JP2007084873A - 導電性無電解めっき粉体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 環境汚染となるクロム酸や過マンガン酸等を使用せず、異物の混入がなく、更にめっき密着性に優れた導電性無電解めっき粉体を製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の導電性無電解めっき粉体の製造方法では、半導体化合物の光触媒作用を利用して芯材粉体の表面を親水化処理し、次いで該親水化処理した芯材粉体の表面に、無電解めっきにより金属皮膜を形成する。親水化処理は、基材4の表面に半導体化合物を含む被覆層5を設けてなる部材6を、芯材粉体が懸濁した液体中に浸漬させた状態下に、被覆層5に光を照射することで行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の導電性無電解めっき粉体の製造方法では、半導体化合物の光触媒作用を利用して芯材粉体の表面を親水化処理し、次いで該親水化処理した芯材粉体の表面に、無電解めっきにより金属皮膜を形成する。親水化処理は、基材4の表面に半導体化合物を含む被覆層5を設けてなる部材6を、芯材粉体が懸濁した液体中に浸漬させた状態下に、被覆層5に光を照射することで行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、導電性無電解めっき粉体の製造方法に関する。
従来、導電性無電解めっき粉体を始めとする無電解めっき製品を製造する場合、被めっき物が疎水性であるときには、その表面を親水化処理して金属皮膜と被めっき物との密着性を高める必要があった。密着性を高める手段として、従来はクロム酸や過マンガン酸などの強力な酸化剤が用いられてきた。
しかし、これらの酸化剤は環境負荷が大きいという不都合がある。適切な還元、洗浄処理をすれば、クロムやマンガンがめっき製品中に残留することは少ないが、完全な除去は非常に難しい。
そこで、環境負荷の小さな親水化処理方法として、半導体粒子と被めっき物との共存下に光を照射することで、被めっき物の表面を親水化する方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法によれば、めっき製品中にクロム等の重金属が混入することはなく、また廃液処理も容易である。しかし、特許文献1に記載の方法では、親水化処理後に半導体粒子を分離する工程が必要となる。被めっき物が板状体のようなバルクである場合には、半導体粒子の分離は比較的容易であるが、被めっき物が粉体の場合には完全に分離することが困難であり、残存する半導体粒子が異物となる。その結果、得られためっき物を例えばファインピッチの電気回路接続用の導電材料に使用することが困難になる。
従って本発明の目的は、環境汚染となるクロム酸や過マンガン酸等を使用せず、異物の混入がなく、更にめっき密着性に優れた導電性無電解めっき粉体を製造し得る方法を提供することにある。
本発明は、半導体化合物の光触媒作用を利用して芯材粉体の表面を親水化処理し、次いで該親水化処理した芯材粉体の表面に、無電解めっきにより金属皮膜を形成する導電性無電解めっき粉体の製造方法であって、
基材の表面に半導体化合物を含む被覆層を設けてなる光触媒部材を、該芯材粉体が懸濁した液体中に浸漬させた状態下に、該被覆層に光を照射して、該芯材粉体の表面を親水化処理することを特徴とする導電性無電解めっき粉体の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
基材の表面に半導体化合物を含む被覆層を設けてなる光触媒部材を、該芯材粉体が懸濁した液体中に浸漬させた状態下に、該被覆層に光を照射して、該芯材粉体の表面を親水化処理することを特徴とする導電性無電解めっき粉体の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明によれば、環境汚染となるクロム酸や過マンガン酸等を使用せずに、芯材粉体の親水化処理を行うことができる。その結果、異物の混入がなく、めっき密着性に優れた導電性無電解めっき粉体を容易に製造することができる。従って、本発明の製造方法で得られる電性無電解めっき粉体は、特にファインピッチの電気回路接続用の導電材料として好適に使用される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の製造方法によって得られる導電性無電解めっき粉体(以下、単にめっき粉体ともいう)は、芯材粉体の表面に無電解めっき法によって金属皮膜が形成されてなるものである。
導電性無電解めっき粉体における金属皮膜は、通常は単一金属の単層構造であるが、所望により2種類以上の異種金属による多層構造であってもよい。また、金属皮膜は、その種類やめっき条件によって結晶質または非晶質の何れであっても良い。更に、金属皮膜は、磁性または非磁性を示すものでもあり得る。ここでいう金属には、金属単体のほか、合金(例えばニッケル−リン合金やニッケル−ホウ素合金)が含まれる。使用可能な金属としては、Ni、Fe、Cu、Co、Pd、Ag、Au、Pt、Snなどが挙げられる。経済的な観点からはNiが好ましい。以下の実施形態では金属としてニッケルを例に取り説明するが、用い得る金属はこの限りではない。
本実施形態の製造方法は、(1)親水化工程、(2)触媒化処理工程、(3)初期薄膜形成工程、(4)無電解めっき工程に大別される。(1)の親水化工程は、半導体化合物の光触媒作用を利用して、芯材粉体の表面に親水基を形成させる工程である。(2)の触媒化処理工程は、貴金属イオンの捕捉能を有するか又は表面処理によって貴金属イオンの捕捉能を付与した芯材粉体に、貴金属イオンを捕捉させた後、これを還元して前記貴金属を芯材粉体の表面に担持させる工程である。(3)の初期薄膜形成工程は、貴金属が担持された芯材粉体を、ニッケルイオン、還元剤及び錯化剤を含む初期薄膜形成液に分散混合させ、ニッケルイオンを還元させて該芯材粉体の表面にニッケルの初期薄膜を形成する工程である。(4)の無電解めっき工程は、無電解めっきによって芯材粉体の表面にニッケル皮膜を形成させる工程である。以下、それぞれの工程について詳述する。
(1)親水化工程
芯材粉体自体が疎水性の場合は親水化処理を行う。また、たとえ芯材粉体自体が親水性の場合あっても、密着性向上の観点から親水化処理を行う。親水化とは、微視的には芯材粉体の表面に極性基が形成されることをいう。巨視的には、攪拌等の通常の分散手段によって、芯材粉体が水中に実質的に懸濁して分散している状態になっていることをいう。本実施形態では、基材の表面に半導体化合物を含む被覆層を設けてなる光触媒部材を、芯材粉体が懸濁した液体中に浸漬させた状態下に、該被覆層に光を照射して、芯材粉体表面の改質を促し、表面に極性基を形成させることにより親水化を行う。
芯材粉体自体が疎水性の場合は親水化処理を行う。また、たとえ芯材粉体自体が親水性の場合あっても、密着性向上の観点から親水化処理を行う。親水化とは、微視的には芯材粉体の表面に極性基が形成されることをいう。巨視的には、攪拌等の通常の分散手段によって、芯材粉体が水中に実質的に懸濁して分散している状態になっていることをいう。本実施形態では、基材の表面に半導体化合物を含む被覆層を設けてなる光触媒部材を、芯材粉体が懸濁した液体中に浸漬させた状態下に、該被覆層に光を照射して、芯材粉体表面の改質を促し、表面に極性基を形成させることにより親水化を行う。
図1は、本実施形態において用いられる親水化処理装置の好ましい構成を示す一例の概略図である。反応槽(図1中の記号1)中には、光触媒部材(図1中の記号2)と攪拌装置(図1中の記号3)が設置されている。光触媒部材2は、基材(図1中の記号4)を備えている。基材4の表面は、半導体化合物を含む被覆層(図1中の記号5)で被覆されている。
基材4としては、耐久性に優れたものが用いられる。光源の設置場所に応じて、基材4の材質を適宜選択することが好ましい。例えば、照射する光が基材4を透過し、その透過光によって基材4の表面の半導体化合物を活性化させようとする場合には、光透過性の基材4を用いることが好ましい。一方、基材4に光を透過させず、基材4の表面の半導体化合物に直接光を照射する場合には、基材4は光透過性の素材でなくてもよい。
基材4が光透過性である場合、該基材4の材質としては、例えば石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。これらのうち、光透過性がよく耐久性に優れている観点から石英ガラスが好ましい。一方、半導体化合物に直接光を照射する場合に使用される基材4としては、前記の光透過性の基材のほか、例えばステンレス、チタンなどの金属類、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックス類等を用いることができる。
基材4の形状に特に制限はなく、例えば球状、板状、管状、円筒状、立方状、中空状等であってもよい。基材4の表面のうち、半導体化合物を含む被覆層5で被覆する領域は、全面であってもよく或いは一部であってもよい。
基材4を被覆する被覆層5に含まれる半導体化合物としては、光電極性を有するものが用いられる。半導体化合物の例としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化カドミウム、リン化ガリウム、炭化ケイ素、酸化インジウム及び酸化バナジウム等が挙げられる。特に、液体中での安定性が良好である等の点から、二酸化チタン、とりわけアナターゼ型の二酸化チタンを用いることが好ましい。
基材4の表面を、半導体化合物を含む被覆層5で被覆する方法としては、公知の方法を用いることができる。特に、被覆層5は、親水化処理の間に該被覆層から半導体化合物が溶出しないように形成されることが好ましい。例えばパイロゾル法、ディップ法、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレー法或いはCVD法等によって被覆層5を首尾良く形成できる。これらの被覆方法は基材4の形状と、半導体化合物の種類を考慮して適宜選択することが好ましい。例えば、ディップ法は、基材4の形状によらず容易に基材4の表面に半導体化合物を含む所望の被覆層5を形成することが出来るので、本発明では特に好ましく用いられる。
基材4の表面に、アナターゼ型二酸化チタンを含む被覆層5を形成させる場合には、以下の方法を用いることが好ましい。溶媒として、アルコール、エーテル、エステル、炭化水素系の溶媒を1種又は2種以上の混合溶媒として用いる。溶媒中にチタンアルコキシド、チタンアセチルアセトネート、チタンカルボキシルシレートのようなチタンの化合物を添加する。更に、必要に応じ加水分解剤を添加する。このようにしてコーティング液を調製する。該コーティング液に基材4を浸漬させた後、該コーティング液から引き上げ、基材4を300〜600℃、好ましくは400〜500℃で加熱処理する。これにより基材4の表面にアナターゼ型二酸化チタンを含む被覆層5を形成させることができる。なお、このコーティング液としては市販品を用いることもできる。
半導体化合物を含む被覆層5は、光の透過が可能で、光による劣化がないバインダーとなる成分を含んでいてもよい。このようなバインダー成分としては、例えばブチラール樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ケイ酸ソーダ等のアルカリシリケート、シリカゾル、アルミナゾル、テトラエトキシシラン、リン酸アルミニウム等のリン酸塩、金属アルコキシド、アルミニウムキレート、酢酸錫等が挙げられるが、特にこれらに限定されるわけではない。
本親水化処理は、半導体化合物の光触媒作用を利用するものなので、該半導体化合物の被覆量及び被覆層5の厚さ等は、特に制限されるものではない。例えば、芯材粉体と半導体化合物との接触面積を多くするために、基材4の表面に半導体化合物が均質に分散した状態の被覆層5を形成すればよい。
図1において、光触媒部材2は反応槽1に固定して用いてもよく、或いはそうでなくてもよい。親水化処理の際に加わる外力によって被覆層5が剥離する等の問題が起こりにくいという観点からは、光触媒部材2は反応槽1に固定化して用いることが好ましい。光触媒部材2は、芯材粉体と被覆層5とが反応槽内で接触しやすくなるような位置に設置することが好ましい。図1においては、反応槽内に光触媒部材2が1個設置されているが、光触媒部材2の設置個数は1個に限られず、必要により同一の又は異なる複数個の光触媒部材2を反応槽内に設置することができる。
芯材粉体の種類に特に制限はなく、有機物粉体及び無機物粉体の何れもが用いられる。芯材粉体は、その表面が疎水性であってもよく、或いは親水性であってもよい。尤も、本実施形態の方法は、表面が疎水性である芯材粉体に特に有効である。芯材粉体は、好ましくは水に実質的に不溶性のものであり、更に好ましくは酸やアルカリに対しても溶解または変質しないものである。
芯材粉体の形状に特に制限はない。一般に芯材粉体は粉粒状であり得るが、それ以外の形状、例えば繊維状、中空状、板状、針状、粒子表面に微小突起をもったものであってもよく、或いは不定形であってもよい。特に好ましくは、芯材粉体は球状である。芯材粉体の具体例としては、無機物として、金属(合金も含む)、ガラス、セラミックス、シリカ、カーボン、金属または非金属の酸化物(含水物も含む)、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素などが挙げられる。有機物としては、天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂またはジアリルフタレート樹脂などが挙げられる。これらは単独でも使用でき又は2種以上の混合物として使用してもよい。
芯材粉体の平均粒径は、0.5〜100μm、特に0.8〜80μm、とりわけ1〜50μmであることがめっき工程中の凝集を抑制し、無電解めっき後の導電粒子として狭ピッチ化に対応できるという観点で特に好ましい。なお、芯材粉体の平均粒径は、電気抵抗法を用いて測定された値である。
前述の方法によって測定された芯材粉体の粒径には幅(粒度分布)がある。一般に、粉体の粒度分布の幅は、下記式(1)で示される変動係数により表される。
変動係数(%)=(標準偏差/平均粒径)×100 (1)
この変動係数が大きいことは分布に幅があることを示し、一方、変動係数が小さいことは粒度分布がシャープであることを示す。本実施形態では、この変動係数が芯材粉体として50%以下、特に30%以下、とりわけ20%以下のものを使用することが好ましい。この理由は、本発明によって得られためっき粉体を異方性導電膜中の導電粒子として用いた場合に、接続に有効な寄与割合が高くなるという利点があるからである。
変動係数(%)=(標準偏差/平均粒径)×100 (1)
この変動係数が大きいことは分布に幅があることを示し、一方、変動係数が小さいことは粒度分布がシャープであることを示す。本実施形態では、この変動係数が芯材粉体として50%以下、特に30%以下、とりわけ20%以下のものを使用することが好ましい。この理由は、本発明によって得られためっき粉体を異方性導電膜中の導電粒子として用いた場合に、接続に有効な寄与割合が高くなるという利点があるからである。
本実施形態においては、図1に示す装置を用い、基材4の表面に半導体化合物を含む被覆層5を設けた光触媒部材2を、芯材粉体が懸濁した液体中に浸漬させた状態下に、該被覆層5に光を照射して半導体化合物を活性化させ、活性化された半導体化合物によって芯材粉体の表面を親水化処理する。
前記液体としては、例えば水、硫酸水溶液、硝酸水溶液等の水性の液やアルコール類やエーテル類等の非水性の液が挙げられる。硫酸水溶液や硝酸水溶液の濃度は0.01〜99重量%、特に1〜20重量%が好ましい。
芯材粉体の濃度は親水化状態に影響を与える。芯材粉体の濃度が低い場合には親水化処理の効率は高くなるものの、生産性が低くなってしまう。逆に芯材粉体の濃度が高すぎると、基材4の表面に存在する半導体化合物を含む被覆層5との接触効率が低くなり、処理時間が長くなる。これらの観点から、芯材粉体の濃度は0.1g/リットル〜100g/リットル、特に1g/リットル〜50g/リットルが好ましい。
芯材粉体が強撥水性である場合には、半導体化合物を含む被覆層5との接触が困難になり、親水化処理が首尾良く進行しないことがある。これを防止するために、必要により懸濁液に界面活性剤を添加することができる。使用できる界面活性剤は陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の何れでもよく、芯材粉体を分散せしめる作用があれば、特に限定されない。界面活性剤の濃度は0.01〜10000ppm、特に0.1〜5000ppmが好ましい。界面活性剤の濃度が低すぎると、芯材粉体が十分に分散しない場合がある。逆に濃度が高すぎると、光触媒作用が界面活性剤の分解を優先的に進行させてしまう。
親水化処理を行う温度は好ましくは5〜100℃である。特に、15〜50℃で親水化処理を行うと低エネルギーコストとなることから好ましい。
親水化処理の時間は、短すぎると親水化が不十分であり、逆に長すぎると芯材粉体の表面が失活し、金属皮膜を形成することが容易でなくなる。これらの観点から、親水化処理の時間は10秒〜180分、特に30秒〜120分、とりわけ1分〜90分であることが好ましい。
液体中において芯材粒子は攪拌により懸濁状態とされることが好ましい。これによって、半導体化合物を含む被覆層と芯材粒子が接触しやすくなり、効率的に親水化処理が行える。攪拌速度は特に制限されないが、芯材粒子が液体中で沈降せずに流動性を示す速度以上で行うことが、半導体化合物と芯材粒子の接触を効率的に行い得る観点から好ましい。
照射する光は、半導体化合物の種類に応じて適切な波長のものが選択される。一般に、紫外光又は可視光を用いることで光触媒反応が進行する。特に波長400nm以下、とりわけ380nm以下の紫外光の照射が好ましい。光源の例としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、エキシマレーザー等の各種レーザー、バリア放電ランプ、誘電体バリア放電ランプ、マイクロ波無電極放電ランプ、過度放電ランプ等が挙げられる。光の照射量は50mJ/cm2以上であることが好ましい。
光源は、反応槽1の外に配置してもよく、或いは反応槽1の中に配置してもよい。反応槽1の外に光源を配置する場合、光触媒部材2と光源との距離は親水化効率に影響を与える。従って、光源は反応槽1の中に配置することが効率的である。光源を反応槽1の外に設置する場合は、光源と光触媒部材2との距離が長すぎると、使用する光の波長にもよるが、例えば紫外線は酸素やオゾンに吸収されて減衰してしまい、光触媒部材中の半導体化合物に十分に届かないことがある。この観点から、光源と光触媒部材2との距離は1000mm以内、特に500mm以内、とりわけ300mm以内とすることが好ましい。また、光を被覆層中の半導体化合物に効率よく届かせるために、液体と光源との空間を減圧させて気体が存在しないようにすることが好ましい。
親水化処理が完了したら、懸濁液から芯材粉体を濾過分離し、必要に応じて洗浄して、親水化処理された芯材粉体を回収する。
本親水化処理においては、図1に示す装置に代えて、図2に示す装置を用いることもできる。図2に示す装置においては、光触媒部材2として、該部材2の内部に光源6を有し、光源6を覆うように基材4が配置されており、基材4の外表面(即ち、基材4の面のうち、光源6に向く面と反対側の面)に、半導体化合物を含む被覆層5が設けられているものが用いられている。光源6が設置されている基材4の内部は水密になっている。基材4は光源6から照射される光の透過が可能な透明材料から構成されている。特に石英ガラスから構成されていることが好ましい。
図2に示す装置を用いる場合には、所定量の芯材粉体が液体に懸濁された状態下に、光源6から光を照射して透明基材4の外表面に存在する被覆層5中の半導体化合物を活性化させる。半導体化合物と芯材粉体との接触は、芯材粉体と液体を含む反応系を攪拌装置3で攪拌することで高めることができる。図2に示す装置によれば、光触媒部材2の内部に光源6が設置されていることに起因して、光源6から照射される光を効率的に利用でき、親水化処理を最も効率的に行うことができるので工業的に特に有利である。
先に述べた通り、例えば紫外線は、酸素やオゾンに吸収されて減衰しやすい。そこで、被覆層5中の半導体化合物に光を効率よく照射させるために、光源6と透明基材4との間の空間を、窒素ガス等の不活性ガスで満たしておくか、或いは当該空間を減圧して気体が存在しないようにすることが好ましい。
(2)触媒化処理工程
親水化された芯材粉体は、その表面が貴金属イオンの捕捉能を有するか、又は貴金属イオンの捕捉能を有するように表面改質される。貴金属イオンは、パラジウムや銀のイオンであることが好ましい。貴金属イオンの捕捉能を有するとは、貴金属イオンをキレート又は塩として捕捉し得ることをいう。例えば芯材粉体の表面に、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、水酸基、ニトリル基、カルボキシル基などが存在する場合には、該芯材粉体の表面は貴金属イオンの捕捉能を有する。貴金属イオンの捕捉能を有するように表面改質する場合には、例えば特開昭61−64882号公報記載の方法を用いることができる。
親水化された芯材粉体は、その表面が貴金属イオンの捕捉能を有するか、又は貴金属イオンの捕捉能を有するように表面改質される。貴金属イオンは、パラジウムや銀のイオンであることが好ましい。貴金属イオンの捕捉能を有するとは、貴金属イオンをキレート又は塩として捕捉し得ることをいう。例えば芯材粉体の表面に、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、水酸基、ニトリル基、カルボキシル基などが存在する場合には、該芯材粉体の表面は貴金属イオンの捕捉能を有する。貴金属イオンの捕捉能を有するように表面改質する場合には、例えば特開昭61−64882号公報記載の方法を用いることができる。
芯材粉体自体が貴金属イオンの捕捉能を有する場合は、直接触媒化処理を行う。そうでない場合は表面改質処理を行う。表面改質処理は、表面処理剤を溶解した水又は有機溶媒に芯材粉体を加えて充分に攪拌して分散させた後、該粉体を分離し乾燥させる。表面処理剤の量は、芯材粉体の種類に応じ、粉体の表面積1m2当り0.3〜100mgの範囲で調整することで、均一な改質効果が得られる。
次に、芯材粉体を塩化パラジウムや硝酸銀のような貴金属塩の希薄な酸性水溶液に分散させる。これによって貴金属イオンを粉体表面に捕捉させる。貴金属塩濃度は粉体の表面積1m2当り1×10-7〜1×10-2モルの範囲で充分である。貴金属イオンが捕捉された芯材粉体は系から分離され水洗される。引き続き、芯材粉体を水に懸濁させ、これに還元剤を加えて貴金属イオンの還元処理を行う。これによって芯材粉体の表面に貴金属を担持させる。還元剤としては、例えば次亜リン酸ナトリウム、水素化ほう素ナトリウム、水素化ほう素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン等が用いられる。
貴金属イオンを芯材粉体の表面に捕捉させる前に、錫イオンを粉体表面に吸着させる感受性化処理を施してもよい。錫イオンを粉体表面に吸着させるには、例えば表面改質処理された芯材粉体を塩化第一錫の水溶液に投入し所定時間撹拌すればよい。
(3)初期薄膜形成工程
初期薄膜形成工程は、主として、芯材粉体へのニッケルの均一析出を平滑化する目的で行われる。初期薄膜形成工程においては、先ず、貴金属が担持された芯材粉体を十分に水に分散させる。分散にはコロイドミルやホモジナイザーのような剪断分散装置などを用いることができる。芯材粉体を分散させるに際し、例えば界面活性剤等の分散剤を必要に応じて用いることができる。このようにして得られた水性懸濁体を、ニッケルイオン、還元剤及び錯化剤を含む初期薄膜形成液に分散混合させる。これによって、ニッケルイオンの還元反応が開始され、芯材粉体の表面にニッケルの初期薄膜が形成される。先に述べた通り、初期薄膜形成工程は主として均一析出の目的で行われるから、形成されるニッケルの初期薄膜は、芯材粉体の表面を平滑にし得る程度に薄いものであればよい。この観点から、初期薄膜の厚さは0.001〜2μm、特に0.005〜1μmであることが好ましい。初期薄膜の厚さは、ニッケルイオンの添加量や化学分析から算出することができる。
初期薄膜形成工程は、主として、芯材粉体へのニッケルの均一析出を平滑化する目的で行われる。初期薄膜形成工程においては、先ず、貴金属が担持された芯材粉体を十分に水に分散させる。分散にはコロイドミルやホモジナイザーのような剪断分散装置などを用いることができる。芯材粉体を分散させるに際し、例えば界面活性剤等の分散剤を必要に応じて用いることができる。このようにして得られた水性懸濁体を、ニッケルイオン、還元剤及び錯化剤を含む初期薄膜形成液に分散混合させる。これによって、ニッケルイオンの還元反応が開始され、芯材粉体の表面にニッケルの初期薄膜が形成される。先に述べた通り、初期薄膜形成工程は主として均一析出の目的で行われるから、形成されるニッケルの初期薄膜は、芯材粉体の表面を平滑にし得る程度に薄いものであればよい。この観点から、初期薄膜の厚さは0.001〜2μm、特に0.005〜1μmであることが好ましい。初期薄膜の厚さは、ニッケルイオンの添加量や化学分析から算出することができる。
前述した厚さの初期薄膜を形成させる観点から、初期薄膜形成液におけるニッケルイオンの濃度は2.0×10-4〜1.0モル/リットル、特に1.0×10-3〜0.1モル/リットルであることが好ましい。ニッケルイオン源としては、硫酸ニッケルや塩化ニッケルのような水溶性ニッケル塩が用いられる。同様の観点から、初期薄膜形成液における還元剤の濃度は4×10-4〜2.0モル/リットル、特に2.0×10-3〜0.2モル/リットルであることが好ましい。還元剤としては、先に述べた貴金属イオンの還元に用いられているものと同様のものを用いることができる。
初期薄膜形成液には錯化剤を含有させておくことが好ましい。錯化剤は、めっきの対象となる金属イオンに対して錯体形成作用のある化合物である。本実施形態においては、錯化剤として有機カルボン酸又はその塩、例えばクエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸若しくはグルコン酸又はそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が使用できる。更にアミン化合物、例えばグリシン、アラニン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのアミノ基を有する化合物も使用できる。これらの錯化剤は1種または2種類以上用いることができる。錯化剤の溶解度の観点から、初期薄膜形成液における錯化剤の量は0.003〜10モル/リットル、特に0.006〜4モル/リットルであることが好ましい。
初期薄膜を容易に形成し得る点から、水性懸濁体における芯材粉体の濃度は0.1〜500g/リットル、特に0.5〜300g/リットルであることが好ましい。
芯材粉体を含む水性懸濁体と初期薄膜形成液とを混合して得られた水性懸濁体は、次いで後述する無電解めっき工程に付される。無電解めっき工程に付される前における水性懸濁体においては、該水性懸濁体の体積に対する該水性懸濁体に含まれる該芯材粉体の表面積の総和の割合(この割合は一般に負荷量と呼ばれる)が0.1〜15m2/リットル、特に1〜10m2/リットルであることが、密着性に優れた皮膜を有するニッケル皮膜を容易に形成し得る点から好ましい。負荷量が高すぎると、後述する無電解めっき工程において、液相でのニッケルイオンの還元が甚だしくなり、ニッケルの微粒子が液相に多量に発生し、これが芯材粉体の表面に付着してしまい、均一なニッケル皮膜を形成することが困難となる。
(3)無電解めっき工程
無電解めっき工程においては、(a)初期薄膜が形成された芯材粉体及び前記錯化剤を含む水性懸濁体、(b)ニッケルイオン含有液及び(c)還元剤含有液の3液を使用する。(a)の水性懸濁体は、先に述べた初期薄膜形成工程で得られたものをそのまま用いればよい。
無電解めっき工程においては、(a)初期薄膜が形成された芯材粉体及び前記錯化剤を含む水性懸濁体、(b)ニッケルイオン含有液及び(c)還元剤含有液の3液を使用する。(a)の水性懸濁体は、先に述べた初期薄膜形成工程で得られたものをそのまま用いればよい。
(a)の水性懸濁体とは別に、(b)のニッケルイオン含有液及び(c)の還元剤含有液の2液を調製しておく。ニッケルイオン含有液は、ニッケルイオン源である硫酸ニッケルや塩化ニッケルのような水溶性ニッケル塩の水溶液である。ニッケルイオンの濃度は、0.1〜1.2モル/リットル、特に0.5〜1.0モル/リットルであることが、密着性に優れたニッケル皮膜を容易に形成させることができることから好ましい。
ニッケルイオン含有液には、水性懸濁体に含有されている錯化剤と同種の錯化剤を含有させておくことが好ましい。つまり(a)の水性懸濁体及び(b)のニッケルイオン含有液の双方に同種の錯化剤を含有させておくことが好ましい。これによって密着性に優れたニッケル皮膜を容易に形成させることができる。この理由は明確ではないが、(a)の水性懸濁体及び(b)のニッケルイオン含有液の双方に錯化剤を含有させておくことで、ニッケルイオンが安定化し、その還元反応が急激に進行することが妨げられるからであると推測される。
(b)のニッケルイオン含有液における錯化剤の濃度も、(a)の水性懸濁体における錯化剤の濃度と同様にニッケル皮膜の形成に影響を及ぼす。この観点及び錯化剤の溶解度の観点から、ニッケルイオン含有液における錯化剤の量は0.006〜12モル/リットル、特に0.012〜8モル/リットルであることが好ましい。
(c)の還元剤含有液は、一般に還元剤の水溶液である。還元剤としては、先に述べた貴金属イオンの還元に用いられているものと同様のものを用いることができる。特に次亜リン酸ナトリウムを用いることが好ましい。還元剤の濃度は、ニッケルイオンの還元状態に影響を及ぼすことから、0.1〜20モル/リットル、特に1〜10モル/リットルの範囲に調整することが好ましい。
(a)の水性懸濁体に、(b)のニッケルイオン含有液及び(c)の還元剤含有液の2液を個別かつ同時に添加する。これによってニッケルイオンが還元されて、芯材粉体の表面にニッケルが析出しその皮膜が形成される。ニッケルイオン含有液と還元剤含有液の添加速度は、ニッケルの析出速度を制御するのに有効である。ニッケルの析出速度は、密着性の良いニッケル皮膜の形成に影響を及ぼす。従って、ニッケルの析出速度は、両液の添加速度を調整することによって1〜10000nm/時、特に5〜300nm/時に制御することが好ましい。ニッケルの析出速度は、ニッケルイオン含有液の添加速度から計算によって求めることができる。
2液を水性懸濁体に添加している間、負荷量を0.1〜15m2/リットル、特に1〜10m2/リットルの範囲に保つことが好ましい。これによって、ニッケルが均一に析出する。同様の理由から、2液の添加が終わりニッケルイオンの還元が完了した時点での負荷量がこの範囲であることも好ましい。
用いる還元剤の種類にもよるが、ニッケルイオンの還元反応中、水性懸濁体のpHは3〜13、特に4〜11の範囲に保たれていることが、ニッケルの水不溶性沈殿物の生成を防止する点から好ましい。pHを調整するには、例えば、還元剤含有液中に水酸化ナトリウムなどのpH調整剤を所定量添加しておけばよい。
得られためっき粉体は、ろ過及び水洗が数度繰り返された後に分離される。更に付加工程として、ニッケル皮膜上に最上層としての金めっき層の形成工程を行ってもよい。金めっき層の形成は、従来公知の無電解めっき法に従い行うことができる。例えば、めっき粉体の水性懸濁体に、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、クエン酸三ナトリウム及びシアン化金カリウムを含み、水酸化ナトリウムでpHが調整された無電解めっき液を添加することで、ニッケル皮膜上に金めっき層が形成される。金めっき層の厚さは一般に0.001〜0.5μm程度である。金めっき層の厚さは、金イオンの添加量や化学分析から算出することができる。
このようにして、ニッケル皮膜が芯材粉体の表面に形成されてなるめっき粉体が得られる。このめっき粉体におけるニッケル皮膜は芯材粉体との密着性に優れたものとなる。ニッケル皮膜の厚さはその密着性や耐熱性に少なからず影響し、皮膜が厚すぎると芯材粉体からの落剥が起こって導電性が低下しやすい傾向にある。逆に、皮膜が薄すぎても所望の導電性が得られなくなる。これらの観点から、ニッケル皮膜の厚さは0.005〜10μm、特に0.01〜2μm程度であることが好ましい。ニッケル皮膜の厚さは例えば走査型電子顕微鏡による観察から実測できるほか、ニッケルイオンの添加量や化学分析から算出することもできる。
かくして得られる本発明の導電性無電解めっき粉体は、異物の混入がなく、めっき密着性にも優れたものであるので、例えば、異方性導電性フィルムのフィラー等に使用することができる他、特にファインピッチの電気回路接続用の導電材料に好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
(1)親水化処理工程
本実施例においては、図2に示す装置を用いて無電解めっき粉体を製造した。基材2として円筒状の石英ガラス管(ヘレウス社製のIR53−06700(商品名)、寸法25mmφ×500mmL)を用いた。石英ガラス管を、チタニウムテトライソプロポキシドを有機溶剤と反応させて得られるディップ用有機チタン溶液(日本曹達社製;商品名アトロンNTi−500)にゆっくり浸漬し、10cm/minでゆっくり引き上げた。120℃で乾燥後、500℃で1時間焼成した。この作業を10回繰り返し行い、石英ガラス管の外表面に酸化チタンの薄厚が0.8μmになるように被覆層5を設けた。この酸化チタンの被覆層を、X線回折分析したところ、アナターゼ型酸化チタンであることを確認した。
(1)親水化処理工程
本実施例においては、図2に示す装置を用いて無電解めっき粉体を製造した。基材2として円筒状の石英ガラス管(ヘレウス社製のIR53−06700(商品名)、寸法25mmφ×500mmL)を用いた。石英ガラス管を、チタニウムテトライソプロポキシドを有機溶剤と反応させて得られるディップ用有機チタン溶液(日本曹達社製;商品名アトロンNTi−500)にゆっくり浸漬し、10cm/minでゆっくり引き上げた。120℃で乾燥後、500℃で1時間焼成した。この作業を10回繰り返し行い、石英ガラス管の外表面に酸化チタンの薄厚が0.8μmになるように被覆層5を設けた。この酸化チタンの被覆層を、X線回折分析したところ、アナターゼ型酸化チタンであることを確認した。
光源6として紫外線ランプ(ヘレウス社製のMNI40/20オゾンフリーランプ(商品名)、主波長254nm、発光寸法15mmφ×198mmL)を用いた。これを外表面に酸化チタンの被覆層を設けた前記の石英ガラス管に水密に収納し、これを光触媒部材2とした。この部材2をアーム(図2では図示せず)でしっかり固定し、攪拌機3を備えた2リットルのステンレス製反応槽1に設置した。
次いで、この反応槽1に脱塩水1.5リットルを入れた。更にスチレン系樹脂の粒子(芯材粉体)15gを加えた。この芯材粉体は、電気抵抗法から求められる平均粒径が10μmであり、粒度分布の変動係数が14.5%の球状粒子であった。反応槽1内を150rpmで攪拌した状態下に、光源6の紫外線ランプから主波長254nmの光を室温下(25℃)で30分間照射した。これにより芯材粉体の親水化処理を行った。反応終了後、常法により固液分離し、回収した芯材粉体を脱塩水で洗浄した。
(2)触媒化処理工程
(1)の工程で得られた芯材粉体を7.5重量%含む水性スラリー200mlに、塩化第一錫水溶液200mlを投入した。この水溶液の濃度は5×10-3モル/Lであった。常温で5分間攪拌し、錫イオンを芯材粉体の表面に吸着させる感受性化処理を行った。引き続き水溶液を濾過し、1回リパルプして水洗した。次いで芯材粉体を3.75重量%含む水性スラリー400mLを調製し、60℃に維持した。超音波を併用してスラリーを攪拌しながら、0.11モルg/Lの塩化パラジウム水溶液2mLを添加した。そのままの攪拌状態を5分間維持させ、芯材粉体の表面にパラジウムイオンを捕捉させる活性化処理を行った。次いで水溶液をろ過し、1回リパルプ湯洗した。次に芯材粉体を7.5重量%含む水性スラリー200mlを調製した。超音波を併用しながらこのスラリーを攪拌し、そこへ、0.017モル/リットルのジメチルアミンボランと0.16モル/リットルのホウ酸との混合水溶液20mLを加えた。常温で超音波を併用しながら2分間攪拌してパラジウムイオンの還元処理を行った。
(1)の工程で得られた芯材粉体を7.5重量%含む水性スラリー200mlに、塩化第一錫水溶液200mlを投入した。この水溶液の濃度は5×10-3モル/Lであった。常温で5分間攪拌し、錫イオンを芯材粉体の表面に吸着させる感受性化処理を行った。引き続き水溶液を濾過し、1回リパルプして水洗した。次いで芯材粉体を3.75重量%含む水性スラリー400mLを調製し、60℃に維持した。超音波を併用してスラリーを攪拌しながら、0.11モルg/Lの塩化パラジウム水溶液2mLを添加した。そのままの攪拌状態を5分間維持させ、芯材粉体の表面にパラジウムイオンを捕捉させる活性化処理を行った。次いで水溶液をろ過し、1回リパルプ湯洗した。次に芯材粉体を7.5重量%含む水性スラリー200mlを調製した。超音波を併用しながらこのスラリーを攪拌し、そこへ、0.017モル/リットルのジメチルアミンボランと0.16モル/リットルのホウ酸との混合水溶液20mLを加えた。常温で超音波を併用しながら2分間攪拌してパラジウムイオンの還元処理を行った。
(3)初期薄膜形成工程
(2)の工程で処理した芯材粉体を7.5重量%含む水性スラリー200mLを、0.087モル/Lの酒石酸ナトリウムと0.005モル/Lの硫酸ニッケルと0.012モル/Lの次亜リン酸ナトリウムからなる初期薄膜形成液に攪拌しながら添加して水性懸濁体となした。初期薄膜形成液は75℃に加温されており、液量は2Lであった。スラリー投入後、直ぐに水素の発生が認められ、初期薄膜形成の開始を確認した。
(2)の工程で処理した芯材粉体を7.5重量%含む水性スラリー200mLを、0.087モル/Lの酒石酸ナトリウムと0.005モル/Lの硫酸ニッケルと0.012モル/Lの次亜リン酸ナトリウムからなる初期薄膜形成液に攪拌しながら添加して水性懸濁体となした。初期薄膜形成液は75℃に加温されており、液量は2Lであった。スラリー投入後、直ぐに水素の発生が認められ、初期薄膜形成の開始を確認した。
(4)無電解めっき工程
初期薄膜形成工程で得られた水性懸濁体に0.86モル/Lの硫酸ニッケルと0.17モル/Lの酒石酸ナトリウムからなるニッケルイオン含有液及び2.57モル/Lの次亜リン酸ナトリウムと2.6モル/Lの水酸化ナトリウムからなる還元剤含有液の2液を、それぞれ8mL/分の添加速度で添加した。それぞれの添加量は、析出したニッケル皮膜の膜厚が0.2μmになるように調節した。2液の添加後すぐに水素の発生が認められ、めっき反応の開始が確認された。2液の添加が完了した後、水素の発泡が停止するまで75℃の温度を保持しながら攪拌を続けた。次いで水性懸濁体をろ過し、ろ過物を3回リパルプ洗浄した後、110℃の真空乾燥機で乾燥させた。これにより、ニッケル−リン合金めっき皮膜を有するめっき粉体を得た。
初期薄膜形成工程で得られた水性懸濁体に0.86モル/Lの硫酸ニッケルと0.17モル/Lの酒石酸ナトリウムからなるニッケルイオン含有液及び2.57モル/Lの次亜リン酸ナトリウムと2.6モル/Lの水酸化ナトリウムからなる還元剤含有液の2液を、それぞれ8mL/分の添加速度で添加した。それぞれの添加量は、析出したニッケル皮膜の膜厚が0.2μmになるように調節した。2液の添加後すぐに水素の発生が認められ、めっき反応の開始が確認された。2液の添加が完了した後、水素の発泡が停止するまで75℃の温度を保持しながら攪拌を続けた。次いで水性懸濁体をろ過し、ろ過物を3回リパルプ洗浄した後、110℃の真空乾燥機で乾燥させた。これにより、ニッケル−リン合金めっき皮膜を有するめっき粉体を得た。
〔実施例2〕
実施例1の(1)の親水化処理工程において、基材2としての石英ガラス管の内部に窒素ガスを100ml/分の流量で供給した。光源6として、紫外線ランプに代えてオゾンランプ(ヘレウス社製のNIQ40/18(商品名)、主波長254nm+185nm、発光寸法15mmφ×152mmL)を用いた。また照射を20分間とした。これら以外は実施例1と同様な操作及び条件で、ニッケル−リン合金めっき皮膜を有するめっき粉体を得た。
実施例1の(1)の親水化処理工程において、基材2としての石英ガラス管の内部に窒素ガスを100ml/分の流量で供給した。光源6として、紫外線ランプに代えてオゾンランプ(ヘレウス社製のNIQ40/18(商品名)、主波長254nm+185nm、発光寸法15mmφ×152mmL)を用いた。また照射を20分間とした。これら以外は実施例1と同様な操作及び条件で、ニッケル−リン合金めっき皮膜を有するめっき粉体を得た。
〔比較例1〕
2リットルの反応槽に、脱塩水1.5リットル、芯材粉体としてのスチレン系樹脂の粒子15g及びアナターゼ型酸化チタン粉末(平均粒径0.1μm)10gを入れて懸濁液となした。スチレン系樹脂の粒子は実施例1で用いたものと同様のものである。光源として実施例1と同様の紫外線ランプを用い、これを懸濁液の液面下60mmの深さに設置した。懸濁液を撹拌させた状態下に、紫外線ランプから主波長254nmの光を室温下(25℃)で30分間照射し親水化処理を行った。次いで、目開き5μmのナイロン製ふるいを用い酸化チタン粉末を分離し、親水化処理された芯材粉体を回収した。その後は実施例1と同様な操作及び条件で、ニッケル−リン合金めっき皮膜を有するめっき粉体を得た。
2リットルの反応槽に、脱塩水1.5リットル、芯材粉体としてのスチレン系樹脂の粒子15g及びアナターゼ型酸化チタン粉末(平均粒径0.1μm)10gを入れて懸濁液となした。スチレン系樹脂の粒子は実施例1で用いたものと同様のものである。光源として実施例1と同様の紫外線ランプを用い、これを懸濁液の液面下60mmの深さに設置した。懸濁液を撹拌させた状態下に、紫外線ランプから主波長254nmの光を室温下(25℃)で30分間照射し親水化処理を行った。次いで、目開き5μmのナイロン製ふるいを用い酸化チタン粉末を分離し、親水化処理された芯材粉体を回収した。その後は実施例1と同様な操作及び条件で、ニッケル−リン合金めっき皮膜を有するめっき粉体を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られためっき粉体について、以下の方法で、めっき皮膜の厚み、めっき皮膜の密着性を測定・評価した。更に、異物混入の有無を観察した。それらの結果を表1に示す。
実施例及び比較例で得られためっき粉体について、以下の方法で、めっき皮膜の厚み、めっき皮膜の密着性を測定・評価した。更に、異物混入の有無を観察した。それらの結果を表1に示す。
〔めっき皮膜の厚み〕
めっき粉体を硝酸に浸漬してめっき皮膜を溶解し、皮膜成分をICPまたは化学分析により定量し、下式により厚みを算出した。
A=[(r+t)3−r3]d1/rd2
A=W/100−W
式中、rは芯材粉体の半径(μm)、tはめっき皮膜の厚み(μm)、d1はめっき皮膜の比重、d2は芯材粉体の比重、Wは金属含有量(重量%)を示す。
めっき粉体を硝酸に浸漬してめっき皮膜を溶解し、皮膜成分をICPまたは化学分析により定量し、下式により厚みを算出した。
A=[(r+t)3−r3]d1/rd2
A=W/100−W
式中、rは芯材粉体の半径(μm)、tはめっき皮膜の厚み(μm)、d1はめっき皮膜の比重、d2は芯材粉体の比重、Wは金属含有量(重量%)を示す。
〔めっき皮膜の密着性〕
めっき粉体2.2g及び直径3mmのジルコニアビーズ90gを、100ミリリットルのマヨネーズビンに入れた。更にマヨネーズビンに、ホールピペットを用いてトルエン10ミリリットルを加えた。攪拌機(スリーワンモーター)を用いてマヨネーズビン内を10分間400rpmで攪拌した。終了後、めっき粉体とジルコニアビーズとを分別した。走査型電子顕微鏡でめっき粉体を観察し、めっき皮膜のはがれ具合を以下の基準で評価した。
○:めっき皮膜の剥がれが観察されなかった。
×:めっき皮膜の剥がれが観察された。
めっき粉体2.2g及び直径3mmのジルコニアビーズ90gを、100ミリリットルのマヨネーズビンに入れた。更にマヨネーズビンに、ホールピペットを用いてトルエン10ミリリットルを加えた。攪拌機(スリーワンモーター)を用いてマヨネーズビン内を10分間400rpmで攪拌した。終了後、めっき粉体とジルコニアビーズとを分別した。走査型電子顕微鏡でめっき粉体を観察し、めっき皮膜のはがれ具合を以下の基準で評価した。
○:めっき皮膜の剥がれが観察されなかった。
×:めっき皮膜の剥がれが観察された。
〔異物混入の有無の観察〕
任意に1000個のめっき粉体を抽出し、走査型電子顕微鏡観察により異物混入の有無を観察した。表1中の「有」は、めっき粉体とは別の粒子が1個以上観察されたことを示し、「無」は異物が全く観察されなかったことを示す。
任意に1000個のめっき粉体を抽出し、走査型電子顕微鏡観察により異物混入の有無を観察した。表1中の「有」は、めっき粉体とは別の粒子が1個以上観察されたことを示し、「無」は異物が全く観察されなかったことを示す。
表1に示す結果から明らかなように、実施例で得られためっき粉体は、比較例で得られためっき粉体と同等の皮膜厚み及び皮膜密着性を有した上で、異物混入が全く認められないことが判る。なお表には示していないが、元素分析の結果、各実施例で得られためっき粉体にはチタンが全く含まれていいないことが確認された。
1 反応槽
2 光触媒部材
3 攪拌装置
4 基材
5 半導体化合物を含む被覆層
6 光源
2 光触媒部材
3 攪拌装置
4 基材
5 半導体化合物を含む被覆層
6 光源
Claims (6)
- 半導体化合物の光触媒作用を利用して芯材粉体の表面を親水化処理し、次いで該親水化処理した芯材粉体の表面に、無電解めっきにより金属皮膜を形成する導電性無電解めっき粉体の製造方法であって、
基材の表面に半導体化合物を含む被覆層を設けてなる光触媒部材を、該芯材粉体が懸濁した液体中に浸漬させた状態下に、該被覆層に光を照射して、該芯材粉体の表面を親水化処理することを特徴とする導電性無電解めっき粉体の製造方法。 - 前記芯材粉体の粒径が0.5〜100μmである請求項1記載の導電性無電解めっき粉体の製造方法。
- 前記芯材粉体として球状のものを用いる請求項1記載の導電性無電解めっき粉体の製造方法。
- 前記半導体化合物がアナターゼ型酸化チタンである請求項1記載の導電性無電解めっき粉体の製造方法。
- 前記光触媒部材として、該部材の内部に光源を有し、該光源を覆うように前記基材が配置されており、該基材の外表面に半導体化合物を含む前記被覆層が設けられているものを用いる請求項1記載の導電性無電解めっき粉体の製造方法。
- 前記基材が石英ガラスである請求項5記載の導電性無電解めっき粉体の製造方法。
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---|---|---|---|---|
JP2009174042A (ja) * | 2007-12-27 | 2009-08-06 | Hitachi Chem Co Ltd | 導電性無電解めっき粉体の製造方法 |
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2005
- 2005-09-21 JP JP2005274462A patent/JP2007084873A/ja active Pending
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