JP2007086750A - 反射防止フィルム、並びにそれを用いた偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

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康裕 岡本
Hiroyuki Yoneyama
博之 米山
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Abstract

【課題】塗布液の保存安定性と硬化活性を両立させながら耐擦傷性に優れた反射防止フィルムを提供すること、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供すること。
【解決手段】支持体上に、無機粒子と、共役酸のpKaが5.0〜11.0である有機塩基と酸とからなる塩を少なくとも1種含有する組成物を塗設して形成される少なくとも1層を有することを特徴とする反射防止フィルム、そのような反射防止フィルムが、偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの一方に用いられていることを特徴とする偏光板、並びにそのような反射防止フィルム、又はそのような反射防止フィルムを保護フィルムとして用いた偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フィルム、並びに該反射防止フィルムを用いた偏光板及び、該反射防止フィルム又は該偏光板をディスプレイの最表面に用いた画像表示装置に関する。
反射防止フィルム(反射防止膜ともいう。)は、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、液晶表示装置(LCD)などのような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する様ディスプレイの最表面に配置される。
このような反射防止フィルムは、一般的には、支持体上に、該支持体より低屈折率の、適切な膜厚の低屈折率層を形成することにより作製できる。低い反射率を実現するため、低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料の使用が望まれる。
また反射防止フィルムは、ディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性が要求される。厚さ100nm前後の薄膜において、高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、及び下層への密着性が必要である。
材料の屈折率を下げるには、(1)フッ素原子を導入する、(2)密度を下げる(空隙を導入する)などの手段があるが、いずれも皮膜強度や界面の密着性が低下し、耐擦傷性が低下する方向であり、低い屈折率と高い耐傷性の両立は困難な課題であった。
高い耐擦傷性を実現するためには硬化反応を十分進めることが重要である。生産性の観点では含フッ素ポリマーを支持体に塗布した後に何らかの方法で膜を硬化させることが有利である。酸触媒により含フッ素ポリマーの水酸基と硬化剤とを反応させて反射防止膜の低屈折率層を硬化させる方法が特許文献1に提案されている。
一方、特許文献2〜3には触媒としてスルホン酸のアミン塩を用いた硬化組成物や塗料などが提案されている。
特開平11−228631号公報 特開昭62−174276号公報 特開平2−173172号公報
特許文献1の技術では、硬化活性は高いが保存時に一部硬化反応が進行してしまうために塗布液の安定性が不十分で塗布条件に制約があるため、硬化活性と塗布液の安定性の両立が望まれていた。
本発明の目的は、塗布液の保存安定性と硬化活性を両立させながら耐擦傷性に優れた反射防止フィルムを提供することにある。更には、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の構成により前記目的を達成したものである。
1. 支持体上に、無機粒子と、共役酸のpKaが5.0〜11.0である有機塩基と酸とからなる塩を少なくとも1種含有する組成物を塗設して形成される少なくとも1層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
2. 無機粒子がシリカ微粒子である前記1記載の反射防止フィルム。
3. 無機粒子が中空構造を有し、屈折率が1.15〜1.40の範囲である前記1または2に記載の反射防止フィルム。
4. 表面散乱に起因するヘイズ値が5%以上15%未満である前記1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム
5. 反射防止フィルムを構成する少なくとも1層が、オルガノシラン化合物を含有してなる前記1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
6. 組成物が、更に
(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位及び(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位を、それぞれ少なくとも1種含有する含フッ素ポリマーを少なくとも1種と、
水酸基と反応可能な架橋剤を少なくとも1種とを含有する組成物であり、該組成物を塗設して形成される層が低屈折率層である前記1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
7. 含フッ素ポリマーが、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位、及び(c)側鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含有するグラフト部位を有する重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、主鎖が炭素原子のみである前記6に記載の反射防止フィルム。
一般式(1):
Figure 2007086750
式(1)中、R11、R12は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。pは2〜500の整数を表す。
8. 含フッ素ポリマーが、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、(d)主鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含有する前記6に記載の反射防止フィルム。
一般式(1):
Figure 2007086750
式(1)中、R11、R12は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。pは2〜500の整数を表す。
9. 架橋剤が分子中に窒素原子を含有し、且つ該窒素原子に隣接するアルコキシ基で置換された炭素原子を2個以上含有する化合物である前記6〜8のいずれかに記載の反射防止フィルム。
10. 前記1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
11. 前記1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルム、又は前記10に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
本発明の反射防止フィルムは、塗布液安定性と硬化活性を両立した塗布液を用いて製造するため製造適性が高く、耐擦傷性にも優れている。更に、本発明の反射防止フィルムを備えた画像表示装置及び、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板を備えた画像表示装置は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高い。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
本発明は、支持体上に、組成物を塗設して形成される少なくとも1層を有する反射防止フィルムであり、該組成物が、無機粒子と、共役酸のpKaが5.0〜11.0である有機塩基と酸とからなる塩を少なくとも1種含有する。
無機粒子については「1−5.無機粒子」の項において、塩については「1−3.架橋性化合物(架橋剤)」中の〔硬化触媒〕の項において詳述する。
1.本発明の構成物
まず、本発明の反射防止フィルムに使用することのできる各種化合物について記載する。
1−1.バインダー
〔電離放射線硬化性化合物〕
本発明の反射防止フィルムは、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成される少なくとも1層を含んで構成されることができる。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布液(以下、硬化性組成物ともいう)を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより、該支持体上に反射防止機能に寄与する少なくとも1層の機能層を形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
[光重合性多官能モノマー]
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好まし
い。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることができる。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。また、例えば特開2005−76005号公報、同2005−36105号公報に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号公報記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、2種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
〔ポリマーバインダー〕
本発明にはバインダーとして、無架橋のポリマー又は架橋しているポリマーを用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド及びメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖及びポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖及びポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖はウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハリド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖はイミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハリド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例えばメラミン)とアルデヒド(例えばホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、又は連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として主鎖に結合させることが好ましい。アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル基)、スルホン酸基(スルホ基)及びリン酸基(ホスホノ基)などが挙げられ、スルホン酸基及びリン酸基が好ましい。アニオン性基は塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は2つ以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)するものであるが、3つ以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基及びこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、2つ以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基又は四級アンモニウム基を有する繰り返し単位及びベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基又は四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に無機粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基及びベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位、又は架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても同様の効果が得られる。
アミノ基又は四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基又は四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、又は連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基又は四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基又は四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基又は四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基又は四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基又は四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。
四級アンモニウム基の対イオンは、ハリドイオンであることが好ましい。
アミノ基又は四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、
−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基又は四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
[含フッ素ポリマーバインダー]
(a)(含フッ素ビニルモノマー重合単位)
本発明において、低屈折率層の形成に用いられる含フッ素ポリマーに含まれる含フッ素ビニルモノマー重合単位の構造には、特に制限なく、例えば含フッ素オレフィン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、含フッ素アルキル基を有するビニルエーテルや(メタ)アクリレートなどに基づく重合単位を挙げることができる。製造適性と、屈折率や膜強度など低屈折率層に必要とされる性質から、該含フッ素ポリマーは、含フッ素オレフィンとビニルエーテルとの共重合体であることが好ましく、ペルフルオロオレフィンとビニルエーテルとの共重合体であることがより好ましい。また、共重合成分として屈折率を低下させる目的でペルフルオロアルキルビニルエーテル、含フッ素アルキル基を有するビニルエーテルや(メタ)アクリレートなどを含んでいてもよい。
ペルフルオロオレフィンとしては、炭素数3〜7のものが好ましく、重合反応性の観点からはペルフルオロプロピレン又はペルフルオロブチレンが好ましく、入手性の観点からペルフルオロプロピレンであることが特に好ましい。
ポリマー中のペルフルオロオレフィンの含率は25〜75モル%であることが好ましい。素材の低屈折率化のためには、ペルフルオロオレフィンの導入率を高めることが望まれるが、重合反応性の点で一般的な溶液系ラジカル重合反応では50〜70モル%程度の導入が限界であり、これ以上は困難である。本発明においては、ペルフルオロオレフィンの含率は30%〜70モル%であることが好ましく、30%〜60モル%であることがより好ましく、35%〜60モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが特に好ましい。
本発明で好ましく用いられる好ましく用いられる含フッ素ポリマーには、低屈折率化のために、下記一般式M2で表わされるペルフルオロビニルエーテルを共重合させてもよい。該共重合成分は、0〜40モル%の範囲で重合体中に導入されていてよく、より好ましくは0〜30モル%であり、さらに好ましくは0〜20モル%である。
一般式M2
Figure 2007086750
一般式M2中、Rf12は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表わし、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10の含フッ化アルキル基であり、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。また、該フッ化アルキル基は置換基を有していてもよい。Rf12の具体例としては、−CF3{M2−(1)}、−CF2CF3{M2−(2)}、−CF2CF2CF3{M2−(3)}、−CF2CF(OCF2CF2CF3)CF3{M2−(4)}などが挙げられる。
また、本発明では低屈折率化のために下記一般式M1で表わされる含フッ素ビニルエーテルを共重合させてもよい。該共重合成分は、0〜40モル%の共範囲で重合体中に導入されていてよいが、好ましくは0〜30モル%であり、特に好ましくは0〜20モル%の場合である。
一般式M1
Figure 2007086750
一般式M1中、Rf11は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜15の含フッ素アルキル基であり、直鎖{例えば−CF2CF3、−CH2(CF2q1H、−CH2CH2(CF2q1F(q1:2〜12の整数)など}であっても、分岐構造{例えばCH(CF32、CH2CF(CF32、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(CF25CF2Hなど}を有していてもよく、また脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)を有していてもよく、エーテル結合(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH2(CF2q2H、−CH2CH2OCH2(CF2q2F(q2:2〜12の整数)、CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2Hなど)を有していてもよい。なおRf11で表される置換基はここで述べた置換基に限られるものではない。
一般式M1で表わされる上記単量体は、例えば、“Macromolecules”,32巻(21)、p.7122(1999年)、特開平2−721号公報等に記載のごとくビニロキシアルキルスルホネート、ビニロキシアルキルクロリド等の離脱基置換アルキルビニルエーテル類に対して、塩基触媒存在下含フッ素アルコールを作用させる方法;国際出願特許第92/05135号パンフレット記載のごとく、含フッ素アルコールとブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類をパラジウム触媒存在下混合してビニル基の交換を行う方法;米国特許第3420793号明細書記載のごとく、含フッ素ケトンとジブロモエタンをフッ化カリウム触媒存在化で反応させた後アルカリ触媒により脱HBr反応を行う方法;等により合成することができる。
(b)(水酸基含有ビニルモノマー重合単位)
本発明で好ましく用いられる含フッ素ポリマーは、水酸基含有ビニルモノマー重合単位を含むことが好ましいが、その含率には特に制限はない。水酸基は架橋剤と反応して硬化する機能を有するため、水酸基の含有率が高いほど硬い膜を形成できて好ましく、その含有率は10モル%以上70モル%以下であることが好ましく、20モル%を超えて60モル%以下であることがより好ましく、25モル%以上55モル%以下であることが更に好ましい。
水酸基含有ビニルモノマーは、前述した含フッ素ビニルモノマー重合単位と共重合可能なものであれば、ビニルエーテル類、(メタ)アクリレート類、スチレン類など、特に制限なく使用することができる。例えば含フッ素ビニルモノマーとしてペルフルオロオレフィン(ヘキサフルオロプロピレンなど)を用いた場合には、共重合性が良好な水酸基含有ビニルエーテルを用いることが好ましく、具体的には2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、8−ヒドロキシオクチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルビニルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(ポリシロキサン構造を有する構成単位)
本発明で好ましく用いられる含フッ素ポリマーは、防汚性を付与するためにポリシロキサン構造を有する構成単位を有することが好ましい。
(c)(側鎖に含まれるポリシロキサン繰り返し単位)
本発明で有用なポリシロキサン構造を有する含フッ素ポリマーとしては、先ず、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位、及び(c
)側鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含有するグラフト部位を有する重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、主鎖が炭素原子のみである含フッ素ポリマーが挙げられる。
一般式(1):
Figure 2007086750
式(1)中、R11、R12は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。アルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基及びフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。pは2〜500の整数を表わし、好ましくは5〜350であり、より好ましくは8〜250の場合である。
側鎖に一般式(1)であらわされるポリシロキサン構造を有するポリマーは、例えば“J.Appl.Polym.Sci."、2000巻、p.78(1955年)、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、エポキシ基、水酸基、カルボキシル、酸無水物基等の反応性基を有するポリマーに対して、相対する反応性基(例えばエポキシ基、酸無水物基に対してアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)を片末端に有するポリシロキサン[例えば「サイラプレーン」シリーズ{チッソ(株)製}など]を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。本発明ではシリコンマクロマーの重合によって導入する方法がより好ましい。
シリコンマクロマーとしては、含フッ素オレフィンとの共重合が可能な重合性基を有しているものであればよく、好ましくは一般式(2−1)〜(2−4)のいずれかで表わされる構造である。
Figure 2007086750
一般式(2−1)〜(2−4)において、R11、R12及びpは一般式(1)と同じ意味を表し、好ましい範囲もそれらと同じである。R13〜R15はそれぞれ独立に、置換又は無置換の一価の有機基又は水素原子を表わし、炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、オクチル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が特に好ましい。R16は水素原子又はメチル基を表わす。L11は炭素数1〜20の任意の連結基を表わし、置換又は無置換の直鎖、分岐又は脂環式のアルキレン基、又は置換又は無置換のアリーレン基が挙げられるが、好ましくは、炭素数1〜20の無置換の直鎖アルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基又はプロピレン基である。これらの化合物は例えば特開平6−322053号公報に記載の方法で合成される。
一般式(2−1)〜(2−4)で表される化合物はどれも本発明に好ましく用いることができるが、これらの中でも特に含フッ素オレフィンとの共重合性の観点から一般式(2−1)、(2−2)又は(2−3)で表わされる構造のものが好ましい。上記のポリシロキサン部位はグラフト共重合体中の0.01〜20質量%を占めることが好ましく、より好ましくは0.05〜15質量%の場合であり、特に好ましくは、0.5〜10%の場合である。
以下に本発明に有用な側鎖にポリシロキサン部位を含む重合体グラフト部位の重合単位
の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007086750
Figure 2007086750
Figure 2007086750
Figure 2007086750
Figure 2007086750
Figure 2007086750
Figure 2007086750
S−(36):「サイラプレーンFM−0711」{チッソ(株)製}、
S−(37):「サイラプレーンFM−0721」(同上)、
S−(38):「サイラプレーンFM−0725」(同上)。
(d)(主鎖に含まれるポリシロキサン繰り返し単位)
本発明では、前記の側鎖にポリシロキサン繰り返し単位を含んでなる含フッ素ポリマーのほか、主鎖にポリシロキサン構造を有する含フッ素ポリマー、すなわち(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、(d)主鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含有する含フッ素ポリマーも好ましく用いることができる。
一般式(1):
Figure 2007086750
上記一般式(1)におけるR11、R12は、前記の側鎖にポリシロキサン繰り返し単位を含む含フッ素ポリマーにおける、一般式(1)のR11、R12について述べた定義と同じであり、好ましい範囲も同じである。
主鎖へのポリシロキサン構造導入方法には特に制限はなく、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド等のポリマー型開始剤を用いる方法、重合開始剤、連鎖移動剤由来の反応性基(例えばメルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)をポリマー末端に導入した後、片末端又は両末端反応性基(例えばエポキシ基、イソシアネート基等)含有ポリシロキサンと反応させる方法、ヘキサメチルシクロトリシロキサン等の環状シロキサンオリゴマーをアニオン開環重合にて共重合させる方法等が挙げられるが、中でもポリシロキサン構造を有する開始剤を利用する手法が容易であり好ましい。
本発明で用いられる共重合体の主鎖に導入されるポリシロキサン構造として特に好ましくは、一般式(3)で表される構造である。
一般式(3):
Figure 2007086750
一般式(3)において、R11〜R14は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基(炭
素数1〜5が好ましく、例としてメチル基、エチル基が挙げられる)、ハロアルキル基(炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、例としてトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が挙げられる)又はアリール基(炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる)を表し、好ましくはメチル基又はフェニル基であり、特に好ましくはメチル基である。
15〜R18は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基(炭素数1〜5が好ましく、例としてメチル基、エチル基が挙げられる)、アリール基(炭素数6〜10が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる)、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜5が好ましく、例としてメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が挙げられる)、又はシアノ基を表し、好ましくはアルキル基及びシアノ基であり、特に好ましくはメチル基及びシアノ基である。
r1及びr2は、それぞれ独立して1〜10の整数を表し、好ましくは1〜6の整数であり、特に好ましくは2〜4の整数である。r3及びr4はそれぞれ独立して0〜10の整数を表し、好ましくは1〜6の整数であり、特に好ましくは2〜4の整数である。pは2〜500の整数を表し、好ましくは10〜500の整数、より好ましくは20〜500の整数である。
市販のマクロアゾ開始剤である“VPS−0501”及び“VPS−1001”{商品名;和光純薬工業(株)製}は一般式(3)の範疇にあるユニットがアゾ基を介して数個連結した化合物であり、該化合物を開始剤として重合すると得られたポリマーに前記ユニットを導入することができて好ましい。
上記ポリシロキサン構造は、本発明で用いられる共重合体中の0.01〜20質量%の範囲で導入されることが好ましく、より好ましくは0.05〜15質量%の範囲で導入される場合であり、特に好ましくは0.5〜10質量%の範囲で導入される場合である。
上記ポリシロキサン構造の導入によって、皮膜に防汚性、防塵性が付与されると供に、皮膜表面に滑り性が付与され耐傷性にも有利である。
(その他の重合単位)
上記以外の重合単位を形成する共重合成分としては、硬度、基材への密着性、溶媒への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができ、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類を例として挙げることができる。これらの共重合成分の導入量は、0〜40モル%の範囲であり、0〜30モル%の範囲であることが好ましく、0〜20モル%の範囲であることが特に好ましい。
(好ましい含フッ素ポリマーの形態)
本発明で特に好ましいポリマーの形態は、下記一般式(4)で表わされる形態である。
一般式(4):
Figure 2007086750
一般式(4)において、Rf10は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基を表す。−CF2CF(Rf10)−で表わされる部位を構成するモノマーに付いては、ペルフルオロオ
レフィンの例として上記した説明があてはまる。Rf12は含フッ素ビニルエーテル(前記
の一般式M2で表される化合物におけるRf12)で述べた定義と同じであり、好ましい範囲も同じである。Rf11はもう1つの含フッ素ビニルエーテル(前記の一般式M1で表される化合物におけるRf11)で述べた定義と同じであり、好ましい範囲も同じである。
11,B11は、それぞれ水酸基含有ビニルモノマー重合単位、及び任意の構成単位を表わす。A11は、前記で説明した水酸基含有ビニルモノマー重合単位の定義と同じであり、B11は特に制限はないが、共重合性の観点から、ビニルエーテル類、及びビニルエステル類がより好ましい。具体的には前記(その他の重合単位)において例示したモノマーが挙げられる。
11は、ポリシロキサン構造を有する構成単位を表し、その形態は側鎖に前記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなるグラフト部位を有する重合単位であってもよく、主鎖に前記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでいてもよい。それらの定義及び好ましい範囲などは前記(ポリシロキサン構造を有する構成単位)で説明したものと同じである。
a〜dはそれぞれ各構成成分のモル分率(%)を表わし、a+b1+b2+c+d=100である。それぞれ30≦a≦70(より好ましくは30≦a≦60、さらに好ましくは35≦a≦60)、0≦b1≦40(より好ましくは0≦b≦30、さらに好ましくは0≦b1≦20)、0≦b2≦40(より好ましくは0≦b2≦30、さらに好ましくは0≦b2≦20)、10≦c≦70(より好ましくは20<c≦60、更に好ましくは25≦c≦55)、0≦d≦40(より好ましくは0≦d≦30)の関係を満たす。
yはポリシロキサン構造を含有する構成単位の、含フッ素ポリマー全体に対する質量分率(%)を表わし、0.01≦y≦20(より好ましくは0.05≦y≦15、更に好ましくは0.5≦y≦10)の関係を満たす。
本発明の反射防止フィルムにおける機能層、特に低屈折率層の形成に用いられる含フッ素ポリマーの数平均分子量は、5,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは8,000〜500,000であり、特に好ましくは10,000〜100,000である。
ここで、数平均分子量は、“TSKgel GMHxL”、“TSKgel G4000HxL”、“TSKgel G2000HxL”{何れも東ソー(株)製の商品名}のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラヒドロフラン(THF)、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
表1及び表2に本発明で有用なポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表1、2には重合単位の組み合わせとして表記する。
Figure 2007086750
Figure 2007086750
表中含フッ素ポリマー構成成分に関しては各成分のモル比を示した。略号は以下の通り。
HFP:ヘキサフルオロプロピレン、
M1−(1):ペルフルオロメチルビニルエーテル、
M1−(5):ペルフルオロペンチルビニルエーテル、
M2−(3):ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル、
HEVE:2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、
HOVE:8−ヒドロキシオクチルビニルエーテル、
DEGVE:ジエチレングリコールビニルエーテル、
HMcHVE:4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルビニルエーテル、
EVE:エチルビニルエーテル、
cHVE:シクロヘキシルビニルエーテル、
tBuVE:t−ブチルビニルエーテル、
VAc:酢酸ビニル。
ポリシロキサン構造を含有する構成成分に関しては、合成反応に用いたポリシロキサン含有成分の名前と、ポリマー全体に占めるポリシロキサン構造を含有する構成単位の質量%を記した。略号は以下の通り。
FM−0721:「サイラプレーンFM−0721」{チッソ(株)製}
FM−0725:「サイラプレーンFM−0725」(同上)
VPS−1001:「マクロアゾ開始剤VPS−1001」{和光純薬工業(株)製}
VPS−0501:「マクロアゾ開始剤VPS−0501」(同上)
(含フッ素ポリマーの合成)
本発明に用いられる前記含フッ素ポリマーの合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合によって行うことができる。また回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で合成することができる。
重合の開始方法は、ラジカル開始剤を用いる方法、光又は放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971年)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶媒は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶媒の単独又は2種以上の混合物でもよいし、水との混合溶媒としてもよい。
重合温度は、生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、40〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は0.01〜10MPa、好ましくは0.05〜5MPa、より好ましくは0.1〜2MPa程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーは、反応液をそのまま本発明での用途に用いることもできるし、再沈殿や分液操作によって精製して用いることもできる。
〔オルガノシラン化合物〕
本発明の反射防止フィルムにおける機能層には、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物等(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有
させることが、より高い耐擦傷性の点で好ましい。
このゾル成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することによりバインダーとして機能する。また、多官能アクリレートポリマーを有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
上記オルガノシラン化合物は、下記一般式(5)で表されるものが好ましい。
一般式(5):(R30m1−Si(X314-m1
上記一般式(5)において、R30は置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
31は、水酸基又は加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR31COO(R31は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が
挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
m1は1〜3の整数を表し、好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
30又はX31が複数存在するとき、複数のR30又はX31はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
30に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
30が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
上記一般式(5)で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式(5−1)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式(5−1):
Figure 2007086750
上記一般式(5−1)において、R32は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシ
カルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
31は単結合又は、*−COO−**、*−CONH−**もしくは*−O−**を表し、単結合、*−COO−**及び*−CONH−**が好ましく、単結合及び*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R32)−に結合する位置を、**はL31に結合する位置を表す。
31は2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
m2は0又は1を表し、好ましくは0である。
30は一般式(5)におけるR30と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、又は無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、又は無置換のアリール基が更に好ましい。
31は一般式(5)におけるX31と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。X31が複数存在するとき、複数のX31はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
一般式(5)、一般式(5−1)の化合物は2種類以上を併用してもよい。
以下に一般式(5)、一般式(5−1)で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2007086750
Figure 2007086750
これらのうち、(M−1)、(M−2)、及び(M−5)が特に好ましい。
[オルガノシラン化合物に使用される触媒]
そして、前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物は、一般に、前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。
触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;蓚酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、金属キレート化合物、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数{pKa値(25℃)}が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、蓚酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、蓚酸が特に好ましい。
(金属キレート化合物)
金属キレート化合物としては、一般式R41OH(式中、R41は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと、R42COCH2COR43(式中、R42は炭素数1〜10のアルキル基、R43は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用してもよい。
本発明に用いられる金属キレート化合物は、一般式Zr(OR41s1(R42COCHCOR43s2、Ti(OR41t1(R42COCHCOR43t2、及びAl(OR41u1(R42COCHCOR43u2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR41及びR42は、同一又は異なってもよく、炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、又はフェニル基などである。また、R43は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のs1、s2、t1、t2、u1、及びu2は、それぞれs1+s2=4、t1+t2=4、u1+u2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独で又は2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
(β−ジケトン化合物及びβ−ケトエステル化合物)
また、本発明においては、前記硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R42COCH2COR43で表されるβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる硬化性組成物の安定性向上剤として作用するものである。ここで、R42は炭素数1〜10のアルキル基、R43は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。すなわち、上記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウム及び/又はアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物を構成するR42及びR43は、上記金属キレート化合物を構成するR42及びR43と同様である。
このβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−s−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチルヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル以上用いることにより、得られる組成物の保存安定性の低下を防止することができるので好ましい。
前記オルガノシラン化合物の配合量は、支持体上に、前記硬化性組成物を塗設することにより形成される層、例えば低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物は、硬化性組成物(支持体上に形成される層、例えば防眩層用、低屈折率層等形成用の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物を、予め触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調製するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物及び金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物を添加した液を、防眩層又は低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
〔その他のバインダー化合物〕
本発明の反射防止フィルムにおける機能層を形成する、以上述べたバインダーに対しては、例えば特開2003−39586号公報に記載の以下の反応性有機珪素化合物を併用することもできる。反応性有機珪素化合物は、電離放射線硬化性化合物と反応性有機珪素化合物の合計に対して10〜100質量%の範囲で使用される。特に下記の電離放射線硬化性有機珪素化合物を使用する場合には、これだけを樹脂成分として導電層を形成するこ
とが可能である。
[反応性有機珪素化合物]
(珪素アルコキシド)
珪素アルコキシドは、前記一般式(5)で表される化合物のうち、X31がアルコキシ基(OR32)であって、R30、R32が炭素数1〜10のアルキル基を表す化合物に該当する。これらの化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−s−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−i−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−s−ブトキシシラン、テトラペンタ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
(電離放射線硬化性珪素化合物)
電離放射線によって反応架橋する複数の基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機珪素化合物が挙げられる。このような反応性有機珪素化合物は、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
(その他の化合物)
その他の化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
1−2.ラジカル重合開始剤
本発明において用いられるエチレン性不飽和基を有する各種モノマーの重合は、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。本発明の反射防止フィルムを作製するに際しては、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤を併用することもできる。
〔光ラジカル重合開始剤〕
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報記載のもの等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルホリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノンなど
が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルなどが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどが含まれる。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性エステル類の例にはIRGACURE OXE01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)] チバスペシャリティーケミカルス製)、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。具体的には特開2000−80068号公報の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林らの“Bull.Chem.Soc.Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号公報、M.P.Huttの“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が
挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
具体的な例には、s−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、例えば2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503号公報のp14〜p30、特開昭55−77742号公報のp6〜p10、特公昭60−27673号公報のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736号公報のp443〜p444のNo.1〜No.17、米国特許第4701399号明細書のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例には、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル]チタニウムが挙げられる。クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、上記のほか、「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159及び、加藤清視著「紫外線硬化システム」{総合技術センター発行}(平成元年)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」、「カヤキュアーMCA」など;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア500」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア1870」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」など;サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KTO46,KT37,KIP150,TZT)”等、及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
[光増感剤]
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DMBI,EPA)」などが挙げられる。
〔熱ラジカル重合開始剤〕
熱ラジカル開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
1−3.架橋性化合物(架橋剤)
〔硬化剤〕
本発明における機能層の一つである低屈折率層は、水酸基を含む含フッ素ポリマー、及び該含フッ素ポリマー中の水酸基と反応し得る化合物(硬化剤)を含む硬化可能な組成物、いわゆる硬化性樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。硬化剤は水酸基と反応する部位を2個以上有することが好ましく、4個以上有することが更に好ましい。
硬化剤の構造は、水酸基と反応しうる官能基を前記個数有するものであれば特に限定はなく、例えばポリイソシアネート類、イソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステル皮膜などとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物、アミノプラスト類、多塩基酸又はその無水物などを挙げることができる。
[アミノプラスト類]
中でも、本発明では、保存時の安定性と架橋反応の活性の両立の観点、及び形成される膜の強度の観点から、酸性条件下で水酸基含有化合物と架橋反応するアミノプラスト類が好ましい。アミノプラスト類は、含フッ素ポリマー中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、すなわちヒドロキシアルキルアミノ基もしくはアルコキシアルキルアミノ基、又は窒素原子に隣接し、且つアルコキシ基で置換された炭素原子を含有する化合物である。具体的には、例えばメラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物等を挙げることができる。
上記メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているもので、具体的にはメラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができる。特に、メラミンとホルムアルデヒドを塩基性条件下で反応して得られるメチロール化メラミン及びアルコキシ化メチルメラミン、並びにその誘導体が好ましく、特に保存安定性からアルコキシ化メチルメラミンが特に好ましい。またメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンについて特に制約はなく、例えば「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されているような方法で得られる、各種樹脂の使用も可能である。
また上記尿素化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、さらには環状尿素構造であるグリコールウリル骨格や2−イミダゾリジノン骨格を有する化合物も好ましい。前記尿素誘導体等のアミノ化合物についても前記「ユリア・メラミン樹脂」等に記載の各種樹脂の使用が可能である。
本発明において架橋剤として好適に用いられる化合物としては、含フッ素共重合体との
相溶性の点から、特にメラミン化合物又はグリコールウリル化合物が好ましく、その中でも反応性の観点から、架橋剤が分子中に窒素原子を含有し、且つ該窒素原子に隣接するアルコキシ基で置換された炭素原子を2個以上含有する化合物であることが好ましい。特に好ましい化合物は下記(H−1)及び(H−2)で表される構造を有する化合物、及びそれらの部分縮合体である。式中Rは炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を表す。
Figure 2007086750
含フッ素ポリマーに対するアミノプラストの添加量としては、共重合体100質量部当たり、1〜50質量部であり、好ましくは3〜40質量部であり、さらに好ましくは5〜30質量部である。1質量部以上であれば、薄膜としての耐久性を十分に発揮することができ、50質量部以下であれば、低屈折率を維持できるので好ましい。硬化剤を添加しても屈折率を低く保つという観点からは、添加しても屈折率の上昇が少ない硬化剤が好ましく、その観点では上記化合物のうち、(H−2)で表される骨格を有する化合物がより好ましい。
〔硬化触媒〕
本発明の反射防止フィルムは、低屈折率層形成用組成物を塗布した後、加熱しながら含フッ素ポリマーの水酸基と上記硬化剤との架橋反応で膜を硬化する。この系では酸により硬化が促進されるため、硬化性樹脂組成物に、酸性物質を添加することが望ましいが、通常の酸を添加すると塗布液中でも架橋反応が進行してしまい、故障(ムラ、ハジキなど)の原因となる。従って、熱硬化系で保存安定性と硬化活性を両立するために、加熱により酸を発生する化合物(以下、熱酸発生剤ともいう)を硬化触媒として添加する。
[酸と有機塩基からなる塩]
本発明で使用される硬化触媒は、酸と有機塩基からなる塩である。酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられ、ポリマーに対する相溶性の観点から有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MsOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる(( )内は略称)。
硬化触媒は、酸と組み合わせる有機塩基の塩基性によって大きく変化する。本発明においては、上記塩基性が特定の範囲内であることが必要である。このことにより、上記の熱硬化系で保存安定性と硬化活性を両立することができる。以下に本発明で用いられる硬化触媒について説明する。
(熱酸発生剤)
本発明においては、共役酸のpKaが5.0〜11.0である有機塩基と酸とからなる塩を少なくとも1種用いることが必要である。
有機塩基の塩基性が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましいが、塩基性が低すぎると保存安定性が不十分になる。従って、本発明では適度な塩基性を有する有機塩基が用いられる。塩基性の指標として共役酸のpKaを用いて表すと、本発明で用いる有機塩基のpKaは5.0〜11.0である必要があり、6.0〜10.5であることが好ましく、6.5〜10.0であることがさらに好ましい。有機塩基のpKaの値は、水溶液中での値が「化学便覧 基礎編」(改訂5版、日本化学会編、丸善、2004年)第2巻のII−334〜340頁に記載があるので、その中から適当なpKaを有する有機塩基を選ぶことができる。また、該「化学便覧」に記載がなくても構造上適当なpKaを有すると推定できる化合物も好ましく用いることができる。表3に該「化学便覧」に記載の適当なpKaを有する化合物b−1〜b−19を示すが、本発明に用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。
尚、参考までに前記のpKa範囲に入らない化合物b−20を合わせて表3に示す。
Figure 2007086750
さらには、有機塩基の沸点が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からより好ましい。従って、適度な沸点を有する有機塩基を用いることがより好ましい。塩基の沸点としては、120℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましい。
本発明で好ましく用いることができる有機塩基としては例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。( )内は沸点を示す。
b−3:ピリジン(115℃)、b−14:4−メチルモルホリン(115℃)、b−25:ジアリルメチルアミン(111℃)、b−19:トリエチルアミン(88.8℃)、b−21:t−ブチルメチルアミン(67〜69℃)、b−22:ジメチルイソプロピルアミン(66℃)、b−23:ジエチルメチルアミン(63〜65℃)、b−24:ジメチルエチルアミン(36〜38℃)、b−18:トリメチルアミン(3〜5℃)、b−20:ジイソプロピルアミン(84℃)。
本発明において酸触媒として用いる時には、上記酸と有機塩基からなる塩を単離して用いてもよいし、酸と有機塩基を混合して溶液中で塩を形成させ、その溶液を用いてもよい。また、酸、有機塩基とも1種類だけで用いてもよいし、複数種類のものを混合して用いてもよい。酸と有機塩基を混合して用いる時には、酸と有機塩基の当量比が1:0.9〜1.5となるように混合することが好ましく、1:0.95〜1.3であることがより好ましく、1:1.0〜1.1であることが好ましい。
この酸触媒の使用割合は、前記硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ま
しくは0.2〜3質量部である。
(感光性酸発生剤)
本発明では、上述した熱酸発生剤の他に、光照射により酸を発生する化合物、すなわち感光性酸発生剤をさらに添加してもよい。該感光性酸発生剤は当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。
このような感光性酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、又はマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。
代表的な感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ピリジニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等(好ましくはジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩)の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;その他を挙げることができる。
中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができる。感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。感光性酸発生剤の割合が該上限値以下であれば、得られる硬化膜の強度が優れたものとなり、透明性も良好なので好ましい。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005―43876号公報記載の内容などを用いることができる。
1−4.透光性粒子
本発明の反射防止フィルムの機能層、特に防眩層やハードコート層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子(マット粒子とも言う。)を用いることができる。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。また、マット粒子の形状は、球形又は不定形のいずれも使用できる。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が後記のような数値範囲になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
中でも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(メタ)アクリレート粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明において好ましい内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
さらに、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組合せて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
本発明におけるバインダー(透光性樹脂)と透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、バインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。上記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。平均粒径が0.5μm以上であれば、光の散乱角度分布が広角に広がりすぎることがないので、ディスプレイの文字ボケを引き起こすことがなく好ましい。一方、10μm以下であれば、透光性粒子を添加する層の膜厚をあえて厚くする必要がなく、カールやコスト上昇といった問題が生じることもないので好ましい。
また透光性粒子は、粒子径の異なる2種以上のものを併用して用いてもよい。このことにより、より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
上記透光性粒子は、それが添加される層の全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%以上含有させることにより、十分な添加効果を発揮させることができ、30質量%以下であれば、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じることがない。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2である。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
〔透光性粒子調製、分級法〕
本発明に係る透光性粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁及び146頁から147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子
が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製又は合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
1−5.無機粒子
本発明に用いられる組成物は、前記塩と共に無機粒子を含有する。これにより、塗布液の保存安定性と効果活性を両立させながら耐擦傷性に優れた反射防止フィルムを作製することができる。さらには、無機粒子によって、その他の特性、例えば、硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などを向上することもできる。
無機粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、具体例としては、ZrO2、TiO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO等が挙げられる。その他BaSO4、CaCO3、タルク及びカオリンなどが含まれる。
本発明に使用する無機粒子の粒径は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわないフィルムを形成できる。無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
無機粒子の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
本発明に使用する無機粒子は分散媒体中に分散物として使用する層の塗布液に添加することが好ましい。
無機粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。このような分散媒体の例には、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル等)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素等)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン等)、エーテルアルコール(例えば、1−メトキシ−2−プロパノール等)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールがより好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
無機粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例えばピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが含まれる。
[高屈折率粒子]
本発明を構成する層を高屈折率化する目的に対しては、屈折率の高い無機粒子をモノマーと開始剤、有機置換された珪素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。
この場合の無機粒子としては、屈折率の観点から、特にZrO2、TiO2が好ましく用いられる。ハードコート層の高屈折率化に対してはZrO2が、高屈折率層、中屈折率層用の粒子としてはTiO2の微粒子が最も好ましい。
上記TiO2の粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するTiO2を主成分とする無機粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明におけるTiO2を主成分とする粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
TiO2を主成分とする粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
TiO2を主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
TiO2を主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiO2が有する光触媒活性を抑えることができ、本発明の反射防止フィルムの耐候性を改良することができる。特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
本発明で用いられるTiO2を主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していてもよい。
層中の無機粒子の添加量は、バインダーの全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。無機粒子は層内で2種類以上用いてもよい。
[低屈折率粒子]
低屈折率層に含有させる無機粒子は、低屈折率であることが望ましく、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点でシリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
ここで、無機粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
シリカ微粒子の粒径が上記下限値以上であれば、耐擦傷性の改良効果が大きくなり、上記上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化するなどの不都合が生じないので好ましい。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。
(小サイズ粒径のシリカ微粒子)
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コスト及び保持剤効果の点で好ましい。
低屈折率のシリカ微粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。該下限値以上であれば、良好な耐擦傷性の改良効果が発揮でき、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化するなどの不都合が生じないので好ましい。
(中空シリカ粒子)
屈折率をより低下させる目的のためには、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましい。
中空のシリカ微粒子は、その屈折率が1.15〜1.40であることが好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最も好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をri、粒子外殻の半径をroとすると、空隙率x(%)は下記数式(1)で表される。中空シリカ粒子の空隙率xは、好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
数式(1):x={(4πri 3/3)/(4πro 3/3)}×100
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から、中空のシリカ粒子の屈折率は、通常、1.15以上である。
中空シリカ粒子の製造方法は、例えば特開2001−233611号公報や特開2002−79616号公報に記載されている。本発明において好ましく用いられる中空シリカ粒子としては、特に外殻の内部に空洞を有している粒子で、その外殻の細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616号公報に記載の方法で算出することができる。
中空シリカ粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。塗設量が該下限値以上であれば、良好な低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が発現するので好ましく、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて黒の締ま
りなどの外観や積分反射率が悪化するなどの不都合が生じないので好ましい。
中空シリカ粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。中空シリカ粒子の粒径が該下限値以上であれば、空腔部の割合が十分で屈折率の低下が見込めるので好ましく、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化するなどの不都合が生じることがないので好ましい。中空シリカ粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。
また、中空シリカ粒子は粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカ粒子の平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカ粒子の比表面積は、20〜300m2/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m2/g、最も好ましくは40〜90m2/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることができる。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。併用する際の空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
1−6.導電性粒子
本発明の反射防止フィルムには導電性を付与するために、各種の導電性粒子を用いることができる。導電性粒子は、金属の酸化物又は窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛及び窒化チタンが含まれる。酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。
導電性無機粒子は、これらの金属の酸化物又は窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、V及びハロゲン原子が含まれる。酸化錫及び酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、V及びハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)及びSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
帯電防止層に用いる導電性無機粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される帯電防止層中の導電性無機粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機粒子の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
導電性無機粒子を表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物又は有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナ及びシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。2種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状又は不定形状であることが好ましい。
導電性無機粒子は、特定の層内に又はそれ自体の層として、その2種類以上を併用してもよい。
帯電防止層中の導電性無機粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。
導電性無機粒子は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用することができる。
1−7.表面処理剤
本発明で使用する無機粒子は、分散液中又は塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。
表面処理は、無機化合物又は有機化合物の表面処理剤を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO2、Co23、Co34など)、アルミニウムを含有する無機化合物{Al23、Al(OH)3など}、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO2、Zr(OH)4など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiO2など)、鉄を含有する無機化合物(Fe23など)などが含
まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)3、Zr(OH)4が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、アニオン性基を有する有機化合物(好ましくは、カルボキシル基、スルホン酸基、又はリン酸基を有する有機化合物であり、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが特に好ましい)、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。これらのうちシランカップリング剤が最も好ましい。特にシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、及びその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、「プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41B)」等{味の素(株)製}などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋性又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋性又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基{例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等}、カチオン重合性基(例えばエポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(例えば加水分解性シリル基、N−メチロール基等)などが挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理は2種類以上を併用することもでき、アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
無機粒子がシリカである場合、カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例えば、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、例えば低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前に、予め表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。特にシリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明に好ましく用いることのできる表面処理剤及び表面処理用の触媒の具体的化合物は、例えば、国際公開第2004/017105号パンフレットに記載のオルガノシラン化合物及び触媒を挙げることができる。
1−8.分散剤
本発明に使用する粒子の分散には各種の分散剤を使用することができる。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
無機粒子の分散、特にTiO2を主成分とする無機粒子の分散にはアニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましく、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有することがより好ましく、該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤であることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ基)、リン酸基(ホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、又はその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基又はその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1分子中に複数種類が含有されていてもよいが、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有繰返し単位の組成は、全繰返し単位のうちの10-4〜100mol%の範囲であり、好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは5〜20mol%である。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官
能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
1分子当たりの分散剤に含有される架橋又は重合性官能基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有される架橋又は重合性官能基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
本発明に用いる好ましい分散剤において、側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰返し単位の例としては、ポリ−1,2−ブタジエン及びポリ−1,2−イソプレン構造、又は(メタ)アクリル酸のエステル又はアミドの繰返し単位であって、それに特定の残基(−COOR50又はCONHR50のR基50)が結合しているものが利用できる。
上記特定の残基(R50基)の例としては、−(CH2)n−CR51=CR5253、−(CH2O)n−CH2CR51=CR5253、−(CH2CH2O)n−CH2CR51=CR5253、−(CH2)n−NH−CO−O−CH2CR51=CR5253、−(CH2)n−O−CO−CR51=CR5253及び(CH2CH2O)2−X51)を挙げることができ、ここで、R51〜R53はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、R51とR52又はR53は互いに結合して環を形成してもよく、nは1〜10の整数であり、そしてX51はジシクロペンタジエニル残基である。
エステル残基のR50の具体例には、−CH2CH=CH2{特開昭64−17047号公報記載のアリル(メタ)アクリレートのポリマーに相当}、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2CH2OCOCH=CH2、−CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C65、−CH2CH2OCOCH=CH−C65、−CH2CH2−NHCOO−CH2CH=CH2及びCH2CH2O−X51(X51はジシクロペンタジエニル残基)が含まれる。アミド残基のR50の具体例には、−CH2CH=CH2、−CH2CH2−X52(X52は1−シクロヘキセニル残基)及びCH2CH2−OCO−CH=CH2、−CH2CH2−OCO−C(CH3)=CH2が含まれる。
上記のエチレン性不飽和基を有する分散剤においては、その不飽和結合基に遊離ラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、分子間で直接、又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、分子間に架橋が形成されて硬化する。あるいは、分子中の原子(例えば不飽和結合基に隣接する炭素原子上の水素原子)が遊離ラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、分子間に架橋が形成されて硬化する。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、且つ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
架橋又は重合性官能基の含有単位は、アニオン性基含有繰返し単位以外の全ての繰返し単位を構成していてもよいが、好ましくは全架橋又は繰返し単位のうちの5〜50mol%であり、特に好ましくは5〜30mol%である。
分散剤は、架橋又は重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外の適当なモノマーとの共重合体であってもよい。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
分散剤の形態は特に制限はないが、ブロック共重合体又はランダム共重合体であることが好ましくコスト及び合成的な容易さからランダム共重合体であることが特に好ましい。
分散剤の無機粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
1−9.防汚剤
本発明の反射防止フィルム、特にその最上層には防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系又はフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。
これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中には、ジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。
置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
シリコーン系化合物の分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。
またシリコーン系化合物の珪素原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては、信越化学(株)製の“X−22−174DX”、“X−22−2426”、“X−22−164B”、“X22−164C”、“X−22−170DX”、“X−22−176D”、“X−22−1821”(以上商品名);チッソ(株)製の「サイラプレーンFM−0725」、「サイラプレーンFM−7725」、「サイラプレーンFM−4421」、「サイラプレーンFM−5521」、「サイラプレーンFM−6621」、「サイラプレーンFM−1121」;Gelest社製の“DMS−U22”、“RMS−033”、“RMS−083”、“UMS−182”、“DMS−H21”、“DMS−H31”、“HMS−301”、“FMS121”、“FMS123”、“FMS131”、“FMS141”、“FMS221”(以上商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖{例えば−CF2CF3、−CH2(CF24H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2(CF24H等}であっても、分岐構造{例えばCH(CF32、CH2CF(CF32、CH(CH3)CF2CF3、CH(CH3)(CF25CF2H等}であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であってもよく、エーテル結合を有していてもよい(例えばCH2OCH2CF2CF3、CH2CH2OCH248H、CH2CH2OCH2CH2817、CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成に、あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのコポリマーであっても、コオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。
フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。
好ましいフッ素系化合物の例としては、ダイキン化学工業(株)製の“R−2020”、“M−2020”、“R−3833”、“M−3833”(以上商品名);大日本インキ(株)製の「メガファックF−171」、「メガファックF−172」、「メガファックF−179A」、「ディフェンサMCF−300」(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤又はポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。
これらを添加剤として添加する場合には、例えば低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製の「メガファックF−150」(商品名)、東レダウコーニング(株)製の“SH−3748”(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
1−10.界面活性剤
本発明の反射防止フィルムには、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、又はその両者を防眩層あるいはハードコート層形成用の塗布液中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良
する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系高分子界面活性剤」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系高分子界面活性剤は、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位及び/又は下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含む、アクリル系共重合体、メタアクリル系共重合体、及びこれらと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。
(i)下記一般式(6)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式(6):
Figure 2007086750
一般式(6)において、R61は水素原子又はメチル基を表し、L61は酸素原子、イオウ原子又はN(R62)−を表し、酸素原子が好ましい。r5は1以上6以下の整数、q3は2〜4の整数を表す。R62は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基である。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式(7)で示されるモノマー
一般式(7):
Figure 2007086750
一般式(7)において、R71は水素原子又はメチル基を表し、L71は酸素原子、イオウ原子又はN(R73)−を表し、R73は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基である。L71は酸素原子、−N(H)−、及びN(CH3)−が好ましい。
72は置換基を有してもよい炭素数4以上20以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表す。R72のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系高分子界面活性剤中に用いられるこれらの一般式(6)で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系高分子界面活性剤の各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系高分子界面活性剤の好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系高分子界面活性剤の好ましい添加量は、塗布液に対
して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系高分子界面活性剤の添加量が0.001質量%以上であれば、効果が十分に発揮されるので好ましく、また5質量%以下であれば、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼしたりするなどの不具合が生じないので好ましい。
1−11.増粘剤
本発明の反射防止フィルムは、機能層形成用の塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、さらに好ましくは0.10〜20cPであり、最も好ましくは0.10〜10cPである。
このような増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ−ε−カプロラクトントリオール、ポリビニルアセテート、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレングルタレート)、ポリ(1,4−ブチレンスクシネート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレングルタレート)、ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)、ポリ(ネオペンチルグリコールセバケート)、ポリ(1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(1,3−プロピレングルタレート)、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルプロパナール、ポリビニルヘキサナール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート。
この他にも、特開平8−325491号公報記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイト及びポリアクリル酸ナトリウム、特開平10−219136号公報記載のエチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することができる。
1−12.塗布溶媒
本発明において、各層を形成するための塗布液に用いられる溶媒としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶媒が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶媒を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶媒を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶媒としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類;ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類;ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類;アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類;メタノ
ール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類;アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類;二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶媒としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン{メチルイソブチルケトン(MIBK)と同じ、115.9℃}、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
1−13.その他
本発明の反射防止フィルムには、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することもできる。
1−14.支持体
本発明の反射防止フィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シート、透明ガラスなど特に限定はない。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム{例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム等}、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
〔セルロースアシレートフィルム〕
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。又、透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度とする。
[セルロースアセテート]
本発明ではセルロースアシレートフィルムに、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
〔ポリエチレンテレフタレートフィルム〕
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性及び耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては、東洋紡績(株)製「コスモシャインA4100、A4300」等が挙げられる。
2.反射防止フィルムを構成する層
本発明の反射防止フィルムは、以上述べた各種化合物を含む組成物を混合、塗設して各種の機能層を形成することによって得られるものである。次に、本発明の反射防止フィルムを構成する各機能層について記載する。
2−1.ハードコート層
本発明の反射防止フィルムには、該フィルムの物理的強度を付与するために、好ましくは透明支持体の一方の面にハードコート層が設けられる。好ましくは、そのハードコート層の上に低屈折率層が設けられ、更に好ましくはハードコート層と低屈折率層の間に、中屈折率層、高屈折率層が設けられて、反射防止フィルムを構成する。
ハードコート層は、2層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.52〜1.90であり、更に好ましくは1.55〜1.80である。本発明の好ましい態様では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層あるので、ハードコート層の屈折率が該下限値以上であれば、反射防止性が良好となり、該上限値以下であれば、反射光の色味が強くなりすぎるなどの傾向が生じないので好ましい。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5〜50μm程度とし、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは2〜10μm、最も好ましくは3〜7μmである。
ハードコート層の硬度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布液を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーもしくは無機粒子、又はその両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマー及び/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
ハードコート層のヘイズは、反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に用いるとき、その画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部及び表面にて光散乱機能を付与しない場合には、ヘイズ値は低い程よく、具体的には10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、表面の反射率を抑える機能に加えて、ハードコート層の表面散乱による防眩機能を付与しようとする場合は、この表面散乱に起因するヘイズ(以下、表面ヘイズともいう)が5%以上、15%未満であることが好ましく、7%以上、15%未満であることがより好ましい。更に好ましくは7以上、10%未満である。上記範囲のヘイズ値であることにより、透過画像の劣化を伴わずに良好な防眩性および反射防止性が得られ、耐擦傷性との両立が可能となる。表面ヘイズの値は、フィルムの全ヘイズ値を測定した後、表面ヘイズを除去した状態で内部ヘイズを測定し、全ヘイズと内部ヘイズの差として求めることができる。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与したりする場合は、内部ヘイズ値(反射防止フィルムの表面にセロファンテープなどを貼り付けて、表面ヘイズを除去した状態で測定したヘイズ値)は、10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜80%であり、最も好ましくは20%〜70%である。
本発明の反射防止フィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、得られる反射防止フィルムを画像表示装置に用いるとき、その画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得るためには、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とする
ことが好ましい。Raは、より好ましくは0.09μm以下であり、更に好ましくは0.08μm以下である。
本発明の反射防止フィルムにおいては、該フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸による影響が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、反射防止フィルム表面の中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
また画像の鮮明性を維持する目的では、ハードコート層表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像のボケ具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
2−2.防眩層
防眩層は、上記の表面散乱による防眩性と共に、好ましくは得られる反射防止フィルムの耐擦傷性を向上させるためのハードコート性を該フィルムに寄与する目的で形成される。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号公報に記載のような、表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法;特開2000−206317号公報に記載のように、電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法;特開2000−338310号公報に記載のように、乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより、透光性微粒子及び透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法;特開2000−275404号公報に記載のように、外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法;などが知られており、本発明においてもこれら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層は、好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子(マット粒子ともいう。)、及び溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起又は複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
防眩層の膜厚は、1〜10μmの範囲であることが好ましく、1.2〜8μmの範囲であることがより好ましい。該下限値以上であればハードコート性が不足することがなく、該上限値以下であればカールの発生や脆性の低下により加工適性が低下するなどの問題が生じないので、該膜厚範囲内とするのが好ましい。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)は0.10〜0.40μmの範囲が好ましい。Raが0.40μm以下であれば、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生しない。また、透過画像鮮明度の値は5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の硬度は、鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
2−3.高屈折率層、中屈折率層
本発明の反射防止フィルムには、前記のように、高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作製する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層に用いるTiO2を主成分とする無機粒子は、分散物の状態
で高屈折率層及び中屈折率層の形成に使用する。
無機粒子は、分散剤の存在下で分散媒体中に分散するのがよい。
本発明に用いる高屈折率層及び中屈折率層は、分散媒体中に無機粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、前記の電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層及び中屈折率層形成用の塗布液とし、透明支持体上に高屈折率層及び中屈折率層形成用の塗布液を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層及び中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時又は塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層及び中屈折率層のバインダーは、例えば、前記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層及び中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機粒子を含有する高屈折率層及び中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布液の固形分量に対して、5〜80質量%添加する。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で2種類以上を併用してもよい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
2−4.低屈折率層
本発明の反射防止フィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いることができる。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の硬度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
低屈折率層の形成に特に好ましく用いられる前記硬化性組成物は、前記の(1)無機粒子および(2)共役酸のpKaが5.0〜11.0である有機塩基と酸とからなる塩を含み、必要に応じて前記含フッ素ポリマー、架橋剤、さらに好適にはオルガノシラン化合物等を含有する。
低屈折率層には、前記ハードコート層で述べたバインダーを用いることができる。また、バインダー自身の屈折率の低い含フッ素ポリマーを好ましく用いることが出来る。さらに含フッ素ゾルゲル素材などを併用することもできる。バインダーは本発明に好ましく用いられる架橋性化合物を用いるほか、電離放射線により架橋しうる化合物を併用することもできる。低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。
2−5.帯電防止層、導電性層
本発明においては、帯電防止層を設けることが反射防止フィルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、又は透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。
導電性層は、支持体に直接又は、支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、105〜1012Ω/□であることが好ましく、105〜109Ω/□であることがさらに好ましく、105〜108Ω/□であることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズは10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。また波長550nmの光の透過率は、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明における帯電防止層は、その硬度が優れていることが好ましく、具体的な帯電防止層の硬度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
2−6.防汚層
本発明の反射防止フィルムの最表面には防汚層を設けることができる。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性又は親油性の汚れを付きにくくするものである。
防汚層には含フッ素ポリマーや防汚剤を用いて形成することができる。
防汚層の厚さは2〜100nmであることが好ましく、5〜30nmであることがさらに好ましい。
2−7.干渉ムラ(虹ムラ)防止層
本発明の反射防止フィルムにおける透明支持体とハードコート層、又は透明支持体と防眩層に実質的な屈折率差(屈折率差が0.03以上)がある場合、透明支持体/ハードコート層、又は透明支持体/防眩界面で反射光が生じる。この反射光は反射防止層表面での反射光と干渉し、ハードコート層(又は防眩層)の微妙な膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止するために、例えば透明支持体とハードコート層(又は防眩層)の間に中間の屈折率nPを有し、膜厚dPが下記数式(2)を満たす様な干渉ムラ防止層を設けることもできる。
数式(2):dP=(2N−1)×λ/(4nP
但し、λは可視光の波長で450〜650nmの範囲の何れかの値、Nは自然数。
また、反射防止フィルムを画像表示等に貼合する場合、透明支持体の反射防止層を積層していない側に粘着剤層(又は接着剤層)を積層する場合がある。この様な態様で、透明支持体と粘着剤層(又は接着剤層)の間に実質的な屈折率差(0.03以上)がある場合、透明支持体/粘着剤層(又は接着剤層)の反射光が生じ、この反射光が、反射防止層表面の反射光などと干渉し、上記と同様に支持体やハードコート層の膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止する目的で透明支持体の反射防止層を積層していない側に上記と同様の干渉ムラ防止層を設けることもできる。
なお、この様な干渉ムラ防止層に関しては特開2004−345333号公報に詳しく記載されており、本発明ではここで紹介されている干渉ムラ防止層を用いることもできる
2−8.易接着層
本発明の反射防止フィルムには易接着層を塗設することもできる。易接着層とは、例えば、本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いるときの、該保護フィルムとその隣接層、又はハードコート層と支持体とを接着し易くする機能を付与する層のことをいう。
易接着処理としては、ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤等からなる易接着剤により透明プラスチックフィルム上に易接着層を設ける処理が挙げられる。
本発明において好ましく用いられる易接着層の例としては、−COOM(Mは水素原子又はカチオンを表す)基を有する高分子化合物を含有する層を含むものであり、さらに好ましい態様は、反射防止フィルムの支持体側に−COOM基を有する高分子化合物を含有する層を設け、それに隣接させて偏光膜側に親水性高分子化合物を主たる成分として含む層を設けたものである。
ここでいう−COOM基を有する高分子化合物としては例えば−COOM基を有するスチレン−マレイン酸共重合体や−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸−無水マレイン酸共重合体などであり、特に−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体を用いると好ましい。このような高分子化合物を単独で又は2種以上併用して用いることができる。
上記高分子化合物の好ましい質量平均分子量としては、500〜500,000程度のものであるとよい。−COOM基を有する高分子化合物の特に好ましい例は特開平6−094915号、特開平7−333436号などの各公報に記載のものが好ましく用いられる。
また親水性高分子化合物として好ましくは、親水性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロース等)、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルービニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等)、親水性ポリエステル誘導体(例えば、部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等)、親水性ポリビニル誘導体(例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルインダゾール、ポリビニルピラゾール等)が挙げられ、単独で又は2種以上併用して用いられる。
易接着層の厚みとしては0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。0.05μm以上であれば十分な接着性が得られ、また、1.0μmより厚くても接着性の効果はそれ以上あまり向上しないので、易接着層は該厚み範囲とすることが好ましい。
2−9.カール防止層
本発明の反射防止フィルムには、カール防止加工を施すこともできる。カール防止加工とは、これを施した面を内側にして丸まろうとする機能を付与するものである。反射防止フィルムなど、透明樹脂フィルムの片面にのみ前記の各種機能層などを形成した際には、その各種機能層などを形成した側の面を内側にしてカールしようとする傾向を生じる。カール防止層はこうしたカールの発生を防止する働きをするものである。
カール防止層は、反射防止フィルムの背面、すなわち支持体の、防眩層又は反射防止層を有する側と反対側の表面に設ける態様を挙げることができるが、本発明では、例えば反射防止フィルムの背面にも易接着層を塗設する場合もあり、カール発生の状況によっては、逆面、すなわち防眩層又は反射防止層を有する側にカール防止加工を塗設するような態様も挙げることができる。
カール防止加工の具体的方法としては、溶媒塗布によるもの、溶媒とセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等の透明樹脂層を塗設するもの等が挙げられる。
溶媒塗布による方法とは、具体的には、反射防止フィルムの支持体として用いるセルロースアシレートフィルムを溶解させる溶媒、又は膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。これらのカールを防止する機能を有する層の塗布液は、従ってケトン系、エステル系の有機溶媒を含有するものが好ましい。
好ましいケトン系の有機溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−へプチルケトン等であり、好ましいエステル系の有機溶媒の例としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
しかしながら、用いる溶媒としては、セルロースアシレートフィルムを溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒の他、さらに該フィルムを溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。この他にも、透明ハード加工や帯電防止加工を施してもカール防止機能を発揮する。
2−10.水吸収層
本発明の反射防止フィルムには水吸収剤を含む層を設けることができる。水吸収剤は、アルカリ土類金属を中心に、水吸収機能を有する化合物から選択することができる。例えば、BaO、SrO、CaO、及びMgOなどが挙げられる。さらに、Ti、Mg、Ba、Caの様な金属元素から選択することもできる。これらの吸収剤粒子の粒子サイズは、好ましくは100nm以下であり、50nm以下で使用されるのがさらに好ましい。
これらの水吸収剤を含む層は、前記の帯電防止層と同様に真空蒸着法等を使って作製してもよいし、ナノ粒子を各種方法で作成して用いてもよい。層の厚みは1〜100nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。
水吸収剤を含む層は、支持体と積層体(反射防止層を含む各種機能層)の間、積層体の最上層、積層体の間、又は積層体中の有機層もしくは帯電防止層中に添加されていてもよい。帯電防止層に添加する場合には共蒸着法を用いることが好ましい。
2−11.プライマー層・無機薄膜層
本発明の反射防止フィルムでは、支持体と積層体との間に、公知のプライマー層又は無機薄膜層を設置することで、ガスバリアー性を高めたりすることができる。
プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、本発明においては、このプライマー層として、こ
れらの樹脂の層と無機薄膜層とを組み合わせた有機/無機ハイブリッド層を設けることが好ましい。無機薄膜層としては、無機蒸着層又はゾルーゲル法による緻密な無機コーティング薄膜が好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
3.反射防止フィルムの層構成
本発明の反射防止フィルムについては、上記のような層を用い、公知の層構成を使用することができる。たとえば、代表的な例としては以下のようなものがある。前記の本発明に用いられる特定の塩、含フッ素ビニルモノマー重合単位及び水酸基含有ビニルモノマー重合単位をそれぞれ少なくとも1種含有する含フッ素ポリマー、架橋剤は、上記構成層中のいずれかの層に含まれていることが好ましいが、低屈折率層に含まれていることが最も好ましい。
b.支持体/ハードコート層/低屈折率層(図1)
c.支持体/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層(図2)
d.支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層(図3)
上記b(図1)のように、支持体上にハードコート層を塗布した上に、低屈折率層を積層すると、反射防止フィルムとして好適に用いることができる。低屈折率層はハードコート層の上に低屈折率層4を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
また、c(図2)のように支持体上にハードコート層を塗布した上に、高屈折率層、低屈折率層を積層しても反射防止フィルムとして好適に用いることができる。さらに、d(図3)のように支持体、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、そして低屈折率層の順序の層構成を設置することにより、反射率を1%以下とすることができる。
上記反射防止フィルムb〜dの層構成において、ハードコート層(2)は防眩性を有する防眩層とすることができる。防眩性は図4に示されるようなマット粒子の分散によるものでも、図5に示されるようなエンボス加工などの方法による表面の賦形によって形成されてもよい。マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
また支持体とそれよりも表面側の層の間、あるいは最表面に設けてもよい層として、干渉ムラ(虹ムラ)防止層、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、別のハードコート層(1層のハードコート層又は防眩層だけで硬度が不足する場合)、ガスバリアー層、水吸収層(防湿層)、密着改良層、防汚層(汚染防止層)、等が挙げられる。
本発明における反射防止層を有する防眩性反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
ハードコート層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
4.反射防止フィルムの製造方法
本発明の反射防止フィルムは、以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
4−1.塗布液の調製
[各層形成用塗布液の調製]
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶媒の揮発
量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。溶媒の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
[塗布液物性]
本発明における塗布方式は、液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、塗布する瞬間の液物性、特に粘度及び表面張力を制御する必要がある。
粘度については2.0mPa・sec以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5mPa・sec以下、最も好ましくは1.0mPa・sec以下である。塗布液によっては剪断速度により粘度が変化するものもあるため、上記の値は塗布される瞬間の剪断速度における粘度を示している。塗布液にチキソトロピー剤を添加して、高剪断のかかる塗布時は粘度が低く、塗布液に剪断が殆どかからない乾燥時は粘度が高くなると乾燥時のムラが発生しにくくなり、好ましい。
また、液物性ではないが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量も塗布可能な上限の速度に影響を与える。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.0〜5.0cc/m2の範囲であることが好ましい。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やすと塗布
可能な上限の速度が上がるため好ましいが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やしすぎると乾燥にかかる負荷が大きくなるため、液処方・工程条件によって最適な透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を決めることが好ましい。
表面張力については、15〜36mN/mの範囲にあることが好ましい。レベリング剤を添加するなどして表面張力を低下させることは乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。一方、表面張力が下がりすぎると塗布可能な上限の速度が低下してしまうため、17mN/m〜32mN/mの範囲がより好まく、19mN/m〜26mN/mの範囲が更に好ましい。
[濾過]
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルターを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
濾過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
4−2.塗布前の処理
本発明で使用する支持体は、塗布前に表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理又は紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
さらに、塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法;特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法;特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、「ニューウルトラクリーナー」等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法;特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行う方法;特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、フィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のように、セルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理又はアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
4−3.塗布
本発明の反射防止フィルムの各層は、以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許第2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、且つ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至フッ素含有オレフィン系重合体を含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/inが好ましく、100〜300本/inがより好ましい。グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましい。支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、ハードコート層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cc/m2以下)で好ましく用いることができるダイコーターにつ
いては、特開2006−122889号公報に詳細に記載されている。
4−4.乾燥
本発明の反射防止フィルムは、支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶媒を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。溶媒を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては特開2001−286817号公報、同2001−314798号公報、同2003−126768号公報、同2003−315505号公報、同2004−34002号公報などの記載が挙げられる。
乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布液に含有される溶媒以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには、120℃の温風中で数分以内にその数10質量%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布液に含有される溶媒以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布液を支持体上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布液の固形分濃度が1〜50質量%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
さらに各層の塗布液を支持体上に塗布した後、乾燥ゾーン内で支持体の塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと支持体との温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
4−5.硬化
本発明の反射防止フィルムは、溶媒の乾燥の後に、ウェブで電離放射線及び/又は熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
本発明における電離放射線種は、特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カ
ーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件は、それぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm2以上が
好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm2〜10000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50mJ/cm2〜2000mJ/cm2である。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層に電離放射線を照射し、且つ電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、膜面温度60℃以上に加熱した状態で、酸素濃度10体積%以下の雰囲気で電離放射線を照射する工程によって硬化することが好ましい。また電離放射線照射と同時及び/又は連続して酸素濃度3体積%以下の雰囲気で加熱されることも好ましい。特に最外層であり、かつ膜厚が薄い低屈折率層がこの方法で硬化されることが好ましい。硬化反応が熱で加速され、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
電離放射線を照射する時間については0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.7秒以上であれば、硬化反応を完了させることができ、十分な硬化を行うことができる。また60秒以下であれば、それほど長時間低酸素条件を維持することにならず、設備が大型化したり、多量の不活性ガスが必要であったりする不都合がないので好ましい。
酸素濃度は、6体積%以下の雰囲気で、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は重合反応により形成することが好ましく、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減しなければ、窒素などの不活性ガスの使用量がそれほど多量とはならず、製造コストの観点から好ましい。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
不活性ガスを電離放射線照射室に供給し、且つ照射室のウェッブ入り口側にやや吹き出す条件にすることで、ウェッブ搬送に伴う導搬エアーを排除し、反応室の酸素濃度を有効に下げられると共に、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。照射室のウェッブ入り口側での不活性ガスの流れの方向は、照射室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。不活性ガスをウェッブ表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましく用いられる。
また上記反応室の前に前室を設け、事前にウェッブ表面の酸素を排除することで、より硬化を効率よく進めることができる。また電離放射線反応室又は前室のウェッブ入口側を構成する側面は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェッブ表面とのギャップは0.2〜15mmが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとするのがもっとも好ましい。
しかし、ウェッブを連続製造するには、ウェッブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、電離放射線反応室又は前室の入口面とウェッブのギャップをあまり狭くすると、接合テープなど接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするには、電離放射線反応室又は前室の入口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分ギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、電離放射線反応室又は前室の入口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げるやり方や、電離放射線反応室又は前室の入口面をウェッブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げるやり方を取ることができる。
硬化の際、フィルム面が60℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。60℃以上であれば、加熱の硬化が十分に行われ、170℃以下であれば、基材の変形などの問題が生じない。更に好ましい温度は60℃〜100℃である。フィルム面とは硬化しようとする層の膜面温度を指す。またフィルムがこの温度である時間は、UV照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。フィルム面の温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎることがなければ、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を十分に促進することができ、また長すぎることがなければフィルムの光学性能が低下したり、設備が大きくなったりするなどの製造上の問題は生じない。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線又は赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号明細書に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用してもよい。
紫外線照射は、構成する複数の層それぞれに対して、1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線を、酸素濃度3体積%を超えることのない連続した反応室で行うことが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。特に高生産性のため製造速度を上げた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となる。
また、硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に層を設けて電離放射線及び/又は熱により硬化した際に下層の硬化率が上層を設ける前よりも高くなると、下層と上層との間の密着性が改良され、好ましい。
4−6.ハンドリング
本発明の反射防止フィルムを連続的に製造するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程が行われる。
ロール状のフィルム支持体からフィルム支持体が、クリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、フィルム支持体に帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続きフィルム支持体上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で、塗布液がフィルム支持体上に塗布され、塗布されたフィルム支持体は、乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有するフィルム支持体は、乾燥室から硬化室へ送り出され、塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、硬化した層を有するフィルム支持体は硬化部へ送られ硬化を完結させ、硬化が完結した層を有するフィルム支持体は巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−硬化部を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能である。
本発明の反射防止フィルムを作製するためには、前記したように塗布液の精密濾過操作と同時に、塗布部における塗布工程及び、乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、且つ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程及び乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/m3以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/m3以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
4−7.鹸化処理
本発明の反射防止フィルムを、偏光膜の2枚の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作製する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
a.アルカリ液に浸漬する方法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面の、アルカリと反応性を有する部分を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。該鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和したりすることが好ましい。
鹸化処理することにより、塗布層を有する表面と反対の表面の両方が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、塗布層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の、水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に塗布層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受けることがあるため、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10〜50゜、より好ましくは30〜50゜、さらに好ましくは40〜50゜となる。50゜以下であれば、偏光膜との接着性に問題が生じることがないので好ましい。一方、10゜以上であれば、フィルムが受けるダメージが大きすぎて物理強度を損なうなどの問題を生じないので好ましい。
b.アルカリ液を塗布する方法
上記の浸漬法における、各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件で、アルカリ液を、塗布層を有する側とは反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等への接触などによって行うことも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(a)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば蒸着膜やゾル/ゲル膜は、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響を受けることがあるため、浸漬法ではこれらの層を設けることは容易ではないが、この塗布法では液と接触しないため問題なくこれらの層を設けることが可能となる。
上記(a)、(b)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、反射防止フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行ってもよい。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光膜との張り合わせ工程も併せて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率よく偏光板を作製することができる。
c.ラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
上記(b)と同様に、塗布層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合には、最終層まで形成した後に、該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで、最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化することができる。この場合、鹸化処理の後にラミネートフィルムを剥離すればよい。この方法でも、塗布層へのダメージなしに、偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理を、トリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。上記(b)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、アルカリ液を塗布する特別な装置が不要である利点がある。
d.中途層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
下層まではアルカリ液に対する耐性があるが、上層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、下層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に上層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、例えば防眩層とフッ素含有ゾル/ゲル膜の低屈折率層とからなる反射防止フィルムにおいては、低屈折率層が親水基を有する場合、防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
e.予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに塗布層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを、予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接又は他の層を介して塗布層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面と形成される塗布層との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、塗布層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで、親水化面を除去してから塗布層を形成することで対処できる。また、塗布層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
4−8.偏光板の作製
本発明の反射防止フィルムは、偏光膜の片側又は両側に配置される保護フィルムとして使用して偏光板を製造することができる。
その場合、一方の保護フィルムとして、本発明の反射防止フィルムを用い、他方の保護
フィルムには、通常のセルロースアセテートフィルムを用いることができる。また前記の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムと、そのようなロールフィルム形態のフィルムに、前記のダイコーターなどにより塗布層を形成した本発明の反射防止フィルムとを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が反射防止フィルムであるのに対して、他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることも好ましい態様である。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
反射防止フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤の溶媒は保護フィルム中を拡散することで乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ高いほど、乾燥は早くなり生産性は向上するが、透湿性が高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)によっては水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下することがある。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体であるポリマーフィルム(及び重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性等により決定される。
本発明の反射防止フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m2・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m2・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することができる。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
偏光膜としては、公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作製される。
すなわち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ、張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を
保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落[0020]〜[0030]に詳しい記載がある。
偏光膜の2枚の保護フィルムのうち、反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方性を有する光学補償層を含む光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
5.本発明の反射防止フィルムの使用形態
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明に従う反射防止フィルターは、プラズマディスプレイパネル(PDP)又は陰極管表示装置(CRT)など公知のディスプレイ上に用いることができる。
5−1.液晶表示装置
本発明の反射防止フィルム及びそれを用いた偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
[TNモード]
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
[VAモード]
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル{“SID97,Digest of tech.Papers”(予稿集)、28集(1997年)、p.845記載}、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び、
(4)SURVAIVALモードの液晶セル(「LCDインターナショナル98」で発表)が含まれる。
[OCBモード]
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4,583,825号、同第5,410,422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
[IPSモード]
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくは“Proc.IDRC”(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
[ECBモード]
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの1つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
5―2.液晶表示装置以外のディスプレイ
[PDP]
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の2枚である。2枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。2枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルターとして本発明の反射防止フィルムをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターとしての反射防止フィルムを貼り付けることもできる。
[タッチパネル]
本発明の反射防止フィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
[有機EL素子]
本発明の反射防止フィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明の反射防止フィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
6.各種特性値
以下に本発明の反射防止フィルムに関する各種測定法と、好ましい特性値を示す。
6−1.反射率
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。
6−2.色味
本発明の反射防止フィルムをその保護フィルムとして用いた偏光板は、CIE標準光源D65の、波長380nmから780nmの領域における入射角5゜の入射光に対して、正反射光の色味、すなわちCIE1976L***色空間のL*、a*、b*値を求めることで色味を評価することができる。
*、a*、b*値は、それぞれ3≦L*≦20、−7≦a*≦7、且つ、−10≦b*≦10の範囲内であることが好ましい。この範囲とすることで、従来の偏光板で問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味が低減され、さらに3≦L*≦10、0≦a*≦5、且つ、−7≦b*≦0の範囲内とすることで大幅に低減され、液晶表示装置に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、気にならない。詳しくはa*≦7であれば赤味が強くなりすぎることがなく、a*≧−7であればシアン味が強くなりすぎることがなく好ましい。またb*≧−7であれば青味が強くなりすぎることがなく、b*≦0であれば黄味が強くなりすぎることがなく好ましい。
更には、反射光の色味均一性は、反射光の380nm〜680nmの反射スペクトルにより求めたL***色度図上でのa**より、下記の数式(3)に従って色味の変化率として得ることができる。
数式(3):
Figure 2007086750
ここで、a* max及びa* minは、それぞれa*値の最大値及び最小値;b* max及びb* minは、それぞれb*値の最大値及び最小値;a* av及びb* avは、それぞれa*値及びa*値の平均値である。色の変化率は、それぞれ30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、8%以下であることが最も好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムは、耐候性試験前後の色味の変化であるΔEwが15
以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。この範囲において、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えば画像表示装置の最表面に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味が、ニュートラルで、表示画像の品位が良好となり、好ましい。
上記の色味の変化ΔEwは、下記の数式(4)に従って求めることができる。
数式(4):ΔEw=[(ΔLw2+(Δaw2+(Δbw21/2
ここで、ΔLw,Δaw,Δbwは、耐候性試験前後のL*値,a*値,b*値それぞれの変化量である。
6−3.透過画像鮮明度
透過画像鮮明度は、JIS K−7105に従い、スガ試験機(株)製の写像性測定器「ICM−2D型」にて、スリット幅が0.5mmの光学櫛を用いて測定できる。
本発明の反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像のボケ具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は、好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
6−4.表面粗さ
本発明の反射防止フィルムにおける中心線平均粗さ(Ra)の測定は、JIS B−0601に準じて行うことができる。
6−5.ヘイズ
本発明の反射防止フィルムのヘイズとは、JIS K−7136に規定されたヘイズ値のことであり、JIS K−7361−1で規定された測定法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計“NDH−1001DP”を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される値を用いた。
本発明の反射防止フィルムは、表面散乱に起因する表面ヘイズ値が5%以上、15%未満であることが好ましい。より好ましくは7%以上、15%未満であり、さらに好ましくは7%以上、10%未満である。上記範囲のヘイズ値であることにより、透過画像の劣化を伴わずに良好な防眩性および反射防止性が得られ、耐擦傷性との両立が可能となる。表面ヘイズの値は、反射防止フィルムの全ヘイズ値を上記に従って測定した後、例えば、該フィルムの低屈折率層側の表面にセロファンテープを貼付けるなど、表面ヘイズを除去した状態で内部ヘイズを測定し、全ヘイズと内部ヘイズの差として求めることができる。
6−6.ゴニオフォトメータ散乱強度比
自動変角光度計「GP−5型」{(株)村上色彩技術研究所製}を用いて、入射光に対して反射防止フィルムを垂直に配置し、全方位に亘って散乱光プロファイルを測定した。出射角0°の光強度に対する出射角30°の散乱光強度から求めることができる。
6−7.耐擦傷性
[スチールウール耐傷性評価]
「ラビングテスター」を用いて、以下の条件で擦りテストを行うことで、耐擦傷性の指標とすることができる。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:スチールウール{日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000}を試料と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定。
移動距離(片道):13cm、
擦り速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm2、及び200g/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm、
擦り回数:10往復。
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、擦り部分の傷を反射光で目視観察して、擦った部分以外との反射光量との差を目視観察することによって評価する。
[消しゴム擦り耐傷性評価]
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行うことで、耐擦傷性の指標とすることができる。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:プラスチック消しゴム{(株)トンボ鉛筆製“MONO”}を試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に固定。
移動距離(片道):4cm、
こすり速度:2cm/秒、
荷重:500g/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:100往復、および300往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察し、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
[テーパー試験]
JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量から擦傷性を評価することができる。この摩耗量が少ないほど好ましい。
6−8.硬度
[鉛筆硬度]
本発明の反射防止フィルムの硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験で評価することができる。鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
[表面弾性率]
本発明の反射防止フィルムにおける表面弾性率は、微小表面硬度計{(株)フィッシャー・インスツルメンツ製:「フィッシャースコープH100VP−HCU」}を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
[ユニバーサル硬度]
また上記の微小表面硬度計を用いて、表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
本発明で定義する架橋性ポリマーのユニバーサル硬度とは、ガラス板上に硬化形成した約20〜30μm厚の該架橋性ポリマー膜について、フィッシャーインストルメンツ(株
)製の微小硬度計“H100”により、以下測定手順で求めたユニバーサル硬度(N/mm2)によって表わされる。
架橋性ポリマーの他に、必要な触媒や架橋剤、重合開始剤等を含んだ固形分濃度約25質量%の塗布液を、硬化後の膜厚が約20〜30μmになるように適切なバーコーターを選択してTOSHINRIKO.CO.LTD製、(26mm×76mm×1.2mm)磨きスライドガラス板上に塗布する。架橋性ポリマーが熱硬化性の場合には、膜が十分硬化される熱硬化条件を予め求めておき(一例として125℃、10分)、架橋性ポリマーが電離放射線硬化性の場合にも、同様に膜が十分硬化される硬化条件を予め求めておく(一例として酸素濃度12ppm、UV照射量750mJ/cm2)。それぞれの膜に対して、荷重を0から4mNまで連続的に増加させ、基材のガラス板硬度の影響がでない1/10膜厚を最大として、円錐ダイヤモンド圧子を押し込んだ際の各荷重Fに対する窪み面積A(mm2)から求めたF/AのN=6測定平均値からユニバーサル硬度を算出する。
[ナノインデンテーションによる表面硬度]
また、特開2004−354828号公報記載のナノインデンテーションによって表面硬度をもとめることができ、この場合の硬度としては2GPa〜4GPa、ナノインデンテーション弾性率は10GPa〜30GPaであることが好ましい。
6−9.防汚性試験
[マジック拭き取り性]
反射防止フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃、60RH%の条件下で黒「マジックインキ」(「マッキー極細」){商品名:ゼブラ(株)製}のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねた「ベンコット」{商品名:旭化成(株)}で「ベンコット」の束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。「マジックインキ」跡が拭き取りで消えなくなるまで、この書き込みと拭き取りを同一の条件で繰り返し、拭き取りできた回数により防汚性を評価することができる。
消えなくなるまでの回数は5回以上であることが好ましく、10回以上であることが更に好ましい。
黒「マジックインキ」については「マジックインキ No.700(M700―T1 黒)極細」を用い、試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶし、24時間放置後に「ベンコット」で擦り、「マジックインキ」が拭き取れるかどうかによっても評価することができる。
6−10.表面張力
本発明では、機能層を形成する塗布液の表面張力を、温度25℃の環境下で表面張力計{協和界面科学(株)製、“KYOWA CBVP SURFACE TENSIOMETER A3”}を用いて測定することができる。
6−11.接触角
接触角計[“CA−X”型接触角計、協和界面科学(株)製]を用い、乾燥状態(20℃、65%RH)で、液体として純水を使用して直径1.0mmの液滴を針先に作り、これをフィルムの表面に接触させてフィルム上に液滴を作った。フィルムと液体とが接する点における、液体表面に対する接線とフィルム表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角とする。
6−12.表面自由エネルギー
表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」{(株)リアライズ社出版、1989.12.10発行}に記載のように、接触角法、湿潤熱法、及び吸着法により求めることができ
る。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
本発明の反射防止フィルムの表面自由エネルギー(γsv:単位、mN/m)とは、D.K.Owensの“J.Appl.Polym.Sci.”、13巻、p.1741(1969年)を参考に、反射防止フィルム上で実験的に求めた純水H2Oとヨウ化メチレンCH22のそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から、以下の連立方程式a,b{数式(5)}より求めた値γsdとγshの和として表される値γsv(=γsd+γsh)で定義される、反射防止フィルムの表面張力を表す。このγsvが小さく、低表面自由エネルギーであるほど表面の撥き性が高く、一般に防汚性に優れる。
数式(5):
a.1+cosθH2O=2√γsd(√γH2O d/γH2O v)+2√γsh(√γH2O h/γH2O v
b.1+cosθCH2I2= 2√γsd(√γCH2I2 d/γCH2I2 v)+2√γsh(√γCH2I2 h/γCH2I2 v
γH2O d=21.8、γH2O h=51.0、γH2O v=72.8、
γCH2I2 d=49.5、γCH2I2 h=1.3、γCH2I2 v=50.8
接触角の測定は、反射防止フィルムを25℃、60%RHの条件下で1時間以上調湿した後に、協和界面科学(株)製、自動接触角計「CA−V150型」を用いて、2μLの液滴をフィルム上に滴下してから30秒後に接触角を求めた。
本発明の反射防止フィルムの表面自由エネルギーは25mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以下であることが特に好ましい。
6−13.カール
カールの測定は、JIS K−7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。
測定条件は25℃、60%RH、調湿時間10時間である。
本発明における反射防止フィルムは、カールを以下の数式(6)で表したときの値が、−15〜+15の範囲に入っていることが好ましく、−12〜+12の範囲がより好ましく、さらに好ましくは−10〜+10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェッブ形態での塗布の場合、基材の搬送方向について測ったものである。
数式(6):カール=1/R
Rは曲率半径(m)
これは、フィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれを起こさないための重要な特性である。カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。ここで、カールが「+」とはフィルムの塗設側が湾曲の内側になるカールをいい、「−」とは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、本発明におけるフィルムは、上記したカール測定法に基づいて、相対湿度のみを80%と10%に変更したときの各カール値の差の絶対値が、24〜0が好ましく、15〜0がさらに好ましく、8〜0が最も好ましい。これはさまざまな湿度下でフィルムを貼り付けたときのハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
6−14.密着性評価
反射防止フィルムの層間、又は支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価することができる。
塗布層を有する側の表面に、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ“NO.31B”を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。100個の升目中、剥がれが10升以内であることが好ましく、2升以内であることが更に好ましい。
6−15.脆性試験(耐ひび割れ性)
耐ひび割れ性は、反射防止フィルムの塗布、加工、裁断、粘着剤の塗布、種々の物体への貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
反射防止フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃、60%RHの条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める曲率直径を測定し、表面のひび割れを評価することができる。
本発明のフィルムの耐ひび割れ性は、塗布層側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率直径が、50mm以下であることが好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。
6−16.表面抵抗
本発明のフィルム表面抵抗は、超絶縁抵抗/微小電流計“TR8601”{(株)アドバンテスト製}を用いて、25℃、湿度60%RHの条件下で測定した。表面抵抗(Ω/□)の常用対数をとり、logSRの値を算出する。
6−17.塵埃除去性
本発明の反射防止フィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけ、クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃除去性を評価することができる。
6回の拭取りで完全に取除けることが好ましく、3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除けることが更に好ましい。
6−18.液晶表示装置の性能
以下に、本発明の反射防止フィルムを表示装置上に用いたときの特性の評価方法と好ましい状況について記載する。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置“TH−15TA2”{松下電器産業(株)製}に設けられている視認側の偏光板を剥がし、代わりに本発明の反射防止フィルム又は偏光板を、塗布面が視認側に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付ける。500Lxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、種々の視角から目視により以下の各種特性を評価することができる。
[画像のムラ、色味評価]
作製した液晶表示装置を用いて、黒表示(L1)時のムラや色味変化を複数の観察者により目視評価する。
10人が評価し、ムラ、左右色味変化、温湿度による色味変化、白ボケを認識できるものが3人以下であることが好ましく、1人も認識できないことがより好ましい。
また、外光の映り込みは蛍光灯を用いて行い、目視にて映り込みの変化を相対的に評価
することができる。
[黒表示の光漏れ]
液晶表示装置正面からの方位方向45゜、極角方向70゜における黒表示の光漏れ率を測定する。光漏れ率が0.4%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
[コントラスト、及び視野角]
コントラスト及び視野角は、測定機“EZ−Contrast 160D”(ELDIM社製)を用いて、コントラスト比及び左右方向(セルのラビング方向と直交方向)の視野角(コントラスト比が10以上となる角度範囲の広さ)を調べることができる。
以下に、実施例に基づき本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の実施例、合成例中、特に断らない限り%は質量%を表す。
<反射防止フィルムの作製>
〔含フッ素ポリマーの合成〕
合成例1:含フッ素ポリマー(P2)の合成
内容量100mLのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル18.5g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)8.8g、「サイラプレーンFM−0725」{チッソ(株)製}1.2g、及び“V−65”{熱ラジカル発生剤、和光純薬(株)製}0.40gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)15gを、オートクレーブ中に導入して62℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が62℃に達した時点の圧力は、8.9kg/cm2であった。オートクレーブ内を62℃に保持して9時間反応を続け、圧力が6.2kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。
室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンと2−プロパノールの混合物に投入し、デカンテーションにより溶媒を除去して沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを、少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンと2−プロパノールの混合物から2回再沈殿を行うことによって、残存モノマーを完全に除去し、減圧乾燥して含フッ素ポリマー(P2)を8.3g得た。得られたポリマーの数平均分子量は1.7万であった。
合成例2:含フッ素ポリマー(P3)の合成
内容量100mLのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル30g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)8.8g、“VPS−1001”{マクロアゾ開始剤:和光純薬(株)製}0.82g、及び過酸化ラウロイル0.29gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)15gを、オートクレーブ中に導入して70℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が70℃に達した時点の圧力は、9.0kg/cm2であった。オートクレーブ内を70℃に保持して9時間反応を続け、圧力が6.0kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。
室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンと2−プロパノールの混合物に投入し、デカンテーションにより溶媒を除去して沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを、少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンと2−プロパノールの混合物か
ら2回再沈殿を行うことによって、残存モノマーを完全に除去し、減圧乾燥して含フッ素ポリマー(P3)を19.3g得た。得られたポリマーの数平均分子量は2.1万であった。
合成例3〜8:含フッ素ポリマー(P1)、(P4)、(P12)、(P15)、(P20)及び(P23)の合成
上記合成例1とほぼ同様にして、含フッ素ポリマー(P1)、(P4)、(P12)、(P15)、(P20)及び(P23)を合成した。得られた含フッ素ポリマーそれぞれの数平均分子量は、前記の表1及び表2に示したとおりである。
〔硬化触媒(塩)の合成〕
合成例9:p−トルエンスルホン酸の4−メチルモルホリン塩の合成
4−メチルモルホリン3.0gを2−ブタノン30mLに溶解し、攪拌しながらp−トルエンスルホン酸一水和物5.7gを少量ずつ添加した。さらに1時間攪拌した後溶媒を減圧留去し、得られた固体をアセトンから再結晶してp−トルエンスルホン酸の4−メチルモルホリン塩6.1gを得た。
本発明においては、合成例9で得られるような個体の塩を用いてもよいし、例えば合成例9で溶媒を減圧留去する前の溶液のような、有機塩基と酸を混合した溶液をそのまま用いてもよい。後述の表4中に示されている酸と有機塩基からなる塩はこれらと同様な方法により調製した。
〔反射防止フィルムの作製〕
実施例1−1〜1−42及び比較例1−1〜1−5
[オルガノシラン化合物 ゾル液aの調製]
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”{信越化学工業(株)製}100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却した。得られたゾル液の質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量1000〜20000の成分が100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分の濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
[中空シリカ分散液の調製]
中空シリカ微粒子ゾル“CS60−IPA”{イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31}500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30.5部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.51部加え混合した後に、イオン交換水9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、分散液を得た。その後、シリカの含率がほぼ一定になるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力30Torrで減圧蒸留による溶媒置換を行い、最後に濃度調整により固形分濃度18.2%の分散液を得た。得られた分散液のIPA残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ0.5%以下であった。
[低屈折率層用塗布液(LL−1〜LL−39)の調製]
表4に示す様に各成分を混合し、2−ブタノンに溶解して固形分6%の低屈折率層用塗布液を作製した。
Figure 2007086750
なお表4中の使用量の数値は、低屈折率層用塗布液の固形分中に占める各成分の固形分(又は有効成分)の質量%を表す。また表4中の略号は次のとおり。
CY303:「サイメル303」、日本サイテックインダストリーズ(株)製、メチロール化メラミン。
MX−270:「ニカラックMX−270」、三和ケミカル(株)製、テトラメトキシメチルグリコールウリル。
ST、ST−L:「MEK−ST」、「MEK−ST−L」、日産化学工業(株)製コロイダルシリカ(シリカ粒子)。
中空シリカ:触媒化成工業(株)製中空シリカ(塗布液には前記中空シリカ分散液を用いた。)。
また、H−1a、H−2aはそれぞれ下記構造の化合物を表す。
Figure 2007086750
硬化触媒の酸の名前は、本文中に記載の略称で示した。添加法の欄は、塩をどのように調製して用いたかを示してあり、「固体」は酸と有機塩基の塩を単離して用いた場合で、「溶液」とは酸と有機塩基を同じ当量含む溶液を調製して用いたことを示す。
[ハードコート層用塗布液(HCL−1)の調製]
“PET−30” 50.0g
「イルガキュア184」 1.0g
「イルガキュア907」 1.0g
“SX−350”(30%) 2.0g
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 14.0g
“KBM−5103” 10.0g
トルエン 38.5g
上記混合液を、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層の塗布液(HCL−1)を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
“PET−30”:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物{日本化薬(株)製}
「イルガキュア184」、「イルガキュア907」:重合開始剤{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}
“SX−350”:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子{屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}。
架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm{屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}。
“KBM−5103”:アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン{信越化学工業(株)製}。
[ハードコート層用塗布液(HCL−2〜HCL−6)の調製]
各種内部散乱、表面散乱によるヘイズをもったフィルムを作製するため、上記HCL―1に含まれる透光性粒子の添加量及び2種の粒子の比率を変化させた、HCL−2〜HCL−6を調製した。使用した各成分の種類及び使用量を表5に示す。尚、表5中の使用量の
数値は、ハードコート層用塗布液の固形分中に占める各成分の固形分(又は有効成分)の質量%を表す。
Figure 2007086750
[反射防止フィルム(101)の作製]
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、直接、上記のハードコート層用塗布液(HCL−1)を、線数180本/in、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1体積%で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量110mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの層を形成し、巻き取った。このようにして作製して得られたハードコート層の表面粗さは、Ra=0.18μm、Rz=1.40μm、ヘイズ35%であった。
このようにして得られたハードコート層の上に、上記低屈折率層用塗布液(LL−1)を用い、低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して、反射防止フィルム試料(101)を作製した。低屈折率層の乾燥条件は100℃、10分とし、紫外線硬化条件は、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度120mW/cm2、照射量240mJ/cm2の照射量とした。
[反射防止フィルム(102)〜(147)の作製]
反射防止フィルム(101)の作製において、ハードコート層用塗布液および低屈折率層用塗布液を表6の組み合わせで用いる以外は反射防止フィルム(101)の作製と同様にして、反射防止フィルム(102)〜(147)を作製した。
[反射防止フィルムの鹸化処理]
得られた反射防止フィルムは、以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm3水酸化ナトリウム水溶液、55℃−120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm3硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた、鹸化済みの反射防止フィルムを用いて以下の評価を行った。
(評価1)平均反射率の測定
分光光度計“V−550”{日本分光(株)製}を用い、380〜780nmの波長領域において、積分球を用いて、入射角5°における分光反射率を測定した。分光反射率の評価において、450〜650nmの平均反射率を用いた。
反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
尚、後述する偏光板に加工されている試料は、偏光板形態のものをそのまま用いて測定した。偏光板を使用しない形態の表示装置の場合には、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未
満)を行い、黒色の台上にて測定した。
(評価2)表面ヘイズ
以下の測定により、得られたフィルムの表面ヘイズ(Hs)を測定した。
(i)JIS K−7136に準じて、得られた反射防止フィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(ii)得られた反射防止フィルムの低屈折率層側の表面に、「セロテープ」{ニチバン(株)製}を貼付け、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定した「セロテープ」のヘイズを差し引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
(iii)上記(i)で測定した全ヘイズ(H)から上記(ii)で算出した内部ヘイズ(H
i)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
(評価3)スチールウール耐擦傷性評価
前記「6−7.耐擦傷性」における[スチールウール耐傷性評価]の方法に従い、荷重を500g/cm2として擦りテストを行った後、擦り終えた試料の裏側に油性黒インキ
を塗り、反射光で目視観察して、擦り部分の傷を、以下の基準で評価した。
○ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△ :弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
××:一面膜が傷ついている。
(評価4)消しゴム擦り耐擦傷性評価
前記「6−7.耐擦傷性」における[消しゴム擦り耐傷性評価]の方法に準じ、擦り回数を300往復として擦りテストを行った後、擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、擦り部分の傷を、以下の基準で評価した。
○ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△ :弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
××:一面膜が傷ついている。
(評価5)塗布液安定性評価
実施例1で作製した塗布液を、30℃、60%RH下で密閉して1ヶ月間保存し、その後実施例1と同じようにして反射防止フィルムを作製した。試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、面状を以下の基準で評価した。
○ :非常に注意深く見ても、ムラが見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱いムラが見える。
△ :弱いムラが見える。
△×:中程度のムラが見える。
× :一目見ただけで分かるムラがある。
評価結果を、得られた反射防止フィルムの構成と共に表6に示す。評価5で作製したサンプルは評価1〜4で用いたサンプルとは異なるが、同じ成分の塗布液を用いたものなので表6に併せて記載した。
Figure 2007086750
本実施例から明らかなように、本発明の反射防止フィルムは、耐擦傷性及び、塗布液の保存安定性に優れている。
実施例2−1〜2−34及び比較例2−1〜2−5
[ハードコート層用塗布液(HCL−7)の調製]
「デソライトZ7404」{ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:JSR(株)製}100質量部、“DPHA”{UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製}31質量部、“KBM−5103”{シランカップリング剤:信越化学工業(株)製}10質量部、メチルエチルケトン(MEK)29質量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)13質量部、シクロヘキサノン5質量部をミキシングタンクに投入し攪拌してハードコート層塗布液(HCL−7)とした。
[反射防止フィルム(201)の作製]
支持体として、トリアセチルセルロースフィルム“TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、上記のハードコート層用塗布液(HCL−2)を、線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後のハードコート層の厚さが4.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整してハードコート層を作製した。
このようにして得られたハードコート層の上に、上記低屈折率層用塗布液(LL−1)を用いて低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して反射防止フィルム試料(201)を作製した。低屈折率層の乾燥条件は110℃、10分とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度120mW/cm2、照射量240mJ/cm2の照射量とした。
反射防止フィルム(201)の作製において、低屈折率層用塗布液(LL−1)を用いる代わりに、(LL−2)〜(LL−39)の何れかを用いる以外は反射防止フィルム(201)の作製と同様にして反射防止フィルム(202)〜(239)を作製した。
得られた反射防止フィルム(202)〜(239)の層構成を表7に示す。
Figure 2007086750
反射防止フィルム(201)〜(239)を、実施例1に準じて評価したところ、低屈折率層用塗布液(LL−1)〜(LL−9)及び(LL−15)〜(LL−39)を用いた本発明の反射防止フィルムは、実施例1の反射防止フィルムと同様の効果が得られた。
<反射防止フィルム付き偏光板の作製>
実施例3
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。実施例1の鹸化処理済みの反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、該反射防止フィルムの支持体(トリアセチルセルロース)側が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。光学補償層を有する視野角拡大フィルム「ワイドビューフィルムSA12B」{富士写真フイルム(株)製}を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。こ
の偏光板状態で実施例1に準じた評価を行った結果、本発明の反射防止フィルムを用いた本発明の偏光板は同様の効果が得られた。
<画像表示装置の作製>
実施例4
実施例1及び2で作製した反射防止フィルム試料を、それぞれ有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、いずれもガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。
実施例5
片面下塗り層を有し、厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム「コスモシャインA4100」{帝人(株)製、屈折率:1.65}の下塗り面に、実施例1の反射防止フィルム(101)と同じ方法で、ハードコート層/低屈折率層を形成し、実施例1と同様の評価を行った。反射光が著しく低減され、耐傷性が高く、フラットCRT、及びPDPの最表面に貼り付けたところ、低反射、及び高い膜硬度を同時に満足した表示装置が得られた。
図1は、本発明の反射防止フィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 図2は、本発明の反射防止フィルムの別の好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 図3は、本発明の反射防止フィルムのまた別の好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 図4は、本発明の反射防止フィルムのさらに別の好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 図5は、本発明の反射防止フィルムのさらにまた別の好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
(1)支持体
(2)ハードコート層
(3)中屈折率層
(4)高屈折率層
(5)低屈折率層

Claims (11)

  1. 支持体上に、無機粒子と、共役酸のpKaが5.0〜11.0である有機塩基と酸とからなる塩を少なくとも1種含有する組成物を塗設して形成される少なくとも1層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 無機粒子がシリカ微粒子である請求項1記載の反射防止フィルム。
  3. 無機粒子が中空構造を有し、屈折率が1.15〜1.40の範囲である請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
  4. 表面散乱に起因するヘイズ値が5%以上15%未満である請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム
  5. 反射防止フィルムを構成する少なくとも1層が、オルガノシラン化合物を含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  6. 組成物が、更に
    (a)含フッ素ビニルモノマー重合単位及び(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位を、それぞれ少なくとも1種含有する含フッ素ポリマーを少なくとも1種と、
    水酸基と反応可能な架橋剤を少なくとも1種とを含有する組成物であり、該組成物を塗設して形成される層が低屈折率層である請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  7. 含フッ素ポリマーが、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位、及び(c)側鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含有するグラフト部位を有する重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、主鎖が炭素原子のみである請求項6に記載の反射防止フィルム。
    一般式(1):
    Figure 2007086750
    式(1)中、R11、R12は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。pは2〜500の整数を表す。
  8. 含フッ素ポリマーが、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、(d)主鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含有する請求項6に記載の反射防止フィルム。
    一般式(1):
    Figure 2007086750
    式(1)中、R11、R12は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。pは2〜500の整数を表す。
  9. 架橋剤が分子中に窒素原子を含有し、且つ該窒素原子に隣接するアルコキシ基で置換された炭素原子を2個以上含有する化合物である請求項6〜8のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルム、又は請求項10に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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