JP2007069316A - 物品搬送ロボット - Google Patents
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Abstract
【課題】 物品を過度なストレスを与えることなく搬送可能であり、併せて搬送した物品を所定の位置に精度良く配置可能である物品搬送ロボットを提供する。
【解決手段】 ハンドのベース1に取り付けられた吸着子2は、物品3に接触していないピックアップ位置から真空による吸引力により物品3を吸い上げて吸着する。ハンドを移動させて吸着子2をリリース位置に吸着子2を移動させ、吸着子2に作用している真空を切って物品3を解放し、所定の配置場所4に配置する。吸着時及び解放時に吸着子2が物品3を押圧することがないので、不都合なストレスを物品に与えることなく搬送することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 ハンドのベース1に取り付けられた吸着子2は、物品3に接触していないピックアップ位置から真空による吸引力により物品3を吸い上げて吸着する。ハンドを移動させて吸着子2をリリース位置に吸着子2を移動させ、吸着子2に作用している真空を切って物品3を解放し、所定の配置場所4に配置する。吸着時及び解放時に吸着子2が物品3を押圧することがないので、不都合なストレスを物品に与えることなく搬送することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、半導体結晶のような、ストレス(機械的応力)によって結晶欠陥等が発生してその特性や品質が低下する物品を、搬送して所定の位置に配置するための物品搬送ロボットに関する。
近年、多くの製造現場では、製造コストの低減や品質の安定化のために、ロボットを使用した自動製造システムの導入が要求されている。このため、半導体デバイスの製造現場においてもロボットの導入が進められつつあるが、半導体デバイスの組立にロボットを使用する場合は、ストレスを与えることなく半導体結晶(半導体チップや半導体集積回路等)を搬送する物品搬送ロボットが使用される。この物品搬送ロボットには、搬送した半導体結晶を所定の位置に精度よく配置することが要求される。
半導体等の物品はストレスに非常に敏感なので、上述のような物品搬送ロボットにおいては、搬送すべき物品にストレスをかけないように種々の工夫がなされている。例えば特許文献1には、半導体等の基板を搬送するための、ロボットアームに設けられた真空吸着装置が開示されている。この装置は、基板に接するシート部材に軟質の弾性部材を設けることにより、基板に反りがある場合でも真空吸着を確実に行いかつ基板を傷付けないように構成されている。これ以外にも、物品に押し付ける真空吸着子を、バネを利用したフローティング機構を介してハンドのベースに取り付ける構成や、物品にかかる力をモニタリングできるように物品を掴み上げるチャックに荷重センサを設ける構成も採用されている。
しかしながら、上述のようなフローティング機構を用いても、吸着子の自重とバネの力によって0.5N程度の力が物品にかかり、また荷重センサを装備したチャックを用いた場合でも、センサの感度やチャックの制御精度による制限から同程度の力がかかることは避けられない。この程度の力であっても、半導体結晶のように小さい物品に対しては大きな圧力が作用することになるため、物品が損傷を受ける虞がある。さらに物品が半導体結晶、特に硬度の低い化合物半導体結晶等である場合は、半導体結晶内に結晶欠陥等が発生する等の悪影響が生じ、その物品を使用した半導体デバイス等の特性や品質が低下するという問題が生じていた。
そこで本発明は、搬送しようとする物品に吸着子やチャックを押し付けることによるストレスを与えることなく、物品の搬送ができ、併せて搬送した物品を所定の位置に精度よく配置することができる物品搬送ロボットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、真空吸着手段を有するハンドを備え、物品をピックアップして搬送する物品搬送ロボットにおいて、前記真空吸着手段を前記物品に近接させ前記物品と非接触のピックアップ位置から前記物品を吸い上げて前記吸着手段に吸着させることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記吸着手段に吸着した前記物品を所定の配置場所に近接させ、前記配置場所と前記物品とが非接触であるリリース位置から前記物品を解放することを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記物品を吸い上げるために前記吸着手段を前記ピックアップ位置に移動する動作、及び、前記物品を解放するために前記吸着手段を前記リリース位置に移動する動作の少なくとも一方の動作がロボットの教示プログラムの実行により行われることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記吸着手段がフローティング機構によって前記ハンドのベースに取り付けられることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記ハンドは視覚センサを有し、該視覚センサによる前記物品の位置及び方向の検出結果に基づく前記吸着手段の前記ピックアップ位置への移動、及び、前記視覚センサによる前記配置場所に関連する配置目標の検出結果に基づく前記吸着手段の前記リリース位置への移動の少なくとも一方を行うことを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記ハンドはレーザ距離計を有し、該レーザ距離計による前記レーザ距離計と前記物品の上面との間の距離の計測結果に基づく前記吸着手段の前記ピックアップ位置への移動、及び、前記レーザ距離計による前記レーザ距離計と前記配置場所との間の距離の計測結果に基づく前記吸着手段の前記リリース位置への移動の少なくとも一方を行うことを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記ハンドは視覚センサ及びレーザ距離計を有し、前記視覚センサによる前記物品の位置及び方向の検出結果に基づいて、前記レーザ距離計と前記物品の上面との間の距離を計測するための位置へ前記レーザ距離計を移動させること、及び、前記視覚センサによる前記配置場所に関連する配置目標の検出結果に基づいて、前記レーザ距離計と前記配置場所との間の距離を計測するための位置へ前記レーザ距離計を移動させることの少なくとも一方を行うことを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の物品搬送ロボットにおいて、固定部位に設けられた固定レーザ距離計を有し、該固定レーザ距離計による前記固定レーザ距離計と前記吸着手段との距離の計測結果に基づく前記吸着手段の前記ピックアップ位置への移動、及び、前記吸着手段に吸着された前記物品までの距離の計測結果に基づく前記吸着手段の前記リリース位置への移動の少なくとも一方を行うことを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記フローティング機構は前記吸着手段及びギャップ制御部材を備え、該ギャップ制御部材を前記物品が置かれている場所の周辺に押し当てたときに、前記吸着手段を前記ピックアップ位置に位置決めすること、及び、前記物品を配置すべき場所の周辺に押し当てたときに前記吸着手段を前記リリース位置に位置決めすることの少なくとも一方を行うことを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の物品搬送ロボットにおいて、固定部位に取り付けられた固定カメラを有し、前記吸着手段に吸着された前記物品の前記吸着手段に対する相対位置関係を前記固定カメラで検出した結果に基づき、前記物品を前記配置場所に所定の方向に向けて配置できるように、前記ハンドの姿勢制御を行う手段を備えることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記ハンドに取り付けられた視覚センサを有し、前記吸着手段に吸着された前記物品の前記吸着手段に対する相対位置関係を前記視覚センサで検出した結果に基づき、前記物品を前記配置場所に所定の方向に向けて配置できるように、前記ハンドの姿勢制御を行う手段を備えることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項12に記載の発明は、請求項10又は11に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記吸着手段に吸着された前記物品の前記吸着手段に対する相対位置関係を前記固定カメラ又は前記視覚センサで検出した結果に基づき、前記物品を前記配置場所に所定の方向に向けて配置できるように、前記ハンドの回転に伴う前記吸着手段の高さの変化を、前記ハンドの回転角度をパラメータとする数値計算で補正する手段を備えることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項13に記載の発明は、請求項10又は11に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記吸着手段に吸着された前記物品の前記吸着手段に対する相対位置関係を前記固定カメラ又は前記視覚センサで検出した結果、前記物品の前記吸着手段に対する相対位置が正常な位置と異なっている場合に、前記物品を解放して再度前記物品又は次の物品のピックアップ動作を行うことを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項14に記載の発明は、請求項10又は11に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記固定カメラ又は前記視覚センサにより、前記吸着手段から解放され前記配置場所に配置された前記物品を検出し、前記物品の位置及び方向が正常な位置及び方向からずれている場合に、前記配置場所より前記吸着手段で前記物品を吸い上げて、前記物品が正常な位置及び方向に配置されるように前記吸着手段を移動して再度前記物品を解放することを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか1項に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記ピックアップ位置の近傍に設けられた物品姿勢矯正治具と、前記物品を前記吸着手段に吸着するための真空度を下げる手段とを備え、該手段により前記物品姿勢矯正治具に前記物品を押し当てることによって、前記吸着手段に前記物品を吸着させたときに生じ得る前記吸着手段に対する前記物品の位置ずれが矯正されることを特徴する、物品搬送ロボットを提供する。
請求項16に記載の発明は、請求項1〜15のいずれか1項に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記配置場所に隣接したストッパーと、前記物品を前記吸着手段に吸着させるための真空度を下げる手段とを備え、該手段により前記ストッパーの側面に前記物品を押し当ててさらに前記吸着手段を移動させることによって、前記物品が前記吸着手段から離脱し、前記物品が前記配置場所に配置されることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項17に記載の発明は、請求項2に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記物品を傾斜した配置場所に配置するか、前記物品を前記配置場所に配置した後に前記配置場所を傾斜させて、前記物品を一方向に寄せる手段を備えることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項18に記載の発明は、請求項9に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記ギャップ制御部材を前記物品が置かれている又は配置すべき場所の周辺に押し当てたときの荷重を検出する荷重センサを有し、該荷重センサの検出値が所定の値に達したときに前記ギャップ制御部材を停止させることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項19に記載の発明は、請求項9又は18に記載の物品搬送ロボットにおいて、押し当てられた前記ギャップ制御部材と嵌合する受容する受け部が前記配置場所の周辺に形成され、それにより前記ギャップ制御部材はガイドピンとして作用することを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項20に記載の発明は、請求項2に記載の物品搬送ロボットにおいて、積み上げられた前記物品を保持しかつ可動に構成されたホルダーを有し、該ホルダーは、前記配置場所を変えずに前記物品を積み上げることができるように、積み上げられた前記物品の最上段の位置が一定となるように移動可能であることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項21に記載の発明は、請求項1〜20のいずれか1項に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記吸着手段が樹脂製又はプラスチック製であることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
請求項22に記載の発明は、請求項1〜20のいずれか1項に記載の物品搬送ロボットにおいて、前記吸着手段の少なくとも吸着面が樹脂又はプラスチックでコーティングされていることを特徴とする、物品搬送ロボットを提供する。
以上説明したように、本発明によれば、搬送しようとする物品に吸着手段やチャックを押し付けることによる過度なストレスを与えることなく、物品の搬送を行うことが可能になる。その結果、物品が化合物半導体等のようにストレスによって結晶欠陥等が発生しやすい物質であっても、ロボットによる搬送によって物品の品質が低下することがないので、特性や信頼性の高い半導体デバイスの組立が可能になり、製造コストの低減、製品の品質安定化を図ることができる。
また、視覚センサ及びレーザ距離計を使用することにより、吸着手段の吸着面と物品の上面との間の距離を微小かつ高精度の値(例えば0.2±0.05mm)に制御することが可能となる。その結果、物品を吸着手段の吸着面に低い真空度で吸い上げることができ、物品が吸い上げられ吸着手段に接触するときの衝撃、吸着中の物品へのストレス、及び解放された物品が所定の配置場所に落下した時の衝撃が低減でき、さらに落下した衝撃による物品の飛び跳ねによる目標とする配置場所からの物品の位置ずれを少なくすることができる。
また吸着手段をピックアップ位置に移動する動作、あるいは、吸着手段をリリース位置に移動する動作の一部をロボットの教示プログラムの実行により行うことも可能である。この場合、吸着手段の位置精度が低下することもあり得るが、吸着手段の移動、レーザ距離計による計測、視覚センサによる検出動作が減少するので、タクトタイムが短くなり、物品搬送ロボットを使用した製造の生産性が向上する。
ハンド以外の固定部位に設けられた固定レーザ距離計を使用することにより、吸着手段のリリース位置の高さが物品の厚さに応じて補正可能となる。また厚さにばらつきがある物品についても、吸着手段に吸着された物品の下面と物品の配置場所とが確実に非接触である状態を保ち、かつ吸着手段に吸着された物品の下面と配置場所との間の距離を小さく維持できる。
吸着手段に吸着された物品の吸着手段に対する相対位置関係を固定カメラ又は視覚センサで検出した結果に基づいて、ハンドの姿勢制御を行うことにより、吸着手段に吸着させた物品の位置が常に同じ位置でなくとも、物品を精度よく所定の配置場所に搬送することができる。特に、ハンドの回転に伴う吸着手段の高さの変化を、ハンドの回転角度をパラメータとする数値計算で補正することにより、吸着手段がリリース位置に移動したときに、吸着手段に吸着された物品の下面と配置場所との間の距離を高精度に制御することが可能になる。
吸着手段に吸着された物品の吸着手段に対する相対位置が正常な位置と大きく異なっている場合に、そのまま物品を配置場所に配置しようとすると、例えばハンドに取り付けられた部品が物品配置場所の周辺に配置された他の部品と干渉する等の虞がある。しかし物品を一旦解放して再度その物品あるいは次の物品のピックアップ動作を行うことによって、物品搬送ロボットを使用した製造システムをエラーとして停止させないので、物品搬送ロボットを使用した製造システムの生産性向上が図られる。
また配置場所に配置された物品の位置や方向が正常な位置や方向からずれている場合に、配置場所より吸着手段で物品を吸い上げて、物品が正常な位置や方向に配置されるように吸着手段を移動してから再度物品を解放することにより、物品を配置場所に精度よく配置することができ、物品搬送ロボットを使用した製造システムをエラーとして停止させることがない。
吸着手段で物品を吸い上げたときに、真空度を下げて物品姿勢矯正治具に物品を押し当てることによって、物品に過剰のストレスを与えることなく物品の吸着手段に対する位置ずれを矯正することができる。従って、ハンドの回転等の姿勢制御を行うことなく、物品を配置場所に所定の方向に向けて配置できるようになる。また物品の配置場所に隣接したストッパーの側面に物品を押し当て、さらに吸着手段を移動させ、物品が吸着手段から離脱して配置場所に配置されるようにすることによって、物品を配置場所に精度よく配置させることができるようになり、組立精度や生産性の向上が図られる。
物品を傾斜した配置場所に配置するか、物品配置後の配置場所を傾斜させて物品を一方向に寄せることにより、物品の配置場所に対する配置精度を向上することができ、物品を使用した半導体デバイス等の組立精度の向上が図られる。
吸着手段をフローティング機構を介してハンドのベースに取り付けることによって、教示中の誤操作等により吸着手段が配置場所等に接触した場合の吸着手段の損傷を防止することができる。また、フローティング機構にさらにギャップ制御部材を設けることにより、吸着手段がピックアップ位置に移動したときの吸着手段の吸着面と物品の上面との間の距離、及び吸着手段がリリース位置に移動したときの吸着手段に吸着された物品の下面と物品の配置場所との間の距離を、ロボットのハンドの制御精度に依存せず、制御することができる。
特に、ギャップ制御部材を押し当てた時の荷重を検出し、その荷重が一定になるように押し当てた状態でギャップ制御部材を停止させるというフィードバック制御を行うことにより、ハンドの姿勢制御のための教示を高精度に行う必要がなくなり、搬送前の物品が置かれている場所や配置場所の高さが個々に異なっていても柔軟に対応して、吸着手段をピックアップ位置やリリース位置に移動させることができる。さらに、物品の配置場所の周辺に形成された受け部にギャップ制御部材を嵌合させることにより、ギャップ制御部材はガイドピンの役割を果たすので、吸着手段の高さがリリース位置に位置決めされるだけでなく、水平方向にも正確に位置決めされるので、ロボットの制御精度以上に配置場所に対する配置精度を向上させることができる。なおこの効果は、上述の物品姿勢矯正治具への物品の押し当てによる、吸着手段に吸着された物品の位置ずれの矯正と組み合わせることによってさらに大きくなる。
また、複数の物品を所定の場所に積み上げて配置する場合に、積み上げられた物品の最上段の高さが変わらないように、物品を保持するホルダーを移動させることによって、配置場所を変えずに物品を積み上げることが可能になり、配置精度の向上が図られる。
吸着手段を樹脂又はプラスチックから製作するか、あるいは吸着手段の少なくとも吸着面を樹脂又はプラスチックでコーティングすることによって、物品が吸着手段に吸い上げられて接触したときの衝撃による物品に対するストレスが低減できる。また、物品を吸着手段に対して滑らせてその相対位置を矯正するときに物品に傷が付くことを防止できる効果もあるので、物品を使用した半導体デバイス等の製品の性能や品質の向上が図られる。
図1(a)〜(d)は、本発明の基本原理の説明図である。図示するように、真空吸着手段として吸着子2が取付けられたハンドベース1を備えた物品搬送ロボット(他の部分は図示省略)において、吸着子2を搬送すべき物品3に近接させ(図1(a))、吸着子2が物品3に接触していないピックアップ位置から物品3を吸引力により吸着子2に吸い上げて吸着(図1(b))する。この操作は、従来のように吸着子を物品に押し当てることを含まないので、物品3に過度のストレスを与えることなく物品3を吸着手段に吸着させることができる。
その後、ハンドを移動させて吸着子2に吸着された物品3を配置すべき場所4に近接させて、物品3が配置場所に接触しないリリース位置に吸着子2を移動し(図1(c))、吸着子2に作用している真空を切って物品3を解放する(図1(d))。この操作も、物品の配置時に吸着子により物品を押圧することを含まないので、不都合なストレスを与えることなく物品を所定の位置に配置することができる。
物品のピックアップ直前(図1(a))において、物品3が吸い上げられ吸着子2に接触するときの衝撃、吸着中の物品3へのストレスを低減するためには、吸着真空度は低い方が望ましい。また低い真空度で吸着可能とするためには、吸着直前すなわちピックアップ位置にある吸着子2の吸着面2aと物品3の上面3aとの間の距離d1は、両者が接触しない範囲でできるだけ短いことが好ましい。
また、物品3が配置場所4に未だ接触していない位置すなわちリリース位置(図1(c))から物品3を解放するときにおいても、落下時の衝撃を低減し、さらに落下後の物品3の飛び跳ねによる配置の位置ずれを低減又は排除するためには、リリース直前の配置場所4と物品3の下面3bとの距離d2はできるだけ短いことが好ましい。
本発明の目的は、物品3のピックアップ時における吸着子2の吸着面2aと物品3の上面3aとの距離d1、あるいは物品3のリリース時における配置場所4と物品3の下面3bとの距離d2を微小な距離に精度よく制御することによって、物品3のピックアップ時およびリリース時における物品3への衝撃を最小限に抑えることにある。これは、後述する視覚センサやレーザ距離計を使用してレーザ距離計と物品3との距離あるいはレーザ距離計と配置場所4との距離を正確に計測した結果に基づいて吸着子2を移動させることによって実現できる。
また、上述の距離d1及びd2を精度よく微小な距離に制御することによって物品3のピックアップ時およびリリース時における物品3への衝撃を最小限に抑えるという目的は、後述するフローティング機構に吸着子2とともにギャップ制御部品を備え、ギャップ制御部材を物品3が置かれているあるいは配置する場所の周辺に押し当てた状態にしたときに、吸着子2がピックアップ位置あるいはリリース位置に位置決めされるようにすることによっても実現できる。
図2(a)〜(h)は、本発明に係る第1の実施形態を説明する図であり、ハンドのベースに吸着子がフローティング機構で取り付けられ、視覚センサとレーザ距離計が搭載されたハンドと物品の搬送方法が示されている。
先ず図2(a)に示すように、ハンドのベース1には、搬送しようとする物品3を撮像して物品3の位置や方向を検出するための視覚センサ7と、物品3の上面3aまでの距離を測定するレーザ距離計8とを設けることができる。視覚センサ7が物品3を撮像できる位置へのハンドのベース1の移動は、ロボットの教示プログラムの実行等によって行うことができる。物品3のピックアップ時に物品3を吸引力で吸い上げて吸着子2に吸着させる場合は、物品3が必ずしも吸着面2aの同一部位に吸着されないという問題が生じ得る。しかし、視覚センサ7を使用することにより、吸着子2に吸着された物品3の吸着子2に対する位置を測定することによって、物品3を精度よく所定の配置場所に搬送することが可能となる。
また図2(b)に示すように、物品3の位置や方向の検出結果に基づいて、レーザ距離計8と物品3の上面3aとの間の距離を計測するための位置にレーザ距離計8を移動して計測を行う。
次に図2(c)に示すように、視覚センサ7の検出結果及びレーザ距離計8の計測結果に基づいて、吸着子2を、物品3の上面3aに近接したピックアップ位置に移動し、真空引き等によって吸着子2に物品3を吸い上げて吸着する(図2(d))。図1(a)に示した吸着子2の吸着面2aと物品3の上面3aの距離d1は、0.2±0.05mm程度に制御可能である。この状態では、吸い上げ時に物品3に不都合な力がかからないような低い真空度で吸引しても、物品3を吸い上げることが可能である。
次に図2(e)に示すように、吸着子2に物品3を吸着させた状態で、物品3の所定の配置場所に関連する配置目標9を視覚センサ7で検出する。ハンドのこの位置への移動も、ロボットの教示プログラムの実行等によって行うことができる。
さらに図2(f)に示すように、視覚センサ7の検出結果に基づいて、レーザ距離計8と物品3の配置場所との間の距離を計測するための位置にレーザ距離計8を移動し、計測を行う。
次に図2(g)に示すように、視覚センサ7の検出結果及びレーザ距離計8の計測結果に基づいて、吸着子2に吸着した物品3が配置場所に近接するリリース位置に吸着子2を移動させる。図1(c)に示した物品3の下面3bと配置場所4の表面との距離は、0.2±0.05mm程度に制御できる。この状態では、吸引を止めて物品3を配置場所にリリースしても、落下による物品3への衝撃は小さく、また目標とする配置場所からの物品3の位置ずれも小さくすることができる。
なお、物品に大きな厚さの差がある場合には、図2(d)に示すように物品を吸着子2でピックアップした後、再度レーザ距離計8を図2(b)に示した位置に移動し、レーザ距離計8と物品3が置いてあった場所との間の距離を測定し、物品3の厚さをレーザ距離計8と物品の上面3aとの間の距離と、レーザ距離計8と物品3が置いてあった場所との間の距離との差として算出する方法が有効である。この場合、図2(g)では、視覚センサ7で物品の配置場所に関連した配置目標9を検出した結果と、レーザ距離計8によるレーザ距離計8と物品の配置場所との間の距離の計測結果と、物品3の厚さの算出結果とに基づいて、吸着子2に吸着した物品3を上述の物品のリリース位置に移動すればよい。
最後に、図2(g)の状態から吸着子2による吸引を切り、物品3を解放して一連の物品搬送が完了する(図2(h))。
図2(a)〜(h)に示す構成では、吸着子2はバネ6を備えたフローティング機構5を用いてハンドのベース1に取り付けられる。第1の実施形態における上述の通常の動作ではフローティング機構5は使用されないが、吸着子2がフローティング機構5を介してベース1に取り付けられることによって、教示中の誤操作等により、吸着子2が配置場所等に接触した場合に吸着子2の損傷を防止することができる。
物品の配置場所やリリース位置の高さをそれほど厳密に制御する必要がない場合等は、ロボットの教示プログラムの実行により、図2(e)及び(f)に示す操作を省略してもよい。このように、吸着子2を、物品3を吸い上げるピックアップ位置に移動する動作、あるいは、吸着子2を、物品3を解放するリリース位置に移動する動作の少なくとも一方の動作をロボットの教示プログラムの実行により行うことによって、ハンドの移動が少なくなり、視覚センサ7による検出又はレーザ距離計8による計測を省くことができ、タクトタイムが低減できる。
また物品を配置場所に精度よく配置する必要はあるが、リリース位置の高さをそれほど厳密に制御する必要がない場合は、レーザ距離計8は使用せずに視覚センサ7のみを使用して、物品3の位置及び方向並びに配置目標9の検出結果のみによって吸着子2のピックアップ位置への移動、あるいはリリース位置への移動を行ってもよい。この場合も、ハンドの移動が少なくなり、レーザ距離計8による計測が省かれるので、タクトタイムが低減できる。なおこの場合、吸着子2の高さはロボットの教示プログラムで設定した値に制御される。
逆に、リリース位置の高さは厳密に制御する必要があるが、物品の配置場所については厳しい配置精度は必要なく、また物品サイズが大きいためレーザ距離計8と物品の配置場所との間の距離を計測するためのレーザ距離計8の位置も厳密に制御する必要がない場合は、視覚センサ7を使用せずにレーザ距離計8のみを使用して、レーザ距離計8と物品の上面3aとの間の距離の計測結果に基づいて吸着子2のピックアップ位置への移動を行うか、あるいはレーザ距離計8と配置場所との間の距離の計測結果に基づいて吸着子2のリリース位置への移動を行ってもよい。この場合もハンドの移動が少なくなり、視覚センサ7による検出が省かれるので、タクトタイムが低減できる。
図3は、本発明に係る第2の実施形態を説明する図である。第2の実施形態では、ハンドのような可動部ではない適当な固定部位に設けられた固定レーザ距離計10を使用し、固定レーザ距離計10から吸着子2に吸着された物品3の下面3bまでの距離を計測する。
第2の実施形態では、物品3のピックアップからリリースまでの間に、図3に示すように、固定レーザ距離計10から吸着子2に吸着された物品3の下面3bまでの距離を計測して、物品3の厚さを測定する操作がさらに追加されており、吸着子2のリリース位置への移動は、視覚センサ7による配置目標9の検出結果及びレーザ距離計8によるレーザ距離計8と配置場所との間の距離の計測結果に加えて、物品3の厚さの測定結果に基づいて行われる。なお吸着子2の図3に示す位置への移動は、ロボットの教示プログラムの実行等によって行うことができる。物品の厚さの計測結果を取り入れることによって、厚さの差が大きい物品に対しても、吸着子2がリリース位置に移動した時の物品の下面3bと物品の配置場所との間の距離を適正に制御することができる。
ハンドに搭載できる機器のスペースや重量に制限がある場合には、物品3に厚さの差が少なく、物品が置いてある場所の高さや物品の配置場所の高さの差が少ないという諸条件が満たされれば、ハンドに搭載したレーザ距離計8は使用せず、固定レーザ距離計10のみを使用して、固定レーザ距離計10から吸着子2までの距離の計測結果に基づいて、吸着子2のピックアップ位置への移動を行うことが可能であり、さらに、固定レーザ距離計10から吸着子2に吸着された物品3までの距離の計測結果に基づいて、吸着子2のリリース位置への移動を行うことも可能である。
図4(a)〜(f)は、本発明に係る第3の実施形態を説明する図である。第3の実施形態は、ハンドのベース1に視覚センサ7が搭載され、フローティング機構5に取り付けられた吸着子2がギャップ制御部材11を備える。
先ず図4(a)に示すように、視覚センサ7を用いて搬送すべき物品3を撮像し、その位置及び方向を検出する。ハンドのこの位置への移動は、ロボットの教示プログラムの実行等によって行うことができる。
次に図4(b)に示すように、視覚センサ7で検出した物品3位置及び方向の検出結果に基づいて、ギャップ制御部材11を物品3が置かれている場所の周辺に押し当てて、吸着子2を物品3を吸い上げるピックアップ位置に移動させる。ギャップ制御部材11の使用により、高さ方向に関して吸着子2の極めて正確な位置決めが可能になる。この状態から、図4(c)に示すように、真空操作によって吸着子2に物品3を吸い上げて吸着する。
次に図4(d)に示すように、吸着子2に物品3を吸着させた状態で、物品3の所定の配置場所に関連した配置目標9を視覚センサ7で検出する。ハンドのこの位置への移動は、ロボットの教示プログラムの実行等によって行うことができる。
次に図4(e)に示すように、視覚センサ7による配置目標9の検出結果に基づいて、ギャップ制御部材11を物品の配置場所の周辺に移動させて押し当て、物品3を開放するリリース位置に吸着子2を移動させる。
最後に、図4(e)の状態から吸着子2による吸引(真空)を切り、物品3を解放して一連の物品搬送が完了する(図4(f))。
図5は、本発明に係る第4の実施形態を説明する図である。第4の実施形態では、吸着子2に吸着された物品3の吸着子2に対する相対位置関係をハンド以外の固定部位に取り付けられた固定カメラ12で検出する。
吸着子2が物品3と非接触のピックアップ位置から物品3を吸引して吸着子に吸着させるときには、物品3が真上に移動せず、吸着子2に対する物品3の位置や方向が所望のものにならない場合がある。従ってそのまま物品を配置場所に配置すると、物品は所定の位置や方向とずれた状態に配置されるという問題が生じ得る。そこで、吸着子2が物品3を吸着している間に、固定カメラ12を用いて吸着子2に対する物品3の相対位置関係を検出することにより、その検出結果に基づいてハンドの姿勢制御を行い、物品を配置場所に所定の方向に向けて配置することができる。
図6は、本発明に係る第5の実施形態を説明する図である。第6の実施形態では、ハンドのベース1に取り付けられた視覚センサ7が、吸着子2に吸着された状態での物品3の吸着子2に対する相対位置関係を検出することができるように、視覚センサ7及び吸着子2の一方又は双方が構成される(図示例では吸着子2が変形)。そのため、第4の実施形態と同様に、その検出結果に基づいてハンドの姿勢制御を行うことにより、物品3を配置場所に所定の方向に向けて配置することができる。
図5に示す第4の実施形態は、物品の相対位置が下方から検出されるので、吸着子2の吸着面積を大きくして、比較的重い物品を比較的低い真空度で吸引できるという長所を有する。一方図6に示す第5の実施形態は、視覚センサ7が固定カメラ12としても機能する(固定カメラが不要)という長所を有する。
第4の実施形態あるいは第5の実施形態において、吸着子2に吸着された物品3の吸着子2に対する相対位置関係を検出した結果に基づき、物品3を物品の配置場所に所定の方向に向けて配置できるようにするには、ハンドを回転させることが必要な場合が多い。理論上は、ハンドの回転軸を垂直に設定していればハンドを回転させても吸着子2の高さは変化しないはずであるが、実際は僅かに変化する場合が少なくない。そのため、レーザ距離計8あるいは固定レーザ距離計10で距離を測定した後にハンドを回転すると、吸着子2の高さが測定時とは異なったものとなり、ピックアップ位置における吸着子2と物品3の上面との間の距離や、リリース位置における物品3の下面と物品の配置場所との間の距離が、適正な距離でなくなるという問題がある。
従って、吸着子2に吸着された物品3の吸着子2に対する相対位置関係を、ハンド以外に取り付けられた固定カメラ12あるいはハンドに取り付けられた視覚センサ7で検出した結果に基づき、物品3を物品の配置場所に所定の方向に向けて配置できるように、ロボットは、ハンドを回転させたときは、回転に伴う吸着子2の高さの変化を、ハンドの回転角度をパラメータとする数値計算で補正することが望ましい。この補正によって、ハンドを回転させたときも、ピックアップ位置における吸着子2と物品3の上面との間の距離やリリース位置における物品3の下面と配置場所との間の距離を適正な距離に保つことができる。
また、第4の実施形態あるいは第5の実施形態において、吸着子2に対する物品3の位置が正常な位置から大きくずれており、そのまま物品3を配置場所に配置しようとすると、例えばハンドに取り付けられた部品が配置場所の周辺に配置された他の部品と干渉する虞がある場合は、吸着子2が物品3を適当な位置(干渉を回避するため、正確な配置場所とはいくらかずれた位置)に一旦解放して、再度その物品あるいは次の物品のピックアップ動作を行うようにすることが好ましい。このように、エラーとしてロボットを停止させないで、次のピックアップ動作に進むことによって、生産性の低下を防ぐことができる。
図7(a)〜(d)は、図6に示す第5の実施形態において、上述の吸着子によって一旦解放した物品を再度ピックアップすることを詳細に説明する図である。
図7(a)に示すように、吸着子2からリリースされた物品3が所定の配置場所よりもやや右側にずれて配置された場合を考える。先ずハンドのベース1に取り付けられた視覚センサ7により、物品3の位置や方向が正常な位置や方向からどの程度ずれているかを検出する。次に図7(b)に示すように、視覚センサ7の検出結果に基づいて、吸着子2を、物品3との相対関係が正常になる位置まで移動させる。次に図7(c)に示すように、吸着子2で物品3を再度吸い上げる。最後に図7(d)に示すように、物品3が正常な位置や方向に配置されるように吸着子2を移動して、再度物品3を解放する。
このように、固定カメラ、あるいはハンドに取り付けられた視覚センサ7により、吸着子2から解放され配置場所に配置された物品3を検出し、物品の位置や方向が正常な位置や方向からずれている場合に、配置場所より吸着子2で物品3を吸い上げて、物品3が正常な位置や方向に配置されるように吸着子2を移動してから再度物品3を解放することによって、物品3を所定の配置場所に精度よく配置することができる。再度解放してもまだ物品3の位置や方向が正常な位置や方向からずれている場合には、図7(a)〜(d)の操作を繰り返せばよい。
図8(a)〜(h)は、本発明に係る第6の実施形態を説明する図であり、(b)、(d)、(f)及び(h)はそれぞれ(a)、(c)、(e)及び(g)に示す各状態を前記物品の上方から見た図である。なお図8(b)、(d)、(f)及び(h)では、ハンドのベース1、ベース1に取り付けられているフローティング機構5、視覚センサ7及びレーザ距離計8は省略している。本実施形態の特徴は、ピックアップすべき物品3の近傍に物品姿勢矯正治具13が配置され、また搬送した物品の配置場所4の近傍にストッパー14が配置されることである。
先ず図8(a)及び(b)に示すように、吸着子2で物品3を吸着させたときに吸着子2に対する物品3の位置及び姿勢が所定のものからずれた場合を考える。このときに、物品3を吸着している吸着子2の真空度をいくらか下げて、吸着子2を移動させて物品3を物品姿勢矯正治具13に押し当てることによって、上述の位置及び姿勢のずれを矯正する(図8(c)及び(d))ことができる。なお図中の矢印は、吸着子2の移動方向を示している。吸着するための真空度をいくらか下げているので、吸着子2に物品3は上述の場合より弱く吸着されており、故に物品3が吸着子2の吸着面2aを滑って位置ずれが矯正される過程で物品3に過度のストレスがかかることはない。このようにして物品3の位置及び姿勢のずれを矯正すれば、物品3を物品の配置場所に所定の方向に向けて配置するためにハンドの回転等の姿勢制御を行うことなく、物品3を配置場所に所定の方向に向けて配置できるようになる。なお物品3の位置及び姿勢を矯正するときに、吸着子2を移動させる代りに矯正治具13を移動させることももちろん可能である。
また、図8(e)及び(f)に示すように、吸着子2で物品3を吸着させたときに吸着子2に対する物品3の位置及び姿勢が所定のものからずれたままの状態で物品3を所定の配置場所まで搬送してきた場合を考える。このときに、物品3を吸着子2に吸着するための真空度をいくらか下げて、物品の配置場所に隣接配置されたストッパー14の側面に物品3を押し当てて、物品3の位置及び姿勢を矯正することができる。また、図8(g)及び(h)に示すように、吸着子2をさらに移動させることによって、物品3を吸着子2から離脱させるとともに所定の配置場所に精度よく配置させることができる。矢印は吸着子2の移動方向を示している。
図9(a)〜(d)は、本発明に係る第7の実施形態を説明する図である。本実施形態では、図9(a)及び(b)に示すように、物品3が傾斜した配置場所4に配置され、さらに配置場所の傾斜面を滑って配置場所に隣接配置されたストッパー14に当接するので、物品3は所定の配置場所に精度よく配置される。
あるいは図9(c)及び(d)に示すように、物品3を傾斜していない配置場所4に配置後、物品配置場所を傾斜させて、物品3を配置場所に隣接配置されたストッパー14に当接させることによっても、図9(a)及び(b)と同様の作用効果が得られる。一般には、傾斜面に物品を配置する場合(図9(a)及び(b))よりも、水平な場所に物品を配置する場合(図9(c)及び(d))の方がロボットの制御が容易であり、かつ回転軸数の少ないロボットでも適用可能である。
図10は、本発明に係る第3の実施形態に関連する第8の実施形態を説明する図である。本実施形態の特徴は、フローティング機構5が、図4を参照して説明した第3の実施形態のギャップ制御部材11を物品3が置かれているあるいは配置する場所の周辺に押し当てたときの押し当て荷重を検出する荷重センサ15を有し、さらに荷重センサ15による押し当て荷重の検出値が設定した値になったときにフローティング機構5が停止するように構成されていることである。
換言すれば、本実施形態においては、押し当て荷重は設定値に概ね一定に維持可能となる。従って押し当て荷重が一定となるようなフィードバック機能を用いてハンドの姿勢制御のための教示を高精度に行う必要がなくなり、搬送前の物品が置かれている場所や物品の配置場所の高さが個々に異なっていても柔軟に対応して、吸着子をピックアップ位置やリリース位置に移動させることができる。また、ギャップ制御部材11を物品の配置場所等に強く押し当て過ぎて、ギャップ制御部材11を変形させたり、損傷させたりすることもない。
図11(a)及び(b)は、本発明に係る第3の実施形態に関連する第9の実施形態を説明する図である。本実施形態の特徴は、物品の配置場所の周辺の、ギャップ制御部材11が押し当てられる部位に、ギャップ制御部材11の端部が係合する受け部16を形成し、ギャップ制御部材11がガイドピンとして作用するようにしたことである。
本実施形態によれば、ギャップ制御部材11を受け部16に嵌合させることにより、吸着子2がリリース位置に高さ方向に高精度に位置決めされるだけでなく、水平方向にも高精度に位置決めされるので、ロボットの制御精度以上に物品の配置場所に対する配置精度を向上させることができる。なお、本実施形態は、図8(a)〜(h)に示す第6の実施形態のように、吸着子2に吸着された物品3の吸着子2に対する相対位置の位置ずれを矯正することによって、物品の配置場所に対する配置精度を一層向上させることができる。また、受け部16をスライダー(図示せず)等を用いて可動に構成し、受け部16がギャップ制御部材11と嵌合した状態で、図8(e)〜(h)に示すように、吸着子2を移動させて、物品3を吸着子2から離脱させて所定の配置場所に精度よく配置させることもできる。
図12(a)及び(b)は、本発明に係る第10の実施形態を説明するための図である。本実施形態は、複数の物品を積み上げていく場合に適用可能である。図示するように、積み上げられた物品3の最上段の高さを透過型あるいは反射型(図示例では透過型)の光学センサ17、18で検出し、積み上げられた物品の最上段の高さが変わらないように、積み上げられた物品3を保持するホルダー19をスライダー20等により移動させることによって、配置場所を変えずに物品3を積み上げられるようにしている。センサ発光部17からの光をセンサ受光部18で受光できるようにするために、物品を保持するホルダー19およびホルダー19をスライドさせるスライダー20には、スリット(図示せず)を設けて光が透過できるようにしている。本実施形態では、吸着子2がリリース位置に移動したときのロボットのハンドの姿勢制御状態が常に同じなので、吸着子2の位置精度が向上する。また本実施形態に、第9の実施形態について説明したような、ギャップ制御部材が受け部と嵌合する構造を適用することもできる。
上述の全ての実施形態において、吸着子を樹脂製あるいはプラスチック製とするか、吸着子の吸着面を樹脂あるいはプラスチックでコーティングすることによって、物品が吸着子に吸い上げられて接触したときの衝撃による物品に対するストレスが低減できる。さらに第6の実施形態のように、物品を吸着子に対して滑らせて、相対位置を矯正したり、物品を吸着子から離脱させたりしたときに、物品に傷が付くことを防止することもできる。
また吸着子が微小な場合等、吸着子全体を樹脂あるいはプラスチックから製作することが困難である場合は、先ず吸着子を加工し易い金属で製作し、吸着子の吸着面に樹脂あるいはプラスチックをコーティングすることによっても、同様の作用効果を有する吸着子が得られる。
1 ハンドベース
2 吸着子
3 物品
4 配置場所
5 フローティング機構
6 バネ
7 視覚センサ
8 レーザ距離計
9 配置目標
10 固定レーザ距離計
11 ギャップ制御部材
12 固定カメラ
13 姿勢矯正治具
14 ストッパー
15 荷重センサ
16 受け部
17 発光部
18 受光部
19 ホルダー
20 スライダー
2 吸着子
3 物品
4 配置場所
5 フローティング機構
6 バネ
7 視覚センサ
8 レーザ距離計
9 配置目標
10 固定レーザ距離計
11 ギャップ制御部材
12 固定カメラ
13 姿勢矯正治具
14 ストッパー
15 荷重センサ
16 受け部
17 発光部
18 受光部
19 ホルダー
20 スライダー
Claims (22)
- 真空吸着手段を有するハンドを備え、物品をピックアップして搬送する物品搬送ロボットにおいて、
前記真空吸着手段を前記物品に近接させ前記物品と非接触のピックアップ位置から前記物品を吸い上げて前記吸着手段に吸着させることを特徴とする、物品搬送ロボット。 - 前記吸着手段に吸着した前記物品を所定の配置場所に近接させ、前記配置場所と前記物品とが非接触であるリリース位置から前記物品を解放することを特徴とする、請求項1に記載の物品搬送ロボット。
- 前記物品を吸い上げるために前記吸着手段を前記ピックアップ位置に移動する動作、及び、前記物品を解放するために前記吸着手段を前記リリース位置に移動する動作の少なくとも一方の動作がロボットの教示プログラムの実行により行われることを特徴とする、請求項2に記載の物品搬送ロボット。
- 前記吸着手段がフローティング機構によって前記ハンドのベースに取り付けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品搬送ロボット。
- 前記ハンドは視覚センサを有し、該視覚センサによる前記物品の位置及び方向の検出結果に基づく前記吸着手段の前記ピックアップ位置への移動、及び、前記視覚センサによる前記配置場所に関連する配置目標の検出結果に基づく前記吸着手段の前記リリース位置への移動の少なくとも一方を行うことを特徴とする、請求項2に記載の物品搬送ロボット。
- 前記ハンドはレーザ距離計を有し、該レーザ距離計による前記レーザ距離計と前記物品の上面との間の距離の計測結果に基づく前記吸着手段の前記ピックアップ位置への移動、及び、前記レーザ距離計による前記レーザ距離計と前記配置場所との間の距離の計測結果に基づく前記吸着手段の前記リリース位置への移動の少なくとも一方を行うことを特徴とする、請求項2に記載の物品搬送ロボット。
- 前記ハンドは視覚センサ及びレーザ距離計を有し、前記視覚センサによる前記物品の位置及び方向の検出結果に基づいて、前記レーザ距離計と前記物品の上面との間の距離を計測するための位置へ前記レーザ距離計を移動させること、及び、前記視覚センサによる前記配置場所に関連する配置目標の検出結果に基づいて、前記レーザ距離計と前記配置場所との間の距離を計測するための位置へ前記レーザ距離計を移動させることの少なくとも一方を行うことを特徴とする、請求項6に記載の物品搬送ロボット。
- 固定部位に設けられた固定レーザ距離計を有し、該固定レーザ距離計による前記固定レーザ距離計と前記吸着手段との距離の計測結果に基づく前記吸着手段の前記ピックアップ位置への移動、及び、前記吸着手段に吸着された前記物品までの距離の計測結果に基づく前記吸着手段の前記リリース位置への移動の少なくとも一方を行うことを特徴とする、請求項2に記載の物品搬送ロボット。
- 前記フローティング機構は前記吸着手段及びギャップ制御部材を備え、該ギャップ制御部材を前記物品が置かれている場所の周辺に押し当てたときに、前記吸着手段を前記ピックアップ位置に位置決めすること、及び、前記物品を配置すべき場所の周辺に押し当てたときに前記吸着手段を前記リリース位置に位置決めすることの少なくとも一方を行うことを特徴とする、請求項2に記載の物品搬送ロボット。
- 固定部位に取り付けられた固定カメラを有し、前記吸着手段に吸着された前記物品の前記吸着手段に対する相対位置関係を前記固定カメラで検出した結果に基づき、前記物品を前記配置場所に所定の方向に向けて配置できるように、前記ハンドの姿勢制御を行う手段を備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の物品搬送ロボット。
- 前記ハンドに取り付けられた視覚センサを有し、前記吸着手段に吸着された前記物品の前記吸着手段に対する相対位置関係を前記視覚センサで検出した結果に基づき、前記物品を前記配置場所に所定の方向に向けて配置できるように、前記ハンドの姿勢制御を行う手段を備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の物品搬送ロボット。
- 前記吸着手段に吸着された前記物品の前記吸着手段に対する相対位置関係を前記固定カメラ又は前記視覚センサで検出した結果に基づき、前記物品を前記配置場所に所定の方向に向けて配置できるように、前記ハンドの回転に伴う前記吸着手段の高さの変化を、前記ハンドの回転角度をパラメータとする数値計算で補正する手段を備えることを特徴とする、請求項10又は11に記載の物品搬送ロボット。
- 前記吸着手段に吸着された前記物品の前記吸着手段に対する相対位置関係を前記固定カメラ又は前記視覚センサで検出した結果、前記物品の前記吸着手段に対する相対位置が正常な位置と異なっている場合に、前記物品を解放して再度前記物品又は次の物品のピックアップ動作を行うことを特徴とする、請求項10又は11に記載の物品搬送ロボット。
- 前記固定カメラ又は前記視覚センサにより、前記吸着手段から解放され前記配置場所に配置された前記物品を検出し、前記物品の位置及び方向が正常な位置及び方向からずれている場合に、前記配置場所より前記吸着手段で前記物品を吸い上げて、前記物品が正常な位置及び方向に配置されるように前記吸着手段を移動して再度前記物品を解放することを特徴とする、請求項10又は11に記載の物品搬送ロボット。
- 前記ピックアップ位置の近傍に設けられた物品姿勢矯正治具と、前記物品を前記吸着手段に吸着するための真空度を下げる手段とを備え、該手段により前記物品姿勢矯正治具に前記物品を押し当てることによって、前記吸着手段に前記物品を吸着させたときに生じ得る前記吸着手段に対する前記物品の位置ずれが矯正されることを特徴する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の物品搬送ロボット。
- 前記配置場所に隣接したストッパーと、前記物品を前記吸着手段に吸着させるための真空度を下げる手段とを備え、該手段により前記ストッパーの側面に前記物品を押し当ててさらに前記吸着手段を移動させることによって、前記物品が前記吸着手段から離脱し、前記物品が前記配置場所に配置されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の物品搬送ロボット。
- 前記物品を傾斜した配置場所に配置するか、前記物品を前記配置場所に配置した後に前記配置場所を傾斜させて、前記物品を一方向に寄せる手段を備えることを特徴とする、請求項2に記載の物品搬送ロボット。
- 前記ギャップ制御部材を前記物品が置かれている又は配置すべき場所の周辺に押し当てたときの荷重を検出する荷重センサを有し、該荷重センサの検出値が所定の値に達したときに前記ギャップ制御部材を停止させることを特徴とする、請求項9に記載の物品搬送ロボット。
- 押し当てられた前記ギャップ制御部材と嵌合する受容する受け部が前記配置場所の周辺に形成され、それにより前記ギャップ制御部材はガイドピンとして作用することを特徴とする、請求項9又は18に記載の物品搬送ロボット。
- 積み上げられた前記物品を保持しかつ可動に構成されたホルダーを有し、該ホルダーは、前記配置場所を変えずに前記物品を積み上げることができるように、積み上げられた前記物品の最上段の位置が一定となるように移動可能であることを特徴とする、請求項2に記載の物品搬送ロボット。
- 前記吸着手段が樹脂製又はプラスチック製であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の物品搬送ロボット。
- 前記吸着手段の少なくとも吸着面が樹脂又はプラスチックでコーティングされていることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の物品搬送ロボット。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2005-09-07 JP JP2005259747A patent/JP2007069316A/ja active Pending
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