JP2007085629A - 氷蓄熱設備の運転方法、及び、氷蓄熱設備 - Google Patents

氷蓄熱設備の運転方法、及び、氷蓄熱設備 Download PDF

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Abstract

【課題】 氷蓄熱設備における蓄熱運転を効率的かつ能率良く行えるようにし、設備の運転コストを低減する。
【解決手段】 蓄熱槽1の貯留冷水Cを冷却し、かつ、蓄熱槽1内に氷集積層Aを形成する蓄熱運転を実施するのに、蓄熱槽1の上部から取り出した冷水Cを冷熱源装置Xに送って4℃に冷却し、その冷却した冷水Cを蓄熱槽1の下部に戻す前段蓄熱運転を、蓄熱槽1の上部における貯留冷水Cの温度が4℃に低下するまで実施し、それに続き、蓄熱槽1の下部から取り出した冷水Cを冷熱源装置Xに送って0℃に冷却し、その冷却した冷水Cを蓄熱槽1の上部に戻す過渡蓄熱運転を、蓄熱槽1の下部における貯留冷水Cの温度が0℃に低下するまで実施し、その後、蓄熱槽1の下部から取り出した冷水Cを製氷原水として製氷装置X,3に送るとともに、その製氷装置X,3で生成した氷粒aを蓄熱槽1の貯留冷水C中に供給して氷集積層Aを形成する後段蓄熱運転を実施する。
【選択図】 図5

Description

本発明は氷蓄熱設備の運転方法及び氷蓄熱設備に関し、詳しくは、蓄熱槽の貯留冷水を冷却するとともに、その蓄熱槽内に氷集積層を形成する蓄熱運転と、その蓄熱運転の後、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を負荷装置に供給するとともに、その負荷装置での冷熱消費により昇温した負荷装置からの戻り冷水を前記蓄熱槽の上部に戻す放熱運転とを実施する氷蓄熱設備の運転方法、及び、氷蓄熱設備に関する。
従来、この種の氷蓄熱設備において、蓄熱運転では、蓄熱槽の下部から取り出した冷水を製氷原水として製氷装置に送るとともに、この製氷装置で生成した氷粒を蓄熱槽における貯留冷水中の上部に供給することで、その貯留冷水に浮かぶ氷集積層を蓄熱槽内に形成して冷熱を蓄熱槽に蓄熱し、そして、放熱運転では、蓄熱槽の下部から取り出した冷水を負荷装置に送るとともに、その負荷装置からの戻り冷水を氷集積層に対し散水する形態で、又は、貯留冷水中で氷集積層に対し高速に吹き付ける形態で蓄熱槽の上部に戻すことにより、氷集積層の融解を促進して氷集積層の保有冷熱(融解潜熱)を効率的に取り出すようにし、その後、氷集積層が融解により消滅して蓄熱槽における貯留冷水の温度が所定温度まで上昇すると、蓄熱槽の下部から取り出した冷水を負荷装置に送るとともに、その負荷装置からの戻り冷水を蓄熱槽における貯留冷水中の上部に戻すことで、蓄熱槽における貯留冷水を温度成層状態に保つようにしながら、蓄熱槽における下側冷水層の保有冷熱(顕熱)を取り出すようにしたものが提案されている(特許文献1、2参照)。
特許第3300714号公報 特開平8−233313号公報
しかし、上記した従来の蓄熱運転では、前回の放熱運転で蓄熱槽が負荷装置からの戻り冷水(例えば16℃)により満たされた状態において、その蓄熱槽における貯留冷水中の上部に氷粒を供給するため、蓄熱槽における貯留冷水に温度の相違による比重の異なりに原因する大きな混合が生じて、いわゆる混合熱損失が大きく生じ、この為、冷熱源装置としての製氷装置の効率が低下するとともに蓄熱運転の完了までに長時間を要して、その分、設備の運転コストが嵩む問題があった。
また、蓄熱運転の完了までに長時間を要するため、蓄熱運転に費やし得る時間が限られる場合には、蓄熱運転に要する時間を短縮するのに、製氷装置を初め設備の構成装置に大容量のものが必要になり、そのことで、設備コストも嵩む問題があった。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な運転方式を採ることにより、上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
〔1〕本発明の第1特徴構成は氷蓄熱設備の運転方法に係り、その特徴は、
蓄熱槽の貯留冷水を冷却するとともに、その蓄熱槽内に氷集積層を形成する蓄熱運転と、その蓄熱運転の後、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を負荷装置に供給するとともに、その負荷装置での冷熱消費により昇温した負荷装置からの戻り冷水を前記蓄熱槽の上部に戻す放熱運転とを実施する氷蓄熱設備の運転方法において、
前記蓄熱運転では、前記蓄熱槽の上部から取り出した冷水を冷熱源装置に送って4℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水を前記蓄熱槽の下部に戻す前段蓄熱運転を、前記蓄熱槽の上部における貯留冷水の温度が4℃又はその近傍温度に低下するまで実施し、
かつ、その前段蓄熱運転に続き、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を冷熱源装置に送って0℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水を前記蓄熱槽の上部に戻す過渡蓄熱運転を、前記蓄熱槽の下部における貯留冷水の温度が0℃又はその近傍温度に低下するまで実施し、
かつ、その過渡蓄熱運転に続き、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を製氷原水として製氷装置に送るとともに、その製氷装置で生成した氷粒を前記蓄熱槽の貯留冷水中に供給して前記氷集積層を形成する後段蓄熱運転を実施する点にある。
つまり、この第1特徴構成によれば、蓄熱運転の実施として先ず、蓄熱槽の上部から取り出した冷水を冷熱源装置に送って4℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水を蓄熱槽の下部に戻す前段蓄熱運転を、蓄熱槽の上部における貯留冷水の温度が4℃又はその近傍温度に低下するまで実施することにより、冷熱源装置で冷却した4℃又はその近傍温度の比重の大きな冷水を槽内の下側に存在させ、かつ、未だ冷却しておらず高温で比重の小さな冷水(すなわち、前回の放熱運転での負荷装置からの戻り冷水)を槽内の上側に存在させる温度成層状態を保って、それら下側冷水と上側冷水との境界を漸次的に上昇させる槽内流動形態で、4℃又はその近傍温度の下側冷水の槽内貯留量を次第に増やして、最終的には4℃又はその近傍温度の冷水により蓄熱槽を満たすようにすることができ、これにより、冷熱源装置で冷却した4℃又はその近傍温度の冷水が保有する冷熱(顕熱)を蓄熱槽に対して効率的かつ能率良く蓄熱することができる。
また、この前段蓄熱運転に続き、蓄熱槽の下部から取り出した冷水を冷熱源装置に送って0℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水を蓄熱槽の上部に戻す過渡蓄熱運転を、蓄熱槽の下部における貯留冷水の温度が0℃又はその近傍温度に低下するまで実施することにより、先の前段蓄熱運転で貯めた4℃又はその近傍温度の比重の大きな冷水を槽内の下側に存在させ、かつ、冷熱源装置で冷却した0℃又はその近傍温度の比重の小さな冷水を槽内の上側に存在させる温度成層状態を保って、それら下側冷水と上側冷水との境界を漸次的に下降させる槽内流動形態で、0℃又はその近傍温度の下側冷水の槽内貯留量を次第に増やして、最終的には0℃又はその近傍温度の冷水により蓄熱槽を満たすようにすることができ、これにより、冷熱源装置で冷却した0℃又はその近傍温度の冷水が保有する冷熱(顕熱)を蓄熱槽に対して効率的かつ能率良く蓄熱することができる。
そして、この過渡蓄熱運転に続き、蓄熱槽の下部から取り出した冷水を製氷原水として製氷装置に送るとともに、その製氷装置で生成した氷粒を蓄熱槽の貯留冷水中に供給して氷集積層を形成する後段蓄熱運転を実施するから、蓄熱運転の全体として、顕熱としての冷熱(すなわち、冷熱源装置により冷却した冷水の保有冷熱)を蓄熱槽に蓄熱することと、それに続き、潜熱としての冷熱(すなわち、氷集積層の保有潜熱としての冷熱)を蓄熱槽に蓄熱することとを極めて効率的かつ能率良く行うことができる。
すなわち、このことにより、先述した従来の蓄熱運転に比べ、混合熱損失を効果的に低減することができて、冷熱源装置や製氷装置の効率を高く安定的に維持し得るとともに、蓄熱運転に要する時間を効果的に短縮することができ、これにより、設備の運転コストを効果的に低減することができる。
また、蓄熱運転に要する時間を短縮し得ることで、蓄熱運転に費やし得る時間が限られる場合でも設備の構成装置を小容量のものですませることができ、この点、設備コスト面においても有利になる。
なお、第1特徴構成の実施において、4℃又はその近傍温度の冷水を生成する冷熱源装置と0℃又はその近傍温度の冷水を生成する冷熱源装置とは、共通の冷熱源装置あるいは各別の冷熱源装置のいずれであってもよく、また、0℃又はその近傍温度の冷水を生成する冷熱源装置と氷粒を生成する製氷装置も、共通の装置あるいは各別の装置のいずれであってもよい。
また、蓄熱槽の貯留冷水は、薬剤混合のない単純な水、あるいは、薬剤を混合した水溶液のいずれであってもよい。
〔2〕本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記後段蓄熱運転において前記氷集積層を前記蓄熱槽の貯留冷水に浮かぶ状態に形成するのに、前記製氷装置で生成した氷粒を前記蓄熱槽の貯留冷水中に供給する氷供給口を前記氷集積層の形成初期には前記蓄熱槽における貯留冷水中の上部に位置させて、その上方に前記氷集積層を形成し、その後、前記氷集積層の下方近傍に前記氷供給口が位置する状態を保つように、前記氷集積層の成長に伴い前記氷供給口を漸次的に下方へ移動させる点にある。
つまり、この第2特徴構成によれば、氷集積層の下方に氷供給口を位置させるから、氷供給口を蓄熱槽における貯留冷水の水面上方に配置する形式の如く氷供給口から供給する氷粒が成長途中の氷集積層の上に山状に積もるといったことがなく、また、氷集積層の形成初期を含めて氷集積層の成長(特に厚さ方向の成長)に対し氷集積層の下方近傍に氷供給口が位置する状態を保つようにするから、氷供給口を蓄熱槽の槽底部に配置する形式に比べ、氷供給口から貯留冷水中に供給した氷粒が短い浮上距離で成長途中の氷集積層に至る状態になって、その分、製氷装置への供給水を槽下部から取り出すことなどが原因で蓄熱槽内に生じる水流の影響を受けることの少ない状態で氷粒を浮上させて成長途中の氷集積層に着層させることができる。
そしてまた、氷集積層の形成初期を含めて氷集積層の成長に対し氷集積層の下方近傍に氷供給口が位置する状態を保つようにするから、氷供給口を蓄熱槽における貯留冷水中の水面近傍に配置する形式の如く貯留冷水の水面で成長する氷集積層の層中に氷供給口が埋まる状態になって実質的に氷供給口を避けた状態の窪みのある氷集積層が形成される、ないしは、氷供給口から供給する氷粒の水平方向への拡がり(場合によっては、氷供給口からの氷粒供給そのもの)が成長途中の氷集積層により阻害されるといったことも回避することができる。
すなわち、これらのことから、蓄熱槽における平面視の占有面積が大きくて厚さが均一な氷集積層を形成することができ、これにより、蓄熱槽における氷充填率を大きくすることができて、蓄熱槽の冷熱蓄熱量を大きく確保することができる。
また、蓄熱槽における平面視の占有面積が大きくて厚さが均一な氷集積層を形成し得ることから、放熱運転において蓄熱槽の上部へ戻す負荷装置からの戻り冷水を氷集積層と確実かつ効果的に熱交換させることができて、氷集積層の融解を効果的に促進することができ、これにより、放熱運転において蓄熱槽の下部から負荷装置へ供給する冷水の温度を安定化することができて、負荷装置の運転を安定的なものにすることができる。
なお、第2特徴構成の実施において、氷供給口は氷粒を水との混合状態で蓄熱槽の貯留冷水中に供給するもの、あるいは、氷粒のみを蓄熱槽の貯留冷水中に供給するもののいずれであってもよく、また、製氷装置として例えば過冷却水の過冷却解除により氷粒を生成する方式の装置を採用する場合には、氷供給口から過冷却水を吐出させる時点で過冷却解除して氷粒を発生させるものにしてもよい。
また、第2特徴構成の実施において、氷集積層の下方近傍に氷供給口が位置する状態を保つように氷供給口を下方へ移動させるには、氷供給口を形成した氷供給器を蓄熱槽内で上下移動させる方式、あるいは、複数の氷供給口を上下方向に並べて蓄熱槽に設けておき、これら複数の氷供給口を氷供給状態と氷供給停止状態とに選択的に切り換える方式のいずれを採用してもよい。
〔3〕本発明の第3特徴構成は氷蓄熱設備に係り、その特徴は、
蓄熱槽の貯留冷水を冷却するとともに、その蓄熱槽内に氷集積層を形成する蓄熱運転と、その蓄熱運転の後、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を負荷装置に供給するとともに、その負荷装置での冷熱消費により昇温した負荷装置からの戻り冷水を前記蓄熱槽の上部に戻す放熱運転とを実施する氷蓄熱設備を構成するのに、
前記蓄熱運転では、前記蓄熱槽の上部から取り出した冷水を冷熱源装置に送って4℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水を前記蓄熱槽の下部に戻す前段蓄熱運転を、前記蓄熱槽の上部における貯留冷水の温度が4℃又はその近傍温度に低下するまで自動的に実施し、
かつ、その前段蓄熱運転に続き、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を冷熱源装置に送って0℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水を前記蓄熱槽の上部に戻す過渡蓄熱運転を、前記蓄熱槽の下部における貯留冷水の温度が0℃又はその近傍温度に低下するまで自動的に実施し、
かつ、その過渡蓄熱運転に続き、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を製氷原水として製氷装置に送るとともに、その製氷装置で生成した氷粒を前記蓄熱槽の貯留冷水中に供給して前記氷集積層を形成する後段蓄熱運転を自動的に実施する制御手段を設けてある点にある。
つまり、この第3特徴構成によれば、前段蓄熱運転、過渡蓄熱運転、及び、後段蓄熱運転の夫々を自動的に実施する制御手段を設けるから、前述の第1特徴構成による設備運転方法を確実かつ円滑に実施することができ、これにより、第1特徴構成による設備運転方法で得られる前述の効果を一層確実かつ安定的に得ることができる。
なお、第1特徴構成と同様、第3特徴構成の実施において、4℃又はその近傍温度の冷水を生成する冷熱源装置と0℃又はその近傍温度の冷水を生成する冷熱源装置とは、共通の冷熱源装置あるいは各別の冷熱源装置のいずれであってもよく、また、0℃又はその近傍温度の冷水を生成する冷熱源装置と氷粒を生成する製氷装置も、共通の装置あるいは各別の装置のいずれであってもよい。
また、蓄熱槽の貯留冷水は、薬剤混合のない単純な水、あるいは、薬剤を混合した水溶液のいずれであってもよい。
〔4〕本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御手段は、前記後段蓄熱運転において前記氷集積層を前記蓄熱槽の貯留冷水に浮かぶ状態に形成するのに、前記製氷装置で生成した氷粒を前記蓄熱槽の貯留冷水中に供給する氷供給口を前記氷集積層の形成初期には前記蓄熱槽における貯留冷水中の上部に位置させて、その上方に前記氷集積層を形成し、その後、前記氷集積層の下方近傍に前記氷供給口が位置する状態を保つように、前記氷集積層の成長に伴い前記氷供給口を漸次的に下方へ移動させる構成にしてある点にある。
つまり、この第4特徴構成によれば、氷集積層の下方近傍に氷供給口が位置する状態を保つように氷集積層の成長に対し氷供給口を漸次的に下方へ移動させることを制御手段が自動的に実施するから、前述の第2特徴構成による設備運転方法を確実かつ円滑に実施することができ、これにより、第2特徴構成による設備運転方法で得られる前述の効果を一層確実かつ安定的に得ることができる。
なお、第2特徴構成と同様、第4特徴構成の実施において、氷供給口は氷粒を水との混合状態で蓄熱槽の貯留冷水中に供給するもの、あるいは、氷粒のみを蓄熱槽の貯留冷水中に供給するもののいずれであってもよく、また、製氷装置として例えば過冷却水の過冷却解除により氷粒を生成する方式の装置を採用する場合には、氷供給口から過冷却水を吐出させる時点で過冷却解除して氷粒を発生させるものにしてもよい。
また、第4特徴構成の実施において、氷集積層の下方近傍に氷供給口が位置する状態を保つように氷供給口を自動的に下方へ移動させるには、氷供給口を形成した氷供給器を蓄熱槽内で上下移動させる駆動手段、及び、氷集積層の成長を検出する検出手段を設け、この検出手段による氷集積層の成長の検出に基づいて駆動手段を制御手段により制御する構成、あるいは、複数の氷供給口を上下方向に並べて蓄熱槽に設けるとともに、それら複数の氷供給口を選択的に氷供給状態と氷供給停止状態に切り換える切換手段、及び、氷集積層の成長を検出する検出手段を設け、この検出手段による氷集積層の成長の検出に基づいて切換手段を制御手段により制御する構成のいずれを採用してもよい。
図1は空調用の氷蓄熱設備を示し、1は冷水Cとともに氷を貯留する蓄熱槽であり、この蓄熱槽1内の下部には、槽内貯留冷水Cの取り出し及び槽内への冷水Cの戻しに用いる下部出入器2を設け、また、蓄熱槽1内の上部で下部出入器2のほぼ直上方には、同じく槽内貯留冷水Cの取り出し及び槽内への冷水Cの戻しに用いるとともに、氷供給器として槽内への氷の供給に用いる上部出入器3を設けてある。
下部出入器2及び上部出入器3は、図2に示す如く、ほぼ同構造のものであり、平行に配置した上下二枚の円板状部材2a,3aの間の隙部に対して、上部又は下部の出入管4,5を一方の円板状部材2a,3aの中心部で開口させるとともに、それら二枚の円板状部材2a,3aの外周縁どうしにわたる多孔板2b,3bを円板状部材2a,3aの全周にわたらせて張設し、この多孔板2b,3bの張設部(厳密には多孔板2b,3bにおける多数の孔)を槽内に対する出入口2c,3cとする構造にしてある。
すなわち、槽内への冷水Cの戻しについては、出入管4,5を通じて戻る冷水Cを下部出入器2又は上部出入器3における出入口2c,3cから平面視で放射状に分散させて槽内の貯留冷水C中へ水平向きに吐出し、一方、槽内冷水Cの取り出しについては、槽内の貯留冷水Cを下部出入器2又は上部出入器3における出入口2c,3cから平面視で均等に吸入して出入管4,5に導くようにしてある。
下部出入器2及びそれに接続した下部出入管4は槽内において固設してあり、これに対し、上部出入器3に接続した上部出入管5の縦配管部5aは、その長手方向(すなわち上下方向)に伸縮自在な管にし、この縦配管部5aの伸縮により槽内における上部出入器3の上下移動を許容する。
そして、上部出入器3には、蓄熱槽1の上方から槽内に垂下した棒状連動部材6の下端を連結し、蓄熱槽1の上方には、この棒状連動部材6をラックピニオン機構などを介して上下移動させる駆動装置7を設けてあり、この駆動装置7により棒状連動部材6を上下に駆動移動させることで上部出入器3を図中実線で示す状態と一点鎖線で示す状態とにわたり槽内で上下移動させるようにしてある。
8は冷凍機9の吸熱部と熱源熱交換器10との間においてブラインBをブラインポンプ11により循環させるブライン循環路、12は冷凍機9の放熱部と冷却塔13との間において冷却水CWを冷却水ポンプ14により循環させる冷却水循環路、15は蓄熱槽1と熱源熱交換器10との間において冷水Cを熱源側冷水ポンプ16により循環させる熱源側冷水循環路であり、下部出入器2に接続した下部出入管4は熱源側冷水循環路15の往路15aを通じて熱源熱交換器10の冷水入口10aに接続し、上部出入器3に接続した上部出入管5は熱源側冷水循環路15の復路15bを通じて熱源熱交換器10の冷水出口10bに接続してある。
また、この熱源側冷水循環路15には、下部出入器2に接続した下部取水管4を熱源熱交換器10の冷水入口10aに代えて冷水出口10bに連通させ、かつ、上部出入器3に接続した上部出入管5を熱源熱交換器10の冷水出口10bに代えて冷水入口10aに連通させた状態で、冷水Cを蓄熱槽1と熱源熱交換器10との間において同じく熱源側冷水ポンプ16により循環させるための2本の切換用バイパス路15c,15d、及び、切換用開閉弁V1〜V5を装備してある。
つまり、この熱源側冷水循環路15では、下部出入器2−往路15a−熱源熱交換器10−復路15b−上部出入器3の順に冷水Cを循環させる正転循環(図4参照)と、上部出入器3−切換用バイパス路15c−熱源熱交換器10−切換用バイパス路15d−下部出入器2の順に冷水Cを循環させる逆転循環(図3参照)との選択的な実施を可能にしてある。
一方、蓄熱槽1における槽内水面の上方には、その槽内水面のほぼ全体に対して均一に散水する散水器17を装備してあり、この散水器17は散水用給水管18を介して上部出入管5と並列の状態で熱源側冷水循環路15の復路15bに接続し、散水用給水管18及び上部出入管5には、それらを開閉する切換用開閉弁V6,V7を装備してある。
また、熱源側冷水循環路15の往路15aには、2本のバイパス路15c,15dの接続部よりも蓄熱槽1寄りの箇所において空調機やファンコイルユニットなどの負荷装置19に対する負荷側冷水循環路20の往路20aを接続し、熱源側冷水循環路15の復路15bには、2本のバイパス路15a,15bの接続部と散水用給水管18の分岐部との間において負荷側冷水循環路20の復路20bを接続してあり、これら負荷側冷水循環路20の往路20a及び復路20bには、それらを開閉する切換用開閉弁V8,V9を熱源側冷水循環路15に対する接続部近傍において装備し、また、負荷側冷水循環路20の往路20aには、負荷側冷水循環路20を通じて負荷装置19と蓄熱槽1との間で冷水Cを循環させる負荷側冷水ポンプ21を装備してある。
22a〜22cは蓄熱槽1の下部、上下中間部、上部の夫々における貯留冷水Cの温度ta,tb,tcを検出する第1〜第3温度センサ、23は熱源熱交換器10の冷水出口10bにおける冷水温度toを検出する第4温度センサ、24は上部出入管5の管内水圧pを検出する圧力センサ、25は棒状連動部材6の下方への延出長Lを検出するストロークセンサ、26はこれらセンサの検出情報に基づき切換用開閉弁V1〜V9の開閉操作や各装置の発停操作などを実行する制御器であり、具体的には、この制御器26は次の(イ)〜(ヘ)の制御を実行する。
なお、図3〜図10において、各切換用開閉弁V1〜V9のうち白抜きのものは開弁状態を示し、黒塗りのものは閉弁状態を示す。
(イ)前段蓄熱運転
設定蓄熱開始時刻T1になると、先の放熱運転の完了で例えば16℃の高温冷水Cが蓄熱槽1内に満たされた図10に示す如き状態から、図3に示す如く、上部出入器3を蓄熱槽1における貯留冷水C中の上部に位置させた状態で、切換用開閉弁V1〜V9の開閉操作及び熱源側冷水ポンプ16の運転により熱源側冷水循環路15において前記の逆転循環を実施するとともに、冷凍機9、ブラインポンプ11、冷却塔13、冷却水ポンプ14を運転する。
また、熱源側冷水循環路15での逆転循環において、熱源熱交換器10の冷水出口10bにおける冷水温度toが第1設定温度t1(本例ではt1=4℃)になるように、第4温度センサ23により検出される出口冷水温度toに基づき冷凍機9の出力を調整する。
つまり、この前段蓄熱運転では、上部出入器3を蓄熱槽1における貯留冷水C中の上部に位置させた状態で、その上部出入器3の出入口3cを通じ蓄熱槽1における高温冷水C(16℃)を熱源熱交換器10に供給して冷凍機9による冷却ブラインBとの熱交換により第1設定温度t1に冷却し、その冷却した第1設定温度t1の冷水C(4℃)を下部出入器2の出入口2cから平面視で放射状に分散させて蓄熱槽1における下部の貯留冷水C中へ水平向きに吐出し、これにより、第3温度センサ22cにより検出される蓄熱槽上部の貯留冷水温度tcが第1設定温度t1に低下するまでの間(すなわち、熱源熱交換器10で第1設定温度t1に冷却した冷水C(4℃)により蓄熱槽1が満たされるまでの間)、熱源熱交換器10で第1設定温度t1に冷却した比重の大きな冷水C(4℃)を槽内の下側に存在させ、かつ、未だ第1設定温度t1に冷却していない比重の小さな冷水C(16℃)を槽内の上側に存在させる温度成層状態を保って、それら下側冷水C(4℃)と上側冷水C(16℃)との境界Kを漸次的に上昇させる槽内流動形態で、熱源熱交換器10により冷却した第1設定温度t1の冷水C(4℃)が保有する冷熱(顕熱)を蓄熱槽1に蓄熱する。
(ロ)過渡蓄熱運転
上記の前段蓄熱運転において第3温度センサ22cにより検出される蓄熱槽上部の貯留冷水温度tcが第1設定温度t1に低下する(すなわち、熱源熱交換器10で第1設定温度t1に冷却した冷水C(4℃)により蓄熱槽1が満たされた状態になる)と、図4に示す如く、上部出入器3を引き続き蓄熱槽1における貯留冷水C中の上部に位置させた状態で、切換用開閉弁V1〜V9の開閉操作及び熱源側冷水ポンプ16の運転により熱源側冷水循環路15において前記の正転循環を実施するとともに、冷凍機9、ブラインポンプ11、冷却塔13、冷却水循環ポンプ14を引き続き運転する。
また、熱源側冷水循環路15での正転循環において、熱源熱交換器10の冷水出口10bにおける冷水温度toが第2設定温度t2(本例ではt2=0℃)になるように、第4温度センサ23により検出される出口冷水温度toに基づき冷凍機9の出力を調整する。
つまり、この過渡蓄熱運転では、下部出入器2の出入口2cを通じて蓄熱槽1の下部から取り出した冷水C(4℃)を熱源熱交換器10に供給して冷凍機9による冷却ブラインBとの熱交換により第2設定温度t2に冷却し、その冷却した第2設定温度t2の冷水C(0℃)を蓄熱槽1における貯留冷水C中の上部に位置する上部出入器3の出入口3cから平面視で放射状に分散させて蓄熱槽1における上部の貯留冷水C中へ水平向きに吐出し、これにより、第1温度センサ22aにより検出される蓄熱槽下部の貯留冷水温度taが第2設定温度t2に低下するまでの間(すなわち、熱源熱交換器10で第2設定温度t2に冷却した冷水C(0℃)により蓄熱槽1が満たされるまでの間)、熱源熱交換器10で第2設定温度t2に冷却した比重の小さな冷水C(0℃)を槽内の上側に存在させ、かつ、未だ第2設定温度t2に冷却していない比重の大きな冷水C(4℃)を槽内の下側に存在させる温度成層状態を保って、それら上側冷水C(0℃)と下側冷水C(4℃)との境界Kを漸次的に下降させる槽内流動形態で、熱源熱交換器10により冷却した第2設定温度t2の冷水C(0℃)が保有する冷熱(顕熱)を蓄熱槽1に蓄熱する。
(ハ)後段蓄熱運転
上記の過渡蓄熱運転において第1温度センサ22aにより検出される蓄熱槽下部の貯留冷水温度taが第2設定温度t2に低下する(すなわち、熱源熱交換器10で第2設定温度t2に冷却した冷水C(0℃)により蓄熱槽1が満たされた状態になる)と、図5に示す如く、上部出入器3を蓄熱槽1における貯留冷水C中の上部から漸次的に下降させながら、熱源側冷水循環路15において正転循環を継続するとともに、冷凍機9、ブラインポンプ11、冷却塔13、冷却水ポンプ14を引き続き運転する。
また、熱源側冷水循環路15での正転循環において、熱源熱交換器10の冷水出口10bにおける冷水温度toが氷点下の第3設定温度t3(本例ではt3=−2℃)になるように、第4温度センサ23により検出される出口冷水温度toに基づき冷凍機9の出力を調整する。
つまり、この後段蓄熱運転では、下部出入器2の出入口2cを通じて蓄熱槽1の下部から取り出した冷水C(0℃)を熱源熱交換器10に供給して冷凍機9による冷却ブラインBとの熱交換により氷点下の第3設定温度t3に冷却し、その冷却した第3設定温度t3の過冷却水C(−2℃)を上部出入器3の出入口3cから蓄熱槽1の貯留冷水C中に戻すが、この際、上部出入器3に張設した多孔板3bへの過冷却水C(−2℃)の衝突により過冷却を解除して、その過冷却水C(−2℃)を0℃の冷水Cとそれに含まれる多数の氷粒aとに変化させることで、それら多数の氷粒aを浮上させて貯留冷水C(0℃)に浮かぶ氷集積層Aを蓄熱槽1内に形成し、これにより、多数の氷粒aの保有冷熱(主に融解潜熱)を蓄熱槽1に蓄熱する。
また、氷集積層Aを蓄熱槽1内に形成するのに、0℃の冷水Cと多数の氷粒aとの混合物を上部出入器3の出入口3cから平面視で放射状に分散させて蓄熱槽1の貯留冷水C中へ水平向きに吐出することで、それら多数の氷粒aを平面視において蓄熱槽1内に広く均等に分散させた状態で浮上させるようにするとともに、上部出入器3を貯留冷水C中の上部から漸次的に下降させることで、氷集積層Aの成長に対し上部出入器3の出入口3c(すなわち、氷供給口)が氷集積層Aの下方近傍に位置する状態を保つようにし、これらのことにより、蓄熱槽1における平面視の占有面積が大きくて厚さが均一な氷集積層Aを蓄熱槽1内に形成する。
そして、ストロークセンサ25により検出される棒状連動部材6の下方延出長Lが設定上限長Lsに至ったとき(すなわち、図6に示す如く所要厚さの氷集積層Aが蓄熱槽1内に形成されたとき)、後段蓄熱運転を終了して蓄熱運転の全てを完了し、この状態で設定空調開始時刻T2に至るのを待つ。
なお、上部出入器3の下降については、圧力センサ24により検出される上部出入管5の管内水圧pが設定閾水圧psを上回ると、その検出管内水圧pが設定閾水圧psを下回る状態になるまで所定の小さな速度で上部出入器3を下降させるように駆動装置7を制御する構成にしてあり、また、設定閾水圧psとしては、氷集積層Aの成長により氷集積層Aの下面部が上部出入器3の出入口3cに近付くことで上部出入器3の出入口3cからの混合物(0℃の冷水とそれに含まれる多数の氷粒a)の吐出抵抗が増大したときの上部出入管5の管内水圧(換言すれば、氷粒供給背圧)を用いてあり、これにより、氷集積層Aの成長に対し上部出入器3の出入口3c(氷供給口)が氷集積層Aの下方近傍に位置する状態を保つように上部出入器3を漸次的に下降させる。
(ニ)前段放熱運転
設定空調開始時刻T2になると、先の蓄熱運転の完了で低温冷水C(0℃)と所要厚さの氷集積層Aとが蓄熱槽1内に存在する図6に示す状態から、図7に示す如く、切換用開閉弁V1〜V9の開閉操作及び負荷側冷水ポンプ21の運転により、蓄熱槽1における冷水Cを下部出入器2−負荷側冷水循環路20の往路20a−負荷装置19−負荷側冷水循環路20の復路20b−散水器17の順に循環させる。
つまり、この前段放熱運転では、氷集積層Aとともに蓄熱槽1内に存在する冷水C(0℃)を下部出入器2の出入口2cを通じ負荷装置19に供給し、そして、負荷装置19での冷熱消費により昇温した負荷装置19からの戻り冷水C(例えば16℃の冷水)を散水器17により氷集積層Aに対し散水する形態で蓄熱槽1に戻すが、前述の如く蓄熱槽1における平面視の占有面積が大きくて厚さが均一な氷集積層A(すなわち、散水した戻り冷水Cが氷集積層Aと十分に熱交換することなく短絡的に蓄熱槽1の下部に向かうことを効果的に防止できる氷集積層)を形成することとも相俟って、負荷装置19からの戻り冷水C(16℃)の散水により氷集積層Aを効率的に融解させ、これにより、蓄熱槽1における貯留冷水Cの温度を均一かつ安定的に0℃に保って、負荷装置19に供給する冷水Cの温度を安定的に0℃に保つ。
(ホ)過渡放熱運転
この過渡放熱運転は、上記の前段放熱運転において氷集積層Aが融解により消滅すると、制御器26による切換操作を伴うことなく自ずと前段放熱運転から移行する運転であり、この過渡放熱運転では、図8に示す如く、先の前段放熱運転に引き続き、蓄熱槽1における冷水Cを下部出入器2−負荷側冷水循環路20の往路20a−負荷装置19−負荷側冷水循環路20の復路20b−散水器17の順に循環させる。
つまり、先の前段放熱運転において氷集積層Aが融解により消滅すると、蓄熱槽1における貯留冷水Cは負荷装置19からの戻り冷水Cのため0℃を上回るようになるが、この過渡放熱運転では、氷集積層Aの融解による消滅後、第1〜第3温度センサ22a〜22cにより検出される蓄熱槽下部の貯留冷水温度ta,蓄熱槽上下中間部の貯留冷水温度tb,蓄熱槽上部の貯留冷水温度tcの夫々がほぼ前記の第1設定温度t1(本例ではt1=4℃)に上昇するまでの間、負荷装置19からの戻り冷水C(16℃)を散水器17による散水で蓄熱槽1の上部に戻すことにより、その散水による混合促進とも相俟って、負荷装置19からの戻り冷水C(16℃)と蓄熱槽1における貯留冷水C(0℃)とを、それらの温度の相違による比重の異なりにより完全混合方式で効果的に混合させ、これにより、蓄熱槽1における貯留冷水Cの温度をほぼ0℃からほぼ4℃まで均一かつ漸次的に上昇させて、負荷装置19に供給する冷水Cの急激かつ大きな温度変化を防止する。
(ヘ)後段放熱運転
上記の過渡放熱運転において第1〜第3温度センサ22a〜22cにより検出される蓄熱槽下部の貯留冷水温度ta,蓄熱槽上下中間部の貯留冷水温度tb,蓄熱槽上部の貯留冷水温度tcの夫々がほぼ前記の第1設定温度t1(本例ではt1=4℃)に上昇すると、図9に示す如く、上部出入器3を蓄熱槽1における貯留冷水Cの上部に復帰させた状態で、切換用開閉弁V1〜V9の開閉操作及び負荷側冷水ポンプ21の運転により、蓄熱槽1における冷水Cを下部出入器2−負荷側冷水循環路20の往路20a−負荷装置19−負荷側冷水循環路20の復路20b−上部出入器3の順に循環させる。
つまり、この後段放熱運転では、下部出入器2の出入口2cを通じて蓄熱槽1における下部の冷水C(4℃)を負荷装置19に供給し、そして、負荷装置19での冷熱消費により昇温した負荷装置19からの戻り冷水C(16℃)を蓄熱槽1における貯留冷水C中の上部に復帰させた上部出入器3の出入口3cから平面視で放射状に分散させて蓄熱槽上部の貯留冷水C中へ水平向きに吐出することにより、高温で比重の小さな負荷装置19からの戻り冷水Cを槽内の上側に存在させ、かつ、比重の大きな4℃の冷水Cを槽内の下側に存在させる温度成層状態を保って、それら下側冷水C(4℃)と上側冷水C(16℃)との境界Kを漸次的に下降させる槽内流動形態で、負荷装置19への供給冷水Cを蓄熱槽1の下部から取り出すようにし、これにより、図10に示す如く蓄熱層1における下側の冷水(4℃)を使い切る(逆言すれば、負荷装置19からの戻り冷水(16℃)により蓄熱槽1が満たされる)までの間、負荷装置19に供給する冷水Cの温度をほぼ4℃に安定的に保つ。
以上要するに、本実施形態において、ブライン系装置8〜11及び冷却水系装置12〜14は、蓄熱槽1の貯留冷水Cを冷却する冷熱源装置Xを構成し、また、この冷熱源装置Xと上部出入器3とは、蓄熱槽1の貯留冷水Cを製氷原水として蓄熱槽1に供給する氷粒aを過冷却解除方式により生成する製氷装置を構成する。
そして、本実施形態では、蓄熱槽1の貯留冷水Cを冷却するとともに、その蓄熱槽1内に氷集積層Aを形成する蓄熱運転を実施するのに、蓄熱槽1の上部から取り出した冷水Cを冷熱源装置Xに送って4℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水Cを蓄熱槽1の下部に戻す前段蓄熱運転を、蓄熱槽1の上部における貯留冷水Cの温度が4℃又はその近傍温度に低下するまで実施し、
かつ、その前段蓄熱運転に続き、蓄熱槽1の下部から取り出した冷水Cを冷熱源装置Xに送って0℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水Cを蓄熱槽1の上部に戻す過渡蓄熱運転を、蓄熱槽1の下部における貯留冷水Cの温度が0℃又はその近傍温度に低下するまで実施し、
かつ、その過渡蓄熱運転に続き、蓄熱槽1の下部から取り出した冷水Cを製氷原水として製氷装置X,3に送るとともに、その製氷装置X,3で生成した氷粒aを蓄熱槽1の貯留冷水C中に供給して氷集積層Aを形成する後段蓄熱運転を実施するようにしてある。
また、本実施形態において、制御器26は、上記の前段蓄熱運転、過渡蓄熱運転、後段蓄熱運転の夫々を自動的に実施する制御手段を構成し、上部出入器3の出入口3cは、蓄熱槽1の貯留冷水C中に氷粒aを供給する氷供給口を構成し、制御手段としての制御器26は、前段蓄熱運転において貯留冷水Cに浮かぶ氷集積層Aを蓄熱槽1内に形成するのに氷集積層Aの形成初期には、氷供給口3cを蓄熱槽1における貯留冷水C中の上部に位置させて、その上方に氷集積層Aを形成し、その後、氷集積層Aの下方近傍に氷供給口3cが位置する状態を保つように氷集積層Aの成長に伴い氷供給口3cを漸次的に下方へ移動させる構成にしてある。
そしてまた、氷集積層Aの下方近傍に氷供給口3cが位置する状態を保つように氷供給口3cを下方へ移動させる手段として、駆動装置7は、氷供給口3cを形成した氷供給器3(上部出入器)を蓄熱槽1内で上下移動させる駆動手段を構成し、圧力センサ24は、氷集積層Aの成長を検出する検出手段を構成し、制御手段としての制御器26は、この検出手段24による氷集積層Aの成長の検出に基づいて駆動手段7を制御することで、氷集積層Aの下方近傍に氷供給口3cが位置する状態を保つように氷集積層Aの成長に伴い氷供給口3cを自動的に下方へ移動させる構成にしてある。
〔別の実施形態〕
次に本発明の別実施形態を列記する。
前述の実施形態では、氷集積層Aの下方近傍に氷供給口3c(上部出入器3の出入口)が位置する状態を保つように氷集積層Aの成長に伴い氷供給口3cを下方へ移動させるのに、氷供給口3cを形成した氷供給器3(上部出入口)を駆動手段7により下方へ移動させることで氷供給口3cを下方へ移動させるようにしたが、これに代え、図11に示す如く、複数の氷供給口3cを上下方向に並べて蓄熱槽1に設けるとともに、それら複数の氷供給口3cを選択的に氷供給状態(貯留冷水C中へ氷粒aを供給する状態)と氷供給停止状態とに切り換える弁などの切換手段V7と、氷集積層Aの成長を検出する前述圧力センサなどの検出手段24と、この検出手段24による氷集積層Aの成長の検出に基づいて切換手段V7を制御する前述制御器の如き制御手段26とを設け、この制御手段26による切換手段V7の制御により、氷供給状態とする氷供給口3cを順次、下方の氷供給口3cに移行させることで、実質的に氷供給口3cを下方へ移動させる構成にしてもよい。
また、氷供給口3cを形成した複数の氷供給器3を上下方向に並べて蓄熱槽1に設けるとともに、それら氷供給器3各々の氷供給口3cを選択的に氷供給状態と氷供給停止状態とに切り換える弁などの切換手段と、それら氷供給器3の各々を上下方向に移動させる駆動手段と、氷集積層Aの成長の検出に基づき、それら切換手段及び駆動手段を制御する制御手段を設け、これにより、氷供給状態とする氷供給口3cの選択的な切り換えと各氷供給器3の下方への移動との組み合わせをもって、実質的に氷供給口3cを下方へ移動させる構成にしてもよい。
前述の実施形態では、蓄熱槽1内に1つの氷供給口3cを設ける構成を示したが、これに代え、氷集積層Aの成長に伴い漸次的に下方へ移動させる氷供給口3cを図12に示す如く平面視で分散させて蓄熱槽1に複数設けるようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、蓄熱槽1を一槽だけ設ける構成を示したが、これに代え、図13に示す如く、複数の蓄熱槽1を並列的に設け、これら蓄熱槽1の夫々に、氷集積層Aの成長に伴い漸次的に下方へ移動させる氷供給口3cを装備する構成にしてもよい。
前述の実施形態では、氷供給口3cを上部冷水取出口や上部冷水戻し口として兼用する例を示したが、これら上部冷水取出口や上部冷水戻し口として氷供給口とは別の専用口を設けるようにしてもよい。
また、氷供給口3cは、氷粒aを平面視で放射状に分散させて貯留冷水C中へ水平向きに吐出させる構造に限らず、氷粒aを水平一方向ないし互いに逆向きの水平二方向に向けて貯留冷水C中へ吐出させる構造などであってもよく、その具体的構造は種々の変更が可能である。
本発明の実施において、氷粒aを生成する製氷装置は過冷却解除方式の製氷装置に限られるものではなく、例えば、層状の氷を削って氷粒を生成する方式のものや、塊状の氷を砕いて氷粒を生成する方式のものなどであってもよい。
前述の実施形態では、蓄熱槽1に蓄熱した冷熱を空調に用いる例を示したが、本発明の実施において、蓄熱槽1に蓄熱した冷熱の用途は空調に限られるものではなく、物品の冷却など、どのような用途であってもよい。
氷蓄熱設備の全体構成を示す図 出入器の斜視図 前段蓄熱運転の運転形態を示す図 過渡蓄熱運転の運転形態を示す図 後段蓄熱運転の運転形態を示す図 蓄熱運転の完了状態を示す図 前段放熱運転の運転形態を示す図 過渡放熱運転の運転形態を示す図 後段放熱運転の運転形態を示す図 放熱運転の完了状態を示す図 別実施形態を示す設備構成図 別実施形態を示す蓄熱槽の平面図 別実施形態を示す蓄熱槽の側面図
符号の説明
1 蓄熱槽
C 冷水
A 氷集積層
19 負荷装置
X 冷熱源装置
X,3 製氷装置
3c 氷供給口

Claims (4)

  1. 蓄熱槽の貯留冷水を冷却するとともに、その蓄熱槽内に氷集積層を形成する蓄熱運転と、その蓄熱運転の後、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を負荷装置に供給するとともに、その負荷装置での冷熱消費により昇温した負荷装置からの戻り冷水を前記蓄熱槽の上部に戻す放熱運転とを実施する氷蓄熱設備の運転方法であって、
    前記蓄熱運転では、前記蓄熱槽の上部から取り出した冷水を冷熱源装置に送って4℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水を前記蓄熱槽の下部に戻す前段蓄熱運転を、前記蓄熱槽の上部における貯留冷水の温度が4℃又はその近傍温度に低下するまで実施し、
    かつ、その前段蓄熱運転に続き、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を冷熱源装置に送って0℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水を前記蓄熱槽の上部に戻す過渡蓄熱運転を、前記蓄熱槽の下部における貯留冷水の温度が0℃又はその近傍温度に低下するまで実施し、
    かつ、その過渡蓄熱運転に続き、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を製氷原水として製氷装置に送るとともに、その製氷装置で生成した氷粒を前記蓄熱槽の貯留冷水中に供給して前記氷集積層を形成する後段蓄熱運転を実施する氷蓄熱設備の運転方法。
  2. 前記後段蓄熱運転において前記氷集積層を前記蓄熱槽の貯留冷水に浮かぶ状態に形成するのに、前記製氷装置で生成した氷粒を前記蓄熱槽の貯留冷水中に供給する氷供給口を前記氷集積層の形成初期には前記蓄熱槽における貯留冷水中の上部に位置させて、その上方に前記氷集積層を形成し、その後、前記氷集積層の下方近傍に前記氷供給口が位置する状態を保つように、前記氷集積層の成長に伴い前記氷供給口を漸次的に下方へ移動させる請求項1記載の氷蓄熱設備の運転方法。
  3. 蓄熱槽の貯留冷水を冷却するとともに、その蓄熱槽内に氷集積層を形成する蓄熱運転と、その蓄熱運転の後、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を負荷装置に供給するとともに、その負荷装置での冷熱消費により昇温した負荷装置からの戻り冷水を前記蓄熱槽の上部に戻す放熱運転とを実施する氷蓄熱設備であって、
    前記蓄熱運転では、前記蓄熱槽の上部から取り出した冷水を冷熱源装置に送って4℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水を前記蓄熱槽の下部に戻す前段蓄熱運転を、前記蓄熱槽の上部における貯留冷水の温度が4℃又はその近傍温度に低下するまで自動的に実施し、
    かつ、その前段蓄熱運転に続き、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を冷熱源装置に送って0℃又はその近傍温度に冷却するとともに、その冷却した冷水を前記蓄熱槽の上部に戻す過渡蓄熱運転を、前記蓄熱槽の下部における貯留冷水の温度が0℃又はその近傍温度に低下するまで自動的に実施し、
    かつ、その過渡蓄熱運転に続き、前記蓄熱槽の下部から取り出した冷水を製氷原水として製氷装置に送るとともに、その製氷装置で生成した氷粒を前記蓄熱槽の貯留冷水中に供給して前記氷集積層を形成する後段蓄熱運転を自動的に実施する制御手段を設けてある氷蓄熱設備。
  4. 前記制御手段は、前記後段蓄熱運転において前記氷集積層を前記蓄熱槽の貯留冷水に浮かぶ状態に形成するのに、前記製氷装置で生成した氷粒を前記蓄熱槽の貯留冷水中に供給する氷供給口を前記氷集積層の形成初期には前記蓄熱槽における貯留冷水中の上部に位置させて、その上方に前記氷集積層を形成し、その後、前記氷集積層の下方近傍に前記氷供給口が位置する状態を保つように、前記氷集積層の成長に伴い前記氷供給口を漸次的に下方へ移動させる構成にしてある請求項3記載の氷蓄熱設備。

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