JP2007077478A - 成膜方法及び成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機能性、生産性の高い成膜装置を提供すること。
【解決手段】 複数のドラム30と、ドラム30の各々に対し該ドラム30を回転させる電動機31と、該電動機31の軸33の両端部33aを支承する支持フレーム32と、該支持フレーム32を共通に所定方向に搬送する搬送手段Rと、ドラム30の下方に配設された坩堝17とからなり、電動機31により各ドラム30を回転させながら、かつ搬送手段Rにより各ドラム30を所定方向に搬送しながら、各ドラム30の周面に取り付けた基板Pに対し坩堝17からの成膜材料を成膜させるようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は成膜方法及び成膜装置、特別には蒸着成膜方法及び蒸着成膜装置に関する。
現在、蒸着成膜は磁気記録、半導体、電子部品、光学部品、食医薬品包装などの分野で使われているが、殆どの装置はバッチ式である。すなわち一旦、基板を蒸着装置にセットした後、真空引きし、蒸発材料の予備溶解の後、シャッターを開けて成膜開始、成膜が完了するとシャッターを閉めて、蒸着材料の冷却を待ってから大気導入をして成膜された基板を取り出す。このため一般的に真空蒸着装置は、実際に成膜している時間以外に、排気時間、予備溶解、大気導入などの付帯時間が生じ、生産性を著しく下げている(例えば、特開平10−289902号公報)。
基板がプラスチックフィルムや薄い金属箔の場合には、真空槽内に巻き取り装置を構成し、成膜時間を長くすることを可能にできるが、この場合でも基本的には同じ工程を必要とし、装置をフルに稼動したとしても、実際に基板に成膜している時間は全稼働時間のせいぜい50〜70%である(例えば、特開平09−209129号公報)。
予備溶解の際や、シャッターを開ける際にも基板を流さなければ、フィルムが熱で切れてしまうなどの問題が発生するため、製品として使えない基板や蒸着材料のロスを生じていた(例えば、特開平09−209129号公報)。
また、一旦大気導入してしまうと、十分に予備溶解したつもりでも、成膜初期と成膜終わりでは坩堝の温度が異なり、大気導入した際の材料の酸化、真空槽からの不純ガスの放出具合の変化で製品の諸特性が微妙に異なる問題をかかえていた(例えば、特開平09−209129号公報)。
プラスチックフィルムや薄い金属箔の大面積に長尺成膜する場合には、基板の幅を広げて生産性をあげる場合があるが、この際、幅方向での膜厚分布、約±15〜20%の不均一性が生じ、歩留まり低下の原因になっていた。また、この不均一性を減らす手段として、フィルム幅より蒸着源となる坩堝の幅を長くする手段をとることがあるが、これは、基板以外の場所にも材料を飛ばすこととなり、蒸着材料の使用効率を低下させる問題を生じていた(例えば、特開平09−209129号公報)。
巻き取り式蒸着装置の場合、一般に1つのロールから非常に多数の製品を取る大ロッド生産方式であるゆえに、成膜中にはモニタリングできない検査項目で不良を生じていると、そのロールすべて不良となる場合があった。そして、ロッドが大きいため、多品種生産には不向きであり、仕掛り在庫が大きくなり経済的でないなどの問題を抱えていた(例えば、特開平04−075577号公報)。
然るに一方、特表2004−533508号公報では、図14で示すようにプラスチック製容器Pが矢印Aの方向に移送されながらRで示すように回転しながら下方の坩堝1から蒸着材料bを受け、その外表面全体に被覆用材料bを蒸着させている。
坩堝1はプラスチック製容器Pの下方に位置している。プロセスガス供給パイプ2からの炭素含有ガスを坩堝1の上に発生させたプラズマ中に送り込むとしている。
また、この明細書には「容器本体を絶えず回転させる、適切なコンベヤが特許文献1に記載されている」、とある。この特許文献1はPCT WO98/40531号公報であるが、そのFig5A、Fig5Bにも示されているように、複数の容器を吊り下げているバーの両端が一対の支持部材で支持されていて、且つ、これは一定方向にバーを移動させる。このバーにはドライブシャフトが取り付けられており、これにはウォームギヤが形成されていて各容器の栓に取り付けられたギヤと繋合してこれら容器をその軸心の周りに回転させている。ドライブシャフトは相噛み合うベベルギア(モータで駆動)によって回転される。
特表2004−533508号公報及びWO98/40531号公報は上記特許文献或いは従来技術より優れているかもしれないが、各容器をその軸方向の周りに回転させる機構及び全体を一定方向に搬送させる機構が複雑であり生産性も悪い。また多品種少量生産には適しない。
特開平10−289902号公報 特開平09−209129号公報 特開平04−075577号公報 特表2004−533508号 WO98/40531号公報(Fig5A、Fig5B)
本発明は、上述の種々の問題に鑑みてなされ、多品種生産にも適応でき、構成がより簡単であり、機能性が高く生産性の優れた成膜方法及び成膜装置を提供することを課題とする。
以上の課題は、複数のドラムに対し各々に前記ドラムを回転させる電動機を設ける工程;
前記ドラムを支持フレームに支承させる工程;
前記支持フレームを前記複数のドラムに対し共通の搬送手段に支持する工程;
前記各ドラムの周面に被成膜物を取り付ける工程;
前記複数のドラムの下方または上方に被成膜物に対し成膜材料を供給する成膜材料供給手段を配置する工程;
からなり前記ドラムを前記電動機により回転させながら、かつ前記搬送手段により一定方向に搬送しながら、前記成膜材料供給手段からの成膜材料を前記被成膜物に成膜させるようにしたことを特徴とする成膜方法、によって解決される。
また以上の課題は、複数のドラムと、前記ドラムの各々に対し該ドラムを回転させる電動機と、前記ドラムを支承する支持フレームと、該支持フレームを共通に一定方向に搬送する搬送手段と、前記ドラムの下方または上方に配設された成膜材料供給手段とからなり、前記電動機により各前記ドラムを回転させながら、かつ前記搬送手段により前記各ドラムを所定方向に搬送しながら、前記各ドラムの周面に取り付けた被成膜物に対し前記成膜材料供給手段からの成膜材料を成膜させるようにしたことを特徴とする成膜装置、によって解決される。
また以上の課題は、入り口及び出口にゲートバルブを介してそれぞれ仕込み室と取出し室に接続される成膜室内に導入される複数のドラムと、前記ドラムの各々に対し該ドラムを回転させる電動機と、前記ドラムを支承する支持フレームと、該支持フレームを共通に所定方向に搬送する搬送手段と、前記ドラムの下方または上方に配設された成膜材料供給手段からなり、前記電動機により前記各ドラムを回転させながら、かつ前記搬送手段により前記各ドラムを所定方向に搬送しながら、前記各ドラムの周面に取り付けた被成膜物に対し前記成膜材料供給手段の下方または上方を搬送されるときに、該成膜材料供給手段からの成膜材料を成膜させるようにし、前記成膜室内で成膜された前記ドラムは前記出口のゲートバルブを開放して、前記取出し室へと導入され、前記入り口のゲートバルブを開放して未処理のドラムを前記成膜室内へ導入させるようにしたことを特徴とする成膜装置、によって解決される。
本発明の成膜方法および成膜装置は、生産効率が高く、多品種の被成膜物に成膜材料を成膜させることができ、各種の被成膜物に簡単に適用することができる。機能性が従来よりもはるかに高いものである。
以下、本発明の第1の実施の形態による真空蒸着成膜装置について説明する。
図1において、右方より仕込み室10、成膜室11及び取り出し室12が画成されている。各室にはそれぞれ排気ポンプ13、14、15が接続されており、これらはバルブaを介して各室を排気するように構成されている。
また、仕込み室10、成膜室11、取り出し室12の入口側、出口側にはそれぞれ真空ゲートバルブ18、19、20、21が配設されている。これにより、各室10、11、12は真空的に相互にロードロックされ得る。成膜室11は排気ポンプ14により1×10-2Pa〜1×10-4Pa程度に排気される。
また、この上流側及び下流側に連接される仕込み室10及び取り出し室12は排気ポンプ14、15により1×10-2Pa程度に排気される。各室には後述するような流れで回転ドラムユニットQがローラRにより順次搬送される。
成膜室11において、搬送されている回転ドラムユニットQの下方には坩堝17が配設されており、これに収容されている蒸発材料mは電子銃16により加熱され液化されて蒸気流cを上方へと供給する。
図2、図3は回転ドラムユニットQの詳細を示すものであるが、円筒形状のドラム30は内部に電動機31を内蔵しており、この電動機31の回転軸33(本願では単に軸と称する)の両端部は回転ドラム30の両端面より外方に突出しており、回転ドラム30を囲繞する平面的に見て長方形状の支持フレーム32の前端部及び後端部に図2に示すように固定されている。
図3に明示するように電動機31の円筒部(通常は固定子と呼ばれる)は、その周面部に固定された一体化部材34を介して回転ドラム30の内壁に対し固定される。従って、電動機31の円筒部が回転すると共に回転ドラム30も回転する。
本実施の形態によれば、回転ドラムの内周壁部に冷却媒体36を収容する環状の冷却室35が固定されており、この冷却室35の外壁面に対して上述の一体化部材34が固定されている。
本実施の形態によれば、回転ドラム30の外周壁面に対し被成膜物としての帯状の基板Pが密接して取り付けられている。図3で明らかなように、本実施の形態では基板Pの一端は図示せずとも、例えば、複数のビスによりドラム30の外壁に対し固定されており、他端には、ばね37が取り付けられ、この他端はドラム30内のばね取り付け部材38(複数で成り、基板Pに対し等ピッチ並列)に止着されている。これにより基板Pには張力を与えられた状態で回転ドラム30の外周面に対し張設されている。
図4に明示されるように、回転ドラム30の内壁面に対して一体化部材34により電動機31の外周壁と一体化されるのであるが、図示せずとも通常は電動機の回転子と一体化される回転軸33(本実施の形態では固定軸)の両端部31aは支持フレーム32の前端部及び後端部に固定されている。従って、電動機31の円筒部が反力で回転する。
また、図4においてrはベアリングを表し、この内輪に軸33が固定されており、外輪は回転ドラム30または電動機31の円筒部に固定されている。電動機の回転子には公知のように励磁コイルがとりつけられているが、これには図5で示すようにして電力が供給される。導通ブラシ40が導通バー42に一端を取り付け、他端は導電材でなる支持フレーム32に摺接している。
図示せずとも外部から導通バー42に電力が供給され、これは導通ブラシ40を介して支持フレーム32に供給される。支持フレーム32は電動軸33の軸33の両端部33aに固定されている。よって電力はこれら導電部材を介して電動機31の励磁コイルに供給される。これにより回転トルクが与えられて電動機31の外筒部が回転駆動される。
更に回転ドラム30には一方の端面に上記冷却媒体36に連通する入口用カプラ48及び出口用カプラ50が取り付けられており、これに冷却媒体供給チューブ44及び冷却媒体排出チューブ46がその口金を介して上記入口用カプラ48及び出口用カプラ50に接続されるようになっている。押し込み、引張りだし、回転により、簡単に着脱可能とされている。
これら入口用カプラ48及び出口用カプラ50、冷却媒体供給チューブ44及び冷却媒体排出チューブ46の構成によっては自動的に結合、離脱が可能である。よって冷却媒体の交換が容易とされている。
本実施の形態によれば、上述の取り出し室12から成膜された基板Pを取り付けた回転ドラムユニットQが外方に導出されたのち、図示せずとも冷却媒体貯蔵部に接続される冷却媒体供給チューブ44及び冷却媒体排出チューブ46をロボットのハンドによりカップラ48、50に着脱自在としている。
本発明の実施の形態は以上のように構成されるが、次にこの作用について説明する。
成膜室11内には回転ドラムユニットQが導入されるのであるが、この成膜室11への上流側の仕込み室10からの回転ドラムユニットQの導入の仕方、及び取り出し室12への導出の仕方によっては成膜室11の容積を極力小さくして生産効率を上げることができる。
仕込み室10、成膜室11、取り出し室12の大きさを限定しないのであれば、上流側の仕込み室10の容積も複数(2個以上でも)の回転ドラムユニットQを収容し得るようにしておき、ゲートバルブ19を開放してこれら複数の回転ドラムユニットQを順次成膜室11内に導入し、ゲートバルブ19を閉じて図示したような位置で坩堝17からの蒸発材料cを受けるようにし、ローラRによって順次、左方に矢印に示す如く搬送される。例えば、2個の回転ドラムQが導入される場合には、導入されたのちゲートバルブ19を閉じ回転ドラムユニットQをローラRにより左方へと搬送し、坩堝17の上方に至ると蒸着材料を受けて基板Pに成膜される。成膜室11内では排気ポンプ14により排気され1×10-2Pa〜1×10-4Pa程度に排気されているが、内方空間を通り左方へと移送される。仕込み室10から複数個、例えば2個の回転ドラムユニットQが供給されたのであれば2個すべての成膜作用が終わると(図において左方に偏在)取り出し室12の入口側ゲートバルブ20を開放して順次成膜済みの回転ドラムユニットQが取り出し室12に導入される。なお、本実施の形態では取り出し室12も仕込み室10と同様に2個分を収容する容積を持っている。
なお、仕込み室10及び取り出し室12においてはそれぞれ回転ドラムユニットQを成膜室に導入及び導出する前に各室は排気ポンプ13、15により1×10-2Pa程度にまで排気されている。
そして、仕込み室10及び取り出し室12において2個の回転ドラムユニットQを成膜室11内へ又は取り出し室12に導入した後、ゲートバルブ18、21を開放、すなわち、(勿論このときゲートバルブ19、20は閉じている)大気と連通させて次の回転ドラムユニットQを大気から仕込み室10へ導入もしくは取り出し室12から大気へと導出させる。
以上は例えば2個の回転ドラムユニットQを仕込み室10、成膜室11及び取り出し室12に収容させる。成膜室11内では基板Pに所定の位置で坩堝17からの成膜材料cを蒸着させたのち下流側へと搬送され、すべての回転ドラムユニットQに成膜作用を行わせた後に、ゲートバルブ20を開けて取り出し室12内へ導入される。明らかに成膜室11は導入させる回転ドラムユニットQの数によって長くなる。収容されている全ての回転ドラムユニットが成膜されるまで、成膜室11内で待機しているからである。
図6は第2の実施の形態を示し、ほぼ連続的に回転ドラムユニットQを成膜室11に導入しながら基板Pに成膜作用を行う。成膜後迅速に1個づつ取り出し室12に取り出すようにして、成膜室11内の回転ドラムユニットQの数を増加している。この数の割りに仕込み室10、成膜室11、取り出し室12の搬送方向への長さを極力小としている。よってこの場合は、ローラRの駆動速度を成膜室11内において定速用駆動ローラRと上流側、下流側において高速用駆動ローラR'とに区画している。
以下は生産量を大としながら仕込み室10、成膜室11、及び取り出し室12全体の長さを極力小とした装置の作用を示す。
本実施の形態によれば、成膜室11においてほぼ中間部の駆動ローラRは上述の形態と同じ速度で駆動され、定速駆動ローラRで成っており、この上流側及び下流側はこれより高速で回転ドラムユニットQを搬送する高速駆動ローラR'となっている。
図5Aにおいては、仕込み室10に上述と異なりただ1個の回転ドラムユニットQが収容されている。成膜室11では上述と同様に坩堝17の上方に至ると蒸気流cを受けて基板Pが成膜される。なお、図では成膜された状態の基板Pはグレー色で示されている。
定速ローラRで搬送される成膜された回転ドラムユニットQも左方へと移送されるのであるが、高速ローラR'上に至ると高速で左方へと移送される(図5B)。このタイミングでゲートバルブ20は図5Cで示すように開放する。その状態で成膜室11からの成膜された基板Tを取り付けている回転ドラムユニットQが取り出し室12内に高速で導入される。直後にゲートバルブ20は閉じられる。
回転ドラムユニットQを収容した直後に、図示しない空気流入機構を働かせてほぼ大気圧と同等にしてから、出口側のゲートバルブ21を図7Dに示すように開放した後、回転ドラムユニットQを大気中へと搬出する。
なお、図7Cで示すように仕込み室10内には回転ドラムユニットQを大気中よりゲートバルブ18を開放して導入しており、ゲートバルブ19を閉じて直ちに排気ポンプ13により排気している。所定の真空度まで排気するとゲートバルブ19を図7Dで示すように開放する。直後に仕込み室10内の回転ドラムユニットQを成膜室11内に導入する。高速ローラR'により定速ローラR上に急速に導入された後、所定の定速で搬送され坩堝17上方に至ると上述と同様に基板Pは成膜される。
この実施の形態によれば、成膜室11内には最大限4個の回転ドラムユニットQが存在することになるが、仕込み室10からは1個づつ、取り出し室12には1個づつ導出している。従って、仕込み室10、成膜室11及び取り出し室12全体の長さは生産効率はより大としながら上述の実施の形態よりはるかに小とすることができる。
図7の実施の形態では、仕込み室10内には1個の回転ドラムユニットQを待機させるようにしたが、複数個を待機させるようにしてもよい。この場合、支持フレーム32同士を相当接させていなくてもよい。ゲートバルブ19を開放して成膜室11内に導入されると高速ローラR'により高速で搬送され、前方の定速ローラRで搬送されている回転ドラムユニットQを押圧することにより前方の回転ドラムユニットQの支持フレーム32と相当接するようになるからである。
なお、回転ドラムユニットQの支持フレーム32の内壁面と回転ドラム30の端面間には僅かな隙間があるが、ここを通過する蒸気流は周囲に悪影響を与える程ではないので、坩堝17の上方にシャッターを設ける必要がない。よって、生産効率及び膜品質を大幅に向上させることができる。勿論、設けておいて適宜、シャッター動作を行わせるようにしてもよい。
なお、取出室12内に複数個の回転ドラムユニットQを収容させるようにしてもよいが、一度にここに導入せんとすると、この分、成膜室11内に成膜後も存在させるための空間も必要となり、成膜室11の搬送方向の長さが大きくなる。
なお、以上の本発明の実施の形態において、電動機の駆動開始については述べなかったが、仕込み室10及び、取り出し室12では電動機は駆動されない。停止したままである。成膜室11に導入されるとこの直後に外部の電力供給源をオンとして、電動機31すなわち回転ドラムユニットQの回転が開始される。坩堝の直上に近づくと回転ドラムユニットQの回転速度が一定になって所望の成膜作用が行われる。勿論、上述したように蒸発源としての坩堝の上方をローラRの回転により一定の速度でこの上を通過する。このドラムの自転と搬送方向の移動、すなわちトラバース動作により、基板Pには厚みの分布のムラなく均一に帯状の基板Pの幅が大きくても成膜することができる。なおまた、坩堝内の蒸発材料の加熱源については電子銃16の他に抵抗加熱、誘導加熱などの方法が用いられてもよい。
なお、搬送ローラRの高速域と定速域での区別はチェーンの掛け直しや、別の駆動源を用いることにより簡単に実現することができる。
図8、図9は、本発明の第3の実施の形態による回転ドラムユニットQ'を示すもので回転ドラム60は正六角形の断面形状を呈し、この各周側面60aには被成膜部品として直方形状の部品nが各辺に磁石または接着剤によって取り付けられている。この内部には、電動機31が内蔵されており、第1の実施の形態と同様に一体化部材34によりドラム40の内壁に固定されている。その他構成は第1の実施の形態と同様である。
図10は本発明の第4の実施の形態による回転ドラムユニットQ"の部分拡大図を示すが、本実施の形態では電動機73はドラム30に内蔵されるのではなく、支持フレーム70の一部にモータ内蔵部71を形成しており、これに電動機73を内蔵せている。この回転軸74がドラム30を貫通しており、この一端部は回転ドラムの一方の端壁に固定され、他端は他方の端壁に固定されている。また72は真空シール部材であり、回転軸74をシールするとともに電動機室71内に蒸気流が侵入しないようにしている。この実施の形態では電動機73のメンテナンスを簡単に行うことができる。
なお、以上の実施の形態において、いづれも坩堝17内の蒸発材料mは時間と共に減少していくので、図示しない材料連続供給装置によって常に坩堝17内で一定の液面を保つようにしている。このとき材料の供給形態は粒状、ペレット状、ワイヤー状、ロッド状のもので、これらを一旦液体状に溶かして供給する方法が取られている。また回転ドラムQ、Q'、Q"内の冷却媒体には一般的にエチレングリコール水溶液やフロン系の媒体を用いる。
なお、また本発明の実施の形態においては、蒸発源としての坩堝からの蒸気はcosnα則にしたがって回転ドラムユニットQに供給されている。このcosnα則とは微小蒸発源があまり大きくない角度αの範囲で膜厚分布を表す式t/t0=cosnαで表すことができる。図11は図12の測定結果を得るために適用された真空蒸着装置であるが、坩堝からの蒸発流dはキャンに巻装されているテープに蒸着されるので、このテープに対し測定した膜厚分布が図12に示されている。本実施の形態ではこの蒸発則に従って回転ドラムユニットQに取り付けられテープPの幅を規定している。
また、従来の蒸着装置では図13に示すように基板100に対して下方の坩堝102から蒸発流dが供給されるのであるが、膜厚に関し幅方向に対しムラがある。これに対し分布修正板として邪魔板101を配設して、基板100に形成される膜厚の均一化を図っている。しかし、この方法ではゴミを発生させたり膜厚形成レートを低下させる。本発明の実施の形態ではこのような分布修正板を必要とすることなく回転ドラムユニットQに取り付けた基板Pに対し均一な膜を形成することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、その効果について以下のように要約する。
(1)従来の蒸着装置は殆どバッチ式であるので排気時間、予備溶解、大気導入などの付帯時間が成膜に対して要求されて生産性を著しく低くしていたのであるが、本発明の実施の形態によれば、成膜装置を殆ど連続的に行うことができるため、成膜装置の稼働率が高く生産性がよく製品単価を下げることができる。
(2)予備溶解やシャッターを開ける動作を極力少なくすることができるので、成膜開始や成膜終了での、完全に蒸着されないで不良となるロスや蒸着材料のロスを極めて少なくすることができる。
(3)本実施の形態では、成膜室に大気導入する必要なく、ほぼ連続成膜で成膜を行うことができるので成膜室に大気導入した際の材料の酸化、真空室からの不純ガスの放出具合の変化で製品の諸特性が変化する問題をなくすことができる。
(4)蒸着では大面積に蒸着成膜する場には膜厚分布は約±15〜±20%の不均一性が生じるのが通常であるが、本発明の実施の形態による成膜では分布修正板などを用いずとも膜厚分布を±1%以内にすることができる。
(5)基板以外の場所に飛ぶ蒸着材料が少なく蒸着材料の使用効率を高くすることができる。特に回転ドラムユニットQを支持する支持フレームを前後に相当接して成膜室内で成膜する場合には、殆ど全ての蒸着材料を回転ドラムに取り付けた被成膜物に蒸着させることができるので蒸着材料の使用効率を高くすることができる。
(6)生産最小単位を1ロットから生産できるために、回転ドラムユニットQ1個で少なくとも1品種(第3実施の形態では複数品種が可能)の成膜を行うことができるため多品種少量生産が可能であり、仕掛かり材料を最小にすることができる。
(7)最小ロットの成膜方式であるため、万が一成膜中にモニタリングできない検査項目で不良を生じた場合でも不良として破棄する製品が最小限で済むメリットがある。
(8)各回転ドラムユニットに対して1個の電動機で回転ドラムを駆動するようにしているので成膜室に導入される複数のドラムに対し外からの電力供給量を変えることにより、回転ドラムの回転速度を被成膜物の特性に応じて変えることができる。特に多品種少量生産に対し厳密に必要とする膜性質に対応することができる。装置機能性は非常に高い。
以上、発明の実施の形態について説明したが、勿論本発明はこれら実施の形態に限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、以上の本発明の実施の形態では真空蒸着装置について説明したが、成膜方法はこれに限られることなく、スパッタカソード法、CVD法、イオンソース源などを成膜材料供給源とする成膜装置にも適用可能である。
またそれぞれの成膜装置に応じて成膜材料供給源は回転ドラムユニットの上方か下方に配設すればよい。
本発明の実施の形態では回転ドラム内に冷却室を画成してこれに冷却媒体を導入するようにしたが、それぞれの成膜方法に応じて冷却室に代えて加熱室を設け、これに加熱媒体を導入させるようにしてもよい。
また、以上の本発明の実施の形態では回転ドラムに基板、もしくは部品を取り付ける方法としてばね力による張設や粘着材、磁石を用いて取り付ける方法を示したが、これに限ることなく他の方法、例えば静電気力で回転ドラムの周面に固定するようにしてもよい。
なおまた、以上の実施の形態では回転ドラムに電動機を内蔵するか、支持フレームの一部に電動機内蔵室を設けてこれに電動機を内蔵するようにし、これら電動機には電力供給バー及びブラシにより同電動機の励磁コイルに電力を供給するようにしたが、外部からの電気的接点を用いて必要な時に供給するようにしている。
本発明の第1の実施の形態による真空蒸着装置の概略的断面図。 図1における回転ドラムユニットの斜視図。 回転ドラムユニットの断面図。 回転ドラムユニットの取付構造を示す概念的な断面図。 同回転ドラムユニットを付属品と共に示す斜視図。 本発明の第2の実施の形態による真空蒸着装置の概略的断面図であり、A、Bは回転ドラムユニットの仕込み室→成膜室→取り出し室への導入、導出の順序を示す。 図6に続く導入、導出の順序をC、Dで示す。 本発明の第3の実施の形態における回転ドラムユニットの正面図。 本発明の同第3の実施の形態における回転ドラムユニットの側面図。 本発明の第4の実施の形態における回転ドラムユニットの部分断面図。 本発明の各実施の形態のcosnα則の蒸着作用を説明するための従来の真空蒸着装置の概略断面図。 上記真空蒸着装置について測定したcosnα則を表すグラフ。 本発明の実施の形態の作用と比較するための従来の真空蒸着装置の一部の斜視図。 従来例の真空蒸着装置の断面図。
符号の説明
10・・・仕込み室、11・・・成膜室、12・・・取り出し室、13、14、15・・・排気ポンプ、16・・・電子銃、17・・・坩堝、30・・・回転ドラム、31・・・電動機、32支持フレーム・・・、33・・・回転軸、34・・・一体化部材、36・・・冷却媒体、40・・・導電ブラシ、42・・・導電バー、60・・・回転ドラム、70・・・支持フレーム、71・・・モータ内蔵部、72・・・シールベアリング、73・・・電動機、74・・・回転軸、a・・・取り付け面、n・・・部品、m・・・蒸発材料、Q・・・回転ドラムユニット、R・・・ローラ。

Claims (22)

  1. 複数のドラムに対し各々に前記ドラムを回転させる電動機を設ける工程;
    前記ドラムを支持フレームに支承させる工程;
    前記支持フレームを前記複数のドラムに対し共通の搬送手段に支持する工程;
    前記各ドラムの周面に被成膜物を取り付ける工程;
    前記複数のドラムの下方または上方に被成膜物に対し成膜材料を供給する成膜材料供給手段を配置する工程;
    からなり前記ドラムを前記電動機により回転させながら、かつ前記搬送手段により一定方向に搬送しながら、前記成膜材料供給手段からの成膜材料を前記被成膜物に成膜させるようにしたことを特徴とする成膜方法。
  2. 前記成膜材料供給源は成膜材料を蒸発させる加熱されたルツボであり、前記複数のドラムの下方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
  3. 前記電動機は前記ドラム内に内蔵されることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜方法。
  4. 前記被成膜物は帯状であって前記ドラムの周面に部分的にまたは全体的に巻きつけられ、張設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜方法。
  5. 前記被成膜物は複数の物品で成ることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜方法。
  6. 前記ドラムは被成膜物を冷却する手段を内蔵していることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜方法。
  7. 前記ドラムは被成膜物を加熱する手段を内蔵していることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜方法。
  8. 複数のドラムと、前記ドラムの各々に対し該ドラムを回転させる電動機と、前記ドラムを支承する支持フレームと、該支持フレームを共通に一定方向に搬送する搬送手段と、前記ドラムの下方または上方に配設された成膜材料供給手段とからなり、前記電動機により各前記ドラムを回転させながら、かつ前記搬送手段により前記各ドラムを所定方向に搬送しながら、前記各ドラムの周面に取り付けた被成膜物に対し前記成膜材料供給手段からの成膜材料を成膜させるようにしたことを特徴とする成膜装置。
  9. 前記成膜材料供給源は成膜材料を蒸発させる加熱されたルツボであり、前記複数のドラムの下方に配置されることを特徴とする請求項8に記載の成膜装置。
  10. 前記電動機は前記ドラム内に内蔵されることを特徴とする請求項8または9に記載の成膜装置。
  11. 前記被成膜物は帯状であって前記ドラムの周面に部分的にまたは全体的に巻きつけられ、張設されていることを特徴とする請求項8または9に記載の成膜装置。
  12. 前記被成膜物は複数の物品で成ることを特徴とする請求項8または9に記載の成膜装置。
  13. 前記ドラムは被成膜物を冷却する手段を内蔵していることを特徴とする請求項8または9に記載の成膜装置。
  14. 前記ドラムは被成膜物を加熱する手段を内蔵していることを特徴とする請求項8または9に記載の成膜装置。
  15. 入り口及び出口にゲートバルブを介してそれぞれ仕込み室と取出し室に接続される成膜室内に導入される複数のドラムと、前記ドラムの各々に対し該ドラムを回転させる電動機と、前記ドラムを支承する支持フレームと、該支持フレームを共通に所定方向に搬送する搬送手段と、前記ドラムの下方または上方に配設された成膜材料供給手段からなり、前記電動機により前記各ドラムを回転させながら、かつ前記搬送手段により前記各ドラムを所定方向に搬送しながら、前記各ドラムの周面に取り付けた被成膜物に対し前記成膜材料供給手段の下方または上方を搬送されるときに、該成膜材料供給手段からの成膜材料を成膜させるようにし、前記成膜室内で成膜された前記ドラムは前記出口のゲートバルブを開放して、前記取出し室へと導入され、前記入り口のゲートバルブを開放して未処理のドラムを前記成膜室内へ導入させるようにしたことを特徴とする成膜装置
  16. 前記支持フレームは前記成膜室で前後に相当接して搬送されることを特徴とする請求項15に記載の成膜装置。
  17. 前記成膜材料供給源は成膜材料を蒸発させる加熱されたルツボであり、前記複数のドラムの下方に配置されることを特徴とする請求項15または16に記載の成膜装置。
  18. 前記電動機は前記ドラム内に内蔵されることを特徴とする請求項15または16に記載の成膜装置。
  19. 前記被成膜物は帯状であって前記ドラムの周面に部分的にまたは全体的に巻きつけられ、張設されていることを特徴とする請求項15または16に記載の成膜装置。
  20. 前記被成膜物は複数の物品で成ることを特徴とする請求項15または16に記載の成膜装置。
  21. 前記ドラムは被成膜物を冷却する手段を内蔵していることを特徴とする請求項15または16に記載の成膜装置。
  22. 前記ドラムは被成膜物を加熱する手段を内蔵していることを特徴とする請求項15または16に記載の成膜装置。
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