JP2007066651A - 燃料電池用積層電解質膜 - Google Patents

燃料電池用積層電解質膜 Download PDF

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Abstract

【課題】湿潤時に生じる寸法変化を、内部で緩和することが可能な燃料電池用積層電解質膜を提供する。
【解決手段】複数の固体高分子電解質膜が積層された燃料電池用積層電解質膜であって、湿潤時に、隣接する上記固体高分子電解質膜が、互いに他の上記固体高分子電解質膜の寸法変化を抑制するように積層された燃料電池用積層電解質膜であって、上記固体高分子電解質膜は1軸延伸電解質膜1の場合には、延伸方向が交差するように積層される。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の固体高分子電解質膜が積層された燃料電池用積層電解質膜であって、湿潤時に固体高分子電解質膜が寸法変化を起こした際に、隣接する他の固体高分子電解質膜の寸法変化を抑制することにより、互いに寸法変化を打ち消し合う燃料電池用積層電解質膜に関するものである。
固体高分子電解質型燃料電池(以下、単に燃料電池と称する場合がある。)の最小発電単位である単位セルは、一般に、固体電解質膜の両側に触媒電極層(アノード側触媒電極層およびカソード側触媒電極層)が接合された膜電極複合体と、この膜電極複合体の両側に配置されたガス拡散層と、このガス拡散層の外側に配置されたセパレータとを有するものである。燃料電池は、水素および酸素を使用して電気化学反応により発電する電池であり、水以外の反応生成物が生成せず、クリーンな発電装置として注目されている。
現在、燃料電池の主要構成部品である固体高分子電解質膜として、デュポン株式会社のNafion(商品名)に代表されるフッ素系電解質、あるいは炭化水素系電解質膜等が用いられている。しかしながら、このような固体電解質膜は、高いプロトン伝導性が要求されるため、通常、スルホン酸基等のプロトン伝導基を豊富に含むものであり、燃料電池の電気化学反応により生じる水等の水分により、膨潤し易いという性質があった。そのため、燃料電池の運転・停止に伴って固体電解質膜が膨潤収縮を繰り返すことにより、固体電解質膜が破断したり、固体電解質膜が触媒電極層と剥離する等の問題があった。
このような問題に対して、特許文献1においては、水による膨潤の大きな炭化水素系膜の両側に、水による膨潤の小さなフッ素系膜を配設した燃料電池用電解質膜が開示されている。しかしながら、特許文献1においては、ともに水により膨潤する電解質膜のみを使用するため、膨潤により触媒電極層との剥離が発生する虞があった。
特開2004−220995公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、湿潤時に生じる寸法変化を、内部で緩和することが可能な燃料電池用積層電解質膜を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明においては、複数の固体高分子電解質膜が積層された燃料電池用積層電解質膜であって、湿潤時に、隣接する上記固体高分子電解質膜が、互いに他の上記固体高分子電解質膜の寸法変化を抑制するように積層されたことを特徴とする燃料電池用積層電解質膜を提供する。
本発明によれば、湿潤時に、膨潤または収縮といった寸法変化を起こす固体高分子電解質膜を、互いの寸法変化を打ち消すように積層させることによって、全体として、湿潤時に生じる寸法変化が小さい積層電解質膜とすることができる。
また、上記発明においては、上記固体高分子電解質膜が1軸延伸電解質膜であり、上記1軸延伸電解質膜の延伸方向が交差するように積層されたことが好ましい。上記1軸延伸電解質膜を交差するように積層させることによって、湿潤時における積層電解質膜全体の寸法変化を小さくすることができるからである。
また、上記発明においては、上記固体高分子電解質膜が2軸延伸電解質膜および無延伸電解質膜であり、上記2軸延伸電解質膜と上記無延伸電解質膜とが交互に積層されたことが好ましい。上記2軸延伸電解質膜と上記無延伸電解質膜とを交互に積層させることによって、湿潤時における積層電解質膜全体の寸法変化を小さくすることができるからである。
また、上記発明においては、上記無延伸電解質膜が、最表面となるように積層されたことが好ましい。機械強度に優れた積層電解質膜を得ることができるからである。
また、上記発明においては、上記固体高分子電解質膜が、パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜であり、上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜が交差するように積層されたことが好ましい。上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜が交差するように積層されることによって、湿潤時における積層電解質膜全体の寸法変化を小さくすることができるからである。
本発明の燃料電池用積層電解質膜においては、湿潤時に生じる寸法変化を、内部で緩和することができ、積層電解質膜の破断や剥離を抑制することができるという効果を奏する。
本発明の燃料電池用積層電解質膜(単に、積層電解質膜という場合がある。)について、以下詳細に説明する。
本発明の燃料電池用積層電解質膜は、複数の固体高分子電解質膜が積層された燃料電池用積層電解質膜であって、湿潤時に、隣接する上記固体高分子電解質膜が、互いに他の上記固体高分子電解質膜の寸法変化を抑制するように積層されたことを特徴とするものである。
本発明によれば、湿潤時に、膨潤または収縮といった寸法変化を起こす固体高分子電解質膜を、互いの寸法変化を打ち消すように積層させることによって、全体として、湿潤時に生じる寸法変化が小さい積層電解質膜とすることができる。本発明の積層電解質膜を燃料電池に用いた場合、湿潤時の寸法変化が小さいことから、積層電解質膜の破断や積層電解質膜と触媒電極層との剥離が生じ難くなり、耐久性等に優れた燃料電池を得ることができる。
また、本発明の燃料電池用積層電解質膜は、湿潤時に、隣接する上記固体高分子電解質膜が、互いに他の上記固体高分子電解質膜の寸法変化を抑制するように積層されたものであれば、特に限定されるものではないが、具体的には、以下の態様の積層電解質膜であることが好ましい。すなわち、上記固体高分子電解質膜が1軸延伸電解質膜であり、上記1軸延伸電解質膜の延伸方向が交差するように積層されたことを特徴とする態様(第一態様)、上記固体高分子電解質膜が2軸延伸電解質膜および無延伸電解質膜であり、上記2軸延伸電解質膜と上記無延伸電解質膜とが交互に積層されたことを特徴とする態様(第二態様)、および上記固体高分子電解質膜が、パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜であり、上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜が交差するように積層されたことを特徴とする態様(第三態様)であることが好ましい。
以下、上記3つの態様について詳細に説明する。
1.第一態様
まず、本発明における第一態様の燃料電池用積層電解質膜について説明する。本態様の燃料電池用積層電解質膜は、複数の固体高分子電解質膜が積層された燃料電池用積層電解質膜であって、上記固体高分子電解質膜が1軸延伸電解質膜であり、上記1軸延伸電解質膜の延伸方向が交差するように積層されたことを特徴とするものである。
本態様によれば、上記1軸延伸電解質膜を交差するように積層させることによって、湿潤時における積層電解質膜全体の寸法変化を小さくすることができる。上記1軸延伸電解質膜は湿潤時に、延伸方向に収縮し、延伸方向と直交する方向に膨潤するものである。従って、このような1軸延伸電解質膜の延伸方向を、互いに交差するように積層することによって、隣接する1軸延伸電解質膜が、互いに他の1軸延伸電解質膜の寸法変化を抑制し、全体として寸法変化の小さい積層電解質膜とすることができる。
次に、本態様の積層電解質膜について図面を用いて説明する。本態様の積層電解質膜は、例えば図1に示すように、1軸延伸電解質膜1の延伸方向が互いに交差するように積層されてなるものである。なお、本態様の積層電解質膜は、複数の1軸延伸電解質膜1が直接積層されてなるものであるが、図1においては、便宜上、空間を設けて示している。また、図2および図4においても同様である。
次に、本態様に用いられる1軸延伸電解質膜について説明する。本態様に用いられる1軸延伸電解質膜は、湿潤時に、延伸方向に収縮し、延伸方向と直交する方向に膨潤する性質を有するものである。
本態様に用いられる1軸延伸電解質膜は、通常、無延伸の固体高分子電解質を1軸延伸することにより得られるものである。このような無延伸の固体高分子電解質膜としては、特に限定されるものではないが、例えば、Nafion(商品名、デュポン株式会社製)に代表されるフッ素系電解質膜、または、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の炭化水素系樹脂にスルホン酸基等のプロトン伝導基を導入した炭化水素系電解質膜等を挙げることができる。
また、本態様に用いられる1軸延伸電解質膜は、上述した無延伸の固体高分子電解質膜を、105〜200%の範囲内、中でも120〜150%の範囲内で1軸延伸したものであることが好ましい。
また、本態様に用いられる1軸延伸電解質膜は、湿潤時において延伸方向に5〜20%の範囲内で収縮するものが好ましく、中でも5〜10%の範囲内で収縮するものがより好ましい。なお、本態様において、上記値の測定は湿潤前後の延伸方向の長さを測定することにより求めることができる。ここで、湿潤前の状態(乾燥状態)とは、電解質膜を80℃真空下で一晩静置した状態をいい、湿潤後の状態(湿潤状態)とは、80℃で30分間、水中で煮た状態をいう。
また、本態様の積層電解質膜は、上記1軸延伸電解質膜の延伸方向が交差するように積層されてなるものである。ここで、「1軸延伸電解質膜の延伸方向が交差する」とは、隣接する2つの1軸延伸電解質膜の延伸方向が同一でないことを意味するものであり、本発明においては、隣接する1軸延伸電解質膜の延伸方向がなす角度のうち、小さい方の角度が15〜90°の範囲内、中でも45〜90°の範囲内、特に90°であることが好ましい。すなわち、本発明においては、隣接する1軸延伸電解質膜の延伸方向が直交することが最も好ましい。湿潤時における積層電解質膜の寸法変化を最も小さくすることができるからである。
また、本態様の積層電解質膜は、上記1軸延伸電解質膜を2以上積層したものであれば特に限定されるものではないが、中でも2〜6層積層したもの、特に2〜4層積層したものであることが好ましい。
また、本態様の積層電解質膜全体の膜厚としては、良好なプロトン伝導性を有する積層電解質膜とすることができれば特に限定されるものではないが、具体的には12〜120μmの範囲内、中でも15〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、充分な機械強度を発揮できず積層電解質膜の破断が生じ易く、上記範囲を超える場合は、燃料電池の発電効率を低下させる可能性があるからである。
また、本態様の積層電解質膜の製造方法としては、湿潤時における寸法変化が小さい積層電解質膜を得ることができる方法であれば、特に限定されるものではないが、例えば、複数の上記1軸延伸電解質膜を、延伸方向が所望の角度になるように積層し、熱圧着する方法等を挙げることができる。
2.第二態様
次に、本発明における第二態様の燃料電池用積層電解質膜について説明する。本態様の燃料電池用積層電解質膜は、複数の固体高分子電解質膜が積層された燃料電池用積層電解質膜であって、上記固体高分子電解質膜が2軸延伸電解質膜および無延伸電解質膜であり、上記2軸延伸電解質膜と上記無延伸電解質膜とが交互に積層されたことを特徴とするものである。
本態様によれば、上記2軸延伸電解質膜と上記無延伸電解質膜とを交互に積層させることによって、湿潤時における積層電解質膜全体の寸法変化を小さくすることができる。上記2軸延伸電解質膜は湿潤時に、両軸方向に収縮するものであり、上記無延伸電解質膜は湿潤時に、全方向に膨潤するものである。従って、このような2軸延伸電解質膜および無延伸電解質膜を交互に積層することによって、2軸延伸電解質膜および無延伸電解質膜が、互いに寸法変化を抑制し、全体として寸法変化の小さい積層電解質膜とすることができる。
次に、本態様の積層電解質膜について図面を用いて説明する。本態様の積層電解質膜は、例えば図2に示すように、2軸延伸電解質膜2と、無延伸電解質膜3とが交互に積層されてなるものである。
次に、本態様に用いられる2軸延伸電解質膜について説明する。本態様に用いられる2軸延伸電解質膜は、湿潤時に、両軸方向に収縮する性質を有するものである。
本態様に用いられる2軸延伸電解質膜は、通常、無延伸の固体高分子電解質を2軸延伸することにより得られるものである。このような無延伸の固体高分子電解質膜としては、上記1軸延伸電解質膜に用いられるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、本態様に用いられる2軸延伸電解質膜は、無延伸の固体高分子電解質膜を、105〜200%の範囲内、中でも120〜150%の範囲内で各軸方向に2軸延伸したものであることが好ましい。
また、本態様に用いられる2軸延伸電解質膜は、湿潤時において各軸方向にそれぞれ5〜20%の範囲内で収縮するものが好ましく、中でも5〜10%の範囲内で収縮するものがより好ましい。なお、上記値の測定は、第一態様と同様に行った。また、本態様においては、上記2軸延伸電解質膜における各軸方向の収縮率は、互いに同じであっても良く、異なるものであっても良いが、中でも各軸方向の収縮率が同じであることが好ましい。両軸が均等に収縮することにより、均一に無延伸電解質膜の寸法変化を打ち消すことができるからである。また、各軸方向の収縮率の異なる2軸延伸電解質膜を用いる場合は、例えば、無延伸電解質膜の両側に2軸延伸電解質膜を配置する際に、収縮率の高い軸方向を互いに直交させることにより、積層電解質膜全体の寸法変化を効果的に抑制することができる。また、各軸方向の収縮率は、上記の無延伸の固体高分子電解質膜を延伸する割合を調節することにより、所望の値にすることができる。
一方、本態様に用いられる無延伸電解質膜は、上述した無延伸の固体高分子電解質膜をそのまま用いることができる。本態様に用いられる無延伸電解質膜は、湿潤時に、全方向に膨潤する性質を有するものである。
また、本態様の積層電解質膜は、上記2軸延伸電解質膜および上記無延伸電解質膜が交互に積層されてなるものである。本態様の積層電解質膜は、上記2軸延伸電解質膜および上記無延伸電解質膜を交互に積層したものであれば特に限定されるものではないが、中でも3〜7層構造であるもの、特に3〜5層構造であるものが好ましい。さらに、本態様の積層電解質膜は、上記無延伸電解質膜が最表面となるように積層されたものであることが好ましい。機械強度に優れた積層電解質膜を得ることができるからである。この現象は、湿潤時に、最表面の無延伸電解質膜は膨潤し、その内部の2軸延伸電解質膜が収縮することにより、互いに力が逆方向に働いていることに起因すると考えられ、いわゆる圧縮ガラスに用いられている原理と同様の原理によるものと考えられる。
また、本態様の積層電解質膜全体の膜厚としては、良好なプロトン伝導性を有する積層電解質膜とすることができれば特に限定されるものではないが、具体的には12〜120μmの範囲内、中でも15〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、充分な機械強度を発揮できず積層電解質膜の破断が生じ易く、上記範囲を超える場合は、燃料電池の発電効率を低下させる可能性があるからである。
また、本態様の積層電解質膜の製造方法としては、上述した第一態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.第三態様
次に、本発明における第三態様の燃料電池用積層電解質膜について説明する。本態様の燃料電池用積層電解質膜は、複数の固体高分子電解質膜が積層された燃料電池用積層電解質膜であって、上記固体高分子電解質膜が、パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜であり、上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜が交差するように積層されたことを特徴とするものである。
本態様によれば、上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜が交差するように積層さることによって、湿潤時における積層電解質膜全体の寸法変化を小さくすることができる。上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜のうち、プロトン伝導基を有する部分は湿潤時に膨潤し、プロトン伝導基を有しない部分は通常、湿潤時に変化しない。本態様によれば、プロトン伝導基のパターン形状を適宜選択することにより、例えば、湿潤時に、X方向には膨潤するが、Y方向には膨潤しない電解質膜を得ることができ、このような特性を有する電解質膜を互いに交差するように積層することによって、隣接する上記電解質膜が、互いに他の上記電解質膜の寸法変化を抑制し、全体として寸法変化の小さい積層電解質膜とすることができる。
次に、上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜について図面を用いて説明する。このような電解質膜としては、例えば図3に示すように、縞状にスルホン化された領域4と、スルホン化されていない領域5とを有する電解質膜6を挙げることができる。上記縞状にスルホン化された電解質膜6は、湿潤時に、スルホン化された領域4が膨潤することによりX方向には膨潤するが、Y方向には膨潤しない。本態様の積層電解質膜は、例えば図4に示すように、パターン状にスルホン化された電解質膜6が互いに交差するように積層されてなるものである。
次に、上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜について説明する。このような電解質膜は、通常、プロトン伝導基を有しないベースフィルムに対して、プロトン伝導基をパターン状に導入することにより得られるものである。
上記プロトン伝導基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスファイト基、ホスホン酸基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、中でもスルホン酸基が好ましい。プロトン伝導性に優れているからである。
また、上記ベースフィルムとしては、パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜を形成することができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、炭化水素系材料を挙げることができる。具体的には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリフェニレンオキサイド樹脂(PPO)、ポリベンゾイミダゾール樹脂(PBI)等を挙げることができ、中でもポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂が好ましく、特にポリフェニレンサルファイド樹脂がより好ましい。
また、上記ベースフィルムに形成されるプロトン伝導基のパターンは、得られる電解質膜が湿潤時に、膨潤する方向と膨潤しない方向とを有するように形成されることが好ましい。上記パターンの形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、図5(a)〜(c)に示すようなパターン(プロトン伝導基のパターン7)等を挙げることができる。中でも、本態様においては、図5(a)に示すような縞状のパターンであることが好ましい。
また、上記パターンが、ベースフィルムに占める割合としては、所望の積層電解質膜を得ることができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には50〜90%の範囲内、中でも60〜80%の範囲内であることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、積層電解質膜が充分なプロトン伝導性を有さず燃料電池の発電効率が低下する可能性があり、上記範囲を超える場合は、寸法変化を抑制することが困難になる可能性があるからである。
また、上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜が、湿潤時の膨潤により、X方向には伸張するが、Y方向には伸張しない電解質膜である場合、湿潤時においてX方向に5〜20%の範囲内で伸張するものが好ましく、中でも5〜10%の範囲内で伸張するものがより好ましい。
また、上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記ベースフィルムにプロトン伝導基としてスルホン酸基を導入する場合、まず、スルホン酸基を導入しない領域にマスキングを施し、次に、三酸化硫黄溶液等を気化させて得られるSOガスを上記ベースフィルムに接触させ、マスキングが施されていない領域にスルホン酸基を導入する方法等を挙げることができる。
また、本態様の積層電解質膜は、上記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜が交差するように積層されてなるものである。ここで、「パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜が交差する」とは、積層電解質膜の表面を鉛直方向から観察した場合に、上記パターンが完全に一致しない状態を意味するものである。特に、本態様の積層電解質膜が、縞状のパターンを有する場合には、図4に示すように、縞状のパターンが直交するように積層されることが好ましい。湿潤時における積層電解質膜の寸法変化を最も小さくすることができるからである。
また、本態様の積層電解質膜は、上記電解質膜を2以上積層したものであれば特に限定されるものではないが、中でも2〜6層積層したもの、特に2〜4層積層したものであることが好ましい。
また、本態様の積層電解質膜全体の膜厚としては、良好なプロトン伝導性を有する積層電解質膜とすることができれば特に限定されるものではないが、具体的には12〜120μmの範囲内、中でも15〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、充分な機械強度を発揮できず積層電解質膜の破断が生じ易く、上記範囲を超える場合は、燃料電池の発電効率を低下させる可能性があるからである。
また、本態様の積層電解質膜の製造方法としては、上述した第一態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
4.その他
本発明の燃料電池用積層電解質膜は、燃料電池の構成する部材である。本発明の燃料電池用積層電解質膜は、燃料電池の作製に際し、その両面に触媒電極層が設置される。上記触媒電極層は、通常、Nafion(商品名、デュポン株式会社製)等の電解質材料と、Pt等の触媒と、カーボン粉末等の導電性材料とを含有するものである。さらに、上記触媒電極層の外側にガス拡散層およびセパレータが設置され燃料電池が得られる。上記ガス拡散層としては、カーボン繊維等を成型したもの等が用いられ、セパレータはカーボンタイプのもの、金属タイプのもの等が用いられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
市販されているNafion電解質膜(厚さ50μm、デュポン株式会社製)に対して、温度80℃の条件下で200%1軸延伸を行い、1軸延伸電解質膜を得た。上記1軸延伸電解質膜を加湿した結果、延伸方向に20%収縮し、延伸方向と直交する方向に15%膨潤するものであった。
次に、上記1軸延伸電解質膜を、5cm×5cmの大きさにトリミングし、延伸方向が直交するように3枚積層し、熱圧着することによって、積層電解質膜を得た。このようにして得られた積層電解質膜を加湿した結果、積層電解質膜全体としての寸法変化(一辺の長さの変化)は、5%であった。
[実施例2]
実施例1で用いたNafion樹脂に対して、温度80℃の条件下で200%2軸延伸を行い、2軸延伸電解質膜を得た。上記2軸延伸電解質膜を加湿した結果、軸方向の収縮率は、共に20%であった。また、実施例1で用いたNafion樹脂を、そのまま無延伸電解質膜とした。
次に、上記2軸延伸電解質膜および無延伸電解質膜を5cm×5cmの大きさにトリミングし、上記2軸延伸電解質膜の両面に、上記無延伸電解質膜を積層し、熱圧着することによって、積層電解質膜を得た。このようにして得られた積層電解質膜を加湿した結果、積層電解質膜全体としての寸法変化(一辺の長さの変化)は、5%であった。
[実施例3]
市販のポリエーテルスルホン樹脂(PES)に対して、縞状にマスキングを施し、次に、このようなPESを、セパラブルフラスコに入れ、上記PESに接触しないように、三酸化硫黄溶液を滴下漏斗で所定量滴下した。さらに、フラスコの底をオイルバスで70℃に加熱し、三酸化硫黄溶液を気化させてSOガスを発生させ、上記PESに10時間接触させ縞状にスルホン酸基を導入した。
次に、上記縞状にスルホン酸基を有する電解質膜を、5cm×5cmの大きさにトリミングし、縞状のパターンが直交するように3枚積層し、熱圧着することによって、積層電解質膜を得た。このようにして得られた積層電解質膜を加湿した結果、積層電解質膜全体としての寸法変化(平面視上の面積の減少率)は、3%であった。
本発明の燃料電池用積層電解質膜の一例を示す説明図である。 本発明の燃料電池用積層電解質膜の他の例を示す説明図である。 本発明に用いられる固体高分子電解質膜の一例を示す説明図である。 本発明の燃料電池用積層電解質膜の他の例を示す説明図である。 固体高分子電解質膜上に形成されるプロトン伝導基のパターンの一例を示す説明図である。
符号の説明
1 … 1軸延伸電解質膜
2 … 2軸延伸電解質膜
3 … 無延伸電解質膜
4 … スルホン化された領域
5 … スルホン化されてない領域
6 … 縞状にスルホン化された電解質膜
7 … プロトン伝導基のパターン

Claims (5)

  1. 複数の固体高分子電解質膜が積層された燃料電池用積層電解質膜であって、湿潤時に、隣接する前記固体高分子電解質膜が、互いに他の前記固体高分子電解質膜の寸法変化を抑制するように積層されたことを特徴とする燃料電池用積層電解質膜。
  2. 前記固体高分子電解質膜が1軸延伸電解質膜であり、前記1軸延伸電解質膜の延伸方向が交差するように積層されたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用積層電解質膜。
  3. 前記固体高分子電解質膜が2軸延伸電解質膜および無延伸電解質膜であり、前記2軸延伸電解質膜と前記無延伸電解質膜とが交互に積層されたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用積層電解質膜。
  4. 前記無延伸電解質膜が、最表面となるように積層されたことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池用積層電解質膜。
  5. 前記固体高分子電解質膜が、パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜であり、前記パターン状にプロトン伝導基を有する電解質膜が交差するように積層されたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用積層電解質膜。
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