JP2007085721A - クリーンユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクティブな防塵フィルター256を用いて作業室251をクリーンな環境に維持するクリーンユニットにおいて、防塵フィルター256の粉塵捕集効率をγとするとき、作業室251の清浄度が1/γで支配されるようにする。防塵フィルター256はHEPAフィルターまたはULPAフィルターであり、作業室251から流出する気体の全てが防塵フィルター256の入り口に入るように構成する。
【選択図】図17
Description
一方、トップダウンのアプローチは様々な点で限界が見え始めているため、この限界を打破する手法として、自己組織化などによるボトムアップのアプローチが近年注目され、盛んに研究されている。
R.R.Llinas, The Biology of the Brain, p.94, W.H.Freeman & Company, NY,1989 S.Wolfram, A New Kind of Science, pp.51-81, Wolfram Media Inc., IL, USA, 2002
この発明が解決しようとする課題は、従来のように大掛かりで小回りが効かず、巨大な設備投資や固定資産負担が必要な巨大なクリーンルームを用いることなく、クリーンな環境を容易に得ることができ、また、一直線状にしか連結できない従来のクリーンユニットの持つ空間利用効率の悪さを解決し、トータルのパフォーマンスを投資的にも作業効率的にも部屋の面積有効利用的にも最大化することができ、目的に応じたトータルな一連のプロセスフローに対応してプロセスを高いフレキシビリティーを持って低コストで簡便に実行することができ、上記の各種の機能素子の製造に用いて好適なクリーンユニットシステムおよびこれに用いて好適なクリーンユニットを提供することである。
上記課題およびその他の課題は、添付図面を参照した本明細書の以下の記述により明らかとなるであろう。
周知のように、トップダウンのアプローチによる半導体デバイスの製造においては、フォトリソグラフィーを用いた2次元のパターニングが多用される。図1Aに半導体デバイスの一例としてMOSLSI(例えば、メモリ)を示す。図1Aに示すように、2次元のパターニングは通常、UV(紫外線)、EUV(極紫外線)フォトリソグラフィーや、電子線リソグラフィーを用いて、半導体基板において空間的に横方向の情報の交換を行うことなく、各時点で一気に(一括露光、現像、エッチングなど各要素プロセスが行われる時刻、時刻において瞬間的につまり、時間軸上の一点一点で)行われている。すなわち、2次元のパターニングの大きな特徴は時間が非連続、散発的(sporadic)に織り込まれていることである。
このように、トップダウン系は、いわば非連続的に時間が投影された非等方的な(方向性のある) 構造である。今、系が時間連続投影性あるいは空間等方性を有するときそれぞれ↑と記し、時間非連続投影性あるいは空間非等方性を有するときそれぞれ↓と記し、例えば、系が時間連続投影性と空間等方性とを有するとき、(時間投影性、空間方位性)=(↑、↑)のように記すことにすると、トップダウン系は時間非連続投影性と空間非等方性とを有するため、(時間投影性、空間方位性)=(↓、↓)と表される。
図2Bに示すように、ボトムアップでは、自律分散局所性により各部が局所ルールに従って勝手に構造を形成していくため、時間が連続的に投影されている。このとき、例えば、図1Aの場合と同様の2次元的広がりを持つボトムアップ構造(例えば、膀胱上皮細胞など)では、因果律は面内に存在する(in-plane causality) 。S. Wolframがセルラーオートマトンを使って示しているように、この構造形成には四つのタイプI〜IV(一定、周期的[入れ子的] 、機能構造的、ランダム)がある(S.Wolfram, A New Kind of Science, pp.51-81, Wolfram Media Inc., IL, USA, 2002 )。また、ボトムアップ系では、局所ルールに従うことから、大局的にはこれといった特別な方向が存在しないため、空間構造は一般に等方的になる。この場合、全体構造は、生成則に則って内在的要因から決まる。構造の変化量は、時間に対してスムーズな連続線となる。
このように、ボトムアップ系は、時間が連続的に投影された等方的な(方向性のない)構造であるので、上記の記法に従うと(時間投影性、空間方位性)=(↑、↑)と表される。
すなわち、図2Bに示すように、ボトムアップの起こった細胞の集合体では、神経系という連絡網を随伴することで各場所へのアクセスが可能となり、この神経系を介して脳からの指令・制御・情報抽出などが行われる。自己組織化体としての生物にはこの随伴神経系があることが本質的である。
すなわち、第1の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室と、
作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有することを特徴とするクリーンユニットである。
クリーンユニットは、例えばドラフト、クリーンベンチ、グローブボックスなどであるが、これに限定されるものではない。
作業室は、板状のハードな部材により構成するほか、風船あるいはバルーン状のソフトな材料を用いて構成してもよい。
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一つのクリーンユニットが、
クリーンな環境に維持することができる作業室と、
作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有することを特徴とするものである。
このクリーンユニットシステムは、例えば、非単一直線状配置、左右方向あるいは上下方向あるいは前後方向の折れ線状配置、枝状配置、ループ状配置またはそれらの二つ以上が混合した配置でクリーンユニットが連結された部分を含み、全体がそれらの非単一直線状配置、折れ線状配置、枝状配置、ループ状配置または混合配置であってもよい。ここで、折れ線状配置は少なくとも一つの曲がりを有するが、好適には二つ以上の曲がりを有する。一つの曲がりを有する場合の一例はL字型である。ここで言う曲がりには、例えば直角に曲がる場合のように非連続的に曲がる場合だけでなく、連続的にあるいは滑らかに曲がる場合も含まれる。したがって、例えば二つの曲がりを有する場合には、Uの字型に曲がる場合も含まれる。折れ線状配置に関して述べた以上のことは、以下においても同様である。
クリーンな環境に維持することができる作業室と、作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有する上記のクリーンユニットについては、第1の発明に関連して述べたことが成立する。
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
非単一直線状配置または折れ線状配置でクリーンユニットが連結された部分を含むことを特徴とするものである。
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一つのクリーンユニットは複数の連結部を有し、この複数の連結部は、試料が当該連結部を通過する際の方向が互いに非平行または互いに直交する少なくとも二つの連結部を含むことを特徴とするものである。
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一組の隣接するクリーンユニットにおいて、一方のクリーンユニットの出口を試料が通過する方向と他方のクリーンユニットの入り口を当該試料が通過する方向とが互いに非平行または互いに直交することを特徴とするものである。
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
所定の有限エリアに収まるように折れ線状配置でクリーンユニットが連結されていることを特徴とするものである。
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
ループ状配置でクリーンユニットが連結された部分を含むことを特徴とするものである。
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
複数のクリーンユニットはモザイク状配置で連結された複数種類のクリーンユニットを含むことを特徴とするものである。
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
トータルな一連のプロセスフローの中で複数回現れる同種類のプロセスを、複数のクリーンユニットにループ状配置でクリーンユニットが連結された部分を設けることにより、同一のクリーンユニットにおいて実行可能であることを特徴とするものである。
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムを用いて素子を製造する素子製造方法において、
複数のクリーンユニットは互いに種類が異なるコンパクトな装置をそれぞれ内部に有する複数のクリーンユニットが折れ線状配置またはループ状配置で連結された部分を含み、この部分においてトータルな一連のプロセスフローのプロセスの全部または主要部を一貫して実行するようにしたことを特徴とするものである。
ここで、素子には、上記の種々の素子や半導体素子などの各種電子素子のほか、バイオ素子、バイオエレクトロニクス素子などが含まれる。
クリーンな環境に維持することができる作業室と、
作業室に設けられた排気ダクトおよびパッシブな防塵フィルターとを有することを特徴とするクリーンユニットである。
ここで、このクリーンユニットは、作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部を有するものであっても、そうでなくてもよい。前者の場合については、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して述べたことが成立する。以下に説明する第12の発明においても同様である。作業室は、典型的には化学プロセス装置を有するが、それに限定されるものではない。
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一つのクリーンユニットが、
クリーンな環境に維持することができる作業室と、
作業室に設けられた排気ダクトおよびパッシブな防塵フィルターとを有することを特徴とするものである。
また、複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一つのクリーンユニットは複数の連結部を有し、この複数の連結部は、試料が当該連結部を通過する際の方向が互いに非平行または互いに直交する少なくとも二つの連結部を含むことにより、クリーンユニットの連結の自由度が大幅に増加し、実行するプロセスに応じて最適な配置でしかも最小の面積でクリーンユニットシステムを構成することが可能となる。
また、複数のクリーンユニットがモザイク状配置で連結された複数種類のクリーンユニットを含むことにより、多種多様なプロセスが含まれているプロセスに最適なクリーンユニットシステムを構成することができる。
また、トータルな一連のプロセスフローの中で複数回現れる同種類のプロセスを、複数のクリーンユニットにループ状配置でクリーンユニットが連結された部分を設けることにより、同一のクリーンユニットにおいて実行可能であることにより、同種類のプロセスに必要なクリーンユニットの数を大幅に減少させることができる。
また、クリーンユニットの作業室に排気ダクトおよびパッシブな防塵フィルターが設けられていることにより、作業室の内部を送風動力を用いずにクリーンな環境に維持することができる。
アクティブな防塵フィルターを用いて作業室をクリーンな環境に維持するクリーンユニットにおいて、
上記防塵フィルターの粉塵捕集効率をγとするとき、上記作業室の清浄度が1/γで支配されることを特徴とするものである。
第1〜第12の発明によるクリーンユニットあるいはクリーンユニットシステムの構成あるいはこれに関連して説明したことは、その性質に反しない限り、この第13の発明にも成立し、あるいは適用することができる。
また、必要に応じて、上述の二以上の発明を組み合わせてもよい。
より一般的には、この発明によれば、生命体に代表されるボトムアップ系とシリコンLSIに代表されるトップダウン系との利点を最大限活かすことができる高機能の機能素子を実現することができる。
また、ナノスケールで離散化されたバルクサイズの系を創出し、例えばシリコン基板上に形成されたLSIシステムと、それと近接して配された自律分散システムとを結合することにより、ボトムアップ系とトップダウン系とをつなぐプラットフォームを実現することができる。
また、ナノスケールで離散化されたバルクサイズ系を創出し、そこに現れる局所的かつ個別的にアドレスすることが可能な2〜3次元のナノ構造体を大局的サイズで得ることによって、微視的世界と巨視的世界とをつなぐ高機能のプラットフォームを実現することができる。さらに、現在では形がないが将来現れてくると考えられるほとんどのナノスケールの並列新機能要素と既存のULSIシステムとをシナジェティックに結合し、シリコンベースの世界と炭素系の有機物の世界との止揚をとることにより、飛躍的な機能の増大が可能となる。
この発明によるクリーンユニット(連結部を有するもの)によれば、クリーンユニットの連結の自由度が大きく、様々な配置でクリーンユニットを連結することができることにより、従来のように大掛かりで小回りが効かず、巨大な設備投資や固定資産負担が必要な巨大なクリーンルームや植物工場を用いることなく、クリーンな環境や高度育成環境を容易に得ることができ、また、一直線状にしか連結できない従来のクリーンユニットの持つ空間利用効率の悪さを解決し、トータルのパフォーマンスを投資的にも作業効率的にも部屋の面積有効利用的にも最大化することができ、目的に応じたトータルな一連のプロセスフローに対応してプロセスを高いフレキシビリティーを持って低コストで簡便に実行することができる高機能クリーンユニットシステムを実現することができる。また、プロセスの上流から下流まで最小限の種類あるいは最小個数のクリーンユニットでクリーンユニットシステムを構成することができるため、プロセスの最大効率化を図ることができる。また、作業性を落とすことなく高度プロセス環境を手軽に実現することができる。
さらに、ナノテクデバイスを作製し、あるいはバイオテクノロジー処理を実行するにあたって、一つの巨大なボックス、すなわちクリーンルームを用いるのではなく、少なくとも入り口から出口までの一部を、超クリーンな複数のクリーンユニットをループ状配置あるいは上下左右方向のつづら折り状配置で連結したもので置き換えることにより、空間あるいは面積の利用効率の向上を図ることができる。
また、複数種類のクリーンユニットを用いることで、化学プロセス、非化学プロセス、バイオプロセスなどの作業を一つの高機能クリーンユニットシステムの中で行うことができる。
また、微細構造などの次世代を担うキーストラクチャーや植物形質改変をコストパフォーマンスのよいレスデマンディングな方法で作製することができる。
また、植物体の育成に関しては、人工光源などの利用により、所望の地方あるいは地域の環境条件で栽培を行うことができるほか、速成栽培や成分強化野菜・薬草の栽培を行うこともできる。
また、装置を配置する部屋そのものの性能にかかわらず、低コストで一貫プロセスラインを構築することができる。このため、投資負担が軽減され、ベンチャーの製造分野への参入が容易となる。また、固定資産が小さく済むため、高度ナノテク製品を中小ベンチャーでも供与することができ、かつてのITソフト隆盛がこれからナノテクハード主体で勃興し、新産業が興り得る。
また、従来の技術の延長線上にあるデバイスに対し、その製造方法を置き換えるのではなく、従来にない新規なナノテクデバイスを(従来の延長上にあるハイテクデバイスの製造方法ではない)コストパフォーマンスのよいレスデマンディングな方法で作製することができる。
また、クリーン度や無害性の高さを各プロセス要素ごとに設定したクリーンユニットを連結したクリーンユニットシステムにより、高度環境化において、前処理、レジスト塗布、ベーキング、露光、現像、ポストベーク、エッチング、薄膜成長、メタライゼーション、表面観察、アセンブリなどの要素プロセスを一貫性をもって完遂することができる。
また、プロセスを要素化し、この要素プロセスの処理機能を各クリーンユニットあるいは各機能ユニットに持たせ、目的に応じてクリーンユニットあるいは機能ユニットを連結して全体システムを構成することにより、高効率なナノテクノロジープラットフォームやバイオテクノロジープラットフォームが得られるのみならず、さらに、ナノテクノロジープロセスユニットとバイオテクノロジープロセスユニットとを混成(連結)することにより、ナノ・バイオ融合プラットフォームを実現することができる。加えて、植物工場ユニットを連結することも可能である。
また、プロセスフローをあたかもプログラミングと同様に、サブルーチンや、分岐などのコンセプトを入れて最小のクリーンユニット数で最大の効率にて、クリーンルームなしで実行、遂行することができる。また、投入からロットアウトまでの全プロセス、あるいはその主要部をなす一連の工程をコンピュータのプログラムになぞらえて完全自動化で遂行することができる。
さらには、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーの実現環境をユビキタスに提供することが可能となる。
まず、この発明の第1の実施形態について説明する。
図3A、BおよびCはこの発明の第1の実施形態によるクリーンユニットを示し、図3Aは上面図、図3Bは正面図、図3Cは側面図である。このクリーンユニットでは、主に、ガスの発生や有機溶剤の使用などを伴う化学プロセスを行うが、これに限定されるものではない。
作業室211の大きさは、その中に必要なプロセス装置などを収容することができ、かつ、オペレーターが手作業用グローブ215に両手を入れて作業室211内で必要な作業を行うことができる大きさに選ばれる。作業室211の寸法の具体例を挙げると、図3A、BおよびCにおいて、奥行きa=50〜70cm、幅b=70〜90cm、高さh=50〜100cmである。また、作業室211を構成する材料としては、好適には、外部から内部を見ることができるようにするため、透明材料、例えばアクリル樹脂板が用いられる。機械的補強のため、このアクリル樹脂板を金属枠に取り付けるようにしてもよい。トランスファーボックス212、213、214の寸法cは例えばc=15〜20cmである。
図4A、BおよびCに示すように、トランスファーボックス212、213、214は、矩形断面を有する筒218の両端にこの筒218よりも一回り大きい額縁状のつば(フランジ部)219を有するものからなる。この場合、つば219の内周は筒218の内周と一致している。
次に、作業室211とトランスファーボックス212、213、214との接続の仕方について説明する。ここでは、一例として、作業室211の右側の側面にトランスファーボックス214を接続する場合について説明するが、他のトランスファーボックス212、213の接続の仕方も同様である。図5AおよびBに示すように、作業室211の内外を仕切る壁220にはトランスファーボックス214が取り付けられる部分に矩形の開口部220aが設けられている。また、壁220の外側の面においてこの開口部220aの直ぐ下の位置に水平方向に延びるストッパー221が設けられており、このストッパー221の両端部の上に鉛直方向に延びる一対のガイドレール222が互いに対向して平行に設けられている。これらのガイドレール222と壁220との間の隙間は、トランスファーボックス214のつば219の厚さより僅かに大きく選ばれている。そして、この隙間にトランスファーボックス214のつば219の両側部を上から差し込んでガイドレール222に沿ってスライドさせる。つば219の下端がストッパー221に接した時点でつば219とガイドレール222および壁220とがほぼ密着し、トランスファーボックス214の取り付けが終了する。
図8A、BおよびCに示すように、このクリーンユニットは、図3A、BおよびCに示すクリーンユニットの作業室211と同様な構成の作業室251を有する。この作業室251の背面および両側面にはそれぞれ、クリーンユニット間のコネクターおよび搬送路を兼用するトランスファーボックス252、253、254が設けられ、これらのトランスファーボックス252、253、254を用いて背面および両側面の三方向から他のクリーンユニットを連結することができるようになっているとともに、これらのトランスファーボックス252、253、254を通して試料などの搬送を行うことができるようになっている。また、作業室251の前面には二つの円形の開口部が設けられており、これらの開口部に一対の手作業用グローブ255が装着されている。作業室251の上面には、それ自体送風動力を持つアクティブ防塵フィルター256が取り付けられており、作業室251の内部を例えばクラス10またはクラス100程度のクリーンな環境に維持することができるようになっている。この場合、排気ダクトは設けられておらず、その代わりに、作業室251の両側面の下部の隅に排気用通風孔257が設けられている。この排気用通風孔257は、アクティブ防塵フィルター256から送られた空気を作業室251の外部に排気し、アクティブ防塵フィルターの動作により加わる正圧を調節するためのものである。このアクティブ防塵フィルター256としては、例えば、アクティブHEPAフィルターを用いることができる。なお、例えば、このクリーンユニットをバイオクリーンルーム代替で用いるときには、このアクティブ防塵フィルター256に直列にイオン殺菌除去装置を加えてもよい。
上記以外の構成は図3A、BおよびCに示すクリーンユニットの構成と同一である。
トランスファーボックス252、253、254の連結部位には、図3A、BおよびCに示すクリーンユニットと同様に、他のクリーンユニットを連結しない場合には、外気との密閉遮断板または遮断扉を付けることも可能である。
図9Aはこのクリーンユニットシステムを示す。また、図9Bはこのクリーンユニットシステムとの比較のための従来のクリーンユニットシステムを示す。
図9Aに示すように、部屋の中に定盤261、262、263、264がそれらの間にオペレーターが入って作業を行うのに十分なスペースをあけて設置されている。そして、定盤261上にはクリーンユニット265が、定盤262上にはクリーンユニット266、267が、定盤263上にはクリーンユニット268、269、270が、定盤264上にはクリーンユニット271、272、273がそれぞれ設置されている。これらのクリーンユニット265〜273はトランスファーボックス274により連結されており、繰り返し折れ曲がったつづら折り状配置となっている。
ただし、クリーンユニット265、269、272、273としては、左右二方向のみの連結が可能な従来のクリーンユニットを用いてもよい。
すなわち、図9Bに示すように、左右方向にのみ連結可能なクリーンユニット281〜288を左右方向に単一直線状配置で連結した従来のクリーンユニットシステムでは、長さが極めて長くなるため、設置スペースも長くなり、部屋のスペースの使用効率が悪い。したがって、この第1の実施形態によるクリーンユニットシステムの優位性は明らかである。なお、図9Bにおいて、符号289〜292は定盤、293は連結部を示す。
図10はこのクリーンユニットシステムを示す。図10に示すように、このクリーンユニットシステムにおいては、タイプAまたはタイプBの三方向接続可能なクリーンユニット1101〜1106がトランスファーボックス1107を介してループ状配置で連結されている。連結に使用されていないトランスファーボックス1107は密閉遮断板により遮断されている。
この第4の実施形態によれば次のような利点を得ることができる。すなわち、一般に、トータルな一連のプロセスにおいては、同一のプロセスを繰り返すことがよくあるが、左右方向にのみ連結可能なクリーンユニットを左右方向に連結した単一直線状配置の従来のクリーンユニットシステムでは、同一のプロセスを繰り返し行う場合、その都度上流側のクリーンユニットに試料を戻さざるを得ないため、作業効率が極めて悪い。これに対し、この第4の実施形態によれば、クリーンユニット1101〜1106が3方向接続可能であるので、プロセスフローに沿ってクリーンユニット1101〜1106の最適なループ状の連結が可能となり、試料の無駄な搬送を伴うことなく必要な回数、何回でも一連のプロセスを繰り返すことができる。このため、一連のプロセスを効率的に行うことができる。
図11はこのクリーンユニットシステムを示す。図11に示すように、このクリーンユニットシステムにおいては、タイプAまたはタイプBのクリーンユニット1101〜1106がトランスファーボックス1107を介してループ状配置で連結されていることは第19の実施形態と同様であるが、この場合にはさらに、クリーンユニット1102とクリーンユニット1105とがトランスファーボックス1107および中継ボックス1108を介して直接連結されている。この場合、図3A、BおよびCまたは図8A、BおよびCにおいて、作業室の奥行きの寸法a、トランスファーボックスの寸法c、背面トランスファーボックスの、向かって右側面からの距離xがx=(a−c)/2を満たすように設計することにより、単一の構造仕様のクリーンユニット1101〜1106のみを用いて図11に示すような連結を行うことができる。
図12はこのクリーンユニットシステムを示す。図12に示すように、このクリーンユニットシステムにおいては、タイプAまたはタイプBの三方向接続可能なクリーンユニット1121〜1128がトランスファーボックス1129を介して連結されている。この場合、クリーンユニット1122〜1127は第22の実施形態と同様なループ状配置で連結されている。
例えば、クリーンユニット1122、1123、1125、1126としてはタイプAのものを用い、クリーンユニット1121、1124、1127としてはタイプBのものを用いる。
また、一般的には、上記のタイプA、Bのクリーンユニットの中に収めるプロセス装置の性格により、図10に示すように、A、B(あるいはその変形型)からなる、いわゆる「モザイク」状のクリーンユニット配列パターンができ、これによりプロセス全体、あるいはその主要部の一連の工程(例えば、途中で有塵雰囲気に暴露すると歩留まりを下げてしまう恐れのある工程を済ませ、有塵雰囲気でも差し支えない、区切りの良い段階まで工程を進めてしまうことなど)を実行することができる。
また、あるトータルな、あるいは主要な一連のプロセスフローが与えられたとき、それに対応した一次元のクリーンユニットの繋がり具合(モザイクパターン)が決まるが、上記のタイプA、Bのクリーンユニットを用いることにより、同一処理(群)の繰り返しは同一クリーンユニット(群) で行うなどの束縛条件を満たすように(つまりこのモザイクのどことどこを繋げば最も効率がよくなるかを判定して)、クリーンユニットのループ状配置などの実現が可能となる。また、その際、必要な工程数、作業の段数の増加に対応して、拡張性に富み、かつ極めてフレキシブルなやり方でプロセス一貫システムを組上げることができる。
図13はこのクリーンユニットシステムを示す。図13に示すように、このクリーンユニットシステムにおいては、タイプAまたはタイプBの三方向接続可能なクリーンユニット1151〜1171がトランスファーボックス1172を介して連結されている。この場合、クリーンユニット1160〜1165は第21の実施形態と同様なループ状配置で連結され、クリーンユニット1166〜1171は第22の実施形態と同様なループ状配置で連結されている。クリーンユニット1155の背面のトランスファーボックス1172とクリーンユニット1160の右側面のトランスファーボックス1172とは中継ボックス1173を介して連結されている。また、クリーンユニット1158の背面のトランスファーボックス1172とクリーンユニット1165の右側面のトランスファーボックス1172とは中継ボックス1173を介して連結されている。さらに、クリーンユニット1167の背面のトランスファーボックス1172とクリーンユニット1170の背面のトランスファーボックス1172とは中継ボックス1173を介して連結されている。クリーンユニット1160〜1165にはこのクリーンユニットシステムを用いて実行するプロセスに必要なプロセス装置や観察装置などが設置されている。
図15A、BおよびCはこの第8の実施形態によるクリーンユニットを示し、図15Aは上面図、図15Bは正面図、図15Cは側面図である。
図15A、BおよびCに示すように、このクリーンユニットは、六面体形状の箱状の作業室211の背面および両側面にそれぞれトランスファーボックス212、213、214が着脱自在に設けられていることに加えて、この作業室211の上面および下面にそれぞれトランスファーボックス1201、1202が着脱自在に設けられている。これらのトランスファーボックス1201、1202の構造は、トランスファーボックス212、213、214と同様である。
上記以外のことは第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第8の実施形態によるクリーンユニットを以下においてはタイプCという。
図16A、BおよびCはこの第9の実施形態によるクリーンユニットを示し、図16Aは上面図、図16Bは正面図、図16Cは側面図である。
図16A、BおよびCに示すように、このクリーンユニットは、六面体形状の箱状の作業室251の背面および両側面にそれぞれトランスファーボックス252、253、254が着脱自在に設けられていることに加えて、この作業室251の上面および下面にそれぞれトランスファーボックス1203、1204が着脱自在に設けられている。これらのトランスファーボックス1203、1204の構造は、トランスファーボックス212、213、214と同様である。
上記以外のことは第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第9の実施形態によるクリーンユニットを以下においてはタイプDという。
図17はこの第10の実施形態によるクリーンユニットを示す正面図である。
図17に示すように、このクリーンユニットにおいては、作業室251の左側の側面の下部の隅の排気用通風孔(図示せず)は図示省略した蓋などにより塞がれており、右側の側面の下部の隅の排気用通風孔とアクティブ防塵フィルター256の入り口との間に、気密性を有する管1251が接続されている。そして、排気用通風孔から排気される気体の全てがこの管1251を通ってアクティブ防塵フィルター256の入り口に入るようになっている。このようにすることにより、気体は、アクティブ防塵フィルター256→作業室251→排気用通風孔→管1251→アクティブ防塵フィルター256のように循環するため、作業室251内の清浄度の大幅な向上を図ることができる。
作業室251内で化学プロセスを実行する場合には、化学プロセス対応のアクティブ防塵フィルター256を用いるとともに、上記の管1251の途中に吸着塔1252あるいは吸着剤を設置することで、ダクトなどを通じて外部に接続することなく、クローズドシステムで有害物質の除去とクリーンな環境の維持とを両立させることができる。
また、作業室251の内壁の全部または一部に粘着シートを貼り付けてダスト微粒子を付着させることで、清浄度のさらなる向上を図ることが可能である。この場合、粘着シートを多層化したものを用い、一枚ずつ剥がすことで清浄なシート面を露出させることにより、常時ダスト微粒子の付着効果を維持することができる。
作業室251の詳細の図示および説明は省略するが、第2または第7の実施形態と同様である。
この第10の実施形態によるクリーンユニットを以下においてはタイプEという。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、材料、形状、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、形状、配置などを用いてもよい。必要に応じて、上述の実施形態の二以上を組み合わせてもよい。
また、例えば、上述の第1〜第10の実施形態においては、サイズが同じタイプA〜Eの5種類の基本のクリーンユニットを所定の配置で連結してクリーンユニットシステムを構成しているが、タイプA〜E間でクリーンユニットのサイズが互いに異なっていてもよいし、タイプは同じであるがサイズが異なるクリーンユニットを用いてもよいし、タイプA〜Eを変形したクリーンユニットを用いてもよいし、さらには3種類以上のタイプのクリーンユニットを用いてもよい。
また、第3〜第7の実施形態によるクリーンユニットシステムにおいて、上下(鉛直)方向の自由度を利用して一部三次元的な接続を取り入れることも可能である。また、トランスファーボックスの密閉用の遮断板は、パッキンを備えた扉式のものを用いてもよい。また、一部のクリーンユニットおよびトランスファーボックスを加圧あるいは減圧対応、あるいは、真空対応にすることも可能である。この場合、トランスファーボックスは密閉性を高め、それ自体に加圧装置や局所排気装置をつけることが望ましい。また、トランスファーボックスは必ずしも直線状である必要はなく、例えばくの字型に曲がっていてもよい。また、トランスファーボックスに三方向接続性を備えさせることで、クリーンユニットをT字型に配置することも可能である。さらに、一旦クリーンユニットを連結した後に全てのトランスファーボックスの引き戸を開放して、例えば回転寿司店で寿司などの提供に用いられている搬送コンベアと同様の自動搬送コンベアをクリーンユニットシステムを貫いて設けることも可能である。
Claims (8)
- アクティブな防塵フィルターを用いて作業室をクリーンな環境に維持するクリーンユニットにおいて、
上記防塵フィルターの粉塵捕集効率をγとするとき、上記作業室の清浄度が1/γで支配されることを特徴とするクリーンユニット。 - 上記防塵フィルターの風量をV、上記作業室の内面積をS、単位面積・単位時間当たりのダスト微粒子の脱離レートをσとするとき、Sσ/γVを最小化することを特徴とする請求項1記載のクリーンユニット。
- 上記防塵フィルターがHEPAフィルターまたはULPAフィルターであることを特徴とする請求項1または2記載のクリーンユニット。
- 上記作業室から流出する気体の全てが上記アクティブな防塵フィルターの入り口に入るように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のクリーンユニット。
- 上記作業室に直結された気密性を有する管が上記防塵フィルターの入り口に繋がっていることにより気体が循環するように構成され、かつ気密性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のクリーンユニット。
- 上記管に吸着剤または吸着塔が接続されていることを特徴とする請求項5記載のクリーンユニット。
- 上記作業室の内壁の少なくとも一部に粘着シートが貼り付けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のクリーンユニット。
- 上記作業室の内壁の表面が、空間周波数において、上記作業室から除去しようとするダスト微粒子の径と同じオーダーの表面凹凸のフーリエ成分を持たないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のクリーンユニット。
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