JP2007086040A - 酸素感応膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】1Torr(133Pa)程度以下の低圧力域においても高い酸素感度を有し、かつ、マイクロ・ナノシステムへの適用を可能とする。
【解決手段】両親媒性の酸素感応物質を含む単分子膜が累積された累積膜により構成されていることを特徴とする酸素感応膜である。好適には、単分子膜は、前記酸素感応物質の分子間隔を制御するスペーサ分子として機能する両親媒性の充填物質をさらに含む。
【選択図】 なし
【解決手段】両親媒性の酸素感応物質を含む単分子膜が累積された累積膜により構成されていることを特徴とする酸素感応膜である。好適には、単分子膜は、前記酸素感応物質の分子間隔を制御するスペーサ分子として機能する両親媒性の充填物質をさらに含む。
【選択図】 なし
Description
本発明は酸素感応膜及びその製造方法に関し、より詳しくは低圧力域でも高い酸素感度を有する酸素感応膜及びその製造方法に関する。
光照射による発光と酸素による消光作用を利用したPSP(Pressure Sensitive Paint:感圧塗料)による表面圧力の計測技術が知られている。このPSPは、酸素感応物質としての、酸素消光性を有する光励起物質と、バインダーとしてのポリマーとからなり、固体表面上にスプレー塗布されて、酸素感応膜として使用に供される。
この酸素感応膜は、適切な波長の励起光(主に紫外線)が光励起物質の発光分子に照射されることで、発光分子が光子を吸収して基底状態から励起状態に遷移し、この励起状態から基底状態に戻る際にルミネセンス(蛍光及び燐光)を発する。このとき、光子を吸収して励起状態にある発光分子に酸素分子が接触すると、発光分子から酸素分子にエネルギーが移動し、発光分子はルミネセンスを発することなく基底状態に戻って消光する。このため、発光分子が発光(ルミネセンス)し、酸素によって消光する際のルミネセンス強度を測定することで、例えば気体が固体表面にもたらす圧力分布を計測することができる。このとき、ルミネセンス強度の強い部分、すなわち酸素による消光作用の小さい部分は圧力が低く、ルミネセン強度の弱い部分は圧力が高いことを示し、圧力はルミネセンス強度比と圧力との関係式(Stern−Volmerの式)によって計測される。
このようにPSPを用いた酸素感応膜では、酸素分圧にほぼ逆比例してルミネセンス強度が高くなる。また、発光分子に接触しうる酸素分子の数が多いほど、酸素による消光が起こり易くなる。このため、PSPは一般に、例えば1Torr(133Pa)以下の低圧力域では、酸素分子が少ないため、酸素の消光作用によるルミネセンス強度変化、すなわち酸素感度(圧力感度)が小さくなってしまい、表面圧力計測には適さないと考えられてきた。
しかし、1Torr以下の低圧力域では、PSPによる圧力計測で問題となる圧力感度の揺らぎや経時変化などが顕著に現れる。すなわち、低圧力域では、発光分子と酸素分子との分子レベルでの相互作用が圧力計測の精度に大きく影響する。このため、低圧力域での基礎特性の調査が、広い圧力範囲でのPSPによる表面圧力計測の高精度化にも重要であると考えられる。
そこで、1Torr程度以下の低圧力域における圧力感度、ルミネセンス強度の温度依存性と経時変化、圧力変化に対するルミネセンス強度の応答などの基礎特性を調査し、低圧力域へのPSPの適用に際しての問題点を明らかにした研究論文が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
この研究論文では、発光分子としてPtTFPP[Platinum Tetrakis(pentafluorophenyl)porphyrin]を用い、バインダとしてpoly(TMSP){poly[1−(trimethylsilyl)−1− propyne]}を用いたPSPを、有機溶媒に溶かしてエアブラシにより固体表面上にスプレー塗布して酸素感応膜を形成し、1Torr(133Pa)以下の低圧力域における基礎特性を調査している。
その結果、このPtTFPP/poly(TMSP)の組み合わせよりなるPSPによれば、1Torr(133Pa)以下の低圧力域においても、高い酸素感度を有するとともに絶対的はルミネセンス強度も強い酸素感応膜を得ることができ、高精度な圧力計測が可能になる、とされている。これは、このPSPにおけるPtTFPPは、例えばPtOEP(Platinum Octaethylporphyrin)と比べて、酸素消光性が高く、また、光劣化にも強いという特徴をもっていること、また、このPSPでは、酸素透過性に最も優れた高分子として知られているpoly(TMSP)をバインダに用いていることのためと、考えられる。
また、上記poly(TMSP)をバインダーとして用いたPSPは特許文献1にも開示されている。
「PSPの低圧力域における基礎特性に関する研究」、新美 智秀、吉田 昌紀、近藤 誠、大島 佑介、森 英男、江上 泰広、浅井 圭介、西出 宏之、日本機械学会論文集(B編)、68巻676号(2002年12月)、3360−3368頁、論文No.02−0503 特開2001−249076号公報
「PSPの低圧力域における基礎特性に関する研究」、新美 智秀、吉田 昌紀、近藤 誠、大島 佑介、森 英男、江上 泰広、浅井 圭介、西出 宏之、日本機械学会論文集(B編)、68巻676号(2002年12月)、3360−3368頁、論文No.02−0503
しかしながら、上記従来のpoly(TMSP)バインダのPSPでは、エアブラシを用いたスプレー塗布により、発光分子が樹脂バインダを介して固体表面上に付着されることから、以下に示すような問題があった。
すなわち、マイクロ・ナノシステムにおいて、例えばハードディスク内部におけるヘッド及びディスク表面間の流れのように、代表長さLが小さいマイクロ・ナノ流れや、分子の平均自由行程λが大きい低密度気体流など、高クヌッセン数(Kn=λ/L)領域における熱流体現象を解明しようとする場合は、マクロレベルの計測手法が原理的に適用できないため、分子レベルの計測手法が必要になる。
ところが、上記従来のpoly(TMSP)バインダのPSPでは、スプレー塗布により酸素感応膜を形成するので、膜厚が数マイクロメートル程度と厚くなり、また、厚さが不均一になるという問題がある。さらに、スプレー塗布では、酸素感応膜の表面粗さも大きくなってしまうことから、表面の空気流れに悪影響を及ぼすおそれもある。
したがって、上記従来のpoly(TMSP)バインダのPSPによる酸素感応膜を、マイクロ・ナノシステムに適用することは困難又は不可能であった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、1Torr(133Pa)程度以下の低圧力域においても高い酸素感度を有し、かつ、マイクロ・ナノシステムへの適用を可能とした酸素感応膜を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
上記課題を解決する本発明の酸素感応膜は、両親媒性の酸素感応物質を含む単分子膜が累積された累積膜により構成されていることを特徴とするものである。
ここに、前記単分子膜が累積された累積膜とは、2層以上の単分子膜が累積された多層膜よりなるものの他、単層の単分子膜よりなるものも含む意味である。
本発明に係る酸素感応膜の好適な態様において、前記酸素感応物質は酸素消光性を有する光励起物質である。
本発明に係る酸素感応膜の好適な態様において、前記光励起物質は金属ポルフィリン錯体である。
本発明に係る酸素感応膜の好適な態様において、前記金属ポルフィリン錯体はパラジウムメソポルフィリンである。
本発明に係る酸素感応膜の好適な態様において、前記単分子膜は、前記酸素感応物質の分子間隔を制御するスペーサ分子として機能する両親媒性の充填物質をさらに含む。
本発明に係る酸素感応膜の好適な態様において、前記充填物質はアラキジン酸である。
本発明に係る酸素感応膜は、好適な態様において、Iref :基準圧力1.0×10-2Paでの酸素感応膜のルミネセンス強度、I:測定圧力1.3×102 Paでの酸素感応膜のルミネセンス強度としたときの、ルミネセンス強度比Iref /Iが1.2以上になるように、前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数とがそれぞれ適正範囲に設定されている。
ここに、酸素感応膜のルミネセンス強度は、EMCCD(ANDOR Technology社製、型名「DV887AC−UV」)カメラを用い、CCD素子の温度:208K、ゲイン:200times、露光時間:5sec、酸素感応膜の温度:293K、励起光源:キセノンショートアークランプの条件で測定したときの、画素の輝度値である(以下、同様)。
本発明に係る酸素感応膜は、好適な態様において、二乗平均高さで示される表面粗さが10nm以下である。
上記課題を解決する本発明の酸素感応膜の製造方法は、両親媒性の酸素感応物質を含む単分子膜が累積された累積膜により構成された酸素感応膜の製造方法であって、両親媒性の酸素感応物質を含む膜物質を液体−気体の界面に展開して単分子膜を形成する展開工程と、前記単分子膜を通過する支持体上に該単分子膜を移し取って所定の層数だけ累積させる累積行程とを備えていることを特徴とするものである。
本発明に係る酸素感応膜の製造方法の好適な態様において、前記酸素感応物質は、酸素消光性を有する光励起物質である。
本発明に係る酸素感応膜の製造方法の好適な態様において、前記光励起物質は金属ポルフィリン錯体である。
本発明に係る酸素感応膜の製造方法の好適な態様において、前記金属ポルフィリン錯体はパラジウムメソポルフィリンである。
本発明に係る酸素感応膜の製造方法の好適な態様において、前記膜物質は両親媒性の充填物質を所定の混合比で含んでいる。
本発明に係る酸素感応膜の製造方法の好適な態様において、前記充填物質はアラキジン酸である。
本発明に係る酸素感応膜の製造方法の好適な態様において、前記展開工程では、互いに混合する極性溶媒及び無極性溶媒の混合溶媒に前記膜物質を溶解した展開溶液を液体−気体の界面に展開させる。
本発明に係る酸素感応膜の製造方法は、好適な態様において、Iref :基準圧力1.0×10-2Paでのルミネセンス強度、I:測定圧力1.3×102 Paでのルミネセンス強度としたときの、ルミネセンス強度比Iref /Iが1.2以上になるように、前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数とをそれぞれ適正範囲に設定する。
本発明に係る酸素感応膜は、両親媒性の酸素感応物質を含む単分子膜が累積された累積膜により構成されている。
単分子膜は、分子が平面状に配列した1分子の厚さの膜である。この単分子膜の累積膜により構成された本発明に係る酸素感応膜は、二次元状態にある酸素感応物質の分子が十分に分散されて、分子の配向や配座の均一性が非常に高く、分子の三次元的な凝集がないものである。このため、本発明に係る酸素感応膜では、分子レベルで酸素感度のバラツキを抑えることができる。
また、本発明に係る酸素感応膜では、膜厚を分子レベルのナノオーダーで制御することができるとともに、厚さの均一性も確保することができる。さらに、表面粗さも極めて小さくすることができる。
したがって、本発明に係る酸素感応膜は、マイクロ・ナノシステムに好適に適用することが可能となる。
また、本発明に係る酸素感応膜では、酸素感応膜における酸素感応物質と酸素との接触が樹脂バインダ等で妨げられることがないので、酸素感応物質と酸素との直接的な接触が可能となる。このため、本発明に係る酸素感応膜は、1Torr(133Pa)程度以下の低圧力域においても、高い酸素感度を有するものとなる。
前記酸素感応物質は両親媒性を有するものである。本発明に係る酸素感応物質は、後述するように、所謂L−B(Langmuir−Blodgett)膜法により製造することができる。このL−B膜法により単分子膜を形成するには、膜物質として、両親媒性物質(水を好む親水部と無極性溶媒を好む疎水部の両者を兼ね備えた物質)を用いる必要がある。両親媒性物質は、液体−気体(水−空気)の界面や液体−液体(水−油)の界面に、個々の分子が独立した状態で存在して単分子膜を形成する。
前記酸素感応物質の種類は、両親媒性のものであれば特に限定されないが、好適には酸素消光性を有する光励起物質とすることができる。
酸素消光性を有する光励起物質は、吸収スペクトルに相当する波長の励起光が照射されると、発光分子が光子を吸収して励起される。そして、励起状態にある光励起物質の発光分子は、基底状態に戻る際に励起光より長い波長のルミネセンスを発する。しかし、励起状態にある光励起物質の発光分子の周辺に酸素分子が存在すると、発光分子は酸素エネルギーを奪われて、ルミネセンスを発することなく基底状態に落ちる。酸素分子と発光分子との衝突頻度が高いほど、つまり圧力が高いほど、励起状態にある発光分子は減少し、発せられるルミネセンス強度も低下する。このため、例えば、ルミネセンスの強度をCCD(電荷結合素子)カメラ、光電管倍増管やシリコンダイオード等の光センサで計測し、酸素0%の状態等のルミネセンス強度と比較すれば、酸素濃度を測定したり、酸素感応膜が形成された固体表面に生じる圧力分布を計測したりすることが可能となる。なお、圧力は、ルミネセンス強度比と圧力との関係式(Stern−Volmerの式)によって求めることができる。
このような両親媒性で酸素消光性を有する光励起物質の種類は特に限定されないが、金属ポルフィリン錯体等を好適に挙げることができる。金属ポルフィリン錯体の好適な具体例としては、パラジウムメソポルフィリンや等を挙げることができる。
パラジウムメソポルフィリンとしてのPdMP(Palladiumu(II) Mesoporphyrin IX)は、下記(1)に示す構造式を有する分子量が671.07の固体で、励起三重項状態における寿命が長く、高い酸素消光性を有している。また、このPdMPは、分子構造の中に親水部と疎水部とを有する両親媒性物質であり、優れた単分子膜形成能を有している。なお、ポルフィリン環を垂直に配座したときの極限分子占有面積は約60Å前後であると推定される。また、メソポルフィリンの吸収極大は、ゾーレ帯(Soret帯)に399nm、Q帯に547nmと590nmであり、中心の金属イオンの種類により吸収帯の位置が変化する。一般的に、メソポルフィリンの金属錯体における吸収帯は、メソポルフィリンにおける吸収帯よりも短波長側に移動する。メソポルフィリンの金属錯体のゾーレ帯は385〜400nmの間にある。したがって、PdMPの正確な吸収帯は不明であるが、ゾーレ帯は390nm付近にあることが推測される。また、その発光極大は658nm、発光寿命は2.0msecである。
本発明に係る酸素感応膜において、前記単分子膜は、前記酸素感応物質の分子間隔を制御するスペーサ分子として機能する両親媒性の充填物質をさらに含んでいることが好ましい。
単分子膜において、酸素感応物質の分子同士の間隔が小さすぎると、分子同士が互いに干渉することにより、その分子の機能が低下することがある。例えば、酸素感応物質としての酸素消光性を有する光励起物質の発光分子同士が近接しすぎていると、酸素感度が低下したり、ルミネセンス強度が低下したりすることがある。この点、酸素感応物質の分子間隔を制御するスペーサ分子として機能する充填物質が単分子膜に含まれていると、この充填物質により酸素感応物質の分子間隔を適切に制御することにより、酸素感応物質を正常に機能させることができる。このため、酸素感度の向上やルミネセンス強度の向上の効果が期待できる。
また、充填物質により、酸素感応物質の分子の三次元的な凝集や強い結晶性を防いだり、単分子膜の形成や累積を容易にしたりする効果も期待できるので、形成される酸素感応膜において、酸素感応物質の分子の配向や配座の均一性をより高くして、分子レベルで酸素感度のバラツキを一層抑えることが可能となる。
このような充填物質の種類としては、両親媒性を有し、かつ、酸素感応物質の機能に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、好適にはアラキジン酸やステアリン酸等の長鎖脂肪酸等を挙げることができる。アラキジン酸は、C19H39CO2 Hで示される分子量312.52の飽和脂肪酸であり、極めて高い単分子膜形成能を有する。
ここに、酸素感応物質及び充填物質の混合比と、本発明に係る酸素感応膜を構成する単分子膜の累積層数とは、酸素感応膜における酸素感度やルミネセンス強度に影響を与える。
そこで、本発明に係る酸素感応膜においては、酸素感応物質及び充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数とが、酸素感度やルミネセンス強度が良好なものとなるように、適正範囲に設定されていることが好ましい。
具体的には、Iref :基準圧力1.0×10-2Paでの酸素感応膜のルミネセンス強度、I:測定圧力1.3×102 Paでの酸素感応膜のルミネセンス強度としたときの、ルミネセンス強度比Iref /Iが1.2以上になるように、前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数とがそれぞれ適正範囲に設定されていることが好ましい。このルミネセンス強度比Iref /Iの値が1よりも大きくなればなるほど、酸素感度(圧力感度)が高いことを示す。したがって、ルミネセンス強度比Iref /Iが1.3以上(特に好ましくは1.34以上)になるように、前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数とがそれぞれ適正範囲に設定されていることがより好ましい。
また、測定圧力1.3×102 Paでの酸素感応膜のルミネセンス強度が6000a.u.以上になるように、前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数とがそれぞれ適正範囲に設定されていることが好ましい。ルミネセンス強度が高ければ、ルミネセンス強度を計測する側のセンサ等の感度や精度等を仮に低下させても、正確な計測が可能になる。したがって、測定圧力1.3×102 Paでの酸素感応膜のルミネセンス強度が7000a.u.以上(特に好ましくは7500a.u.以上)になるように、前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数とがそれぞれ適正範囲に設定されていることが好ましい。
さらに、酸素感応膜においては、酸素感度、すなわちルミネセンス強度比と、ルミネセンス強度との双方がいずれも高い方が望ましい。したがって、前記ルミネセンス強度比Iref /Iが1.2以上(より好ましくは1.3以上、特に好ましくは1.34以上)になり、かつ、測定圧力1.3×102 Paでの酸素感応膜のルミネセンス強度が6000a.u.以上(より好ましくは7000a.u.以上、特に好ましくは7500a.u.以上)になるように、前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数とがそれぞれ適正範囲に設定されていることが好ましい。
前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数の好ましい範囲は、例えば後述する実施例で示すように以下のとおりである。
酸素感応物質及び充填物質の混合比(モル比。以下、同様)としては、酸素感度(圧力感度)の向上の観点より、、酸素感応物質:充填物質=1:1〜1:45とすることが好ましく、1:3〜1:21とすることがより好ましく、1:9〜1:21とすることが特に好ましく、1:9〜1:15とすることがさらに好ましい。
そして、酸素感応物質:充填物質=1:1であるときは、単分子膜の累積層数を2層とすることで前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.26程度にすることができ、好ましい。
酸素感応物質:充填物質=1:3であるときは、単分子膜の累積層数を6層以下とすることで前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.2以上にすることができ、好ましく、また、累積層数を2層とすることで前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.25程度にすることができ、より好ましい。
酸素感応物質:充填物質=1:9であるときは、単分子膜の累積層数を20層以下とすることで前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.2以上にすることができ、好ましく、また、累積層数を6層以下とすることで前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.28程度以上にすることができ、より好ましく、さらに、累積層数を2層とすることでが前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.34程度にすることができ、特に好ましい。
酸素感応物質:充填物質=1:15であるときは、単分子膜の累積層数を20層以下とすることで前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.23程度以上にすることができ、好ましく、また、累積層数を6層以下とすることで前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.33程度以上にすることができ、より好ましく、さらに、累積層数を2層とすることでが前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.41程度にすることができ、特に好ましい。
酸素感応物質:充填物質=1:21であるときは、単分子膜の累積層数を2〜20層とすることで前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.26〜1.39程度にすることができ、好ましく、また、累積層数を6〜20層とすることで前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.38〜1.39程度にすることができ、より好ましい。
酸素感応物質:充填物質=1:45であるときは、単分子膜の累積層数を6〜20層とすることで前記ルミネセンス強度比Iref /Iを1.2〜1.25程度以上にすることができ、好ましい。
また、酸素感応物質及び充填物質の混合比としては、ルミネッセンス強度向上の観点より、酸素感応物質:充填物質=1:1〜1:15とすることが好ましい。
さらに、別の言い方をすれば、単分子膜の累積層数が2層であるときは、酸素感応物質及び充填物質の混合比としては、酸素感度(圧力感度)の向上の観点より、酸素感応物質:充填物質=1:1〜1:21とすることが好ましく、1:9〜1:15とすることがより好ましい。
単分子膜の累積層数が6層であるときは、酸素感応物質及び充填物質の混合比としては、酸素感度(圧力感度)の向上の観点より、酸素感応物質:充填物質=1:3〜1:45とすることが好ましく、1:9〜1:21とすることがより好ましい。
単分子膜の累積層数が20層であるときは、酸素感応物質及び充填物質の混合比としては、酸素感度(圧力感度)の向上の観点より、酸素感応物質:充填物質=1:9〜1:45とすることが好ましく、1:9〜1:21とすることがより好ましい。
本発明に係る酸素感応膜は、好適な態様において、二乗平均高さで示される表面粗さが10nm以下とされている。単分子膜の累積膜により構成された本発明に係る酸素感応膜は、表面粗さが分子オーダーレベルと極めて小さい。このため、この酸素感応膜は、表面を流れる空気流れに悪影響を及ぼすおそれが小さく、マイクロ・ナノシステムにも好適に利用することが可能なる。
例えば、後述する実施例で示すように、酸素感応物質及び充填物質の混合比が、酸素感応物質:充填物質=1:9である場合において、単分子膜の累積層数が20層であれば二乗平均高さを7.2nm程度以下にすることができ、単分子膜の累積層数が6層であれば二乗平均高さを4.5nm程度以下にすることができ、単分子膜の累積層数が2層であれば二乗平均高さを0.78nm程度以下にすることができる。
このような構成を有する本発明に係る酸素感応膜は、展開工程と、累積工程とを備えた、所謂L−B(Langmuir−Blodgett)膜法により製造することができる。
展開工程では、両親媒性の前記酸素感応物質を含む膜物質を液体−気体の界面に展開して単分子膜を形成する。このとき、この膜物質は両親媒性の前記充填物質を所定の混合比で含んでいることが好ましい。
また、この展開工程では、膜物質としての酸素感応物質を良好に展開すべく、互いに混合する極性溶媒及び無極性溶媒の混合溶媒に前記膜物質を溶解した展開溶液を液体−気体の界面に展開させることが好ましい。このように互いに混合しやすい極性溶媒及び無極性溶媒の混合溶媒を用いれば、極性溶媒が膜物質の分子の親水部に作用する一方、無極性溶媒が膜物質の分子の疎水部に作用することで、膜物質の分子を良好に分散させることができる。ただし、極性溶媒と無極性溶媒との混合比を適切に制御しないと、分散性や展開性に悪影響を及ぼす場合もある。
例えば、酸素感応物質としての前記PdMPは、両親媒性物質であるが、親水部の強さと疎水部の強さとの比に偏りが少ない。それ故、展開性に優れた極性溶媒と無極性溶媒の両者に対して溶解性が低く、溶液中で十分な分散性が得られない。そこで、PdMPを展開溶液中で十分に分散させ、展開性にも優れた展開溶液を作成すべく、無極性溶媒としてのクロロホルムと極性溶媒としてのメタノールとの混合溶媒にPdMPを溶解させることが好ましい。この混合溶媒によれば、PdMPの親水部にメタノールが、疎水部にクロロホルムが働きかけ、高い溶解性と、展開溶液中での高い分散性を得ることが可能となる。このとき、クロロホルムとメタノールとの混合比(体積比。以下、同様)は、良好な分散性や展開性を確保する観点より、クロロホルム:メタノール=90:10〜70:30とすることが好ましい。メタノールの混合比が大きすぎると、溶液の親水性が強くなり、水−空気の界面に滴下した展開溶液の滴がクロロホルムの重みで水相に沈みやすくなり、また、メタノールの作用によって、PdMPが水相に溶解する可能性も高くなる。さらに、膜の展開性を考慮すると、可能な限りクロロホルムの混合比が大きい方が望ましい。したがって、クロロホルム:メタノール=90:10〜80:20とすることがより好ましく、90:10とすることが最適である。
累積工程では、液体−気体の界面に形成された前記単分子膜を通過する支持体上に該単分子膜を移し取って所定の層数だけ累積させる。このときの累積層数は、前述の通り、前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比に応じて、適正範囲に設定することが好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例)
まず、膜物質としての酸素感応物質と充填物質とを準備した。本実施例では、酸素感応物質として、酸素消光性を有する光励起物質としてのPdMPを用い、充填物質として、アラキジン酸を用いた。
まず、膜物質としての酸素感応物質と充填物質とを準備した。本実施例では、酸素感応物質として、酸素消光性を有する光励起物質としてのPdMPを用い、充填物質として、アラキジン酸を用いた。
なお、PdMP(歩留フィンの金属誘導体)は、Adlerらの手法を用いてフリーベース(金属誘導体でないもの)より合成した(例えば、A.D.Adler,F.R.Longo,K.Kampas,and J.Kim,On the preparation of metalloporphyrins,Journal of Inorganic Nuclear Chemistry,Vol.32,pp2443−2445(1970)参照。)ものを用いた。また、アラキジン酸は市販のもの(結晶、純度99%以上、MP Biomedicals社製)をそのまま用いた。
一方、展開溶媒として、混合比(体積比)がクロロホルム:メタノール=90:10である、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒を準備した。
<展開工程>
そして、PdMP:アラキジン酸=1:9の混合比(モル比)となるように、PdMPとアラキジン酸とを混合し、これを前記展開溶媒に溶解して、展開溶液(濃度:0.1mM、温度293K)を得た。なお、濃度は平均分子量に基づいて算出したものである。
そして、PdMP:アラキジン酸=1:9の混合比(モル比)となるように、PdMPとアラキジン酸とを混合し、これを前記展開溶媒に溶解して、展開溶液(濃度:0.1mM、温度293K)を得た。なお、濃度は平均分子量に基づいて算出したものである。
そして、この展開溶液を水−空気の界面に滴下して展開し、バリアー速度10mm/minの条件でバリアーを用いて圧縮することにより、膜物質としてのPdMP及びアラキジン酸の分子が配列してなる単分子膜を水−空気の界面に形成した。
<累積工程>
支持体として準備したスライドグラスを前記単分子膜に対して垂直に移動(上昇・下降移動)させることによって、スライドグラス上に単分子膜を移し取る累積操作を所定回数繰り返し、該単分子膜をスライドグラス上に所定の層数だけ累積させた。なお、累積時のディッパー速度は10mm/min、表面圧は30±0.5mN/mとした。
支持体として準備したスライドグラスを前記単分子膜に対して垂直に移動(上昇・下降移動)させることによって、スライドグラス上に単分子膜を移し取る累積操作を所定回数繰り返し、該単分子膜をスライドグラス上に所定の層数だけ累積させた。なお、累積時のディッパー速度は10mm/min、表面圧は30±0.5mN/mとした。
こうして、所定の層数だけ単分子膜が累積してなる酸素感応膜を得た。
(PdMP及びアラキジン酸の混合比と、酸素感度及びルミネセンス強度との関係)
前記実施例において、PdMP及びアラキジン酸の混合比を種々変更するとともに、累積層数を2層、6層、20層と変更してそれぞれ酸素感応膜を作製し、得られた各酸素感応膜の酸素感度及びルミネセンス強度をそれぞれ評価した。
前記実施例において、PdMP及びアラキジン酸の混合比を種々変更するとともに、累積層数を2層、6層、20層と変更してそれぞれ酸素感応膜を作製し、得られた各酸素感応膜の酸素感度及びルミネセンス強度をそれぞれ評価した。
この評価は、酸素感応膜の温度:293K、EMCCDカメラのCCD素子の温度:208K、ゲイン:200times、露光時間:5sec、測定圧力範囲:1.0×10-2〜1.3×102 Pa、励起光源:キセノンショートアークランプの条件で、以下のように行った。
まず、真空チャンバー内に試料片を設置し、スクロールポンプとターボ分子ポンプにより真空チャンバー内を排気した。そして、真空チャンバー内に純酸素を注入し、電離真空計及びキャパシタンスマノメーターを用いて真空チャンバー内の圧力を制御した。試料片の温度はペルチェ素子及び熱電対を用いて制御した。励起光源であるキセノンショートアークランプからの光は、レンズで絞った後、熱線吸収フィルター及び400±20nmのバンドパスフィルターを通過させ、光ファイバーを介して真空チャンバー内の試料片に照射した。試料片からの発光は、600nmのショートカットフィルターを用いて励起光を遮断し、EMCCDカメラで撮像した。
これらの結果を図1〜図7に示す。なお、図1は充填物質としてのアラキジン酸を添加してしないPdMPのみの評価結果、図2はPdMP:アラキジン酸=1:1の評価結果、図3はPdMP:アラキジン酸=1:3の評価結果、図4はPdMP:アラキジン酸=1:9の評価結果、図5はPdMP:アラキジン酸=1:15の評価結果、図6はPdMP:アラキジン酸=1:21の評価結果、図7はPdMP:アラキジン酸=1:45の評価結果である。また、図1〜図7において、(a)は前記ルミネセンス強度比(Iref /I)の評価結果、(b)はルミネセンス強度の評価結果である。また、図1〜図7において、●印のプロットを繋ぐ線図は累積層数が2層であるときの評価結果、▲印のプロットを繋ぐ線図は累積層数が6層であるときの評価結果、◆印のプロットを繋ぐ線図は累積層数が20層であるときの評価結果である。
これらの結果より、1.0×10-2〜1.3×102 Paの圧力域において、PdMPから構成された酸素感応膜、及びPdMPととアラキジン酸とから構成された全ての酸素感応膜は、いずれも圧力感度を有していることが明らかとなった。
また、図1と図2〜図7とを比較するとわかるように、充填物質としてのアラキジン酸を添加することにより、酸素感度が向上することが明らかとなった。なお、ルミネセンス強度については、PdMP:アラキジン酸=1:1〜1:15の範囲内の混合比でアラキジン酸を添加することにより、ルミネセンス強度が向上した。
さらに、以下のことが確認された。図3、図4及び図5にそれぞれの評価結果が示される混合比PdMP:アラキジン酸=1:3、1:9及び1:15の酸素感応膜は、累積層数の減少に伴って圧力感度が増加し、また、累積層数の増加に伴ってルミネセンス強度が増加した。そして、PdMP:アラキジン酸=1:3、1:9及び1:15の酸素感応膜において、圧力感度は非線形性が現れているものの連続的で、測定が十分可能なほど高かった。
図3の混合比1:3の酸素感応膜は、図4の混合比1:9の酸素感応膜及び図5の混合比1:15の酸素感応膜と比べて、ルミネセンス強度が若干低く、横方向の発光分子のエネルギの失活が潜在的に存在しているものと思われる。したがって、混合比1:9の酸素感応膜及び混合比1:15の酸素感応膜におけるルミネセンス強度が特に高いのは、発光分子がお互いに影響を及ぼさない範囲で極めて適切な分子間距離を保って配座していることを示している。
図6の混合比1:21の酸素感応膜及び図7の混合比1:45の酸素感応膜は、発光分子の分子間隔が十分に離れているために、発光分子がエネルギーを失活することはないが、絶対的な発光分子数が少ないためにルミネセンス強度は他の混合比のものよりも低く、混合比の増加に伴って徐々に減少した。また、混合比1:21の酸素感応膜及び混合比1:45の酸素感応膜で2層累積したものは、圧力感度が飽和に近付いていることがわかる。これは、膜内のPdMPの分子数が非常に少ないために、発光分子を十分に消光したためと考えられる。
なお、図1に示されるPdMP単独の酸素感応膜では、累積層数の増加に伴ってルミネセンス強度が減少し、絶対的な強度は混合比1:3や1:9の酸素感応膜等と比べて低い。通常、ルミネセンス強度は発光分子の数が多いほど高くなる。しかし、発光分子が密に接していたり近接した状態にあると、発光分子がエネルギーを熱として失い、ルミネセンス強度が減少することがある。PdMP単独のPSPは発光分子のみから構成されており、分子は非常に密に接した状態にあるために、エネルギを失ったものと考えられる。また、PdMP単独の酸素感応膜で累積層数の増加に伴ってルミネセンス強度が減少しているのは、膜厚方向の分子とも密に接した状態にあり、同様にしてエネルギを失ったものと考えられる。
なお、ここで評価した酸素感応膜は、いずれも安定した単分子膜により構成されていた。
(クロロホルム及びメタノールの混合比と、PdMPの溶解性及び展開性との関係)
前記実施例において、展開溶媒におけるクロロホルムとメタノールとの混合比を種々変更して、PdMPの溶解性及び展開性を評価した。
前記実施例において、展開溶媒におけるクロロホルムとメタノールとの混合比を種々変更して、PdMPの溶解性及び展開性を評価した。
その結果を表1に示すように、クロロホルムとメタノールとの混合比が、クロロホルム:メタノール=90:10〜70:30であれば、溶解性及び展開性の双方が良好であることが確認された。
(表面粗さの評価)
前記実施例において、PdMP及びアラキジン酸の混合比をPdMP:アラキジン酸=1:9にするとともに、累積層数を2層、6層、20層と変更してそれぞれ酸素感応膜を作製し、得られた各酸素感応膜について表面粗さをそれぞれ評価した。
前記実施例において、PdMP及びアラキジン酸の混合比をPdMP:アラキジン酸=1:9にするとともに、累積層数を2層、6層、20層と変更してそれぞれ酸素感応膜を作製し、得られた各酸素感応膜について表面粗さをそれぞれ評価した。
この評価はAFM(Atomic Force Microscopeの略)を用いて行った。なお、測定領域は10μm×10μmである。
また、比較のため、従来の酸素感応膜(PdOEP/poly(TMSP))についても同様に、表面粗さを調べた。
これらの結果を図8〜図12に示す。なお、図8は、酸素感応膜を形成する前の支持体表面、図9は累積層数が2層の酸素感応膜、図10は累積層数が6層の酸素感応膜、図11は累積層数が20層の酸素感応膜、図12は従来の酸素感応膜の表面粗さである。
さらに、表2にこれらの表面粗さ解析を示す。
これらの結果から、単分子膜の累積層数が多くなるほど、表面の凹凸の大きさと高さが増加していることが明らかとなった。また、2層から20層にかけて、全ての解析値が増加し、累積総数の増加に連れて表面粗さが増加した。これは、累積の初期では、支持体の状態に表面粗さが影響されるが、累積層数の増加とともに支持体の状態に加え累積過程による影響が増幅していったものと考えられる。
一方、2層の解析値が、最大高さを除いて、支持体の解析値よりも小さくなった。ここでは、支持体にスライドグラスを用いており、支持体には凹凸が存在している。しかし、支持体に単分子膜が2層累積されることによって、支持体の表面が覆われて凹凸が滑らかな状態になったと考えられる。特に、2層は支持体の影響を最も受けていると考えられるにもかかわらず、表面粗さは非常に小さかった。これは、累積した単分子膜が2層では、非常に薄く安定した状態にあることを示唆している。最大高さのみが大きくなったのは、特異点が存在し、画像処理の際に大きく影響されたためと考えられる。支持体の影響を排除するためには、支持体にスライドグラスではなく、雲母を劈開した表面のように単結晶で分子が均一な配向をもって配座した基板を用いることが望ましい。
これに対し、従来の酸素感応膜は、表面粗さが10倍以上大きかった。
Claims (16)
- 両親媒性の酸素感応物質を含む単分子膜が累積された累積膜により構成されていることを特徴とする酸素感応膜。
- 前記酸素感応物質は、酸素消光性を有する光励起物質であることを特徴とする請求項1記載の酸素感応膜。
- 前記光励起物質は金属ポルフィリン錯体であることを特徴とする請求項2記載の酸素感応膜。
- 前記金属ポルフィリン錯体はパラジウムメソポルフィリンであることを特徴とする請求項3記載の酸素感応膜。
- 前記単分子膜は、前記酸素感応物質の分子間隔を制御するスペーサ分子として機能する両親媒性の充填物質をさらに含むことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の酸素感応膜。
- 前記充填物質はアラキジン酸であることを特徴とする請求項5記載の酸素感応膜。
- Iref :基準圧力1.0×10-2Paでの酸素感応膜のルミネセンス強度、I:測定圧力1.3×102 Paでの酸素感応膜のルミネセンス強度としたときの、ルミネセンス強度比Iref /Iが1.2以上になるように、前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数とがそれぞれ適正範囲に設定されていることを特徴とする請求項5又は6記載の酸素感応膜。
- 二乗平均高さで示される表面粗さが10nm以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の酸素感応膜。
- 両親媒性の酸素感応物質を含む単分子膜が累積された累積膜により構成された酸素感応膜の製造方法であって、
両親媒性の酸素感応物質を含む膜物質を液体−気体の界面に展開して単分子膜を形成する展開工程と、
前記単分子膜を通過する支持体上に該単分子膜を移し取って所定の層数だけ累積させる累積行程とを備えていることを特徴とする酸素感応膜の製造方法。 - 前記酸素感応物質は、酸素消光性を有する光励起物質であることを特徴とする請求項9記載の酸素感応膜の製造方法。
- 前記光励起物質は金属ポルフィリン錯体であることを特徴とする請求項10記載の酸素感応膜の製造方法。
- 前記金属ポルフィリン錯体はパラジウムメソポルフィリンであることを特徴とする請求項11記載の酸素感応膜の製造方法。
- 前記膜物質は両親媒性の充填物質を所定の混合比で含んでいることを特徴とする請求項9、10、11又は12記載の酸素感応膜の製造方法。
- 前記充填物質はアラキジン酸であることを特徴とする請求項13記載の酸素感応膜の製造方法。
- 前記展開工程では、互いに混合する極性溶媒及び無極性溶媒の混合溶媒に前記膜物質を溶解した展開溶液を液体−気体の界面に展開させることを特徴とする請求項9、10、11、12、13又は14記載の酸素感応膜の製造方法。
- Iref :基準圧力1.0×10-2Paでのルミネセンス強度、I:測定圧力1.3×102 Paでのルミネセンス強度としたときの、ルミネセンス強度比Iref /Iが1.2以上になるように、前記酸素感応物質及び前記充填物質の混合比と、前記単分子膜の累積層数とをそれぞれ適正範囲に設定することを特徴とする請求項13、14又は15記載の酸素感応膜の製造方法。
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JP2008292412A (ja) * | 2007-05-28 | 2008-12-04 | Toyota Motor Corp | 多孔体拡散測定装置および多孔体拡散測定方法 |
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-
2005
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