿入部12を挿入補助具70の内部に押し込んでいき、図5(c)に示すように、挿入部12の先端が十二指腸下行脚90Bまで到達するまで挿入する(挿入操作)。そして、第1バルーン60を膨張させ、挿入部12の先端を十二指腸下行脚に固定する(固定操作)。
次いで、挿入補助具70を押し込むことによって挿入補助具70を挿入部12に沿わせて挿入する(押し込み操作)。そして、図5(d)に示すように、挿入補助具70の先端部を第1バルーン60の近傍に持っていった後、第2バルーン80にエアを供給して膨張させる。これにより、第2バルーン80が十二指腸下行脚90Bに固定され、十二指腸下行脚90Bが第2バルーン80を介して挿入補助具70に把持された状態になる(把持操作)。
この状態で挿入補助具70と挿入部12をともに手繰り寄せる(手繰り寄せ操作)。これにより、十二指腸下行脚90Bまでの消化管90の余分な撓みや屈曲が取り除かれる。
次いで、第1バルーン60からエアを吸引して第1バルーン60を収縮させた後、図5(e)に示すように、挿入部12を小腸90Cの内部まで進める(挿入操作)。その際、十二指腸下行脚90Bまでの消化管90の余分な撓みが挿入補助具70によって取り除かれているので、挿入部12を容易に挿入することができる。
次に、図5(f)に示すように、第1バルーン60を膨張させて挿入部12の先端を消化管90に固定する(固定操作)。そして、第2バルーン80を収縮させた後、図5(g)に示すように、挿入補助具70を挿入部12に沿わせて挿入し(押し込み操作)、挿入補助具70の先端が第1バルーン60の近傍に近接した状態で第2バルーン80を膨張させる(把持操作)。
次に図5(h)に示すように、第1バルーン60及び第2バルーン80を膨張させた状態で、挿入補助具70及び挿入部12を手繰り寄せる(手繰り寄せ操作)。これにより、消化管90の余分な撓みや屈曲が取り除かれる。
上述した一連の操作(挿入操作、固定操作、押し込み操作、把持操作、手繰り寄せ操作)を繰り返すことによって、複雑に屈曲或いは撓んでいた消化管90が図5(i)に示すように単純化される。よって、図5(j)に示すように、消化管90のさらに深部に挿入部12を挿入することができる。
次に本発明に係る内視鏡装置の作用について説明する。以下、体腔内の消化管90の狭窄部90Dに引っかかった医療用カプセル220を保持して体腔外に回収する例について説明する。
まず、フード部材200を先端部44に装着した内視鏡10の挿入部12を体腔内に挿入する。例えば、前述した図5(a)〜図5(j)の如く操作を行って、挿入部12の先端部44を小腸等の深部消化管に挿入する。
挿入部12の先端部44を医療用カプセル220の位置まで挿入した後、観察光学系52によって得られる観察像を見ながら、フード部材200の先端部200Aを体腔内の医療用カプセル220に接近させる。その際、図6に示すように、医療用カプセル220が斜めになった状態で狭窄部90Dに滞留している場合には、フード部材200の突起部200Eを医療用カプセル220と腸壁との間に差し込み、その状態で先端部44を上方に動かすことによって、医療用カプセル220の右端部を上方に起こす。これにより、図7に示すように、医療用カプセル220の姿勢が修正され、医療用カプセル220に対して挿入部12(すなわちフード部材200)をまっすぐにアプローチできるようになる。
医療用カプセル220の姿勢を修正した後、吸引ボタン30(図1参照)を操作することによって鉗子口58からの吸引作業を開始する。これにより、フード部材200内の気体(或いは液体)が鉗子口58から吸引され、フード部材200の内部が吸引状態になる。フード部材200の内部が吸引状態になることによって、医療用カプセル220は、フード部材200の先端部200Aに吸着される。
その際、フード部材200の先端部200Aを医療用カプセル220に対してまっすぐに(すなわち、医療用カプセル220の中心軸とフード部材200の中心軸とが一致するように)アプローチできるので、先端部200Aの内周面の曲面部200Dに医療用カプセル220の球面部分が密着し、医療用カプセル220を確実に保持することができる。また、フード部材200の先端部200Aは、鉗子口58よりも開口面積が大きいので、医療用カプセル220を大きな吸着力で確実に保持することができる。
医療用カプセル220を保持した後、内視鏡10の挿入部12を体腔内から引き抜くことによって医療用カプセル220を体腔の外部に運び出して回収する。その際、医療用カプセル220は、観察光学系52による観察範囲内で保持されているので、医療用カプセル220が保持されていることを観察画像によって常に視認することができる。したがって、医療用カプセル220が脱落した場合にもすぐに状況を把握することができる。
また、内視鏡10の挿入部12を体腔内から引き抜く際、フード部材200の中間部200Bが透明或いは半透明で構成されるので、フード部材200の外部を観察することができる。したがって、保持した医療用カプセル220が体腔内の壁面等に引っかかることを避けることができる。
なお、医療用カプセル220を保持した後に、挿入部12の先端部44を狭窄部90D内に押し込むことによって、医療用カプセル220を狭窄部90Dの前方に搬送してもよい。その場合、搬送後に吸引ボタン30(図1参照)を操作して吸引を停止することによって、医療用カプセル220の保持を解除し、医療用カプセル220を消化管90内に送り出すことができる。
以上説明したように本実施の形態の内視鏡装置によれば、フード部材200の先端部に突起部200Eを形成したので、突起部200Eを医療用カプセル220に引っ掛けて動かすことによって、医療用カプセル220の姿勢を自在に変えることができる。したがって、医療用カプセル220に対してまっすぐにアプローチできない場合であっても、医療用カプセル220を、保持に適した姿勢に変えることができ、医療用カプセル220を確実に保持することができる。
なお、フード部材200の突起部200Eの形状は、上述した実施形態に限定されるものではなく、医療用カプセル220を動かしてその姿勢を変えることのできる形状であればよく、例えば円柱等の棒状や三角形状であってもよい。また、図8に示すように、突起部200Eの内側面に横方向の溝200Fを形成してもよい。この場合、突起部200Eと医療用カプセル220との摩擦が大きくなるので、医療用カプセル220を容易に動かすことができる。
図9には別構成の突起部200Eを示している。この突起部200Eは、帯状物を湾曲させた状態でフード部材200に取り付けることによって構成され、矢印X方向に先端側から押圧された場合には帯状物のループが潰れるように変形し、矢印Y方向(すなわち中心軸に向かう径方向)に力を受けた場合には変形しにくく構成される。したがって、突起部200Eの先端が腸壁を押圧しないように操作する必要がなく、且つ、医療用カプセル220を矢印Y方向に確実に移動させることができる。
上述した実施形態は、突起部200Eを一つのみ設けたが、突起部200Eの個数はこれに限定するものではなく、複数設けてもよい。
また、フード部材200の保持部の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、医療用カプセル220を保持可能な構成であればよい。例えば図10に示すように、フード部材200の先端部200Aの内周面にテーパ200Gを形成することによって、保持部を構成してもよい。この場合、フード部材200のテーパ200Gに医療用カプセル220の曲面部が当接することによって、医療用カプセル220がフード部材200の先端部200Aに保持される。
また、上述した実施形態は、フード部材200を装着することによって、挿入部12の先端に突起を設けたが、これに限定するものではなく、挿入部12の先端部44に、医療用カプセル220を動かすための突起を直接、設けるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態は、挿入部12の先端に突起を設けるようにしたが、これに限定するものではなく、例えば図11に示すように、挿入補助具70のチューブ73の先端に突起部73Eを設けるようにしてもよい。この場合には、挿入補助具70の突起部73Eを医療用カプセル220に引っ掛けて動かすことによって、その姿勢を変えることができる。
なお、上述した実施形態は、第1バルーン60と第2バルーン80を備えたダブルバルーン式の内視鏡装置に本発明を適用した例であるが、本発明の内視鏡装置の構成はこれに限定するものではなく、第1バルーン60、第2バルーン80のない内視鏡装置や、挿入補助具70を使用しない内視鏡装置にも本発明を適用することができる。すなわち、内視鏡10の挿入部12の先端部44にフード部材200を装着し、このフード部材200の内部を鉗子口58を利用して吸引状態にし、そのフード部材200の先端に医療用カプセル220を吸着することによって、医療用カプセル220を確実に保持して回収又は搬送することができる。
10…内視鏡、12…挿入部、14…手元操作部、26…プロセッサ、50…モニタ、51…吸引ポンプ、52…観察光学系、58…鉗子口、60…第1バルーン、70…挿入補助具、80…第2バルーン、100…バルーン制御装置、200…フード部材、200E…突起部、220…医療用カプセル
Claims (6)
- 内視鏡の挿入部の先端部、又は、前記挿入部を挿通させることにより該挿入部の体腔内への挿入を補助する挿入補助具の先端部に、
体腔内の医療用カプセルの姿勢を変える突起部を設けたことを特徴とする内視鏡装置。 - 前記内視鏡の挿入部の先端部には筒状の内視鏡用フードが装着され、
該内視鏡用フードの先端に前記突起部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。 - 前記挿入部の先端部に設けられた吸引用の開口部と、
該吸引用の開口部に連通される吸引手段と、
前記フード部材の先端部に設けられ、前記吸引手段を作動させて前記吸引用の開口部から吸引を行った際に前記医療用カプセルを保持する保持部と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。 - 前記保持部は、前記内視鏡用フードの先端内周面に、前記医療用カプセルの曲面形状に応じた曲面部を形成することにより構成されることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
- 内視鏡の挿入部の先端部に装着される筒状の内視鏡用フードにおいて、
体腔内の医療用カプセルの姿勢を変える突起部を先端に設けたことを特徴とする内視鏡用フード。 - 体腔内の医療用カプセルを、内視鏡の挿入部の先端部、又は、前記挿入部の挿入を補助する挿入補助具の先端部に保持して搬送する医療用カプセルの搬送方法において、
前記挿入部の先端部に設けた突起部、又は、前記挿入補助具の先端部に設けた突起部によって、体腔内の医療用カプセルを動かして該医療用カプセルの姿勢を調節し、
該姿勢を調整した医療用カプセルを、前記挿入部の先端部、又は、前記挿入補助具の先端部に保持して搬送することを特徴とする医療用カプセルの搬送方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005282764A JP2007089812A (ja) | 2005-09-28 | 2005-09-28 | 内視鏡装置及び内視鏡用フード並びに医療用カプセルの搬送方法 |
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JP2007089812A true JP2007089812A (ja) | 2007-04-12 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015089402A (ja) * | 2013-11-05 | 2015-05-11 | 株式会社東芝 | 内視鏡装置 |
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2005
- 2005-09-28 JP JP2005282764A patent/JP2007089812A/ja active Pending
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