JP2007075352A - 医療用コーティング剤並びに医療用部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】医療用部材に機械的強度、低摩擦性、及び抗血栓性を付与することを可能とする医療用コーティング剤、そのようなコーティング剤を用いて形成されたコーティング層を有する医療用部材、及び機械的強度、低摩擦性、及び抗血栓性に優れた医療用部材を提供すること。
【解決手段】ナノカーボン及びイオン性液体を含む組成物からなることを特徴とする医療用コーティング剤、このコーティング剤を塗布し、加熱処理して表面にコーティング層を形成したことを特徴とする医療用部材、及び上記組成物を型に収容し、加熱処理により硬化させてなることを特徴とする医療用部材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ナノカーボンとイオン性液体を含む組成物からなる医療用コーティング剤、この医療用コーティング剤を用いて形成された、抗血栓性を有するコーティング層を有する医療用部材、ナノカーボンとイオン性液体を含む組成物を用いて形成された、抗血栓性を有する医療用部材、及びこれら医療用部材の製造方法に関する。
医療用部材表面にコーティング層を形成するためのコーティング剤として、無機又は有機物質の微粉末を混合したシリコーンゴム溶液が知られており、このコーティング剤を用いて医療用部材表面に低摩擦性被覆を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記の方法により形成されたコーティング層は、血液と接触する際に血栓の付着を防止する作用を有しておらず、また機械的強度を付与する効果もなかった。
これに対し、医療用部材表面に低摩擦性及び抗血栓性を付与するためのコーティング剤として、水膨潤性高分子溶液が知られている(例えば、特許文献2及び3)。しかし、このコーティング剤により形成されたコーティング層は、医療用部材に必要な機械的強度を付与するものではない。
また、ナノカーボンが分散した樹脂を押出し成形により成形し、多層チューブからなる医療用の樹脂チューブを形成する方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかし、この方法では、機械的強度の低下や低摩擦性の喪失といった理由のため、ナノカーボンを高密度に分散させることができないことから、抗血栓性に優れた医療用樹脂チューブを提供することができない。
特開平6−261935号公報 特公平1−33181号公報 特開平8−24327号公報 特開2005−13495号公報
本発明は、以上のような事情の下になされ、医療用部材に機械的強度、低摩擦性、抗血栓性、及び脂肪、蛋白質の付着防止性を付与することを可能とする医療用コーティング剤、そのようなコーティング剤を用いて形成されたコーティング層を有する医療用部材、機械的強度、低摩擦性、抗血栓性、及び脂肪、蛋白質の付着防止性に優れた医療用部材、及びこれら医療用部材を製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の発明は、ナノカーボン及びイオン性液体を含む組成物からなることを特徴とする医療用コーティング剤を提供する。
上記組成物は、ナノカーボンとイオン性液体のカチオンとが化学的な結合によりゲル状化した組成物であるため、ナノカーボンを通常の母体材料中に混合分散させた場合に見られるようなナノカーボンの凝集は発生せず、この結果、高密度にナノカーボンを含有させることができる。また、ゲル化することでナノカーボンの分子構造が壊れないことにより、ナノカーボンが本来有している特性が損なわれないため、このような組成物からなる医療用コーティング剤を医療用部材の表面に塗布し、熱処理して重合反応を生じさせることにより、医療用部材に機械的強度、低摩擦性、抗血栓性、及び脂肪、蛋白質の付着防止性を付与するコーティング層を形成することができる。
上記医療用コーティング剤において、イオン性液体は、重合可能であることが望ましい。重合可能なイオン性液体を用いることにより、別途重合可能なモノマーを添加することなく、重合反応を生じさせることにより、コーティング層を得ることができる。
イオン性液体として、イミダゾール骨格を有するカチオンを含む構造を有するものを用いることができる。このようなイオン性液体を用いることで、ナノカーボン粒子とイミダゾール骨格を有するカチオンが化学的な結合を行うことにより形成された組成物からなるコーティング剤を得ることができる。
上記医療用コーティング剤は、重合可能なモノマーを更に含むことができる。イオン性液体が重合可能でない場合、コーティング剤に重合可能なモノマーを添加することにより、コーティング層を得ることができる。
上記医療用コーティング剤は、金属塩又は金属アルコキシドから得られるゲル状物質、金属粒子、有機高分子微粒子、又はセラミックス微粒子を更に含むことができる。コーティング剤がこれらの物質を更に含むことにより、ナノカーボンとともに様々な物質を含む複合材料からなるコーティング層を有する医療用部材を得ることができる。
また、第2の発明は、以上のコーティング剤を基材に塗布し、加熱処理により基材表面にコーティング層を形成することを特徴とする医療用部材の製造方法を提供する。
このような方法により得られた医療用部材は、ナノカーボンとイオン性液体とが化学結合した組成物を加熱処理してなるコーティング層を有しており、それによって機械的強度、低摩擦性、抗血栓性、及び脂肪、蛋白質の付着防止性を有するに到る。
この場合、コーティング層は、前記組成物を加熱処理してなる材料と、有機高分子、金属、及びセラミックからなる群から選択される少なくとも1つの材料とから形成されていてもよい。これらのコーティング層は、様々な機能を有する複合材料からなるものである。
更に、第3の発明は、上述した医療用コーティング剤を型に収容し、加熱処理により硬化させることを特徴とする医療用部材の製造方法を提供する。
第2の発明が、第1の発明に係るコーティング剤を用いてコーティング層を形成する医療用部材の製造方法に関するものであるのに対し、第3の発明は、第1の発明のコーティング剤と同様の材料を所定の型に収容し、加熱処理により硬化させる、バルク材により構成される医療用部材の製造方法に関するものである。
このような方法により得られた医療用部材は、ナノカーボンとイオン性液体とが化学結合した組成物を加熱処理してなるバルク材からなるものであるため、機械的強度、低摩擦性、抗血栓性、及び脂肪、蛋白質の付着防止性に優れている。
この場合、医療用部材は、前記組成物を加熱処理してなる材料と、有機高分子、金属、及びセラミックからなる群から選択される少なくとも1つの材料とから形成されていてもよい。これらの医療用部材は、様々な機能を有する複合材料からなるものである。
以上説明した医療用部材としては、医療用処置具の金属パイプ、注射バリ、金属ワイヤー、医療用内視鏡のチャンネルチューブ、及び医療用内視鏡先端のサキワクを挙げることができる。
第1の発明によると、医療用部材に機械的強度、低摩擦性、抗血栓性、及び脂肪、蛋白質の付着防止性を付与するコーティング層を形成することが可能な医療用コーティング剤が提供される。
第2の発明によると、優れた機械的強度、低摩擦性、抗血栓性、及び脂肪、蛋白質の付着防止性を有するコーティング層を備えた医療用部材の製造方法が提供される。
第3の発明によると、優れた機械的強度、低摩擦性、抗血栓性、及び脂肪、蛋白質の付着防止性を有する医療用部材の製造方法が提供される。
以下、発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の第1の実施形態に係るコーティング剤は、ナノカーボン粒子とイオン性液体を含む組成物からなることを特徴とする。
使用可能なナノカーボンとしては、カーボンナノチューブ(CNT)に限らず、カーボンナノホーン、カーボンマイクロコイル、フラーレン等、イオン性液体により粘性を有する組成物が形成可能なものであれば、どのようなものをも用いることができる。そのままでは化学的な変化がないとしても、表面処理により粘性を有する組成物が形成可能であれば、使用可能である。
本実施形態を含むすべての実施形態では、ナノカーボンとイオン性液体を混合することで粘性を有する組成物、具体的にはゲル状組成物を形成する場合について説明する。
ゲル状組成物中のナノカーボンの配合量は、特に限定されないが、0.1〜55重慮%、好ましくは3〜55重慮%の範囲内で良好な結果を得ることができる。
ナノカーボンとともにゲル形成が可能なイオン性液体としては、イミダゾール骨格を有するカチオンを含む構造を有するもの、例えば、下記式(1)により表されるイオン性化合物を挙げることができる。
Figure 2007075352
以上のようなナノカーボン粒子とイオン性液体を混合し、攪拌すると、粘性を有するゲル状組成物からなる、本発明の第1の実施形態に係るコーティング剤が得られる。このようなコーティング剤では、ナノカーボン粒子は、イオン性液体と化学的に結合し、例えばイミダゾール骨格を有するカチオンと化学的に結合し、その結果、ナノカーボン同士の凝集が完全に解かれるため、ゲル状組成物中に、ナノカーボンを高濃度に含有させることが可能となる。
本発明の第2の実施形態に係る、コーティング層を有する医療用部材は、以上説明したコーティング剤を基材に塗布し、加熱処理して基材表面にコーティング層を形成したことを特徴とする。
すなわち、本発明の第1の実施形態に係るコーティング剤を医療用部材の表面に塗布し、加熱すると、イオン性液体が重合可能である場合、イオン性液体の重合反応により、ナノカーボンを含むコーティング層が医療用部材の表面に形成される。
上述のように高濃度のナノカーボンを含むコーティング剤を用いることにより、ナノカーボンを高密度に含有したコーティング層を形成することができ、それによって、機械的強度、低摩擦性、抗血栓性、及び脂肪、蛋白質の付着防止性に非常に優れたコーティング層を有する医療用部材を得ることができる。
イオン性液体が重合可能でない場合、ゲル状組成物には重合可能なモノマー等を添加することができる。添加し得る重合可能なモノマーとしては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、グリコール、メタアクリル酸エステル、フルオロエチレン、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、フェノール性水酸基を有する化合物、ホルムアルデヒド、フルフリルアルコール、ビスフェノール、エピクロルヒドリン、シラノール、イソシアネート化合物、ポリオール、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸、テレフタル酸、ブタンジオール、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、トリオキサン、メタノール、キシレノール、パラジクロルベンゼン、ハイドロキノン、ジクロロジフェニルスルホン、無水トリメリット酸、芳香族ビスエーテル無水物、芳香族テトラカルボン酸無水物、芳香族ジアミン、ジクロロベンゾニトリル、レゾルシン等を挙げることができる。重合可能なモノマーの添加量は、例えば、ゲル状組成物の0.1〜99.9重量%である。
なお、重合可能でないイオン性液体として、イミダゾール骨格の官能基がメチル基又は水素であるものが挙げられる。
本発明の第1の実施形態に係るコーティング剤に、更に様々な物質を添加することにより、ナノカーボンとともに様々な物質を含むコーティング層を得ることができる。
例えば、コーティング剤が金属塩又は金属アルコキシドから得られるゲル状物質を更に含むことにより、ナノカーボン及びセラミックを含むコーティング層が得られ、コーティング剤が金属粒子を更に含むことにより、ナノカーボン及び金属微粒子を含むコーティング層が得られ、コーティング剤が有機高分子微粒子を更に含むことにより、ナノカーボン及び他の樹脂成分を含むコーティング層が得られ、コーティング剤がセラミックス微粒子を更に含むことにより、ナノカーボン及びセラミックス微粒子を含むコーティング層が得られる。
これらの添加材料の具体例としては、金属塩として金属アセチルアセトナート、金属カルボキシレート等の金属有機化合物や、硝酸塩、オキシ塩化物、塩化物等の金属無機化合物等が挙げられ、金属アルコキシドとしてLi、Na、Cu、Ca、Sr、Ba、Zn、B、Al、Ga、Y、Si、Ge、Pb、P、Sb、V、Ta、W、La、Nd、Ti、Mg等からなる金属アルコキシドが挙げられ、金属微粒子としてステンレス、炭化タングステン、Al、Ni、Cr、Fe、Ti、Mo、Mn、Cu、Co、Ta、Au、Ag、Ptやそれらの合金、炭化物、窒化物等が挙げられ、有機高分子微粒子としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、メタアクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、EVA樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアリルエーテルニトリル樹脂等が挙げられ、セラミック微粒子としてAl、Bi、CeO、CuO、SiO、SnO、TiO、Y、ZnO、SiC、MgO、PZT、PLZT、ZrO、サイアロン等が挙げられる。
これら微粒子の粒径は、特に限定されないが、0.05〜50μmであるのが好ましい。
なお、塗布方法としては、スプレー法、ディッピング法、スピンコート法、スクリーン印刷、インクジェットコート等、様々な方法を用いることができる。
また、塗布方法によりコーティング剤の粘度調整のため、有機溶剤を加えてもよい。
加熱温度は、コーティング剤が重合可能なイオン性液体を含む場合又は重合可能なモノマーが添加された場合、重合反応を生じさせる温度であり、通常は50〜100℃であるのが好ましい。
コーティング剤が金属又はセラミック微粒子を含む場合、塗布されたコーティング剤を重合させた後、あるいは重合させることなく、これら微粒子をナノカーボンとともに焼結し、医療用部材表面に固着させることができる。その場合の焼結温度は、600〜1200℃であるのが好ましい。焼結方法としては、例えば、真空プラズマ焼結法等を用いることができる。
本発明の第3の実施形態に係る医療用部材は、以上説明したコーティング剤を型に収容し、加熱処理により硬化させたバルク材により構成されることを特徴とする。
本発明の第2の形態に係る医療用部材では、コーティング剤を医療用部材の基材表面に塗布するのに対し、本発明の第3の形態に係る医療用部材では、コーティング剤そのものを型に収容することにおいて相違するが、加熱、焼結等は、本発明の第2の実施形態と同様に行うことができる。
なお、ゲル状組成物を、医療用部材の形状に対応する形状の型に収容して医療用部材を得ることに限らず、所定の形状のバルク材を得た後、切削等により医療用部材の形状とすることも可能である。
以下、本発明の種々の実施例について説明する。
実施例1
イミダゾール骨格を有するカチオンと、アニオンとしてBFとからなる、上記式(1)により表されるイオン性液体に、カーボンナノチューブ(CNT)粉末を、それぞれ3重量%、15重量%、45重量%、55重量%となるように混合し、30分間攪拌した。その結果、イオン性液体相の上方に、粘性を有する黒色のゲル状組成物からなるゲル相が形成された。
その後、この黒色のゲル状組成物を取り出して、ナイロン6製のチューブ(基材)内面に、スプレー法により塗布した。次いで、Ar雰囲気の電気炉内で、75℃で10時間、黒色ゲル状組成物の重合を行い、図1に示すように、ナイロン6製のチューブ1の内面にコーティング層2を形成した。なお、重合後のコーティング層2の膜厚は、3μmであった。
このようにして得られたコーティング層2について、抗血栓性の試験を行った。試験方法は、次の通りである。
抗血栓性試験
血液中に含まれる血小板は、血液凝固阻止剤によって凝固が阻止されるが、異種材料に触れるなどの環境変化により、止血栓として機能する。そのため、血小板の凝着体は、フィブリンの作用により固められ、最終的に凝血となる。このことから、サンプルチューブを3時間、血液中に浸漬した後の、1平方センチメートルあたりの血小板の粘着個数を調べることにより、抗血栓性を評価する。
以上の試験方法により、コーティング層の抗血栓性(血小板の粘着個数)を求めたところ、下記表1に示す結果を得た。なお、表中に示すCNTの表面密度とは、ナイロン6の表面積のうち、CNTの露出している部分の表面積の割合(%)である。図3は、下記表1に示す結果を棒グラフに表したものである。
Figure 2007075352
上記表1及び図3より、コーティング層が形成されていないナイロン6のサンプルでは、血小板粘着個数が3.13E+04個と多いのに対し、3重量%のCNTを含むゲル状組成物を用いて得たコーティング層の血小板粘着個数は、約半分に減少し、CNTの濃度及び表面密度が増加するに従って急激に減少することがわかる。
実施例2
イオン性液体に、3重量%、15重量%、45重量%、55重量%のCNT粉末とともに、30重量%のナイロン6粉末を混合したことを除いて、実施例1と同様にして黒色のゲル状組成物を形成し、ナイロン6製のチューブ内面にコーティング層を形成した。
このようにして得られたコーティング層について、実施例1と同様にして抗血栓性の試験を行ったところ、下記表2及び図4に示す結果を得た。
Figure 2007075352
上記表2及び図4より、コーティング層が形成されていないナイロン6のサンプルでは、血小板粘着個数は3.13E+04個と多いのに対し、3重量%のCNTを含むゲル状組成物を用いて得たコーティング層の血小板粘着個数は、約半分に減少し、CNTの濃度及び表面密度が増加するに従って急激に減少することがわかる。
実施例3
イオン性液体に、3重量%、15重量%、45重量%、55重量%のCNT粉末とともに、30重量%のナイロン6のモノマーであるカプロラクタムを混合して黒色のゲル状組成物を形成し、重合温度を60℃としたことを除いて、実施例1と同様にしてナイロン6製のチューブ内面にコーティング層を形成した。
このようにして得られたコーティング層について、実施例1と同様にして抗血栓性の試験を行ったところ、下記表3及び図5に示す結果を得た。
Figure 2007075352
上記表3及び図5より、コーティング層が形成されていないナイロン6のサンプルでは、血小板粘着個数は3.13E+04個と多いのに対し、3重量%のCNTを含むゲル状組成物を用いて得たコーティング層の血小板粘着個数は、約半分に減少し、CNTの濃度及び表面密度が増加するに従って急激に減少することがわかる。
実施例4
イオン性液体に、3重量%、15重量%、45重量%、55重量%のCNT粉末とともに、50重量%のステンレス微粒子を混合したことを除いて、実施例1と同様にして黒色のゲル状組成物を形成した。
次いで、この黒色のゲル状組成物を、真空プラズマ焼結法により、真空度1×10−4Pa、圧力100MPa、温度1000℃の窒素雰囲気中で、1時間焼結し、図2に示すように、CNTを含有するステンレス複合材料3を得た。
このようにして得られた複合材料3について、抗血栓性の試験を行ったところ、下記表4及び図6に示す結果を得た。
Figure 2007075352
上記表4及び図6より、CNTを含有しないSUS303サンプルでは、血小板粘着個数は5.13E+04個と多いのに対し、3重量%のCNTを含む複合材料の血小板粘着個数は、約2.6分の1に減少し、CNTの濃度及び表面密度が増加するに従って急激に減少することがわかる。
実施例5
イオン性液体に、3重量%、15重量%、45重量%、55重量%のCNT粉末とともに、50重量%の、アルミナの金属アルコキシド溶液を混合したことを除いて、実施例1と同様にして黒色のゲル状組成物を形成した。
次いで、この黒色のゲル状組成物を、真空プラズマ焼結法により、真空度1×10−4Pa、圧力100MPa、温度1000℃のアルゴン雰囲気中で、1時間焼結し、CNTを含有するアルミナ複合材料を得た。
このようにして得られた複合材料について、抗血栓性の試験を行ったところ、下記表5及び図7に示す結果を得た。
Figure 2007075352
上記表5及び図7より、CNTを含有しないアルミナサンプルでは、血小板粘着個数は2.53E+04個と多いのに対し、3重量%のCNTを含む複合材料の血小板粘着個数は、約60%に減少し、CNTの濃度及び表面密度が増加するに従って急激に減少することがわかる。
本発明は、以上の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。例えば、上記実施例においては、ナノカーボンとイオン性液体との混合によりゲル状組成物が形成される場合についてのみ説明したが、ゲル状組成物である必要はなく、粘性を有する組成物であればよい。さらには、粘性を有していなくてもコーティング可能な組成物であれば構わない。
実施例1により得た、内面にCNTを含有するコーティング層を有するチューブを示す断面図。 実施例4により得た、CNTを含有するステンレス複合材料を示す図。 実施例1における、CNT含有コーティング層の有無及びコーティング層中のCNTの量とサンプルに付着した血小板の個数との関係を示す特性図。 実施例2における、CNT含有コーティング層の有無及びコーティング層中のCNTの量とサンプルに付着した血小板の個数との関係を示す特性図。 実施例3における、CNT含有コーティング層の有無及びコーティング層中のCNTの量とサンプルに付着した血小板の個数との関係を示す特性図。 実施例4における、CNT含有の有無及びCNTの量とサンプルに付着した血小板の個数との関係を示す特性図。 実施例5における、CNT含有の有無及びCNTの量とサンプルに付着した血小板の個数との関係を示す特性図。
符号の説明
1・・・ナイロン6製チューブ(基材)、2・・・CNTを含有するコーティング層、3・・・CNTを含有するステンレス複合材料。

Claims (18)

  1. ナノカーボン及びイオン性液体を含む組成物からなることを特徴とする医療用コーティング剤。
  2. 前記イオン性液体は、重合可能であることを特徴とする請求項1に記載の医療用コーティング剤。
  3. 前記イオン性液体は、イミダゾール骨格を有するカチオンを含む構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用コーティング剤。
  4. 重合可能なモノマーを更に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用コーティング剤。
  5. 金属塩又は金属アルコキシドから得られるゲル状物質を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の医療用コーティング剤。
  6. 金属粒子を更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の医療用コーティング剤。
  7. 有機高分子微粒子を更に含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の医療用コーティング剤。
  8. セラミックス微粒子を更に含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の医療用コーティング剤。
  9. 基材に請求項1〜8のいずれかに記載の医療用コーティング剤を塗布し、加熱処理して前記基材表面にコーティング層を形成することを特徴とする医療用部材の製造方法。
  10. 前記コーティング層を重合反応により形成することを特徴とする請求項9に記載の医療用部材の製造方法。
  11. 前記コーティング層を金属又はセラミック粒子の焼結により形成することを特徴とする請求項9に記載の医療用部材の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載の医療用コーティング剤を型に収容し、加熱処理により硬化させることを特徴とする医療用部材の製造方法。
  13. 前記医療用コーティング剤を重合反応により硬化させることを特徴とする請求項12に記載の医療用部材の製造方法。
  14. 前記医療用コーティング剤を金属又はセラミック粒子の焼結により硬化させることを特徴とする請求項12に記載の医療用部材の製造方法。
  15. 請求項9〜14のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする医療用部材。
  16. 基材とその表面に設けられたコーティング層からなる医療用部材であって、該コーティング層がナノカーボン及びイオン性液体を含む組成物を加熱処理してなる材料と、有機高分子、金属及びセラミックから選択される少なくとも1つの材料との複合材料からなることを特徴とする医療用部材。
  17. ナノカーボン及びイオン性液体を含む組成物を加熱処理してなる材料と、有機高分子、金属及びセラミックから選択される少なくとも1つの材料との複合材料からなることを特徴とする医療用部材。
  18. 医療用処置具の金属パイプ、注射バリ、金属ワイヤー、医療用内視鏡のチャンネルチューブ、及び医療用内視鏡先端のサキワクからなる群から選ばれた1種であることを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載の医療用部材。
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