JP2007088819A - 圧電薄膜振動子 - Google Patents

圧電薄膜振動子 Download PDF

Info

Publication number
JP2007088819A
JP2007088819A JP2005275190A JP2005275190A JP2007088819A JP 2007088819 A JP2007088819 A JP 2007088819A JP 2005275190 A JP2005275190 A JP 2005275190A JP 2005275190 A JP2005275190 A JP 2005275190A JP 2007088819 A JP2007088819 A JP 2007088819A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
piezoelectric
layer
vibrator
diamond
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005275190A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007088819A5 (ja
Inventor
Makoto Furuhata
誠 古畑
Satoru Fujii
知 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2005275190A priority Critical patent/JP2007088819A/ja
Publication of JP2007088819A publication Critical patent/JP2007088819A/ja
Publication of JP2007088819A5 publication Critical patent/JP2007088819A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

【課題】 圧電体の音響インピーダンス値に制約を受けずにさらなる高周波化を図ることのできる圧電薄膜振動子の構造を提供する。
【解決手段】 本発明の圧電薄膜振動子10Aは、圧電体層12と、該圧電体層の表裏両側に配置された一対の電極層11A,13とを含む積層構造を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子において、前記一対の電極層のうちの少なくとも一方の前記電極層11Aがダイヤモンド薄膜で構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は圧電薄膜振動子に係り、特に、高周波フィルタとして好適に用いられる振動子構造に関する。
一般に、携帯電話機などの通信機器では高周波化や小型化が進展しつつあり、このために、RF回路部の高性能化や小型化が要求されるようになってきている。この中で、通信機器の送受信部に用いられる高周波フィルタ等の高周波素子として、従来のSAW(表面弾性波)素子と同等の性能を実現することが可能で、しかも、従来よりも高周波化及び小型化の容易なBAW(Bulk Acoustic Wave)素子が注目されている。このBAW素子は、圧電体層を電極で挟んだ積層構造を有し、圧電体層に厚み方向の音響波を生じさせるものであり、高周波化が容易、耐電圧性が良好、小型化が容易などの利点を備えている(例えば、以下の特許文献1乃至3参照)。
上記のBAW素子としては、シリコン基板等からなる基板上に上記の積層構造を形成し、その後、積層構造の背後の基板部分をエッチングなどによって除去することによって積層構造部分の縦振動を可能にした、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)型の素子構造を備えたもの(特許文献1の図1及び図3)と、音響インピーダンスの異なる層を交互に繰り返し積層してなる音響反射多層膜を上記の積層構造と基板との間に配置した、SMR(Solid Mounted Resonator)型の素子構造を備えたもの(特許文献1の図2)と、が知られている。
上記の特許文献1乃至3には、基板上にダイヤモンド薄膜を形成し、この上にさらに上記の積層構造を形成して、ダイヤモンド薄膜を支持膜として用いる方法が記載されている。
特開2001−156582号公報 特開2002−344279号公報 特開2004−158970号公報
上記のように前述のBAW素子は高周波化が容易である点でSAW素子などに比べて優位性を備えているが、一般的な圧電体の音響インピーダンスは通常30[Pa・s/m]程度と低いため、さらなる高周波化を図ることが難しいという問題点がある。また、共振周波数は、圧電体の音響特性だけでなく、積層構造の質量にも影響されるため、電極の電気抵抗などの制約によって電極を厚く形成せざるを得ない場合には、電極の質量が足枷となって所望の高周波数が実現できないという問題もある。
一方、上記の特許文献1にはダイヤモンド薄膜を支持膜として用いることが知られているが、例えば、特許文献1では、ダイヤモンド薄膜と圧電体層との間にPt薄膜を構成要素とする電極層が形成されているために、圧電体層で発生する音響振動が電極層との界面で反射し、ダイヤモンド薄膜の音響振動特性が振動子特性に反映されないことから、音響振動特性は圧電体層と金属からなる電極層とで決定され、それ以上の高周波化が難しいという問題点がある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、圧電体の音響インピーダンス値に制約を受けずにさらなる高周波化を図ることのできる圧電薄膜振動子の構造を提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の圧電薄膜振動子は、圧電体層と、該圧電体層の表裏両側に配置された一対の電極層とを含む積層構造を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子において、前記一対の電極層のうちの少なくとも一方の前記電極層がダイヤモンド薄膜で構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、少なくとも一方の電極層がダイヤモンド薄膜で構成されることにより、ダイヤモンド薄膜の音響振動特性を利用することが可能になるため、振動子の高周波化を図ることができる。
また、本発明の別の圧電薄膜振動子は、圧電体層と、該圧電体層の表裏両側に配置された一対の電極層とを含む積層構造を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子において、前記一対の電極層のうちの少なくとも一方の前記電極層がダイヤモンド薄膜と金属薄膜の積層体で構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、少なくとも一方の電極層がダイヤモンド薄膜と金属薄膜の積層体で構成されることにより、ダイヤモンド薄膜の音響振動特性を利用することが可能になるため、振動子の高周波化を図ることができるとともに、ダイヤモンド薄膜の導電性を金属薄膜で補うことができるため、電位の印加状態を改善することができ、振動子特性を向上させることができる。
さらに、ダイヤモンド薄膜を用いることにより、積層構造の剛性の確保や熱拡散性の向上を図ることができるので、耐電力特性を高めることができる。
本発明において、前記ダイヤモンド薄膜の膜厚と前記金属薄膜の膜厚の比が両者中の音響振動の伝播速度の比の2.5倍以上であることが好ましい。これによれば、金属薄膜が充分に薄いため、金属薄膜による音響振動への影響をほとんどなくすことができる。
本発明において、前記積層構造中に酸化シリコン層が含まれることがさらに望ましい。これによれば、酸化シリコン層の温度特性によって圧電体層の温度特性を補償できるため、振動子の周波数特性の温度依存性を低減できる。
[第1実施形態]
次に、添付図面を参照して本発明の第1実施形態について詳細に説明する。図1は本実施形態の圧電薄膜振動子の構造を模式的に示す概略縦断面図である。
この圧電薄膜振動子10は基板1A上に形成されている。この基板1Aは、シリコン基板等の半導体基板、ガラス基板、サファイア基板、セラミックス基板等の各種の基板を用いることができる。特に、シリコン基板等の半導体基板を用いることによって、基板1A内に各種の半導体回路を作り込むことができるため、圧電体薄膜振動子と回路とを一体化することができる。この中でも、シリコン基板を用いることが一般的な半導体製造技術を利用できる点で有利である。
基板1Aには裏面からのエッチング(ウエットエッチング又はドライエッチング)によって形成された開口部1aが設けられている。この開口部1aは上記下部電極層11をエッチングストップ層として用いて形成することができる。開口部1aを設けることで、後述する積層構造に対する機械的拘束力が低減され、積層構造が比較的自由に振動できるように構成される。図示例はFBAR型の素子構造を示している。基板1Aに開口部1aを形成する具体的な方法としては、ICP(結合容量式プラズマ)エッチング装置を用いることができる。
基板1Aの上には、下部電極層11A、圧電体層12、上部電極層13が順次に積層されてなる構造を備えた圧電薄膜振動子10Aが形成されている。なお、基板1A上に酸化シリコン、酸化チタン、窒化シリコン等の絶縁層を形成し、この絶縁層上に上記積層構造を形成してもよい。この絶縁層は2層以上の複合層で構成されていてもよい。当該絶縁層は熱酸化法、CVD法、スパッタリング法などで形成することができる。
下部電極層11Aはダイヤモンド薄膜で構成されている。ダイヤモンド薄膜は他の材料よりも飛びぬけて高い音速(縦波速度)VLを示し、一般的な圧電体の2倍以上の高い音響インピーダンスZ=ρ・VL=61.6[Pa・s/m]を備えている(ρは密度)。共振波長をλとした場合、下部電極層11Aであるダイヤモンド層の膜厚hは0.9×λ/4以上、1.1×λ/4以下であることが好ましく、特にh〜λ/4であることが望ましい。これは、上記積層構造中に励振された音波の閉じ込め効果を得るためである。なお、上記波長λ=Vl/fr(Vlは当該材料の音速、frは共振周波数)となる。
ダイヤモンド薄膜はCVD法等によって形成することができる。例えば、メタン、ジボラン等の炭化水素ガスと水素とをチャンバー内に導入し、熱、放射線(光、マイクロ波等)によってエネルギーを注入することによって炭素の活性種が生成され、これを基板1上に照射することにより、基板1上にダイヤモンド薄膜が堆積する。ダイヤモンド合成方法としてはマイクロ波CVDが最も一般的である。シリコン、タングステン、モリブデン等の種々の基板や層上に形成することができるが、特に、ダイヤモンドで基板表面や層表面にスクラッチ処理を施すことなどによって簡単に薄膜を成長させることができる。
本実施形態では、ダイヤモンド薄膜を導電性とすることで、ダイヤモンド薄膜のみで下部電極層11Aを構成している。ダイヤモンド薄膜を導電性にするには、ダイヤモンド中にB(ホウ素)をドープする方法が挙げられる。例えば、炭素源としてメタン等の有機溶媒を、B源として酸化ホウ素等を用いるCVD法(プラズマCVD法)などによって成膜することができる。ただし、導電性ダイヤモンドは、B(ボロン)ドーピングのほかに、N(窒素)ドーピングや表面水素化処理などによっても製造することが可能である。図6には、ダイヤモンド薄膜のボロン濃度[cm−3]と比抵抗[Ω・cm]の関係を示す。これを見ればわかるように、ボロン濃度を高くすれば、電極材料として充分に用いることができる。
圧電体層12は、圧電性を示す素材であれば如何なるものであってもよいが、例えば、AlN(Z=35.0[Pa・s/m])、ZnO(Z=34.6[Pa・s/m])、PZT(Z=31.8[Pa・s/m])、KNbO(Z=29.3[Pa・s/m])などが挙げられる。圧電体層14の膜厚hは、共振波長をλとした場合、0.9×λ/2以上、1.1×λ/2以下であることが好ましく、特にh〜λ/2であることが望ましい。これは、上記積層構造中に音響波を閉じ込めるためである。圧電体層12は、蒸着法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法、CVD法などの種々の方法で形成することができる。
上部電極層13は、任意の電極材料を用いることができる。ただし、特に限定されるものではないが、音響インピーダンスの高い電極材料、例えば、Pt(Z=69.7[Pa・s/m])、W(Z=98.2[Pa・s/m])、Mo(Z=64.4[Pa・s/m])などを用いることが好ましい。なお、これらの電極をパターニングする場合にはリフトオフ法を用いることができる。また、上記の音響インピーダンスの高い電極材料の薄膜上に、音響インピーダンスの低い電極材料、例えば、Al(Z=17.0[Pa・s/m])、Si(Z=19.7[Pa・s/m])などの層を積層した構造としてもよい。上部電極層13の厚さは、高周波化を図るために軽いことが好ましいので、充分な導電性を示すのであれば薄い方が好ましい。
本実施形態の具体的構成としては、例えば、共振周波数を5.8[GHz]としたい場合、下部電極層11A(ダイヤモンド薄膜)の膜厚を0.756[μm]、圧電体層12(AlN)の膜厚を0.949[μm]、上部電極層13(Al)の膜厚を0.273[μm]とすればよい。ここで、圧電体層12にZnOを用いる場合には、膜厚は0.525[μm]とすればよい。
本実施形態においては、圧電体層12にフォトリソグラフィ法等によって貫通孔(ビアホール)12aを形成し、この貫通孔12aを通して導電体14が下部電極層11Aに導電接続されるように構成している。そして、この導電体14と、上部電極層13との間に所定の電圧を印加することにより、圧電体層12中に電界が形成される。したがって、導電体14と上部電極層13との間に高周波信号を入力すると、圧電薄膜振動子の所定の周波数特性に従って音響振動が発生するので、所定の共振周波数を有する共振器として、或いは、所定の通過帯域を有する帯域通過フィルタとして用いることが可能になる。
本実施形態では、一方の電極である下部電極層11Aをダイヤモンド薄膜で構成しているため、ダイヤモンドの高い音響振動の伝播速度を有効に活用し、振動子の高周波化を図ることができる。また、ダイヤモンド薄膜は高い硬度を有し、支持膜としても機能するため、積層構造を簡易化することができ、振動体質量の軽減やプロセス数の削減を図ることができる。特に、ダイヤモンド薄膜に導電性を付与するためにドーピングを行うことにより、硬度がさらに増大し、音速もさらに高まるため、上記効果をさらに向上させることができる。
圧電薄膜振動子の製造工程としては、基板1A上に下部電極層を形成する工程、圧電体層を形成する工程、上部電極層を形成する工程を順次に有するが、本実施形態の場合、その後、基板1Aに開口孔1aを形成する工程、圧電体層12に貫通孔12aを形成する工程、導電層14を形成する工程を順次設ける。
なお、本実施形態において、上記基板1Aの代わりに、後述する第2実施形態の基板1B、或いは、後述する第3実施形態の基板1Cを用いても構わない。また、上記とは逆に、上部電極層をダイヤモンド薄膜で構成してもよく、さらには、下部電極層と上部電極層の双方をダイヤモンド薄膜で構成してもよい。
[第2実施形態]
次に、図2を参照して、本発明に係る第2実施形態について説明する。この第2実施形態の圧電薄膜振動子10Bは、基本的な構成については上記第1実施形態と同様であるが、ダイヤモンド薄膜のみで構成された下部電極層11Aの代わりに、ダイヤモンド薄膜11xと金属薄膜11yの積層体で下部電極層11Bを構成した点で第1実施形態とは異なる。
本実施形態の場合には、ダイヤモンド薄膜11xを圧電体層12とは反対側に配置し、金属薄膜11yを圧電体層12側に配置している。ここで、ダイヤモンド薄膜11xは、その材質中の共振波長をλとしたとき、その膜厚が実際には、0.9×λ/4以上、1.1×λ/4以下とすることが好ましく、特にλ/4となるように構成することが好ましい。なお、本実施形態においては、金属薄膜11yによって導電性が補われるので、ダイヤモンド薄膜11x単独では電極として不適な導電性を有しているものであってもよい。
一方、金属薄膜11yは音響振動に対する影響をなるべく少なくするために、その材質中の共振波長をλとしたとき、その膜厚がλ/4未満であることが好ましく、特に、λ/10以下であることが望ましい。換言すれば、圧電体層12の膜厚がλ/2、ダイヤモンド薄膜11xの膜厚がλ/4であるときを基準として考えると、ダイヤモンド薄膜11xの膜厚と金属薄膜11yの膜厚の比は、両材質中の音響振動の伝播速度の比の2.5倍以上であれば音響振動的な影響を回避できる。この金属薄膜11yはダイヤモンド薄膜11xの導電性を補うものであり、下部電極層11B全体が良好な電気伝導性を備えるものとなればよい。金属薄膜11yの実際の膜厚としては、10〜100nm程度とすることができる。
なお、金属薄膜11yの膜厚は、圧電体層12を基準とした場合には、一般的に、圧電体層12の膜厚の1/10以下であれば、音響振動に対する影響を低減できる。
上記のように金属薄膜11yを充分に薄く構成することにより、音響的には金属薄膜11yの影響をほとんどなくすことができる。ただし、ダイヤモンド薄膜11x内に音響振動がより有効に導かれるようにするために、金属薄膜11yの音響インピーダンスをダイヤモンド薄膜よりも低いものとすることがさらに好ましい。このようにすると、圧電体層12と金属薄膜11yの界面における音響振動の反射波を低減できる。
音響インピーダンスの低い金属素材としては、例えば、Al(Z=17.0[Pa・s/m])、Si(Z=19.7[Pa・s/m])などが挙げられる。ただし、金属薄膜11yの音響インピーダンスは、圧電体層12の音響インピーダンス以上、ダイヤモンド薄膜の音響インピーダンス(Z=61.6[Pa・s/m])以下とすることが最も好ましい。このような素材としては、例えば、Fe(Z=43.2[Pa・s/m])、Ag(Z=40.0[Pa・s/m])、Cr(Z=45.2[Pa・s/m])、Cu(Z=43.4[Pa・s/m])、Ni(Z=52.5[Pa・s/m])などが挙げられる。
なお、導電体14は金属薄膜11yに導電接続されている。これによって下部電極層11Bの平面範囲全体に均一に電位を供給することができる。
また、本実施形態では、第1実施形態とは異なり、第1実施形態と同様の材質からなる基板1Bの表層部に空間部1bを形成してある。この空間部1bは、基板1B上に図示しない犠牲層(基板材料に対して選択的に除去可能な材料、例えば、酸化シリコン膜、PSG膜など)を形成し、その後、この犠牲層上に圧電薄膜振動子10Bを形成してから、最後に、圧電薄膜振動子10Bをそのままとし、犠牲層だけをエッチング等で除去することによって形成することができる。
本実施形態では、ダイヤモンド薄膜11xと金属薄膜11yの積層体で電極を構成することにより、ダイヤモンド薄膜11xの導電性が不十分であっても、電極全体として充分な電気伝導性を確保することが可能になる。また、ダイヤモンドの音響特性を利用して高周波化を図ることが出来る点では第1実施形態と同様である。
なお、この実施形態において、基板1Bの代わりに、上記第1実施形態と同様の開口部1aを備えた基板1A、あるいは、後述する第3実施形態の基板1Cを用いても構わない。また、上記構成の代わりに、上部電極層をダイヤモンド薄膜と金属薄膜の積層体で構成してもよく、さらに、下部電極層と上部電極層の双方をダイヤモンド薄膜と金属薄膜の積層体で構成してもよい。この場合、上部電極層では、金属薄膜を圧電体層側に、ダイヤモンド薄膜をその反対側に配置することが好ましい。
[第3実施形態]
次に、図3を参照して本発明に係る第3実施形態について説明する。この実施形態の圧電薄膜振動子10Cは、基本的な構成については上記第1実施形態及び第2実施形態と同様であるが、下部電極層11Cを圧電体層12側のダイヤモンド薄膜11xと基板1C側の金属薄膜11zの積層体で構成した点で異なる。
ここで、ダイヤモンド薄膜11xと金属薄膜11zの積層体で下部電極層11Cが構成されている点では第2実施形態と同様であるが、本実施形態では、ダイヤモンド薄膜11xは圧電体層12側に配置されており、金属薄膜11zはその反対側に配置されている。導電体14はダイヤモンド薄膜11xを貫通して金属薄膜11zに導電接続されている。
この実施形態では、ダイヤモンド薄膜11xを介して圧電体層12に電界が印加されるため、ダイヤモンド薄膜11x全体が音響振動に寄与しやすくなる点で有利である。また、金属薄膜11zの音響インピーダンスはダイヤモンド薄膜11xよりも高くても支障がなく、例えば、Pt(Z=69.7[Pa・s/m])、W(Z=98.2[Pa・s/m])、Mo(Z=64.4[Pa・s/m])などを用いることができる。
この実施形態でも、金属薄膜11zはダイヤモンド薄膜11xの導電性を補うものであるため、薄くても足りるとともに、振動子質量を低減する上では軽い方が好ましいので、薄い方が好ましい。したがって、この場合でも、その材質中の共振波長をλとしたとき、その膜厚がλ/10以下、或いは、圧電体層12の膜厚の1/10以下であることが好ましい。ダイヤモンド薄膜11xの膜厚については第2実施形態と同様であり、ダイヤモンド薄膜11xの膜厚と金属薄膜11yの膜厚の比は、両材質中の音響振動の伝播速度の比の2.5倍以上であればよい。この金属薄膜11yはダイヤモンド薄膜11xの導電性を補うものであり、下部電極層11B全体が良好な電気伝導性を備えるものとなればよい。金属薄膜11yの実際の膜厚としては、10〜100nm程度とすることができる。
本実施形態では、上記各実施形態とは異なり、基板1Cの表面部に、音響インピーダンスの異なる層を交互に繰り返し積層してなる音響反射多層膜1cを形成し、この音響反射多層膜1cによって圧電薄膜振動子10Cで発生した音波を反射させ、基板1Cへ音響振動のエネルギーが漏出しないようにし、積層構造中に音響振動を閉じ込めている。すなわち、いわゆるSMR型の素子構造を有している。
なお、本実施形態において、基板1Cの代わりに、先の実施形態の基板1A又は1Bを用いてもかまわない。
[第4実施形態]
次に、図4を参照して本発明に係る第4実施形態について説明する。この実施形態の圧電薄膜振動子10Dは、基本的な構成については上記の第1実施形態と同様であるが、積層構造中に酸化シリコン層17,18を有する点で異なる。
図示例の場合には、下部電極層11と圧電体層12の間に酸化シリコン(SiO)層17が形成され、圧電体層12と上部電極層13の間に酸化シリコン層(SiO)18が形成されている。これらの酸化シリコン層はCVD法、スパッタリング法などによって形成することができる。
酸化シリコン層17,18の膜厚は、圧電薄膜振動子10Dの温度特性に応じて設定される。通常、圧電体層12は負の温度特性を有し、酸化シリコン層17,18は正の温度特性を有するので、圧電体層12の温度特性を酸化シリコン層17,18で補償することが可能になり、圧電薄膜振動子10Dの周波数特性の温度依存性を低減することができる。
具体例としては、例えば、圧電体層12をZnOで構成した場合、酸化シリコン層17,18の合計の厚みが圧電体層12の0.8〜1.5倍の範囲内にあることが好ましい。この範囲を下回ると、温度依存性の補償が充分にできず、また、上記範囲を上回ると、温度依存性の補償はできるが、圧電性のない膜が存在することによる振動子特性の劣化が大きくなる。
なお、本実施形態は、圧電体層12に酸化シリコン層が接している点で周波数特性の温度依存性を低減する上で最も好ましい構成となっているが、酸化シリコン層は上記図示例に限らず、積層構造中に形成されていればよいので、例えば、上部電極層の上や下部電極の下に形成されていてもよく、また、1層のみであってもよい。
[第5実施形態]
次に、図5を参照して本発明に係る第5実施形態について説明する。この実施形態の圧電薄膜振動子10Eは、基本的な構成については上記の第2実施形態と同様であるが、積層構造中に酸化シリコン層17,18を有する点で異なる。
この実施形態では、基本的に先に説明した第4実施形態と同様であり、酸化シリコン層の膜厚や積層位置についても第4実施形態と同様である。なお、第4実施形態では第1実施形態の基本構成を用い、第5実施形態では第2実施形態の構成を用いているが、第3実施形態の積層構造中に酸化シリコン層を付加したものとしても構わない。
以上説明したように、本実施形態の圧電薄膜振動子は、圧電体層を変えずに従来の素子よりも高周波化が容易であるという効果を奏し、これによってフィルタ等の回路素子のさらなる高周波化を図ることが可能になる。また、ダイヤモンド薄膜を用いることにより、積層構造の剛性の確保や熱拡散性の向上を図ることができるので、耐電力特性を高めることができる。
尚、本発明の圧電薄膜振動子は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更をことは勿論である。例えば、上記の各実施形態に示したいずれの電極構造も下部電極層と上部電極層のいずれに用いてもよく、下部電極層にいずれか一つの電極構造を、上部電極に他のいずれかの電極構造を用いても構わない。すなわち、上記の各実施形態に示した電極構造はいずれの組み合わせで下部電極層及び上部電極層に用いてもよい。
第1実施形態の圧電薄膜振動子の構造を模式的に示す概略構成断面図。 第2実施形態の圧電薄膜振動子の構造を模式的に示す概略構成断面図。 第3実施形態の圧電薄膜振動子の構造を模式的に示す概略構成断面図。 第4実施形態の圧電薄膜振動子の構造を模式的に示す概略構成断面図。 第5実施形態の圧電薄膜振動子の構造を模式的に示す概略構成断面図。 ダイヤモンド薄膜のドーピング濃度と比抵抗との関係を示すグラフ。
符号の説明
1A、1B、1C…基板、1a…開口部、1b…空間、1c…音響反射多層膜、10A、10B、10C、10D、10E…圧電薄膜振動子(積層構造)、11A、11B、11C…下部電極層、12…圧電体層、13…上部電極層、11x…ダイヤモンド薄膜、11y、11z…金属薄膜

Claims (4)

  1. 圧電体層と、該圧電体層の表裏両側に配置された一対の電極層とを含む積層構造を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子において、
    前記一対の電極層のうちの少なくとも一方の前記電極層がダイヤモンド薄膜で構成されていることを特徴とする圧電薄膜振動子。
  2. 圧電体層と、該圧電体層の表裏両側に配置された一対の電極層とを含む積層構造を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子において、
    前記一対の電極層のうちの少なくとも一方の前記電極層がダイヤモンド薄膜と金属薄膜の積層体で構成されていることを特徴とする圧電薄膜振動子。
  3. 前記ダイヤモンド薄膜の膜厚と前記金属薄膜の膜厚の比が両者中の音響振動の伝播速度の比の2.5倍以上であることを特徴とする請求項2に記載の圧電薄膜振動子。
  4. 前記積層構造中に酸化シリコン層が含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の圧電薄膜振動子。
JP2005275190A 2005-09-22 2005-09-22 圧電薄膜振動子 Withdrawn JP2007088819A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005275190A JP2007088819A (ja) 2005-09-22 2005-09-22 圧電薄膜振動子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005275190A JP2007088819A (ja) 2005-09-22 2005-09-22 圧電薄膜振動子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007088819A true JP2007088819A (ja) 2007-04-05
JP2007088819A5 JP2007088819A5 (ja) 2008-10-16

Family

ID=37975359

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005275190A Withdrawn JP2007088819A (ja) 2005-09-22 2005-09-22 圧電薄膜振動子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007088819A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012199934A (ja) * 2007-05-14 2012-10-18 Cree Inc バルク音響デバイスおよびその作製方法
JP2013026250A (ja) * 2011-07-15 2013-02-04 Murata Mfg Co Ltd 圧電薄膜素子の製造方法
US20200021270A1 (en) * 2018-07-11 2020-01-16 Gregory Walker Johnson Diamond nano resonator semi conductor

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10209794A (ja) * 1997-01-21 1998-08-07 Mitsubishi Materials Corp 圧電薄膜共振子
JP2001102902A (ja) * 1999-09-29 2001-04-13 Kyocera Corp 圧電共振子
JP2001185985A (ja) * 1999-12-27 2001-07-06 Kyocera Corp 圧電共振子
JP2001326553A (ja) * 2000-05-17 2001-11-22 Murata Mfg Co Ltd 圧電フィルタ、通信装置および圧電フィルタの製造方法
JP2004101390A (ja) * 2002-09-10 2004-04-02 Nippon Platec Co Ltd ダイヤモンドqcmの作製方法及びそのダイヤモンドqcm
WO2004104272A1 (ja) * 2003-05-26 2004-12-02 Sumitomo Electric Industries, Ltd. ダイヤモンド被覆電極及びその製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10209794A (ja) * 1997-01-21 1998-08-07 Mitsubishi Materials Corp 圧電薄膜共振子
JP2001102902A (ja) * 1999-09-29 2001-04-13 Kyocera Corp 圧電共振子
JP2001185985A (ja) * 1999-12-27 2001-07-06 Kyocera Corp 圧電共振子
JP2001326553A (ja) * 2000-05-17 2001-11-22 Murata Mfg Co Ltd 圧電フィルタ、通信装置および圧電フィルタの製造方法
JP2004101390A (ja) * 2002-09-10 2004-04-02 Nippon Platec Co Ltd ダイヤモンドqcmの作製方法及びそのダイヤモンドqcm
WO2004104272A1 (ja) * 2003-05-26 2004-12-02 Sumitomo Electric Industries, Ltd. ダイヤモンド被覆電極及びその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012199934A (ja) * 2007-05-14 2012-10-18 Cree Inc バルク音響デバイスおよびその作製方法
JP2013026250A (ja) * 2011-07-15 2013-02-04 Murata Mfg Co Ltd 圧電薄膜素子の製造方法
US20200021270A1 (en) * 2018-07-11 2020-01-16 Gregory Walker Johnson Diamond nano resonator semi conductor

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5147932B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタ、通信モジュール、および通信装置
JP4428354B2 (ja) 圧電薄膜共振子
JP5319491B2 (ja) 圧電薄膜共振子
WO2017212774A1 (ja) 弾性波装置及びその製造方法
CN108028637B (zh) 弹性波装置
WO2007119556A1 (ja) 圧電共振子及び圧電フィルタ
JP5226409B2 (ja) 共振デバイス、通信モジュール、通信装置、共振デバイスの製造方法
WO2011099319A1 (ja) 圧電薄膜共振子、通信モジュール、通信装置
JP2005223479A (ja) 薄膜バルク共振子、薄膜バルク共振子フィルタ、および薄膜バルク共振子の製造方法
JP2007312164A (ja) 圧電薄膜共振器並びにそれを用いた高周波フィルタ及び高周波モジュール
JP6631925B2 (ja) 圧電薄膜素子の製造方法
WO2017068828A1 (ja) 弾性波装置
JP4775445B2 (ja) 薄膜圧電共振器および薄膜圧電フィルタ
JP2008182543A (ja) 薄膜圧電共振器とそれを用いた薄膜圧電フィルタ
JP2008109573A (ja) 薄膜圧電共振器
JPWO2009066380A1 (ja) フィルタ、それを用いたデュプレクサおよびそのデュプレクサを用いた通信機
JP2007088819A (ja) 圧電薄膜振動子
JP2007288504A (ja) 圧電薄膜共振子
JP4678261B2 (ja) 圧電薄膜振動子
JP2008211385A (ja) 圧電体薄膜の製造方法、共振装置およびそれを用いたuwb用フィルタ
JP2007184816A (ja) バルク音波共振器
JP2008022408A (ja) 圧電薄膜共振子
JP2008311873A (ja) フィルタ
JP2009290364A (ja) Baw共振装置およびその製造方法
JP4693407B2 (ja) 圧電薄膜デバイス及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080901

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110201

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20110325