JP2004255590A - 包装用フィルム - Google Patents

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Kokichi Hashimoto
幸吉 橋本
Masaru Suzuki
勝 鈴木
Hiroyuki Tanaka
裕之 田中
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Abstract

【課題】酸素や水蒸気に対するガスバリア性に優れるとともに、意匠性にも優れた包装用フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも片面に表面凹凸加工が施された熱可塑性樹脂フィルムと、該フィルムの表面凹凸加工された面または表面凹凸加工されてない面に、接着剤層を介してまたは介することなく積層されたガスバリア層とからなる包装用フィルムであって、熱可塑性樹脂フィルムの厚み(T)と表面凹凸加工による溝の平均深度(S)との関係が、(T−S)/T=0.50〜0.99の範囲である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素や水蒸気に対する遮断性および意匠性に優れた包装用フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品や薬品を長期保存するためには、腐敗や変質を促進する酸素や水蒸気が外気から浸入しないように遮断効果を持つ、いわゆるガスバリア性に優れた包装材でもって密封包装する必要があり、その包装材には、従来より種々の包装用フィルムが使用されてきている。
【0003】
例えば、ガスバリア性を有する不透明なフィルム包装材として、アルミニウム箔が積層されたフィルム包装材や金属蒸着されたフィルム包装材が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、透明なガスバリア性フィルム包装材として、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等が積層されたフィルムが知られ(例えば、特許文献2参照)、さらに、高分子化合物からなる基材フィルムの表面に金属酸化薄膜を形成した透明蒸着フィルムが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、アルミニウム箔は高分子化合物からなるフィルムに比べ、屈曲性が劣り、加工などの折り曲げ等でピンホールを生じて、ガスバリア性が低下しやすい問題がある。
【0005】
また、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等の積層フィルムや、蒸着により金属薄膜や金属酸化物薄膜を形成した樹脂製フィルムは、柔軟で酸素や水蒸気のガスバリア性が良好であるが、包装材としての意匠性が十分でなく、美的外観の向上が望まれていた。
【0006】
一方、ヘアーライン加工を施したフィルム・シートは、転写箔のベースフィルム、映写スクリーンの拡散反射体のベースフィルム、金属光沢表面を有するラベル、ワッペン、マーキングシートのような装飾用・表示用シートとして使用することが知られている(特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)。
【0007】
しかし、これらヘアーライン加工フィルム・シートは、適度な表面光沢度、光の拡散性および意匠性という美的外観は良好であるものの、包装フィルム用に要求されるガスバリア性等の特性を備えたものではない。
【0008】
【特許文献1】特開平7−195640号公報
【特許文献2】特許第2766250号公報
【特許文献3】特開平11−10725号公報
【特許文献4】特公昭60−11628号公報
【特許文献5】特開昭57−19725号公報
【特許文献6】特開平11−300888号公報
【特許文献7】特開平6−293120号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、包装における美的外観を向上させるために、ガスバリア性に優れる包装用フィルムの意匠性を向上させることが望まれていた。
そこで、本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、酸素や水蒸気に対するガスバリア性に優れるとともに、意匠性にも優れた包装用フィルムを提供することを主たる目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明の包装用フィルムは主として次の事項から特定される。
【0011】
すなわち、少なくとも片面に表面凹凸加工が施された熱可塑性樹脂フィルムと、該フィルムの表面凹凸加工された面または表面凹凸加工されてない面に、接着剤層を介してまたは介することなく積層されたガスバリア層とからなる包装用フィルムであって、熱可塑性樹脂フィルムの厚み(T)とヘアーライン溝平均深度(S)との関係が、(T−S)/T=0.50〜0.99の範囲である包装用フィルムである。
【0012】
このように、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面にヘアーライン加工を施し、そのフィルムの厚みとヘアーラインの溝平均深度との値を特定範囲内とし、かつ、ガスバリア層を積層することにより、優れたガスバリア性とともに意匠性にも優れた包装用フィルムとすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の包装用フィルムに用いられる熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂及び必要に応じて配合された添加剤等からなるフィルムである。その熱可塑性樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ナイロン6などのポリアミド、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン等が挙げられる。それらのポリマーは、単一ポリマーでも、共重合ポリマーでも、2種以上のブレンドポリマーでも構わない。より好ましくはヘアーライン加工等の表面凹凸加工を施しやすい点でポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびそれらの共重合ポリマーである。また、ヘアーライン加工時の摩擦熱で溶融してヘアーラインの溝が埋まるという問題やヘアーライン加工後に毛羽立ちが生じるという問題を回避するために、融点が200℃以上のポリマーが好ましい。
【0014】
そのフィルムは、無延伸フィルムでも、1軸延伸フィルムでも、2軸延伸フィルムでも構わない。ヘアーライン加工方向を任意に設定できる点からは、無延伸フィルムおよび2軸延伸フィルムが好ましい。
【0015】
本発明における熱可塑性樹脂フィルム中には、必要に応じて公知の添加剤、例えば、滑剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤またはポリシロキサン等の消泡剤、顔料または染料等の着色剤を適量配合することができる。
【0016】
本発明の包装用フィルムでは、包装の意匠性を高めるために、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面にヘアーライン加工等の表面凹凸加工が施されたことが必要である。この表面凹凸加工が施される表面は、その加工による溝の密度や深さ等にもよるが、フィルムの片面のみでもよいし、また、フィルムの両面でもよい。
【0017】
熱可塑性樹脂フィルムの表面にヘアーライン加工を施す方法としては、和紙、クラフト紙、ラテックス処理紙、処理布の表面に溶融アルミナ、炭化珪素、ダイヤモンド、エメリー、フリント、ガーネットなどの研磨材が接着剤で固着された研磨布紙でもって、熱可塑性樹脂フィルムの表面を一定方向に摩擦する方法が挙げられる。その研磨布紙の形態は、シート状、ロール状、ベルト状、ディスク状が好ましい。研磨布紙の他に、スコッチ、金属ブラシ、羅紗、布地、フィルム等の素材をエンドベルト状に加工したものでも構わない。また、Tダイ法で溶融押出してシート化する際、表面がヘアーライン加工された冷却ドラムを用い、その冷却ドラムとニップロールとの間で押圧してヘアーラインの凹凸模様をフィルム表面に転写する方法でもよい。上記ヘアーライン加工用の冷却ドラムの替わりに梨地模様の冷却ドラムを用いて梨地加工としてもよい。
【0018】
フィルム表面に連続的にヘアーライン加工を施すための好ましい方法としては、ロールに研磨布紙を巻き付け、フィルム表面をそのロールに押し付けて、フィルムの走行方向と逆方向にロールを回転させ、連続的にヘアーライン加工を施す方法がある。ヘアーラインの密度は研磨布紙の研磨材の硬度、粒度、粒径、突起高さを変更すること、およびフィルム走行速度とロール速度の比を変更することで、目的とするヘアーライン加工の密度および深さを得ることができる。
【0019】
また、フィルム表面に砂などを圧縮空気で吹き付ける方法(サンド・ブラスト加工)により、フィルム表面を凹凸あるいは艶消しすることでもよく、ヘアーライン加工とは異なった趣の意匠性を得ることができる。
【0020】
このようにして表面凹凸加工して得られる表面凹凸の溝の平均深度(S)は、熱可塑性樹脂フィルムの厚み(T)との関係で表される関係式の値[(T−S)/T]を、優れたガスバリア性を得るために、(T−S)/T=0.50〜0.99の範囲内とすることが必要である。その範囲未満であるとフィルムの厚みに対して溝が深すぎ、加工時にフィルムが破れ易く、さらに、ガスバリア層を積層させても十分なガスバリア性が得られ難い。また、その範囲を超えると、ガスバリア層を積層して包装用フィルムとした場合、表面が半光沢または半透明のような外観になり難く、所望の意匠性とすることが困難である。
【0021】
本発明の包装用フィルムは、表面凹凸加工面または加工されてない面に、接着剤を介して、または介することなく直接に、ガスバリア層が積層されているが、このガスバリア層は、無機薄膜層またはガスバリア性樹脂層であることが好ましい。さらに無機薄膜層としては金属及び/又は金属酸化物からなる薄膜層が好ましい。表面凹凸加工面または加工されてない面にガスバリア層を積層することで、ヘアーライン等の表面凹凸による半光沢または半透明の外観が得られ、意匠性が優れるとともに、ガスバリア性にも優れた包装用フィルムとすることができるのである。これに対し、表面凹凸加工を施さないで無機薄膜のガスバリア層を積層した場合は、ピカピカとした金属光沢の外観となり、意匠性が劣るものとなる。また、表面凹凸加工しないで、ガスバリア性樹脂のガスバリア層を積層した場合は、透明すぎ、意匠性が劣りやすいものとなる。
【0022】
ガスバリア層が無機薄膜層である場合は、その材質として、例えば、アルミニウム、珪素、亜鉛、マグネシウム、銅、クロム、ニッケルなどの金属およびそれらの金属酸化物が挙げられる。上記のうちの2種以上の金属成分からなる合金またはその酸化物であってもよいが、意匠性とコストの点から、金属としてはアルミニウムが好ましく、金属酸化物の中では酸化アルミニウムが好ましい。金属酸化物はこれらのものの単独でもよく、複数が混合したものでもよく、金属成分が一部残存したものでもよい。
【0023】
無機薄膜のガスバリア層を積層する場合は、無機薄膜層を積層するフィルム表面に予めコロナ放電処理を施し、表面の濡れ張力を35mN/m以上に上げることが、フィルムと無機薄膜層の密着性を向上させるために好ましい。このときのコロナ放電処理時の雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、または窒素/炭酸ガスの混合系のいずれでもよく、特に炭酸ガスまたは窒素/炭酸ガスの混合ガス(体積比=95/5〜50/50)中でコロナ放電処理すると、フィルム表面の濡れ張力が35mN/m以上に上がるので好ましい。
【0024】
このコロナ放電処理を施したフィルム表面に無機薄膜層を蒸着によって積層することが好ましい。蒸着により無機薄膜を積層する方法としては、通常の真空蒸着法を用いることができるが、イオンプレーティングやスパッタリング、プラズマで蒸発物を活性化する方法などを用いることもできる。金属酸化物の膜を形成する方法としては、金属酸化物を直接蒸発により堆積する方法でもよいが、酸化雰囲気下での反応性蒸着による方法が生産性の上からより好ましい。また、化学気相蒸着法(いわゆるCVD法)も広い意味での蒸着法として用いることができる。酸化雰囲気とするためには、酸素ガス単独または酸素ガスを不活性ガスで希釈した気体を真空蒸着機中に必要量導入すればよい。不活性ガスとは、アルゴンやヘリウムなどの希ガスや窒素ガスおよびこれらの混合ガスを指す。反応性蒸着は、このような酸化雰囲気下で金属または金属酸化物を蒸発源から蒸発させ、熱可塑性樹脂フィルム近傍で酸化反応を起こさせ、熱可塑性樹脂フィルム上に無機薄膜を形成する手法により行われる。これらのための蒸発源としては、抵抗加熱方式のボード形式や、輻射または高周波加熱によるルツボ形式や、電子ビーム加熱による方式などがあるが、特に限定されない。
【0025】
無機薄膜が金属酸化物からなる場合は、完全酸化物であることが最も好ましい。しかしながら、一般に完全酸化物を形成しようとすると、過剰に酸化された部分が形成される確率が高くなり、過剰酸化部分はガスバリア性が劣るので、全体として高いガスバリア性を得ることは難しい。このため、多少金属成分が残った不完全酸化膜であってもよい。
【0026】
無機薄膜層が金属酸化物からなる場合、高い透明性を得るためにフィルムの光線透過率は高い方が好ましく、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。この場合は透明な包装用フィルムとなるので、包装袋として用いた場合に内容物の品質確認が容易になる等の利点がある。その光線透過率の上限は、熱可塑性樹脂フィルムの光線透過率による制限を受け、例えば、熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムの場合、ポリエステルフィルムの光線透過率の上限値(92%)が、実質的な光線透過率の上限値となる。
【0027】
無機薄膜層の厚みは、一般に10〜100nmが好ましいが、その材質や用途等に応じた厚みとすればよい。例えば、アルミニウムからなる薄膜層の場合、20〜50nmの厚みが好ましく、その光学濃度(光線透過率の逆数の対数)は1.5〜3.0程度のものが好ましい。また、無機薄膜層が、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウムからなる場合は、ガスバリア性および可撓性などの点で、厚みは5〜100nmが好ましく、より好ましくは8〜50nmである。その膜厚が5nm未満ではガスバリア性が十分でなく、また、膜厚が100nmを超えると、蒸着時に酸化アルミニウムの凝集潜熱により、熱可塑性樹脂フィルムの極表面が溶融して白化する熱負けが発生し易く、無機薄膜の可撓性が悪くなり易く、さらにフィルムの折り曲げなどにより、無機薄膜の割れや、剥離が生じやすくなるので好ましくない。
【0028】
ガスバリア層がガスバリア性樹脂からなる層である場合は、そのガスバリア性樹脂として、例えば、メタキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応から得られるポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン共重合体(PVDC)、アクリロニトリル共重合体(PAN)、ポリグリコール酸(PGA)が挙げられる。上記のうちの2種以上のガスバリア性樹脂からなるポリマーであってもよい。なかでも、ガスバリア性と環境性の点からナイロンMXD6、PVOH、EVOH、PANが好ましい。その積層厚みとしては0.2〜10μmの範囲であることが好ましい。上記ガスバリア性樹脂中には、カルボキシル基、スルホン酸基等の有機酸基があってもよく、その有機酸基はアミン、アルカリ金属等の塩基性物質と塩を形成していてもよく、また、ガスバリア性樹脂中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基があってもよい。
【0029】
熱可塑性樹脂フィルムとガスバリア層との接着性が劣る場合は、熱可塑性樹脂フィルム表面に予め接着剤を積層することが好ましい。その接着剤としては、熱硬化タイプでも熱可塑タイプでも構わないが、熱硬化タイプの方が好ましい。熱硬化タイプとして、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、クロロプレン、ポリブタジェン等のゴム系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリブタジエン、あるいはこれらの樹脂のカルボキシル変性物、エポキシ系樹脂、セルロース系誘導体、エチレン酢酸ビニル系共重合体、ポリエチレンオキサイド、アクリル系樹脂、リグニン誘導体等からなる接着剤が挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムとガスバリア性樹脂との接着性の点からは、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂からなる接着剤が好ましい。
【0030】
本発明の包装用フィルムは、一般に、そのガスバリア層の表面に他のフィルムを積層させた包装材料にして包装に用いられる。他のフィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどからなるフィルムが好ましく、二軸延伸フィルムでも無延伸フィルムでも構わない。他のフィルムをヒートシール層として積層する場合は、ポリオレフィン系樹脂の無延伸フィルムが好ましく、これらのフィルムを押出ラミネート法によりあるいは接着剤などを介して積層することが好ましい。この積層フィルムの場合、ヒートシール層どうしを重ね合わせてヒートシールさせ包装袋として使用される。その接着剤としては、熱可塑性樹脂フィルムとガスバリア性樹脂との接着として前記した接着剤が好ましく用いられる。
【0031】
また、目的に応じて、帯電防止層、抗菌層などのコーティングや共押出、熱ラミネート、ドライラミネートなどの手法によりへーライン加工面またはその反対面にに積層することができる。
【0032】
本発明の包装用フィルムにおいて、好ましい厚みは10〜300μmの範囲であり、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは10〜150μmである。この範囲未満では表面凹凸加工が施しにくくなったり、フィルムの剛性、製膜安定性および平面性が悪化し、さらには成形時にしわなどが入りやすくなるので好ましくない。また、上記範囲を超えると取り扱い性や場合によっては成形性の悪化を引き起こすため好ましくない。接着剤層、ヒートシール層の厚みは、包装フィルムの形状、素材、大きさによって、適当な厚みにすればよい。
【0033】
本発明の包装用フィルムは、ガスバリア性も意匠性もともに優れるため、各種包装袋、各種蓋など包装材料として好ましく用いることができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、諸特性は以下の方法により測定、評価した。
【0035】
(1)融点(Tm)
Seiko Instrument(株)製の示差走査熱量分析装置DSCII型を用い、試料5mgを室温より昇温速度10℃/分で昇温していった際の吸熱融解曲線のピーク温度を融点(Tm)とした。
【0036】
(2)固有粘度
ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、25℃において測定した。
【0037】
(3)光学濃度(OD)
蒸着フィルムをJIS−K−7605に従い、マクベス社製の透過濃度計TR927を用いて、フィルターをVisualとしたときの透過濃度を測定し、光学濃度とした。
【0038】
(4)光線透過率
蒸着フィルムを(株)日立製作所製分光々度計324型を用いて、波長550nmでの透過率を求めた。
【0039】
(5)ヘアーラインの溝平均深度(S)
JIS−B0601に従い、接触式表面粗さ計を用い、フィルムのヘアーライン加工方向と直角方向に溝深度を測定し、その平均値をヘアーラインの溝平均深度(S)とした。
また、それ以外の表面凹凸加工による溝の平均深度は、ヘアーラインの溝平均深度の測定と同様な方法によって、加工方向および加工方向と直角の方向に溝深度を測定し、それらの二方向での測定値の平均を溝平均深度(S)とする。
【0040】
(6)熱可塑性樹脂フィルムの厚み(T)
アンリツ製フィルムシックネステスターKG601Aおよび電子マイクロメーターK306Cを用い、表面凹凸加工前の熱可塑性樹脂フィルムから長手方向に幅30mm、長さ10mでサンプリングしたフィルムについて連続的に厚みを測定し、その平均値を熱可塑性樹脂フィルム(T)の厚みとした。
【0041】
(7)、ガスバリア層(無機薄膜層)の厚み
フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて下記の条件で写真撮影し、ガスバリア層(無機薄膜層)の厚みを測定した。
装 置:日本電子(株)製JEM−1200EX
観察倍率:1万〜40万倍
加速電子:100kV
【0042】
(8)ヘアーライン加工性
フィルム表面にヘアーライン加工を施した後の表面状態を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:ヘアーライン溝が綺麗に形成されているもの。
△:ヘアーライン溝の潰れや毛羽立ちがやや認められるもの。
×:ヘアーライン溝の潰れや毛羽立ちが認められるもの。
【0043】
(9)ガスバリア性
A.水蒸気透過性(防湿性)
モダンコントロール社製の水蒸気透過率計“PERMATRAN”W3/31を用いて、温度37.8℃、相対湿度100%の条件下で測定した水蒸気透過率の値を、g/m・日の単位で示した。
【0044】
水蒸気透過性を測定した水蒸気透過率の値から、下記の評価基準で判定した。
○:水蒸気透過率が5g/m・日未満。
△:水蒸気透過率が5〜10g/m・日の範囲であるもの。
×:水蒸気透過率が10g/m・日を超えるもの。
【0045】
B.酸素透過性
モダンコントロール社製の酸素透過率計“OXTRAN”−100を用いて、温度23℃、相対湿度80%の条件下で測定した酸素透過率の値を、ml/m・日・MPaの単位で示した。
【0046】
酸素透過性を測定した酸素透過率の値から、下記の評価基準で判定した。
○:酸素透過率が50ml/m・日・MPa未満であるもの。
△:酸素透過率が50〜100ml/m・日・MPaの範囲であるもの。
×:酸素透過率が100ml/m・日・MPaを超えるもの。
【0047】
(10)意匠性
ガスバリア層を積層した包装フィルムの外観状態を目視で観察し、下記の評価基準で判定した。
○:半光沢または半透明であり意匠性が優れるもの。
△:半光沢または半透明であるが意匠性がやや劣るもの。
×:金属色または透明過ぎて意匠性が劣るもの。
【0048】
実施例および比較例における原料ポリマとしては、以下のポリエステルおよび粒子等含有マスターポリマを使用した。
【0049】
[ポリエチレンテレフタレートA(PET−A)]
テレフタル酸ジメチル100重量部、及びエチレングリコール60重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量%、三酸化アンチモン0.03重量%を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量%を添加した後、重縮合反応槽に移送した。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、融点257℃、固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。
【0050】
[粒子等含有マスターポリマB(PET−B)]
PET−Aの重合時に、帯電防止剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6重量%およびポリエチレングリコール(分子量4000)4重量%、酸化防止剤として、“イルガノックス1010”(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.10重量%、さらに下記手法で得られた凝集シリカ粒子(粒子径2.5μm、富士ディビソン(株)製)6重量%を添加し、PET−Aと同様に重合して、粒子等含有のポリエチレンテレフタレートマスターポリマ(固有粘度0.65dl/g、融点264℃)を製造した。
【0051】
凝集シリカ粒子: 4塩化珪素1当量に対し、酸素1当量、および、水素1当量を気化装置において気化させ、酸水素炎中において1,000℃で加水分解を行い、酸化ケイ素粒子を得た。さらに、直径0.5mmのビーズを用いた湿式サンドミルにて粉砕し平均粒子径2.5μmの凝集シリカ粒子を製造した。
【0052】
[イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートC(PET−C)]
テレフタル酸ジメチル100重量部を、テレフタル酸ジメチル89モル%、イソフタル酸ジメチル11モル%からなるジカルボン酸系モノマーを100重量部と変更したこと以外は、PET−Aと同様にして、イソフタル酸11モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.60dl/g、融点229℃)を作製した。
【0053】
[1,4−シクロへキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートD(PET−D)]
イーストマン・ケミカル社製:“6763”(融点190℃、固有粘度0.72)を用いた。このポリマにおける1,4−シクロへキサンジメタノール共重合量は、ジオール成分に対し30モル%であった。
【0054】
[ポリブチレンテレフタレートA(PBT−A)]
東レ(株)製“トレコン”1200Sのポリブチレンテレフタレート(融点228℃、固有粘度1.26dl/g)を用いた。
【0055】
(実施例1)
熱可塑性樹脂フィルムとして、下記のポリエステル2軸延伸フィルムを用いた。
【0056】
ポリエステルをPET−A/PET−B=重量比99/1で配合した。ベント式二軸押出機(L/D=36)に供給した。供給された樹脂を280℃で溶融させた後に真空ベント部2ヶ所を通過させた。次いで、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、スリット状のダイからシート状に溶融押出した。全面静電印加で、表面温度50℃に調整した鏡面キャスティングドラムに密着させて冷却固化しポリエステル未延伸フィルムを作製した。得られた未延伸フィルムを90℃で予熱後、95℃にて長手方向に3.0倍にロール延伸し、さらに110℃で予熱後、幅方向に115℃で3.3倍にテンター延伸した後、230℃にて弛緩5%で、5秒間熱処理し、厚みを25μmに調整したポリエステル2軸延伸フィルムを作製した。
【0057】
次に、研磨布(日本研紙(株)製“レジンクロス”SRCX−S16)を巻き付けた金属ロールの表面(研磨布)にフィルムをフリーロールで押し付け、その状態のままフィルムを走行させかつ、フィルム走行方向と逆方向に金属ロールを回転させて、フィルムの片側表面に溝平均深度3μmのヘアーライン加工を施した。得られたヘアーライン加工面には、綺麗なヘアーラインが形成されていた。
【0058】
次に、ヘアーライン加工面に、ガスバリア層として無機薄膜層を積層した。無機薄膜層の積層は次の手順で行った。まずフィルムを50℃に加熱したゴムロールを介して、ヘアーライン加工面の表面を、窒素/炭酸ガスの混合ガス(窒素/炭酸ガス=85/15)の雰囲気中で、40W・min/mの処理条件でコロナ放電処理を施し、ヘアーライン加工面の濡れ張力を45mN/m以上にしてロール状に巻き取った。そのときのフィルムの温度は30℃であり、10時間放置した後に小幅にスリットした。次に、小幅にスリットしたフィルムをフイルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、1.00×10−2Paの高真空にした後に、−20℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、アルミニウム金属を加熱蒸発させながら、走行フィルムのコロナ放電処理面に凝集堆積させ、アルミニウム金属の無機薄膜層を積層して巻取った。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返し、40℃の温度で2日間エージングして、無機薄膜層が積層された包装用フィルムとした。無機薄膜層の厚みは45nmであった。得られた包装用フィルムのガスバリア性、意匠性は表1に示すとおり、優れたものであった。
【0059】
次に、この無機薄膜層面に、ポリウレタン系接着剤{三井武田ケミカル(株)製“タケラック”A610/“タケネート”A50=9/1(重量比)、25重量%酢酸エチル溶液}をロールコーター法でコートし、100℃×30秒で乾燥後、厚み0.4μmの接着剤層を形成した。その上にヒートシール層を設けるために、ポリプロピレン系無延伸フィルム(東レ合成フィルム(株)製“トレファンNO”タイプ3951T、厚み30μm)のコロナ放電処理面を、接着剤面に貼り合わせた後、接着剤成分を架橋させるため、40℃×2日以上、孵卵器でエージングを行い、無機薄膜層上にヒートシール層が積層された包装材料を作製した。
【0060】
(実施例2)
熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリプロピレン2軸延伸フィルム(東レ(株)製“トレファン”2575、厚み25μm)を用い、その片側表面に実施例1と同様な手法でヘアーライン加工(溝平均深度3μm)を施した。そのヘアーライン加工面と反対側の表面に、実施例1と同様にコロナ放電処理を施し、実施例1で用いたポリウレタン系接着剤を用い、実施例1と同様な方法で厚み0.4μmの接着剤層を形成させた。次いで、その上に、ガスバリア性樹脂としてポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)を用い、押出ラミネート法(押出温度280℃)により厚み5μmのガスバリア層を積層して、包装用フィルムを作製した。
【0061】
次に、ガスバリア層面に実施例1と同様な手法で、接着剤層/ヒートシール層を積層して、包装材を作製した。
【0062】
(実施例3)
熱可塑性樹脂フィルムとして、下記のポリエステル無延伸フィルムを用いた。
【0063】
ポリエステルをPET−A/PET−B/PBT−A=重量比91/4/5で配合し、さらに、別途ステアリルリン酸{旭電化(株)製“アデカスタブ”AX−71)}0.1重量%を添加しベント式二軸押出機(L/D=36)に供給した。供給された樹脂を280℃で溶融させた後に真空ベント部2ヶ所を通過させた。次いで、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、スリット状のダイからシート状に溶融押出した。押出されたシートの両端部に針状エッジピニング装置を用いて静電印加し、表面温度50℃に調整した鏡面キャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み30μmのポリエステル無延伸フィルムを作製した。
【0064】
次に、実施例1と同様な手法で、フィルムの片側表面にヘアーライン加工(溝平均深度10μm)を施した。ヘアーライン加工面の反対面に、ガスバリア性樹脂としてエチレン−ビニルアルコール共重合体(日本合成化学(株)製“ソアノール”タイプ20L)をロールコート法によりコートし100℃×30秒で乾燥して、厚み5μmのガスバリア層を積層して、包装用フィルムを作製した。そのガスバリア層の上に、ヒートシール層の素材として直鎖状低密度ポリエチレン(東セロ(株)製“T.U.X”HC、厚み30μm)を用いた以外、実施例1と同様な手法で、接着剤層/ヒートシール層を積層して、包装材を作製した。
【0065】
(実施例4)
熱可塑性樹脂フィルムとして、下記のポリエステル2軸延伸フィルムを用いた。
【0066】
ポリエステルをPET−C/PET−B=重量比99/1で配合したポリマを用い、延伸・熱処理条件を、85℃で予熱後、90℃にて長手方向に3.1倍にロール延伸し、さらに110℃で予熱後、幅方向に115℃で3.3倍にテンター延伸した後、熱処理をフィルム温度200℃にて幅方向に5%の弛緩、5秒間行ったこと以外は、実施例1と同じ手法により、厚み25μmのポリエステル2軸延伸フィルムを作製した。
【0067】
得られたポリエステル2軸延伸フィルムの片側表面に実施例1と同様の手法により、ヘアーライン加工(溝平均深度5μm)を施した。そのヘアーライン加工面の反対面に、実施例1と同様な手法で蒸着による無機薄膜層をガスバリア層として積層して、包装用フィルムを作製した。無機薄膜層の厚みは50nmであった。そのガスバリア層面に、ヒートシール層として、ポリエチレン系無延伸フィルム(東レ合成フィルム(株)製“CFフィルム”タイプ7603B、厚み30μm)を熱接着(温度120℃)して、包装材を作製した。
【0068】
(実施例5)
熱可塑性樹脂フィルムとして、ナイロン2軸延伸フィルム(東洋紡(株)製“ハーデン”N1100、厚み25μm)を用い、その片側表面に実施例1と同様な手法でヘアーライン加工(溝平均深度5μm)を施した。ヘアーライン加工面の反対面に、実施例1と同様にコロナ放電処理をし、その処理面に、ポリウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)製“タケラック”W−605/“タケネート”WD−725=50/50に純水を加え5重量%水溶液)を、ロールコーターを用いて塗工し、100℃×30秒間で乾燥して、厚み0.4μmの接着剤層を形成した。その上に、ガスバリア性樹脂として、無機系層状化合物のモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製“クニピア−F”)の濃度5重量%の水分散液と、ポリビニールアルコール((株)クラレ製“ポバール”PVA−105)に純水/イソプロパノール(重量比50/50)の溶媒を加えた5重量%溶液とを混合した塗剤液を、ロールコーターを用いてコートし、100℃×30秒間で乾燥して、無機系層状化合物含有のポリビニルアルコールからなるガスバリア層を厚み6μmで積層させ、包装用フィルムを作製した。
【0069】
次に、実施例1と同様な手法でガスバリア層面に接着剤層/ヒートシール層を順次積層して、包装材を作製した。
【0070】
(実施例6)
熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリプロピレン系無延伸フィルム(東レ合成フィルム(株)製“トレファンNO”3329S、厚み40μm)を用い、その片側表面に実施例1と同様な手法でヘアーライン加工(溝平均深度3μm)を施した。ヘアーライン加工面に、実施例1と同様にコロナ放電処理をし、その処理面に、直接、ガスバリア層を積層して、包装用フィルムを作製した。ガスバリア層の積層は、ポリグリコール酸(呉羽化学工業(株)製“PGA”)を押出ラミネート法(押出温度250℃)により厚み5μmとなるように積層する方法で行った。
【0071】
次に、ガスバリア層面に、直接、押出ラミネート法(押出温度230℃)で直鎖状低密度ポリエチレン(出光石油化学(株)製“IDEMITSU LL”1014D、融点=114℃、MFR=9.0)をラミネートして、厚み20μmのヒートシール層を積層して、包装材を作製した。
【0072】
(実施例7)
ポリエステルとして、PET−D/PET−B=重量比96/4のポリエステル組成物を用いたこと以外は実施例3と同様な手法で、厚み25μmのポリエステル無延伸フィルムを作製した後、得られたフィルムの片側表面に、実施例1と同様な手法でヘアーライン加工(溝平均深度3μm)を施した。ヘアーライン加工面の反対面に、ガスバリア層として無機薄膜層の酸化アルミニウムを積層して包装用フィルムを作製した。
【0073】
酸化アルミニウム無機薄膜層の積層は次の手順で行った。まず、フィルムのヘアーライン加工面の反対側の表面に、コロナ放電処理を施し、小幅にスリットした。そのフィルムをフイルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、1.00×10−2Paの高真空にした後に、−20℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、アルミニウム金属を加熱蒸発させながら、蒸気箇所に酸素ガスを供給し、アルミニウム金属を酸化させながら走行フィルムのコロナ放電処理面に凝集堆積させ、酸化アルミニウムの無機薄膜層を積層して巻取った。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返し、40℃の温度で2日間エージングを行った。この酸化アルミニウム無機薄膜層は、厚みが50nmであり、このフィルムの光線透過率が62%であった。実施例1と同様な手法で、酸化アルミニウム無機薄膜層面に、接着剤層/ヒートシール層を順次積層して、包装材を作製した。
【0074】
(比較例1)
熱可塑性樹脂フィルムとして、実施例1のポリエステル2軸延伸フィルム(厚み25μm)を用いたが、ヘアーライン加工を施さないで、実施例1と同様な手法でコロナ放電処理を施し、ガスバリア層を積層して、包装用フィルムを作製した。次に、ガスバリア層面に実施例1と同様な手法で接着剤層/ヒートシール層を順次積層して、包装材を作製した。
【0075】
(比較例2)
熱可塑性樹脂フィルムとして、実施例1のポリエステル2軸延伸フィルム(厚み25μm)を用い、その片側表面に、ヘアーライン溝平均深度15μmとなるように、実施例1と同様な手法でヘアーライン加工を施した。次に、そのヘアーライン加工面に、実施例1と同様の手法により、コロナ放電処理を施し、ガスバリア層を積層して、包装用フィルムを作製した。次に、ガスバリア層面に実施例1と同様な手法で接着剤層/ヒートシール層を順次積層して、包装材を作製した。
【0076】
実施例1および実施例4で得られた包装用フィルム、包装材は、ヘアーライン加工性、ガスバリア性および意匠性がともに優れるものであった。また、実施例2および実施例3で得られた包装用フィルム、包装材は、ヘアーライン加工性、ガスバリア性に優れるが、意匠性がやや劣るものであった。実施例5〜7で得られた包装用フィルム、包装材は、ガスバリア性が優れるものの、ヘアーライン加工によるヘアーライン溝の状態や、意匠性がやや劣るものであった。
【0077】
一方、比較例1で得られた包装用フィルム、包装材は、ガスバリア性が優れるものの、意匠性が明らかに劣るものであった。また、比較例2で得られた包装用フィルム、包装材は、ヘアーライン加工性が優れるものの、ヘアーライン溝が深すぎて蒸着薄膜層の蒸着抜けが認められ、ガスバリア性も意匠性も劣るものであった。
【0078】
【表1】
Figure 2004255590
【0079】
但し、表中の略号は以下の通りである。
T :熱可塑性樹脂フィルムの厚み(μm)
S :ヘアーライン加工面におけるヘアーライン溝の平均深さ(μm)
ナイロンMXD6 :ポリメタキシリレンアジパミド
EVOH :エチレン−ビニルアルコール共重合体
PVOH :ポリビニルアルコール
PGA :ポリグリコール酸
【0080】
また、実施例2〜5、7における「ヘアーライン加工面の反対面」は、ヘアーライン加工されてない面であった。
【0081】
【発明の効果】
本発明によると、ガスバリア性に優れた包装用フィルムの意匠性を高めることができるので、意匠性及びガスバリア性がともに優れた包装用フィルムを得ることができる。従って、本発明の包装用フィルムは、各種蓋材、各種包装材の包装用フィルムとして好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 少なくとも片面に表面凹凸加工が施された熱可塑性樹脂フィルムと、該フィルムの表面凹凸加工された面または表面凹凸加工されてない面に、接着剤層を介してまたは介することなく積層されたガスバリア層とからなる包装用フィルムであって、熱可塑性樹脂フィルムの厚み(T)と表面凹凸加工による溝の平均深度(S)との関係が、(T−S)/T=0.50〜0.99の範囲であることを特徴とする包装用フィルム。
  2. ガスバリア層が無機薄膜層またはガスバリア性樹脂層であることを特徴とする請求項1に記載の包装用フィルム。
  3. ガスバリア層が、金属および/または金属酸化物からなる無機薄膜層であることを特徴とする請求項1に記載の包装用フィルム。
  4. 金属がアルミニウムであり、金属酸化物が酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項3に記載の包装用フィルム。
  5. ガスバリア層が、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリグリコール酸から選ばれた樹脂からなるガスバリア性樹脂層であることを特徴とする請求項1に記載の包装用フィルム。
  6. 表面凹凸加工が、ヘアーライン加工、サンドブラスト加工、又は、梨地加工であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装用フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の包装用フィルムのガスバリア層面に、接着剤層を介してまたは介することなく、ヒートシール層が積層されたことを特徴とする包装材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2018088104A1 (ja) * 2016-11-08 2018-12-20 Dic株式会社 ガスバリア性多層フィルム、及びガスバリア性多層フィルムの酸素バリア性を高める方法

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