JP2007085390A - 軸受装置 - Google Patents
軸受装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007085390A JP2007085390A JP2005272152A JP2005272152A JP2007085390A JP 2007085390 A JP2007085390 A JP 2007085390A JP 2005272152 A JP2005272152 A JP 2005272152A JP 2005272152 A JP2005272152 A JP 2005272152A JP 2007085390 A JP2007085390 A JP 2007085390A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bearing
- inner peripheral
- peripheral surface
- shaft
- gap
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Sliding-Contact Bearings (AREA)
Abstract
【課題】 この種の軸受装置における軸受部材の内周面と軸の外周面との間の微小隙間を低コストに形成する。
【解決手段】 樹脂部5を筒状の金属部4をインサート部品としてかつ液晶ポリマーで型成形した後、樹脂部5の成形収縮により、軸受部材3の両端に位置する樹脂部5の第一内周面5aを外径側に後退させることで、第一内周面5aを金属部4の内周面4aに比べて大径にする。これにより、金属部4の内周面4aとこれに対向する軸2の外周面2aとの間に軸受隙間6が形成されると共に、第一内周面5aとこれに対向する軸2の外周面2aとの間に、軸受隙間6の隙間幅C1よりも大きい隙間幅C2を有する微小隙間7が形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】 樹脂部5を筒状の金属部4をインサート部品としてかつ液晶ポリマーで型成形した後、樹脂部5の成形収縮により、軸受部材3の両端に位置する樹脂部5の第一内周面5aを外径側に後退させることで、第一内周面5aを金属部4の内周面4aに比べて大径にする。これにより、金属部4の内周面4aとこれに対向する軸2の外周面2aとの間に軸受隙間6が形成されると共に、第一内周面5aとこれに対向する軸2の外周面2aとの間に、軸受隙間6の隙間幅C1よりも大きい隙間幅C2を有する微小隙間7が形成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内周面の少なくとも一部を樹脂で形成した軸受部材と、対向する軸受部材の内周面との間に軸受隙間を形成する軸とを備えた軸受装置に関する。
この種の軸受装置は、例えば滑り軸受や流体軸受として種々の分野で使用されている。また、最近では、材料コストや加工コストの低減を狙って、軸受部材を樹脂で形成したものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平10−246223号公報
一方で、この種の軸受を、軸受隙間に潤滑油を充満させた流体軸受として使用する場合には、油漏れを防ぐため、軸受隙間の外気開放側に微小隙間(シール空間)が必要となる。また、軸受のモーメント剛性向上を目的として、複数の軸受隙間を軸方向に離隔して設ける場合、隣接する軸受隙間の間に、軸受隙間よりも隙間幅の大きい微小隙間(逃げ部)を形成する必要がある。このように、流体軸受では、軸受機能上、軸の外周面と軸受部材の内周面との間の微小隙間が不可欠となる場合が多い。
この種の微小隙間は、例えば軸受部材の内周面に微小段差を形成することにより得ることができるが、微小段差を機械加工で形成しようとすると、微細加工が必要となって高コスト化を招く。上述のように、軸受部材が樹脂製である場合、内周面の微小段差は、かかる段差に対応する部分を金型に形成しておくことで成形可能であるが、この場合にも金型の加工コストが増大するため、好ましくない。
そこで本発明は、この種の軸受装置における軸受部材の内周面と軸の外周面との間の微小隙間を低コストに形成することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、内周面の少なくとも一部が樹脂で形成された軸受部材と、軸受部材の内周に相対回転自在に挿入され、対向する軸受部材の内周面との間に軸受隙間を形成する軸とを備えたものであって、軸受部材の樹脂部が液晶ポリマーからなり、樹脂部の成形収縮で軸と樹脂部との間に微小隙間を形成したことを特徴とする軸受装置を提供する。なお、ここでいう液晶ポリマーは、液晶ポリマー単体のみならず、液晶ポリマーをベース樹脂とし、これに金属や無機物等からなる充填剤を配合したものを含む。
液晶ポリマーは、一般に、溶融状態で金型内に充填される際、金型内壁に沿って高い配向性を示すことから、当該成形体の表層部ではスキン層と呼ばれる高配向層が形成され、その一方で、金型内壁から離れた箇所ではコア層と呼ばれるランダム配向層が形成される。この結果、液晶ポリマーの成形体は、他の樹脂材料とは異なる特有の成形収縮挙動を示し、例えばスリーブ状に成形した場合、成形体の外周面が内径側に後退すると共に、内周面が外径側に後退(拡径)する。
本発明は、樹脂部を液晶ポリマーで形成した場合に生じる上述の成形収縮挙動に着目して創出されたものであり、軸と対向する樹脂部の内周面(成形面)を後退させることで、軸と樹脂部との間に微小隙間を形成したことを特徴とするものである。
かかる構成によれば、例えば内周面の微小段差を樹脂部の成形と共に形成することができるので、成形後に微細加工などの機械加工を施す必要がない。あるいは、軸受部材の内周面に後加工を施す必要が無いため、切粉の発生を極力防止することができる。従って、これらの加工工程あるいは洗浄工程を大幅に簡略化して低コスト化を図ることができる。また、樹脂部の成形に使用する金型についても、上記微小段差などを液晶ポリマーの成形収縮を利用して形成することで、かかる金型形状を簡素化することができ、経済的である。あるいは、微小隙間のサイズや形成位置に対する要求にも、最小限の金型形状の変更で以って対応することができる。
軸と樹脂部との間の微小隙間は、例えば軸受部材の両端部の少なくとも一方に形成することができ、この場合、微小隙間は、軸受隙間に充填される流体のシール空間として作用する。
また、上記微小隙間は、例えば複数の軸受隙間を軸方向に離隔形成し、隣接する軸受隙間の間に、軸受隙間の隙間幅より大きい微小隙間として形成することができる。この場合、微小隙間は、軸受隙間に対する逃げ部として作用する。これにより、高いモーメント剛性を発現しつつも、ロストルクや摺動摩擦を可及的に小さく抑えた軸受装置を得ることができる。
軸受部材は、例えば筒状の金属部をインサート部品として型成形することができる。この場合、軸受部材の大部分を樹脂で形成することで材料コストの低減化が可能となり、かつ軸受隙間を形成する軸受部材の内周面を金属で形成することで、軸の外周面と摺動する軸受面の耐摩耗性を改善することができる。
上記金属部は例えば電鋳加工で形成することができる。この場合、使用するマスター軸は均一径のものでよいため、マスター軸を無理抜きすることなく、高い形状精度を有する金属部の内周面を得ることができる。また、電鋳加工で形成された金属部であれば、金属素材に機械加工や塑性加工を施すことで形成した金属部と比べて、形状的な自由度が増すので、かかる微小隙間の形状や位置を容易に制御することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、この種の軸受装置における軸受部材の内周面と軸の外周面との間の微小隙間を低コストに形成することができる。
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る軸受装置1の断面図を示す。同図において、軸受装置1は、軸2と、軸2を内周に挿入可能な軸受部材3とを備える。このうち軸受部材3は、筒状の金属部4と樹脂部5とからなり、金属部4をインサート部品として樹脂材料で一体に射出成形される。
軸受部材3の内周面のうち軸方向両端を除く領域が、金属部4の内周面4aで形成される。この金属部4の内周面4aは対向する軸2の外周面2aとの間に、隙間幅C1の軸受隙間6を形成している。軸受部材3の内周面の軸方向両端部は、樹脂部5の内周面のうち、軸2の外周面2aと対向する第一内周面5a、5aで形成される。この実施形態では、第一内周面5aは対向する軸2の外周面2aとの間に、軸受隙間6の隙間幅C1より大きい隙間幅C2の微小隙間7を形成している。
微小隙間7は、この実施形態では、軸受内部に充満された潤滑油のシール空間となり、軸受隙間6を潤滑油で満たした状態では、潤滑油の油面は、常に軸方向両端のシール空間(微小隙間7、7)内に維持される。なお、図1に示す軸受隙間6および微小隙間7は、軸2や軸受部材3に比べれば何れも微小であるが、同図では、形状の理解を容易にするため、軸受隙間6の隙間幅C1および微小隙間7の隙間幅C2を、軸2の径方向寸法に比べて大きく(誇張して)描いている。
上記構成の軸受装置1において、軸2の相対回転時、軸受隙間6に満たされた潤滑油が油膜を形成し、かかる油膜を介して軸2が軸受部材3に対してラジアル方向に相対回転自在に支持される。また、この際、シール空間となる微小隙間7が軸受隙間6に隣接して形成されているため、軸2の相対回転に伴い潤滑油が軸受隙間6から軸受外部に漏れ出すのを防いで、潤滑油を軸受内部に保持することができる。なお、シール空間となる微小隙間7は、この実施形態では、軸方向に一定寸法を有する環状空間であるが、例えば軸方向上方(大気開放側)に向けて隙間幅を漸次拡大させた空間であってもよい。
以下、軸受装置1の製造工程を、軸受部材3の製造工程を中心に説明する。
軸受部材3は、金属部4をインサート部品として樹脂材料を型成形(インサート成形)することで形成される。
図2は、軸受部材3のインサート成形工程を概念的に示すもので、固定型11と可動型12、およびピン13からなる金型には、ランナ14およびゲート15と、キャビティ16とが設けられる。ゲート15は、この実施形態では、点状ゲートであり、成形金型(固定型11)の、成形すべき樹脂部5の軸方向一端面に対応する位置に、かつ円周方向等間隔に複数箇所(例えば3箇所)形成される。各ゲート15のゲート面積は、充填する溶融樹脂の粘度や、成形品の形状に合わせて適切な値に設定される。なお、金属部4のインサートに支障を来さない限り、ピン13を、固定型11あるいは可動型12と一体化したものを使用することもできる。
インサート部品となる金属部4は筒状をなすもので、例えば使用する軸2の材質にもよるが、軸2との摺動特性や潤滑油に対する耐性(耐油性)、耐熱性等を備えた材料で形成されるのが望ましい。また、金属部4の内周面4aは、軸2との摺動面(軸受面)を構成するので、なるべく高精度に仕上げておくことが望ましい。
キャビティ16内に射出・充填する溶融樹脂Pとして、液晶ポリマー(LCP)あるいは液晶ポリマーをベース樹脂とする樹脂組成物が用いられる。液晶ポリマーに充填剤を配合する場合、使用する充填剤の種類及び配合割合は、必要とする特性(強度、摺動性、寸法安定性、導電性)に応じて適宜選択、設定される。
上記構成の金型において、金属部4をピン13に嵌合固定した状態で、キャビティ16内に配置する。次いで、金型11、12を型締めした状態で、スプール(図示は省略する)、ランナ14、およびゲート15を介してキャビティ16内に溶融樹脂Pを射出・充填し、樹脂部5を金属部4と一体に成形する。この際、軸受部材3の内周面の一部をなす樹脂部5の第一内周面5aは、ピン13の外周面13aに倣った形状に成形され、第一内周面5a以外の内周面(第二内周面5b)は、内接する金属部4の外周面4b形状に倣って成形される。また、第一内周面5aの内径は、脱型前の段階では、隣接する金属部4の内周面4aの内径にほぼ等しい。
型開き後、金属部4および樹脂部5が一体となった成形品を金型11、12、13から脱型する。これにより、金属部4の内周面4aを軸受面(軸2を回転支持する面)とする軸受部材3が得られる。この軸受部材3の内周に軸2を挿入し、さらに金属部4の内周面4aと軸2の外周面2aとの間に形成される軸受隙間6に潤滑油を充填することで、図1に示す軸受装置1が完成する。
ところで、樹脂部5を、例えば液晶ポリマー以外の樹脂で型成形した場合、樹脂部5の成形(固化)に伴い、内周面(例えば第一内周面5a)は、内径側へ収縮する傾向が見られる。そのため、内周に挿入した軸2との間に形成される微小隙間の幅C2は、金属部4と軸2との間に形成される軸受隙間6の幅C1より小さくなり、場合によっては、微小隙間が形成されない(第一内周面5aと軸2の外周面2aとが接触する)可能性がある。これに対して、本発明では、樹脂部5を液晶ポリマーで成形したので、軸受部材3の脱型後、少なくとも見かけ上は、図3に示すように、樹脂部5の内周面のうち第一内周面5a(図3中実線)のみが外径方向への収縮(図3中1点鎖線)を生じる。そのため、完成品としての軸受部材3は、図1に示すように、金属部4の両端で連続する樹脂部5の第一内周面5aを、内周面4aに比べて大径とした形状をなす。従って、径一定の軸2を軸受部材3の内周に挿入した状態では、第一内周面5aと軸2の外周面2aとの間に、軸受隙間6の隙間幅C1よりも大きい隙間幅C2を有する微小隙間7が形成される。
このように、樹脂部5を液晶ポリマーで型成形し、その後樹脂部5の成形収縮により、樹脂部5の第一内周面5aを外径側に後退させることで、金属部4の内周面4aと樹脂部5の第一内周面5aとの間に微小段差を形成することができる。従って、軸受部材3の内周面に、別途機械加工や塑性加工等により微小段差を設けるための加工が不要となり、かかる加工コストを低減することができる。
また、この実施形態では、図1に示すように、第一内周面5aを含む樹脂部5の表層部が金属部4を軸方向両端から挟んだ形状をなしている。これにより、内周面5aを含む樹脂部5の表層部が金属部4の抜止めとして作用する。
なお、上記形態(以下に説明する実施形態についても同様)において、微小隙間7の外径側に位置する樹脂部5の厚み、あるいは樹脂部5の内径に対する外径の比は、樹脂部5の第一内周面5aの外径側への後退量に影響を与える可能性があるため、かかる厚み又は内外径比を、必要とするシール空間(微小隙間7)の隙間幅に合わせて調整するのが望ましい。あるいは、樹脂部5の厚みや内外径比を軸方向又は径方向で異ならせることで、微小隙間7の形状を制御することも可能である。なお、微小隙間7を形成する樹脂部5の内周面(第一内周面5a)の外径側への後退量は、ピン12の径や上記肉厚、内外径比の他、液晶ポリマーに配合する充填材の量や種類によっても左右されるが、例えば2μm〜30μmであれば上述の条件を調整することで形成可能である。
以上、本発明に係る軸受装置の第1実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限らず他の構成を採ることも可能である。以下、軸受装置の他の構成例について説明する。なお、以下に示す図において、第1実施形態と構成・作用を同一にする部位および部材については、同一の参照番号を付し、重複説明を省略する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る軸受装置21を示す断面図である。同図における軸受装置21は、軸受部材23の軸方向一端側の形状を、図1に示す形態とは異ならせた点を特徴とするものである。すなわち、図4に示す軸受部材23は、その軸方向一端を樹脂部25の底部25bで封口すると共に、他端のみに第一内周面25aを形成し、対向する軸22の外周面22aとの間にシール空間をなす微小隙間27を設けた形態をなす。この場合、軸22の挿入側端部22bは半球面形状をなし、対向する底部25bの内底面25b1との間にピボット軸受を形成する。
図5は、本発明の第3実施形態に係る軸受装置31を示す断面図である。同図における軸受部材33は、有底筒状をなす樹脂部25の第一内周面25aを除く全内面を、同じく有底筒状の金属部34で覆う点で、図4に示す第2実施形態と構成を異にする。この場合、軸32の挿入側端面32bは対向する金属部34の底部34bの内底面34b1との間に後述する動圧軸受を形成する。
上記何れの実施形態においても、樹脂部25は、金属部4(あるいは金属部34)をインサート部品として、液晶ポリマーで射出成形される。微小隙間27は、図3と同様の成形収縮を利用して第一内周面25aを外径側に後退させることで形成される。
このように、軸方向一端側を閉口した軸受部材23、33では、後加工による内周面の加工が特に困難であるが、本発明の如く、樹脂部25の成形収縮を利用して大径部(第一内周面25a)を形成することで、かかる不具合を解消して、簡便かつ低コストに軸受部材23,33を形成することができる。
また、以上の実施形態では、樹脂部5の内周面(第一内周面5a)が成形収縮に伴い外径側に後退することを利用して、金属部4の内周面4aより大径の第一内周面5aを、軸受部材3の軸方向端部に形成した場合を説明したが、これ以外の箇所に第一内周面5aを形成することも可能である。
図6は、本発明の第4実施形態に係る軸受装置41を示す断面図である。同図における軸受装置41は、複数の金属部4を軸方向に離隔して配列し、かつこれら複数の金属部4間の領域に、樹脂部45の成形収縮により外径側に後退させた第三内周面45cを設けた点で、上記実施形態と構成を異にする。すなわち、樹脂部45の内周面は、軸方向両端で軸2の外周面2aと対向する第一内周面45aと、金属部4の外周面4bに密着固定された第二内周面45b、および金属部4の内周面4a、4a間に形成され、第一内周面45aと同様、金属部4の内周面4aに比べて大径の第三内周面45cとを有する。
この場合、第一内周面45aとこれに対向する軸2の外周面2aとの間に、軸受隙間6の幅C1よりも大きい幅C2を有する微小隙間47が形成されると共に、第三内周面45cとこれに対向する軸2の外周面2aとの間に、幅C1よりも大きい幅C3を有する微小隙間48が形成される。
かかる構成によれば、軸2の相対回転時、軸受部材43の内周面には、軸受隙間6が軸方向に離隔して2箇所形成され、かつ軸受隙間6をなす金属部4の内周面4a、4a間に内周面4aより大径の微小隙間48(逃げ部ともいう)が形成されているので、軸2をできるだけ軸方向に離隔した位置で非接触支持しつつも、その軸受面積を必要以上に増加せずに済む。そのため、ロストルクの増加を避けつつ、モーメント剛性を高めることができる。また、軸受部材43の型成形と同時に、逃げ部が金属部4の内周面4aに隣接する樹脂部45の第三内周面45cに形成されるので、金属部4の内周面4aを、別途機械加工や塑性加工等により一部大径にするための加工を省略して、加工コストを低減することができる。
また、以上の実施形態では、金属部4として、金属素材を円筒状に加工形成したものを使用した場合を説明したが、本発明では、上記以外の方法で形成された金属部、例えば電鋳加工で形成された金属部を採用することもできる。その場合、図示は省略するが、電鋳部の成形母体となるマスター軸のマスキング部以外の領域に電鋳殻である筒状の電鋳部を形成する。そして、例えば図1に示す金属部4および金属部4を嵌合固定したピン13の如く、電鋳部および電鋳部を外周に形成したマスター軸をインサート部品として金型11、12内に配した状態で樹脂部5を型成形する。その後、マスター軸を電鋳部から分離することで、金属部4としての電鋳部および樹脂部5を備えた軸受部材3が完成する。かかる方法によれば、マスター軸の表面形状が電鋳部(金属部4)の内周面4aにミクロンオーダーで高精度に転写されるため、外周面を高精度に仕上げたマスター軸を使用することで、高い面精度を有する内周面4aを形成することができる。従って、内周面4aとこれに対向する軸2の外周面2aとの間に形成される軸受隙間6の隙間幅C1を高精度に管理することができる。
また、以上の実施形態では、軸受部材3の樹脂部5以外の領域を、筒状の金属部4で構成した場合を説明したが、必ずしも金属で形成する必要はない。必要とされる軸受性能に応じて、例えばセラミックや液晶ポリマー以外の樹脂など他材料で樹脂部5以外の領域を形成することも可能である。
また、以上の実施形態では、樹脂部5の内周面(第一内周面5a、25a、45aや第三内周面45c)を外径側に後退させて、対向する軸2との間に微小隙間(径方向隙間)を形成した場合を説明したが、本発明は、液晶ポリマーからなる樹脂部5の成形収縮で軸2と樹脂部5との間に微小隙間を形成するものである限り、上記以外の位置にも微小隙間を形成可能である。
また、以上の実施形態では、軸受隙間6に形成される軸受として流体真円軸受を構成した場合を説明したが、この他に、流体の動圧上昇作用を生じるための動圧上昇部を内周面4aに設けた構成を採用することができる。その場合、例えば図示は省略するが、軸方向に対して傾斜した複数の溝(動圧溝)をへリングボーン形状に配列した領域を形成することもできる。あるいは、同じく図示は省略するが、例えば内周面4aに複数の円弧面を形成し、これら円弧面と円弧面に対向する軸2の真円状外周面2aとの間の径方向隙間を周方向に向けてくさび状に縮小させた、いわゆる多円弧軸受を構成することもできる。また、これらラジアル方向の動圧上昇部は、軸受部材3の内周面(内周面4a)の側に設ける他、軸2の外周面2aの側に設けることも可能である。
あるいは、スラスト方向の動圧上昇部として、図示は省略するが、複数の動圧溝をへリングボーン状やスパイラル状に配列した領域を、例えば図5に示す底部34bの内底面34b1に設けることも可能である。
これら動圧上昇部、例えば複数の動圧溝を配列した領域は、金属部4の内周面4aと、内周面4aより大径の樹脂部内周面(第一内周面5a、25a、45aや第三内周面45c)のサイズ、形状、位置等を調整することで形成可能である。特に、上記電鋳加工であれば、マスキング領域を適宜設定するだけで、動圧上昇部等の複雑な凹凸面形状も容易に形成することができ、好ましい。
また、以上の実施形態では、軸受装置1の内部に充満し、軸受隙間に動圧上昇作用を生じる流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも軸受隙間に動圧上昇作用を生じ得る流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
以上説明した軸受装置は、例えば情報機器用のモータに組み込んで使用可能である。以下、軸受装置を上記モータ用の軸受に適用した構成例を、図7に基づいて説明する。なお、図1〜図6に示す実施形態と構成・作用を同一にする部位および部材については、同一の参照番号を付し、重複説明を省略する。
図7は、軸受装置101を組み込んだモータ100の断面図を示している。このモータ100は、例えばHDD等のディスク駆動装置用のスピンドルモータとして使用されるものであって、軸102を回転自在に非接触支持する軸受装置101と、軸102に装着されたロータ(ディスクハブ)103と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル104およびロータマグネット105とを備えている。ステータコイル104は、ブラケット106の外周に取付けられ、ロータマグネット105はディスクハブ103の内周に取付けられている。ディスクハブ103には、磁気ディスク等のディスクDが一又は複数枚保持されている。ステータコイル104に通電すると、ステータコイル104とロータマグネット105との間の電磁力でロータマグネット105が回転し、それによって、ディスクハブ103及びディスクハブ103に保持されたディスクDが軸102と一体に回転する。
この実施形態において、軸受装置101は、軸受部材107と、軸受部材107の内周に挿入される軸102とを備えている。軸受部材107は、軸方向に離隔して設けられた両端開口筒状の金属部4および有底筒状の金属部34と、これら金属部4、34をインサート部品として型成形される樹脂部108とで構成される。そのうち、金属部4、34の内周面4a、4aより大径となる樹脂部108の内周面108a、108bは、対向する軸102の外周面102aとの間に、シール空間となる微小隙間109、および逃げ部となる微小隙間110をそれぞれ形成する。そして、軸102の回転時、軸102の外周面102aと軸受部材107の軸受面(内周面4a)との間のラジアル軸受隙間には、動圧上昇部による潤滑油の動圧上昇作用が生じ、これにより、軸102をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部Rが形成される。同時に、軸102の下端面102bと、これに対向する金属部34の内底面34b1との間に、軸102をスラスト方向に回転自在に支持するスラスト軸受部Tが形成される。
本発明の軸受装置は、以上の例示に限らず、モータの回転軸支持用として広く適用可能である。この軸受装置は、上記の通り、高いシール能力およびモーメント剛性を有するので、上記HDD等の磁気ディスク駆動用のスピンドルモータをはじめとして、高回転精度が要求される情報機器用の小型モータ、例えば光ディスクの光磁気ディスク駆動用のスピンドルモータ、あるいはレーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ等における回転軸支持用としても好適に使用することができる。
本発明の有用性を立証するため、液晶ポリマーからなる樹脂部(軸受部材)の成形収縮量を測定した。具体的には、図8に示すように、φ9.5(外径)×φ7.5(薄肉部内径)×φ6.6(厚肉部内径)の有底円筒状をなす試験片を成形し、その際の薄肉部における成形収縮量S1と、厚肉部における収縮量S2とを測定した。その結果、薄肉部、厚肉部共に外径方向への成形時収縮を生じ、その収縮量は、S1(薄肉部)=18μm、S2(厚肉部)=24μmであった。
1、21、31、41 軸受装置
2、22、32 軸
3、23、33、43 軸受部材
4 金属部
4a 内周面
5 樹脂部
5a、25a、45a 第一内周面
6 軸受隙間
7、27、47 微小隙間
11 固定型
12 可動型
13 ピン
25 樹脂部
25b 底部
34 金属部
34b 底部
45 樹脂部
45c 第三内周面
48 微小隙間
100 モータ
101 軸受装置
102 軸
107 軸受部材
108 樹脂部
108a、108b 内周面
109、110 微小隙間
C1 隙間幅(軸受隙間)
C2、C3 隙間幅(微小隙間)
R ラジアル軸受部
T スラスト軸受部
2、22、32 軸
3、23、33、43 軸受部材
4 金属部
4a 内周面
5 樹脂部
5a、25a、45a 第一内周面
6 軸受隙間
7、27、47 微小隙間
11 固定型
12 可動型
13 ピン
25 樹脂部
25b 底部
34 金属部
34b 底部
45 樹脂部
45c 第三内周面
48 微小隙間
100 モータ
101 軸受装置
102 軸
107 軸受部材
108 樹脂部
108a、108b 内周面
109、110 微小隙間
C1 隙間幅(軸受隙間)
C2、C3 隙間幅(微小隙間)
R ラジアル軸受部
T スラスト軸受部
Claims (5)
- 内周面の少なくとも一部が樹脂で形成された軸受部材と、軸受部材の内周に相対回転自在に挿入され、対向する軸受部材の内周面との間に軸受隙間を形成する軸とを備えた軸受装置であって、
軸受部材の樹脂部が液晶ポリマーからなり、樹脂部の成形収縮で軸と樹脂部との間に微小隙間を形成したことを特徴とする軸受装置。 - 前記微小隙間を軸受部材の両端部の少なくとも何れか一方に形成した請求項1記載の軸受装置。
- 複数の軸受隙間を軸方向に離隔形成し、隣接する軸受隙間の間に、軸受隙間よりも隙間幅の大きい前記微小隙間を形成した請求項1記載の軸受装置。
- 軸受部材は、筒状の金属部をインサート部品とする型成形品で、かつ金属部の内周面と軸の外周面との間に軸受隙間が形成される請求項1記載の軸受装置。
- 金属部が電鋳加工で形成される請求項4記載の軸受装置。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005272152A JP2007085390A (ja) | 2005-09-20 | 2005-09-20 | 軸受装置 |
US12/066,463 US8419281B2 (en) | 2005-09-20 | 2006-09-05 | Bearing member and method for manufacturing the same, and bearing unit having bearing member and method for manufacturing the same |
CN2006800339724A CN101263310B (zh) | 2005-09-20 | 2006-09-05 | 轴承部件和其制造方法、及具备轴承部件的轴承装置 |
CN201210370122.0A CN102878214B (zh) | 2005-09-20 | 2006-09-05 | 轴承装置、电动机和轴承装置的制造方法 |
KR1020087006757A KR20080050585A (ko) | 2005-09-20 | 2006-09-05 | 베어링 부재와 그 제조 방법, 및 베어링 부재를 구비한베어링 장치와 그 제조 방법 |
PCT/JP2006/317508 WO2007034671A1 (ja) | 2005-09-20 | 2006-09-05 | 軸受部材とその製造方法、および軸受部材を備えた軸受装置とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005272152A JP2007085390A (ja) | 2005-09-20 | 2005-09-20 | 軸受装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007085390A true JP2007085390A (ja) | 2007-04-05 |
Family
ID=37972573
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005272152A Withdrawn JP2007085390A (ja) | 2005-09-20 | 2005-09-20 | 軸受装置 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007085390A (ja) |
CN (1) | CN101263310B (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5838734B2 (ja) | 2010-12-27 | 2016-01-06 | 日本電産株式会社 | スピンドルモータ、ディスク駆動装置およびスピンドルモータの製造方法 |
-
2005
- 2005-09-20 JP JP2005272152A patent/JP2007085390A/ja not_active Withdrawn
-
2006
- 2006-09-05 CN CN2006800339724A patent/CN101263310B/zh not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN101263310B (zh) | 2012-11-21 |
CN101263310A (zh) | 2008-09-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8107190B2 (en) | Fluid bearing device, method of manufacturing the same, and disk drive device | |
JP2007024146A (ja) | 動圧軸受装置 | |
KR101367245B1 (ko) | 동압 베어링 장치 및 베어링 부재의 제조 방법 | |
JP2008130208A (ja) | 流体軸受装置及びその製造方法 | |
JP2007263311A (ja) | 動圧軸受装置 | |
JP2007085390A (ja) | 軸受装置 | |
JP4937659B2 (ja) | 流体軸受装置 | |
JP2009108877A (ja) | 流体軸受装置およびその製造方法 | |
JP2009103280A (ja) | 動圧軸受装置およびその製造方法 | |
US7789565B2 (en) | Fluid dynamic bearing apparatus | |
JP2009024810A (ja) | 流体軸受装置およびその製造方法 | |
JP2005265119A (ja) | 流体軸受装置及びその製造方法 | |
JP2005337342A (ja) | 動圧軸受装置及びこれを用いたモータ | |
JP2007100802A (ja) | 流体軸受装置 | |
JP4584093B2 (ja) | 滑り軸受 | |
JP2007162883A (ja) | 軸受装置 | |
JP4804894B2 (ja) | 軸受装置およびその製造方法 | |
JP4937618B2 (ja) | 動圧軸受装置 | |
JP6625332B2 (ja) | 流体動圧軸受装置用ハウジング | |
JP2006322523A (ja) | 軸受装置 | |
JP2011163516A (ja) | 流体動圧軸受装置及びその製造方法 | |
JP2007092845A (ja) | 軸受装置 | |
JP2003184868A (ja) | モータ用動圧軸受及び動圧軸受用スラストフランジの成形方法 | |
JP2006322522A (ja) | 軸受装置および軸受部材の製造方法 | |
JP2007315485A (ja) | 動圧軸受装置の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20081202 |