JP2007084327A - エレベータの制御盤支持装置 - Google Patents

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田 祐 二 藤
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Abstract

【課題】保守点検作業時に乗りかごが上昇しないように乗りかごを確実に固定できるとともに、昇降路の頂部に設けた制御盤と乗りかごとの間の隙間を保守点検時に塞ぐことができるエレベータの制御盤支持装置を提供する。
【解決手段】昇降路の内壁面に固定される固定部21と、この固定部の側に位置する状態と固定部から乗りかごへと掛け渡された状態との間で進退自在に固定部に支持された板状部材23とを備える。乗りかごに設けられている係止部25に板状部材の先端を係合させると、保守点検的に乗りかごを上昇不能に固定することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレベータ昇降路の頂部に設置する制御盤を昇降路内壁面に支持するための装置に関し、より詳しくは、エレベータを設置する建物の建築主およびエレベータ設置業者の双方の負担を軽減できるとともに、保守点検作業時に乗りかごが上昇しないように確実に固定することができ、さらには昇降路の頂部に設けた制御盤と乗りかごとの間の隙間を塞ぐことができ、加えて乗りかごの最上昇位置の変更にも容易に対応できるように改良する技術に関する。
従来、建物内の空間を効率良く利用するとともに日照権等の問題を回避するために、昇降路の上方に機械室を持たない、いわゆるマシンルームレスエレベータが種々開発され提案されている。
例えば、図12に示したマシンルームレスエレベータ(下記特許文献1を参照)において、乗りかご1は左右一対のかご側ガイドレール2L,2Rに案内されつつ昇降路内を昇降する。
乗りかご1の前面に設けられた左右一対のドア3L,3Rは、左右方向に開閉する。
乗りかご1を支持するかご枠は、乗りかご1の上方で左右方向に水平に延びる上梁4と、この上梁4の左右両端部に接続された左右一対の縦梁5L,5Rとを有している。
また、乗りかご1の上面と上梁4との間の上下方向の隙間には、上梁4に対して水平面内で傾斜して延びるシーブ支持梁6が設けられ、その長手方向中央部の上面が上梁4の長手方向中央部の下面に密着するように上梁4に接続されている。
そして、シーブ支持梁6の両端部には、左右一対のかご上シーブ7L,7Rがそれぞれ回転自在に支持されている。
左側のかご側ガイドレール2Lの上端部近傍に配設されたトラクションシーブ8は、前後方向に延びる回転軸を有した駆動装置9によって回転駆動される。
トラクションシーブ9に巻き付けられた巻き上げロープ10のうち乗りかご1側に延びる部分10aは、乗りかご1を2:1ローピングで懸架しつつ、その先端が右側のヒッチ部11Rに固定されている。
また、巻き上げロープ10のうち乗りかご1の左側面に沿って下方に延びる部分10bは、図示されない釣合錘を2:1ローピングで懸架しつつ、その先端が左側のヒッチ部11Lに固定されている。
さらに、左側のガイドレール2Lには、かご固定板12が固定され、かつ上梁4の前側側面には、ロック棒13aを有したロック機構13が固定されている。
そして、昇降路の頂部に乗りかご1を上昇させ、ロック棒13aをかご固定板12側に突出させてその係合孔12aに挿通すると、乗りかご1が昇降不能に固定されるとともに、図示されないリミットスイッチが作動してエレベータの電気回路が遮断される。
これにより、乗りかご1と釣合錘との重量アンバランスによって乗りかご1が上昇することがないから、駆動装置9を保守点検する作業員が、乗りかご1の上に乗って安全に作業を進めることができる(例えば、下記特許文献2を参照)。
加えて、昇降路の頂部には、エレベータの運転を制御するための制御盤14が設置されている。
これは、この制御盤14を昇降路の底部に設置すると、大雨が降ったときに昇降路の底部が浸水して制御盤14が水をかぶるおそれがあるからである。
特開2004−1904号公報 特開2000−203774号公報
ところで、上述したマシンルームレスエレベータにおいては、乗りかご1の上に乗った作業員が制御盤14を保守点検するが、乗りかご1と制御盤14との間の隙間が広すぎると保守点検作業が困難となる。
そこで、昇降路の内部空間に掛け渡されて左右方向に水平に延びるセパレータビーム15と乗りかご1に向かって前方に延びるブラケット16とを組み合わせてなる架台によって制御盤14を支持し、乗りかご1と制御盤14との間の間隔を適切なものとしている。 しかしながら、昇降路内にセパレータビーム15を設置するためには、このエレベータを設置する建物の建設における工事あるいは建物が完成してからの改修工事が必要であり、建築主およびエレベータ設置業者の両方にとって負担となっている。
また、昇降路内において乗りかご1が最も上昇するときの位置を変更すると、ロック機構13の上下方向位置も変化するため、かご固定板12の上下方向位置も合わせて変更する必要がある。
ところが、かご固定板12はガイドレール2Lに固定されているため、その上下方向位置を変更しようとすると、ガイドレール2Lを昇降路の内壁面に固定しているレールブラケットと干渉する場合がある。
すると、レールブラケットの上下方向の取付位置を変更するために建物を改修する工事が必要となり、建築主およびエレベータ設置業者の両方にとって負担となっている。
さらに、乗りかご1と制御盤14との間にわずかでも隙間があると、乗りかご1の上に乗った作業員が保守点検作業を行うときに、この隙間から部品や工具等を落下させるおそれがある。
これにより、保守点検を行う作業員がかなり気を遣うことになり、その精神的な負担が大きい。
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、エレベータを設置する建物の建築主およびエレベータ設置業者の双方の負担を軽減できるとともに、保守点検作業時に乗りかごが上昇しないように確実に固定することができ、さらには昇降路の頂部に設けた制御盤と乗りかごとの間の隙間を塞ぐことができ、加えて乗りかごの最上昇位置の変更にも容易に対応できるように改良されたエレベータの制御盤支持装置を提供することにある。
上記の課題を解決するための請求項1に記載した手段は、
エレベータの運転を制御する制御盤をエレベータ昇降路の内壁面に支持するための装置であって、
前記制御盤を支持する、前記内壁面に固定された固定部と、
前記固定部の側に位置する状態と前記固定部から乗りかごに掛け渡された状態との間で進退自在に前記固定部に支持された板状部材と、を備え、
前記板状部材は、乗りかごに掛け渡された状態のときに、乗りかごに設けられている係合部にその先端が係合して乗りかごを上昇不能に固定するように形成されている、
ことを特徴とするエレベータの制御盤支持装置。
すなわち、請求項1に記載したエレベータの制御盤支持装置は、昇降路の内壁面に制御盤を支持する機能、保守点検作業時に釣合錘との重量アンバランスによって乗りかごが昇降しないように乗りかごを昇降不能に固定する機能、および乗りかごと制御盤との間の隙間を塞ぐ機能を合わせ持っている。
また、この制御盤支持装置においては、昇降路の内壁面に固定部を固定するだけで良く、昇降路内にセパレータビームを設置する必要がない。
さらに、昇降路内における乗りかごの最上昇位置を変更する場合には、固定部の形状を変更し、あるいは固定部に対する板状部材の取付位置を変更し、または板状部材の形状を変更すれば良く、ガイドレールを内壁面に固定しているレールブラケットの取付位置を変更する必要もないから、エレベータを設置する建物の建築主およびエレベータ設置業者の双方の負担を軽減することができる。
さらにまた、個々のエレベータにおいて、乗りかごと制御盤との間の隙間が異なる場合には、板状部材の前後方向長さを変更することにより対応することができる。
加えて、乗りかごの寸法に合わせて板状部材の左右方向の長さを変更することにより、乗りかごと制御盤との間の隙間を全面的にあるいは所望の範囲において自在に塞ぐことができるから、保守点検作業時に部品や工具等を落下させるおそれがなくなり、乗りかごの上で保守点検作業を行う作業員の精神的な負担を軽減することができる。
また、請求項2に記載した手段は、請求項1に記載したエレベータの制御盤支持装置において、
前記板状部材が、乗りかごに掛け渡された状態のときに下方に向かって先細りなくさび状突出部を有し、
かつ前記乗りかごに設けられている係合部が、上方に向かって末広がりに開口して前記くさび状突出部を受容する係合凹部として形成されていることを特徴とする。
すなわち、請求項2に記載したエレベータの制御盤支持装置においては、釣合錘との重量アンバランスによって乗りかごが上昇しようとすると、板状部材側のくさび状突出部と乗りかご側の係合凹部とが係合するので、乗りかごの上昇を阻止することができる。
これに対して、乗りかごが降下しようとすると、板状部材側のくさび状突出部が乗りかご側の係合凹部から容易に上方に抜け出すので、乗りかごは自由に降下することができ、かつ板状部材や、くさび状突出部、乗りかご、および係合凹部が破損することがない。
なお、くさび状突出部は、その断面形状が下方に向かって先細りであれば良いのであって、任意の形状、例えば3角錐、4角錐といった角錐形や、円錐あるいは楕円錐とすることもできる。
また、板状部材は、乗りかごに対して進退できるように、固定部に設けた支持部材によりスライド自在に支持することができる。
同様に、板状部材は、乗りかごに対して接離できるように、水平支軸あるいは垂直支軸によって揺動自在に支持することができる。
さらに板状部材は、固定部に支持される本体部材と、この本体部材から乗りかごに対して進退できるように本体部材に支持される補助部材とから構成することができる。
これにより、乗りかごと制御盤との間の隙間が広い場合であっても、本体部材と補助部材とを組み合わせることによってこの隙間を確実に塞ぐことができるばかりでなく、本体部材と補助部材とを重ね合わせることによって固定部の側にコンパクトに収納することができる。
さらに、本体部材を共用しつつ、寸法の異なる補助部材を組み合わせることにより、乗りかごと制御盤との間の隙間が異なる複数のエレベータに対応することができる。
なお、補助部材は、本体部材により、スライド自在にまたは水平支軸あるいは垂直支軸の回りに揺動自在に支持することができる。
加えて、板状部材は、制御盤の蓋体の少なくとも一部によって構成することができる。 これにより、乗りかごと制御盤との間の隙間を塞ぐために制御盤の蓋体を開くと、制御盤に一般的に設けられているリミットスイッチが作動するから、保守点検作業を行っているときにはエレベータを確実に運転停止状態とすることができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、エレベータを設置する建物の建築主およびエレベータ設置業者の双方の負担を軽減できるとともに、保守点検作業時に乗りかごが上昇しないように確実に固定することができ、さらには昇降路の頂部に設けた制御盤と乗りかごとの間の隙間を塞ぐことができ、加えて乗りかごの最上昇位置の変更にも容易に対応できるように改良されたエレベータの制御盤支持装置を提供することができる。
以下、図1〜図11を参照し、本発明に係るエレベータの制御盤支持装置の各実施形態について説明する。
なお、以下の説明においては、前述した従来技術と同一の部分には同一の符号を用いて重複した説明を省略するとともに、乗りかごのドアが開閉する方向を左右方向と、乗客が乗りかごに出入りする方向を前後方向と、鉛直方向を上下方向と言う。
第1実施形態
まず最初に図1〜図3を参照し、本発明のエレベータの制御盤支持装置の第1実施形態について説明する。
図1に示したように、本第1実施形態の制御盤支持装置20を備えるエレベータ100の全体構造は、図12に示した従来のエレベータに対し、かご固定板12およびロック機構13を備えていない点、および制御盤14を支持する構造が異なる点を除いて同一である。そこで、本発明の特徴である制御盤支持装置20の構造について以下に説明する。
この制御盤支持装置20は、昇降路の内壁面のうち乗りかご1の背面側の内壁面に制御盤14を支持するためのもので、図2および図3に示したように、厚い鋼板から成形した水平部分21aおよび左右一対の縦壁21b,21cを組み合わせて成る固定部21を有している。
この固定部21は、内壁面に設けられている取付箇所にボルトを用いて固定することができ、かつその水平部分21aの上に制御盤14を載置するようになっている。
また、固定部21の内側には、断面形状「コ」字形の左右一対の支持部材22L,22Rが前後方向に水平に延びるように対向配置されていて、水平に延びる軽量で厚い板状部材23が乗りかご1に対して前後方向にスライドできるように支持している。
また、左右一対の支持部材22L,22Rと板状部材23には、図示されないストッパがそれぞれ設けられ、板状部材23が必要以上に前方に抜け出ないようになっている。
さらに、板状部材23の前端には左右一対の取手24,24が設けられ、板状部材23を固定部21から容易に引き出すことができるようになっている。
一方、乗りかご1の上面には、厚い鋼板から成形された係止部材25が左右方向に延びるように突設されている。
この係止部材25は、板状部材23の前端部分を受け入れ可能な、左右方向に細長く延びる開口25a(図3)を有している。
また、乗りかご1の上面のうち開口25aに正対する部分には、板状部材23の前端部分をその上に載せることができるゴム板製の緩衝材26が貼着されている。
さらに、乗りかご1の上面のうち開口25aの右端の近傍には、板状部材23の前端部分に当接して作動するリミットスイッチ27が配設されている。
このような制御盤支持装置20を備えたエレベータ100において、駆動装置9や制御盤14を保守点検する際には、乗りかご1の上に乗った作業員が点検運転によって乗りかご1を上昇させ、その上面が板状部材23と同じ高さになるようにする(図2)。
次いで、板状部材23の前端に設けられている左右一対の取手24,24を用いて板状部材23を固定部21から前方へと引き出し、乗りかご1に設けられている係止部材25の開口25a内にその前端部分を挿通すると、板状部材23が固定部21と乗りかご1との間に掛け渡された状態となり、作業員がその上に乗って制御盤14を保守点検できる状態となる(図3)。
同時に、リミットスイッチ27が作動してエレベータ100は運転不能状態となる。
なお、乗りかご1の上面に緩衝材26が貼着されているので、作業員が板状部材23の上に乗っても乗りかご1の上面に傷が付くことはない。
このとき、板状部材23は、固定部21に固定されている左右一対の支持部材22L,22Rによって堅固に支持されている。
これにより、乗りかご1が釣合錘との重量アンバランスによって上昇しようとしても、その上昇は乗りかご1と板状部材23との上下方向の係合によって阻止される。
また、乗りかご1が降下しようとしても、乗りかご1に設けられている係止部材25と板状部材23とが上下方向に係合しているので、乗りかご1の降下もまた板状部材23によって阻止される。
したがって、乗りかご1の上に乗った作業員は、駆動装置9や制御盤14等の保守点検作業を安全に行うことができる。
すなわち、本第1実施形態の制御盤支持装置20は、昇降路の内壁面に制御盤14を支持する機能、保守点検作業時に釣合錘との重量アンバランスによって乗りかご1が昇降しないように固定する機能、および乗りかご1と制御盤14との間の隙間を板状部材23によって塞ぐ機能を合わせ持っている。
また、昇降路の内壁面には固定部21を固定するだけで良く、昇降路内にセパレータビーム15(図12)等を設置する必要がない。
さらに、昇降路内において乗りかご1が最も上昇する位置を変更する場合には、昇降路の内壁面に固定部21を取り付けるための取付箇所の位置を変更することなく、固定部21の縦壁21b,21cの形状や上下方向長さを変更し、あるいは固定部21に対する板状部材23の取付位置を変更すれば良い。
加えて、ガイドレール2L,2Rを内壁面に固定するためのレールブラケットの取付位置を変更する必要もないから、このエレベータ100を設置する建物の建築主およびエレベータ設置業者の双方の負担を軽減することができる。
さらにまた、個々のエレベータにおいて、乗りかご1と制御盤14との間の隙間が異なる場合には、板状部材23の前後方向長さを変更することにより対応することができる。 加えて、乗りかご1の寸法に合わせて板状部材23の左右方向長さを変更することにより、乗りかご1と制御盤14との間の隙間をほぼ完全に塞ぐことができる。
したがって、乗りかご1の上で保守点検作業を行う作業員が、乗りかご1と制御盤14との間の隙間から部品や工具を落下させるおそれがなくなるから、保守点検を行う作業員が気を遣うこともなく、その精神的な負担を軽減することができる。
なお、制御盤14の左右方向寸法に対して、固定部21および板状部材23の左右方向寸法を大きく設定することにより、制御盤14を設置する位置を左右方向に自在に選定することができる。
第2実施形態
次に図4〜図7を参照し、第2実施形態の制御盤支持装置30について説明する
上述した第1実施形態の制御盤支持装置20は、乗りかご1に設けた係止部材25により、板状部材23の前端部分を乗りかご1に係止する構造であった。
これに対して、本第2実施形態の制御盤支持装置30は、板状部材に設けたくさび状の突出部と乗りかごに設けた係合凹部とを用いて板状部材を乗りかごに係止する構造となっている。
具体的に説明すると、昇降路の内壁面に固定される固定部31は、図2に示した固定部21とほぼ同一構造であるが、左右一対の支持部材22L,22Rを用いることなく、左右の縦壁部分に前後方向に延びるスリット32を有している点が異なっている。
また、板状部材33の左右の側面の後端には、スリット32内を前後方向に移動可能な支軸34がそれぞれ突設され、板状部材33を前後動自在かつ揺動自在に支持している。
さらに、左右の縦壁部分の内壁面には、板状部材33の前端が水平状態より下がらないようにする、言い換えると板状部材33が前下がりとならないようにするためのストッパ35がそれぞれ設けられている。
さらに、板状部材33の前端下面には、乗りかご1に掛け渡されたときに下方に向かって先細りなくさび状突出部36が突設されている。
なお、このくさび状突出部36は、板状部材33の前端下面のうち、左右の両端にそれぞれ突設することもできるし、左右方向の全体にわたって延びるように突設することもでき、さらには円錐状に形成することもできる。
他方、乗りかご1の上面には、上方に向かって末広がりに開口する、くさび状突出部36を受け入れるための係合凹部37が凹設されている。
また、乗りかご1の縦壁には、板状部材33が乗りかご1に掛け渡されたことを検出するためのリミットスイッチ38が設けられている。
このような制御盤支持装置30を備えたエレベータ200において、駆動装置9や制御盤14を保守点検する際には、乗りかご1の上に乗った作業員が点検運転によって乗りかご1を上昇させ、その上面が板状部材33と同じ高さになるようにする(図4)。
次いで、乗りかご1の上に乗った作業員が、制御盤支持装置30の固定部31から板状部材33を引き出し(図4)、板状部材33の前端下面に突設されているくさび状突出部36を乗りかご1の係合凹部37に挿入すると、板状部材33が固定部31と乗りかご1との間に掛け渡された状態となり、作業員がその上に乗って制御盤14を保守点検できる状態となる(図5)。
同時に、リミットスイッチ38が作動し、エレベータ200は運転不能状態となる。
このとき、板状部材33のくさび状突出部36が乗りかご1の係合凹部37と係合し、かつ板状部材33の後端が支軸34によって固定部31のスリット32と係合しているから、乗りかご1が釣合錘との重量アンバランスによって上昇しようとしても、その上昇は板状部材33に作用する引張反力によって阻止される(図6)。
したがって、乗りかご1の上に乗った作業員は、駆動装置9や制御盤14等の保守点検作業を安全に行うことができる。
なお、乗りかご1が上昇しようとして板状部材33を押し上げると、くさび状突出部36が係合凹部37内においてわずかに上昇し、それらの間にはわずかな隙間が生じる。
これにより、乗りかご1に対して板状部材33が上向きに傾斜しても、くさび状突出部36や係合凹部37が破損することがない。
これとは反対に、板状部材33はストッパ35と係合して前下がりとなることがなく、くさび状突出部36は下方に向かって先細りとなるテーパ状であり、係合凹部37は上方に向かって末広がりに開口している。
これにより、乗りかご1が釣合錘との重量アンバランスによって降下し始めても、くさび状突出部36が係合凹部37から上方に抜け出るだけであり、乗りかご1の降下を妨げることはない(図7)。
したがって、保守点検作業中に誤って乗りかご1を降下させる点検運転を行っても、乗りかご1はもちろん、板状部材33や固定部31が破損することはない。
第3実施形態
次に図8および図9を参照し、第3実施形態の制御盤支持装置について説明する
上述した第1および第2実施形態の制御盤支持装置20,30は、いずれもその板状部材23,33を前後方向にスライドさせる構造であった。
これに対して、本第3実施形態の制御盤支持装置40は、その板状部材を前後方向に揺動させる構造となっている。
具体的に説明すると、昇降路の内壁面に固定された固定部41は、図2に示した固定部21とほぼ同一構造であるが、左右一対の支持部材22L,22Rが設けられておらず、その前端に左右一対のブラケット42が突設されている。
また、板状部材43の左右の側面の後端には、左右方向(図示する紙面に対して垂直な方向)に水平に延びる支軸44がそれぞれ突設されており、各ブラケット42に支持されることによって、板状部材43が水平支軸44の軸線の回りで前後方向に揺動できるようになっている。
さらに、板状部材43は中折れ式の支持リンク45を介して制御盤14に接続されており、板状部材43の前端が水平状態より下がらないように、言い換えると板状部材43が前下がりにならないようになっている。
また、板状部材43の前端下面には下方に向かって先細りなくさび状突出部46が突設され、乗りかご1の上面には、上方に向かって末広がりに開口してくさび状突出部46を受け入れる係合凹部37が凹設されている。
さらに、乗りかご1の縦壁には、板状部材43が乗りかご1に掛け渡されたことを検出するためのリミットスイッチ38が設けられている。
このような制御盤支持装置40を備えたエレベータ300において、駆動装置9や制御盤14を保守点検する際には、乗りかご1の上に乗った作業員が点検運転によって乗りかご1を上昇させ、その上面が板状部材43と同じ高さになるようにする。
次いで、乗りかご1の上に乗った作業員が、制御盤14の前側に位置している板状部材43を前方に揺動させ、この板状部材43の前端下面に突設されているくさび状突出部46を乗りかご1の係合凹部37に挿入すると、板状部材43が固定部41と乗りかご1との間に掛け渡された状態となり、作業員がその上に乗って制御盤14を保守点検できる状態となる(図5)。
同時に、リミットスイッチ38が作動し、エレベータ300は運転不能状態となる。
このとき、板状部材43のくさび状突出部46が乗りかご1の係合凹部37と係合し、かつ板状部材43の後端が支軸44によって固定部41のブラケット42に係合しているから、乗りかご1が釣合錘との重量アンバランスによって上昇しようとしても、その上昇は板状部材43に作用する引張反力によって阻止される。
したがって、本第3実施形態の制御盤支持装置40を備えたエレベータ300においては、乗りかご1の上に乗った作業員が駆動装置9や制御盤14等を保守点検する作業を安全に行うことができる。
これとは反対に、板状部材43は支持リンク45により支持されていて前下がりとなることがなく、くさび状突出部46は下方に向かって先細りとなるテーパ状であり、係合凹部37は上方に向かって末広がりに開口している。
これにより、乗りかご1が降下し始めてもくさび状突出部46が係合凹部37から上方に抜け出るだけであり、乗りかご1の降下を妨げることがない。
したがって、保守点検作業中に誤って乗りかご1を降下させる点検運転を行っても、乗りかご1はもちろん、板状部材43や固定部41等が破損することはない。
変形例
次に図9に示した変形例について説明すると、この変形例においては、板状部材43が制御盤14の蓋体14aとともに、制御盤14の前面開口を開閉する蓋を構成している。 これにより、板状部材43を乗りかご1の側に揺動させて制御盤14の前面開口を開放すると、制御盤14に設けられている図示されないリミットスイッチが作動し、エレベータ310を運転停止状態とするから、保守点検作業をより安全に行うことができる。
第4実施形態
次に図10を参照し、第4実施形態の制御盤支持装置について説明する。
上述した各実施形態の制御盤支持装置においては、その板状部材23,33,43が単一の部材として構成されていた。
これに対して、本第4実施形態の制御盤支持装置50においては、その板状部材が本体部材および補助部材の2つの部材から構成されている。
具体的に説明すると、この制御盤支持装置50は、上述した第3実施形態の制御盤支持装置40における板状部材(本体部材)43に補助部材51を追加したものである。
そして、この補助部材51は、板状部材43の下面に設けられている断面形状L字形の左右一対の支持部材52によってスライド自在に支持され、乗りかご1に対して進退できるようになっている。
また、補助部材51の前後方向の位置は、板状部材43および補助部材51を貫通するボルト53によって固定できるようになっている。
このような制御盤支持装置50を備えたエレベータ400において、駆動装置9や制御盤14を保守点検する際には、乗りかご1の上に乗った作業員が点検運転によって乗りかご1を上昇させ、その上面が板状部材43とほぼ同じ高さになるようにする。
次いで、制御盤支持装置50の固定部41に揺動自在に支持されつつ制御盤14の前面開口を覆っている板状部材43を、乗りかご1側に揺動させて水平状態とする。
その後、ボルト53を緩めて補助部材51を乗りかご1側にスライドさせ、その前端部分を乗りかご1に設けられている係止部材28に係合させると、補助部材51が板状部材43と乗りかご1との間に掛け渡された状態となる。
これにより、乗りかご1と制御盤14との間の広い隙間を補助部材51および板状部材43の組み合わせによって完全に塞ぎつつ、その上に乗って制御盤14を保守点検することができる状態となる。
このとき、補助部材51の前端部分は、乗りかご1に設けられている断面形状逆L字形の係止部材28の開口28a内に挿通されている。
これにより、乗りかご1が釣合錘との重量アンバランスによって上昇し始めると、補助部材51は係止部材28との係合により、水平状態を保ったまま上昇しようとする。
ところが、補助部材51の後端部分は、板状部材43の下面に設けられている左右一対の支持部材52によって堅固に支持されており、板状部材43に対して傾斜することができない。
したがって、乗りかご1の上昇は、補助部材51、支持部材52、板状部材43に作用する曲げモーメントによって阻止される。
同様に、乗りかご1の降下もまた、補助部材51、支持部材52、板状部材43に作用する曲げモーメントによって阻止される。
したがって、本第4実施形態の制御盤支持装置50を備えたエレベータ400においては、乗りかご1の上に乗った作業員が駆動装置9や制御盤14等を保守点検する作業を安全に行うことができる。
すなわち、本第4実施形態の制御盤支持装置50の板状部材は、固定部41に支持された本体部分43と、この本体部分43から乗りかご1に対して進退できるように本体部分43に支持された補助部材51とを有している。
これにより、乗りかご1と制御盤14との間の隙間が広い場合であっても、本体部材43と補助部材51の組み合わせによってこの隙間を確実に塞ぐことができるばかりでなく、本体部材43と補助部材51を重ね合わせることによって制御盤14の側にコンパクトに位置させることができる。
さらに、本体部材43を共用しつつ、寸法の異なる補助部材51を組み合わせることにより、乗りかご1と制御盤14との間の隙間が異なる複数のエレベータにも自在に対応することができる。
第5実施形態
次に図11および図12を参照し、第5実施形態の制御盤支持装置について説明する。
上述した第3実施形態の制御盤支持装置40においては、その板状部材43が平板状に形成されていた。
これに対して、本第5実施形態の制御盤支持装置60,65においては、昇降路内における乗りかごの最上昇位置の変更に合わせるために、板状部材61,66が「く」字形に折れ曲がっている。
具体的に説明すると、図11に示した制御盤支持装置60における板状部材61は、上方に向かって凸となるように側面視で「く」字形に折れ曲がっており、ブラケット42および支軸44によって前後方向に揺動できるように支持されている。
また、この板状部材61の前端下面には下方に向かって先細りなくさび状突出部62が突設され、乗りかご1の上面に凹設されて上方に末広がりに開口する係合凹部37と係合するようになっている。
さらに、この板状部材61は中折れ式の支持リンク63を介して制御盤14に接続されており、板状部材61の前端が前下がりとならないように支持している。
すなわち、本第5実施形態の制御盤支持装置60を備えたエレベータ500においては、その乗りかご1の最上昇位置が、上述した第3実施形態におけるエレベータ200のそれよりも上方に変更されている。
これに伴い、本第5実施形態の制御盤支持装置60においては、第3実施形態の制御盤支持装置40における固定部41,ブラケット42をそのまま流用しつつ、乗りかご1の最上昇位置の変更に合わせて板状部材61の形状を上向き「く」字形に変更している。
しかしながら、その機能は第3実施形態の制御盤支持装置40と全く同じであり、保守点検作業時における乗りかご1の上昇を、その板状部材61の引張り反力によって阻止することができる。
また、乗りかご1の降下を妨げることはない。
したがって、昇降路内壁面に対する固定部41の取付位置を変更することなく、昇降路内における乗りかごの最上昇位置を変更することができるから、エレベータを設置する建物の建築主およびエレベータ設置業者の双方の負担を軽減することができる。
これに対して、図12に示した制御盤支持装置65を備えたエレベータ510においては、その乗りかご1の最上昇位置が、上述した第3実施形態におけるエレベータ200のそれよりも下方に変更されている。
これに伴い、この制御盤支持装置65においては、第3実施形態の制御盤支持装置40における固定部41,ブラケット42をそのまま流用しつつ、乗りかご1の最上昇位置の変更に合わせて板状部材66を下方に向かって凸となる「く」字形に変更している。
また、この板状部材66の前端下面には下方に向かって先細りなくさび状突出部67が突設され、乗りかご1の上面に凹設されて上方に末広がりに開口する係合凹部37と係合するようになっている。
さらに、この板状部材66は中折れ式の支持リンク68を介して制御盤14に接続されており、板状部材66の前端が前下がりとならないように支持している。
しかしながら、その機能は第3実施形態の制御盤支持装置40と全く同じであり、保守点検作業時における乗りかご1の上昇を板状部材66の圧縮反力によって阻止することができる。
また、乗りかご1の降下を妨げることはない。
したがって、昇降路内壁面に対する固定部41の取付位置を変更することなく、昇降路内における乗りかごの最上昇位置を変更することができるから、エレベータを設置する建物の建築主およびエレベータ設置業者の双方の負担を軽減することができる。
以上、本発明に係るエレベータの制御盤支持装置の各実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されることなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した第1実施形態においては、乗りかご1の左右方向の全幅のうち左側の半分に固定部21および板状部材23を配設しているが、乗りかご1の全幅一杯に延びるように固定部21および板状部材23を配設しておけば、制御盤14の左右方向の位置および幅が異なる場合にも自在に対応することができる。
第1実施形態の制御盤支持装置を備えたマシンルームレスエレベータを示す斜視図。 第1実施形態の制御盤支持装置をエレベータ運転状態で示す斜視図。 第1実施形態の制御盤支持装置を保守点検状態で示す斜視図。 第2実施形態の制御盤支持装置をエレベータ運転状態で示す側面図。 第2実施形態の制御盤支持装置を保守点検状態で示す側面図。 エレベータが上昇しようとするときの状態を示す側面図。 エレベータが降下したときの状態を示す側面図。 第3実施形態の制御盤支持装置を保守点検状態で示す側面図。 変形例の制御盤支持装置を保守点検状態で示す側面図。 第4実施形態の制御盤支持装置を保守点検状態で示す側面図。 第5実施形態の制御盤支持装置を保守点検状態で示す側面図。 変形例の制御盤支持装置を保守点検状態で示す側面図。 従来のマシンルームレスエレベータを示す斜視図。
符号の説明
1 乗りかご
2L,2R かご側ガイドレール
3L,3R ドア
4 上梁
5L,5R 縦梁
6 シーブ支持梁
7L,7R かご上シーブ
8 トラクションシーブ
9 駆動装置
10 巻き上げロープ
11L,11R ヒッチ部
12 かご固定板
13 ロック機構
13a ロック棒
14 制御盤
15 セパレータビーム
16 ブラケット
20 第1実施形態の制御盤支持装置
21 固定部
22 支持部材
23 板状部材
24 取手
25 係止部材
26 緩衝材
27 リミットスイッチ
28 係止部材
30 第2実施形態の制御盤支持装置
31 固定部
32 スリット
33 板状部材
34 支軸
35 ストッパ
36 くさび状突出部
37 係合凹部
40 第3実施形態の制御盤支持装置
41 固定部
42 ブラケット
43 板状部材(本体部分)
44 支軸
45 支持リンク
46 くさび状突出部
50 第4実施形態の制御盤支持装置
51 補助部材
52 支持部材
53 ボルト
60 第5実施形態の制御盤支持装置
61 板状部材
62 くさび状突出部
63 支持リンク
65 変形例の制御盤支持装置
66 板状部材
67 くさび状突出部
68 支持リンク
100 第1実施形態の制御盤支持装置を備えたエレベータ
200 第2実施形態の制御盤支持装置を備えたエレベータ
300 第3実施形態の制御盤支持装置を備えたエレベータ
310 変形例の制御盤支持装置を備えたエレベータ
400 第4実施形態の制御盤支持装置を備えたエレベータ
410 変形例の制御盤支持装置を備えたエレベータ
500 第5実施形態の制御盤支持装置を備えたエレベータ
510 変形例の制御盤支持装置を備えたエレベータ

Claims (6)

  1. エレベータの運転を制御する制御盤をエレベータ昇降路の内壁面に支持するための装置であって、
    前記制御盤を支持する、前記内壁面に固定される固定部と、
    前記固定部の側に位置する状態と前記固定部から乗りかごに掛け渡された状態との間で乗りかごに対して進退自在に前記固定部に支持される板状部材と、を備え、
    前記板状部材は、乗りかごに掛け渡された状態のときに、乗りかごに設けられている係合部にその前端が係合して乗りかごを上昇不能に固定するように形成されていることを特徴とするエレベータの制御盤支持装置。
  2. 前記板状部材は、乗りかごに掛け渡された状態のときに下方に向かって先細りなくさび状突出部を有し、
    前記乗りかごに設けられている係合部が、上方に向かって末広がりに開口して前記くさび状突出部を受容する係合凹部として形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載したエレベータの制御盤支持装置。
  3. 前記板状部材は、前記固定部に設けた支持部材によりスライド自在に支持されて乗りかごに対して進退することを特徴とする請求項1または2に記載したエレベータの制御盤支持装置。
  4. 前記板状部材は、前記固定部に設けた水平支軸あるいは垂直支軸によって揺動自在に支持されて乗りかごに対して接離することを特徴とする請求項1または2に記載したエレベータの制御盤支持装置。
  5. 前記板状部材が、前記固定部に支持される本体部材と、この本体部材から乗りかごに対して進退できるように前記本体部分に支持される補助部材とを有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載したエレベータの制御盤支持装置。
  6. 前記板状部材が、前記制御盤の前面を開閉する蓋体の少なくとも一部から構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載したエレベータの制御盤支持装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013049549A (ja) * 2011-08-31 2013-03-14 Toshiba Elevator Co Ltd エレベータのヘッダーケースとヘッダーカバーの組合体
CN111051232A (zh) * 2017-09-13 2020-04-21 三菱电机株式会社 电梯装置
WO2023243074A1 (ja) * 2022-06-17 2023-12-21 株式会社日立製作所 エレベーターおよび乗りカゴの固定装置

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