JP2007069961A - 包装用フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】幅方向への引き裂き特性に優れた包装用フィルムを提供する。ポリエステルフィルムのような汎用フィルムを用い、容易な加工手段によって幅方向への良好な引き裂き方向性が付与された包装用として好適なフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】包装用フィルムはポリエステル無延伸フィルムや延伸フィルムのような熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、幅方向にヘアーライン加工が施されている。研磨布紙を貼り付けたベルト2を熱可塑性樹脂フィルム1の走行方向に対して45°〜89°の方向に走行させ、フィルム1の幅方向にヘアーライン加工を施す。包装用積層フィルムはヘアーライン加工面またはヘアーライン加工されてない面に、印刷層、金属薄膜層、接着剤層、シーラント層が積層され、幅方向への引き裂き方向性を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、開封性に優れた包装用フィルムとその製造方法に関するものであり、特に、食料品、衣料品、工業部品、家庭用品および医薬品等の各種包装袋に好適な包装用フィルムとその製造方法に関するものである。
包装袋は、食料品、衣料品、工業部品、家庭用品あるいは医薬品などを包装し、内容物を塵やほこりから保護し保存するために用いられており、従来から熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いた色々な包装袋が提案されている。包装袋には色々なフィルム特性が要求されるが、例えば、包装された内容物を取り出す際には、(1)袋を最後部分まで開封できること、(2)内容物が取り出しやすく、また壊れやすい内容物でも形を損なわずに取り出せること、(3)大きな力をかけずに開封できること、あるいは(4)引き裂き方向が直線状であることというようなフィルム開封特性、すなわち、引き裂き方向性に優れることが要求されている。
引き裂き方向性に優れたフィルムを用いた包装袋としては、例えば、おにぎりなどの包装に用いられている包装袋がある。このような引き裂き方向性を有するフィルムを得る方法としては、通常、α−オレフィン系樹脂からなるフィルムを縦方向に1軸延伸したフィルムが使われている(特許文献1参照)。
また、例えば、菓子類などの包装袋に採用されている3方シール包装袋や4方シール包装袋には、幅方向への引き裂き方向性を有するフィルムが使われている。このような幅方向への引き裂き方向性を有するフィルムを得る方法としては、通常、α−オレフィン系樹脂やエチレン系樹脂からなるフィルムを横方向に1軸延伸したフィルムや、低密度のエチレン・α−オレフィン共重合体とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーを特定条件で共押出した積層フィルムが使われている(特許文献2および特許文献3参照)。
しかしながら、α−オレフィン系樹脂からなる1軸延伸したフィルムは、フィルムの厚みムラと延伸ムラを軽減するために、延伸倍率を3倍以上の高倍率で延伸する必要があり、この際、高温で予熱、アニーリング等を行う必要がある。また、高倍率で延伸した場合でも、得られるフィルムに厚みムラや延伸ムラが発生しやすいという問題は依然として残っている。また、幅方向への引き裂き方向性を有する包装用フィルムの多くは、α−オレフィン系樹脂やエチレン系樹脂からなるフィルムであり、幅方向への引き裂き方向性は、例えば、ポリエステルフィルムでは達成できていなかった。
一方、ヘアーライン加工を施すことによって、フィルムおよびシートに引き裂き方向性を付与させ、この引き裂き方向性を有するフィルムおよびシートを用いることによって開封性に優れる包装袋が得られることが知られている(特許文献4、特許文献5および特許文献6参照)が、これらヘアーライン加工フィルムおよびシートはフィルムの流れ方向にヘアーライン加工を施すものであって、フィルムの幅方向にヘアーライン加工を施すものではなかった。すなわち、従来のヘアーライン加工の方法では、上記の、例えば菓子類などの包装袋に採用されている3方シール包装袋や4方シール包装袋に用いるには製袋工程の設備の改造が必要であり、生産性の面で、不利であった。
特開昭64−56740号公報 特開2004−034540号公報 特開2000−202956号公報 特開平8−282729号公報 特開2001−031136号公報 特開2004−034598号公報
従って、ポリエステルフィルムのような汎用フィルムであって、生産性に優れ、なおかつ、幅方向への引き裂き方向性に優れる包装用フィルムが望まれていた。
そこで、本発明は、前記した従来の技術の問題点を解決し、幅方向への開封性すなわち引き裂き方向性に優れた包装用フィルムを提供することを目的とするものである。また、本発明は、ポリエステルフィルムのような汎用フィルムを用い、容易な加工手段によって幅方向への良好な引き裂き方向性が付与された包装用として好適なフィルムの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、本発明の包装用フィルムは、次の要件で特定される。
すなわち、本発明の包装用フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、フィルムの流れ方向を基準つまり0°としたときの80°〜100°の範囲の方向にヘアーライン加工が施されており、該熱可塑性樹脂フィルムの厚み(T)とヘアーライン加工による溝平均深度(S)との関係が、次式
(T−S)/T=0.60〜0.99
の範囲であることを特徴とする包装用フィルムまたは包装用フィルムロールである。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の包装用フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に施されたヘアーラインの溝平均深度(S)が0.1〜5μmの範囲内で、および/または幅100mm当たりの密度が500〜20,000本の範囲内、および/またはヘアーライン加工面におけるヘアーライン加工方向と直角方向の中心線平均粗さ(Ra[μm])が、0.02≦Ra≦0.20の範囲であることを特徴とする包装用フィルムであり、さらに/または、ヘアーライン加工を施す基材フィルムが積層フィルムであって少なくともその基材フィルムのヘアーライン加工を施す面に積層されているのが非晶性樹脂である包装用フィルムである。
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明の包装用フィルムは、少なくとも片面に、幅方向にヘアーライン加工が施されるとともに、そのヘアーライン加工された面またはヘアーライン加工されてない面に、必要に応じて印刷層や金属薄膜層等の層が積層され、さらに、その表面に、接着剤層を介して、または介しないでシーラント層が積層されてなる幅方向への引き裂き方向性を有する包装用積層フィルムとして好適に用いられる。
さらに、その包装用積層フィルムにおいては、少なくとも片面に、幅方向にヘアーライン加工が施されたフィルムのヘイズが10〜80%の範囲であることが好ましく、また、幅方向にヘアーライン加工された面に、接着剤層を介してあるいは直接シーラント層が積層された積層フィルムのヘイズが10%未満であることが好ましい態様である。
また一方、一般に包装袋を製造する際は、材料となる包装用フィルムはロール状に巻き取られたフィルムを用いているので、本明細書における包装用フィルムとは、ロール状に巻き取られた包装用フィルムロールの様態をとる場合もある。
本発明により、開封性、特に幅方向への良好な引き裂き方向性を有する包装用フィルムを得ることができる。すなわち、本発明によれば、ポリエステルフィルムのような汎用フィルムであっても、容易な加工手段によって幅方向への引き裂き方向性が付与された包装用フィルムとすることができる。
また、本発明の包装用フィルムで作られた包装袋は、包装袋を最後部分まで開封することができるので、内容物が取り出しやすく、また壊れやすい内容物でも形を損なわずに取り出すことができる。
そして、この幅方向への引き裂き方向性を有する包装用フィルムは、製袋工程の大幅な改造を必要をする事なく、レトルト食品用包装袋、3方シール包装袋、4方シール包装袋、およびピロー包装袋などの幅方向への開封性に優れることが要求される包装袋用として、特に好適に用いることができる。
本発明の幅方向への引き裂き方向性を有する包装用フィルムに用いられる熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂および必要に応じて配合された添加剤等からなるフィルムである。
本発明の包装用フィルムに用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ナイロン6などのポリアミド、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、およびポリサルホン等が挙げられる。それらのポリマーは、単一ポリマーでも、共重合ポリマーでも、2種以上のブレンドポリマーでも構わない。中でも、ヘアーライン加工を施しやすいという点で、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドおよびそれらの共重合ポリマーが特に好ましく用いられる。また、ヘアーライン加工時の摩擦熱で溶融してヘアーラインの溝が埋まるという問題やヘアーライン加工後に毛羽立ちが生じるという問題を回避するために、融点が200℃以上のポリマーが好ましく用いられる。
また、効率よくヘアーライン加工を施す目的で、本発明で用いられる熱可塑性樹脂フィルムが積層フィルムであり、少なくともヘアーライン加工を施す面に積層されているのが非晶性樹脂であることが好ましい。ここで、ヘアーライン加工を施す面に積層されている非晶性樹脂は完全な非晶性である必要はなく、基層に用いている熱可塑性樹脂と比較して、ヘアーライン加工を施す面に積層する熱可塑性樹脂の方が結晶化し難ければ良い。また、基層とヘアーライン加工を施す面に積層する層の層間剥離を抑制する目的で、各々の層を構成する樹脂は、相溶性に富む組み合わせである事が好ましい。例えば、基層がポリエステルで構成している場合は、ヘアーライン加工を施す面に積層する層にはエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合ポリマーが特に好ましく用いられる。
ヘアーライン加工を施す面に積層する層の積層厚みはフィルム全体の厚みの50%以下である事が好ましい。また、ヘアーライン加工を施す面に積層する層の積層厚み(Ts)とヘアーライン加工の溝平均深度(S)の関係は、特に限定されないが、Ts<Sである事が特に好ましい。
幅方向へのヘアーライン加工は、従来のフィルムの流れ方向へのヘアーライン加工と比較して満足する溝平均深度(S)やヘアーライン密度を得られ難い傾向があるが、ヘアーライン加工を施す面に非晶性樹脂を積層する事によって、加工面の表面硬度を低下させ、ヘアーライン加工の加工性を向上することができ、満足する溝平均深度(S)やヘアーライン密度が達成し易くなる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂フィルムは、無延伸フィルムでも、1軸延伸フィルムでも、2軸延伸フィルムでも構わない。また、1軸延伸フィルムの場合は、良好な幅方向への引き裂き方向性を得やすい点から、横1軸延伸フィルムを用いることが好ましい。また、2軸延伸フィルムの場合は、フィルム配向方向とヘアーラインの方向とを実質的に同じとする目的で、幅方向に配向している2軸延伸フィルムを用いることが、良好な幅方向への引き裂き方向性を得やすい点から特に好ましい態様である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂フィルム中には、目的や用途に応じて各種の粒子を添加することができる。添加する粒子は、熱可塑性樹脂に不活性なものであれば特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子および重合系内で生成させる内部粒子などを挙げることができる。これらの粒子を2種以上添加しても構わない。かかる粒子の添加量は、フィルムの総質量に対して0.01〜10重量%添加することが好ましく、さらに好ましくは0.05〜3重量%添加することである。
特に、フィルム表面に易滑性を付与し取扱い性を向上させる点からは、添加する粒子の平均粒子径は、好ましくは0.001〜20μmであり、さらに好ましくは0.01〜10μmである。平均粒子径が20μmを超えると、フィルムの欠陥が生じやすくなり、ヘアーライン加工性の悪化などを引き起こすことがある。また、平均粒子径が0.001μm未満では、十分な易滑性が発現しないことがある。
無機粒子の種類としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの各種硫酸塩、カオリン、タルクなどの各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどの各種リン酸塩、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの各種酸化物、およびフッ化リチウムなどの各種塩を使用することができる。
また、有機粒子としては、例えば、シュウ酸カルシウムや、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、およびマグネシウム等のテレフタル酸塩などが使用できる。
架橋高分子粒子としては、例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体が挙げられる。その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、および熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子も好ましく使用される。
重合系内で生成させる内部粒子としては、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物などを反応系内に添加し、さらにリン化合物を添加する公知の方法で生成される粒子を使用することができる。
本発明の包装用フィルムには、必要に応じて添加剤、例えば、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤またはポリシロキサン等の消泡剤、顔料または染料等の着色剤を適量配合することができる。
本発明の包装用フィルムは、幅方向へ引き裂き性を付与するために、熱可塑性樹脂フィルムの表面に、幅方向にヘアーライン加工が施されていることが必要である。このヘアーライン加工が施される面は、ヘアーラインの溝の密度や深さにもよるが、熱可塑性樹脂フィルムの片面のみでもよいし、また、熱可塑性樹脂フィルムの両面でもよい。
ここで、本発明におけるヘアーライン加工を施す方向は、フィルムの流れ方向を基準つまり0°としたときの80°〜100°の範囲の方向であるが、ヘアーライン加工を施す方向について、本明細書における幅方向とは、特にことわりのない場合、フィルムの流れ方向を基準つまり0°としたときの80°〜100°の範囲の方向のことを意味する。
ヘアーライン加工された本発明の包装用フィルムは、ヘアーライン加工を施した方向にノッチなどの切り口を入れ、ヘアーライン加工を施した方向に引き裂くことにより、大きな力をかけずに引き裂くことができ、さらに、引き裂き方向性に優れ、直線状に引き裂くことができる。また、本発明の包装用フィルムで作られた包装袋の場合は、包装袋を最後部分まで開封することができるので、内容物が取り出しやすく、また壊れやすい内容物でも形を損なわずに取り出すことができる。このように本発明によると、開封性すなわち引き裂き方向性の優れた包装用フィルムが得られるのである。
熱可塑性樹脂フィルムの表面に、ヘアーライン加工を施す方法としては、和紙、クラフト紙、ラテックス処理紙、処理布の表面に、溶融アルミナ、炭化珪素、ダイヤモンド、エメリー、フリントおよびガーネットなどの研磨材が接着剤で固着された研磨布紙でもって、熱可塑性樹脂フィルムの表面を一定方向に摩擦する方法が挙げられる。その研磨布紙の形態は、ベルト状、シート状、ロール状およびディスク状が好ましい。研磨布紙の他に、スコッチ、金属ブラシ、羅紗、布地およびフィルム等の素材をベルト状に加工したものでも構わない。また、Tダイ法で溶融押出してシート化する際、表面がヘアーライン加工された冷却ドラムを用い、その冷却ドラムとニップロールとの間で押圧してヘアーラインの凹凸模様をフィルム表面に転写する方法でもよい。
熱可塑性樹脂フィルム表面に連続的に、幅方向にヘアーライン加工を施すための好ましい方法としては、図1に示すように、研磨布紙を貼り付けたベルト2を用いて、ベルト2の走行方向と熱可塑性樹脂フィルム1の流れ方向が任意の角度θになるように設置し、熱可塑性樹脂フィルム1の表面にこの研磨布紙を貼り付けたベルト2を接触させて、熱可塑性樹脂フィルム1のヘアーライン加工を施さない面にフリーロール3を押し付けてベルト2と熱可塑性樹脂フィルム1を任意の速度で走行させ、連続的に、幅方向にヘアーライン加工を施す方法がある。フリーロール3は、ヘアーライン加工工程でのフィルム端部からの熱可塑性樹脂フィルム破れを防ぐために、図2に示すようなロール中央部がロール端部6と比較して太い形状のフリーロール3を用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂フィルム1がベルト2に巻き込まれるのを防ぐために、ヘアーライン加工工程の前後に熱可塑性樹脂フィルム1の張力を制御するニップロール4、5を設置することが好ましい。
また、図3に示すように、例えば、研磨布紙を貼り付けたベルト7を螺旋状に1条または複数条巻き付けた軸8を用いて、ベルト7が螺旋状に走行するように軸8を設置し、図4のように1本のベルト7を熱可塑性樹脂フィルム9に複数回接触させてヘアーライン加工を施す方法もある。フリーロール10は、ヘアーライン加工工程でのフィルム端部からのフィルム破れを防ぐために、図2に示すようなロール中央部がロール端部6と比較して太いフリーロール3を用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂フィルム9がベルト7に巻き込まれることを防ぐために、ヘアーライン加工の前後にフィルム9の張力を制御するニップロール11、12を設置することが好ましい。
ここで本発明における螺旋状に走行させることとは、デカルト座標における一般式が次式3で示されるように、研磨布紙の研磨面が常に外側を向いた状態を保った状態で走行させる事である。
x=r・cosθ
y=r・sinθ
z=z 式3
このような方法を用いてヘアーライン加工を施す際、図5のように、研磨布紙を貼り付けた複数の独立しているベルト7などを用いて複数回のヘアーライン加工を施してもよい。
さらに、図1、図3、図5のようなヘアーライン加工を施す工程において、熱可塑性樹脂フィルムがベルトに巻きこまれること、およびフィルム破れによるトラブルを抑制するために、熱可塑性樹脂フィルムの両端をクリップで保持しつつ、ヘアーライン加工を施す方法が好ましく用いることができる。熱可塑性樹脂フィルムの両端をクリップで保持しつつヘアーライン加工を施す方法では、前述のように熱可塑性樹脂フィルムがベルトに巻きこまれることが大幅に抑制できるので、図1に示すニップロール4、5、図3および図5に示すニップロール11、12、設置しても良いし、設置しなくても良い。
ヘアーライン加工の方向は、上記の図1に示すような、研磨布紙を貼り付けたベルト2を用いて、ベルト2の走行方向と熱可塑性樹脂フィルム1の流れ方向が任意の角度θになるように設置し、熱可塑性樹脂フィルム1の表面にこの研磨布紙を貼り付けたベルト2を接触させて、フィルム1のヘアーライン加工を施さない面にニップロール3を押し付けてベルト2とフィルム1を任意の速度で走行させ、連続的に、幅方向にヘアーライン加工を施す方法の場合は、熱可塑性樹脂フィルム1の走行方向とベルト2の走行方向からなる角度、およびフィルム走行速度とベルト走行速度の比を変更することで制御することができる。
つまり、例えばフィルムの流れ方向より90°の方向にヘアーライン加工を施すといった場合は、熱可塑性樹脂フィルムの走行速度V1、研磨布紙を貼り付けたベルトの走行速度V2、および可塑性樹脂フィルムの走行方向とベルトの走行方向からなる角度θの関係式が、[V2=V1/cosθ]となるように制御すれば、幅方向へのヘアーライン加工を施すことができる。
また、図3に示すような、例えば、研磨布紙を貼り付けたベルト7を螺旋状に1条または複数条巻き付けた軸8を用いて、ベルト7が螺旋状に走行するように軸8を設置し、図4のように1本のベルト7を可塑性樹脂フィルム9に複数回接触させてヘアーライン加工を施す方法にて、例えばフィルムの流れ方向より90°の方向にヘアーライン加工を施す場合、軸の直径φ、フィルムとベルトの接点での可塑性樹脂フィルム9の走行方向とベルトの走行方向からなる角度θ、隣り合うベルト間の隙間をゼロとする仮定で螺旋状に巻き付けたときのベルト幅Lの関係式が、[L=φ×π×sinθ]となるようにベルト軸8を設計すれば、可塑性樹脂フィルムへの幅方向のヘアーライン加工を施すことができる。
可塑性樹脂フィルムの走行方向とベルトの走行方向からなる角度θは、45°〜89°の範囲内であることが好ましい。可塑性樹脂フィルムの走行方向とベルトの走行方向からなる角度θが上記範囲を超える場合、幅方向にヘアーライン加工を施すためにはベルトの走行速度が早くなり過ぎてフィルムがベルトに巻き込まれ、可塑性樹脂フィルムが破れる場合がある。可塑性樹脂フィルムの走行方向とベルトの走行方向からなる角度θが上記範囲未満である場合、ヘアーライン加工して得られるヘアーラインの密度が低くなり幅方向への十分な引き裂き方向性が得られ難い。可塑性樹脂フィルムの走行方向とベルトの走行方向からなる角度θの値は、より好ましくは60°〜87°、さらに好ましくは75°〜85°の範囲である。
ヘアーライン加工を施す工程は、熱可塑性樹脂フィルムの横延伸工程と熱処理工程の間に設置することができる。熱可塑性樹脂フィルムは一般に熱処理工程で結晶化度が高くなる。一方、熱可塑性樹脂フィルムは結晶化度が高いと表面硬度が高くなり、耐擦過性が強くなる。以上のことより、熱可塑性樹脂フィルムは熱処理工程後ではヘアーライン加工を施し難くなり、例えば引き裂き方向性が得られ難い場合がある。このような場合は横延伸工程と熱処理工程の間にヘアーライン加工を設置することで効率良くヘアーライン加工を施すことができ、目的とするヘアーライン密度と深度を得やすい。
さらに、ヘアーラインの密度と深度は、研磨布紙の研磨材の硬度、粒度、粒径、突起高さを変更すること、フィルム巻き出しロールとフィルム巻き取りロールの張力を変更すること、およびフィルム走行方向と加工ベルトの走行方向からなる角度を変更することでも目的とするヘアーライン密度と深度を得ることができる。
優れた引き裂き方向性を得るためには、ヘアーライン溝の平均深度(S)と熱可塑性樹脂フィルムの厚み(T)との関係で表される関係式[(T−S)/T]の値を、(T−S)/T=0.60〜0.99の範囲内とすることが重要である。その関係式の値が範囲未満であるとフィルムの厚みに対して溝が深すぎ、加工時に可塑性樹脂フィルムが破れ易い。また、その範囲を超えると、所望の引き裂き方向性を得ることが困難である。上記の関係式[(T−S)/T]の値は、より好ましくは0.7〜0.95の範囲であり、さらに好ましくは0.8〜0.95の範囲である。
ヘアーライン溝の平均深度(S)と熱可塑性樹脂フィルムの厚み(T)との関係で表される関係式[(T−S)/T]の値を(T−S)/T=0.60〜0.99の範囲内に調節するには、研磨布紙の研磨材の硬度、粒度、粒径、突起高さを変更すること、フィルム巻き出しロールとフィルム巻き取りロールの張力を変更すること、フィルム走行方向と加工ベルトの走行方向からなる角度を変更すること、および熱可塑性樹脂フィルムが積層フィルムであってヘアーライン加工を施す面に非晶性樹脂が積層されている場合は非晶性樹脂の組成を変更することで、目的の範囲に調節することができる。
また、ヘアーライン加工して得られるヘアーライン溝の平均深度(S)は、0.1〜5μmの範囲内で、幅100mm当たりのヘアーライン密度が500〜20,000本の範囲内であることが好ましい。ヘアーライン溝平均深度が上記範囲を超える場合や、ヘアーライン密度が上記範囲を超える場合、印刷層、金属薄膜層、接着剤層およびシーラント層等を積層する加工時にフィルム破れなどが生じる場合やフィルム表面に毛羽立ちが生じやすい場合がある。また、ヘアーライン溝平均深度が上記範囲未満である場合や、ヘアーライン密度が上記範囲未満である場合も引き裂き方向性が得られ難い。
ヘアーライン加工して得られるヘアーライン溝の平均深度(S)を0.1〜5μmの範囲内に、幅100mm当たりのヘアーライン密度を500〜20,000本の範囲内に調節するには、研磨布紙の研磨材の硬度、粒度、粒径、突起高さを変更すること、フィルム巻き出しロールとフィルム巻き取りロールの張力を変更すること、フィルム走行方向と加工ベルトの走行方向からなる角度を変更すること、および熱可塑性樹脂フィルムが積層フィルムであってヘアーライン加工を施す面に非晶性樹脂が積層されている場合は非晶性樹脂の組成を変更することで、目的の範囲に調節することができる。
また、印刷層、金属薄膜層、接着剤層およびシーラント層等を積層せずに包装フィルムとして用いる場合、優れた引き裂き方向性を得るためのヘアーライン溝の平均深度(S)は、熱可塑性樹脂フィルムの厚み(T)との関係で表される上記関係式の値が上記範囲内の下限近くでもよい。しかしながら、ヘアーライン加工された面またはヘアーライン加工されていない面のどの面に積層するかにもよるが、各層を積層して包装フィルムとして用いる場合は、上記範囲内の上限近くの方が好ましく、また、シーラント層の厚みが厚い場合は、上記範囲内のより上限近くの方が好ましい。
また、ヘアーライン加工面において、ヘアーライン加工方向と直角方向の中心線平均粗さ(Ra)の値を0.02〜0.20の範囲内とすることが好ましい。その範囲未満であると引き裂き方向性が不十分となり易い。また、その範囲を超えると加工時にフィルム破れ等生じやすくなる。ヘアーライン加工方向と直角方向の中心線平均粗さ(Ra)は、より好ましくは0.05〜0.15であり、さらに好ましくは0.08〜0.15の範囲である。
ヘアーライン加工方向と直角方向の中心線平均粗さ(Ra)の値を0.02〜0.20の範囲内に調節するには、研磨布紙の研磨材の硬度、粒度、粒径、突起高さを変更すること、フィルム巻き出しロールとフィルム巻き取りロールの張力を変更すること、フィルム走行方向と加工ベルトの走行方向からなる角度を変更すること、および熱可塑性樹脂フィルムが積層フィルムであってヘアーライン加工を施す面に非晶性樹脂が積層されている場合は非晶性樹脂の組成を変更することで、目的の範囲に調節することができる。
幅方向にヘアーライン加工を施した本発明の包装用フィルムは、そのまま包装フィルムとして商品等の包装に用いてもよいが、包装袋として用いる場合は、ヘアーライン加工された面またはヘアーライン加工されていない面に、接着層を介して、または直接に、各種の層を積層し、この包装用積層フィルムを袋状にして使用することが好ましい。各種の層としては印刷層、金属薄膜層、接着剤層およびシーラント層が挙げられる。
また、ヘアーライン加工を施したフィルムのヘイズは、シーラント層を積層したときの透明性と引き裂き方向性の点から、10〜80%の範囲が好ましい。この加工フィルムのヘイズは、ヘアーライン加工を施す前の熱可塑性樹脂フィルムのヘイズによる制限を受ける。例えば、透明性の良いポリエステルフィルム(通常、ヘイズ:2〜3%)にヘアーライン加工を施した場合の加工後のヘイズは、10〜70%の範囲である。
ヘイズの測定方法としては、JIS−K−6714(2001年式)に従って測定し、例えば、日本精密光学(株)ヘイズメーターSEP−H−2を用いて測定することができる。
前記したヘイズ範囲未満であると、ヘアーライン加工が不足し引き裂き方向性が不十分となり易い。また、上記範囲を超えるとヘアーラインの溝が深すぎ、印刷層あるいは金属薄膜層、接着剤層およびシーラント層等を積層する加工時にフィルム破れ等が生じ、取扱い性が悪化しやすい場合やフィルム表面に毛羽立ちが生じやすい場合やシーラント層を積層すると透明性を得られ難い場合がある。ヘイズは、より好ましくは15〜70%であり、さらに好ましくは15〜60%の範囲である。
また、フィルムの流れ方向の破断伸度は、取扱い性、引き裂き方向性の点から、ヘアーライン加工を施す前の熱可塑性樹脂フィルムの同一方向の破断伸度の20〜80%の範囲が好ましい。その範囲未満であると印刷層あるいは金属薄膜層、シーラント層等を積層する加工時にフィルム破れ等が生じ、取扱い性が悪化しやすい場合がある。逆に、上記範囲を超えると引き裂き方向性が得られ難い場合がある。破断伸度は、より好ましくは30〜70%であり、さらに好ましくは、30〜60%の範囲である。
本発明の包装用フィルムにおいて、好ましいフィルム厚みは5〜300μmの範囲であり、より好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは5〜100μmである。この範囲未満ではヘアーライン加工が施し難くなったり、フィルムの剛性、製膜安定性および平面性が悪化し、さらには加工時にしわなどが入りやすくなる。また、上記範囲を超えると取扱い性や場合によっては加工性の悪化を引き起こすことがある。
印刷層、金属薄膜層、接着剤層およびシーラント層等を積層した本発明の包装用積層フィルムは、幅方向にヘアーライン加工された熱可塑性樹脂フィルムに、必要に応じて印刷層や金属薄膜層が積層され、次いでシーラント層が積層されたものであり、シーラント層は通常ポリオレフィンで構成される。
このシーラント層の形成は、幅方向にヘアーライン加工を施した包装用フィルムのヘアーライン加工面、またはヘアーライン加工されない面に、接着剤を介してポリオレフィンフィルムを貼り合わせる方法で行っても良いし、直接にポリオレフィン樹脂を押出ラミネートする方法でラミネートしても良い。
また、直接あるいは接着剤を介してシーラント層を積層する場合、シーラント積層フィルムの透明性の点からヘアーライン加工を施した面に積層することが好ましい。また、そのシーラント積層フィルムのヘイズは、10%未満であることが好ましい。ヘイズが10%を超えると、内容物の確認ができることが必要である包装フィルムとしては好ましくない。この積層フィルムのヘイズの下限は、熱可塑性フィルムのヘイズによる制限を受け、例えば、熱可塑性フィルムが厚み12μmのポリエステルフィルムの場合、そのポリエステルフィルムのヘイズの下限値(通常2%)が実質的なヘイズの下限値となる。
シーラント層を形成するポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1およびオクテン−1等のα−オレフィンからなる重合体およびそのランダム共重合体とそのブロック共重合体が挙げられる。
そのランダム共重合体のうち、プロピレン・ランダム共重合体は、プロピレンとそれ以外のα−オレフィンモノマーの1種以上とがランダムに共重合されたポリマーであり、例えば、公知の方法により、プロピレン以外のα−オレフィンモノマーの1種以上を2〜15重量%の範囲で共重合させたポリプロピレンがある。
また、ブロック共重合体のうち、プロピレン・エチレン・ブロック共重合体は、豊富な量のプロピレンと少量のエチレンおよび/またはその他のα−オレフィンとからなる共重合体部分と、少量のプロピレンと豊富な量のエチレンとからなる共重合体部分とがブロック的に共重合したものである。それぞれの共重合成分の組成と各ブロックの分子量等は、重合段階で制御することができる。一般には、特開昭59−115312号公報に示されるように、2段以上の重合方法によって得ることができる。例えば、プロピレン・ブロック共重合体の融点は145〜165℃の範囲である。融点は、豊富な量のプロピレンと少量のエチレンおよび/またはその他のα−オレフィンとからなる共重合体部分のポリプロピレン成分量で変化させることができる。また、プロピレン・エチレン・ブロック共重合体中のエチレン量および/またはその他のα−オレフィン成分の量は、フィルムの耐衝撃性の点で5〜20重量%が好ましく、より好ましくは5〜15重量%である。
ポリオレフィンフィルムを構成するポリオレフィンとしては、単体ポリマーではポリエチレンが好ましく、さらに低密度ポリエチレンが好ましく、特に直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。ランダム共重合体では、プロピレン・ランダム共重合体が好ましく、特に好ましくはプロピレンとエチレンまたはブテン−1との共重合体が好ましく、その共重合成分の割合は、2〜15重量%の範囲が好ましい。ブロック共重合体では、ポリプロピレン・ブロック共重合体が好ましく、特に好ましくはポリプロピレンとエチレン、ブテン−1との共重合体が好ましい。共重合の割合は、5〜20重量%の範囲の共重合体が好ましい。また、これらのポリオレフィンフィルムの融点はヒートシール性の点から110〜165℃の範囲が好ましい。
このポリオレフィンフィルムは、ヒートシール性の点から、無延伸フィルムであることが好ましい。無延伸フィルムとは、面配向係数が好ましくは0〜0.01の範囲であり、より好ましくは0〜0.005の範囲であるフィルムを言う。ポリオレフィンフィルムの厚みは、ヘアーライン溝の平均深度にもよるが、引き裂き方向性の点から、薄い方が好ましく、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは10〜60μmである。
ヘアーライン加工が施されたフィルムとシーラント層を貼り合わせるのに接着剤を用いる場合、その接着剤としては、熱硬化タイプでも熱可塑タイプでも構わないが、熱硬化タイプの方が好ましい。接着剤としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリルニトリル・ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合体、クロロプレン、ポリブタジェン等のゴム系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリブタジエン、またはこれらの樹脂のカルボキシル変性物、エポキシ系樹脂、セルロース系誘導体、エチレン酢酸ビニル系共重合体、ポリエチレンオキサイド、アクリル系樹脂、およびグニン誘導体等が挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムとポリオレフィンフィルムとの密着性の点から、特にポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂からなる接着剤が好ましい。
ヘアーライン加工面に接着剤を介してシーラント層を積層する場合、接着剤層の厚みは、積層品の透明性が得られやすい点から、ヘアーライン加工の溝平均深度(S)よりも厚い方が好ましい。接着剤層の厚みは、一般に0.2〜6μmである。
印刷層は、幅方向にヘアーライン加工を施した包装用フィルムのヘアーライン加工面またはヘアーライン加工されていない面に形成され、包装用フィルムの意匠性を向上させるために寄与する。そして、この印刷層の上に、接着層を介してまたは介さないでシーラント層が積層される。
印刷層のバインダー樹脂素材としては、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド系樹脂および熱可塑性エラストマー系樹脂等が好ましく、なかでも、柔軟な被膜を作製することができる樹脂が好ましく、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを配合することが好ましい。
印刷層の積層方法は、オフセット印刷法、グラビア印刷法およびスクリーン印刷法などの印刷法を用いることが好ましい。特に多色刷りや階調色彩を必要とする場合は、オフセット印刷法やグラビア印刷法が好ましい。また、単色の場合はグラビアコート法、ロールコート法およびコンマコート法などのコート法を採用することもできる。図柄に応じて、フィルムに全面的に印刷層を積層する印刷法でも、部分的に印刷層を積層する印刷法でもよい。
本発明の包装用フィルムは、意匠性とガスバリア性を付与するという目的のために、ヘアーライン加工面またはヘアーライン加工されていない面に、金属薄膜層を積層することが好ましく、その上に、接着層を介してまたは介さないでシーラント層が積層される。金属薄膜層は、金属箔でもよいし、蒸着により金属または酸化金属を積層させた層でもよいが、フィルムの取扱い性の点から、蒸着により積層させた金属薄膜層であることが好ましい。このとき、金属薄膜層を積層する表面に予めコロナ放電処理を施し、表面の濡れ張力を35mN/m以上に上げることは、金属薄膜層の密着性を向上させるために好ましく採用することができる。このときのコロナ放電処理時の雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、または窒素/炭酸ガスの混合系のいずれでもよく、特に炭酸ガスまたは窒素/炭酸ガスの混合ガス(体積比=95/5〜50/50)中でコロナ放電処理すると、フィルム表面の濡れ張力が35mN/m以上に上がるので好ましい。このコロナ放電処理を行った表面に蒸着により金属薄膜層を積層することが好ましい。
金属薄膜層を構成する材質としては、アルミニウム、珪素、亜鉛、マグネシウム、銅、クロムおよびニッケルクロムなどの金属が好ましい。意匠性とコストの面からアルミニウム金属がより好ましいが、2種以上の金属成分からなる合金であってもよい。
蒸着によりこれら金属薄膜層を積層する方法としては、通常の真空蒸着法を用いることができるが、イオンプレーティングやスパッタリング、プラズマで蒸発物を活性化する方法などを用いることができる。また、化学気相蒸着法(いわゆるCVD法)も広い意味での蒸着法として用いることができる。これらのための蒸発源としては、抵抗加熱方式のボード形式や、輻射または高周波加熱によるルツボ形式や、電子ビーム加熱による方式などがあるが、特に限定されない。
金属薄膜層の厚みは、10〜100nmが好ましく、アルミニウム金属の蒸着の場合、光学濃度(光線透過率の逆数の対数)が0.8〜6.7程度のものが蒸着される。金属薄膜層の厚みが10nm未満では、金属光沢性とガスバリア性が不十分であり、また、金属薄膜層の厚みが100nmを超えると蒸着時に金属薄膜層の凝集潜熱により、熱可塑性樹脂フィルムの極表面が溶融して白化する熱負けや、蒸着膜の可撓性が悪くなり、さらにフィルムの折り曲げなどにより、金属薄膜層の割れや、剥離が生じる場合がある。
以上の説明では、熱可塑性樹脂からなる基材フィルムとして、ヘアーライン加工フィルムを用いることを説明したが、シーラントフィルムを積層させる場合には、そのシーラントフィルムとして、ヘアーライン加工フィルムを用いることもできる。また、基材フィルムとしてヘアーライン加工フィルムを用いる代わりに、ヘアーライン加工シーラントフィルムを積層させることによって、所望の方向への引き裂き性を付与することもできる。例えば、ポリオレフィンなどからなるシーラントフィルムに、幅方向にヘアーライン加工を施し、ヘアーライン加工面に接着剤を介して、ナイロン2軸延伸フィルム、ポリエステル2軸延伸フィルムなどの基材フィルムを積層した構成として用いることもできる。この場合、まず、ナイロン2軸延伸フィルム、ポリエステル2軸延伸フィルムなどの基材フィルムに、印刷層や金属薄膜層等の各層を積層し、その積層面上に接着剤を介して、ヘアーライン加工シーラントフィルムのヘアーライン加工面を積層させることが好ましい。
本発明の幅方向にヘアーライン加工を施した包装用フィルムは、幅方向への引き裂き方向性に優れるため、従来のレトルト食品用包装袋、3方シール包装袋、4方シール包装袋、およびピロー包装袋などの製袋工程を転用して用い、包装袋を製造する事ができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、諸特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)融点(Tm)
Seiko Instrument(株)製示差走査熱量分析装置DSCII型を用い、試料5mgを室温より昇温速度10℃/分で昇温していった際の吸熱融解曲線のピーク温度を融点(Tm)とした。
(2)固有粘度
ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、25℃において測定した。
(3)メルトフローインデックス(MFI)
JIS−K−6758(1997年式)に準じて測定した。
(4)金属薄膜層の厚み
積層フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて下記の条件で写真撮影し、金属薄膜層の厚みを測定し、10回の測定の平均値を金属薄膜層の厚みとした。
装 置:日本電子(株)製JEM-1200EX
観察倍率:40万倍
加速電子:100kV
(5)ヘアーライン加工性
フィルム表面にヘアーライン加工を施した後の表面状態を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:ヘアーライン溝が綺麗に形成されているもの。
△:ヘアーライン溝の潰れや毛羽立ちがやや認められるもの。
×:ヘアーライン溝の潰れや毛羽立ちが認められるもの。
(6)ヘアーライン密度
(株)小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用いて、ヘアーライン加工方向と垂直な方向に沿って表面粗さを次の条件で測定した。得られた表面粗さ曲線から深度0.1〜5μmの範囲内のヘアーライン溝数を、長さ4mm間でカウントし、20回の測定の平均値を求めた。その平均値を100mm当たりのヘアーライン溝数に換算して、100mm当たりのヘアーライン密度とした。
・触針先端半径:0.5μm
・触針荷重 :5mg
・測定長 :4mm
・カットオフ :0.08mm
(7)ヘアーラインの溝平均深度(S)、ヘアーライン加工面の中心線平均粗さ(Ra) 上記(6)と同じ方法、同じ条件で、ヘアーライン加工面の表面粗さを測定した。20回の測定の平均値を求め、平均深さ(Rp)をヘアーライン溝平均深度(S)とし、中心線平均粗さ(Ra)とした。なお、Rp、Raの定義は、例えば、奈良次郎著「表面粗さの測定・評価法」(総合センター、1983)に示されているとおりとした。
(8)ヘイズ
日本精密光学(株)製ヘイズメーターSEP−H−2を用いて、JIS−K−6714(2001年式)に従って測定した。
(9)積層フィルムの透明性
積層フィルムのヘイズを上記(8)の方法に従って測定し、次の基準で積層フィルムの透明性の評価を行った。
○:積層フィルムのヘイズが10%未満であるもの。
△:積層フィルムのヘイズが10〜15%の範囲であるもの。
×:積層フィルムのヘイズが15%を超えるもの。
(10)印刷性
フィルムのヘアーライン加工面に、RK PRINT−COAT INSTRUMENT LTD.製卓上印刷機Kプリンティングプルーファー、版タイプ:標準版プレート タイプD(カラー密度:60〜100%/セル深さ:24〜40μm)、インキ;大日本インキ工業(株)製商品名“ユニピアA”(登録商標)R805墨を用い、印刷を行い、60℃×30秒乾燥後、印刷の網点を倍率50倍で顕微鏡観察して、次の基準で印刷性の評価を行った。
○:印刷の滲みが認められず、綺麗に印刷されているもの。
△:印刷の滲みが認められず、印刷の鮮明さがやや劣るもの。
×:印刷の滲みが認められ、印刷の鮮明さが劣るもの。
(11)引き裂き伝播抵抗
東洋精機(株)製軽荷重式引き裂き試験機を用いて、JIS−K−7128−2(1998年式)に従って測定した。ヘアーライン加工方向が長手方向となるようにフィルムを幅50mm×長さ64mmにカットし測定サンプルとする。このサンプルの幅中央位置の端部から長さ方向に13mmの切れ込みを入れ、長さ方向の残り51mmを引き裂いたときの抵抗値を読み取り、10回の測定の平均値から次の基準で評価した。
○:引き裂き伝播抵抗の平均値が5kN/m以下の範囲であるもの。
△:引き裂き伝播抵抗の平均値が5kN/mを超え、10kN/m以下の範囲であるもの。
×:引き裂き伝播抵抗の平均値が10kN/mを超えるもの。
(12)引き裂き方向性(開封性)
フィルムのヘアーライン加工方向が横幅方向になるようにカットした縦幅200mm×横幅150mmのフィルムサンプルの2枚を、シーラント層が内側となるように重ね合わせる。富士インパルス(株)製インパルスシーラーを用い、シール幅10mmで、重ねたフィルム2枚の三辺部分をヒートシールし、包装袋を作製した。1袋の包装袋に、市販の調理済みカレー食品250gを入れた後、残り一辺部分をヒートシールして密封し、カレー食品入り包装袋を10袋作製した。
この包装袋のシール部に、角から縦方向に2cm離れた位置から横幅方向に包装袋の辺と平行な直線を油性インク“マジック”(登録商標)インキで引いた後、はさみを用いて、油性インクで書かれた直線に沿って10mmのノッチの切り口を入れた。油性インクで書かれた直線が中心線になるように短冊型に切り出し、幅4cm長さ15cmの試験片を得た。この試験片を用いて、つかみ具間距離を1mmとすること以外は、JIS−K−7128−1(1998年式)の手順に従って試験片を最後まで引き裂いた。引き裂きの終了部分において、切り口と油性インクで書かれた直線とのズレ幅の平均値(n=10)を次の基準で評価した。
○:引き裂きズレ幅の平均値が5mm以下の範囲であるもの。
△:引き裂きズレ幅の平均値が5mmを超え、10mm以下の範囲であるもの。
×:引き裂きズレ幅の平均値が10mmを超えるもの。
[実施例]
実施例および比較例には、以下のポリエステルおよび粒子マスターを使用した。
[ポリエチレンテレフタレートA(PET−A)]
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール60質量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020質量部を添加した後、重縮合反応槽に移送した。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃の温度で常法により重縮合反応を行い、融点257℃、固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートを製造した。
[粒子等含有マスターポリマB(PET−B)]
PET−Aの重合時に、帯電防止剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6質量部およびポリエチレングリコール(分子量4000)4質量部、酸化防止剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製“イルガノックス1010”(登録商標)を0.10質量部、さらに下記手法で得られた凝集シリカ粒子(富士ディビソン(株)製、粒子径2.5μm)6質量部を添加し、PET−Aと同様に重合して、粒子等含有のポリエチレンテレフタレートマスターポリマ(融点264℃、固有粘度0.65dl/g)を製造した。
凝集シリカ粒子:4塩化珪素1当量に対し、酸素1当量、および、水素1当量を気化装置において気化させ、酸水素炎中において1,000℃で加水分解を行い、酸化ケイ素粒子を得た。さらに、直径0.5mmのビーズを用いた湿式サンドミルにて粉砕し平均粒子径2.5μmの凝集シリカ粒子を製造した。
[1,4−シクロへキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートD(PET−C)]
イーストマン・ケミカル(株)製 “6763”(融点190℃、固有粘度0.72)を用いた。この樹脂における1,4−シクロへキサンジメタノール共重合量は、全ジオール成分に対し30モル%であった。
[イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(PET−D)]
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸ジメチル82.5モル%とイソフタル酸ジメチル17.5モル%とで100質量%としたこと以外は、PET−Aと同様にしてイソフタル酸17.5モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.58dl/g、融点223℃)を得た。
[ポリブチレンテレフタレートA(PBT−A)]
東レ(株)製 “トレコン”(登録商標)1200Sのポリブチレンテレフタレート(融点228℃、固有粘度1.26dl/g)を用いた。
[ポリプロピレン(PP)]
三井住友ポリオレフィン(株)製 “三井住友ポリプロ” (登録商標)FS2016のポリプロピレン(融点163℃、メルトフローインデックス2.3g/10min)を用いた。
(実施例1)
熱可塑性樹脂フィルムとして、下記のポリエステル2軸延伸フィルムを用いた。ポリエステルをPET−A/PET−B=重量比99/1で配合したペレットを用い、このペレットを180℃×4時間で、十分に真空乾燥させた後、押出機に供給して280℃の温度で溶融させ、濾過フィルターで濾過した後、スリット状のダイからシート状に溶融押出した。全面静電印加で、表面温度25℃に調整した鏡面キャスティングドラムに密着させて冷却固化しポリエステル未延伸フィルムを作製した。この間のシートと冷却ドラム表面との密着性を向上させるために、シート側にワイヤー電極を配して6kVの直流電圧を印加した。得られた未延伸フィルムを90℃の温度で予熱後、95℃の温度にて長手方向に3.0倍にロール延伸し、さらに110℃の温度で予熱後、幅方向に115℃の温度で3.3倍にテンター延伸した後、230℃の温度にて弛緩5%で、5秒間熱処理し、厚みを12μmに調整したポリエステル2軸延伸フィルムを作製した。
次に、研磨布紙(日本研紙(株)製“レジンクロス”(登録商標)SRCX-S16)を貼り付けた金属ベルトを用い、フィルムの流れ方向と研磨布紙を貼り付けた金属ベルトの流れ方向の角度が60°になるように設置し、ポリエステル2軸延伸フィルムをフリーロールで研磨布紙を貼り付けた金属ベルトに押し付け、その状態のままポリエステル2軸延伸フィルムを50m/minで走行させ、かつ、研磨布紙を貼り付けた金属ベルトを100m/minで走行させて、ポリエステル2軸延伸フィルムの片側表面の幅方向に溝平均深度0.9μmのヘアーライン加工を施した。
次に、ヘアーライン加工面に、金属薄膜層/接着剤層/シーラント層を順次積層した。金属薄膜層を積層する前に、まず、ポリエステル2軸延伸フィルムを50℃の温度に加熱したゴムロールを介して、ヘアーライン加工面の表面を、窒素/炭酸ガスの混合ガス(窒素/炭酸ガス=85/15)の雰囲気中で、40W・min/mの処理条件でコロナ放電処理を施し、ヘアーライン加工面の濡れ張力を45mN/m以上にしてロール状に巻き取った。そのときのフィルムの温度は30℃であり、10時間エージングした後に30cm幅にスリットした。次に、スリットしたフィルムをフィルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、1.00×10−2Paの高真空にした後に、−20℃の温度の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、アルミニウム金属を加熱蒸発させながら、走行フィルムのコロナ放電処理面に凝集堆積させ、アルミニウムの金属薄膜層を積層して巻取った。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返し、40℃の温度で2日間エージングして、蒸着フィルムを得た。金属薄膜層の厚みは45nmであった。
次に、この金属薄膜層面に、接着剤層として、ポリウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)製“タケラック”(登録商標)A610(濃度35〜45%)/“タケネート”(登録商標)A50(濃度20〜30%)=9/1(混合重量比)、25%酢酸エチル溶液)を用いて、接着剤層を、固形分厚み1μmとなるようにコートした。次に、その上にシーラント層を設けるために、ポリプロピレン系無延伸フィルム(東レフィルム加工(株)製“トレファンNO”(登録商標)3951T、厚み20μm)のコロナ放電処理面を接着剤層面に貼り合わせた後その接着剤成分を架橋させるため、40℃×2日以上、孵卵器でエージングを行った。次に、得られた包装用積層フィルムのヘアーライン加工方向が幅方向になるように縦幅20cm×横幅15cmのフィルム片2枚を切り出し、そのシーラント層同士を重ね、富士インパルス(株)製インパルスシーラーを用い、幅1cmで3方を温度150℃の温度で2秒間毎、ヒートシールし、包装袋を作製した。この包装袋は、調理済みカレー食品を封入して密封することができた。また、ノッチの切り口部分から良好に引き裂きくことができた。結果を表1に示す。
(実施例2)
熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリプロピレン2軸延伸フィルム(東レ(株)製“トレファン”(登録商標)2500、厚み20μm)を用いた。このポリプロピレン2軸延伸フィルムの片側表面の幅方向に、実施例1と同様な手法でヘアーライン加工(溝平均深度1.1μm)を施し、包装用フィルムを作製した。得られた包装用フィルムのヘアーライン加工方向が長さ方向となるように幅220mm×長さ140mmのポリプロピレン2軸延伸フィルム片を切り出し、幅220mmの片方の中央部に幅2mmの切り口を入れ、切り口に重ね幅2mm×長さ10mmの糊付オープニングテープを貼り付けた。ポリプロピレン2軸延伸フィルムのオープニングテープの位置が三角おにぎりの頂点に配されるようにヘアーライン加工面をおにぎり側にして三角おにぎり250gを包み込んでフィルムの重なった部分に糊付シールを貼り付けて、おにぎりを包装した。その後、オープニングテープを引貼って開封したところ、ヘアーライン方向に引き裂き方向性良く引き裂くことができた。結果を表1に示す。
(実施例3)
熱可塑性樹脂フィルムとして、下記のポリエステル無延伸フィルムを用いた。ポリエステルをPET−A/PET−B/PBT−A=重量比91/4/5で配合し、さらに、別途ステアリルリン酸(旭電化(株)製“アデカスタブ(登録商標)AX−71”)0.1質量部を添加しベント式2軸押出機(L/D=36)に供給した。供給された樹脂を280℃で溶融させた後に真空ベント部2ヶ所を通過させた。次いで、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、スリット状のダイからシート状に溶融押出した。押出されたシートの両端部に針状エッジピニング装置を用いて静電印加し、表面温度50℃に調整した鏡面キャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み30μmのポリエステル無延伸フィルムを作製した。
次に、実施例1と同様な手法で、ポリエステル無延伸フィルムの片側表面の幅方向にヘアーライン加工(溝平均深度0.9μm)を施した。ヘアーライン加工面に、RK PRINT−COAT INSTRUMENT LTD.製卓上印刷機Kプリンティングプルーファー、版タイプ:標準版プレート、インキ;大日本インキ工業(株)製 “ユニピアA”(登録商標)R805墨を用いて、印刷を行い、印刷層を積層した。次に、印刷積層面に直接、押出ラミネート法(押出温度230℃)でPET−Cをラミネートして、シーラント層(厚み20μm)を積層した。得られた包装用積層フィルムは、ヒートシール強度が低いものの、通常の文具類(例えば、ボールペン)用の包装袋としても良好に使用することができた。結果を表1に示す。
(実施例4)
ヘアーライン加工工程において、フィルムの流れ方向と研磨布紙を貼り付けた金属ベルトの流れ方向の角度が60°、ポリエステル2軸延伸フィルムを56m/minで走行、研磨布紙を貼り付けた金属ベルトを100m/minで走行させたこと以外は、実施例1と同様の手法により、フィルムの進行方向より94°の方向にヘアーライン加工が施された包装用フィルムを作製した。
次に、実施例1と同様の手法により、金属薄膜層/接着剤層/シーラント層を順次積層し、インパルスシーラーを用いて包装袋を作製した。この包装袋は、調理済みカレー食品を封入して密封することができた。また、ノッチの切り口部分から良好に引き裂きくことができた。結果を表1に示す。
(実施例5)
熱可塑性樹脂フィルムとして、実施例1と同様のポリエステル2軸延伸フィルムを用いて下記の方法でヘアーライン加工を施した。金属ベルトに研磨布紙(日本研紙(株)製“レジンクロス”(登録商標)SRCX-S16)を15cm幅の短冊状に切り出したものを貼り付け、ベルトが直径5cmの円柱表面上をベルト間の隙間を2mm空けながら螺旋状の軌跡を取るように設計したベルト軸を用いて、ポリエステル2軸延伸フィルムの幅方向とベルト軸が平行になるように設置し、ポリエステル2軸延伸フィルムとベルトの接点でのフィルムの走行方向とベルトの走行方向からなる角度が75°になるようにした。ポリエステル2軸延伸フィルムの走行速度を30m/minとし、ベルトの走行速度を116m/minにしてフィルムの片側表面の幅方向に溝平均深度0.9μmのヘアーライン加工を施した。得られたヘアーライン加工フィルム用いて、実施例1と同様の手法により包装袋を作製した。この包装袋は、調理済みカレー食品を封入して密封することができた。また、ノッチの切り口部分から良好に引き裂くことができた。結果を表1に示す。
(実施例6)
熱可塑性樹脂フィルムとして、下記のポリエステル2軸延伸積層フィルムを用いた。基層にPET−Aを用い、このペレットを180℃×4時間で、十分に真空乾燥させた後、押出機に供給して280℃の温度で溶融させ、濾過フィルターで濾過した後、マルチマニホールド式ダイに供給した。一方、PET−D/PET−B=重量比99/1で配合したペレットを180℃×4時間で、十分に真空乾燥させた後、押出機に供給して270℃の温度で溶融させ、濾過フィルターで濾過した後、マルチマニホールド式ダイに供給し、基層の一方に非晶性樹脂層として積層して、スリット状のダイからシート状に溶融押出した。全面静電印加で、表面温度25℃に調整した鏡面キャスティングドラムに密着させて冷却固化しポリエステル未延伸積層フィルムを作製した。この間のシートと冷却ドラム表面との密着性を向上させるために、シート側にワイヤー電極を配して6kVの直流電圧を印加した。得られた未延伸積層フィルムを90℃の温度で予熱後、95℃の温度にて長手方向に3.0倍にロール延伸し、さらに110℃の温度で予熱後、幅方向に115℃の温度で3.3倍にテンター延伸した後、230℃の温度にて弛緩5%で、5秒間熱処理し、厚みを12μmに調整したポリエステル2軸延伸積層フィルムを作製した。得られた2軸延伸積層フィルムの非晶性樹脂層に、実施例1と同様の手法によってヘアーライン加工を施し、実施例1と同様の手法により包装袋を作製した。この包装袋は、調理済みカレー食品を封入して密封することができた。また、ノッチの切り口部分から良好に引き裂くことができた。結果を表1に示す。
(実施例7)
幅方向へのテンター延伸工程の後、フィルムを30℃まで冷却し、実施例1と同様のヘアーライン加工を施した後に熱処理工程を設け、厚み20μmのヘアーライン加工フィルムを得たこと以外は実施例1と同様の方法にて、包装袋を作製した。この包装袋は、調理済みカレー食品を封入して密封することができた。また、ノッチの切り口部分から良好に引き裂きくことができた。結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリプロピレンを溶融押出機で、Tダイ方式にて温度230℃で溶融押出成形し、冷却方法は温度調節ができる3本のロールにて行い、第1ロールを60℃の温度に、第2ロールを80℃の温度に、そして第3ロールを110℃の温度に調節し、横方向1.5倍に延伸し、厚み20μmのポリプロピレン横1軸延伸フィルムを作製した。この1軸延伸フィルムの片側表面に、実施例1と同様な手法で接着剤層/シーラント層を順次積層した。得られた包装用積層フィルムから作製された包装袋は、引き裂き伝播抵抗は良好であったものの、引き裂きの切り口が曲がり、引き裂き方向性が劣るものであった。結果を表1に示す。
(比較例2)
熱可塑性樹脂フィルムとして、実施例1で製造したポリエステル2軸延伸フィルム(厚み12μm)を用いた。この2軸延伸フィルムをヘアーライン加工せずに、その片側表面に、実施例1と同様の手法により、金属薄膜層/接着剤層/シーラント層を順次積層した。得られた包装用積層フィルムから作製された包装袋は、引き裂き伝播抵抗も不十分であり、引き裂きの切り口が曲がり、引き裂き方向性も劣るものであった。結果を表1に示す。
(比較例3)
熱可塑性樹脂フィルムとして、実施例1と同様の手法によって、厚み30μmに調整したポリエステル2軸延伸フィルムを用いた。ヘアーライン加工装置をフィルムの流れ方向と研磨布紙を貼り付けた金属ベルトの流れ方向の角度が45°になるように設置し、フィルムを51m/minで、研磨布紙を貼り付けた金属ベルトを72m/minで走行させて、フィルムの片側表面の幅方向に溝平均深度0.2μmのヘアーライン加工を施した。ヘアーライン加工を施した面に、実施例1と同様に手法により、金属薄膜層/接着剤層/シーラント層を順次積層した。得られた包装用積層フィルムから作製された包装袋は、引き裂き伝播抵抗も不十分であり、引き裂きの切り口が曲がり、引き裂き方向性も劣るものであった。結果を表1に示す。
(比較例4)
熱可塑性樹脂フィルムとして、実施例1と同様の手法によって、厚み9μmに調整したポリエステル2軸延伸フィルムを用いた。ヘアーライン加工装置をフィルムの流れ方向と研磨布紙を貼り付けた金属ベルトの流れ方向の角度が80°になるように設置し、フィルムを33m/minで、研磨布紙を貼り付けた金属ベルトを190m/minで走行させて、フィルムの片側表面の幅方向に溝平均深度4.0μmのヘアーライン加工を施した。ヘアーライン加工を施した面に、実施例1と同様に手法により、金属薄膜層/接着剤層/シーラント層を順次積層した。得られた包装用積層フィルムから作製された包装袋は、引き裂き伝播抵抗、引き裂き方向性は良好であったが、印刷性が劣り、またフィルムの製造工程および加工工程でのフィルム破れが多発し、生産性に劣るものであった。結果を表1に示す。
(比較例5)
ヘアーライン加工工程において、フィルムの流れ方向と研磨布紙を貼り付けた金属ベルトの流れ方向の角度が60°、ポリエステル2軸延伸フィルムを30m/minで走行、研磨布紙を貼り付けた金属ベルトを100m/minで走行させたこと以外は、実施例1と同様の手法により、フィルムの進行方向より77°の方向にヘアーライン加工が施された包装用フィルムを作製した。
次に、実施例1と同様の手法により、金属薄膜層/接着剤層/シーラント層を順次積層し、インパルスシーラーを用いて包装袋を作製した。この包装袋は、調理済みカレー食品を封入して密封することができた。しかし、得られた包装袋は引き裂き方向性に劣り、きれいに開封することが困難であった。結果を表1に示す。
Figure 2007069961
但し、表1中の略号は、以下のとおりである。
HL :ヘアーライン
CPP :ポリプロピレン系無延伸フィルム
LLD−PE:直鎖状低密度ポリエチレン。
本発明の幅方向への引き裂き方向性を有する包装用(積層)フィルムは、幅方向への引き裂き方向性に優れているため、各種包装袋、例えば、おにぎり、レトルト食品および菓子等の食料品の包装袋、また、衣料品、工業部品、家庭用品および医薬品等の包装袋として好ましく用いることができる。
図1は、本発明の熱可塑性樹脂フィルム表面に連続的に、幅方向にヘアーライン加工を施すための方法を例示説明するための概略斜視図である。 図2は、本発明で用いられるフリーロールを例示する概略斜視図である。 図3は、ヘアーライン加工を施すための、研磨布紙を貼り付けたベルト7を螺旋状に1条または複数条巻き付けた軸8を例示する概略斜視図である。 図4は、本発明の熱可塑性樹脂フィルム表面に連続的に、幅方向にヘアーライン加工を施すための他の方法を例示説明するための概略斜視図である。 図5は、本発明の熱可塑性樹脂フィルム表面に連続的に、幅方向にヘアーライン加工を施すためのさらに他の方法を例示説明するための概略斜視図である。
符号の説明
1 熱可塑性樹脂フィルム
2 ベルト
3 フリーロール
4 ニップロール
5 ニップロール
6 ロール端部
7 ベルト
8 軸
9 熱可塑性樹脂フィルム
10 フリーロール
11 ニップロール
12 ニップロール

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、フィルムの流れ方向に対して80°〜100°の範囲の方向にヘアーライン加工が施されており、該熱可塑性樹脂フィルムの厚み(T)とヘアーライン加工による溝平均深度(S)との関係が、次式1
    の範囲であることを特徴とする包装用フィルム。
    (T−S)/T=0.60〜0.99 式1
  2. 溝平均深度(S)0.1〜5μmの範囲のヘアーライン加工が施されている請求項1記載の包装用フィルム。
  3. 幅100mm当たり500〜20,000本の範囲の密度でヘアーライン加工が施されている請求項1または2に記載の包装用フィルム。
  4. ヘアーライン加工面におけるヘアーライン加工方向と直角方向の中心線平均粗さ(Ra[μm])が、次式2の範囲内である請求項1〜3のいずれかに記載の包装用フィルム。
    0.02≦Ra≦0.20 式2
  5. 前記熱可塑性樹脂フィルムが積層フィルムであり、ヘアーライン加工を施す面に非晶性樹脂が積層されている請求項1〜4のいずれかに記載の包装用フィルム。
  6. 前記包装用フィルムおよび包装用フィルムロールのヘアーライン加工面または非ヘアーライン加工面に、印刷層、金属薄膜層、接着剤層、シーラント層のうち少なくとも1つの層または複数の層を積層した、包装用積層フィルム。
  7. 研磨布紙をフィルム走行方向に対して45°〜89°の方向に走行させ、フィルムの幅方向に1回または複数回ヘアーライン加工を施すことを特徴とする包装用フィルムの製造方法。
  8. 研磨布紙を螺旋状に走行させて、フィルムの幅方向に1回または複数回ヘアーライン加工を施す請求項7記載の包装用フィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の包装用積層フィルムを巻き取ってなる包装用フィルムロール。
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