JP2007084425A - 軽量耐火コンクリート用細骨材およびそれを用いた軽量耐火コンクリートの製造方法 - Google Patents

軽量耐火コンクリート用細骨材およびそれを用いた軽量耐火コンクリートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐火性に優れた軽量耐火コンクリートを製造する上で有用な軽量耐火コンクリート用細骨材を提供する。
【解決手段】微小粒径の灰分の洗浄による超微粒分の除去、ならびに分級によって、内部に水分Wiを含むとともに表面を表面水Woで覆われた直径が5mm以下の細骨材を得、その細骨材を670〜730℃で乾燥処理して、表面水Woを除去するとともに、内部に水分Wiの一部を除去した空隙Sを発生させる。その後、800〜850℃で加熱処理して、非晶質な成分の割合を増加させるとともに、内部に、残存水分を含んだ空隙Sを残す。しかる後、コーティング材で細骨材の表層の気泡Wを閉塞処理し、更に、セメントおよび水を添加して増粘処理し、細骨材の表面に、セメントから放出されるOH−イオンによりpHを上昇させて粘度を高くした皮膜Cを形成し、最終的に、含水率が3〜5重量%の細骨材を得るようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、軽量耐火コンクリート用細骨材およびそれを用いた軽量耐火コンクリートの製造方法に関する。
この種のものとしては、従来、次のようなものが知られている。
A.第1従来例(特許文献1参照)
この第1従来例には、天然カオリン、ハロイサイトおよび合成カオリンのいずれかまたはそれらの混合物を630〜870℃でか焼し、シリカ/アルミナの組成比が1.1〜1.3の非晶質部分を主体とし、全粒子の径が8μm以下で平均粒子径が0.5〜2.0μmになるように分級処理し、2.45〜2.55の比重を有するように調整したセメント混和材が開示され、630℃以上でか焼することにより脱水することが開示されている。
B.第2従来例(特許文献2参照)
この第2従来例には、含水率を10重量%以下に乾燥処理した軽量骨材の表層に、その表層の微細空隙中に浸入し得る粘度を有するとともにpH上昇によって50倍以上の粘度に増粘し得る低酸性溶液をコーティングして皮膜を形成し、その皮膜を形成した軽量骨材にセメントと水とを加えて撹拌混合して増粘処理した後、残りのセメントと水と骨材(川砂とか、含水率0.5〜0.9重量%の人工細骨材)とを加えて撹拌混合する軽量耐火コンクリートの製造方法が開示されている。
特公平7−33271号公報 特許第3279412号明細書
しかしながら、上述のような従来例の場合、それぞれ次のような欠点があった。
a.第1従来例の欠点
セメント混和材として高強度コンクリートにおいては有効であっても、その粒子が超微粒子であるため、ある程度の含水率を確保できず、耐火性が低下するために軽量耐火コンクリート用細骨材として適さない欠点があった。
また、微粒粉体のために、軽量耐火コンクリートを製造する際の施工性が低下する欠点があった。
b.第2従来例の欠点
この第2従来例は粗骨材であり、軽量耐火コンクリートを製造する上で混合する細骨材においては、何ら配慮されていず、製造過程で吸水し、含水率が高くなって爆裂の虞があり、改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1に係る発明は、耐火性に優れた軽量耐火コンクリートを製造する上で有用な軽量耐火コンクリート用細骨材を提供することを目的とし、請求項2に係る発明は、耐火性に優れた軽量耐火コンクリートを製造できるようにすることを目的とする。
請求項1に係る発明の軽量耐火コンクリート用細骨材は、上述のような目的を達成するために、
シリカおよびアルミナを主成分とし、直径が5mm以下で非晶質な成分を有するとともに含水率が3〜5重量%であり、かつ、コーティング材で表層の気泡が閉塞処理されるとともに、増粘処理された皮膜が表面に形成されて成ることを特徴としている。
シリカおよびアルミナを主成分とする微小粒径の灰分としては、例えば、白山からの飛灰などが適用できる。
洗浄処理によっては、74μm以下の超微粒分を除去し、分級によって直径が5mm以下の細骨材を得る。5mmを越えると、軽量耐火コンクリートを製造する際の充填性が低下するからである。
得られた細骨材を670〜730℃で乾燥処理する。670℃未満では、脱水が不十分で余剰水分量が多くなりすぎて爆裂防止効果が無く、一方、730℃を越えると、余剰水分量が少なくなりすぎ、製造された軽量耐火コンクリートにおいて、熱を受けたときに、急激に温度が上昇し、耐火時間が短くなって耐火性が低下するからである。
上述乾燥処理の後、800〜850℃で加熱処理する。800℃未満では、含水率が高く、かつ、細骨材表面にポゾラン反応を促す非晶質な成分の割合が低くなるためポゾラン反応が促進されず、コーティング材の浸透性も低下するからである。一方、850℃を越えると、含水率が低くなりすぎるとともに、分子構造が崩れて結晶転移が発生し、再結晶して別の鉱物に変化するため、非晶質な成分の割合が低くなってポゾラン反応が阻害され、かつコーティング材の浸透性も低くなり、更に、内部の気泡の膨張によって脆くなり、強度が低下するからである。
コーティング材としては、特許第3279412号明細書に記載された低酸性溶液が用いられる。この低酸性溶液としては、カルボキシル基含有単量体(a)および必要により他の単量体(b)から構成される低酸性のアニオン性アクリル樹脂の水分散溶液が使用される。カルボキシル基含有単量体(a)としては、(メタ)アクリル酸[アクリル酸およびメタクリル酸を表す。以下、同様の表現を用いる。]、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸フマル酸等の不飽和ポリカルボン酸が挙げられる。また、他の単量体(b)としては、(イ)不飽和カルボン酸エステル、例えば、上記不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸等]のアルキル(炭素数1〜12)エステル[メチル−、エチル−、n−またはiso−プロピル−、n−またはiso−ブチル−、2−エチルヘキシルエステル等]、(ロ)芳香族ビニル単量体、例えば、スチレン、(ハ)ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、(ニ)不飽和ニトリル、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(ホ)ハロゲン含有単量体、例えば、塩化ビニル、クロロプレンなどの疎水性単量体(へ)アミド基含有単量体、例えば、(メタ)アクリルアミド、(ト)水酸基含有単量体、例えば、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のような親水性単量体(チ)ジ−またはポリ−ビニル化合物、例えば、ジビニルトルエン、(リ)不飽和モノ−またはポリ−カルボン酸とポリオールとのジ−またはポリ−エステル、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、(ヌ)ポリカルボン酸のジ−またはポリ−(メタ)アリルエステル、例えば、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、ビス(メタ)アクリルアミド、その他米国特許第4,076,663号明細書に記載された少なくとも2個の重合性二重結合を有する架橋性単量体などが挙げられる。
低酸性溶液に用いる高分子物質における単量体の割合は、水溶性あるいは水分散性の重合体を形成し得る範囲で種々変えられるが、一般に、全単量体の重量に基づいて、カルボキシル基含有単量体(a)の含有量は、通常20%以上、好ましくは25〜75%、更に好ましくは30〜70%である。20%未満では、pH上昇による粘度の上昇が不十分となり、吸水抑制作用が不十分となるという不都合があるからである。疎水性単量体の含有量は通常80%以下、好ましくは25〜75%、更に好ましくは30〜70%である。80%を越えると、pH上昇による粘度の上昇が不十分となり、吸水抑制作用が不十分となるという不都合があるからである。架橋性単量体の含有量は通常2%以下、好ましくは1%以下である。2%を越えると、pH上昇による粘度の上昇が不十分となり、吸水抑制作用が不十分となるという不都合があるからである。カルボキシル基含有単量体(a)とそれ以外の親水性単量体との重量比は通常 100:0〜50:50、好ましくは 100:0〜75:25である。
低酸性溶液に用いる高分子物質は、前記単量体を通常の重合方法により重合させることにより製造することができる。重合方法としては、重合触媒(過硫酸塩、過酸化物、レドックス触媒等)、紫外線、放射線等(好ましくは重合触媒、特にレドックス触媒)を用いて、塊状重合、水溶液重合、乳化(または懸濁)重合、逆層(W/O)乳化(または懸濁)重合等公知の重合方法により製造することができる。重合方法として好ましいのは重合触媒(過硫酸塩、過酸化物、レドックス触媒等)を用いた乳化重合による方法である。
低酸性溶液に用いる高分子物質の純分における酸価は通常 100〜 500、好ましくは 200〜 450である。 100未満では、pH上昇による粘度の上昇が不十分となり、吸水抑制作用が不十分となるという不都合があり、また、 500を越えても、pH上昇による粘度の上昇が不十分となり、吸水抑制作用が不十分となるという不都合があるからである。
低酸性溶液に用いる高分子物質として好ましいのは、特開昭60−210555号公報に記載のような酸価を有するビニル重合体であり、特に好ましいのはアニオン性アクリル系樹脂である。このものは、一般式(1)で示される(メタ)アクリル酸単位および一般式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステル単位を有している。
Figure 2007084425
Figure 2007084425
(式中R1 はHまたはCH3 、好ましくはCH3 、R2 はHまたはCH3 、好ましくはH、Rはアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
低酸性溶液に用いる高分子物質の分子量は通常100,000以上である。分子量が低すぎると加圧吸水抑制作用が不充分となる。
低酸性溶液における高分子物質固形分の濃度は通常1〜50%、好ましくは2〜30%である。1%未満では、十分な粘度に増粘し得る高分子物質の低酸性溶液が得られないという不都合があり、一方、50%を越えると、粘度が大きくなりすぎるという不都合があるからである。
低酸性溶液は、通常pH5.5以下の酸性領域では、高分子物質が直径2〜3μm以下の微粒子として水中に乳化、分散した低粘度の液状であり、その溶液の粘度としては、通常50センチポイズ以下、好ましくは30センチポイズ以下である。50センチポイズを越えると、細骨材の表面の空隙中に浸入しにくくなり、吸水抑制作用が不十分となる不都合があるからである。
表層の気泡を閉塞処理した細骨材に添加するセメントとしては、通常、水との接触によりOH−イオンを放出するものであれば良く、特に限定されないが、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、コロイドセメント、フライアッシュセメントなどの混合セメント、および、これら2種以上の併用などが挙げられる。
低酸性溶液は、pHを通常6〜13、好ましくは7〜10の中性ないしアルカリ性領域に上昇させることにより、pH上昇前の粘度(温度20℃での)の通常50倍以上、好ましくは80倍以上、更に好ましくは 300倍以上の粘度(温度20℃での)に増粘させることができる。増粘後は、通常 100センチポイズ以上、好ましくは 300センチポイズ以上、更に好ましくは1000センチポイズ以上の高い粘度となる。
したがって、細骨材表層の空隙中に低酸性溶液を吸収させた後、そのpHを上昇させることにより、表層の空隙内に極めて高い粘度[増粘前の粘度の50倍以上の粘度(一般に 100センチポイズ以上)]の皮膜を形成させた細骨材を製造することができる。
低酸性溶液の粘度の制御はpH調整により行うことができるが、中性ないしアルカリ性へのpH上昇には、セメントと水との接触により放出されるOH−イオンを利用するのが好ましい。セメントは水と接触すると、セメント中のフリーライム(CaO)と水との反応およびC3 S(エーライト)やC2 S(ビーライト)の水和によりCa(OH)2 を形成して、水のpHを高め、それと同時に、セメント中のK2 SO4 やNa2 SO4 とCa(OH)2 やC3 Aとの反応(例えば、下記(3)式のような反応)により更にpHが高まる。
3K2 SO4 +3Ca(OH)2 +C3 A+32H2
→C3 A・3CaSO4 ・32H2 O+6KOH……(3)
細骨材には、その他の成分として、リグニンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などのセメント減水剤、セメント流動化剤、無機各種分散剤、各種界面活性剤を併用することができる。
細骨材の表層の空隙内において高い粘度の水の層を形成させる他の方法として、低粘度の高分子物質原料(単量体、オリゴマーやプレポリマーなどの部分重合物等)の水溶液または水分散液を軽量骨材表層の空隙内に吸収させた後、空隙内でそれらを重合させて通常増粘前の粘度の50倍以上の高い粘度を有する水の層を形成する方法などが挙げられる。
また、細骨材の加圧吸水抑制処理方法としては、乾燥細骨材に低酸性溶液(50センチポイズ以下の粘度を有する水、例えば、上述のような酸性のアニオン性重合体を含有する水)を練り混ぜることによって吸水させる方法、または、低酸性溶液の中に乾燥細骨材を浸漬することによって吸水させる方法とか、乾燥細骨材に低酸性溶液を散布することによって吸水させる方法、あるいは、低酸性溶液を密閉下の減圧した容器内にある乾燥細骨材中に吸入することによって吸水させる方法、更には、低酸性溶液中に乾燥細骨材を浸漬し、空気等で加圧することによって吸水させる方法などがある。
また、このようにして表層の空隙中に吸水させた低酸性溶液を(増粘前の粘度の)50倍以上の粘度に増粘する方法としては、セメントのアルカリによりpHを上昇させることによって増粘する方法、アルカリ金属の水酸化物および/または炭酸塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)によりpHを上昇させることによって増粘する方法、多価金属(アルカリ土類金属、アルミニウム等)の水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム)によりpHを上昇させることによって増粘する方法、アルミン酸塩(アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等)によりpHを上昇させることによって増粘する方法、水酸化アンモニウムによりpHを上昇させることによって増粘する方法、その他水溶液または水分散液状態でOH−イオンを放出する各種の化合物によりpHを上昇させることによって増粘する方法などが挙げられる。
細骨材の加圧吸水抑制処理は、生コンクリートプラントでコンクリートの練り混ぜと同時に行うことができる。この生コンクリートプラントで行う方法としては、例えば、先ずミキサー中に、細骨材と、低酸性溶液[50センチポイズ以下の粘度を有する水、例えば、酸性のアニオン性重合体を含有する水(この水の量は細骨材の表層に吸水させるに必要な量)]とを投入・撹拌し、その間に低酸性溶液を細骨材の表層部に吸収させる。
次いで、水(コンクリートの全水量から細骨材の表層に吸水させた低酸性溶液中の水の量を引いた残りの量)と、セメントと、混和剤とを添加し、コンクリートを練り混ぜ、その結果、セメントから放出されるOH−イオンのためにコンクリート中の水および細骨材の表層に吸収させた低酸性溶液のいずれのpHも上昇し、細骨材の表層の空隙中の低酸性溶液は粘度が上昇して、加圧吸水抑制処理がなされた軽量耐火コンクリート用細骨材を製造することができる。
このようにして得られる細骨材は、空隙中に高粘度(増粘前の粘度の50倍以上の粘度、一般に 100センチポイズ以上)の水の層を有する表層部を有している。
最終的に、細骨材の表面に皮膜を形成するとともに含水率が3〜5重量%になるように調整する。3重量%未満では耐火性能が低下し、一方、5重量%を越えると爆裂防止効果が無くなるからである。
(作用・効果)
請求項1に係る発明の軽量耐火コンクリート用細骨材の構成によれば、シリカおよびアルミナを主成分とし、非晶質な成分を有するようにすることでコーティング材の浸透性を高くでき、直径を5mm以下にすることで軽量耐火コンクリートを製造する上での充填性を損なわないようにする。また、含水率を調整して、耐火性能と爆裂防止効果を発揮させる。更に、コーティング材で表層の気泡を閉塞処理するとともに、表面の皮膜の形成により、吸水を抑制するとともに強度を向上させる。
したがって、細骨材の表層の空隙中に水分が残存したり浸入したりすることを皮膜によって確実に回避でき、しかも、皮膜の形成に伴うタガ効果とアーチアクションとによって細骨材の強度を高くでき、コンクリート混練時の物理的ないしは機械的作用による影響を受けることなくコンクリート練り混ぜ後も加圧吸水抑制作用を保持することができ、全体として、軽量耐火コンクリートを製造した上での耐火性はもちろんのこと、物理的ならびに化学的な安定性に優れるとともに、コンクリートに対して無害であり、かつ、爆裂を防止できる軽量耐火コンクリート用細骨材を提供できる。
また、請求項2に係る発明の軽量耐火コンクリートの製造方法は、前述のような目的を達成するために、請求項1に記載の軽量耐火コンクリート用細骨材15〜25重量%と、セメント35〜47重量%と、補強用繊維6〜9重量%と、水10〜15重量%と、吸水含水量が粗骨材重量の2〜5%の粗骨材15〜22重量%とを混練して養生することを特徴としている。
軽量耐火コンクリート用細骨材の含有量は、15〜25重量%である。15重量%未満では、耐火性能が低く、一方、25重量%を越えると軽量耐火コンクリートの強度が低下するからである。
セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、コロイドセメント、フライアッシュセメントなどの混合セメント、および、これら2種以上の併用などが挙げられ、その含有量は35〜47重量%である。35重量%未満では、強度が低下し、一方、47重量%を越えると、粘性が高くなって施工性が低下するからである。
補強用繊維としては、ステンレス鋼繊維などの金属繊維とか、それらにガラス繊維などの非金属繊維といった繊維材を混合させたものが挙げられ、その含有量は6〜9重量%である。6重量%未満では、補強効果が低下し、一方、9重量%を越えると、軽量耐火コンクリートの強度が低下するからである。
水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水、河川水、地下水、および、これら2種以上の併用などが挙げられる。これらのうち好ましいのは、水道水、イオン交換水、蒸留水、および、これら2種以上の併用である。水の含有量は10〜15重量%である。10重量%未満では流動性が低くて施工性が低下し、一方、15重量%を越えると強度が低下するとともに耐火性能が低下するからである。 粗骨材としては、吸水含水量が粗骨材重量の2〜5%のものが用いられる。2%未満では、耐火性能が低下し、一方、5%を越えると、爆裂防止効果が低くなるからである。粗骨材の含有量は15〜22重量%である。15重量%未満では、耐火性能が低く、一方、22重量%を越えると軽量耐火コンクリートの強度が低下するからである。
(作用・効果)
請求項2に係る発明の軽量耐火コンクリートの製造方法の構成によれば、軽量耐火コンクリート用細骨材、セメント、補強用繊維、水、および、吸水含水量が粗骨材重量の2〜5%の粗骨材をそれぞれ調整し、それらを混練して養生することにより、施工性を低下せずに、耐火性能および爆裂防止に適した含水率を有するとともに高強度の軽量耐火コンクリートを製造できる。
したがって、耐火性に優れた軽量耐火コンクリートを提供できる。
以上説明したように、請求項1に係る発明の軽量耐火コンクリート用細骨材の構成によれば、シリカおよびアルミナを主成分とし、非晶質な成分を有するようにすることでコーティング材の浸透性を高くでき、直径を5mm以下にすることで軽量耐火コンクリートを製造する上での充填性を損なわないようにする。また、含水率を調整して、耐火性能と爆裂防止効果を発揮させる。更に、コーティング材で表層の気泡を閉塞処理するとともに、増粘処理に伴う表面の皮膜の形成により、吸水を抑制するとともに強度を向上するから、細骨材の表層の空隙中に水分が残存したり浸入したりすることを皮膜によって確実に回避でき、しかも、皮膜の形成に伴うタガ効果とアーチアクションとによって細骨材の強度を高くでき、コンクリート混練時の物理的ないしは機械的作用による影響を受けることなくコンクリート練り混ぜ後も加圧吸水抑制作用を保持することができ、全体として、軽量耐火コンクリートを製造した上での耐火性はもちろんのこと、物理的ならびに化学的な安定性に優れるとともに、コンクリートに対して無害であり、かつ、爆裂を防止できる軽量耐火コンクリート用細骨材を提供できる。
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
先ず、軽量耐火コンクリート用細骨材の製造方法について説明する。
微小粒径の灰分としての飛灰(約3000万年前に爆発した白山から飛散して金沢市郊外に厚さ約10mで堆積している灰分:組成比、シリカ76.3%、アルミナ17.2%、酸化カリウム2.0%、酸化ナトリウム1.9%、三酸化第二鉄1.2%、酸化カルシウム1.1%、酸化マグネシウム0.2%)を洗浄して、74μm以下の超微粒分を除去するとともに分級処理し、直径が5mm以下の細骨材を得る[図1の(a)参照]。
その細骨材を700℃で乾燥処理し、表面水を除去するとともに、内部に水分の一部を除去した空隙を発生させる[図1の(b)参照]。
その後、820℃で加熱処理して、非晶質な成分の割合を増加させるとともに、内部に、残存水分を含んだ空隙を残す。
しかる後、生コンクリートプラントのミキサー中に、上記加熱処理した後の細骨材を358kg/m3投入し、撹拌しながらアニオン性アクリル樹脂エマルジョン[アクリル酸エチル/メタクリル酸(重量比6/4)共重合体、酸価 260(純分)、樹脂含有量25%、pH2、粘度3センチポイズ(温度20℃)]からなるコーティング材を100倍溶液で21kg/m3投入し、ミキサー中で約1分間均一に撹拌混合して、細骨材の表層の気泡を閉塞処理した。
次いで、普通ポルトランドセメント88kg/m3をミキサー中に投入し、更に、1分間均一に撹拌混合することにより、表層の空隙中で増粘されて表面に皮膜を形成した含水率が3〜5重量%の軽量耐火コンクリート用細骨材を得た[図1の(c)参照]。
続いて、上述の軽量耐火コンクリート用細骨材467kg/m3(31.1重量%)、吸水量が粗骨材重量の2〜5%の粗骨材(スーパーメサライト:日本メサライト工業社製)270kg/m3(18.0重量%)、補強用繊維としてのステンレス繊維108kg/m3(7.2重量%)、早強ポルトランドセメント460kg/m3(30.6重量%)、水190kg/m3(12.7重量%)、混和剤4.6kg/m3(0.3重量%)を撹拌しながら順次投入し、約2分間充分混練して取り出し、溶接金網(図2参照)を配筋した型枠に打設した。105℃で10日間乾燥により養生して幅3,250mm、高さ3,150mm、厚さ70mmの試験体としての軽量耐火コンクリートを得た。含水率は2.9重量%であった。
試験体は2体用意し、それぞれ図2に示すように構成されている。
図2の(a)は配筋状態を主体的に示す正面図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図であり、試験対の内部に溶接金網2が配筋され、上部の両端側それぞれにアンカーボルト3が取り付けられるとともに、下部に、筒状ナット4aを付設したファスナー4が取り付けられている。
得られた試験体1を、図3の組付け状態の説明図[(a)は正面図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図]に示すように、H型鋼による矩形状の枠体5に組付けた。
上部においては、図4の要部の拡大縦断面図に示すように、アングル状の取付部材6がアンカーボルト3に第1のナット7で取り付けられるとともに、枠体5のフランジ部に第1のボルト8と第2のナット9とによって取り付けられている。
また、下部においては、図5の要部の拡大縦断面図に示すように、枠体5にコの字状プレート10が取り付けられるとともに、そのコの字状プレート10に第2のボルト11と第3のナット12とによって平板プレート13が取り付けられている。平板プレート13に取り付けられた第3のボルト14が筒状ナット4aに、取付位置調整可能にネジ込まれている。
上述のようにして組付けた後、図6の試験方法の説明図[(a)は正面図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図]に示すように、枠体5側を加熱裏面側すなわち屋内側とし、かつ、反対側を加熱側すなわち屋外側とし、その屋外側において、試験体1の表面から100mm離れた位置の14箇所(○印箇所)に、加熱温度を測定する加熱温度センサを設けた。
また、試験体1の裏面に接触させた11箇所(番号を付した□印箇所)に、試験体1の裏面の温度を測定する裏面温度センサを設けた。更に、試験体1の温度として、6箇所(番号を付した○印箇所)に溶接金網2の温度を測定する温度センサを設けた。
また、試験体1の中心箇所に、たわみ量を測定するたわみ測定装置を設けた。
2個の試験体それぞれにつき、建築基準法第2条第七号に係る耐火性能試験に基づき、屋外側を加熱面として60分間加熱し、加熱温度、裏面温度、溶接金網の温度、および、試験体のたわみそれぞれの経時的変化を測定したところ、次のような結果が得られた。
すなわち、図7(ひとつの試験体)および図11(別の試験体)の加熱温度の経時的変化のグラフに示すように、60分後に約950℃近くにまで加熱され、加熱停止後は、240分後に約50℃(試験体の屋外側の表面からの輻射熱と考えられる)まで低下した。
また、ひとつの試験体については、図8の裏面温度の経時的変化のグラフに示すように、116分から128分経過後において、108℃から138℃の最高温度を示した。別の試験体については、図12の裏面温度の経時的変化のグラフに示すように、125分から137分経過後において、101℃から119℃の最高温度を示した。
また、ひとつの試験体については、図9の溶接金網の温度の経時的変化のグラフに示すように、63分から68分経過後において、302℃から418℃の最高温度を示した。別の試験体については、図13の裏面温度の経時的変化のグラフに示すように、63分から66分経過後において、324℃から409℃の最高温度を示した。
また、ひとつの試験体については、図10のたわみの経時的変化のグラフに示すように、60分経過後において、最大54.5mmのたわみがあった。別の試験体については、図14のたわみの経時的変化のグラフに示すように、56分経過後において、最大59.5mmのたわみがあった。
裏面温度において、ひとつの試験体で、初期温度15℃に対して最高温度が122分後の138℃であり、規定値(初期温度に180℃を加えた温度195℃)よりもかなり低いものであった。また、平均温度の最高値が122分後の125℃であり、規定値(初期温度に140℃を加えた温度155℃)よりもかなり低いものであった。
一方、別の試験体で、初期温度17℃に対して最高温度が125分後の119℃であり、規定値(初期温度に180℃を加えた温度197℃)よりもかなり低いものであった。また、平均温度の最高値が130分後の109℃であり、規定値(初期温度に140℃を加えた温度157℃)よりもかなり低いものであった。
また、両試験体のいずれにおいても、非加熱側へ10秒を超えて継続する火災の噴出、非加熱面で10秒を超えて継続する発炎、および、火炎が通る亀裂等の損傷のいずれも見られず、軽量耐火コンクリートとして好適であることが判明した。
軽量耐火コンクリート用細骨材の製造に伴う構造変化を示す模式図である。 試験体の説明図であり、(a)は配筋状態を主体的に示す正面図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。 組付け状態を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。 要部の拡大縦断面図である。 要部の拡大縦断面図である。 試験方法の説明図であり、(a)は正面図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。 ひとつの試験体の加熱温度の経時的変化を示すグラフである。 ひとつの試験体の裏面温度の経時的変化を示すグラフである。 ひとつの試験体の溶接金網の温度の経時的変化を示すグラフである。 ひとつの試験体のたわみの経時的変化を示すグラフである。 別の試験体の加熱温度の経時的変化を示すグラフである。 別の試験体の裏面温度の経時的変化を示すグラフである。 別の試験体の溶接金網の温度の経時的変化を示すグラフである。 別の試験体のたわみの経時的変化を示すグラフである。
符号の説明
C…皮膜

Claims (2)

  1. シリカおよびアルミナを主成分とし、直径が5mm以下で非晶質な成分を有するとともに含水率が3〜5重量%であり、かつ、コーティング材で表層の気泡が閉塞処理されるとともに、増粘処理された皮膜が表面に形成されて成ることを特徴とする軽量耐火コンクリート用細骨材。
  2. 請求項1に記載の軽量耐火コンクリート用細骨材15〜25重量%と、セメント35〜47重量%と、補強用繊維6〜9重量%と、水10〜15重量%と、吸水含水量が粗骨材重量の2〜5%の粗骨材15〜22重量%とを混練して養生することを特徴とする軽量耐火コンクリートの製造方法。
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